JP7197668B2 - 非水電解質二次電池用正極、非水電解質二次電池、電池モジュール、および電池システム - Google Patents
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Description
非水電解質二次電池の正極としては、リチウムイオンを含む正極活物質、導電助剤、および結着材からなる組成物を、金属箔(集電体)の表面に固着させたものが知られている。
リチウムイオンを含む正極活物質としては、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)等のリチウム遷移金属複合酸化物や、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)等のリチウムリン酸化合物が実用化されている。
[1]正極集電体と、前記正極集電体上に存在する正極活物質を含む正極活物質層とを有する非水電解質二次電池用正極であって、前記非水電解質二次電池用正極と、負極と、前記非水電解質二次電池用正極と前記負極との間に存在する非水電解質とを備える、非水電解質二次電池とした場合に、高周波インピーダンス測定により測定した複素インピーダンスの虚部成分が符号を変える周波数をF(Hz)、前記正極活物質層の前記正極集電体とは反対側の面の面積をS(m2)、周波数Fでの複素インピーダンスの実部をR(Ω)としたとき、F×S×R(m2Ω/s)が10以下である、非水電解質二次電池用正極。
[2]-30℃~25℃の温度域で、前記F×S×R(m2Ω/s)が10以下である、[1]に記載の非水電解質二次電池用正極。
[3]25℃で、前記F×S×R(m2Ω/s)が5以下である、[2]に記載の非水電解質二次電池用正極。
[4]前記正極活物質層は、導電助剤を含まない、[1]~[3]のいずれかに記載の非水電解質二次電池用正極。
[5]前記正極活物質が、一般式LiFexM(1-x)PO4(式中、0≦x≦1、MはCo、Ni、Mn、Al、TiまたはZrである。)で表される化合物である、[1]~[4]のいずれかに記載の非水電解質二次電池用正極。
[6]前記正極活物質は、LiFePO4で表されるリン酸鉄リチウムである、[5]に記載の非水電解質二次電池用正極。
[7]前記正極集電体は、正極集電体本体と、前記正極集電体本体の前記正極活物質層側の表面に存在する集電体被覆層とを有し、前記正極集電体本体がアルミニウム箔であり、前記集電体被覆層が炭素を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の非水電解質二次電池用正極。
[8]前記正極集電体本体の前記正極活物質層側の表面における前記集電体被覆層の面積被覆率が10%以上である、[7]に記載の非水電解質二次電池用正極。
[9][1]~[8]のいずれかに記載の非水電解質二次電池用正極と、負極と、前記非水電解質二次電池用正極と前記負極との間に存在する非水電解質とを備える、非水電解質二次電池。
[10][9]に記載の非水電解質二次電池の複数個を備える、電池モジュールまたは電池システム。
[11]正極集電体と、前記正極集電体上に存在する正極活物質層とを有する非水電解質二次電池用正極の評価方法であって、前記非水電解質二次電池用正極と、負極と、前記非水電解質二次電池用正極と前記負極との間に存在する非水電解質とを備える、非水電解質二次電池としたときに、高周波インピーダンス測定により測定した複素インピーダンスの虚部成分が符号を変える周波数をF(Hz)、前記正極活物質層の前記正極集電体とは反対側の面の面積をS(m2)、周波数Fでの複素インピーダンスの実部をR(Ω)としたとき、F×S×R(m2Ω/s)の値により、任意の温度における放電時の電位降下を評価する、非水電解質二次電池用正極の評価方法。
図1は、本発明に係る非水電解質二次電池用正極の一例を模式的に示す断面図である。図2は、本発明に係る非水電解質二次電池の一例を模式的に示す断面図である。
なお、図1および図2は、その構成をわかりやすく説明するための模式図であり、各構成要素の寸法比率等は、実際とは異なる場合もある。
本実施形態の非水電解質二次電池用正極(単に「正極」ともいう。)1は、正極集電体11と正極活物質層12を有する。
正極活物質層12は正極集電体11の少なくとも一面上に存在する。正極集電体11の両面上に正極活物質層12が存在してもよい。
図1の例において、正極集電体11は、正極集電体本体14と、正極集電体本体14の正極活物質層12側の表面を被覆する集電体被覆層15とを有する。正極集電体本体14のみを正極集電体11としてもよい。
正極活物質層12は正極活物質を含む。正極活物質層12は、さらに結着材を含むことが好ましい。正極活物質層12は、さらに導電助剤を含んでもよい。
正極活物質粒子は、正極活物質を含む。正極活物質粒子は、正極活物質のみからなる粒子でもよいし、正極活物質の芯部と、芯部を被複する被覆部(活物質被覆部)とを有してもよい(いわゆる被覆粒子)。正極活物質層12に含まれる正極活物質粒子の群の少なくとも一部は、被覆粒子であることが好ましい。
正極活物質層12の総質量に対して、正極活物質の含有量は80.0質量%~99.9質量%が好ましく、90.0質量%~99.5質量%がより好ましい。
オリビン型結晶構造を有する化合物は、一般式LiFexM(1-x)PO4で(以下「一般式(1)」ともいう。)表される化合物が好ましい。一般式(1)において0≦x≦1である。MはCo、Ni、Mn、Al、Ti又はZrである。物性値に変化がない程度に微小量の、FeおよびM(Co、Ni、Mn、Al、Ti又はZr)の一部を他の元素に置換することもできる。一般式(1)で表される化合物は、微量の金属不純物が含まれていても本発明の効果が損なわれるものではない。
一般式(1)で表される化合物は、LiFePO4で表されるリン酸鉄リチウム(以下、単に「リン酸鉄リチウム」ともいう。)が好ましい。
他の正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物が好ましい。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、ニッケルコバルト酸リチウム(LiNixCoyAlzO2、ただしx+y+z=1)、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(LiNixCoyMnzO2、ただしx+y+z=1)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)、コバルトマンガン酸リチウム(LiMnCoO4)、クロム酸マンガンリチウム(LiMnCrO4)、バナジウムニッケル酸リチウム(LiNiVO4)、ニッケル置換マンガン酸リチウム(例えば、LiMn1.5Ni0.5O4)、及びバナジウムコバルト酸リチウム(LiCoVO4)、これらの化合物の一部を金属元素で置換した非化学量論的化合物等が挙げられる。前記金属元素としては、Mn、Mg、Ni、Co、Cu、Zn及びGeからなる群から選択される1種以上が挙げられる。
他の正極活物質は1種でもよく、2種以上でもよい。
活物質被覆部を構成する導電材料は、炭素のみからなることがさらに好ましい。
活物質被覆部を有する正極活物質の総質量に対して、導電材料の含有量は0.1~3.0質量%が好ましく、0.5~1.5質量%がより好ましく、0.7~1.3質量%がさらに好ましい。
加えて、被覆粒子は、芯部の表面全体が導電材料で被覆されていることが、特に好ましい。
例えば、特許第5098146号公報に記載の方法を用いてリン酸鉄リチウム粉末を作製し、GS Yuasa Technical Report、2008年6月、第5巻、第1号、第27~31頁等に記載の方法を用いて、リン酸鉄リチウム粉末の表面の少なくとも一部を炭素で被覆できる。
具体的には、まず、シュウ酸鉄二水和物、リン酸二水素アンモニウム、及び炭酸リチウムを、特定のモル比で計り、これらを不活性雰囲気下で粉砕及び混合する。次に、得られた混合物を窒素雰囲気下で加熱処理することによってリン酸鉄リチウム粉末を作製する。次いで、リン酸鉄リチウム粉末をロータリーキルンに入れ、窒素をキャリアガスとしたメタノール蒸気を供給しながら加熱処理することによって、表面の少なくとも一部を炭素で被覆したリン酸鉄リチウム粉末を得る。
例えば、粉砕工程における粉砕時間によってリン酸鉄リチウム粉末の粒子径を調整できる。メタノール蒸気を供給しながら加熱処理する工程における加熱時間及び温度等によって、リン酸鉄リチウム粉末を被覆する炭素の量を調整できる。被覆されなかった炭素粒子はその後の分級や洗浄などの工程などにより取り除く事が望ましい。
他の正極活物質は、表面の少なくとも一部に前記活物質被覆部が存在してもよい。
被覆リン酸鉄リチウムを用いる場合、正極活物質粒子の総質量に対して、被覆リン酸鉄リチウムの含有量は50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。100質量%でもよい。
本明細書における正極活物質粒子の群の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定器を用いて測定した体積基準のメジアン径である。
正極活物質層12における結着材の含有量は、例えば、正極活物質層12の総質量に対して、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。結着材の含有量が上記上限値以下であれば、正極活物質層12において、リチウムイオンの伝導に寄与しない物質の割合が少なくなり、正極活物質層12の真密度を高めて、さらに、正極1の表面を覆う結着材の割合が少なくなり、リチウムの伝導性をより高めることで、高レートサイクル特性のさらなる向上を図れる。
正極活物質層12が結着材を含有する場合、結着材の含有量の下限値は、正極活物質層12の総質量に対して0.1質量%以上が好ましい。
正極活物質層12における導電助剤の含有量は、例えば、正極活物質層12の総質量に対して、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下がさらに好ましく、0質量%(即ち、導電助剤を含まない)が特に好ましい。導電助剤の含有量が上記上限値以下であれば、正極活物質層12において、リチウムイオンの伝導に寄与しない物質の割合が少なくなり、正極活物質層12の真密度を高めて、高レートサイクル特性のさらなる向上を図れる。
正極活物質層12に導電助剤を配合する場合、導電助剤の下限値は、導電助剤の種類に応じて適宜決定され、例えば、正極活物質層12の総質量に対して0.1質量%超とされる。
なお、正極活物質層12が「導電助剤を含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、本発明の効果に影響を及ぼさない程度に含むものを排除するものではない。例えば、導電助剤の含有量が正極活物質層12の総質量に対して0.1質量%以下であれば、実質的に含まれないと判断できる。
集電体本体14を構成する材料としては、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性を有する金属が例示できる。
集電体本体14の厚みは、例えば、8μm~40μmが好ましく、10μm~25μmがより好ましい。
集電体本体14の厚みおよび正極集電体11の厚みは、マイクロメータを用いて測定できる。測定器の一例としてはミツトヨ社製品名「MDH-25M」が挙げられる。
集電体被覆層15は導電材料を含む。
集電体被覆層15中の導電材料は、炭素を含むことが好ましく、炭素のみからなる導電材料がより好ましい。
集電体被覆層15は、例えば、カーボンブラック等の炭素粒子と結着材を含むコーティング層が好ましい。集電体被覆層15の結着材は、正極活物質層12の結着材と同様のものを例示できる。
集電体本体14の表面を集電体被覆層15で被覆した正極集電体11は、例えば、導電材料、結着材、および溶媒を含むスラリーを、グラビア法等の公知の塗工方法を用いて集電体本体14の表面に塗工し、乾燥して溶媒を除去する方法で製造できる。
集電体被覆層15の厚さは、集電体被覆層の断面の電子顕微鏡(SEM、TEM)像における被覆層の厚さを計測する方法で測定できる。集電体被覆層15の厚さは均一でなくてもよい。正極集電体本体14の表面の少なくとも一部に厚さ0.1μm以上の集電体被覆層15が存在し、集電体被覆層15の厚さの最大値が4.0μm以下であることが好ましい。
本実施形態の正極1は、例えば、正極活物質、結着材、および溶媒を含む正極製造用組成物を、正極集電体11上に塗工し、乾燥し溶媒を除去して正極活物質層12を形成する方法で製造できる。正極製造用組成物は導電助剤を含んでもよい。
正極集電体11上に正極活物質層12を形成した積層物を、2枚の平板状冶具の間に挟み、厚み方向に均一に加圧する方法で、正極活物質層12の厚みを調整できる。例えば、ロールプレス機を用いて加圧する方法を使用できる。
正極1が正極集電体本体14と正極活物質層12とからなる場合、正極1から正極集電体本体14を除いた残部の質量は、正極活物質層12の質量である。
正極1が正極集電体本体14と集電体被覆層15と正極活物質層12とからなる場合、正極1から正極集電体本体14を除いた残部の質量は、集電体被覆層15と正極活物質層12の合計質量である。
正極活物質層12の総質量に対して、導電性炭素の含有量が上記の範囲内であると、電池容量をより改善し、より優れたサイクル特性を有する非水電解質二次電池を実現できる。
正極1から正極集電体本体14を除いた残部の質量に対する導電性炭素の含有量は、正極集電体本体14上に存在する層の全量を剥がして120℃環境で真空乾燥させた乾燥物(粉体)を測定対象として、下記≪導電性炭素含有量の測定方法≫で測定できる。
下記≪導電性炭素含有量の測定方法≫で測定した導電性炭素の含有量は、活物質被覆部中の炭素と、導電助剤中の炭素と、集電体被覆層15中の炭素を含む。結着材中の炭素は含まれない。
まず、正極1を任意の大きさに打ち抜き、溶剤(例えば、N-メチルピロリドン)に浸漬して攪拌する方法で、正極集電体本体14上に存在する層(粉体)を完全に剥がす。次いで、正極集電体本体14に粉体が付着していないことを確認し、正極集電体本体14を溶剤から取り出し、剥がした粉体と溶剤を含む懸濁液(スラリー)を得る。得られた懸濁液を120℃で乾燥して溶剤を完全に揮発させ、目的の測定対象物(粉体)を得る。
[測定方法A]
測定対象物を均一に混合して試料(質量w1)を量りとり、下記の工程A1、工程A2の手順で熱重量示唆熱(TG-DTA)測定を行い、TG曲線を得る。得られたTG曲線から下記第1の重量減少量M1(単位:質量%)及び第2の重量減少量M2(単位:質量%)を求める。M2からM1を減算して導電性炭素の含有量(単位:質量%)を得る。
工程A1:300mL/分のアルゴン気流中において、10℃/分の昇温速度で30℃から600℃まで昇温し、600℃で10分間保持したときの質量w2から、下記式(a1)により第1の重量減少量M1を求める。
M1=(w1-w2)/w1×100 (a1)
工程A2:前記工程A1の直後に600℃から10℃/分の降温速度で降温し、200℃で10分間保持した後に、測定ガスをアルゴンから酸素へ完全に置換し、100mL/分の酸素気流中において、10℃/分の昇温速度で200℃から1000℃まで昇温し、1000℃にて10分間保持したときの質量w3から、下記式(a2)により第2の重量減少量M2(単位:質量%)を求める。
M2=(w1-w3)/w1×100 (a2)
測定対象物を均一に混合して試料を0.0001mg精秤し、下記の燃焼条件で試料を燃焼し、発生した二酸化炭素をCHN元素分析装置により定量し、試料に含まれる全炭素量M3(単位:質量%)を測定する。また、前記測定方法Aの工程A1の手順で第1の重量減少量M1を求める。M3からM1を減算して導電性炭素の含有量(単位:質量%)を得る。
[燃焼条件]
燃焼炉:1150℃
還元炉:850℃
ヘリウム流量:200mL/分
酸素流量:25~30mL/分
上記測定方法Bと同様にして、試料に含まれる全炭素量M3(単位:質量%)を測定する。また、下記の方法で結着材由来の炭素の含有量M4(単位:質量%)を求める。M3からM4を減算して導電性炭素の含有量(単位:質量%)を得る。
結着材がポリフッ化ビニリデン(PVDF:モノマー(CH2CF2)の分子量64)である場合は、管状式燃焼法による燃焼イオンクロマトグラフィーにより測定されたフッ化物イオン(F-)の含有量(単位:質量%)、PVDFを構成するモノマーのフッ素の原子量(19)、及びPVDFを構成する炭素の原子量(12)から以下の式で計算することができる。
PVDFの含有量(単位:質量%)=フッ化物イオンの含有量(単位:質量%)×64/38
PVDF由来の炭素の含有量M4(単位:質量%)=フッ化物イオンの含有量(単位:質量%)×12/19
結着材がポリフッ化ビニリデンであることは、試料、又は試料をN-Nジメチルホルムアミド(DMF)溶媒により抽出した液体をフーリエ変換赤外スペクトル(FT-IR)測定し、C-F結合由来の吸収を確認する方法で確かめることができる。同様に19F-NMR測定でも確かめることができる。
結着材がPVDF以外と同定された場合は、その分子量に相当する結着材の含有量(単位:質量%)および炭素の含有量(単位:質量%)を求めることで、結着材由来の炭素量M4を算出できる。
これらの手法は下記複数の公知文献に記載されている。
東レリサーチセンター The TRC News No.117 (Sep.2013)第34~37頁、[2021年2月10日検索]、インターネット<https://www.toray-research.co.jp/technical-info/trcnews/pdf/TRC117(34-37).pdf>。
東ソー分析センター 技術レポート No.T1019 2017.09.20、[2021年2月10日検索]、インターネット<http://www.tosoh-arc.co.jp/techrepo/files/tarc00522/T1719N.pdf>。
正極活物質の活物質被覆部を構成する導電性炭素と、導電助剤である導電性炭素は、以下の分析方法で区別できる。
例えば、正極活物質層中の粒子を透過電子顕微鏡電子エネルギー損失分光法(TEM-EELS)により分析し、粒子表面近傍にのみ290eV付近の炭素由来のピークが存在する粒子は正極活物質であり、粒子内部にまで炭素由来のピークが存在する粒子は導電助剤と判定することができる。
他の方法としては、正極活物質層中の粒子をラマン分光によりマッピング解析し、炭素由来のG-bandとD-band、及び正極活物質由来の酸化物結晶のピークが同時に観測された粒子は正極活物質であり、G-bandとD-bandのみが観測された粒子は導電助剤と判定することができる。なお、不純物として考えられる微量な炭素や、製造時に正極活物質の表面から意図せず剥がれた微量な炭素等は、導電助剤と判定しない。
これらの方法を用いて、炭素材料からなる導電助剤が正極活物質層に含まれるか否かを確認することができる。
リチウムイオン電池の場合、複素インピーダンスの高周波数域は電子電導がその特性を担う。その領域では、正極活物質、負極活物質、集電体表面被膜などの、集電体金属以外の物性の影響がなくなったところで複素インピーダンスの虚部部分の符号が反転する。より高周波数域まで正極活物質、負極活物質、集電体表面被膜の影響を受ける場合は、それらの成分が多いことを意味する。したがって、一般に、より抵抗の低い特性を示すリチウムイオン電池は、より低周波域で複素インピーダンスの虚部部分の符号が反転する。発明者等は、これらの抵抗成分のうち、正極集電体表面の酸化被膜による抵抗成分の寄与が最も大きいことを見出した。
本実施形態の正極1が、複素インピーダンスの虚部成分がより低周波数域で符号を変えるようにするには、正極集電体本体14の表面の酸化被膜による抵抗成分が低減するよう、正極集電体本体14の表面に集電体被覆層15形成することにより調整できる。これは、正極集電体本体14の表面への炭素被膜および正極活物質層12におけるリチウムイオンの伝導に寄与しない成分(例えば、導電材料)の種類と配合量とにより調節できる。
具体的には、例えば、正極集電体本体14の表面に厚さ1μm以下の炭素材料からなる集電体被覆層15を形成することにより、複素インピーダンスの特性を調整することができる。
また、高周波インピーダンス測定により測定した複素インピーダンスの虚部成分が符号を変える周波数F(Hz)を確認する方法は、高周波インピーダンス測定により得られたCole-coleプロットから、複素インピーダンスの虚部成分が符号を変える周波数を読み取る方法、高周波インピーダンス測定により得られた複素インピーダンスの虚部成分と周波数との関係を示すグラフを作成して、複素インピーダンスの虚部成分が符号を変える周波数を読み取る方法等が挙げられる。
正極1において、正極活物質層12の正極集電体11とは反対側の面の面積S(m2)は、正極活物質層12の塗工されている領域の各辺を定規等により測定し、面積Sを算出して得られる。より具体的には、正極集電体11の両面に正極活物質層12が形成されている場合は、電池組み立て前の段階では、積層体の場合は正極活物質層12の表面両面の面積を算出したあと枚数を乗算して得られ、捲回体の場合は正極活物質層12の幅と捲回する長さを乗算しさらに2倍して得られる。組み立て後の段階では、電池を解体し、正極活物質層12をセパレータ、負極活物質層から分離してから前記同様にして面積を求めることができる。
図2に示す本実施形態の非水電解質二次電池10は、本実施形態の非水電解質二次電池用正極1と、負極3と、非水電解質とを備える。さらにセパレータ2を備えてもよい。図中符号5は外装体である。
本実施形態において、正極1は、板状の正極集電体11と、その両面上に設けられた正極活物質層12と有する。正極活物質層12は正極集電体11の表面の一部に存在する。正極集電体11の表面の縁部は、正極活物質層12が存在しない正極集電体露出部13である。正極集電体露出部13の任意の箇所に、図示しない端子用タブが電気的に接続する。
負極3は、板状の負極集電体31と、その両面上に設けられた負極活物質層32とを有する。負極活物質層32は負極集電体31の表面の一部に存在する。負極集電体31の表面の縁部は、負極活物質層32が存在しない負極集電体露出部33である。負極集電体露出部33の任意の箇所に、図示しない端子用タブが電気的に接続する。
正極1、負極3およびセパレータ2の形状は特に限定されない。例えば平面視矩形状でもよい。
図2では、代表的に、負極/セパレータ/正極/セパレータ/負極の順に積層した構造を示しているが、電極の数は適宜変更できる。正極1は1枚以上あればよく、得ようとする電池容量に応じて任意の数の正極1を用いることができる。負極3およびセパレータ2は、正極1の数より1枚多く用い、最外層が負極3となるように積層する。
負極活物質層32は負極活物質を含む。さらに結着材を含んでもよい。さらに導電助剤を含んでもよい。負極活物質の形状は、粒子状が好ましい。
負極3は、例えば、負極活物質、結着材、および溶媒を含む負極製造用組成物を調製し、これを負極集電体31上に塗工し、乾燥し溶媒を除去して負極活物質層32を形成する方法で製造できる。負極製造用組成物は導電助剤を含んでもよい。
負極活物質が前記のものであれば、負極活物質層32は正極活物質層12よりもインピーダンスが低いため、本発明による効果に負極活物質は影響しない。しかし、シリコン負極活物質を用いるなど抵抗成分が高い場合は、負極活物質の粒径、導電助剤の量などの最適化により抵抗を低減し、正極活物質層12の抵抗よりも、負極活物質層32の抵抗が低い状態とすることが好ましい。
セパレータ2を負極3と正極1との間に配置して短絡等を防止する。セパレータ2は、後述する非水電解質を保持してもよい。
セパレータ2としては、特に限定されず、多孔性の高分子膜、不織布、ガラスファイバー等が例示できる。
セパレータ2の一方または両方の表面上に絶縁層を設けてもよい。絶縁層は、絶縁性微粒子を絶縁層用結着材で結着した多孔質構造を有する層が好ましい。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、モノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、ポリフェノール系酸化防止剤等のフェノール系酸化防止剤;ヒンダードアミン系酸化防止剤;リン系酸化防止剤;イオウ系酸化防止剤;ベンゾトリアゾール系酸化防止剤;ベンゾフェノン系酸化防止剤;トリアジン系酸化防止剤;サルチル酸エステル系酸化防止剤等が例示できる。フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が好ましい。
非水電解質は正極1と負極3との間を満たす。例えば、リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタ等において公知の非水電解質を使用できる。
非水電解質として、有機溶媒に電解質塩を溶解した非水電解液が好ましい。
本実施形態の非水電解質二次電池の使用形態は特に限定されない。例えば、複数個の非水電解質二次電池を直列または並列に接続して構成した電池モジュール、電気的に接続した複数個の電池モジュールと電池制御システムとを備える電池パック、電気的に接続した複数個の電池モジュールと電池制御システムとを備える電池システム等に用いることができる。
本実施形態の非水電解質二次電池用正極の評価方法は、上述の実施形態の非水電解質二次電池用正極の評価方法であって、非水電解質二次電池用正極と、負極と、非水電解質二次電池用正極と負極との間に存在する非水電解質とを備える非水電解質二次電池とした場合に、高周波インピーダンス測定により測定した複素インピーダンスの虚部成分が符号を変える周波数をF(Hz)、前記正極活物質層の前記正極集電体とは反対側の面の面積をS(m2)、周波数Fでの複素インピーダンスの実部をR(Ω)としたとき、F×S×R(m2Ω/s)の値(FSR)により、任意の温度における放電時の電位降下を評価する方法である。
FSRは、10以下が好ましく、5以下がより好ましい。
FSRを求める温度域は、非水電解質二次電池に求める温度適正に応じて決定でき、例えば、-30~25℃の間で選択される。
本実施形態の非水電解質二次電池用正極の評価方法において、任意の温度においてFSRが低減できることを確認できれば、その非水電解質二次電池電極は、前記任意の温度における放電時の電位降下が抑制されると評価できる。即ち、任意の温度における非水電解質二次電池のFSRを低減する設計とすることで、その非水電解質二次電池について前記任意の温度における電位降下を抑制できる。
また、任意の温度におけるFSRを低減できることを確認することで、正極以外の部材(負極、非水電解液質等)が前記任意の温度における電位降下を抑制できると評価できる。
エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)とジエチルカーボネート(DEC)を混合した溶媒に、電解質を溶解して、非水電解液を調製する。
上述の実施形態の非水電解質二次電池用正極と、上述の負極とを、セパレータを介して交互に積層し、最外層が負極である電極積層体を作製する。
電極積層体の正極集電体露出部および負極集電体露出部のそれぞれに、端子用タブを電気的に接続し、端子用タブが外部に突出するように、アルミラミネートフィルムで電極積層体を挟み、三辺をラミネート加工して封止する。
続いて、封止せずに残した一辺から非水電解液を注入し、真空封止して非水電解質二次電池(ラミネートセル)を製造する。
[高周波インピーダンス測定]
下記のようにして、非水電解質二次電池の高周波インピーダンスを測定した。
非水電解質二次電池を恒温槽にて、-30℃~25℃の低温環境に配置した。この状態で、Bio Logic社製の高周波インピーダンスアナライザー(VMP-300)により、非水電解質二次電池の高周波インピーダンスを測定した。測定周波数範囲は1MHz~1Hz、データ取得ステップは20点/10Hz(対数スケール)、印加電圧10mV、電流レンジは自動設定とした。
高周波インピーダンス測定の結果から、複素インピーダンスの虚部成分の反転周波数(F)を得た。具体的には、高周波インピーダンス測定により得られたCole-coleプロットから、複素インピーダンスの虚部成分が符号を変える周波数を読み取る方法、または、高周波インピーダンス測定により得られた複素インピーダンスの虚部成分と周波数との関係を示すグラフから、複素インピーダンスの虚部成分が符号を変える周波数を読み取る方法から複素インピーダンスの虚部成分の反転周波数(F)を得た。
また、反転周波数(F)での複素インピーダンスの実部R(Ω)を得た。具体的には、Cole-coleプロットから、もしくは高周波インピーダンス測定により得られた複素インピーダンスの虚部成分と周波数との関係を示すグラフから、反転周波数(F)での複素インピーダンスの実部R(Ω)を得た。
下記のようにして、非水電解質二次電池のIRドロップを測定した。
1Ahセルを100%SOCから1Cで放電した際の、放電前(0mAh)の電位から1mAh放電後の電位を差し引いた電圧を算出し、IRドロップとした。
下記のようにして、正極活物質層の正極集電体とは反対側の面の面積S(m2)を測定した。
具体的には、正極活物質合材層の塗工されている領域の各辺を定規等により測定し、面積Sを算出した。
負極活物質である人造黒鉛100質量部と、結着材であるスチレンブタジエンゴム1.5質量部と、増粘材であるカルボキシメチルセルロースNa1.5質量部と、溶媒である水とを混合し、固形分50質量%の負極製造用組成物を得た。
得られた負極製造用組成物を、銅箔(厚さ8μm)の両面上にそれぞれ塗工し、100℃で真空乾燥した後、2kNの荷重で加圧プレスして負極シートを得た。得られた負極シートを、42mm角の電極形状に打ち抜き、負極とした。
正極活物質としては、リン酸鉄リチウム(平均粒子径1.0μm)を用いた。
導電助剤を用いなかった。
まず、以下の方法で正極集電体本体の表裏両面を集電体被覆層で被覆して正極集電体を作製した。正極集電体本体としてはアルミニウム箔(厚さ15μm)を用いた。
次いで、以下の方法で正極活物質層を形成した。
リン酸鉄リチウム100質量部と、結着材であるポリフッ化ビニリデン0.5質量部と、溶媒であるNMPとを、ミキサーにて混合して正極製造用組成物を得た。溶媒の使用量は、正極製造用組成物を塗工するのに必要な量とした。
正極集電体の両面上に、それぞれ正極製造用組成物を塗工し、予備乾燥後、120℃で真空乾燥して正極活物質層を形成した。
得られた積層物を10kNの荷重で加圧プレスして正極シートを得た。
得られた正極シートを、125mm×82mmの電極形状に打ち抜き、正極とした。
エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)とジエチルカーボネート(DEC)を、EC:PC:DECの体積比が30:5:65となるように混合した溶媒に、電解質としてLiPF6を1モル/リットルとなるように溶解して、非水電解液を調製した。
本例で得た正極と、製造例1で得た負極とを、セパレータを介して交互に積層し、最外層が負極である電極積層体を作製した。セパレータとしては、ポリオレフィンフィルム(厚さ20μm)を用いた。
電極積層体を作製する工程では、まず、セパレータと正極とを積層し、その後、セパレータ上に負極を積層した。
電極積層体の正極集電体露出部および負極集電体露出部のそれぞれに、端子用タブを電気的に接続し、端子用タブが外部に突出するように、アルミラミネートフィルムで電極積層体を挟み、三辺をラミネート加工して封止した。
続いて、封止せずに残した一辺から非水電解液を注入し、真空封止して非水電解質二次電池(ラミネートセル)を製造した。非水電解質二次電池の容量を1.7Ahとした。非水電解質二次電池の正極活物質層の表面の面積は片面単層で125mm×82mmであり、電極積層体の両面に正極活物質層を形成し、正極活物質層が両面に形成された電極積層体を4枚用いたため、正極活物質層の表面の総面積は0.08m2であった。
図3~図6、表1および表2に示す結果から、-30℃および25℃において、高周波数域の抵抗が低く、低周波数域で複素インピーダンスの虚部成分の符号が反転している(符号を変えている)ことが分かった。また、-30℃および25℃において、FSRが10を下回っており、高周波数域の抵抗が低減し、電池内部の抵抗成分のうち電子電導由来の成分が低減されていることが分かった。
図7に示す結果から、非水電解質二次電池を-30℃、1Cにて放電した初期のIRドロップを測定したところ、0.83Vであった。この温度領域としては電位降下が低い状態であった。
カーボンブラックの添加量を0.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の非水電解質二次電池を作製した。
実施例2の非水電解質二次電池の高周波インピーダンス測定を行った。結果を、表1および表2に示す。その結果、カーボンブラックに起因する抵抗が若干の加わるものの、FSRは概ね実施例1と同程度であった。
また、実施例1の非水電解質二次電池のIRドロップを測定した。結果を、図7に示す。
図7に示す結果から、実施例2の非水電解質二次電池を-30℃、1Cにて放電した初期のIRドロップを測定したところ、0.86Vであり、概ね実用領域であった。
非水電解質二次電池の容量を10Ahとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の非水電解質二次電池を作製した。セルの正極活物質層の表面の面積は片面単層で132mm×92mmであり、電極積層体の両面に正極活物質層を形成し、正極活物質層が両面に形成された電極積層体を19枚用いたため、正極活物質層の表面の総面積は0.47m2であった。
実施例3の非水電解質二次電池の高周波インピーダンス測定を行った。結果を、図8~図11、表1および表2に示す。図8は、-30℃における複素インピーダンスのCole-coleプロットを示す図である。図9は、-30℃における複素インピーダンスの虚部成分と周波数との関係を示す図である。図10は、25℃における複素インピーダンスのCole-coleプロットを示す図である。図11は、25℃における複素インピーダンスの虚部成分と周波数との関係を示す図である。
図8~図11、表1および表2に示す結果から、-30℃および25℃において、高周波数域の抵抗が低く、低周波数域で複素インピーダンスの虚部成分の符号が反転していることが分かった。また、抵抗成分がより低減し、FSRが実施例1の半分程度に低下した。
また、実施例3の非水電解質二次電池を-30℃、1Cにて放電した初期のIRドロップを測定したところ、0.83Vであり、この温度領域としては電位降下が低い状態であった。
正極集電体本体の表裏両面に集電体被覆層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の非水電解質二次電池を作製した。
比較例1の非水電解質二次電池の高周波インピーダンス測定を行った。結果を、図12~図15、表1および表2に示す。図12は、-30℃における複素インピーダンスのCole-coleプロットを示す図である。図13は、-30℃における複素インピーダンスの虚部成分と周波数との関係を示す図である。図14は、25℃における複素インピーダンスのCole-coleプロットを示す図である。図15は、25℃における複素インピーダンスの虚部成分と周波数との関係を示す図である。
図12~図15、表1および表2に示す結果から、25℃では高周波数域の抵抗が低く、低周波数域で複素インピーダンスの虚部成分の符号が反転しているが、-30℃では、2800kHzで複素インピーダンスの虚部成分の符号が反転していることが分かった。これは、低周波数域において、正極集電体本体の表面の酸化膜に由来する抵抗成分が加わっていることを示している。-30℃および25℃において、高周波インピーダンスが共に上昇し、-30℃におけるFSRは27.9、25℃におけるFSRは12.5であった。
また、比較例1の非水電解質二次電池のIRドロップを測定した。結果を、図7に示す。
図7に示す結果から、比較例1の非水電解質二次電池を-30℃、1Cにて放電した初期のIRドロップを測定したところ、0.96Vであった。この値は、実施例1,2よりも明らかに大きく、1C以上のレートではさらに大きな電位降下が発生することになり、低温域での実用に供されないことが分かった。
FSRが10を超えた場合には、高周波数域に大きな抵抗成分が加わったことがIRドロップの増大の原因であると考えられる。
非水電解質二次電池の容量を10Ahとしたこと以外は比較例1と同様にして、比較例2の非水電解質二次電池を作製した。比較例2の非水電解質二次電池の高周波インピーダンス測定を行った。結果を、図16~図19、表1および表2に示す。図16は、-30℃における複素インピーダンスのCole-coleプロットを示す図である。図17は、-30℃における複素インピーダンスの虚部成分と周波数との関係を示す図である。図18は、25℃における複素インピーダンスのCole-coleプロットを示す図である。図19は、25℃における複素インピーダンスの虚部成分と周波数との関係を示す図である。
図16~図19、表1および表2に示す結果から、-30℃におけるFSRは94.8、25℃におけるFSRは18.3であった。
また、比較例2の非水電解質二次電池のIRドロップを測定した。その結果、比較例2の非水電解質二次電池を-30℃、1Cにて放電した初期のIRドロップを測定したところ、0.96Vであり、比較例1と同様に、高周波数域に大きな抵抗成分が加わっていた。
比較例2の非水電解質二次電池は、容量が大きくなり面積が変わっても、FSRが比較例1と同様の数値であり、正極集電体本体の表面の電子抵抗を適切に表していることが分かった。
2 セパレータ
3 負極
5 外装体
10 二次電池
11 正極集電体
12 正極活物質層
13 正極集電体露出部
14 集電体本体
15 集電体被覆層
31 負極集電体
32 負極活物質層
33 負極集電体露出部
Claims (10)
- 正極集電体と、前記正極集電体上に存在する正極活物質を含む正極活物質層とを有する非水電解質二次電池用正極であって、
前記非水電解質二次電池用正極と、負極と、前記非水電解質二次電池用正極と前記負極との間に存在する非水電解質とを備える、非水電解質二次電池とした場合に、高周波インピーダンス測定により測定した複素インピーダンスの虚部成分が符号を変える周波数をF(Hz)、前記正極活物質層の前記正極集電体とは反対側の面の面積をS(m2)、周波数Fでの複素インピーダンスの実部をR(Ω)としたとき、F×S×R(m2Ω/s)が10以下である、非水電解質二次電池用正極。 - -30℃~25℃の温度域で、前記F×S×R(m2Ω/s)が10以下である、請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極。
- 25℃で、前記F×S×R(m2Ω/s)が5以下である、請求項2に記載の非水電解質二次電池用正極。
- 前記正極活物質層は、導電助剤を含まない、請求項1~3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極。
- 前記正極活物質が、一般式LiFexM(1-x)PO4(式中、0≦x≦1、MはCo、Ni、Mn、Al、TiまたはZrである。)で表される化合物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極。
- 前記正極活物質は、リン酸鉄リチウムである、請求項5に記載の非水電解質二次電池用正極。
- 前記正極集電体は、正極集電体本体と、前記正極集電体本体の前記正極活物質層側の表面に存在する集電体被覆層とを有し、
前記正極集電体本体がアルミニウム箔であり、前記集電体被覆層が炭素を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極。 - 前記正極集電体本体の前記正極活物質層側の表面における前記集電体被覆層の面積被覆率が10%以上である、請求項7に記載の非水電解質二次電池用正極。
- 請求項1~8のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極と、負極と、前記非水電解質二次電池用正極と前記負極との間に存在する非水電解質とを備える、非水電解質二次電池。
- 請求項9に記載の非水電解質二次電池の複数個を備える、電池モジュール、電池パック、または定置用蓄電池システム。
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