JP7194145B2 - 抵抗器用の合金及び抵抗器用合金の抵抗器への使用 - Google Patents
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Description
また、ニッケル-クロム系の合金に比べて加工性に優れる合金を提供することをも目的とする。
抵抗体用合金のビッカース硬度は200HV以下であることが好ましい。スズを0.5質量%以下、または、鉄を0.5質量%以下含むようにしても良い。
本発明は、上記に記載の抵抗体用合金の抵抗器への使用であっても良い。
本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態による銅-マンガン-ニッケル合金の相図である。
図1には、本発明による抵抗合金を特徴付ける黒塗りの領域Rを示しており、領域Rにおけるマンガンの質量分率は33%から38%であり、領域Rにおけるニッケルの質量分率は8%から15%である。残りは銅である。
ニッケルの一部を、スズ0~0.5質量%、または、鉄0~0.5質量%、に置き換えても良い。
図2に示すように、抵抗器用の合金の評価用サンプルXは、両端の電極部(電流を流す部分)1,3と、電極部1,3間に延在する抵抗体5と、抵抗体5の両端よりも中央側の電圧検出部7,9とを有している。電極部1,3間の距離は50mmであり、電圧検出部7,9間の距離は20mmである。
1)原材料を秤量する。
2)1)の材料を溶解する。
3)冷間圧延機により所定の厚みのフープ材にする。
4)真空・ガス置換炉で、N2雰囲気で500~700℃、1~2時間の熱処理を行う。
5)フープ材より、プレス加工により図2の形状の抵抗体サンプルを作成する。
6)真空・ガス置換炉で、N2雰囲気で200~400℃、1~4時間の熱処理(低温熱処理)を行う。
(適正条件)
1)比抵抗が117~143μΩ・cmである。
2)抵抗温度係数(TCR)は、±30ppm/kである。
3)対銅熱起電力は±2.5μV/K以内である。
4)ニッケルークロム合金、鉄-クロム合金よりも小さなビッカース硬度(200HV以下)であり、加工がしやすい合金である。ビッカース硬度は、200HVより大きい場合、例えば圧延加工の際にヒビが入ることがあり、これを防止するために熱処理が必要になる等の対策が必要になる。ビッカース硬度は、170HV以下とすることがより好ましい。また、プレス性や機械強度等から、ビッカース硬度は100HV以上であることが好ましい。また、シート抵抗を高くすることができる。
表1によれば、サンプル1から7までは、比抵抗が115μΩ・cm以下であることから、少なくとも上記の適正条件1)を満たさない。サンプル8は、上記適正条件2)を満たさない。
サンプル10,11は、上記適正条件のうち3)を満たさない。
サンプル12から14までは、上記適正条件1)から4)までを全て満たすため、抵抗体用の合金として適用可能な組成であることがわかる。
サンプル16から19までは、上記適正条件1)から4)までを全て満たすため、抵抗体用の合金として適用可能な組成であることがわかる。
サンプル20は、上記適正条件のうち2)を満たさない。
サンプル21は、上記適正条件1)から4)までを全て満たすため、抵抗体用の合金として適用可能な組成であることがわかる。
サンプル22,23は、上記適正条件のうち1)、または2)を満たさない。
より詳細には、適切な条件を得られる組成は、マンガンが33~38(質量%)でニッケルが8~13(質量%)、マンガンが35~37(質量%)でニッケルが8~12(質量%)、マンガンが34~37(質量%)でニッケルが9~11(質量%)、マンガンが35~38(質量%)でニッケルが9~15(質量%)であっても良い。
尚、Feを0~0.5(質量%)、または、Snを0~0.5(質量%)加えても良い。
比較例1では、Crが20(質量%)、Niが残り全てである。この比較例1では、上記適正条件1)から4)までを満たさない。
比較例3では、Crが25(質量%)、Alが5(質量%)、Feが残り全てでNiある。この場合には、上記の適正条件1)から3)までは満たすが、適正条件4)を満たさない。
このことから、本実施の形態による合金は、適正条件1)から4)までの全てを満たし、比較例の合金に比べて電気特性面で遜色なく、特に、本実施の形態の方が、加工性が良いことがわかる。
1)組成
マンガンが23~28(質量%)、Niが9~13(質量%)、Snが最大で3である。残りは銅である。
そして、特性は以下の通りである。
比抵抗: 50μΩ・cm~200μΩ・cm
TCR:20℃から110℃の範囲でΔRが第2の0公差を持つ。
対銅熱起電力: ±1.0μV/K
特に、本実施の形態の方が、比抵抗を高くすることができることがわかる。
以上に説明したように、本実施の形態による抵抗体用の合金を用いると、130μΩ・cm程度の高い比抵抗(具体的には117~143 μ Ω・cmの比抵抗)を実現させ、かつ、ニッケル-クロム合金、鉄-クロム系合金に比べて加工性を改善させた抵抗合金を提供することができる。
比抵抗が低い抵抗材料を使ってシャント抵抗器を設計する場合、高抵抗側のシャント抵抗器を作成しようとすると、抵抗体を薄くしたり、抵抗体の長さが必要になったり等、設計上の制約になることがある。しかし、このような場合でも、本実施の形態によれば、高い比抵抗の抵抗体を使うことで、シャント抵抗器の設計上の自由度を確保することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図3は、本発明の第1の実施の形態による抵抗器用の合金を用いたシャント抵抗器の一構成例を示す斜視図である。
図3に示すシャント抵抗器Aは、プレス等により個片状の抵抗体11を作成し、その両端にCuの電極15a,15bを突合せ溶接した構造である。
抵抗体11と電極15a,15bは、EB(電子ビーム)溶接、LB(レーザービーム)溶接等で接合することができる。図3に示すシャント抵抗器Aは、比較的大型のシャント抵抗であり、一個ずつ作ることがある。抵抗体の材料は、第1の実施の形態で説明したマンガンが33~38(質量%)、Niが8~15(質量%)、残りは銅であるものを用いることができる。その他、第1の実施の形態で説明した合金を、目的に応じて使用することができる。
また、高比抵抗の抵抗合金を使用することで、電極として使われるCuの抵抗器全体におけるTCRの寄与を相対的に小さくすることができる。このため、抵抗合金の特性を活かしたシャント抵抗器を実現することができる。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。抵抗体と電極を接合した長尺状の接合材を作成して、打ち抜き切断して製造する例である。これにより、比較的小型のシャント抵抗器を大量生産することができる。
以下に、そのような製造工程の一例を示す。図4Aから図4Fまでは、本実施の形態によるシャント抵抗器の製造工程の一例を示す図である。
図4Bに示すように、抵抗材21の両側に第1の電極材25a、第2の電極材25bを配置する。
抵抗材21と電極材25a、25bとの厚さの差により、抵抗値を調整することもできる。また、後述する段差(Δh2)を形成することができる。接合位置により、抵抗値や形状に関する種々の調整を行うことも可能である。
また、高比抵抗の抵抗合金を使用することで、電極として使われるCuの抵抗器全体におけるTCRの寄与を相対的に小さくすることができる。このため、抵抗合金の特性を活かしたシャント抵抗器を実現することができる。
上記の実施の形態において、図示されている構成等については、これらに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれるものである。
1,3 両端の電極部(電流を流す部分)
5 抵抗体
7,9 電圧検出部
A シャント抵抗器
11 個片状の抵抗体
15a,15b 電極
21 長尺の平板状等の抵抗材
25a 長尺の平板状の第1の電極材
25b 長尺の平板状の第2の電極材
35b 電極の切り離されていない他端側
43a,43b 溶接痕
Claims (4)
- 銅とマンガンとニッケルを含む抵抗体用の合金であって、
マンガンが33~38質量%であり、
ニッケルが8~15質量%であり、
残りは銅であり、
比抵抗が、117~143μΩ・cmである
抵抗体用合金。 - ビッカース硬度が200HV以下である請求項1に記載の抵抗体用合金。
- 前記ニッケルの一部をスズまたは鉄で置き換えた抵抗体用合金であって、
スズを0.5質量%以下、または、鉄を0.5質量%以下含む、
請求項1又は2に記載の抵抗体用合金。 - 請求項1から3までのいずれか1項に記載の抵抗体用合金の抵抗器への使用。
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