JP7192532B2 - 電子部品包装用のカバーテープおよび電子部品包装体 - Google Patents
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Description
具体的には、キャリアテープに形成された電子部品収納用の凹部に、電子部品(半導体チップ等)を入れ、その後、そのキャリアテープの上面に、カバーテープをヒートシールして電子部品を封入する。そして、それをリール状に巻き取って運搬/保管する。
特許文献1の請求項1には、このカバーテープは、基材層の接着層とは反対側の面に帯電防止層を有する旨が記載されている。また、特許文献1の請求項4には、前述の帯電防止層は、バインダー成分として、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、エチレン-酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂及びこれらの組合せからなる群から選択される熱可塑性樹脂を含有する旨が記載されている。
例えば、封入された電子部品の検査を容易とするため(封入された電子部品の視認性を良好とするため)、カバーテープの意図せぬ着色や色変化の抑制が求められる場合がある。
また、電子部品の破壊防止の観点から、静電気の帯電が少ないこと、カバーテープ表面(具体的には、キャリアテープとヒートシールする面とは反対側の面)の表面抵抗値が小さいこと等が求められる場合がある。
電子部品包装用のカバーテープであって、
ポリエステル樹脂を含む基材層と、シーラント層とを備え、
さらに、前記基材層の前記シーラント層とは反対側の面に、ポリオールとポリイソシアネートの縮合物と、帯電防止剤と、酸化防止剤とを含む帯電防止層を備え、
当該帯電防止層の厚みは1μm以下であるカバーテープ
が提供される。
電子部品が凹部に収容されたキャリアテープと、
上記カバーテープとを備え、
前記電子部品を封止するように前記シーラント層が前記キャリアテープに接着された電子部品包装体
が提供される。
図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応しない。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
図1は、本実施形態の電子部品包装用のカバーテープ(カバーテープ1)の層構成を模式的に示した図である。
なお、以下、ポリオールとポリイソシアネートの縮合物のことを、単に「縮合物」とも表記する。
さらに、カバーテープ1が上記中間層12を備える場合、基材層14と中間層12の間に、接着層13が設けられていてもよい。
この理由は以下のように説明することができる。なお、以下説明は推測を含み、また、以下説明により本発明の範囲が限定されるものでもない。
シーラント層11は、典型的には、熱可塑性樹脂を含む。シーラント層11を構成するに際して適切な素材を選択することで、低タック性、良好な滑り性、十分に強いシール強度などを得ることができる。
アンチモンドーピング酸化錫は、イオンドーピング法により、酸化錫中の酸素原子をアンチモン原子で置換することにより得られる。
アンチモンドーピング酸化錫を、硫酸バリウム粒子又は二酸化ケイ素粒子上に、体積抵抗率が500Ω・m以下、好ましくは100Ω・m以下となるようにコーティングした微粒子を、好適に使用することができる。
ここで、メジアン径とは、レーザー回折散乱法により測定される粒径分布を体積累積分布で表したときの50%粒径のことである。
また、ポリスチレン製又はポリカーボネート製キャリアテープとヒートシールしたときに、良好なシール強度及び剥離強度を達成し、優れた密封性と易剥離性とを両立することができる。
シーラント層11の厚みが1μm以上であることで、十二分なシール性を担保することができる。また、シーラント層11の厚みが30μm以下であることで、カバーテープ1の剛性が高くなりすぎない。これにより、シール後のキャリアテープに対して捻り応力がかかった場合でも、カバーテープ1がキャリアテープの変形に追従しやすい。よって、カバーテープ1がキャリアテープから意図せず剥離してしまうことを抑制することができる。さらに、シーラント層11の厚みが30μm以下であることで、ヒートシール時に溶融した樹脂の「染み出し」が抑えられるという利点もある。
表面抵抗率や電荷減衰時間が適度な値であることで、静電気が除電されやすくなり、また、外部からの通電を抑えることもできる。
表面抵抗率や電荷減衰時間は、米国の軍規格であるMIL-B-81705Cに準拠して測定することができる。
シーラント層11中のその他添加成分の量は、添加目的に応じて適宜調整すればよい。典型的には、シーラント層11全体に対して0.01~10質量%程度の範囲で調整すればよい。
カバーテープ1において、中間層12の存在は任意である。しかし、中間層12が存在することで、カバーテープ1全体としてのクッション性、耐衝撃性などを高めうる。ここで、「クッション性」とは、例えば、ヒートシール時の圧力を均一に分散させることに優れていることを意味する。
カバーテープ1が中間層12を備える場合、中間層は1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
中間層12を、フィルム材料を用いて形成する場合、そのフィルムは、未延伸フィルムであってもよいし、一軸方向又は二軸方向に延伸されたフィルムであってもよい。カバーテープの機械的強度を一層向上させる観点からは、一軸方向又は二軸方向に延伸されたフィルムであることが好ましい。
接着層13は、例えばカバーテープ1が中間層12を備える場合に、中間層12と基材層14とを貼り合せるために設けられる。
また、例えば、公知の溶剤系または水系のアンカーコート剤を使用することができる。より具体的には、イソシアネート系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、ポリオレフィン系、アルキルチタネート系などのアンカーコート剤を挙げることができる。
さらに、ウレタン系のドライラミネート用接着樹脂などを挙げることもできる。
基材層14は、ポリエステル樹脂を含む限り、特に限定されない。
ポリエステル樹脂は、機械的強度の観点で好ましい。すなわち、基材層14を、ポリエステル樹脂を含む材料で構成することで、キャリアテープに対してカバーテープ1を接着するとき、外力が加わったときなどに、十二分に耐えうる機械的強度を得やすい。また、キャリアテープにカバーテープ1をヒートシールする際の熱に強いという側面もある。
基材層14の厚さが50μm以下であることで、カバーテープ1の剛性が大きくなりすぎない。これにより、シール後のキャリアテープに対して捻り応力がかかった場合でも、カバーテープ1がキャリアテープの変形に追従しやすい。よって、カバーテープがキャリアテープから意図せず剥離してしまうことを抑制することができる。
基材層14の厚さが5μm以上であることで、カバーテープ1の機械的強度を十二分に良好なものとすることができる。よって、例えばキャリアテープからカバーテープ1を高速で剥離する場合でも、カバーテープが破断してしまうことを抑制することができる。
帯電防止層15は、通常、カバーテープ1の一方の最表面に存在する。こうすることで、カバーテープ1の表面抵抗値を一層小さくしやすい。
または、上記(1)で、ポリオールとポリイソソアネートの縮合物ではなく、ポリオールとポリイソシアネートを用い、溶媒乾燥後に縮合反応させるようにしてもよい。
ポリウレタン樹脂は、好ましくは、ポリエステルポリオール等のポリオール、有機ジイソシアネート化合物、および必要に応じて活性水素基を有する鎖延長剤を原料として得ることができる。ポリウレタン樹脂の数平均分子量は好ましくは5000~100000、ウレタン結合含有量は好ましくは500~4000当量/106g、重合性二重結合含有量は一分子当たり好ましくは平均1.5~30個である。
また、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオールなども必要に応じて、これら単独で、または、ポリエステルポリオールと共に、使用することができる。
このような(メタ)アクリル系樹脂を得る方法しては、前述のような(メタ)アクリル系モノマーと、シリコーンの末端に(メタ)アクリロイル基を有するシリコーン系マクロモノマーとを、ラジカル反応にてグラフト共重合させる方法等を挙げることができる。
(メタ)アクリル系樹脂が、(メタ)アクリル系モノマーと、シリコーン系マクロモノマーとの共重合体である場合、樹脂中のシリコーン系マクロモノマー成分の含有量は、1~80質量%が好ましく、5~70質量%がより好ましい。
4級アンモニウム塩構造を有する化合物(第4級アンモニウム塩基含有ポリマー)としては、例えば、アクリット1SX-3000(大成ファインケミカル社製)、H6100、H6100M、H6500(三菱ケミカル社製)、コルコートNR121X、コルコートNR121X-9IPA(コルコート社製)、ユニレジンAS-10/M、ユニレジンAS-12/M、ユニレジンAS-15/M、ユニレジンASH26(新中村化学社製)、UV-ASHC-01(日本化成社製)等を挙げることができる。
本実施形態では、他成分との相性などの点で、酸化防止剤はフェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくともいずれかを含むことが好ましい。
また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤以外のフェノール系酸化防止剤としては、例えば、水酸基を挟むように位置する置換基の一方がメチル基等に置換されているセミヒンダード型のフェノール系酸化防止剤や、水酸基を挟む2つの置換基の双方がメチル基等に置換されているレスヒンダード型のフェノール系酸化防止剤が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、BASF社から、商品名「Irgafos」シリーズとして市販されているものを用いることもできる。
帯電防止層15の厚みが比較的薄いことにより、カバーテープ1をキャリアテープにヒートシールする際、帯電防止層15の一部が溶解してヒートシール装置を汚染することを低減しうる。
なお、タック力の下限値は、例えば0であり、具体的には0.01N/20mm2以上である。
タック力の大きさは、帯電防止層15を形成するための材料を適切に選択したり、帯電防止層15に滑剤および/または離型剤を含めたりすることで調整可能である。滑剤および/または離型剤として具体的には、脂肪酸アマイド、エルカ酸アミド、エチレンビス脂肪酸アミド、脂肪酸、エステル化合物などが挙げられる。
十二分な視認性を得る観点から、カバーテープ1の全光線透過率は、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上である。この値は基本的には100%に近いことが好ましいが、現実的な設計としては通常95%以下である。
なお、全光線透過率は、JIS K 7105(1981)に準じて測定することができる。
カバーテープ1の製造方法は特に限定されず、公知の方法を適宜適用して製造すればよい。カバーテープ1は、例えば、押出法、共押出法、ラミネート法(ウェットまたはドライ)、塗布法、これらの組合せなどにより製造することができる。
電子部品が凹部に収容されたキャリアテープと、上述のカバーテープ1とをヒートシールすることで、電子部品包装体を製造することができる。
より具体的には、以下のような手順で、電子部品を封止するように、カバーテープ1のシーラント層11がキャリアテープに接着された電子部品包装体を得ることができる。
(1)電子部品が凹部に収容されたキャリアテープを準備する。
(2)カバーテープ1を用いて、上述のキャリアテープの開口部全面を覆う(このとき、シーラント層11の側がキャリアテープと接触するようにする)。
(3)ヒートシール処理を施す。
電子部品包装体が作業領域まで搬送された後、カバーテープ1をキャリアテープから剥離し、収容された電子部品を取り出す。
素材として以下を準備した。
・ポリオール1:アクリディックA801(DIC株式会社製、アクリル系ポリオール)
・ポリオール2:バーノックDE-140(DIC株式会社製、ポリエステル系ポリオール)
・ポリイソシアネート:デュラネート24A-100(旭化成社製)
・酸化防止剤1:Irganox1076(BASF社製、フェノール系)
・酸化防止剤2:Irganox168(BASF社製、リン系)
・帯電防止剤:アクリット1SX-3000(大成ファインケミカル社製、4級アンモニウム塩タイプ帯電防止ポリマー)
・潤滑剤:スリパックスE(三菱ケミカル社製、脂肪酸アマイド)
以下手順によりカバーテープを製造した。
[着色/色変化:60℃、90%RH環境下に置いた後の全光線透過率]
各カバーテープを、60℃、90%RH環境下に24時間置き、その後の全光線透過率を測定した。測定は、JIS K 7105(1981)に準じて行った。
各カバーテープの帯電防止層側の60℃におけるタック力を、タッキング試験機TAC-1000(株式会社レスカ製)で測定した。測定条件は、押印時間20sec、引上げ速度10mm/s、荷重2500gf(24.5N)、プローブ、ステージ温度60℃とした。
まず、カバーテープを、シールコテを用いて、温度:180℃、圧力:4kg/cm2、シールコテがカバーテープに接する一回あたりの時間:0.05秒、ピッチ:4mmの条件で、10m分、キャリアテープにシールした。
その後、綿棒を用いてシールコテの汚れをこすり、綿棒についた汚れを以下基準で3段階評価した。
・優:綿棒に目立った汚れは付着しなかった。
・良:綿棒に汚れは付着したが、そのままシールを継続して問題ない程度であった。
・不可:クリーニングが必要な程度の汚れが綿棒に付着した。
23℃、50RH%で、帯電防止層側の表面抵抗値を、JIS K6911(1995)に準じて測定した。単位は、Ω/□である。
表1において、表面抵抗値の表記は指数表記である。具体的には、「1E+10」との表記は、1×1010の意である。
すなわち、シーラント層とは反対側の面に、ポリオールとポリイソシアネートの縮合物と、帯電防止剤と、酸化防止剤とを含む、厚み1μm以下の帯電防止層を備えるカバーテープは、意図せぬ着色や色変化が抑えられ、かつ、表面抵抗値が小さくて静電気の帯電が少ないカバーテープであることが示された。
また、比較例2のカバーテープにおいては、帯電防止層が帯電防止剤を含まなかったため、表面抵抗値が大きな値であった。
11 シーラント層
12 中間層
13 接着層
14 基材層
15 帯電防止層
Claims (9)
- 電子部品包装用のカバーテープであって、
ポリエステル樹脂を含む基材層と、シーラント層とを備え、
さらに、前記基材層の前記シーラント層とは反対側の面に、ポリオールとポリイソシアネートの縮合物と、帯電防止剤と、酸化防止剤とを含む帯電防止層を備え、
当該帯電防止層の厚みは1μm以下であるカバーテープ。 - 請求項1に記載のカバーテープであって、
前記酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくともいずれかを含むカバーテープ。 - 請求項1または2に記載のカバーテープであって、
前記帯電防止剤が、4級アンモニウム塩構造を有する化合物を含むカバーテープ。 - 請求項1~3のいずれか1項に記載のカバーテープであって、
前記帯電防止層の厚みが100nm以下であるカバーテープ。 - 請求項1~4のいずれか1項に記載のカバーテープであって、
前記基材層と前記シーラント層との間に、中間層を備えるカバーテープ。 - 請求項5に記載のカバーテープであって、
前記基材層と前記中間層との間に、接着層を備えるカバーテープ。 - 請求項1~6のいずれか1項に記載のカバーテープであって、
前記帯電防止層側の、25℃でのタック力が0.5N/20mm2以下であるカバーテープ。 - 請求項1~7のいずれか1項に記載のカバーテープであって、
全光線透過率が80%以上であるカバーテープ。 - 電子部品が凹部に収容されたキャリアテープと、
請求項1~8のいずれか1項に記載のカバーテープとを備え、
前記電子部品を封止するように前記シーラント層が前記キャリアテープに接着された電子部品包装体。
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