JP7191809B2 - 繊維強化複合材及び繊維強化複合材の製造方法 - Google Patents
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図20に示すように、弾性を有する外層被覆材61と、液相と固相とに相変化自在な内部充填材62とで構成されたマンドレル63を用いている。内部充填材62が固相の状態で、マンドレル63に対して糸状のプリプレグをブレイディング成形する。ブレイディング成形によって得られた成形体64において、プリプレグは、パイプの軸方向に対して所定の傾斜角度となるように編み込まれる。
屈曲部の外側P1と内側P2とにおいて第1UDテープ30aの傾斜角度が異なることにより、屈曲部の外側P1と内側P2とにおいて、弾性率や、強度等の特性に差が生じやすくなるという課題を有している。
繊維強化複合材の第1実施形態を説明する。
図1、2に示すように、繊維強化複合材10はUDテープ30が管状に編み込まれて形成されている。繊維強化複合材10の軸方向に対して直交する横断面において、繊維強化複合材10の外周形状は円形状であるとともに、内周形状も円形状で構成されている。
UDテープ30の厚さは特に限定されず、0.1~0.5mmであることが好ましく、0.1~0.3mmであることがより好ましい。
ただし、UDテープ30は、一方向に配向した繊維が樹脂によって含浸されており、その形態は、幅50~300mmのシート状のものをスリット加工を施すことによって、上記に示すUDテープ30の幅を有するようにしてもよい。
図2において、左右方向が繊維強化複合材10の軸方向とし、図2の左側を繊維強化複合材10の一端側、右側を繊維強化複合材10の他端側とする。繊維強化複合材10の径方向の中央部Mを基準として、繊維強化複合材10の他端側に向かう軸方向を0°とする。中央部Mから、繊維強化複合材10の他端側に対して左側(図2の上側)の傾斜角度をプラスの角度で表し、繊維強化複合材10の他端側に対して右側(図2の下側)の傾斜角度をマイナスの角度で表す。
第2UDテープ30bの傾斜角度-α1は、上記第1UDテープ30aの傾斜角度α1と正負が逆であることを除いて、同様に構成されていることが好ましい。
後述のように、第1UDテープ30aと第2UDテープ30bが所定の傾斜角度α1、-α1となりつつ、第3UDテープ、及び/又は、金属繊維が軸方向に沿って延びるようにブレイディング成形を行うことによって、第1UDテープ30a、第2UDテープ30b、及び、中央糸は管状に編み込まれている。
繊維強化複合材10は、以下に記載するマンドレル組立工程、ブレイディング成形工程、含浸工程、切断工程、脱芯工程を順に経ることにより製造される。
マンドレル組立工程は、複数のマンドレル部材を連結して、複数の屈曲部を備えるマンドレルを組み立てる工程である。
図7~9に示すように、複数のマンドレル部材40は、挿入孔40bに挿入された継手41を介して連結される。継手41は、円柱状に構成されており、軸方向の中央部に、屈曲部41aが設けられている。継手41の屈曲部41aにおける屈曲角度γは、繊維強化複合材10の屈曲部20の屈曲角度βと等しく構成されている。
(ブレイディング成形工程)
ブレイディング成形工程は、組立工程で得られたマンドレル42に対してブレイディング装置50を用いてUDテープ30を管状に編み込む工程である。
含浸工程は、ブレイディング成形工程で得られた成形体53の表面に樹脂フィルムを巻回し、さらに樹脂フィルムの表面に高収縮テープを巻回した後、加熱処理を行って樹脂フィルムを構成する樹脂を成形体53に含浸する工程である。
切断工程は、ブレイディング成形工程で得られた成形体53を所定の長さに切断する工程である。
(脱芯工程)
脱芯工程は、切断工程で切断された成形体から、マンドレル42を引き抜く工程である。切断面における成形体及びマンドレル42の一方の端部を把持した状態で、切断面における成形体及びマンドレル42の他方の端部を引き抜くことにより、脱芯を行う。
繊維強化複合材10の用途としては特に限定されず、屈曲部20を有する繊維強化複合材10が用いられる公知の用途に適宜用いることができる。屈曲部20を有する繊維強化複合材10の用途としては、例えば、骨髄腔に取り付けられるガンマー型ネイル装置が挙げられる。
従来の製造方法で製造した繊維強化複合材10は、ブレイディング成形を行った後に成形体64を曲げている。
また、図4に示すように、屈曲部20の内側P2における第1UDテープ30aの傾斜角度α3、及び、第2UDテープ30bの傾斜角度-α3は、屈曲部20以外の直線状の箇所(図2参照)における第1UDテープ30aの傾斜角度α1、及び、第2UDテープ30bの傾斜角度-α1に比べて大きくなりやすい。すなわち、屈曲部20の内側P2は、軸方向に圧縮されるように力が加わるため、UDテープ30は繊維強化複合材10の径方向に沿って配向しやすくなる。
このように、屈曲部20の外側P1と内側P2とにおいて、UDテープ30の傾斜角度が異なるとともに、中央糸の間隔が異なることにより、屈曲部20の外側P1と内側P2とにおいて、弾性率や強度等の特性に差が生じやすくなる。
(1)繊維強化複合材10の外表面における屈曲部20の外側P1と内側P2とにおいて、第1UDテープ30aの傾斜角度α1は等しく構成され、第2UDテープ30bの傾斜角度-α1は等しく構成されている。したがって、屈曲部20を有する繊維強化複合材10において、局所的な特性の差を小さくすることができる。
マンドレル42の屈曲部42aに対しても、屈曲部20の外側P1と内側P2とにおいてUDテープ30の傾斜角度を等しくすることができる。したがって、局所的な特性の差が小さい繊維強化複合材10を製造することができる。
繊維強化複合材10の第2実施形態を説明する。
図13に示すように、第2実施形態の繊維強化複合材10は、UDテープが管状に編み込まれて形成されている。繊維強化複合材10の軸方向に対して直交する横断面において、繊維強化複合材10の外周形状は円形状であるとともに、内周形状も円形状で構成されている。繊維強化複合材10は、軸方向に沿って外径が大きくなるテーパ部21を備えている。具体的には、繊維強化複合材10の軸方向における一端側の端部10aの直径L1は、繊維強化複合材10の軸方向における他端側の端部10bの直径L2よりも大きく構成されている。そして、繊維強化複合材10の軸方向における全体において、他端側の端部から一端側の端部に向かって直径が徐々に大きくなるように構成されている。言い換えれば、繊維強化複合材10の全体がテーパ形状となるように構成されている。
第2実施形態の製造方法は、第1実施形態の製造方法と比べて、マンドレルの形状が異なること以外は、同じ工程であるため、マンドレル組立工程以外の説明を省略する。
図14、15に示すように、マンドレル部材43は、円柱状に構成されている。マンドレル部材43の両端側は、マンドレル部材43の中央部に対して外径が小さく構成されて先細形状となっている。言い換えれば、マンドレル部材43の中央部から両端部側に向かって外径が小さくなるテーパ部43aが形成されている。マンドレル部材43の両端部には、テーパ部43aよりも外径が小さく構成されるとともに、軸方向外側に突出した突出部43bが形成されている。
なお、切断工程においては、図19の矢印Cで示す箇所で成形体のみ切断し、その後、切断された成形体からマンドレルを引き抜く脱芯工程において、マンドレルを除去した後、得られた成形体を、図19の矢印C’で示す箇所で切断することにより、テーパ部21を備える繊維強化複合材10が製造される。
従来のテーパ部を有する繊維強化複合材の製造方法では、図23、24に示すように、一端側が太く、他端側に向かって外径が小さく構成されて先細形状となるテーパ部43a’が形成されているマンドレル部材43’が使用されている。
(8)テーパ部21の軸方向に沿う先端側P3と基端側P4とにおいて、第1UDテープ30aの傾斜角度は等しく構成され、第2UDテープ30bの傾斜角度は等しく構成されている。したがって、テーパ部21を有する繊維強化複合材10において、局所的な特性の差を小さくすることができる。
Claims (6)
- UDテープが所定の傾斜角度で管状に編み込まれた状態で形成された繊維強化複合材であって、
前記繊維強化複合材は、当該繊維強化複合材の軸方向に対して屈曲した屈曲部を備えており、
前記繊維強化複合材の外表面における前記屈曲部の外側と内側とにおいて、前記傾斜角度は等しく構成されていることを特徴とする繊維強化複合材。 - 前記傾斜角度は、30~50°の範囲内における±6°以内の角度である請求項1に記載の繊維強化複合材。
- 前記UDテープに含浸された樹脂が熱可塑性樹脂である請求項1又は2に記載の繊維強化複合材。
- UDテープが所定の傾斜角度で管状に編み込まれた状態で形成され、軸方向に対して屈曲した屈曲部を備える繊維強化複合材であって、前記繊維強化複合材の外表面における前記屈曲部の外側と内側とにおいて、前記傾斜角度は等しく構成されている繊維強化複合材の製造方法であって、
複数のマンドレル部材を連結して、複数の屈曲部を備えるマンドレルを組み立てるマンドレル組立工程と、
前記マンドレル組立工程で得られたマンドレルに対してUDテープを用いてブレイディング成形を行うブレイディング成形工程と、
前記ブレイディング成形工程で得られた成形体を切断する切断工程と、
切断された成形体から前記マンドレルを引き抜く脱芯工程とを有することを特徴とする繊維強化複合材の製造方法。 - 前記ブレイディング成形工程で得られた成形体の表面に樹脂フィルムを巻回し、さらに前記樹脂フィルムの表面に高収縮テープを巻回した後、加熱処理を行って前記樹脂フィルムを構成する樹脂を前記成形体に含浸する含浸工程を有する請求項4に記載の繊維強化複合材の製造方法。
- 前記ブレイディング成形工程において、ブレイディング成形を行う位置に前記マンドレルが常に位置するように、自動送り手段によって前記マンドレルを移動させる請求項4又は5に記載の繊維強化複合材の製造方法。
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