JP7189058B2 - 作業車両の排気ガス排出構造 - Google Patents
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Description
上記排気ガス排出構造は、エンジン始動時にエンジン側及びテールパイプ内に結露等によって生じる黒い水滴が溜まる留り水を、排気口から外部に排出することなく堰き止める堰き止め部材を設けると共に、テールパイプの下側(突出パイプ部側)に水抜き孔を設けることにより、酸化触媒の化学作用等で多く生ずる場合の黒い水の排出を行いながら、排気管の排気口からの外部飛散を防止するように排ガス排出装置を構成している。
然しながら、この排気ガス排出構造は、テールパイプの内部に環状の水滴堰き止め部材を追加部品としてネジ止め構造又は機械加工等によって付設して構成するため、堰き止め部の付設作業が煩雑になると共に製造コストが嵩むことになる。
またテールパイプの基部側に水抜き孔を設ける排ガス排出装置は、水抜き孔から排出落下する留り水が風向き等によってはボンネットを汚し易い欠点があると共に、特に工場出荷後に運転休止時間が長い状態で保管されたトラクタが、顧客引き渡し時に試運転が行われる際等には、エンジン始動所期の排ガス背圧によって留り水が水抜き孔から勢いよく逆流排出し易いため、近隣のボンネット等を汚し易い問題もある。
一方、上記排気ガス排出構造は、テールパイプの外周を多数の通気孔(放熱孔)を穿設した排気管カバーによって単に覆う構造であるため、高温状態に加熱される排気管カバーは、メンテナンス作業等を行う際に火傷を伴い易い欠点があることから、排気管カバーの高温加熱が抑制されるディフューザ部を備える方式の排気ガス排出構造と、上記のような欠点を解消できる堰き止め構造にすることが課題になる。
前記テール排気部12bの上部外周に所定長さのエアー導入路13aを有するディフューザ部13を構成すると共に、ディフューザ部13下方と突出パイプ部12c側を覆う下部カバー筒部16fの筒内周下部側に、該下部カバー筒部16fに溜まる留り水の漏れ出しを規制する堰き止め部材25を設けることを特徴としている。
第2に、堰き止め部材25を、耐熱性及びクッション性を有するスポンジ状の合成樹脂からなる耐熱クッション材によって、方形状断面をなす帯状体として形成すると共に、その底面側を貼着手段によって筒内周下部側に付設することを特徴としている。
第3に、耐熱クッション材からなる方形状断面の帯状体からなる堰き止め部材25を、複数の堰き止めピース25a,25bとなるように分割形成すると共に、隣接する堰き止めピース25a,25bの端部を重合させて筒内周下部側に付設することを特徴としている。
エンジン始動時における排ガス排出装置は、下部カバー筒部内の留り水を排ガス流によってエアー導入路を介し下部カバー筒部内に移動し該下部カバー筒部内の留り水と混合させ、前記排ガス吐出流と共に筒端側に移動し一時的に排出しようとするが、これを下部カバー筒部の筒内周下部側に沿って付設されている堰き止め部材が堰き止めると共に、エンジンの運転に伴って筒端から吸い込まれて形成される吸気流の風圧により、堰き止め状態にある留り水は吸気流方向に押し戻し移動されながら、内部の昇温加熱により蒸発しディフューザ部のエアー導入路を介して排ガスと共にチムニの排気口から速やかに排出される。
従って、この排ガス排出装置をえる作業車両は、運転休止時間が長い状態で保管された後のエンジン始動時等においても、留り水の下部カバー筒部からの逆流排出を無くすことができるため、ボンネット等の汚染を簡単に防止することができる。
請求項2に係る発明によれば、堰き止め部材を、耐熱性及びクッション性を有するスポンジ状の合成樹脂からなる耐熱クッション材によって、方形状断面をなす帯状体として形成すると共に、その底面側を貼着手段によって筒内周下部側に付設することにより、
帯状体として形成される耐熱クッション材からなる堰き止め部材は、テールパイプに可及的に近接した高さにすることができるので、高さによる堰き止め性能を十分に発揮しながら突出パイプ部側と下部カバー筒部との間の通気間隔を悪戯に大きくすることなく最小的な通気間隔にでき、エンジン運転中の下部カバー筒部からの吸気流に伴う風圧と突出パイプ部側の放熱により、留り水の速やかな蒸発を促進し留り水による汚染を、簡潔で安価な構成によって防止することができる。
請求項3に係る発明によれば、耐熱クッション材からなる方形状断面の帯状体からなる堰き止め部材を、複数の堰き止めピースとなるように分割形成すると共に、隣接する堰き止めピースの端部を重合させて筒内周下部側に付設することにより、
所定の分割堰き止め長さと本数からなる各堰き止めピースは、下部カバー筒部の断面形状に適応した短い長さで筒内周下部側への貼付け作業を行い易くすることができると共に、複数の堰き止めピースを効率よく堰き止める留り水誘導パターンを選択自由にできるため、留り水の堰き止め及び蒸発作用を向上し易くすることができ、且つ曲げ難さを有している難曲げタイプの堰き止め部材でも、重合する各分割堰き止め部材及び筒内周下部側との大きな隙間をなくす配置が容易になり水漏れのない貼着作業を能率よく遂行できる等の利点がある。
尚、上記エンジンEとキャビン5とは、機体フレーム3に対しそれぞれ異なる防振構造を介してマウント設置されている。
上記チムニ14はその背面側の上下に突出するフレームブラケット19を、前記キャビン5の前フレーム5aに対する取付け間隔を有して設けており、且つチムニ外周の適所に突設した複数のカバーブラケット20に、遮熱カバー16の内面対向部位をボルト締結によって、ブラケット高さの通気間隔を有した取付けを可能にしている。
つまり、チムニ14は、前記上下のフレームブラケット19を前フレーム5aにボルト締結することにより、ディフューザ部13を簡単に構成できるようにしている。
また内側カバー16bは縦側カバー部16cの基部側に、キャビン5のフロント窓ガラス5bに設けられるワイパ21の先端部と正面視でラップする位置に、ワイパ通過部22を切欠手段によって冷却用外気を取入れ可能に凹入形成し、この下部側に横下向き樋筒状をなす下側カバー部16dを一体形成するようにしている。
そして上側の下側カバー部16dと下側の下側カバー部16dとの組付けによって横向き筒状をなす下部カバー筒部16fの筒端23は、図3,図4に示すように下り外向き傾斜面を有して形成することにより、ボンネット4の天板部4aから外側に向けて拡開状の斜面になる側壁部4bに沿って近接セットできる筒端形状にしている。
また組立てられる排ガス排出装置10は、キャビン5の左前隅側に纏まりよく設置されると共に、ワイパ21の先端側は前記ワイパ通過部22を通過させて起立姿勢にできるので、キャビン窓等の清掃時やワイパ21等のメンテナンス作業を容易にすることができる。
そして、この筒体部分は、上下対称断面形状で2分割することが可能な樋形状の上側カバー部16eと下側カバー部16dとの組立てによって形成される。
一方、堰き止め部材25は、耐熱性及びクッション性を有するスポンジ状の合成樹脂からなる耐熱クッション材によって方形状断面をなす帯状体として形成し、且つ図示例の堰き止め部材25は、その底面側を筒内周面に対し両面テープ又は接着剤等の貼着手段によって設置可能にしている。
これによる堰き止め手段17は、筒内の留り水が稀に堰き止め部材25を乗り越えたとしても、当該乗り越え水を筒端23から直接的に落下させることなく、滞留距離Lを有する滞留筒面によって一旦受け止めた状態で薄く広げ蒸発を促進しながら少量の緩慢流下をさせるようにしている。
そして、実施形態の堰き止め部材25は、例えば1本の長い方形状断面をなす耐熱クッション材からなる帯状体を、各平坦面幅と同等又はやや長い堰き止め長さに切断することにより、底面26b用の堰き止めピース25aと上向き斜面26c用の堰き止めピース25bとを簡単に形成することができるようにしている。
この場合の各堰き止めピース25a,25bは前記貼着姿勢において、各端部(切断面)が側面視で重合したラップ代を有するように設置することが望ましく、且つこのラップ箇所27は、底面26bと上向き斜面26cとの間の屈曲部26aの谷部内面に密着した状態にし易くすることができる。
そして、耐熱クッション性を有する帯状の堰き止め部材25を所定長に切断すると共に、筒内周に沿って単に貼り付けるだけの簡単な作業によって付設作業を能率よく行うことができる利点等もある。尚、堰き止めピース25a,25bは、必要により予め所定の分割長さに成形製造することもできる。
このトラクタ1の排気ガス排出構造は、遮熱カバー16の縦向きの上部カバー筒部16e内で、テール排気部12bの上部外周に対しチムニ14を所定長さのエアー導入路13aを有して外嵌するディフューザ部13を構成し、且つ遮熱カバー16の突出パイプ部12c側を覆う下部カバー筒部16fの内周面に沿って、筒部内から留り水の漏れ出しを規制する堰き止め部材25を付設した堰き止め部17にしている。
またディフューザ部13を備える排ガス排出装置10は、ボンネット4に近接する筒端23側から吸い込む吸気流によってテールパイプ12を基部側から直接的に冷却すると共にチムニ14も冷却するため、メンテナンス作業時の接触に伴う火傷も抑制することができる等の特徴がある。
望の堰き止め配置パターンが自由にでき、水漏れ防止性能を高めながら貼着作業部材25でも、これを分割形成した分割堰き止め部材25a,25bは図5(b)で前記したように大きな隙間をなくした堰き止め配置が所望の堰き止め配置パターンによって自由にでき、水漏れ防止性能を高めながら貼着作業も能率よく遂行できる利点がある。
また堰き止め部材25の切断誤差や曲げ谷部の形状によって、前記ラップ箇所27又は筒内周に隙間を生ずるような場合には、別の接着剤又は充填部材を適宜利用することができると共に、必要により行う堰き止め部材25の張替え交換作業も簡単且つ容易に遂行することができる。
また図示例の遮熱カバー16は、チムニ14を覆うために下部カバー筒部16f側から長い上部カバー筒部16eを設けたが、これに限ることなくチムニ14又はテールパイプ12に応じた短い長さでディフューザ部13を覆うように構成してもよい。
3 機体フレーム(エンジン搭載台)
4 ボンネット
12 テールパイプ
12a 屈曲部
12b テール排気部
12c 突出パイプ部
13 ディフューザ部
13a エアー導入路
14 チムニ
16 遮熱カバー
16e 上部カバー筒部
16f 下部カバー筒部
25 堰き止め部材
25a,25b 堰き止めピース
E エンジン
Claims (3)
- エンジン搭載台(3)に搭載されるエンジン(E)をボンネット(4)で覆うと共に、前記エンジン(3)側から突出パイプ部(12c)と屈曲部(12a)と縦向きのテール排気部(12b)とを形成したテールパイプ(12)を介して、ボンネット(4)の側方上方に向けて排気ガスを排出するに、該テールパイプ(12)の外周を筒状の遮熱カバー(16)で覆う作業車両の排気ガス排出構造において、
前記テール排気部(12b)の上部外周に所定長さのエアー導入路(13a)を有するディフューザ部(13)を構成すると共に、ディフューザ部(13)下方と突出パイプ部(12c)側を覆う下部カバー筒部(16f)の筒内周下部側に、該下部カバー筒部(16f)に溜まる留り水の漏れ出しを規制する堰き止め部材(25)を設けることを特徴とする作業車両の排気ガス排出構造。 - 前記堰き止め部材(25)を、耐熱性及びクッション性を有するスポンジ状の合成樹脂からなる耐熱クッション材によって、方形状断面をなす帯状体として形成すると共に、その底面側を貼着手段によって筒内周下部側に付設する請求項1記載の作業車両の排気ガス排出構造。
- 前記耐熱クッション材からなる方形状断面の帯状体からなる堰き止め部材(25)を、複数の堰き止めピース(25a),(25b)となるように分割形成すると共に、隣接する堰き止めピース(25a),(25b)の端部を重合させて筒内周下部側に付設する請求項2記載の作業車両の排気ガス排出構造。
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