JP7188873B2 - 開封時の香り立ちと抽出時の泡立ちに優れたコーヒー豆及びその提供方法 - Google Patents

開封時の香り立ちと抽出時の泡立ちに優れたコーヒー豆及びその提供方法 Download PDF

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Description

本発明は、開封時の香り立ちや、抽出時の泡立ちのよいコーヒー豆及びその提供方法に関するものである。
一般に、コーヒーの生豆を焙煎したコーヒー豆が販売され、飲用されている。コーヒーを飲用する者にとっては、抽出されたコーヒー液の味や香りがよいことが重要であることは言うまでもない。しかしながら、コーヒーを愛飲する者にとっては、コーヒー液の抽出過程そのものも大きな楽しみの1つといえる。
例えば、コーヒー豆の封入された包材を開封する際に生じる独特な香りは、これから抽出するコーヒー液の味に対する期待を抱かせるだけではなく、開封時の香り自体も愛飲者にとって、格別のものである。また、コーヒー液を抽出する際に発生する泡立ちは、コーヒーの香り立ちをよくすると共に、視覚的にも、飲用者を楽しませる効果を有している。
しかしながら、従来のコーヒー豆の提供方法では、開封時の香り立ちや抽出時の泡立ちを高めるという点においては、充分な配慮がなされていなかった。
図8は、従来のコーヒー豆の包材例であり、(1)はバルブなしアルミ蒸着フィルム包装、(2)はバルブ付きアルミ蒸着フィルム包装を示している。
一般に、コーヒー豆の包材としては、図8(1)又は(2)に示すような、アルミ蒸着フィルム包装(7,8)が多く用いられている。焙煎後のコーヒー豆は、時間経過と共に、炭酸ガスが放出されるため、そのままアルミ蒸着フィルム包装に充填すると、包材の内圧が次第に陽圧となり、包材やそれを収納するケースが膨張し破裂・変形する恐れが生じる。そこで、アルミ蒸着フィルム包装7にコーヒー豆を充填する方法として、例えば、真空包装がなされることがあるが、その場合、エージングと呼ばれるガス抜き作業が必要となり、これに伴ってコーヒー豆の香気成分も失われてしまうという問題がある。
そこで、図8(2)に示すアルミ蒸着フィルム包装8では、バルブ8bが設けられており、包材の内圧が一定程度を超えた陽圧となると、コーヒー豆から発生する炭酸ガスがバルブ8bから放出される構造となっている。これによれば、包材の破裂等は防止することができるが、この場合も、バルブ8bからのガス放出によりコーヒー豆の香気成分も失われてしまうこととなる。これは、脱酸素剤を用いた場合でも同様である。
また、コーヒー抽出時の泡立ちのよさは、コーヒー豆に含まれる炭酸ガスの量に依存することから、コーヒー豆に含まれる炭酸ガスが減少すると、コーヒー抽出時の泡立ちが少なくなるという問題もある。
そこで、コーヒー豆の香気成分を容器内に留め、開封時の香りを楽しむことを可能としたコーヒーの包装方法が知られている(特許文献1を参照)。これは、アルミニウム合金製の容器内に粉末ドライアイス及びコーヒー豆を充填し、振動を加えるものである。しかしながら、上記特許文献1に開示された包装方法では、容器の構造が複雑となり、製造コストが高くなるという問題がある。
特開2004-41009号公報
上述したように、コーヒー豆をアルミ蒸着フィルム包装によって包装した場合、エージングやバルブによるガス抜きによって、コーヒー豆の香気成分が減少し、また、包材の内圧が低下するため、開封時の香り強度が低くなってしまうという問題があった。そして、炭酸ガスが減少することから、抽出時の泡立ち度も低下するという問題があった。しかもこれらを簡易な方法で解決する方法は、これまで存在しなかった。
また、炭酸ガスを放出せず、包材に充填すると包材の内圧が陽圧状態となり、包材やそれを収納するケースが膨張し、キャップ飛出し・破裂・変形する恐れが生じるという問題があった。そのため、容器の製造コストが大幅に高くなり、また開栓時にはキャップ飛出しを防ぐために冶具(開栓器具)を使用して開栓していた。
上記状況に鑑みて、本発明は、より簡易な方法で開封時の安全性を確保しつつ、コーヒー豆を収納した容器を開封した時の香り立ち、コーヒーの抽出時の泡立ちに優れ、品質保持性の高いコーヒー豆を提供することを目的とする。
なお、本明細書において、コーヒー豆とは、豆状のものに限られず、粉状のものを含む。
本発明者らは、香り強度と抽出時の膨潤性に着目して鋭意検討した結果、コーヒー豆の焙煎終了後から容器に充填するまでの時間及び充填条件を限定することで、コーヒー豆から抽出されるコーヒーの香りと泡立ちを高めることができることの知見を得た。
すなわち、本発明のコーヒー豆は、商業用に量産される焙煎コーヒー豆であって、コーヒー豆の焙煎終了後から小分け容器に充填するまでの焙煎後充填時間が調整され、充填されたコーヒー豆から放出される炭酸ガスによって、内圧が0.01~0.7MPaの範囲の陽圧状態に保持された容器に収容されたものである。
本発明によれば、容器の開封時における香り立ちがよく、かつ、コーヒー液の抽出時における香り立ちや泡立ちのよいコーヒー豆を提供できる。なお、本明細書において、内圧を示す数値は、大気圧を0MPaとし大気圧との差によって表す圧力(ゲージ圧)で表記する。
焙煎後充填時間が調整されることで、充填前に、焙煎後のコーヒー豆から炭酸ガスが必要以上に放出されることを防ぎ、コーヒーの香気成分を保持することが可能となる。また、炭酸ガスの放出を抑えることにより、抽出時の泡立ちを良くすることができる。容器にバルブ等を設けずに、焙煎後に短時間で充填可能となるため、煎りたてのコーヒー豆を充填することができる。一般には、焙煎後の充填時間を短くすると、容器の内圧が陽圧となり、膨張し破裂する恐れが生じる。しかしながら、容器の内圧を陽圧状態に保持し、かつ、形状を安定的に保持しうる密閉容器を用いることにより、容器の膨張や破裂を防ぐことができる。また、容器内圧が陽圧に保たれることで、充填後も、コーヒー豆から炭酸ガスが放出され難くすることができる。
これらにより、開封時に容器から香気成分を含んだ炭酸ガスが大量に放出され、香りを充分に楽しむことができる。
容器の内圧が0.01~0.7MPaの範囲の陽圧状態に保持されることで、安全性を保ちつつ、炭酸ガスや香気成分を保持し、開封時の香り立ちを良くすることができる。好ましくは、容器の内圧が0.1~0.7MPaの範囲の陽圧状態、より好ましくは、0.15~0.4MPaの範囲の陽圧状態、更に好ましくは、0.2~0.35MPaの範囲の陽圧状態に容器の内圧が保持される。なお、容器の内圧が高ければ高いほど、コーヒー豆の抽出時の泡立ち度、香りを保持することができる。
本発明において、陽圧状態は、コーヒー豆から放出される炭酸ガスに加えて、外部から注入された不活性ガス、酸素ガス又は炭酸ガスの少なくとも何れか保持されたことでもよい。容器の内圧が高ければ高いほど、コーヒー豆の抽出時の泡立ち度、香りを保持することができるので、不活性ガス、酸素ガス又は炭酸ガスの少なくとも何れかを外部から注入し、より高い陽圧状態を保持させて、容器を開封した時のコーヒー豆の香り立ち等を良くする。ここで、不活性ガスとは、広義の不活性ガスを意味し、化学反応性の低い窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等である。
本発明において、焙煎後充填時間は、具体的には8時間以内に調整されることが好ましく、より好ましくは1~4時間である。焙煎後充填時間が0時間であると、ガス抜きが不十分で容器の内圧が陽圧になり過ぎ、安全性の確保が難しい場合がある。また、焙煎後充填時間が8時間を超えると、視覚的に抽出を行うユーザーを楽しませられず、かつ開封時に充分に香りを楽しむことができなくなるといった不都合がある。
本発明において、容器の容積に対するコーヒー豆の充填率は、30~70%であることが好ましい。コーヒー豆の充填割合が、70%を超えると、開封時における豆の噴き出しやキャップの飛び出しが発生し易くなり、取り扱い上の安全性の点で問題がある。これに対して、コーヒー豆の充填割合が、30%未満であると、開封時における香り立ちが充分でなく、また、容器の内圧が充分に上がらないため、抽出時の泡立ちも悪くなる。そこで、容器の容積に対するコーヒー豆の充填率を30~70%とすることで、安全性を確保しつつ、香り立ちのよいコーヒー豆を製造することができる。
本発明において、容器は開閉自在の密閉用キャップを備え、陽圧状態を保持し、かつ、形状を安定的に保持しうる密閉容器であることが好ましい。そして、容器の外周面は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むポリエステル系樹脂またはポリエチレン樹脂のシュリンクフィルムと不織布との複合素材から成るフィルムで被覆され、耐衝撃性と引裂強さが向上されたことが好ましい。容器は開閉自在の密閉用キャップを備えているため、取り扱いが容易で、冷蔵庫等での保存も容易となる。
一般的に、食品における不織布と樹脂製シュリンクフィルムとの複合素材は、ホットドリンク商品を消費者が手に取った際、熱さで取りこぼさないようにする耐熱性が主目的である。今回、不織布の繊維を絡みあわせた構造に着目し、上記の複合素材から成るフィルムで容器の外周面を被覆することにより、容器の耐衝撃性を高め、かつ、突起物へ容器を落下させた際に突起物が容器を貫通したとしても貫通部位から裂け広がることを防ぐことができる。シュリンクフィルムとは、熱によって収縮するフィルムであり、容器の外周に沿わせて巻きつけて、熱風やスチーム等でフィルムの上下端をシュリンク(収縮)させることにより、容器本体とをしっかり固定できるものである。シュリンクフィルムの素材としては、熱収縮する公知の材料が用いられ、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)が使用可能であるが、特に、耐衝撃性に優れるPET(ポリエチレンテレフタレート)やPE(ポリエチレン)のシュリンクフィルムが好適に用いることができる。
容器に充填されたコーヒー豆から放出される炭酸ガスによって、内圧が0.01~0.7MPaの範囲の陽圧状態に保持されるため、より高いレベルの耐衝撃性と引裂強さ(フィルムの引き裂き強度)が容器に対して要求される。容器の胴周囲に上記の複合素材から成るフィルムを巻き付けることで、容器自体の耐衝撃性と引裂強さが通常レベルであっても、高いレベルの耐衝撃性と引裂強さを容器に付与でき、容器の製造コストを大幅に上昇させることなく、容器落下時の破裂等を防ぐことができることになる。
また、本発明において、密閉用キャップは、容器の口部先端の外周部と接触するライナー部の厚みが比較的薄く、ライナー部とのシール長が比較的短く、ガスベント開始開栓角度が比較的小さくなる構造であり、0.55MPaのエア圧で窒素ガスを容器内部へ常に送風しながらキャップを開栓した際に、容器からキャップが外れるまでのキャップ開栓角度は300°以上、かつ、キャップが外れる直前のガスベント流量として120L/min以上のガスベント流量を確保できるものが好ましい。これにより、陽圧状態による開封時のボトルキャップの飛び出しを防止できる。そのため、冶具を使用せず開栓が可能となる。かかる構成のキャップを用いて、焙煎後のコーヒー豆を収容した容器を密閉することで、開封時にボトルキャップの飛び出しが起こるリスクを低減し、安全性を高めることができる。なお、ライナー部とは、キャップの内面側に設けられた樹脂製のパッキン材の部分であり、容器とキャップの隙間を無くし、容器のシール性を保つ機能を有するものである。
本発明において、小分け容器は、容量が500ml以下のリキャップ缶であることが好ましい。開封時の香り立ちと抽出時の泡立ちに優れたコーヒー豆とするためには、消費者が一定期間内に使い切ることのできる内容量であることが望ましく、その内容量は120g以下であるからである。そして、コーヒー豆を充填する小分け容器の容量が500ml以下であれば、120g以下のコーヒー豆を充填することができるため、容量は500ml以下とすることにより、ユーザーの利便性を高めることができるといえる。また、小分け容器の内圧は陽圧に保たれるため、安全性確保の観点からも、容量が500ml以下であることが好ましいといえる。
リキャップ缶は、アルミニウム製のものが好適に用いられるが、必ずしもアルミニウム製のものに限られるわけではなく、品質保持性を高める観点から、酸素、水蒸気、遮光に対する透過性が0%であるという条件を充たしたものであればよい。
コーヒー豆に湯を注いだ際に発生する泡沫には、香気成分を含む炭酸ガスが多く含まれているため、泡立ちのよいコーヒー豆は、香り豊かなコーヒー豆であるといえる。また、泡立ちのよいコーヒーは、抽出時において、抽出を行う者を視覚的に楽しませる効果も有している。
本発明のコーヒー豆の提供方法は、商業用に量産される焙煎コーヒー豆の提供方法であって、下記1)~3)のステップを備える。
1)コーヒー豆の焙煎終了後から小分け容器に充填するまでの焙煎後充填時間を調整するステップ
2)充填されたコーヒー豆から放出される炭酸ガスによって、容器の内圧を0.01~0.7MPaの範囲の陽圧状態に保持させるステップ
3)コーヒー豆を上記の陽圧状態に保持された容器で提供するステップ
本発明のコーヒー豆の提供方法において、容器の内圧が0.01~0.7MPaの範囲の陽圧状態に保持されることで、安全性を保ちつつ、炭酸ガスや香気成分を保持し、開封時の香り立ちを良くすることができる。好ましくは、容器の内圧が0.1~0.7MPaの範囲の陽圧状態、より好ましくは、0.15~0.4MPaの範囲の陽圧状態、更に好ましくは、0.2~0.35MPaの範囲の陽圧状態に容器の内圧が保持される。容器の内圧が高ければ高いほど、コーヒー豆の抽出時の泡立ち度、香りを保持することができる。
本発明のコーヒー豆の提供方法において、焙煎後充填時間は、具体的には8時間以内に調整されることが好ましい。また、容器の容積に対するコーヒー豆の充填率は、30~70%であることが好ましい。また、容器は開閉自在の密閉用キャップを備え、陽圧状態を保持し、かつ、形状を安定的に保持しうる密閉容器であることが好ましく、具体的には、容量が500ml以下のリキャップ缶である。
また、陽圧状態は、コーヒー豆から放出される炭酸ガスに加えて、外部から注入された不活性ガス、酸素ガス又は炭酸ガスの少なくとも何れかにより保持されたことでもよい。
本発明のコーヒー豆の提供方法において、容器の外周面は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むポリエステル系樹脂またはポリエチレン樹脂のシュリンクフィルムと不織布との複合素材から成るフィルムで被覆され、耐衝撃性と引裂強さが向上されたことが好ましい。
本発明のコーヒー豆の提供方法において、密閉用キャップは、容器の口部先端の外周部と接触するライナー部の厚みが比較的薄く、ライナー部とのシール長が比較的短く、ガスベント開始開栓角度が比較的小さく構成され、開栓過程でライナー部と外周部との間隙空間が比較的早く形成される。密閉用キャップを上記の構成にすることで、0.55MPaのエア圧で窒素ガスを容器内部へ常に送風しながらキャップを開栓した際に、ボトルからキャップが外れるまでのキャップ開栓角度は300°以上、かつ、ボトルからキャップが外れる直前のガスベント流量として120L/min以上のガスベント流量を確保できることから、陽圧状態による開封時のボトルキャップの飛び出しを防止できる。そのため、冶具を使用せず開栓が可能となる。かかる構成のキャップを用いて、焙煎後のコーヒー豆を収容した容器を密閉することで、開封時にボトルキャップの飛び出しが起こるリスクを低減し、安全性を高めたコーヒー豆の提供方法とすることができる。
本発明によれば、簡易な方法で開封時の安全性を確保しつつ、コーヒー豆を収納した容器を開封した時の香り立ち、コーヒーの抽出時の泡立ちに優れ、品質保持性の高いコーヒー豆を提供できるといった効果を有する。
リキャップ缶入りレギュラーコーヒーの外観図 リキャップ缶入りレギュラーコーヒーの製造フロー図 リキャップ缶入りレギュラーコーヒーの開封イメージ図であり、(1)は開封前、(2)は開封後を示している。 開封後の香り強度の変化に関する比較グラフ 抽出時の泡立ち度に関する比較グラフであり、(1)は浅煎豆をアルミ蒸着フィルム包装に充填したもの、(2)は浅煎豆をリキャップ缶に充填したもの、(3)は深煎豆をアルミ蒸着フィルム包装に充填したもの、(4)は深煎豆をリキャップ缶に充填したものを示している。 バルブなしアルミ蒸着フィルム包装の開封イメージ図であり、(1)は開封前、(2)は開封後を示している。 バルブ付きアルミ蒸着フィルム包装の開封イメージ図であり、(1)は開封前、(2)は開封後を示している。 従来のコーヒー豆の包材例であり、(1)はバルブなしアルミ蒸着フィルム包装、(2)はバルブ付きアルミ蒸着フィルム包装を示している。
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
図1は、リキャップ缶入りレギュラーコーヒーの外観図を示している。図1に示すように、リキャップ缶入りレギュラーコーヒー1は、リキャップ缶2を充填容器として用いている。リキャップ缶2は、リキャップ缶本体2a及びキャップ部材2bから成り、リキャップ缶本体2aとキャップ部材2bは、螺合により固着され、本体内部が密閉される構造である。したがって、リキャップ時の密閉性が高く、冷蔵庫保存も容易であるという利点がある。
リキャップ缶2の材質は、アルミニウム製であり、形状は一般的な飲料用400g缶と同様である。したがって、リキャップ缶2の内圧が陽圧であっても、安定的に形状を保持することができる。リキャップ缶2の材質としては、アルミニウム製には限られず、酸素、水蒸気及び遮光に対する透過性が0%の素材であればよい。なお、ここでは図示しないが、リキャップ缶2の内部には、120gのコーヒー豆が充填されている。
図2は、リキャップ缶入りレギュラーコーヒーの製造フロー図を示している。図2に示すように、まず、生豆を焙煎する(S01)。従来の方法では、充填後の包材が膨張して破裂することを防止するため、焙煎後、長時間をかけてデガスを行うのが通常であるが、本実施例のレギュラーコーヒーの提供方法では、内圧が陽圧状態であっても、安定的に形状を保持することができるリキャップ缶2を用いているため、デガス時間なしでの容器への充填が可能となっている。焙煎後8時間以内にコーヒー豆をリキャップ缶に充填する(S02)。充填の際には、窒素置換を行う。
本実施例におけるリキャップ缶入りレギュラーコーヒーの場合の開封イメージを説明する前に、従来のコーヒー豆の包装の場合における開封時の炭酸ガス及び香気成分のイメージについて、図6及び図7を参照しながら説明する。
図6は、バルブなしアルミ蒸着フィルム包装の開封イメージ図であり、(1)は開封前、(2)は開封後を示している。図6(1)に示すように、アルミ蒸着フィルム包装7には、コーヒー豆3が充填されている。コーヒー豆3には、香気成分4及び炭酸ガス5が含まれている。ここでは説明の都合上、コーヒー豆3において、香気成分4と炭酸ガス5は別個独立のものとして表示されているが、実際には、コーヒー豆3に形成された微細孔内に炭酸ガス5が含まれ、炭酸ガス5内に香気成分4が含まれている。
アルミ蒸着フィルム包装7には、ガス抜きを行うためのバルブは設けられていないため、袋の膨張を防ぐために、真空包装されている。そのため、図6(1)に示すアルミ蒸着フィルム包装7の内圧は、陰圧となっている。したがって、図6(2)に示すように、アルミ蒸着フィルム包装7の上端部7aを破って開封すると、矢印6bの方向に、アルミ蒸着フィルム包装7の外側から内側へと空気が流入する。よって、アルミ蒸着フィルム包装7を用いた場合は、開封直後はコーヒーの香りが外部に向けて拡散せず、一度外気が袋内に流入した後に、ゆっくりと外部に向けてコーヒーの香りが拡散することとなる。
図7は、バルブ付きアルミ蒸着フィルム包装の開封イメージ図であり、(1)は開封前、(2)は開封後を示している。図7(1)に示すように、アルミ蒸着フィルム包装8には、コーヒー豆3が充填され、コーヒー豆3に香気成分4及び炭酸ガス5が含まれる点については、バルブなしアルミ蒸着フィルム包装の場合と同様である。しかしながら、アルミ蒸着フィルム包装8には、ガス抜きを行うためのバルブ8bが設けられている。なお、図7においては、説明の都合上、バルブ8bは、アルミ蒸着フィルム包装8の側面上に設けられているが、実際は、図8(2)に示すように、アルミ蒸着フィルム包装8の正面上に設けられ、或は、背面上に設けられる。
アルミ蒸着フィルム包装8には、バルブ8bが設けられているため、コーヒー豆3から香気成分4及び炭酸ガス5が放出されて、袋の内圧が陽圧となった場合、圧力が一定程度を超えると、バルブ8bが作動し、矢印6cの方向に、自動的に香気成分4及び炭酸ガス5が放出される構造となっている。そのため、図7(1)に示すアルミ蒸着フィルム包装8の内部は、時間が経過すると内圧が一定程度の陽圧に保たれることになる。したがって、図7(2)に示すように、アルミ蒸着フィルム包装8の上端部8aを破り、開封すると、矢印6dの方向に、アルミ蒸着フィルム包装8の内側から外側へと、香気成分4及び炭酸ガス5が放出される。よって、アルミ蒸着フィルム包装8を用いた場合は、アルミ蒸着フィルム包装7を用いた場合とは異なり、開封直後においても、ゆっくりとではあるが外部に向けてコーヒーの香りが拡散することとなる。
このように、アルミ蒸着フィルム包装7を用いた場合は、袋の内圧が陰圧となるため、開封時の炭酸ガス及び香気成分の拡散が充分ではなかった。また、アルミ蒸着フィルム包装8を用いた場合は、袋の内圧が陽圧となるため、アルミ蒸着フィルム包装7を用いた場合よりは、開封時に炭酸ガス及び香気成分が拡散することとなるが、かかる場合でも、バルブが設けられているため内圧が下がり、開封時の拡散は必ずしも充分ではなかった。
図3は、リキャップ缶入りレギュラーコーヒーの開封イメージ図であり、(1)は開封前、(2)は開封後を示している。図3(1)に示すように、リキャップ缶2には、コーヒー豆3が充填され、コーヒー豆3に香気成分4及び炭酸ガス5が含まれる点については、アルミ蒸着フィルム包装(7,8)の場合と同様である。しかしながら、リキャップ缶2は、陽圧状態を保持し、かつ、形状を安定的に保持できる構造を有しているため、バルブ等は設けられていない。
したがって、図3(2)に示すように、リキャップ缶本体2aからキャップ部材2bを取り外して開封すると、矢印6aの方向に、リキャップ缶本体2aの内側から外側へと、香気成分4及び炭酸ガス5が放出される。密封状態においては、リキャップ缶本体2aの内圧は、アルミ蒸着フィルム包装(7,8)を用いた場合よりも、より陽圧となるため、開封時には、短時間で大量の香気成分4及び炭酸ガス5が外部へ放出されることとなる。また、かかる陽圧状態が保持されることにより、コーヒー豆3から炭酸ガス5が放出され難くなる。
このように、リキャップ缶2を用いることにより、開封時において、炭酸ガス及び香気成分を充分に拡散させ、コーヒー豆の香りを存分に楽しむことができる。
(香りの強さによる比較実験)
図4は、開封後の香り強度の変化に関する比較グラフを示している。実施例Aは、深煎豆をリキャップ缶に充填したものを示し、実施例Bは、浅煎豆をリキャップ缶に充填したものを示している。また、比較例1は、深煎豆をアルミ蒸着フィルム包装により包装したものを示し、比較例2は、浅煎豆をアルミ蒸着フィルム包装により包装したものを示している。
横軸は開封後の経過時間(秒)を示し、縦軸は香り強度(mV)を示している。本実験は、密閉容器内でコーヒーを開封し、飛散した香りの強さを経時的に測定することにより行った。具体的には、開封後10秒,20秒,30秒,60秒後に測定を行った。ここで、香りの強さの測定は、香気を検出し数値化する市販の臭気センサを使用した。本実験に用いたコーヒー豆の量は、いずれも120gである。また、深煎とは、焙煎度を示すL値が16の豆であり、浅煎とはL値が20の豆である。なお、本実施例における実験では、比較例1及び2のアルミ蒸着フィルム包装は、バルブが設けられたものを用いている。
図4に示すように、実施例Aと実施例B、或は、比較例1と比較例2というように、深煎豆と浅煎豆を比較すると、いずれの経過時間の場合においても、同じ包材であっても、深煎豆の方が、香り強度が高くなっている。また、実施例Aと比較例1、或は、実施例Bと比較例2というように、リキャップ缶とアルミ蒸着フィルム包装を比較すると、いずれの経過時間の場合においても、同じ焙煎度であっても、リキャップ缶に充填したものの方が、香り強度が高くなっている。そして、開封10秒後における香り強度について比較すると、リキャップ缶を用いた場合の香り強度は、アルミ蒸着フィルム包装を用いた場合の約10倍の香り強度を有することが分かる。
(抽出時の泡立ち度に関する比較実験)
図5は、抽出時の泡立ち度に関する比較グラフであり、(1)は浅煎豆をアルミ蒸着フィルム包装に充填したもの、(2)は浅煎豆をリキャップ缶に充填したもの、(3)は深煎豆をアルミ蒸着フィルム包装に充填したもの、(4)は深煎豆をリキャップ缶に充填したものを示している。それぞれ容器(包装または缶)に充填されたコーヒー豆を粉砕したコーヒー粉のサンプル10gにつき、50mlの湯を加水し、加水後1分経過後における、加水後の体積と加水前の体積の差を泡立ち度として測定した。なお、グラフ中の常温保存とは、温度25℃で保存したものであり、虐待保存とは、温度50℃で保存したものである。製造後3週間、常温保存を行うことにより得たコーヒー豆と、虐待保存を行うことにより得た想定4.5ヶ月相当経過後のコーヒー豆を比較した。
図5(1)に示すように、浅煎豆をアルミ蒸着フィルム包装に充填したものの場合、常温保存において製造後3週間経過後の泡立ち度は57ml、虐待保存において想定4.5ヶ月相当経過後の泡立ち度は48mlとなっており、製造後3週間経過後から想定4.5ヶ月相当経過後の間に泡立ち度が9ml低下したこととなっている。
図5(2)に示すように、浅煎豆をリキャップ缶に充填したものの場合、常温保存において製造後3週間経過後の泡立ち度は58ml、虐待保存において想定4.5ヶ月相当経過後の泡立ち度は53mlとなっており、製造後3週間経過後から想定4.5ヶ月相当経過後の間に泡立ち度が5ml低下したこととなっている。
図5(3)に示すように、深煎豆をアルミ蒸着フィルム包装に充填したものの場合、常温保存において製造後3週間経過後の泡立ち度は57ml、虐待保存において想定4.5ヶ月相当経過後の泡立ち度は47mlとなっており、製造後3週間経過後から想定4.5ヶ月相当経過後の間に泡立ち度が10ml低下したこととなっている。
図5(4)に示すように、深煎豆をリキャップ缶に充填したものの場合、常温保存において製造後3週間経過後の泡立ち度は64ml、虐待保存において想定4.5ヶ月相当経過後の泡立ち度は58mlとなっており、製造後3週間経過後から想定4.5ヶ月相当経過後の間に泡立ち度が6ml低下したこととなっている。
図5(1)と(2)を比較すると、アルミ蒸着フィルム包装よりもリキャップ缶を用いた場合の方が、保存中の泡立ちの減少率が約44%少ないといえる。また、図5(3)と(4)を比較すると、アルミ蒸着フィルム包装よりもリキャップ缶を用いた場合の方が、保存中の泡立ちの減少率が40%少ないといえる。このような違いは、リキャップ缶が密封容器であるため、外部への炭酸ガスの放出がないことや、陽圧によって、コーヒー豆からの炭酸ガスの放出が抑えられることに起因するものである。
(開栓時のキャップ飛びに関する比較実験)
下記表1は、開栓時のキャップ飛びに関する比較実験結果を示している。本実験における実施キャップとしては、シール長さが短く、ライナー厚さが薄いライナープロファイル形状、ガスベント開始開栓角度が比較的小さいものを用いている。実施キャップとして、従来から知られた炭酸飲料用PETボトルの樹脂製キャップを好適に用いることができる。
比較キャップとしては、シール長さが長く、ライナー厚さが厚いライナープロファイル形状、ガスベント開始開栓角度が比較的大きいもの(比較キャップ1)と、シール長さが長く、ライナー厚さが厚いライナープロファイル形状、ガスベント開始開栓角度が比較的大きいもの(比較キャップ2)を用いた。具体的には、比較キャップ1として、PETボトルのホットパック用キャップを使用し、比較キャップ2として、果汁飲料用PETボトルの防爆用キャップを使用した。果汁飲料用PETボトルの防爆用キャップでは、果汁飲料などの二次発酵による容器内圧上昇時に、キャップ飛び事故を防ぐため、内圧を解放するベント機構を持つが、比較キャップ2では、実施キャップ、比較キャップ1と異なり、ベント機構としてのベントスリットを備えている。キャップを巻き締めた容器の底部から、0.55MPaのエア圧で窒素ガスを容器内部へ常に送風しながらキャップを開栓した際の、開栓角度別にガスベント流量を測定していき、ボトルからキャップが外れた時の開栓角度およびガスベント流量を測定した。
Figure 0007188873000001
上記表1に示すように、比較キャップ1を用いた場合、キャップ飛び直前の開栓角度は180°、ガスベント流量は110L/minとなり、最も開栓時のキャップ飛びの恐れが大きいことが分かった。また、比較キャップ2は、シール長さが長く、ライナー厚さが厚いライナープロファイル形状であり、ガスベント開始開栓角度が比較的大きいものである点では、比較キャップ1と同様であるが、ベントスリットが設けられていることにより、キャップ飛び直前の開栓角度は270°、ガスベント流量は120L/minとなり、開栓時のキャップ飛びの恐れが小さくなることが分かった。
実施キャップでは、比較キャップ1,2とは異なり、シール長さが短く、ライナー厚さが薄いライナープロファイル形状であり、ガスベント開始開栓角度が比較的小さい構成にしたことにより、開栓過程でライナー部と外周部との間隙空間が比較的早く形成され、120L/minと比較的大きいガスベント流量を確保でき、キャップ飛び直前の開栓角度は315°となり、これらによって開栓時のキャップ飛びの恐れをほぼ無くすことができることが分かった。
(安全性検証のための落下試験)
下記表2は、安全性検証のための落下試験結果を示している。具体的には、リキャップ缶入りレギュラーコーヒー1の側面をカッター刃へ落下させた際の、缶胴における破裂の発生の有無を示している。本試験における実施フィルムとしては、不織布とPET(ポリエチレンテレフタレート)シュリンクフィルムの複合素材を使用した。また、比較フィルムとしては、PETシュリンクフィルムのみを素材としたものを使用した。なお、下記表2中の温度は、リキャップ缶2に充填されたコーヒー豆3の温度を示しており、また、「無」は、缶の破裂は無く、缶の変形または亀裂のみであったもの、「有」は、缶の破裂が有ったもの、「-」は実施しなかったことを示している。
Figure 0007188873000002
上記表2に示すように、リキャップ缶2の中のコーヒー豆3の温度が25℃である場合は、比較フィルムを用いたリキャップ缶入りレギュラーコーヒー1を、カッター刃へ落下させた際に、缶胴に破裂は発生しなかった。しかしながら、コーヒー豆3の温度が60℃である場合には、比較フィルムを用いたリキャップ缶入りレギュラーコーヒー1を、カッター刃へ落下させた際に、缶胴に破裂が発生した。
これに対して、実施フィルムを用いたリキャップ缶入りレギュラーコーヒー1の場合には、リキャップ缶2の中のコーヒー豆3の温度が60℃であっても、カッター刃へ落下させた際に、缶胴に破裂は発生しなかった。なお、実施フィルムを用いた場合について、コーヒー豆3の温度が25℃である場合については試験を行っていないが、より低温であるため、破裂は発生しないことが推測される。
以上より、落下時の破裂を防止するためのフィルムとしては、実施フィルムが適当であることが分かった。
(内圧条件毎の比較結果)
下記表3は、異なる内圧条件の容器に収容されたコーヒー豆の泡立ち度や開封時の香り等の比較結果を示している。具体的には、リキャップ缶入りレギュラーコーヒー1の内圧が0.01MPa未満、0.01~0.1MPa、0.1~0.15MPa、0.2MPa、0.35MPa、0.4~0.7MPa又は0.7MPa超とした場合について、泡立ち度、開封時の香り及び安全性に関する比較を行った。ここで、泡立ち度及び開封時の香りは、アルミ蒸着フィルム包装に充填されている場合との比較結果を定性的に示したものである。また、安全性については、開栓時におけるキャップ飛出しの危険性の有無と、カッター刃へのサンプル落下時の破裂の危険性の有無について、内圧条件毎に比較を行った結果を示している。
Figure 0007188873000003
上記表3に示すように、リキャップ缶入りレギュラーコーヒー1の内圧が0.01MPa未満の場合には、容器に収容されたコーヒー豆の泡立ち度や開封時の香りについては、いずれもアルミ蒸着フィルム包装に充填した場合と“同等”であり、0.01MPa未満の低圧であることから、キャップ飛出しや落下時破裂の危険性は“無し”という結果であった。総合評価としては、安全性は高いが、泡立ちや香りの点で劣るため、“やや悪い”と判定した。
リキャップ缶入りレギュラーコーヒー1の内圧が0.01MPa以上0.1MPa以下の場合には、容器に収容されたコーヒー豆の泡立ち度や開封時の香りについては、いずれもアルミ蒸着フィルム包装に充填した場合よりも“僅かに高い”、キャップ飛出しや落下時破裂の危険性は“無し”という結果であった。総合評価としては、0.01MPa未満の場合と同様に安全性は高く、0.01MPa未満の場合よりも泡立ちや香りが僅かに良くなったため、“やや良い”と判定した。
リキャップ缶入りレギュラーコーヒー1の内圧が0.1MPa以上0.15MPa以下の場合には、容器に収容されたコーヒー豆の泡立ち度や開封時の香りについては、いずれもアルミ蒸着フィルム包装に充填した場合よりも“やや高い”、キャップ飛出しや落下時破裂の危険性は“無し” という結果であった。総合評価としては、0.1MPa未満の場合と同様に安全性は高く、0.1MPa未満の場合よりも泡立ちや香りがやや良くなったため、“良い”と判定した。
リキャップ缶入りレギュラーコーヒー1の内圧が0.2MPaの場合には、容器に収容されたコーヒー豆の泡立ち度や開封時の香りについては、いずれもアルミ蒸着フィルム包装に充填した場合よりも“高い”、キャップ飛出しや落下時破裂の危険性は“無し” という結果であった。総合評価としては、安全性が高いだけではなく、泡立ちや香りの点でも優れるため、“とても良い”と判定した。
リキャップ缶入りレギュラーコーヒー1の内圧が0.35MPaの場合には、容器に収容されたコーヒー豆の泡立ち度や開封時の香りについては、いずれもアルミ蒸着フィルム包装に充填した場合よりも“とても高い”、キャップ飛出しの危険性は“無し”という結果であった。また、内圧が0.35MPaのような陽圧になると、落下時破裂の危険性があるため、“やや有り” という結果であった。総合評価としては、安全性の点では、落下時の破裂の危険性はやや有るものの、キャップ飛出しの危険性は無く、泡立ちや香りの点でも非常に優れるため、“とても良い”と判定した。
リキャップ缶入りレギュラーコーヒー1の内圧が0.4MPa以上0.7MPa以下の場合には、容器に収容されたコーヒー豆の泡立ち度や開封時の香りについては、いずれもアルミ蒸着フィルム包装に充填した場合よりも“とても高い”、キャップ飛出しの危険性は“無し”という結果であった。また、内圧が0.4~0.7MPaのような陽圧になると、落下時破裂の危険性があるため、“有り”という結果であった。総合評価としては、安全性の点では、落下時の破裂の危険性が有るものの、キャップ飛出しの危険性は無く、泡立ちや香りの点でも非常に優れるため、“良い”と判定した。
リキャップ缶入りレギュラーコーヒー1の内圧が0.7MPa超の場合には、容器に収容されたコーヒー豆の泡立ち度や開封時の香りについては、いずれもアルミ蒸着フィルム包装に充填した場合よりも“とても高い”という結果であった。しかしながら、キャップ飛出しの危険性は“やや有り”という結果であった。また、0.7MPa超の陽圧になると、落下時破裂の危険性は、“有り”という結果であった。総合評価としては、泡立ちや香りの点では非常に優れるが、安全性の点では、キャップ飛出しの危険性がやや有るだけではなく、落下時の破裂の危険性も有るため、“やや悪い”と判定した。
(容量に関する比較実験結果)
下記表4は、容量に関する比較実験結果を示している。具体的には、リキャップ缶入りレギュラーコーヒー1の容器容量が、400ml、500ml及び720mlの各場合について、内圧、泡立ち度、開封時の香り及び安全性に関する比較実験を行った。ここで、泡立ち度及び開封時の香りは、アルミ蒸着フィルム包装に充填されている場合との比較結果を定性的に示したものである。また、安全性については、開栓時におけるキャップ飛出しの危険性の有無と、カッター刃へのサンプル落下時の破裂の危険性の有無について、容量毎に比較実験を行った結果を示している。
なお、内容量については、何れのサンプルも、一般に消費者が一定期間内に使い切ることのできるとされる120gで実験を行った。また、内圧、泡立ち度及び開封時の香りについて、一定の範囲で示されているのは、焙煎度の異なる豆を実験に用いたためである。
Figure 0007188873000004
上記表4に示すように、リキャップ缶入りレギュラーコーヒー1の容量が、400mlの場合には、内圧は0.1~0.3MPa、容器に収容されたコーヒー豆の泡立ち度や開封時の香りについては、いずれもアルミ蒸着フィルム包装に充填した場合よりも“高い~とても高い”となり、キャップ飛出しや落下時破裂の危険性は“無し”という結果であった。
リキャップ缶入りレギュラーコーヒー1の容量が、500mlの場合には、内圧は0.1~0.25MPa、容器に収容されたコーヒー豆の泡立ち度や開封時の香りについては、いずれもアルミ蒸着フィルム包装に充填した場合よりも“高い~とても高い”となり、キャップ飛出しや落下時破裂の危険性は“無し”という結果であった。
リキャップ缶入りレギュラーコーヒー1の容量が、720mlの場合には、内圧は0.01~0.15MPa、容器に収容されたコーヒー豆の泡立ち度や開封時の香りについては、いずれもアルミ蒸着フィルム包装に充填した場合と“同等”となり、キャップ飛出しや落下時破裂の危険性は“無し”という結果であった。
このように、容量が500ml以下の場合には、コーヒーから発散される炭酸ガスにより、容器内圧が0.1MPa以上に保たれていることが分かる。これに対して、内容量が720mlの場合は、焙煎度によっては容器内圧が0.01MPa以上とはならず、泡立ち度と開封時の香りに優れたコーヒー豆とならないことが分かる。
したがって、内容量120gの場合において、泡立ち度や開封時の香りに優れたコーヒー豆を提供するための容器の容量としては、500ml以下が適切であるといえる。
(焙煎後充填時間に関する比較実験結果)
下記表5は、焙煎後充填時間に関する比較実験結果を示している。具体的には、焙煎後充填時間が、0時間、2時間、4時間、8時間及び16時間の各場合について、泡立ち度(ml)、泡立ち度を加水前体積で除した値、開封時の香り及び安全性に関する比較実験を行った。ここで、開封時の香りは、アルミ蒸着フィルム包装に充填されている場合との比較結果を定性的に示したものである。また、安全性については、開栓時におけるキャップ飛出しの危険性の有無と、カッター刃へのサンプル落下時の破裂の危険性の有無について、容量毎に比較実験を行った結果を示している。
Figure 0007188873000005
上記表5に示すように、焙煎後充填時間が0時間の場合(焙煎後すぐに充填する場合)には、泡立ち度は80ml、泡立ち度を加水前体積で除した値は2.2、開封時の香りについては、“とても高い”となり、キャップ飛出しは“無し”、落下時破裂の危険性は“やや有り”という結果であった。
焙煎後充填時間が2時間の場合には、泡立ち度は78ml、泡立ち度を加水前体積で除した値は2.2、開封時の香りについては、“とても高い”となり、キャップ飛出しや落下時破裂の危険性は“無し” という結果であった。
焙煎後充填時間が4時間の場合には、泡立ち度は78ml、泡立ち度を加水前体積で除した値は2.0、開封時の香りについては、“とても高い”となり、キャップ飛出しや落下時破裂の危険性は“無し”という結果であった。
焙煎後充填時間が8時間の場合には、泡立ち度は74ml、泡立ち度を加水前体積で除した値は2.0、開封時の香りについては、“とても高い”となり、キャップ飛出しや落下時破裂の危険性は“無し”という結果であった。
焙煎後充填時間が16時間の場合には、泡立ち度は71ml、泡立ち度を加水前体積で除した値は1.9、開封時の香りについては、“高い”となり、キャップ飛出しや落下時破裂の危険性は“無し”という結果であった。
一般に、泡立ち度を加水前の体積で除した値が2.0~2.4である場合には、泡立ちがよく、視覚的にもユーザーを楽しませる効果が高いと考えられるところ、上記表5に示すように、焙煎後充填時間を8時間以内とすることで、泡立ち度を加水前の体積で除した値は、包材充填時において2.0~2.4の範囲内となることが分かった。また、開封時の香りについても、焙煎後充填時間を8時間以内とすることで、アルミ蒸着フィルム包装に充填した場合よりも“とても高い”と判定されることが分かった。安全性については、焙煎後充填時間が0時間の場合には、落下時破裂の危険性が“やや有り”となっているが、かかる場合でも製品化をなし得るための安全性は保たれているといえる。
以上より、泡立ち度や開封時の香りに優れたコーヒー豆を提供するための焙煎後充填時間としては、8時間以内が適切であることが分かった。
本発明は、ドリップ用のコーヒー豆の提供方法として有用である。
1 リキャップ缶入りレギュラーコーヒー
2 リキャップ缶
2a リキャップ缶本体
2b キャップ部材
3 コーヒー豆
4 香気成分
5 炭酸ガス
6 矢印
7,8 アルミ蒸着フィルム包装
8a 上端部
8b バルブ

Claims (4)

  1. 商業用に量産される焙煎コーヒー豆であって、
    コーヒー豆の焙煎終了後からリキャップ缶本体の小分け容器に充填するまでの焙煎後充填時間が2~8時間に調整され、充填されたコーヒー豆から放出される炭酸ガスに加えて、外部から注入された不活性ガス、酸素ガス又は炭酸ガスの少なくとも何れかによって、内圧が0.2~0.35MPaの範囲の陽圧状態に保持され、
    前記容器の容積に対するコーヒー豆の充填率は、30~70%であり、
    前記容器は、開閉自在の密閉用キャップを備えたアルミニウム製リキャップ缶である、リキャップ缶入り焙煎コーヒー豆の作製方法
  2. 前記容器の外周面は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂のシュリンクフィルムと不織布との複合素材から成るフィルムで被覆されたことを特徴とする請求項1に記載のリキャップ缶入り焙煎コーヒー豆の作製方法
  3. 商業用に量産される焙煎コーヒー豆の提供方法であって、
    コーヒー豆の焙煎終了後からリキャップ缶本体の小分け容器に充填するまでの焙煎後充填時間を2~8時間に調整するステップと、
    充填されたコーヒー豆から放出される炭酸ガスに加えて、外部から注入された不活性ガス、酸素ガス又は炭酸ガスの少なくとも何れかによって、前記容器の内圧を0.2~0.35MPaの範囲の陽圧状態に保持させるステップと、
    コーヒー豆を前記陽圧状態に保持された前記容器で提供するステップ、
    から成り、
    前記容器の容積に対するコーヒー豆の充填率は、30~70%であり、
    前記容器は、開閉自在の密閉用キャップを備えたアルミニウム製リキャップ缶である、ことを特徴とするリキャップ缶入り焙煎コーヒー豆の提供方法。
  4. 前記容器の外周面は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂のシュリンクフィルムと不織布との複合素材から成るフィルムで被覆されことを特徴とする請求項3に記載のリキャップ缶入り焙煎コーヒー豆の提供方法。
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