JP7188159B2 - 仮固定用水易解体性接着剤組成物 - Google Patents
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Description
そのため、例えば、人の手指同士が接着してしまった場合には、火傷の虞があることから、これらの文献に記載された方法を採用することができず、また、工業的用途の仮接着に用いた場合には、剥離に必要な熱量を確保及び維持するためにコスト高となるという問題があった。
<1> 2-シアノアクリレート化合物、及び、水溶性化合物を含有し、前記水溶性化合物の溶解性パラメータが、8.0(cal/cm3)0.5以上23.4(cal/cm3)0.5以下である水易解体性接着剤組成物。
<2> 前記2-シアノアクリレート化合物の溶解性パラメータが、10.0(cal/cm3)0.5以上23.4(cal/cm3)0.5以下である<1>に記載の水易解体性接着剤組成物。
<3> 前記水溶性化合物の含有量が、前記2-シアノアクリレート化合物及び前記水溶性化合物の合計含有量100質量部に対し、0.5質量部以上50質量部以下である<1>又は<2>に記載の水易解体性接着剤組成物。
<4> 前記2-シアノアクリレート化合物が、アルキル-2-シアノアクリレート化合物、又は、エーテル結合、カーボネート結合若しくはスルホニル結合を有する2-シアノアクリレート化合物である<1>~<3>のいずれか1つに記載の水易解体性接着剤組成物。
<5> 前記2-シアノアクリレート化合物が、エチル-2-シアノアクリレート、エトキシエチル-2-シアノアクリレート、メトキシエチル-2-シアノアクリレート、メトキシプロポキシプロピル-2-シアノアクリレート、テトラヒドロフルフリル-2-シアノアクリレート、グリセリンカーボネート-2-シアノアクリレート、スルホラニルメチル-2-シアノアクリレート、及び、メトキシエトキシエチル-2-シアノアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物である<1>~<4>のいずれか1つに記載の水易解体性接着剤組成物。
<6> 前記水溶性化合物が、エチレンカーボネート、ジメチルスルホン、スルホラン、γ-ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンジアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアセテート、ポリオキシアルキレンジアセテート、及び、脂肪酸ポリオキシエチレングリセロールボレートよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物である<1>~<5>のいずれか1つに記載の水易解体性接着剤組成物。
<7> 仮固定用水易解体性接着剤組成物である<1>~<6>のいずれか1つに記載の水易解体性接着剤組成物。
<8> 教材用水易解体性接着剤組成物である<1>~<7>のいずれか1つに記載の水易解体性接着剤組成物。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本発明において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本発明の水易解体性接着剤組成物(以下、単に「接着剤組成物」ともいう。)は、2-シアノアクリレート化合物、及び、水溶性化合物を含有し、前記水溶性化合物の溶解性パラメータが、8.0(cal/cm3)0.5以上23.4(cal/cm3)0.5以下である。
これによる優れた効果の作用機構は明確ではないが、以下のように推定している。
2-シアノアクリレート化合物に溶解可能であり、かつ溶解性パラメータが、8.0(cal/cm3)0.5以上23.4(cal/cm3)0.5以下である水溶性化合物を含有することにより、接着剤組成物中において、2-シアノアクリレート化合物と前記水溶性化合物との相溶性に優れることにより、硬化後においても、前記水溶性化合物が2-シアノアクリレート化合物の重合体へ十分分散されており、水と接触した場合に、前記水溶性化合物の水への溶解を起点とし、硬化物への水の浸透性に優れるとともに、硬化物の吸水及び膨潤、あるいは前記水溶性化合物の溶出に伴う変形による硬化物の脆化、並びに、わずかな外力で解体が生じ、また、接着界面への水の浸透、及び、接着力の低下が生じることにより、硬化した後における水による剥離又は除去性(本発明において「水易解体性」ともいう。)に優れると推定される。
本発明の接着剤組成物は、水易解体性に優れるため、熱水又は加圧熱水により短時間で容易に剥離又は除去可能であることは勿論、例えば、常温(15℃~25℃)からぬるま湯程度の温度(30℃~45℃)範囲の水に浸漬等することにより、剥離又は除去することも可能である。
本発明の接着剤組成物は、2-シアノアクリレート化合物を含有する。
2-シアノアクリレート化合物としては、この種の接着剤組成物に一般に使用される2-シアノアクリレート化合物を特に限定されることなく用いることができる。この2-シアノアクリレート化合物としては、2-シアノアクリル酸のメチル、エチル、クロロエチル、n-プロピル、i-プロピル、アリル、プロパルギル、n-ブチル、i-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、フェニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロフルフリル、ヘプチル、2-エチルヘキシル、n-オクチル、2-オクチル、n-ノニル、オキソノニル、n-デシル、n-ドデシル、メトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシイソプロピル、メトキシブチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、エトキシイソプロピル、プロポキシメチル、プロポキシエチル、イソプロポキシエチル、プロポキシプロピル、ブトキシメチル、ブトキシエチル、ブトキシプロピル、ブトキシイソプロピル、ブトキシブチル、メトキシエトキシエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ヘキサフルオロイソプロピル、フェニルエチル、フェノキシエチル、アルコキシポリエチレンオキシエチル、アルコキシポリプロピレンオキシプロピル、グリセリンカーボネート、2-スルホラニルメチル、3-スルホラニルメチル等のエステルが挙げられる。
(混合物のSP値)2=(成分1の体積分率)×(成分1のSP値)2+(成分2の体積分率)×(成分2のSP値)2+・・・
本発明の接着剤組成物における2-シアノアクリレート化合物の含有量は、水易解体性、接着性及び硬化性の観点から、接着剤組成物の全質量に対し、40質量%以上99.5質量%以下であることが好ましく、50質量%以上99.5質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上90質量%以下であることが更に好ましく、70質量%以上85質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の接着剤組成物は、水溶性化合物を含有する。
前記水溶性化合物は、水易解体性、及び、2-シアノアクリレート化合物への相溶性の観点から、本発明の接着剤組成物に含有される前記2-シアノアクリレート化合物に溶解可能であることが好ましい。
本発明において、水溶性化合物が、2-シアノアクリレート化合物に溶解可能であるとは、使用する2-シアノアクリレート化合物100質量部に対し、使用する水溶性化合物1質量部を25℃において混合撹拌し、目視により相分離が見られず、均一な混合物を形成できることを表す。
また、本発明において、「水溶性化合物」とは、水と任意の混合比で混和し溶液となるか、又は、水に対する溶解度(25℃)が1g/100g以上の化合物を意味する。
また、前記水溶性化合物のSP値は、水による剥離及び解体速度の観点からは、高い値であることが好ましい。
なお、本発明における高分子化合物の数平均分子量(Mn)、及び、重量平均分子量(Mw)の値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定するものとする。
また、水溶性高分子化合物としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート等が好ましく挙げられる。
更に、水溶性化合物として、水易解体性、及び、粘性の観点から、低分子化合物、及び、高分子化合物を併用することも好ましい。
また、汎用性の観点からは、水溶性化合物としては、エチレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、ジメチルスルホン、プロピレンカーボネート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンジアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアセテート、及び、ポリオキシアルキレンジアセテートよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
R-(OCH2CHX)n・(OCH2CH2)m-OR’
(式(1)中、R、R’は水素原子又は直鎖若しくは分岐の炭素数1~20のアルキル基若しくはアルキルアセテート基、Xは炭素数1~10のアルキル基、nは0~20の整数、mは0~20の整数である。)
本発明の接着剤組成物における水溶性化合物の含有量は、水易解体性の観点から、接着剤組成物の全質量に対し、0.5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、1質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上35質量%以下であることが更に好ましく、10質量%以上30質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の接着剤組成物は、前記2-シアノアクリレート化合物及び前記水溶性化合物以外のその他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、従来、2-シアノアクリル酸エステルを含有する接着剤組成物に配合して用いられている安定剤、硬化促進剤、可塑剤、増粘剤、粒子、着色剤、香料、溶剤、強度向上剤等を、目的に応じて、接着剤組成物の硬化性及び接着強さ等を損なわない範囲で適量配合することができる。
前記粒子の平均粒子径は、10μm~200μmであることが好ましく、15μm~200μmであることがより好ましく、15μm~150μmであることが更に好ましい。
粒子の材質は、使用する2-シアノアクリレート化合物に不溶であり、重合等の変質を引き起こさないものであれば特に限定されない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド等の熱可塑性樹脂;不飽和ポリエステル、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン-スチレン共重合体、ジビニルベンゼン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体等の架橋樹脂;球状シリカ、ガラスビーズ、ガラスファイバー等の無機化合物;シリコーン化合物;有機ポリマー骨格とポリシロキサン骨格を含んでなる有機無機複合粒子等が挙げられる。
また、粒子の含有量は特に限定されないが、2-シアノアクリレート化合物の含有量を100質量部とした場合に、0.1質量部~10質量部であることが好ましく、1質量部~5質量部であることがより好ましく、1質量部~3質量部であることが更に好ましい。前記0.1質量部~10質量部の範囲であると、硬化速度や接着強さに与える影響を少なくすることができる。
本発明における粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定した体積基準の平均値である。
中でも、本発明の水易解体性接着剤組成物は、接着した箇所の接着剤組成物又は不要な箇所に付着し硬化した接着剤組成物を、水により簡便に剥離又は除去することができるため、例えば、仮固定用水易解体性接着剤組成物、又は、教材用水易解体性接着剤組成物として好適に用いることができる。本発明の水易解体性接着剤組成物は、例えば、常温(15℃~25℃)からぬるま湯程度の温度(30℃~45℃)範囲の水に浸漬等することにより、剥離又は除去することが可能であるため、例えば、手指などの不要な箇所に付着し硬化しても、水により容易に剥離又は除去することができる。また、常温からぬるま湯程度の温度範囲の水により、剥離又は除去することが可能であるため、工業的用途の仮固定に用いた場合には、剥離に必要な熱量を低減することができ、コストを削減することができる。
ここで、工業的用途の仮固定としては、例えば、半導体ウェハ等の各種電子材料、光学材料等と、研磨用定盤等の各種治具との仮固定等が挙げられる。
また、本発明の水易解体性接着剤組成物により接着する被着材としては、特に制限はなく、無機化合物であっても、有機化合物であっても、無機-有機複合物であってもよく、また、同じ材質であっても、異なる材質のものであってもよい。また、本発明の水易解体性接着剤組成物は、固体状の任意の形状のものを接着することができる。
即ち、本発明の仮固定方法は、
2-シアノアクリレート化合物と、上記2-シアノアクリレート化合物に溶解可能であり、溶解性パラメータが8.0(cal/cm3)0.5以上23.4(cal/cm3)0.5以下である水溶性化合物とを混合し、接着剤組成物を作製する工程(以下、「接着剤組成物作製工程」という。)と、
複数の部材間に上記接着剤組成物からなる接着層を形成する工程(以下、「接着層形成工程」という。)と、
上記複数の部材間に形成された上記接着層を硬化させて硬化物とし、該硬化物により上記複数の部材同士を仮接着する工程(以下、「仮接着工程」という。)と、
上記硬化物を水に接触させて解体し、上記複数の部材同士を分離する工程(以下、「分離工程」という。)と、
をこの順に有する。
また、本発明の仮固定方法は、上記仮接着固定と上記分離工程との間に、仮接着した上記部材を所望の形状に加工する工程(以下、「加工工程」という。)を有していてもよい。
以下、本発明の仮固定方法が有する各工程について説明する。
本工程に用いることができる2-シアノアクリレート化合物及び水溶性化合物については上記したとおりである。
本工程において、2-シアノアクリレートと水溶性化合物とを混合、撹拌し、均一液を得ることで、接着剤組成物を作製することができる。2-シアノアクリレートと水溶性化合物とを混合する方法は特に限定されないが、室温から60℃以下の温度で、混合液を放置するか、攪拌機等を使って混合することによって作製することができる。
接着層形成工程は、例えば、固定する一方又は複数の部材の被着面に接着剤組成物を塗布し、該塗布した箇所に他の部材を重ねること、及び、その繰り返しを行う工程とすることができる。本形態において、塗布するためには、被着体の形状に合わせて、ディスペンサー、コーター、ロール、はけ、へら、スプレー、塗布冶具等を用いてもよい。あるいは、予め積層した被着体を接着剤組成物に浸し、被着体の隙間に接着剤組成物を浸み込ませる方法もあげられる。被着体としては、接着剤組成物及び常温からぬるま湯程度の温度の水で変質しないものであれば特に限定されず、金属、セラミックス、プラスチックなど用いることができる。
上記接着剤組成物は、僅かな湿気で瞬間的に硬化可能であるため、特別な装置や特殊な条件を設ける必要なく硬化物を得ることができる。硬化反応を促進するために、被着体に影響がない範囲、例えば40℃から100℃程度に加熱して硬化を行っても良い。
分離工程においては、硬化物を水に接触させる方法としては、被着体を水に浸漬する、流水に曝す、被着体に水を噴霧する方法などがあげられる。処理時間は、水の接触方法や加熱温度にもよるが、例えば、10秒~3分の範囲であることが好ましい。また、被着体と常温からぬるま湯程度の温度の水とが接触する時、被着体に機械的な外力を加えたり、超音波を照射したりして、分離を促進することも好ましい。
1.試験方法
1-1.試験片作製
表1又は表2に記載の2-シアノアクリレート化合物に、表1又は表2に記載の水溶性化合物を表1又は表2に記載の含有量となるように加え、均一になるまで撹拌し、実施例1~11、及び、比較例1~5に係る接着剤組成物を作製した。各接着剤組成物を直径50mmのポリエチレン容器に約4g流し込み、N,N-ジメチル-p-トルイジンを3μL~4μL添加し撹拌した後、完全に硬化するまで静置して、直径50mm、厚さ16±5mmの範囲内の厚さの硬化物を作製した。硬化後、容器から硬化物を取り出し、それを2分割した半円型のものを、試験及び評価に使用した。
なお、比較例3で使用したビフェニルは、水溶性化合物でない。
1-1のように作製した試験片の片方を浸水用(A)、もう片方を試験前比較用(B、不浸水)として使用した。
試験片Aは、温度23℃の雰囲気下、80mLの蒸留水に浸した。24時間静置後、試験片を蒸留水から取り出し、表面の水を良くふき取って、23℃の試験として評価した。
同様に、同じ配合組成で作製した試験片Aを、温度40℃の雰囲気下、80mLの蒸留水に浸した。24時間静置後、試験片を蒸留水から取り出し、表面の水を良くふき取って、40℃の試験として評価した。
(1)吸水率及び溶出率
浸水試験前の試験片Aの質量(a)、その試験片Aの浸水試験後の質量(b)、更にその試験片Aの温度50℃20時間真空乾燥による脱水後の質量(c)、浸水していない試験前比較用の試験片Bの質量(d)、その試験片Bの温度50℃20時間真空乾燥による脱水後の質量(e)を、23℃の試験、又は、40℃の試験についてそれぞれ測定した。
前記a~eの値を用い、下式の通り、吸水率及び溶出率を算出した。結果は、表1の通りである。
吸水率(%):((b-c)-(a×(d-e)/d))/(a-a×(d-e/d))×100
溶出率(%):((a-c)-(a×(d-e)/d))/(a-a×(d-e/d))×100
全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠して、ヘーズメーター(NHD-2000、日本電色工業(株)製)を用いて測定した。
ヘーズは、JIS K7136に準拠して、ヘーズメーター(NHD-2000、日本電色工業(株)製)を用いて測定し、以下の式から算出した。
ヘーズ(%)=(全光線透過率-平行線透過率)/全光線透過率
試験片は、1-1記載の方法で作製した直径50mm、測定個所の厚さ16±5mmの半円型の硬化物板を、ヘーズメーターの光源に垂直になるようにして試験片を押し付けた状態で測定した。
まず浸水前の試験片を測定し、前記浸水試験と同様な方法で浸水試験後、表面の水をふき取り浸水後の試験片として測定した。結果は表2の通りである。
人の指を用いて、実施例3、4、9~11及び13~15、並びに、比較例1、2、4及び5に係る接着剤組成物を用い、3人の評価者により接着及び剥離試験を行った。
接着剤組成物1滴を人差し指にのせ、親指を軽く押し当てて薄く押し広げ、親指と人差し指とを接着した。
実施例3、4、9~11及び13~15、並びに、比較例1、2、4及び5に係る接着剤組成物は、いずれも30秒以内で親指と人差し指とが剥がれなくなった。
次に40℃の温水に接着した指をつけかるく揉み、親指と人差し指とが分離するまでの時間を測定した。3人の評価者による測定値の平均値を算出した結果を表3に示す。なお、実施例15は、1人の評価者のみの値である。
よって、本発明の水易解体性接着剤組成物は、対応するシアノアクリレート化合物のみを含有する場合に比べ、硬化後において、水により容易に剥離又は除去することができた。
また、表1又は表2に示す吸水率及び溶出率の少なくともいずれかの値が大きいほど、硬化後の水による剥離性により優れるものであった。
更に、表2に示す浸水後のヘーズが高いか、浸水後の全光線透過率が低いほど、硬化後の水による剥離性により優れるものであった。
表4~表6に記載の2-シアノアクリレート化合物に、表4~表6に記載の水溶性化合物を表4~表6に記載の含有量となるように加えた以外は、実施例1と同様にして、実施例16~70、及び、比較例6~13に係る接着剤組成物を作製した。
得られた接着剤組成物を用い、1人又は2人の評価者により行い、また、指同士を接着後2分経過後に剥離試験を行った以外は、実施例3と同様にして、接着及び剥離試験を行った。
評価結果を表4~表6に示す。
トリエチレングリコールジメチルエーテル:8.37(cal/cm3)0.5
ノイゲンXL-40(ポリオキシエチレンデシルエーテル(オキシエチレン鎖の数=4)、第一工業製薬(株)製):8.96(cal/cm3)0.5(上述の式(1)において、Rの分岐数:1、X:CH3,n:4と仮定した場合。)
エマルボンT-80(脂肪酸ポリオキシエチレングリセロールボレート、東邦化学工業(株)製):9.34(cal/cm3)0.5(脂肪酸:ラウリン酸(C12直鎖飽和脂肪酸)、エチレンオキシドの繰り返し数:8と仮定した場合。)
また、表5に記載の下記化合物は、水溶性を示さない疎水性化合物である。
DINP(フタル酸ジイソノニル)
ATBC(o-アセチルクエン酸トリブチル)
表4~表6に示すように、実施例16~70の水易解体性接着剤組成物は、対応するシアノアクリレート化合物のみを含有する場合に比べ、硬化後において、水により容易に剥離又は除去することができた。
また、中でも、実施例38、48~50、66及び67の水易解体性接着剤組成物は、指への接着性と水剥離性とのバランスに優れるものであり、更に、実施例49及び50の水易解体性接着剤組成物は、指への接着性と水剥離性とのバランスに特に優れるものであった。
また、本発明の水易解体性接着剤組成物は、同種の被接着材間だけでなく、特に異種の被接着材間(例えば、金属と樹脂との間)の接着に好適に使用することができる。
Claims (5)
- 2-シアノアクリレート化合物、及び、
水溶性化合物を含有し、
前記水溶性化合物が、スルホラン、ジメチルスルホン及びポリオキシエチレンデシルエーテルよりなる群から選ばれた少なくとも1種を含み、
前記水溶性化合物の溶解性パラメータが、8.0(cal/cm3)0.5以上23.4(cal/cm3)0.5以下であり、
前記水溶性化合物の含有量が、前記2-シアノアクリレート化合物及び前記水溶性化合物の合計含有量100質量部に対し0.5質量部以上50質量部以下である
仮固定用水易解体性接着剤組成物。 - 前記水溶性化合物が、スルホランを含む請求項1に記載の仮固定用水易解体性接着剤組成物。
- 前記2-シアノアクリレート化合物の溶解性パラメータが、10.0(cal/cm3)0.5以上23.4(cal/cm3)0.5以下である請求項1又は請求項2に記載の仮固定用水易解体性接着剤組成物。
- 前記2-シアノアクリレート化合物が、アルキル-2-シアノアクリレート化合物、又は、エーテル結合、カーボネート結合若しくはスルホニル結合を有する2-シアノアクリレート化合物である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の仮固定用水易解体性接着剤組成物。
- 前記2-シアノアクリレート化合物が、エチル-2-シアノアクリレート、エトキシエチル-2-シアノアクリレート、メトキシエチル-2-シアノアクリレート、メトキシプロポキシプロピル-2-シアノアクリレート、テトラヒドロフルフリル-2-シアノアクリレート、グリセリンカーボネート-2-シアノアクリレート、スルホラニルメチル-2-シアノアクリレート、及び、メトキシエトキシエチル-2-シアノアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の仮固定用水易解体性接着剤組成物。
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