以下、添付の図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。各図における同一の符号は、同一の部分または相当する部分を示す。また、本開示では、重複する説明については、適宜に簡略化または省略する。なお、本発明は、以下に説明する実施の形態によって限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において、以下の各実施の形態によって開示される構成のあらゆる変形例を含み得る。また、添付の図面における各構成部材の位置および大きさは、実際のものとは異なる場合がある。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の炊飯器100の構成を概略的に示す図である。図1は、炊飯器100の断面構造および制御系統の構成の一例を示している。炊飯器100は、米および水等が含まれる被加熱物を、加熱調理する機器である。炊飯器100は、本開示に係る加熱調理器の一例である。炊飯器100は、米および水を含む被加熱物を加熱することによって米飯を炊き上げる加熱調理器である。
なお、本開示に係る加熱調理器は、炊飯器100に限られるものではない。本開示に係る加熱調理器によって加熱調理される被加熱物は、必ずしも米が含まれていなくてもよい。本開示に係る加熱調理器は、米以外の食品を被加熱物として加熱調理するものであってもよい。
以下の実施の形態においては、米および水を含む被加熱物を加熱調理する炊飯器100を、本開示に係る加熱調理器の一例として説明する。
まず、炊飯器100の全体構成の概要について説明する。図1に示すように、炊飯器100は、鍋状容器1と、本体10と、蓋体20と、給水部30と、を備えている。鍋状容器1は、上方に開口した鍋状の容器である。鍋状容器1は、被加熱物を収容する容器の一例である。鍋状容器1に収容される被加熱物には、米および水が含まれる。炊飯器100が備える鍋状容器1は、炊飯釜とも称されるものである。
本体10は、炊飯器100の主要構造部分である。本体10の形状は、有底の筒状である。本体10は、図1に示すように、上方に開口した形状をしている。本体10の鍋状容器1は、この本体10に着脱自在に収容される。本体10は、当該本体10に収容された鍋状容器1を加熱する。鍋状容器1が本体10によって加熱されることで、当該鍋状容器1に収容された被加熱物が加熱調理される。
蓋体20は、開閉自在に本体10に取り付けられている。蓋体20は、本体10の上部の開口を開閉可能に構成されている。蓋体20は、本体10の上部の開口を開閉すると同時に、当該本体10に収容された鍋状容器1の上部の開口も開閉する。図1において、蓋体20は、鍋状容器1の上部の開口を閉じている。図1において、蓋体20は、鍋状容器1および当該鍋状容器1に収容された被加熱物を上方から覆っている。
また、給水部30は、鍋状容器1に水を供給するためのものである。本実施の形態において、給水部30は、本体10に着脱可能に取り付けられる。以下、鍋状容器1、本体10、蓋体20および給水部30等の、炊飯器100の各構成要素についてより詳細に説明する。
鍋状容器1は、上記したように、被加熱物を収容する容器である。鍋状容器1の形状は、一例として、有底の円筒形状である。鍋状容器1には、例えば、電磁誘導によって発熱する磁性体の金属が含まれる。また、本実施の形態において、鍋状容器1の上端部には、フランジ部1aが形成されている。フランジ部1aは、鍋状容器1の上端部から当該鍋状容器1の外側に突き出している。フランジ部1aは、鍋状容器1の上部の開口の外周を囲うように形成されている。なお、鍋状容器1の構造は、図示されたものに限定されない。
上記のように構成された鍋状容器1が着脱自在に収容される本体10は、容器カバー11、加熱コイル12、鍋底温度センサ13およびヒンジ部14を備える。容器カバー11は、有底の筒状に形成されている。容器カバー11は、上方に開口した凹型の部材である。鍋状容器1は、この容器カバー11内に、着脱自在に収容される。容器カバー11は、鍋状容器1の底面に対向する底面部11aを有する。この底面部11aの中央には、孔部11bが形成されている。孔部11bには、鍋底温度センサ13が挿入される。
加熱コイル12は、鍋状容器1を加熱するためのコイルである。加熱コイル12は、例えば、底面部11aに設置される。底面部11aに設置された加熱コイル12は、当該底面部11aを挟んで鍋状容器1の底面に対向する。加熱コイル12には、高周波の電流が供給される。加熱コイル12は、電磁誘導によって鍋状容器1を発熱させる。なお、加熱コイル12は、鍋状容器1を発熱させることができれば、底面部11a以外の場所に配置されてもよい。
本実施の形態における加熱コイル12は、被加熱物を収容する容器を加熱する加熱手段の一例である。加熱コイル12は、加熱調理器に備えられた第1の加熱部の一例でもある。なお、被加熱物を収容する容器を加熱する加熱手段は、加熱コイル12に限定されない。加熱手段は、例えば、電気ヒーターであるシーズヒーター等であってもよい。
鍋底温度センサ13は、鍋状容器1の温度を検出するためのものである。鍋底温度センサ13は、例えば、サーミスタ等の部材によって構成される。鍋底温度センサ13は、上記したように、孔部11bに挿入されている。孔部11bに挿入された鍋底温度センサ13は、弾性部材であるばね等の手段によって、上方に付勢されている。上方に付勢されている鍋底温度センサ13は、鍋状容器1が収容された容器カバー11の底面に押し付けられる。鍋底温度センサ13は、上方に付勢された状態で鍋状容器1の底面に接触する。鍋底温度センサ13は、鍋状容器1の底面に接触した状態で、当該鍋状容器1の特に底面の温度を検出する。
本実施の形態における鍋底温度センサ13は、鍋状容器1の温度を検出する温度検出手段の一例である。鍋底温度センサ13は、加熱調理器に備えられた第1の温度センサの一例でもある。なお、鍋状容器1の温度を検出する温度検出手段は、上記した鍋底温度センサ13に限定されない。
ヒンジ部14は、本体10の上部の一端側に設けられる。ヒンジ部14は、蓋体20を開閉自在な状態で支持する。蓋体20は、ヒンジ部14を支点として回動することで開閉する。ヒンジ部14は、蓋体20が本体10の上部の開口を開閉できるように、当該蓋体20を支持している。
また、本実施の形態の蓋体20は、図1に示すように、外蓋21および内蓋22を備えている。内蓋22は、例えば、着脱自在に外蓋21に取り付けられている。なお、蓋体20の構造は、図示されたものに限定されない。
外蓋21は、蓋体20の上部および側部を構成している。外蓋21は、ヒンジ部14によって、開閉自在に支持される。外蓋21は、ヒンジ部14を介して本体10に取り付けられている。一例として、外蓋21には、当該外蓋21を開けるための開ボタン25が設けられている。外蓋21は、開ボタン25が押されると、図示しないばね等の力によって、ヒンジ部14を支点にして開く。外蓋21が開くことで、当該外蓋21と共に内蓋22も動く。すなわち、開ボタン25が押されることで、蓋体20が開く。開ボタン25が押されて蓋体20が開くことで、本体10の上部の開口が開放される。
内蓋22は、例えば、ステンレス等の金属材料によって形成される。内蓋22は、外蓋21の本体10側の面に、係止材23を介して取り付けられている。蓋体20が閉じられた状態において、内蓋22は、外蓋21よりも被加熱物に近い側に位置する。蓋体20が閉じられた状態において、内蓋22は、外蓋21によって上方から覆われている。
内蓋22の周縁部には、蓋パッキン22aが取り付けられている。蓋パッキン22aは、内蓋22と鍋状容器1との間に形成される空間を密閉するためのシール材である。
蓋パッキン22aは、蓋体20が閉じられたときに、鍋状容器1のフランジ部1aの内側の部分と密着する。これにより、鍋状容器1内が密閉される。ここで、鍋状容器1内または鍋状容器1の内部とは、蓋体20が閉じられたときに鍋状容器1と内蓋22とで囲まれる領域のことである。
また、図1に示すように、外蓋21には、内蓋22を加熱する蓋ヒーター24が取り付けられている。内蓋22には、内蓋蒸気口22bが形成されている。蓋ヒーター24には、蓋ヒーター蒸気口24aが形成されている。外蓋21には、外蓋蒸気口21aが形成されている。これらの内蓋蒸気口22b、蓋ヒーター蒸気口24aおよび外蓋蒸気口21aは、鍋状容器1内で発生した蒸気を炊飯器100の外部へ排出するための開口である。鍋状容器1の内部と炊飯器100の外部とは、内蓋蒸気口22b、蓋ヒーター蒸気口24aおよび外蓋蒸気口21aを介して連通している。
さらに、外蓋21の内蓋22側には、内部温度センサ43が取り付けられている。内部温度センサ43は、内蓋22および蓋ヒーター24のそれぞれに形成された孔に挿入されている。内部温度センサ43は、鍋状容器1内の温度を検出できるように設けられる。内部温度センサ43は、特に、鍋状容器1内の被加熱物の上方における温度を検出する。内部温度センサ43は、例えば、サーミスタ等の部材によって構成される。内部温度センサ43は、加熱調理器に備えられた第2の温度センサの一例である。
また、鍋状容器1に水を供給するためのものである給水部30は、図1に示すように、水タンク31、タンク蓋32およびタンクカバー33を有している。なお、給水部30の構造は、図示されたものに限定されない。
水タンク31は、鍋状容器1に供給される水を貯留するものである。水タンク31は、例えば、プラスチックからなる。一例として、水タンク31は、本体10の前面側に着脱自在に取り付けられる。また、水タンク31は、一例として、ヒンジ部14の反対側に取り付けられる。タンクカバー33は、この水タンク31の前面部と側面部とを覆っている。
本実施の形態において、水タンク31の取付位置は、本体10の前面側である。これにより、水タンク31の本体10への着脱が容易になる。また、水タンク31内の水を誤ってこぼして本体10に水を掛けてしまう可能性が低減される。本実施の形態によれば、炊飯器100の使い勝手をより良くすることができる。
タンク蓋32は、水タンク31の上端に形成された開口部に、着脱可能に嵌め込まれる。タンク蓋32には、タンク側コネクタ34aおよび連通管32bが設けられている。タンク側コネクタ34aには、連通管32bの上端が接続されている。連通管32bは、タンク側コネクタ34aから水タンク31の内部の下方に延びるように配置されている。なお、タンク蓋32には、図示しないタンク通気孔が形成されている。このタンク通気孔により、タンク蓋32が取り付けられた水タンク31の内部と外部とが通じた状態になる。
また、水タンク31には、水タンクヒーター15および水タンク温度センサ16が設けられている。水タンクヒーター15および水タンク温度センサ16は、例えば、水タンク31の下部に設置される。
水タンクヒーター15は、水タンク31内に貯留されている水を加熱する加熱手段の一例である。水タンクヒーター15は、加熱調理器に備えられた第2の加熱部の一例でもある。水タンクヒーター15は、通電されることで、当該水タンクヒーター15に接着固定された図示しない金属板を加熱するヒーターである。水タンク31内に貯留されている水は、水タンクヒーター15に加熱された金属板によって加熱される。
なお、水タンク31内に貯留されている水を加熱する加熱手段は、水タンクヒーター15のような機器に限定されない。水タンク31内に貯留されている水を加熱する加熱手段は、コイル等の機器でもよい。
水タンク温度センサ16は、水タンク31内の水の温度を検出する。水タンク温度センサ16は、例えば、サーミスタ等の部材によって構成される。本実施の形態における水タンク温度センサ16は、加熱調理器に備えられた第3の温度センサの一例である。水タンク温度センサ16は、例えば、上記した金属板に接触するように配置される。
本実施の形態において、蓋体20には、図1に示すように、タンク側給水経路41aおよびノズル側給水経路41bが形成されている。タンク側給水経路41aおよびノズル側給水経路41bは、給水部30から送り出される水を鍋状容器1内へ供給するためのものである。
外蓋21には、タンク側コネクタ34aに接合可能な蓋側コネクタ34bが設けられている。蓋体20が閉じた状態では、蓋側コネクタ34bとタンク側コネクタ34aとは、水密性が保持された状態で接合する。開ボタン25が押されて蓋体20が開くと、タンク側コネクタ34aと蓋側コネクタ34bとは離れる。
また、蓋体20には、図1に示すように、ポンプ44およびスプレーノズル45が設けられている。ポンプ44およびスプレーノズル45は、例えば、外蓋21に設けられる。ポンプ44は、タンク側給水経路41aおよびノズル側給水経路41bに水を流すための機器である。ポンプ44は、例えば、ギアポンプである。
スプレーノズル45は、外蓋21の内蓋22側に設置される。スプレーノズル45は、内蓋22および蓋ヒーター24のそれぞれに設けられた孔に挿入される。スプレーノズル45は、鍋状容器1内に水を噴霧できるように構成される。スプレーノズル45は、蓋体20が閉じたときに鍋状容器1の上部の開口に対向する位置に設置される。一例として、スプレーノズル45は、炊飯器100の前後左右方向において、当該スプレーノズル45の中心が鍋状容器1の中心と同じ位置になるように配置される。
スプレーノズル45は、例えば、スプレーを噴霧するフルコーンタイプのノズルである。フルコーンタイプのスプレーノズル45は、当該スプレーノズル45の先端から鍋状容器1内に向けて、微小な水粒子を略円錐型に噴霧することができる。
蓋側コネクタ34bには、タンク側給水経路41aの一端が接続されている。タンク側給水経路41aの他端は、ポンプ44の吸入側に接続されている。ポンプ44の排出側には、ノズル側給水経路41bの一端が接続されている。ノズル側給水経路41bの他端は、スプレーノズル45に接続されている。
蓋体20が閉じられると、水タンク31内の連通管32bとスプレーノズル45とは、タンク側コネクタ34a、蓋側コネクタ34b、タンク側給水経路41a、ポンプ44およびノズル側給水経路41bを介して、通じた状態になる。蓋体20が閉じた状態でポンプ44が動作すると、水タンク31内の水は、連通管32bを、タンク側コネクタ34a、蓋側コネクタ34b、タンク側給水経路41a、ポンプ44、ノズル側給水経路41bを順に通り、スプレーノズル45へ送られる。蓋体20が閉じた状態でポンプ44が動作することでスプレーノズル45へ送られた水は、微小な水粒子として鍋状容器1内に供給される。
上記のように構成された給水部30、蓋側コネクタ34b、タンク側給水経路41a、ノズル側給水経路41b、ポンプ44およびスプレーノズル45は、被加熱物を収容する容器へ水を供給する給水手段の一例である。本実施の形態において上記のように構成された給水手段の給水量は、ポンプ44のモーターの回転数が同じであれば、ポンプ44に通電される通電時間の長さに比例する。
なお、本開示に係る加熱調理器が備える給水手段の具体的な構成は、上記の例に限られない。給水手段は、被加熱物を収容する容器へ水を供給するように構成されていればよい。例えば、加熱調理器の一例である炊飯器100は、外部の水道栓からスプレーノズル45に水を送ることができるよう構成されてもよい。そして、この水道栓とスプレーノズル45との間の給水管に弁が設けられてもよい。この弁の開度が調整されることで、給水手段の給水量が調整されてもよい。また、給水手段によって鍋状容器1へ供給される水は、微小な水粒子でなくてもよい。給水手段によって鍋状容器1へ供給される水は、任意の状態で供給され得る。
また、本実施の炊飯器100は、図1に示すように、水位センサ35を備えている。水位センサ35は、水タンク31内の水位を検出するものである。水位センサ35には、例えば、浮力を利用したフロート式レベルスイッチ、液体の有無によって電極間に生じる静電容量の変化を利用した静電容量式のものおよび電流の流れで検出する電極式によるもの等が用いられる。
本実施の形態においては、水位センサ35によって水タンク31内の水位が検出されることで、水タンク31内の水量が検出される。また、水位センサ35によって水タンク31内の水位が検出されることで、ポンプ44の動作によって水タンク31から鍋状容器1に供給された水量が検出される。本実施の形態における水位センサ35は、給水手段によって容器へ供給された水量を検出する水量検出手段の一例である。
また、本開示に係る加熱調理器が備える水量検出手段は、上記の水位センサ35によって構成されるものに限られない。例えば、水量検出手段は、鍋状容器1内の水位を検出するセンサによって構成されていてもよい。また、水量検出手段は、タンク側給水経路41aおよびノズル側給水経路41b内の流量を検出するセンサによって構成されていてもよい。水量検出手段は、水タンク31内の水の重量を検出するセンサによって構成されていてもよい。このように、水量検出手段は、任意の方式で構成され得る。水量検出手段は、給水手段によって容器へ供給された水量を検出することができるように構成されているものであればよい。
また、本実施の形態の炊飯器100は、図1に示すように、操作報知部42を備えている。操作報知部42は、例えば、外蓋21の上面に設けられる。この操作報知部42は、操作部と報知部とを有している。
操作報知部42の操作部は、例えば、炊飯器100の使用者が行う各種の指示の操作を受け付ける操作ボタン等によって構成されている。使用者が操作部によって行う各種の指示とは、例えば、炊飯の開始および取り消し、炊飯される米の量の設定、予約設定等である。炊飯器100は、使用者が操作部を操作することで行った各種の指示に基づいて動作する。なお、本開示においては、炊飯される米の量を「炊飯米量」と称することがある。
操作報知部42の報知部は、炊飯器100に関する各種の情報を使用者へ報知するものである。報知部は、例えば、情報を表示する液晶ディスプレイ等によって構成される。報知部の液晶ディスプレイに表示される情報には、例えば、炊飯メニュー、各種の時間に関する情報、炊飯米量等が含まれる。炊飯メニューとは、例えば、標準炊飯か早炊き炊飯か、仕上がりはかためかやわらかめか、米の種類は白米か無洗米か等を示すものである。また、報知部の液晶ディスプレイには、例えば、現在行われている工程および炊飯完了までの残り時間等も表示される。
さらに、操作報知部42の報知部は、炊飯器100に異常が起こった場合に、異常の報知を使用者へ行う機能を有している。なお、報知部は、音または光等によって、使用者へ各種の報知を行うように構成されていてもよい。報知部は、任意の手法によって、使用者へ各種の報知を行うものである。
操作報知部42の報知部は、本開示に係る加熱調理器が備える報知手段の一例である。報知手段の構成は、上記の例に限定されるものではない。例えば、報知手段の一例である報知部は、操作部とは別に構成されていてもよい。換言すると、上記の例における操作ボタンと液晶ディスプレイとは、それぞれ別の場所に設けられていてもよい。また、操作ボタンは、液晶ディスプレイと一体的に形成されていてもよい。また、操作報知部42の設置場所は、外蓋21の上面に限られない。
また、炊飯器100は、図1に示すように、制御装置18および時間計測部19を備えている。制御装置18は、炊飯器100の動作全般を制御するものである。制御装置18は、炊飯器100に備えられた各種の機器の動作を電気的に制御する。時間計測部19は、経過時間を計測する時間計測手段の一例である。
制御装置18は、特に、炊飯器100の炊飯工程における各種の機器の動作を制御する。炊飯工程とは、炊飯器100が米飯を炊き上げる際に実施される工程を意味する。時間計測部19は、制御装置18からの指示を受けて経過時間を計測し、計測した経過時間に関する時間情報を電気信号として制御装置18に送る。本実施の形態において、制御装置18は、時間計測部19の計測結果に基づいて、炊飯工程における機器制御を行う。
制御装置18および時間計測部19は、例えば、本体10または蓋体20の内部に備えられる。制御装置18と炊飯器100に備えられた各種の機器とは、電気信号が流れる信号線によって接続される。また、制御装置18と時間計測部19とも、信号線によって接続される。制御装置18に接続された各種の信号線は、例えば、本体10および蓋体20の内部に備えられる。なお、図1においては、制御装置18に接続される信号線の一部および時間計測部19が炊飯器100の外部に描かれているが、これは図示の便宜上のものである。
また、制御装置18および時間計測部19の構成は、上記した例に限定されない。制御装置18および時間計測部19が設けられている位置は、必ずしも本体10または蓋体20の内部でなくてもよい。また、制御装置18と時間計測部19とは、単一の装置として一体に形成されていてもよい。時間計測部19の機能は、制御装置18に備えられていてもよい。
本実施の形態において、制御装置18は、図1に示すように、信号線を介して加熱コイル12に電気的に接続される。また、制御装置18は、信号線を介して水タンクヒーター15に電気的に接続される。制御装置18は、信号線を介して蓋ヒーター24に電気的に接続されている。加熱コイル12への通電、水タンクヒーター15への通電および蓋ヒーター24への通電は、制御装置18によって制御される。
また、制御装置18は、信号線を介してポンプ44に電気的に接続される。ポンプ44のモーターの回転動作は、制御装置18によって制御される。ポンプ44のモーターの回転数およびポンプ44に通電される通電時間の長さは、制御装置18によって制御される。
また、本実施の形態においてポンプ44は、当該ポンプ44を導通する電流値に関する電流値情報を電気信号に変換して制御装置18へ送る。なお、炊飯器100には、ポンプ44の電流値を検出するセンサ等が別途設けられていてもよい。ポンプ44の電流値を検出するセンサは、例えば、ポンプ44と制御装置18との間に設けられる。
また、制御装置18は、信号線を介して鍋底温度センサ13に電気的に接続される。制御装置18は、信号線を介して水タンク温度センサ16に電気的に接続される。制御装置18は、信号線を介して内部温度センサ43に電気的に接続される。鍋底温度センサ13は、検出した温度に関する温度情報を電気信号として制御装置18に送る。水タンク温度センサ16は、検出した水タンク31内の水の温度に関する温度情報を電気信号として制御装置18に送る。内部温度センサ43は、検出した鍋状容器1内の温度に関する温度情報を電気信号として制御装置18に送る。
さらに、制御装置18は、信号線を介して水位センサ35に電気的に接続される。水位センサ35は、検出した水位に応じた水量情報を電気信号として制御装置18に送る。水量情報とは、水タンク31から鍋状容器1に供給された水量に関する情報である。本実施の形態において、制御装置18は、時間計測部19からの電気信号と水位センサ35からの電気信号、換言すると、時間計測部19が計測した経過時間に関する時間情報と水位センサ35が検出した水位に応じた水量情報とに基づいて、単位時間あたりに水タンク31から鍋状容器1に供給された水量を算出する機能を有している。ここで、水量情報とは、水タンク31内の水量に関する情報を意味している。
また、制御装置18は、信号線を介して操作報知部42に電気的に接続される。操作報知部42は、使用者が操作部を操作することで入力した各種の指示に関する指示情報を、電気信号として制御装置18に送る。制御装置18は、操作報知部42からの電気信号に応じて、すなわち指示情報に基づいて、選択された炊飯メニューおよび設定された炊飯米量等に適合した炊飯プログラムを実行する。炊飯プログラムが制御装置18によって実行されることで、炊飯工程が実施される。また、制御装置18は、操作報知部42の報知部の動作を制御する。
上記した制御装置18は、一例として、図1に示すように、制御部18aおよび判定部18bを有している。制御部18aは、炊飯器100に備えられた各機器を制御する機能を有するものである。判定部18bは、制御装置18が機器制御を行うための各種の判定を行う機能を有するものである。本実施の形態における制御部18aは、本開示に係る加熱調理器が備える制御手段の一例である。また、判定部18bは、本開示に係る加熱調理器が備える判定手段の一例である。
制御手段の一例である制御部18aは、炊飯工程において、特に、加熱コイル12、水タンクヒーター15およびポンプ44を制御する。制御手段の一例である制御部18aは、上記した炊飯プログラムを実行する機能を有している。加熱コイル12、水タンクヒーター15およびポンプ44は、この炊飯プログラムに従って動作する。
また、制御部18aは、制御装置18が受信した電気信号に基づいて、加熱コイル12、水タンクヒーター15およびポンプ44を流れる電流を制御する。すなわち、制御部18aは、炊飯器100に備えられた各種のセンサ類等によって取得された各種の情報に基づいて、機器制御を行う。
この「各種のセンサ類等によって取得された各種の情報」には、鍋底温度センサ13および水タンク温度センサ16が検出した温度に関する温度情報、内部温度センサ43が検出した温度に関する温度情報、水位センサ35が検出した水位に応じた水量情報およびポンプ44を導通する電流値に関する電流値情報等が含まれている。
さらに、制御手段の一例である制御部18aは、単位時間あたりに水タンク31から鍋状容器1に供給された水量を算出する機能を有している。制御部18aは、時間計測部19から制御装置18へ送られた電気信号と水位センサ35から制御装置18へ送られた電気信号とに基づいて、単位時間あたりに水タンク31から鍋状容器1に供給された水量の算出を行う。換言すると、本実施の形態において、制御手段は、単位時間あたりに給水手段から容器へ供給された水量を算出する機能を有している。また、制御手段の一例である制御部18aは、報知手段の一例である報知部の制御も行う。
また、判定手段の一例である判定部18bは、上記したように、制御装置18が機器制御を行うための各種の判定を行う。制御手段の一例である制御部18aは、判定手段の一例である判定部18bによる判定の結果に基づいて動作する。
より具体的には、本実施の形態において判定部18bは、水位センサ35が検出した水位に応じた水量情報とポンプ44を導通する電流値に関する電流値情報とに基づいた判定を行う。判定部18bは、水タンク31から鍋状容器1に供給された水量が予め設定された設定水量から一定の範囲内であるか判定する。制御部18aは、この判定部18bの判定結果に基づいて、加熱コイル12、水タンクヒーター15およびポンプ44の少なくとも1つを制御する。また、判定部18bは、その他各種の判定を実行可能に構成されてもよい。
なお、上記した制御装置18の構成は、あくまで一例である。制御装置18の制御部18aおよび判定部18bの機能は、制御回路のようなハードウェアによって実現されてもよい。時間計測部19の機能もまた、制御回路のようなハードウェアによって実現されてもよい。換言すると、制御装置18および時間計測部19の一方または両方は、その機能を実現するまた、制御装置18および時間計測部19の一方または両方を、半導体メモリ等の記憶部に記憶されたソフトウェアプログラムと、このソフトウェアプログラムを実行するマイコンまたはCPUのような演算装置とによって構成してもよい。CPUとは、中央演算装置とも称されるものである。
また、本体10には、使用者が炊飯器100を運搬するための図示しないハンドルが設けられてもよい。ハンドルは、例えば、本体10の一端側と他端側との2箇所を繋ぐように設けられる。ハンドルは、例えば、本体10の側面上部の略前後中央において回転可能に軸支されるようにするとよい。この本体10の側面上部の略前後中央とは、すなわち、ヒンジ部14が配置される後部と給水部30が設けられる前部の間の略中央である。この際、ハンドルの回転軸は、ヒンジ部14の回転軸と略平行となるようにすることが望ましい。このようにすることで、炊飯器100の運搬者がハンドルを持って炊飯器100を持ち上げると、ハンドルはその回転軸の略直上の位置まで回転する。運搬者は、上記のハンドルのみを持って炊飯器100を運搬することができる。
次に、本実施の形態の炊飯器100が米飯を炊き上げる際に実施される炊飯工程について、具体例を挙げて説明する。図2は、実施の形態1の炊飯工程の具体例を説明する図である。図2は、炊飯工程における各部の温度、加熱コイル12に投入される電力およびポンプ44の通電状態の時系列変化の一例を示している。
図2に示すように、炊飯工程は、一例として、予熱工程、昇温工程、沸騰維持工程および蒸らし工程で構成される。ただし、予熱工程および蒸らし工程は、省略可能な工程である。炊飯器100による炊飯が開始すると、炊飯工程のうちの予熱工程が最初に実施される。
予熱工程とは、米および水を含む被加熱物を予熱する工程である。予熱工程では、鍋状容器1内の水を沸騰させる前の段階で、鍋状容器1を予め設定された温度で予め設定された時間だけ加熱する。予熱工程におけるこの加熱により、米の吸水が促進され、甘味成分である糖および旨味成分であるアミノ酸等の呈味成分が生成される。
予熱工程の終了後に、昇温工程が実施される。昇温工程とは、鍋状容器1内の被加熱物が沸騰するまで鍋状容器1を加熱する工程である。
昇温工程の次に、沸騰維持工程が実施される。沸騰維持工程とは、鍋状容器1内の水の沸騰を維持するように鍋状容器1を加熱し、米のでんぷんの糊化を促進する工程である。また、沸騰工程は、一例として、図2に示すように、さらに3つの工程に分かれている。具体的には、沸騰工程では、強火工程、弱火工程およびドライアップ工程の3つの工程が、この順で実施される。強火工程は強い沸騰状態を維持する工程である。弱火工程は強火工程よりも弱い加熱で沸騰を維持する工程である。ドライアップ工程は弱火工程よりも強い加熱によって、鍋状容器1内の底に残った余分な水分を蒸発させる工程である。
沸騰維持工程の次に、蒸らし工程が実施される。蒸らし工程とは、米を蒸らすように鍋状容器1を加熱する工程である。蒸らし工程では、米飯粒の中心におけるでんぷんまで十分に糊化させ、米飯粒内の水分の分布を均一化するように、鍋状容器1を加熱する。蒸らし工程が終わると、炊飯工程は終了する。
なお、図2に示す「加熱コイルの電力」とは、加熱手段の一例である加熱コイル12に供給される単位時間あたりの電力量の大きさを示している。つまり、図2に示す「加熱コイルの電力」は、加熱コイル12による鍋状容器1の加熱の強さを表している。
図2に示すように、弱火工程において加熱コイル12に供給される単位時間あたりの電力量は、強火工程において加熱コイル12に供給される単位時間あたりの電力量よりも小さい。また、ドライアップ工程において加熱コイル12に供給される単位時間あたりの電力量は、弱火工程において加熱コイル12に供給される単位時間あたりの電力量よりも大きい。炊飯工程全体において、加熱コイル12に供給される単位時間あたりの電力量は、昇温工程と、昇温工程から続く沸騰維持工程中の強火工程の2つの工程で最大となる。
図2に示すように、鍋状容器1内の被加熱物の温度は、昇温工程の終了時に沸騰温度に達する。被加熱物の沸騰温度は、例えば100℃である。被加熱物の温度は、沸騰維持工程中は沸騰温度に維持される。
米および水を含む被加熱物が沸騰すると、いわゆる「おねば」でできた泡が被加熱物の液面上に生成される。おねばとは、米から溶出したでんぷんを含む液体である。おねばは粘性が高いため、おねばでできた泡は丈夫で消えにくい。沸騰維持工程中においては、次々と生成されるおねばの泡が、既にある泡を下から押し上げる。これにより、おねばの泡の上端がせり上がっていく。おねばの泡の上端が、内蓋22の内蓋蒸気口22bを経由して、外蓋蒸気口21aの外にまで達すると、この泡が飛散してしまう現象、いわゆる「吹きこぼれ」が発生してしまう。
炊飯工程の中で吹きこぼれが発生してしまう工程は、強火工程である。図2中に矢印Aで示す期間は、特に、吹きこぼれが起こりやすい期間を示している。この矢印Aで示す期間では、被加熱物の温度が沸騰温度であり、かつ、鍋状容器1の内部温度も沸騰温度であって、なおかつ、加熱コイル12の電力、すなわち加熱コイル12による加熱の強さが最大である。矢印Aで示す期間は、沸騰が活発で、かつ、泡状体の成長が促進される条件が揃っている。このため、矢印Aで示す期間では、特に吹きこぼれが起こりやすい。矢印Aで示す期間の長さは、例えば、2分から5分ほどである。
また、おねばの泡の内部には水蒸気が入っている。おねばの泡の中の水蒸気が膨張することで当該泡は大きくなる。このため、鍋状容器1の内部空間の温度が高いほど泡が膨らんで大きくなりやすく、吹きこぼれに繋がってしまう。また、内蓋蒸気口22b付近の温度が沸騰温度である100℃付近の高温であると、泡は内蓋蒸気口22b付近までせり上がった時に小さくならない。すなわち、内蓋蒸気口22b付近の温度が高温であると、泡が、外蓋蒸気口21aの外まで到達しやすくなってしまい、吹きこぼれが発生しやすい。
例えば、強火工程において100℃以上の水蒸気を泡に当てた場合には、泡が大きく膨らんでしまって、結果的に吹きこぼれが促進してしまう恐れがある。吹きこぼれを防止するためには、鍋状容器1内の温度が沸騰温度に到達するよりも前の段階で、水粒子によって泡を壊すことが望ましい。
そこで、本実施の形態では、図2に示すように、矢印Aで示す期間の開始前に、制御部18aは、ポンプ44への通電を開始させる。これにより、鍋状容器1の内部温度が被加熱物の沸騰温度以下の時に、鍋状容器1へ水粒子が供給される。本実施の形態であれば、効果的に吹きこぼれを予防することができる。
なお、吹きこぼれを抑えるためだけであれば、鍋状容器1の内部空間の温度を下げたり、泡に冷水を当てたりする手段が効果的である。しかし、この場合は、鍋状容器1内の米の温度まで下がり、米が受け取る熱エネルギー量が小さくなってしまい、美味しい米飯が炊けなくなってしまう可能性がある。美味しい米飯を炊くためには、鍋状容器1の内部空間はできるだけ高温の状態で維持しておくことが望ましい。
そこで、本実施の形態においては、矢印Aで示す期間の開始前に、制御部18aが水タンクヒーター15を制御して水タンク31内の水を予め加熱しておく。水タンク31内の水は、例えば、沸騰直前の温度である90℃まで加熱される。その後、ポンプ44が動作し、スプレーノズル45から鍋状容器1内へと熱水が供給される。このように、本実施の形態であれば、吹きこぼれを防止しつつ、美味しい米飯を炊くことができる。
次に、本実施の形態の炊飯器100の動作の具体例について説明する。炊飯器100の使用者は、まず蓋体20を開けて、鍋状容器1を取り出す。使用者は、取り出した鍋状容器1に、米および水を含む被加熱物を入れる。使用者は、被加熱物が収容された鍋状容器1を、本体10に載せて置く。使用者は、鍋状容器1を本体10に載せて置いた後、蓋体20を閉める。
使用者は、蓋体20を閉めた後、操作報知部42の操作部を操作する。使用者は、操作部を操作することによって、炊飯メニューの選択および炊飯米量の設定をする。その後、使用者は、操作部を操作して、炊飯器100に炊飯を開始させる。炊飯器100は、使用者によって選択された炊飯メニューおよび設定された炊飯米量に基づいて、動作を開始する。
図3は、実施の形態1の炊飯器100の動作の一例を示すフローチャートである。図3を参照し、炊飯器100の動作の具体例について説明する。上記したように、炊飯器100は、使用者によって操作部が操作されることによって、炊飯を開始する。炊飯が開始すると、まず、時間計測部19による時間計測が開始される(ステップS101)。
時間計測部19による時間計測が開始した後、上記した炊飯工程が開始される。なお、図3に示すフローチャートはあくまで炊飯器100の動作の一例を示すものであり、例えば、時間計測部19による時間計測と炊飯工程とは同時に開始してもよい。炊飯工程が開始すると、上記したように、まず予熱工程が実施される(ステップS102)。予熱工程は、予め設定された時間だけ実施される。
予熱工程の終了後に、昇温工程が開始する(ステップS103)。昇温工程が開始すると、被加熱物が沸騰したか否かの判定が行われる(ステップS104)。ステップS104の判定は、例えば、内部温度センサ43が検出した温度に基づいて、判定部18bが行う。ステップS104の判定は、被加熱物が沸騰したと判定されるまで継続される。被加熱物が沸騰したと判定されると、昇温工程が終了して沸騰維持工程が開始する(ステップS105)。
沸騰維持工程においては、上記したように、吹きこぼれを防ぐため、制御部18aがポンプ44への通電を開始させる(ステップS106)。ポンプ44が駆動すると、水タンク31内の水がスプレーノズル45を介して鍋状容器1へ供給される。
水タンク31から鍋状容器1へ供給される水量の設定値は、例えば、予め特定の値として設定される。本実施の形態において、制御手段の一例である制御部18aは、この設定値を必要供給水量として設定する。必要供給水量は、制御手段によって設定される設定水量の一例である。制御部18aは、一例として、図3に示すように、使用者が操作部を操作することで炊飯が開始した直後に必要供給水量の設定を行う。
また、一例として、制御装置18には、この必要供給水量の水を水タンク31から鍋状容器1へ供給するためのポンプ44の制御に関するプログラムが組み込まれている。制御装置18の制御部18aによってこのプログラムが実行されることで、必要供給水量の水が水タンク31から鍋状容器1へ供給されるように、ポンプ44が動作する。
なお、必要供給水量が設定されるタイミングは、図3に示す例に限られない。必要供給水量が設定されるタイミングは、ポンプ44が駆動する前の任意の時点でよい。また、設定水量の一例である必要供給水量は、必ずしも、予め特定の値として設定されていなくてもよい。必要供給水量は、例えば、使用者によって選択された炊飯メニューおよび設定された炊飯米量等に基づいて、制御部18aが算出してもよい。また、必要供給水量は、例えば、炊飯工程において内部温度センサ43が検出した温度の履歴等に基づいて、制御部18aが算出してもよい。
本開示に係る加熱調理器が備える制御手段によって設定される設定水量は、上記したように、各種の任意の手法によって設定され得る。そして、制御手段は、被加熱物を収容する容器へこの設定水量の水が供給されるように給水手段を制御するように構成される。
ここで、例えば、ステップS106においてタンク側給水経路41a、ノズル側給水経路41bおよびポンプ44の少なくとも一部に異物が詰まっている場合には、水タンク31から鍋状容器1へ供給された水量が必要供給水量より少なくなる可能性がある。また、ポンプ44に何らかの異常が生じている場合には、水タンク31から鍋状容器1へ供給された水量が必要供給水量より多くなる可能性がある。水タンク31から鍋状容器1へ供給された水量が必要供給水量に比べて大幅に少ない場合、鍋状容器1内の米は過剰に加熱されてしまう。また、水タンク31から鍋状容器1へ供給された水量が必要供給水量に比べて大幅に多い場合、鍋状容器1内の米は十分に加熱されない可能性がある。このように、実際に水タンク31から鍋状容器1へ供給された水量が必要供給水量から大きくずれている場合、美味しくない米飯が炊飯されてしまう。
そこで、本実施の形態では、制御装置18は、水位センサ35およびポンプ44から送られた電気信号の少なくとも1つに基づき、必要供給水量の水が水タンク31内から鍋状容器1へ供給されるようにポンプ44を制御する。水位センサ35から制御装置18へ送られた電気信号とは、すなわち、ステップS106で水タンク31から鍋状容器1へ供給された水量に関する水量情報である。また、ポンプ44から制御装置18へ送られた電気信号とは、すなわち、ステップS106でポンプ44が動作した際に当該ポンプ44を導通する電流値に関する電流値情報である。
本実施の形態では、ステップS106におけるポンプ44の駆動中、制御部18aは、水位センサ35からの電気信号および時間計測部19からの電気信号に基づいて、単位時間あたりに水タンク31から鍋状容器1へ供給された水量を算出する。なお、以下の説明では、説明の簡略化のため、実際に水タンク31から鍋状容器1へ供給された水量を「供給水量」と表記する。すなわち、制御部18aは、単位時間あたりの供給水量を算出する。単位時間は、予め設定される。制御装置18には、この単位時間あたりの供給水量を算出するためのプログラムが予め組み込まれる。
上記したように、制御装置18には、必要供給水量の水を水タンク31から鍋状容器1へ供給するためのポンプ44の制御に関するプログラムが組み込まれている。このプログラムには、ポンプ44の駆動時間の情報が含まれる。制御装置18の制御部18aは、このポンプ44の駆動時間の情報と予め設定された必要供給水量の情報とに基づいて、単位時間あたりの必要供給水量を算出する。そして、判定部18bは、制御部18a算出した結果に基づいて、単位時間あたりの供給水量が単位時間あたりの必要供給水量から大幅にずれていないかの判定を行う。さらに、制御部18aは、判定部18bの判定結果に基づいて、必要供給水量の水が水タンク31から鍋状容器1へ供給されるように、ポンプ44を制御する。本実施の形態であれば、上記のような制御が実行されることで、必要供給水量の水が水タンク31から鍋状容器1へ供給される。
また、必要供給水量の水を水タンク31から鍋状容器1へ供給するためのポンプ44の制御に関するプログラムには、ポンプ44の電流値に関する情報が含まれている。ポンプ44が正常に動作している場合には、ポンプ44に導通する電流値は、予め設定された設定電流値になる。一方、ポンプ44に何らかの異常が生じている場合には、ポンプ44に導通する電流値は上記の設定電流値からずれてしまう。また、ポンプ44に導通する電流値は、このポンプ44が駆動することで水タンク31から鍋状容器1へ供給される水量、すなわち供給水量と相関がある。制御部18aおよび判定部18bは、ポンプ44に導通する電流値および設定電流値に基づいて、単位時間あたりの供給水量が単位時間あたりの必要供給水量から大幅にずれていないかの判定を行い、必要供給水量の水が水タンク31から鍋状容器1へ供給されるように、ポンプ44を制御する。
上記したように、本実施の形態では、制御装置18は、水位センサ35およびポンプ44から送られた電気信号の少なくとも1つに基づき、必要供給水量の水が水タンク31内から鍋状容器1へ供給されるようにポンプ44を制御する。すなわち、制御装置18は、水位センサ35およびポンプ44から送られた電気信号の両方に基づいてポンプ44を制御してもよい。この場合、水位センサ35から制御装置18への情報の送信とポンプ44から制御装置18への情報の送信との片方が正常に行われなかった場合においても、制御装置18は、供給水量に関する情報を取得することができる。
以下、図3のフローチャートのステップS106以降を参照し、制御装置18の制御部18aおよび判定部18bの動作の具体例を、より詳細に説明する。
ステップS106でポンプ44が駆動した後、判定部18bは、単位時間あたりの供給水量が第1範囲内であるか判定する(ステップS107)。第1範囲は、予め設定される。第1範囲は、単位時間あたりの必要供給水量および炊飯米量に基づいて設定される。第1範囲の上限値と下限値とは、美味しい米飯を炊くことが可能な供給水量の上限値および下限値として設定される。この第1範囲には、単位時間あたりの必要供給水量が含まれる。
単位時間あたりの供給水量が第1範囲内である場合には、沸騰維持工程が継続され、沸騰維持工程が予め設定された一定時間だけ実施されたかの判定が行われる(ステップS108)。ステップS104の判定は、例えば、時間計測部19が計測した経過時間に基づいて、判定部18bが行う。
沸騰維持工程が予め設定された一定時間だけ実施されていない場合には、再びステップS107の判定が行われる。沸騰維持工程が予め設定された一定時間だけ実施されると、沸騰維持工程が終了して、蒸らし工程が実施される(ステップS109)。蒸らし工程が終了することで、炊飯工程が終了する。
ステップS107において、単位時間あたりの供給水量が第1範囲内でない場合、判定部18bは、単位時間あたりの供給水量が第2範囲内であるか判定する(ステップS110)。この第2範囲は、第1範囲を含む範囲として予め設定される。すなわち、第2範囲は、第1範囲よりも広い。
単位時間あたりの供給水量が第2範囲内である場合には、制御部18aは、沸騰維持工程において水タンク31から鍋状容器1へ供給される水量が予め設定された一定の範囲内になるようにポンプ44を制御する。この一定の範囲は、設定水量の一例である必要供給水量を含む範囲として予め設定される。
より具体的には、制御部18aは、沸騰維持工程において水タンク31から鍋状容器1へ供給される水量が予め設定された一定の範囲内になるように、以降に単位時間あたりに水タンク31から鍋状容器1へ供給されるべき水量を改めて算出する。制御部18aは、この算出結果に基づいて、ポンプ44のモーターの回転数を増加または減少するように、ポンプ44への入力電流を制御する。あるいは、制御部18aは、ポンプ44の駆動時間が延長または短縮するように、ポンプ44に通電される通電時間を制御する。
また、単位時間あたりの供給水量が第2範囲内である場合には、制御部18aは、操作報知部42の報知部に、報知を行わせる。具体的には、操作報知部42の報知部は、タンク側給水経路41a、ノズル側給水経路41bおよびポンプ44に異常が生じている旨を表示する。また、報知部は、使用者に対して、メンテナンスを促す報知を行う(ステップS111)。上記のステップS111の後、上記したステップS108が実施される。
また、ステップS110において、単位時間あたりの供給水量が第2範囲内でない場合には炊飯工程が停止し、報知部が炊飯器100の異常を報知する(ステップS112)。単位時間あたりの供給水量が第2範囲内でないということは、すなわち、単位時間あたりの供給水量が単位時間あたりの必要供給水量から大幅にずれていることを意味している。この場合には、例えば、ポンプ44に過電流が導通したり、鍋状容器1内が過剰に加熱されたりする可能性がある。本実施の形態では、ステップS112において、ポンプ44および加熱コイル12への通電が停止される。
上記の実施の形態において、ポンプ44は、必要供給水量の水が水タンク31から鍋状容器1へ供給されるように制御される。具体的には、制御部18aは、ポンプ44のモーターの回転数を増加または減少するように、ポンプ44への入力電流を制御する。また、制御部18aは、ポンプ44の駆動時間が延長または短縮するように、ポンプ44に通電される通電時間を制御する。換言すると、制御手段の一例である制御部18aは、給水手段が単位時間あたりに供給する水量および給水手段が水を供給する時間の少なくとも一方を変更するように構成されている。上記のように構成された炊飯器100であれば、鍋状容器1に供給される水量が不安定になることによって調理が安定しないことを抑制または防止することが可能である。例えば、単位時間あたりの供給水量が第2範囲内である場合には、鍋状容器1へ供給される水の量が予め設定された一定の範囲内になるように補正されることで、美味しい米飯が炊き上げられる。また、単位時間あたりの供給水量が第2範囲内でない場合には、炊飯器100が異常な動作を継続してしまうことが防止される。
なお、本開示に係る加熱調理器が備える給水手段は、吹きこぼれ防止のためのものに限られない。給水手段は、被加熱物を収容する容器へ任意の時点で水を供給するものでよい。例えば、加熱調理器の一例である炊飯器100の使用者は、米だけを鍋状容器1に投入してもよい。炊飯器100は、鍋状容器1内へ供給される水の全てが水タンク31から供給されるように構成されていてもよい。換言すると、給水手段は、加熱物を収容する容器へ供給される水のうちの少なくとも一部を供給するものであればよい。そして、本開示に係る加熱調理器が備える水量検出手段は、上記の給水手段によって容器へ供給された水量を検出するように構成されていればよい。制御手段は、水量検出手段の検出結果に基づいて給水手段を制御するように構成されていればよい。
実施の形態2.
次に、実施の形態2について説明する。図4は、実施の形態2の炊飯器101の構成を概略的に示す図である。実施の形態1と同一または相当する部分については、同じ符号を付し、説明を簡略化または省略する。
本実施の形態の炊飯器101の構成は、図4に示すように、実施の形態1の炊飯器100の構成に給水温度センサ46を加えたものである。給水温度センサ46は、例えば、サーミスタ等の部材によって構成される。給水温度センサ46は、水タンク31から鍋状容器1に至る経路の途中に設けられる。図4に示すように、例えば、ノズル側給水経路41bに設けられる。給水温度センサ46は、給水手段によって容器へ供給される水の温度を検出する給水温度検出手段の一例である。給水温度センサ46は、検出した温度に関する温度情報を制御装置18へ送る。
実施の形態1において述べたように、沸騰維持工程において水タンク31から鍋状容器1へ供給される水の温度は、高温であることが好ましい。具体的には、水タンク31から鍋状容器1へ供給される水の温度は、米の糊化温度である60℃以上であることが好ましい。例えば、沸騰維持工程において鍋状容器1に米の糊化温度である60℃未満の水が供給されると、米の糊化反応が充分に起こらない可能性がある。
そこで、実施の形態1においても述べたように、水タンク31から鍋状容器1へ水が供給される前に、水タンクヒーター15が水タンク31内の水を予め加熱しておくとよい。水タンクヒーター15による水の加熱は、強火工程より前の予熱工程または昇温工程において開始されると良い。本実施の形態では、水タンクヒーター15は、水タンク31内の水を米の糊化温度である60℃以上に加熱するように構成される。水タンクヒーター15によって加熱された水の温度が、給水温度センサ46によって検出される。制御装置18の制御部18aは、給水温度センサ46が検出した温度に基づいた制御を行う。
図5は、実施の形態2の炊飯器101の動作の一例を示すフローチャートである。炊飯器101は、実施の形態1の炊飯器100と同様、操作報知部42の操作部が使用者に操作されることで、炊飯を開始する。図5におけるステップS201からステップS206は、それぞれ、実施の形態1の図3におけるステップS101からステップS106と同様である。また、図5におけるステップS209からステップS214は、それぞれ、実施の形態1の図3におけるステップS107からステップS112と同様である。図5におけるステップS201からステップS206およびステップS209からステップS214の説明を省略する。
本実施の形態では、ステップS206でポンプ44への通電が開始したのち、給水温度センサ46によって検出された温度、すなわち、水タンク31から鍋状容器1へ供給された水の温度が予め設定された基準温度以上であるかの判定が行われる(ステップS207)。この基準温度は、例えば、米の糊化温度である60℃として設定される。なお、基準温度は、必ずしも60℃でなくてもよい。ステップS207の判定は、給水温度センサ46が検出した温度に基づいて、判定部18bが行う。給水温度センサ46が検出した温度が60℃以上である場合には、ステップS209が実施される。また、図5に示すように、ステップS207の判定は、沸騰維持工程の間、継続される。
給水温度センサ46が検出した温度が60℃を下回っている場合には、炊飯工程が停止し、報知部が炊飯器100の異常を報知する(ステップS208)。給水温度センサ46が検出した温度が60℃を下回っている場合には、水タンクヒーター15の劣化または異常、水タンク31から鍋状容器1に至る経路での水漏れ、等が発生している可能性がある。本実施の形態であれば、使用者に炊飯器100のメンテナンスを促すことができる。また、炊飯器100が異常な動作を継続してしまうことが防止される。また、低温の水が鍋状容器1へ供給されることによる米飯の味の低下を防止することができる。