実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る炊飯器の外観を示す概略斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る炊飯器の概略構成を示す縦断面図である。図中、矢印X方向は炊飯器1の幅方向を表し、矢印Y方向は炊飯器1の奥行き方向を表し、矢印Z方向は炊飯器1の高さ方向を表している。
炊飯器1は、本体10と、蓋20と、本体10に設置される内鍋19とを備える。本体10には、内鍋19を出し入れする開口部11が形成されており、蓋20は、本体10の上方に開口部11を覆うように設けられている。蓋20は、本体10に軸支されて回動することにより、本体10の開口部11を開閉する。内鍋19は、水及び米を含む被炊飯物を入れる容器であり、SUS430等の磁性材料で形成されている。
図3は、本発明の実施の形態1に係る炊飯器の駆動回路を示す概略図である。図1~図3に示されるように、炊飯器1は、加熱部30と、報知部40と、操作部50と、温度検知部70と、制御部80と、計時部79とを備える。制御部80は、少なくとも加熱部30を制御する。計時部79は、例えばタイマーで構成されている。
加熱部30、制御部80及び温度検知部70は、本体10の内部に設けられている。加熱部30は、例えば加熱コイルから成り、被炊飯物を収容する内鍋19を誘導加熱する。加熱部30は、本体10において内鍋19の底面19aと対向する位置に設けられている。図2に示される例では、加熱部30は、内鍋19の底面19aと対向するように本体10の下部に設けられた加熱コイルのみで構成されているが、内鍋19の側面と対向するように開口部11の内側面にも加熱コイルが設けられてもよい。なお、加熱部30は、加熱コイルで構成する代わりに、例えばシーズヒータ等で構成してもよい。
制御部80は、例えばマイコン等で構成され、記憶部81として機能するRAM及びROM等と、加熱部30に数十キロヘルツの高周波電流を供給するインバータ回路31とを有している。制御部80には、温度検知部70が出力する検知信号、計時部79が出力する計時信号、及び操作部50が出力する操作信号が入力される。記憶部81には、複数の制御シーケンス、内鍋19の温度と米飯の温度との相関テーブル、及び報知部40が報知する情報等の各種情報が記憶されている。制御部80は、操作部50からの操作信号、温度検知部70からの検知信号、計時部79からの計時信号、及び記憶部81に記憶された情報に基づき、予め設定された信号を出力して、加熱部30及び報知部40等の炊飯器を構成する各電子部品を制御する。
温度検知部70は、例えばサーミスタ等から成り、内鍋19の温度、及び内鍋19内の被炊飯物の温度を検知する。温度検知部70は、制御部80と電気的に接続されており、検知した温度に応じた検知信号を、制御部80へ送信する。図2に示される例では、温度検知部70は、本体10の開口部11の底部に設けられ、本体10に設置された内鍋19の底面19aに接するように圧縮バネ(図示せず)等により下方から付勢されている。
温度検知部70は、炊飯時には、内鍋19の温度を検知し、保温時には、上述した相関テーブルにより内鍋19の温度に対応する米飯の温度を、被炊飯物の温度として検知する。なお、温度検知部70は、蓋20の下面20bに設けられた赤外線センサを備え、赤外線センサにより、内鍋19内の米飯の上面の温度を炊飯物の温度として直接検知する構成でもよい。
報知部40は、炊飯が完了した等の炊飯状態、現在の設定、及び設定可能な選択肢等を使用者に対して報知するとともに、使用者の操作を補助する報知を行う。また報知部40は、使用者へ注意を喚起する報知を行う。報知部40は、液晶パネル等から成り、各種情報を表示する表示部41と、ブザー素子又はスピーカー等から成り、各種情報を表す音又は音声を発生する音声報知部42とにより構成される。表示部41及び音声報知部42はそれぞれ、制御部80と電気的に接続されており、制御部80からの信号に従って動作する。なお、報知部40は、表示部41及び音声報知部42の一方だけで構成されてもよい。
図2に示される例では、表示部41と、操作部50とは隣接して蓋20の上面20a側に設けられており、使用者は、表示部41の画面に表示された各種情報を見ながら操作部50を介して各種設定を行うことができる。なお、操作部50及び表示部41は、本体10の前面に設けられていてもよい。
操作部50は、使用者が各種指示を行う際に操作される。操作部50は、操作部基板51と、操作部基板51に実装された複数のスイッチ52と、操作部基板51の上面を覆う操作パネル53とを備える。操作パネル53には複数の操作ボタン54が設けられており、操作部基板51の各スイッチ52は、操作パネル53の各操作ボタン54に対応する位置に配置されている。各スイッチ52は、押下されることにより操作信号を出力する。なお、各操作ボタン54と対応するスイッチ52とは、接触により操作信号を出力するタッチスイッチで構成されていてもよい。
具体的には、操作部50は、米種、メニュー及び予約等の設定操作を受け付ける。米種とは、例えば「白米」、「無洗米」又は「玄米」等の米の種類である。操作部50から選択可能なメニューとしては、例えば「かため」、「ふつう」又は「やわらか」等の米の硬さを表すものがある。なお、メニューとして、例えば、「おかゆ」又は「炊き込み」等の炊き方に関するもの、「早炊き」等の炊飯速度に関するもの、あるいは、「おにぎり」又は「カレー」等の調理目的に応じたものが備えられてもよい。
図4は、本発明の実施の形態1に係る炊飯器の操作部及び表示部を示す平面図である。操作部50は、炊飯/予約確定ボタン54a、切/保温ボタン54b、移動ボタン54c、音声ナビボタン54d、予約ボタン54e、設定ボタン54f、お米ボタン54g、メニューボタン54h、及び銘柄ボタン54i等の操作ボタン54を備えている。
炊飯/予約確定ボタン54aは、炊飯動作を開始するとき、予約を確定するときに操作される。切/保温ボタン54bは、各種入力操作を取り消すとき、実行中のモードを切るとき、あるいは炊き上がった米飯を予め設定された一定の温度で保温する保温モードを開始するときに操作される。移動ボタン54cは、表示部41の画面に表示されるカーソル又はマークの上下左右の移動、あるいは、画面に表示する選択肢の切り替えを行う際に操作される。音声ナビボタン54dは、炊飯器1の状態と次に必要な操作を音声報知部42により報知する音声モードの入り切りを行うとき、あるいは音量を調整するときに操作される。予約ボタン54eは、予約設定画面を表示させる際に操作される。
炊飯器1は、「予約1」、「予約2」及び「かんたん」等の切り替え可能な複数の予約モードを有しており、予約ボタンeが押されると、予約モードが切り替わり、予約モードに対応した予約設定画面が表示される。炊飯器1が予約モードのとき、使用者は、移動ボタン54cの上下キーを操作することで炊き上がり時間を入力でき、炊飯/予約確定ボタン54aが押されると、操作部50から入力された各種情報が制御部80へ送信され設定される。
以下の説明において、予約ボタン54eが押されてから炊飯/予約確定ボタン54aが押されるまでの予約炊飯の設定を受け付ける状態を、「予約設定時」という場合がある。炊き上がり時間は、使用者が直接入力してもよいし、又は、使用者が炊き上がり時刻(例えば、18:00)を入力し、入力された炊き上がり時刻により制御部80が炊き上がり時間を算出してもよい。ここで炊き上がり時間とは、特定の時刻ではなく、長さを持った時間である。炊き上がり時刻(例えば、18:00)が入力される場合、炊き上がり時間は、予約が確定されて予約炊飯が開始される時刻から、炊き上がり時刻までの時間である。
設定ボタン54fは、現在時刻が設定されるとき、又は音量の設定画面を表示させるときに操作される。お米ボタン54gは、使用者がお米の種類を指示する際に操作される。お米ボタン54gが押されると、炊飯器1は、米種設定状態に遷移し、米種設定状態においてお米ボタン54gが押されたとき、又は移動ボタン54cの上下キーが押されたときに、米種の設定が切り替えられる。メニューボタン54hは、使用者がメニューを指示する際に操作される。メニューボタン54hが押されると、炊飯器1はメニュー設定状態に遷移し、メニュー設定状態においてメニューボタン54hが押されたとき、又は移動ボタン54cの上下キーが押されたときに、メニューの設定が切り替えられる。
図5は、本発明の実施の形態1に係る炊飯器の記憶部のデータ構造を示す説明図である。炊飯器1は各炊飯メニューに対応した炊飯モードを有しており、記憶部81には、各炊飯モードに対応して内鍋19の温度と調理時間との組み合わせである炊飯シーケンスが記憶されている。また記憶部81には、各炊飯モードに対応して目安炊飯時間Taが記憶されている。また記憶部81には、各炊飯モードに対応して保温温度を含む保温シーケンスが記憶されている。目安炊飯時間Taは、対応する炊飯モードで米を炊き上げるのに要する炊飯時間であり、予め設定されている。
図5に示される例では、各モードに対応する情報がテーブル形式で記憶部81に記憶されている。炊飯モードM1に対応して、炊飯シーケンスS1及び目安炊飯時間Ta1が記憶され、炊飯モードM2に対応して、炊飯シーケンスS2及び目安炊飯時間Ta2が記憶され、炊飯モードM3に対応して、炊飯シーケンスS3及び目安炊飯時間Ta3が記憶されている。各制御シーケンスは、制御部80が実行する制御プログラムであり、炊飯モードが選択されると、選択された炊飯モードに対応する炊飯シーケンスが実行される。
また記憶部81には、炊飯開始前に設定された炊き上がり時間Ttに応じて炊飯モードを選択する予約炊飯シーケンスが記憶されている。以下、予約炊飯シーケンスを「ぴったり炊き」という場合がある。実施の形態1の「ぴったり炊き」では、操作部50のメニューボタン54hを介した炊飯モードの設定は適用されず、設定された炊き上がり時間Ttに最適な炊飯モードが自動的に選択される。
図6は、本発明の実施の形態1に係る炊飯器の表示部が表示する設定表示の一例を示す図である。図6には、予約設定時における表示部41の表示形態の一例が示されている。予約設定時、表示部41の画面は複数の領域に分割され、各領域には予め決められた情報が表示される。図6に示される例では、表示部41の画面は、第1領域21、第2領域22、第3領域23及び第4領域24の4つの表示領域に分けられている。表示部41の画面左側に第1領域21が設けられ、第1領域21の右側に上から順に第2領域22、第3領域23及び第4領域24が設けられている。
第1領域21には、選択可能な予約モードが表示される。図4に示される予約ボタン54eにより切り替えて選択された予約モードは、例えば反転表示等により、選択されていない予約モードと異なる表示形態で表示される。第2領域22には、現在時刻が表示される。
第3領域23には、炊き上がり時間又は炊き上がり時刻が、使用者により変更可能なように表示される。「予約1」又は「予約2」の予約モードでは炊き上がり時刻が表示され、「かんたん」の予約モードでは炊き上がりまでの時間が表示される。具体的には、図4に示される移動ボタン54cの上キー又は下キーを操作することで、一定のインクリメント(例えば、5分)で、第3領域23に表示される炊き上がり時刻を遅くする又は早めることができる。例えば、炊き上がり時刻として18:00が表示されている場合、上キーが1回操作されると、18:05が炊き上がり時刻として表示され、下キーが1回操作されると、17:55が炊き上がり時刻として表示される。使用者は、第2領域22に表示された現在時刻を参照しながら、炊き上がり時刻を指示することができる。
第4領域24には、現時設定されている米種及び炊飯モード等の情報が表示される。図6に示される例では、米種としては白米が設定され、炊飯モードとしては、特定の炊飯モードが設定されておらず、制御部80が自動的に炊飯モードを選択するため、「おまかせ」と表示されている。
次に、「ぴったり炊き」の制御について説明する。図4に示される炊飯/予約確定ボタン54aが押されると、操作部50から制御部80へ予約炊飯開始信号が出力される。またこのとき、予約設定時に操作部50を介して指示された炊き上がり時間又は炊き上がり時刻等の情報が制御部80へ出力され、制御部80に炊き上がり時間Ttが設定される。制御部80は、予約炊飯開始信号を受信すると、「ぴったり炊き」の予約炊飯を開始する。
制御部80は、予約炊飯が開始すると、まず、設定された炊き上がり時間Ttと、記憶部81に記憶されている各炊飯モードの目安炊飯時間Ta1、Ta2、Ta3とに基づき、複数の炊飯モードM1、M2、M3から最適な炊飯モードを選択する。
図7は、本発明の実施の形態2に係る炊飯器における炊飯モードの選択基準を説明する説明図である。図7に基づき、最適な炊飯モードの選択基準について説明する。図7の横軸は時間tを表している。図7に示される例では、炊飯モードM1の目安炊飯時間Ta1、炊飯モードM2の目安炊飯時間Ta2及び炊飯モードM3の目安炊飯時間Ta3のうち、炊飯モードM1の目安炊飯時間Ta1が最も長く、炊飯モードM3の目安炊飯時間Ta3が最も短い。図7には、各炊飯モードM1、M2、M3の目安炊飯時間Ta1、Ta2、Ta3が、各目安炊飯時間Taの終了時点を、設定された炊き上がり時間Ttの終了時点すなわち炊き上がり時刻Tfに一致させて表されている。また図7には、制御部80が予約炊飯開始信号を受信した予約炊飯開始時刻Toが示されている。
制御部80は、設定された炊き上がり時間Tt以内に目安炊飯時間Taが収まることを第1条件として炊飯モードを選択する。炊飯モードM2の目安炊飯時間Ta2及び炊飯モードM3の目安炊飯時間Ta3は、設定された炊き上がり時間Ttよりも短く、炊飯モードM2及び炊飯モードM3は第1条件を満たす。換言すると、炊飯モードM2及び炊飯モードM3では、予約炊飯開始時刻To以降に予熱開始時刻Thを設定し、設定された炊き上がり時刻Tfに内鍋19内の米を炊き上げることができる。一方、炊飯モードM1の目安炊飯時間Ta1は、設定された炊き上がり時間Ttよりも長く、炊飯モードM1は第1条件を満たさない。換言すると、炊飯モードM1では、炊き上がり時刻Tfに米を炊き上げることができない。
また制御部80は、第1条件を満たす炊飯モードM2、M3のうち、設定された炊き上がり時間Ttに目安炊飯時間が最も近い炊飯モードを、最適な炊飯モードとして選択する。すなわち、制御部80は、設定された炊き上がり時間Tt以内に目安炊飯時間Taが収まり、かつ、最も目安炊飯時間Taが長い炊飯モードを選択する。ここでは、第1条件を満たす炊飯モードM2、M3のうち、目安炊飯時間Taが長い炊飯モードM2が、最適な炊飯モードとして選択される。制御部80は、自動的に選択された炊飯モードM2で、加熱部30を制御する。このとき、加熱部30は、炊飯モードM2に対応する炊飯シーケンスS2の加熱条件にしたがって制御され、米が炊き上がると報知部40に信号を出力し、報知部40により、炊飯が完了したことが報知される。
以上のように、実施の形態1の炊飯器1において、設定された炊き上がり時間Ttと、各炊飯モードMの目安炊飯時間Ta1、Ta2、Ta3とに基づき、複数の炊飯モードM1、M2、M3から炊飯モード(例えば、炊飯モードM2)が自動的に選択される。このため、制御部80が炊飯モードMを選択する際の自由度が増すことにより、炊飯が開始されるまでに使用者が行う操作が簡略化され、使用者が希望する時間に炊飯を完了させることができる予約炊飯の設定を容易にできる。さらに、設定された炊き上がり時間Ttの長さによって生じる米飯の炊き上がり状態の変化を、従来よりも小さくすることができる。また使用者は、炊き上がり時間だけを設定すればよいので、予約設定時の操作が少なくて済み、使い勝手が向上する。
また制御部80は、操作部50を介して設定された炊き上がり時間Tt以内に目安炊飯時間Taが収まる炊飯モードMを選択し、設定された炊き上がり時間Ttに目安炊飯時間Taが最も近い炊飯モードを選択する。これにより、待機時間を少なくできるため、米が柔らかくなりすぎて食味が損なわれるのを防止できる。
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2に係る炊飯器における調整前後の炊飯工程を示す説明図である。図9は本発明の実施の形態2に係る炊飯器の予約炊飯シーケンスの一例を示すフローチャートである。図3、図5、図8及び図9に基づき、実施の形態2の炊飯器1について説明する。以下、実施の形態2において、実施の形態1と共通する部分については説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
実施の形態2においても、実施の形態1の場合と同様に、設定された炊き上がり時間Ttに応じて、複数の炊飯モードM1、M2、M3から最適な炊飯モードが選択される。実施の形態2では、選択された炊飯モードに対応する炊飯シーケンスのパラメータが調整される点で、実施の形態1の場合とは異なる。
炊飯モードM1、M2、M3に対応する炊飯シーケンスS1、S2、S3の炊飯工程は、内鍋19の温度及び加熱時間等の加熱条件が決められた複数の工程から成る。炊飯工程は、例えば、予熱工程、本炊き工程、及び蒸らし工程から成る。予熱工程は、炊飯シーケンスの最初に行われる。予熱工程では、予め設定された予熱温度で予め設定された時間、内鍋19が加熱される。予熱温度は、沸騰温度よりも低い温度である。予熱工程は、米への吸水を促進し、例えば糖などの甘味成分、あるいは例えばアミノ酸等の旨味成分の呈味成分を生成する工程である。
本炊き工程では、予熱工程の終了後から内鍋19内の水を沸騰させて沸騰温度を維持するように内鍋19が加熱される。本炊き工程は、内鍋19内の余分な水分を蒸発させ、米のデンプンの糊化を促進する工程である。内鍋19の温度が沸騰温度よりも上昇して予め設定されたドライアップ温度に到達すると、本炊き工程が終了する。
蒸らし工程では、内鍋19の温度が予め設定された温度(例えば、80℃)に一定時間保持される。蒸らし工程は、米を蒸らし、米粒中心のデンプンまで十分に糊化させ、水分の分布を均一化する工程である。蒸らし工程が終わると、炊飯工程が完了する。炊飯工程が完了すると、報知部40によって炊飯が完了したことが使用者に報知され、炊飯シーケンスが終了する。その後、炊飯器1は保温モードに移行する。
「ぴったり炊き」が開始されると、制御部80は、上述したように炊き上がり時間Tt及び目安炊飯時間Taに基づき最適な炊飯モードMを選択する(ステップST101)。図8の横軸は時間tを表している。図8に示される例では、最適な炊飯モードとして炊飯モードM2が選択されている。図8には、炊飯モードM2の目安炊飯時間Ta2が、目安炊飯時間Ta2の終了時点を、設定された炊き上がり時間Ttの終了時点すなわち炊き上がり時刻Tfに一致させて表示される。また図8には、予約炊飯開始時刻Toと、予熱工程が開始する予熱開始時刻Thと、本炊き工程が開始する本炊き開始時刻Tbと、蒸らし工程が開始する蒸らし開始時刻Tsとが示されている。
制御部80は、選択された炊飯モードM2での、予約炊飯開始時刻Toから予熱開始時刻Thまでの時間差Trを算出する(ステップST102)。制御部80は、選択された炊飯モードM2に対応する炊飯シーケンスS2の目安炊飯時間Ta2が、操作部50を介して設定された炊き上がり時間Ttに近づくように、炊飯シーケンスS2の一又は複数の工程の加熱条件を調整する(ステップST103)。つまり、設定された炊き上がり時間Ttと、目安炊飯時間Ta2との差分すなわち時間差Trだけ、調整前よりも調整後で目安炊飯時間Ta2が増える。
図8の例では、従来の炊飯器では待機時間とされていた時間差Trが、予熱工程及び蒸らし工程に振り分けられ、予熱工程が時間Tr1だけ長くなり、蒸らし工程が時間Tr2だけ長くなっている。なお、時間差Trは、予熱工程のみ、本炊き工程のみ、又は蒸らし工程のみに加えられてもよい。あるいは、時間差Trは、複数の工程のうち2つ以上の工程に均等又は不均等に振り分けられても良い。制御部80は、選択された炊飯モードM2で、調整後の炊飯シーケンスS2に従って加熱部30を制御する(ステップST104)。
以上のように、実施の形態2の炊飯器1にいて、制御部80は、選択された炊飯モードMの目安炊飯時間Taが、操作部50を介して設定された炊き上がり時間Ttとなるように、選択された炊飯モードMに対応するシーケンスの一以上の工程の時間を増加させる。
これにより、炊飯工程全体の時間が増加するので、選択された炊飯モードMの目安炊飯時間Taが、設定された炊き上がり時間Ttよりも短い場合でも、待機時間をなくし、吸水時間の差による食感のばらつきを抑えて美味しい米飯を提供できる。
実施の形態3.
図10は、本発明の実施の形態3に係る炊飯器の表示部が表示する設定表示の一例を示す図である。図11は、本発明の実施の形態3に係る炊飯器の記憶部のデータ構造を示す説明図である。図4、図7、図10及び図11に基づき、実施の形態3の炊飯器1について説明する。以下、実施の形態3において、実施の形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
実施の形態3では、操作部50を介して炊き上がり時間と炊飯量とが制御部80に設定され、炊き上がり時間に炊飯量が加味されて炊飯モードが選択される点が、実施の形態1の場合とは異なる。以下、炊飯量が米の合数で表される場合を例に説明する。
予約設定時に、操作部50は、使用者による炊飯量の指示を受け付ける。画面40aの第4領域24aには、現時設定中の合数(図10に示される例では3合)が表示されている。使用者は、メニューボタン54hを押すことで合数設定状態に遷移させ、メニューボタン54h又は移動ボタン54cの上下キーを操作することで第4領域24aに表示される炊飯量を変更し、指示し直すことができる。例えば、合数設定状態で移動ボタン54cの上キーが押されると、第4領域24aに表示されている合数が1合増えて4合となり、合数設定状態で移動ボタン54cの下キーが押されると、第4領域24aに表示されている合数は1合減って2合となる。なお、操作部50が、メニューボタン54hとは別に合数ボタンを備え、合数ボタンを介して使用者による炊飯量の指示がされてもよい。
炊飯/予約確定ボタン54aが押下され、予約が確定すると、操作部50から制御部80へ、予約炊飯開始信号が出力される。またこのとき、予約設定時に操作部50を介して指示された設定情報が制御部80へ出力され、設定される。ここで設定情報とは、炊き上がり時間、及び炊飯量(例えば、4合)である。
記憶部81には、各炊飯モードに対応して目安炊飯量Aが記憶されている。目安炊飯量Aは、対応する炊飯モードで米を美味しく炊き上げることができる目安の米の量であり、例えば実験の結果に基づき予め設定されている。目安炊飯量Aは、例えば1~3合のように炊飯量の範囲で表されるものでもよく、あるいは、最大炊飯量で表されてもよい。
図11に示される例では、記憶部81には、炊飯モードM1の目安炊飯量A1(例えば3合まで)と、炊飯モードM2の目安炊飯量A2(例えば3合まで)と、炊飯モードM3の目安炊飯量A3(例えば4合まで)とが記憶されている。
制御部80は、予約炊飯開始信号を受信すると、「ぴったり炊き」の予約炊飯を開始する。制御部80は、予約炊飯が開始すると、設定された炊き上がり時間Tt及び炊飯量と、記憶部81に記憶されている各炊飯モードの目安炊飯時間Ta1、Ta2、Ta3及び目安炊飯量A1、A2、A3とに基づき、最適な炊飯モードを選択する。
制御部80は、設定された炊飯量(4合)が目安炊飯量内であることを第2条件として、第1条件と第2条件とを満たす炊飯モードを選択する。つまり、制御部80は、設定された炊き上がり時間Tt以内に目安炊飯時間Taが収まるとともに、設定された炊飯量が目安炊飯量内となる炊飯モードを選択する。また制御部80は、第1条件及び第2条件を満たす炊飯モードが複数ある場合には、2つの条件を満たす複数の炊飯モードのうち、設定された炊き上がり時間Ttに目安炊飯時間が最も近い炊飯モードを、最適な炊飯モードとして選択する。
図7及び図11に示される例では、複数の炊飯モードM1、M2、M3のうち、2つの炊飯モードM2、M3は、それぞれが第1条件を満たしている。しかし、炊飯モードM2の目安炊飯量A2は3合までであり、設定された炊飯量(4合)は目安炊飯量A2を超過しているため、炊飯モードM2は第2条件を満たしていない。よって、第1条件及び第2条件を満たす炊飯モードM3が、最適な炊飯モードとして選択される。
制御部80は、自動的に選択された炊飯モードM3で、加熱部30を制御する。このとき、加熱部30は、炊飯モードM3に対応する炊飯シーケンスS3の加熱条件にしたがって制御される。そして、米が炊き上がると、制御部80から報知部40に信号が出力され、報知部40によって、炊飯が完了したことが使用者へ報知される。
なお、選択された炊飯モードM3の炊飯シーケンスS3がそのまま使用される場合について説明したが、実施の形態2のように、炊飯シーケンスS3の加熱条件のパラメータが調整され、調整された炊飯シーケンスに従って加熱部30が制御されてもよい。
以上のように、実施の形態3の炊飯器1において、制御部80は、設定された炊き上がり時間Tt及び炊飯量と、複数の炊飯モードM1、M2、M3の目安炊飯時間Ta1、Ta2、Ta3及び目安炊飯量A1、A2、A3とに基づき、炊飯モードを選択する。
これにより、炊き上がり時間だけでなく、これから炊こうとする炊飯量に適した炊飯モードを自動的に選択することができ、炊飯量に適した加熱条件で、米をさらに美味しく炊くことができる。
実施の形態4.
図12は、本発明の実施の形態4に係る炊飯器の記憶部のデータ構造を示す説明図である。図13は、本発明の実施の形態4に係る炊飯器における炊飯モードの選択基準を説明する説明図である。図12、図13に基づき、実施の形態4の炊飯器1について説明する。以下、実施の形態4において、実施の形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
実施の形態4では、一炊飯モードに対して、目安炊飯時間が炊飯量ごとに予め設定されている点が、実施の形態3の場合とは異なる。以下、炊飯量が米の合数で表される場合を例に説明する。
図12に示されるように、記憶部81には、複数の炊飯モードM1、M2、M3に対応する炊飯シーケンスSと、目安炊飯時間Taと、目安炊飯量Aとが記憶されている。記憶部81には、炊飯モードごとに、2合、3合及び4合の複数段階の目安炊飯量Aが設定されており、目安炊飯量Aごとに、目安炊飯量Aの米を炊くときに実行される炊飯シーケンスSと、目安炊飯量Aの米を炊くのに要する目安炊飯時間Taとが記憶されている。なお、図示していないが、炊飯シーケンスSには、対応する目安炊飯量Aに応じた内鍋19の温度が予め設定されており、これにより、制御部80は、米の量に応じた温度制御を行うことができる。
図12に示される例では、炊飯モードM1に対して、3つの目安炊飯量A11、A12、A13と、各目安炊飯量A11、A12、A13に対応する炊飯シーケンスS11、S12、S13及び目安炊飯時間Ta11、Ta12、Ta13が予め設定されている。また炊飯モードM2に対して、3つの目安炊飯量A21、A22、A23と、各目安炊飯量A21、A22、A23に対応する炊飯シーケンスS21、S22、S23及び目安炊飯時間Ta21、Ta22、Ta23が予め設定されている。また炊飯モードM3に対して、3つの目安炊飯量A31、A32、A33と、各目安炊飯量A31、A32、A33に対応する炊飯シーケンスS31、S32、S33及び目安炊飯時間Ta31、Ta32、Ta33が予め設定されている。
制御部80は、操作部50を介して設定された炊き上がり時間(例えば50分)及び炊飯量(3合)と、記憶部81に記憶されている複数の炊飯モードの複数段階の目安炊飯量A及び目安炊飯量Aごとの目安炊飯時間Taとに基づき、最適な炊飯モードMを選択する。
制御部80は、設定された炊飯量が目安炊飯量Aのいずれかに当てはまることを第3条件とし、目安炊飯量Aに対応する目安炊飯時間Taが炊き上がり時間Tt以内に収まることを第4条件として、第3条件及び第4条件を満たす炊飯モードMを選択する。また制御部80は、第3条件及び第4条件を満たす炊飯モードが複数ある場合、2つの条件を満たす複数の炊飯モードMのうち、目安炊飯量Aに対応する目安炊飯時間Taが炊き上がり時間Ttに最も近い炊飯モードを、最適な炊飯モードとして選択する。
図13の横軸は時間tを表している。図13には、炊飯モードM1の3つの目安炊飯量A11、A12、A13に対応する目安炊飯時間Ta11、Ta12、Ta13が、各目安炊飯時間の終了時点を、設定された炊き上がり時間Ttの終了時点すなわち炊き上がり時刻Tfに一致させて表される。また図13には、予約炊飯開始信号を受信した予約炊飯開始時刻Toが示されている。以下、目安炊飯量A11を2合、目安炊飯量A12を3合、目安炊飯量A13を4合とし、目安炊飯時間Ta11を45分、目安炊飯時間Ta12を50分、目安炊飯時間Ta13を55分として説明する。
図7に示される例では、炊飯モードM1は、目安炊飯時間Ta1が、設定された炊き上がり時間Ttよりも長いため、最適なモードとして選択されなかった。しかし、図13に示される例では、炊飯モードM1の、設定された炊飯量(3合)に一致する目安炊飯量A12での目安炊飯時間Ta12(50分)は、設定された炊き上がり時間Tt(50分)に収まっており、第3条件及び第4条件を満たす。図13に図示していない2つの炊飯モードM2、M3も第3条件及び第4条件を満たす。しかし、炊飯モードM1の目安炊飯量A12での目安炊飯時間Ta12(50分)が、設定された炊き上がり時間Ttに最も近いため、炊飯モードM1が最適な炊飯モードとして選択される。
制御部80は、自動的に選択された炊飯モードM1で、加熱部30を制御する。このとき、炊飯モードM1に対応する複数の炊飯シーケンスS11、S12、S13のうち、設定された炊飯量(3合)に適した目安炊飯量A12に対応する炊飯シーケンスS12に従って、加熱部30の通電が制御される。
ところで、一炊飯モードに対し一最大炊飯量のみが設定され、最大炊飯量以下で同じ炊飯シーケンスが実行される炊飯器では、最大炊飯量の米を炊く場合に合わせて目安炊飯時間が全体として長めに設定されている。このような炊飯器では、炊こうとする炊飯量が最大炊飯量以下であれば、予約設定時に、一律の目安炊飯時間Taによって炊飯モードが最適な炊飯モードであるか否かが判断される。このため、炊飯器1が、最大炊飯量よりも少ない量の米を炊くとき、実際には炊飯モードで希望の炊き上がり時間内に米を炊くことができる場合でも、制御部80により、炊飯モードが最適な炊飯モードとして選択されないこともある。
一方、実施の形態4の炊飯器1は、複数段階の目安炊飯量Aごとに目安炊飯時間が設定されている。これにより、使用者が炊こうとする米の量に適した加熱条件で米を美味しく炊くことができるとともに、使用者が設定可能な炊き上がり時間の自由度が増し、使い勝手が向上する。炊き上がり時間の条件に、さらに炊飯量の条件が追加された場合、条件を満たす炊飯モードが見つかりにくくなる場合もある。しかし、実施の形態4の炊飯器1では、炊飯量ごとに細分化された目安炊飯時間Ta11~Ta33が設定されているため、細分化された目安炊飯時間に基づき炊飯モードが自動的に選択されることにより、選択可能な炊飯モードの選択肢が確保される。
実施の形態5.
図14は、本発明の実施の形態5に係る炊飯器の表示部が表示する設定表示の一例を示す図である。図15は、本発明の実施の形態5に係る炊飯器の予約炊飯シーケンスの一例を示すフローチャートである。図20、14及び15に基づき、実施の形態5の炊飯器1について説明する。以下、実施の形態5において、実施の形態4と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態4との相違点を中心に説明する。実施の形態5では、被炊飯物の食味が損なわれるのを回避するための補助情報を、使用者に対して報知する報知機能が備えられる点で、実施の形態4の場合と異なる。
報知部40は、制御部80により最適な炊飯モードが選択されない場合、使用者へ注意を喚起する報知を行う。具体的には、音声報知部42が音声により、食味を損なう可能性がある旨を報知する。また報知部40は、被炊飯物の食味が損なわれるのを回避するための補助情報を使用者に対して報知する。具体的には、図14に示されるように、表示部41の画面の第4領域24aに、設定された炊き上がり時間Tt以内に米を炊き上げることができる炊飯モードの目安炊飯量Aの最大値(例えば3合)を表示する。
また報知部40は、最適な炊飯モードが選択されなかった場合において操作部50から再び同じ炊飯量が設定された場合に、記憶部81に記憶されている目安炊飯時間Taの最短時間を報知する。具体的には、音声報知部42が音声により、目安炊飯時間Taの最短時間を報知する。また表示部41の画面の第3領域23bには、設定された炊飯量に適した炊飯モードの目安炊飯時間の最短時間が表示される。ここで、最短時間は、図14に示されるように、最短の目安炊飯時間で炊いた場合の炊き上がり時刻(例えば18:00)でもよい。
次に、図15に基づき、「ぴったり炊き」で行われる、最適な炊飯モードが自動的に選択できなかった場合の制御について説明する。図10に示されるように、予約設定画面が表示され、使用者が操作部50を介して指示を入力し、予約を確定させると、制御部80は、ぴったり炊きの炊飯制御を開始する。
まず制御部80は、炊き上がり時間Tt及び炊飯量に応じた炊飯モードMを選択する(ステップST201)。具体的には、制御部80は、先述した第3条件及び第4条件の双方を満たす炊飯モードを選択する。最適な炊飯モードの選択基準は、実施の形態4の場合と同じであるため、ここでは説明を省略する。制御部80は、最適な炊飯モードMが選択されたか否かを判断し(ステップST202)、最適な炊飯モードMが選択されなかった場合には(ステップST202;NO)、報知部40へ報知信号を出力する。音声報知部42は、注意を喚起する報知がされる(ステップST204)。これにより、使用者は、設定した炊き上がり時間Tt及び炊飯量の双方に適した炊飯モードMが無いことを知ることができる。一方、最適な炊飯モードMが選択された場合には(ステップST202;YES)、選択された炊飯モードM2で、設定された炊飯量に適した炊飯シーケンスに従って加熱部30を制御する(ステップST203)。
音声報知部42により注意を喚起する報知がされた後(ステップST204)、制御部80は、設定された炊き上がり時間Ttに基づき一又は複数の炊飯モードMを抽出し(ステップST205)、報知部40へ報知信号を出力する。なお、制御部80により炊飯モードが抽出された後(ステップST205)、音声報知部42により注意を喚起する報知(ステップST204)がされてもよい。報知部40は、抽出された一又は複数の炊飯モードMの目安炊飯量Aの最大値すなわち最多の炊飯量を報知する(ステップST206)。その後、使用者が炊飯/予約確定ボタン54aを再び押して設定を確定すると(ステップST207;YES)、制御部80は、報知された最大値と同じ炊飯量が設定されたか否かを判断する(ステップST208)。設定が確定してない場合には(ステップST207)、使用者が設定を確定するまでステップST207の処理が繰り返される。
報知された最大値と同じ炊飯量が設定された場合(ステップST208;YES)、制御部80は、最大値が報知された炊飯モードMを選択し(ステップST209)、選択された炊飯モードM2で加熱部30を制御する(ステップST203)。この場合、使用者は、指示した炊き上がり時間Ttに米が炊き上がるように、報知された炊飯量の最大値を参考にして米の量を調整することができる。
報知された最大値とは異なる炊飯量が設定された場合(ステップST208;NO)、制御部80は、設定された炊飯量と同じ炊飯量が設定されたか否かを判定する(ステップST210)。設定された炊飯量と同じ炊飯量が設定された場合(ステップST210;YES)、制御部80は、設定された炊飯量に基づき炊飯モードMを抽出し直す(ステップST211)。また制御部80は、報知部40へ報知信号を出力し、報知部40により、再抽出された一又は複数の炊飯モードMの目安炊飯時間Taの最短時間が報知される(ステップST212)。そして、制御部80は、最短時間に対応する炊飯モードMを選択し(ステップST213)、選択された炊飯モードで加熱部30を制御する(ステップST203)。この場合、使用者は、報知された目安炊飯時間を参考にして、指示した炊飯量の米を美味しく炊くことができる最短の炊き上がり時間を把握することができる。
一方、設定された炊飯量とは異なる炊飯量が設定された場合(ステップST210;NO)、選択基準が変更されたため、再びステップST201に戻り、変更後の炊飯量、及び設定されている炊き上がり時間Ttに基づき炊飯モードMが選択される。
以上のように、実施の形態5の炊飯器1において、設定された炊き上がり時間Ttと炊飯量の双方に最適なモードが無い場合には、使用者が最適な炊飯モードを選択するのを補助する情報が表示される。よって、使用者は、食味を損なわずに時間を優先して炊飯する設定を把握し易い。また、設定した条件に合わなくても、報知された情報を参考にして設定をやり直し、状況に応じて炊き上がり時間の条件と炊飯量の条件の優先度を調整しながら、予約設定を行うことができる。よって、予約設定時の使い勝手が向上する。
また報知部40は、制御部80により炊飯モードが抽出された場合において、最多の炊飯量の報知を行った後、炊飯量が再び設定されたときに、新しく設定された炊飯量に対応する目安炊飯時間の最短時間を報知する。これにより、例えば、使用者が予約設定を行う前に洗米を行っており、内鍋19内の米の量を変更できない場合でも、使用者は、指示した炊飯量で、最も目安炊飯時間の短い炊飯モードを把握することができ、使い勝手が向上する。
実施の形態6.
図4、図6、図10及び図11を参照しつつ、実施の形態6の炊飯器について説明する。実施の形態6の炊飯器1は、実施の形態1の炊飯器にさらに、被炊飯物の食味が損なわれるのを回避するための補助情報を報知する機能を備える。以下、実施の形態6において、実施の形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
図11に示されるように、記憶部81には、各炊飯量モードに対応して最大炊飯量等の目安炊飯量Aが記憶されている。炊飯モードでの制御が開始される前において図6のように操作部50を介して炊き上がり時間Ttが一旦設定された状態で、再び操作部50が操作され、使用者が炊き上がり時間Ttを変更した場合、制御部80は炊飯モードを選択し直す。具体的には、制御部80は、変更後の炊き上がり時間Ttと、記憶部81に記憶された各炊飯モードの目安炊飯時間Taとに基づき炊飯モードMを再び選択する。
また、炊き上がり時間Ttを変更する設定が、変更前の炊き上がり時間Tt0を短縮する設定である場合、報知部40は、変更後の炊き上がり時間Tt1までに炊き上げることができる最大炊飯量を使用者へ報知する。具体的には、制御部80は、炊き上がり時間Ttが変更された場合に、変更前の炊き上がり時間Tt0と変更後の炊き上がり時間Tt1とを比較し、変更後の炊き上がり時間Tt1が変更前の炊き上がり時間Tt0よりも短い場合に報知部40へ報知信号を出力する。報知部40は、再び選択された炊飯モードMに対応して記憶部81に記憶された最大炊飯量を、表示部41により画面の第4領域24aに表示するとともに(図10参照)、音声報知部42により音声で使用者へ報知する。
なお、報知部40により報知される最大炊飯量は、最適な炊飯モードに対する最大炊飯量に限定されず、例えば、上述した第1条件を満たす一又は複数の炊飯モードに対応する最大炊飯量のうち最も大きい炊飯量であってもよい。
以上のように、実施の形態6の炊飯器1において、報知部40は、再び操作部50が操作され、炊き上がり時を短縮する設定がなされた場合に、再び選択された炊飯モードの最大炊飯量を報知する。これにより、使用者は、炊き上がり時間を短縮しながら、短縮し設定された炊き上がり時間に適した炊飯量の上限を知ることができるので、食味を損なわないように炊き上がり時間の短縮量を調整しつつ、炊飯量を確保できる。
なお、使用者が操作部50の操作を終えて一定時間経過したことをトリガーとして、操作部50から入力された炊きあがり時間が制御部80に送信されてもよい。このような構成によれば、使用者が、設定されている炊き上がり時間Ttよりも短い炊き上がり時間を入力すると、自動的に更新後の炊き上がり時間に応じた最大炊飯量が使用者に報知される。よって、使用者は、入力した炊き上がり時間で食味が損なわれないか否かを知るために予約確定(炊飯開始)ボタンを押す必要が無く、操作を簡略化できる。
実施の形態7.
図16は、本発明の実施の形態7に係る炊飯器における炊飯モードの炊飯工程を説明する図である。図17は、本発明の実施の形態7に係る炊飯器における炊飯モードの選択基準を説明する説明図である。図16及び図17に基づき、実施の形態7の炊飯器1について説明する。以下、実施の形態7において、実施の形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
実施の形態7の炊飯器1では、使用者が指示した炊き上がり時間を優先するとともに、使用者が選択した「かため」又は「やわらか」といった炊き上がり状態を予約炊飯に適用できる点が、実施の形態1の場合とは異なる。
炊飯モードは、実施の形態1では設定された炊き上がり時間Ttに応じて自動で選択されるため、予め使用者が操作部50から炊き上がり状態を設定していても、予約炊飯では、設定された炊き上がり状態は炊飯に反映されなかった。実施の形態7において、記憶部81には、やわらかL1、ふつうL2、及びかためL3といった複数の米の硬さに、第1炊飯モードM1、第2炊飯モードM2、又は第3炊飯モードM3が対応づけられて記憶されている。
通常の炊飯では、使用者が炊き上がりの米の硬さを指示することにより、指示された硬さに対応する炊飯モードが選択される。通常の炊飯は、これまで説明した炊き上がり時間を指定する予約炊飯とは異なるもので、通常の炊飯では、使用者がメニューボタン54hを介して炊き上がり状態等のメニューを選択することで、選択されたメニューに対して予め決められた炊飯モードが設定される。
図16の縦軸は、米の硬さLを表し、横軸は時間tを表す。各炊飯モードの違いは、炊飯工程に含まれる各工程の工程時間の長さ及び加熱部30への通電時間の長さの違い等から生じる。具体的には、図16に示されるように、予熱工程において米の硬さを表すグラフG1、G2、G3は、第1炊飯モードM1、第2炊飯モードM2、第3炊飯モードM3でほぼ同じ傾きとなっている。各グラフの傾きは、本炊き工程では予熱工程での傾きよりも緩やかになり、蒸らし工程では硬さが一定となっている。すなわち、炊飯工程が進むほど、米の硬さの変化は小さくなる。
第1炊飯モードM1の予熱工程の時間すなわち予熱時間は、第2炊飯モードM2及び第3炊飯モードM3の予熱工程よりも長く設定されており、第2炊飯モードM2の予熱時間は第3炊飯モードM3の予熱時間よりも長く設定されている。本炊き工程の設定温度よりも低い温度で米に吸水させる予熱工程の時間を変えた場合に、本炊き工程の時間に差を設けるよりも顕著に米の炊き上がりの硬さに影響するため、ここでは、各炊飯モードM1、M2、M3間で予熱工程の時間に差が設けられている。このため、各炊飯モードでの炊飯工程の完了時間も異なる。具体的には、3つの炊飯モードM1、M2、M3のうち、予熱時間が最も長い第1炊飯モードM1で炊飯工程が完了するまでの目安炊飯時間Ta1が最も長く、予熱時間が最も短い第3炊飯モードM3で目安炊飯時間Ta3が最も短い。しかし、炊飯モードM2で炊くよりも、炊飯モードM1すなわち通常の炊飯でやわからL1に対応した炊飯モードの方が、短時間で、米を一定の硬さ(例えば、ふつうL2)にすることができる。
記憶部81には、各米飯の硬さL1、L2、L3について通常の炊飯で使用される炊飯モードMの目安炊飯時間Taと、通常の炊飯で使用されない炊飯モードで同等の米の硬さに炊くのに要する必要時間Tnとが記憶されている。
図17の縦軸は、炊き上がりの米の硬さLを表し、横軸は、設定された炊き上がり時間Ttを表す。炊き上がり時間が指定される予約炊飯では、希望の炊き上がり状態に対応した炊飯モードが、設定された炊き上がり時間Ttに希望の炊き上がりで米を炊き上げることができる炊飯モードであるとは限らない。また、上述したように本炊き工程前の吸水時間によって、米飯の炊き上がりの状態が変わる。ここで、予熱工程だけでなく、炊飯モードでの炊飯工程が開始されるまでに待機時間がある場合には待機時間の間も米が吸水するため、吸水時間には予熱時間と待機時間とが含まれる。
実施の形態7の炊飯器において、予約炊飯では、通常の炊飯における炊き上がり状態のメニューと炊飯モードとの対応関係に関わらず、炊飯モードが選択される構成となっている。実施の形態7において炊飯モードがどのように選択されるか、具体的な例を挙げて説明する。以下、設定された炊き上がり時間Ttが時間t1であり、炊き上がりの米の硬さがふつうL2に設定されているものとする。
制御部80は、目安炊飯時間Taが、時間t1と同じ又は時間t1よりも長い炊飯モードを選択する。図17に示される例では、時間t1よりも長い目安炊飯時間Ta1を持つ第1炊飯モードM1が選択される。制御部80は、選択された炊飯モードM1で加熱部30を制御する。そして、制御部80は、被炊飯物の状態が設定された炊き上がり状態となったとき、すなわち炊飯モードM1で米の硬さL2となる時間Tn21に、内鍋19の加熱を終了するように加熱部30を制御する。このように炊飯モードが選択されることにより、実施の形態7の炊飯器1において、使用者が指定する時間に、使用者が希望する炊き上がりの炊飯物を提供できる。予約炊飯において、米の硬さがふつうL2に設定されたときに通常の炊飯時と同じ炊飯モードM2が選択される構成では、待機時間が生じ、結果、炊き上がった米の硬さは、希望の米の硬さよりもやわらかくなってしまう(図17の硬さL4参照)。
実施の形態8.
図18は、本発明の実施の形態8に係る炊飯器の外観を示す概略斜視図である。図19は、本発明の実施の形態8に係る炊飯器と通信可能な情報端末機器の概略正面図である。図20は、本発明の実施の形態8に係る炊飯器の情報端末機器との関係を説明する説明図である。図18~20に基づき、実施の形態8の炊飯器1について説明する。以下、実施の形態8において、実施の形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。実施の形態8の炊飯器1は、通信部2bを備え、外部の情報端末機器100と通信できるように構成されている。
通信部2bは、例えば、蓋20の上面側に設けられている。通信部2bは、例えばICタグ等で構成され、非接触で炊飯器1と外部の情報端末機器100と通信させる。具体的には、通信部2bは、情報を記憶する半導体集積回路であるICチップと、送受信部となるアンテナ又はコイルと、を有し、送受信部を介して電波により情報を交換する。なお、通信部2bは、炊飯器1と通信部2bとを通信させることができればどのような通信方式が採用されていてもよく、電磁誘導又は磁気結合により情報を交換させるものであってもよい。使用者が蓋20の上面側に情報端末機器100をかざし、情報端末機器100が通信部2bの一定距離以内にあるとき、通信部2bを介して情報端末機器100と炊飯器1とが通信する。
情報端末機器100は、例えば、炊飯器1に対応した専用端末、携帯電話、あるいはスマートフォン等の多機能情報端末で構成されている。また情報端末機器100は、インターネットに接続可能に構成されている。情報端末機器100は、端末情報を読み取る読取りモードと、情報を伝送する伝送モードとを有している。情報端末機器100は炊飯器1の各種情報を表示する端末表示部101を備えている。具体的には、端末表示部101は、選択可能な米種、メニュー、炊飯量及び炊き上がり時間等の情報を表示する。
端末表示部101は、例えばタッチパネル等で構成されており、端末表示部101を介して使用者は、情報端末機器100を読取りモード又は伝送モードにでき、また、表示された情報を見ながら炊飯器1の予約設定、あるいは設定の更新をすることができる。
読取りモードのとき、情報端末機器100は、炊飯器1の通信部2bに対して電波を発信することにより、炊飯器1と通信を行い、炊飯器1の情報を読み取り、表示画面に表示させることが可能となる。使用者は、情報端末機器100の表示画面を見ることで、表示された情報から炊飯器1の状況を把握することができる。
情報伝送モードのとき、情報端末機器100は、インターネットを介して取得した情報を炊飯器1に対して伝送し、炊飯器1が最新のメニューの炊飯モードで炊飯できるように炊飯器1に機能を追加することができる。また情報伝送モードのとき、情報端末機器100は、端末表示部101を介して入力された情報を炊飯器1に対して伝送し、炊飯器1の予約炊飯を設定したり、あるいは設定を更新したりできる。
図19には、情報端末機器100から炊飯器1の予約設定が行われるときの、端末表示部101の一表示形態が例示されている。具体的には、情報端末機器100の画面の上部には現在時刻が表示されており、画面下部には、現時設定されている米種及び炊飯モードが表示される。図19に示される例では、米種としては白米が設定されており、炊飯モードとしては、特定の炊飯モードが設定されておらず、「おまかせ」と表示されている。
情報端末機器100の画面の中央には、上キー又は下キー等の操作キー101aとともに、炊き上がり時刻が変更可能に表示されている。使用者は、上キー又は下キーを操作することで、一定のインクリメント(例えば、5分)で、炊き上がり時刻を遅くする又は早めることができる。なお、図19において、情報端末機器100からの炊き上がり時間の設定において、端末表示部101を介して炊き上がり時刻が入力される場合について説明したが、例えば50分等の炊き上がり時間が直接入力される構成であってもよい。情報端末機器100において使用者が端末表示部101を介して入力した設定情報は炊飯器1へ送信される。
炊飯器1において、制御部80は、情報端末機器100から送信された情報を、通信部2bを介して受信し、受信した情報に基づいて炊飯器1を制御する。情報端末機器100から送信され情報に予約炊飯の設定情報が含まれる場合、制御部80は、情報端末機器100を介して設定された炊き上がり時間Ttに応じて、複数の炊飯モードから炊飯モードを選択する。
以上のように、実施の形態8の炊飯器1は、炊飯器1と外部の端末(情報端末機器100)とを通信させる非接触通信部(通信部2b)を備える。そして制御部80は、非接触通信部を介して炊飯器1の情報を送信し、外部の端末から受信した情報に基づき複数の炊飯モードから炊飯モードを選択する。このような構成により、利用者は、炊飯器1の外部の端末から炊飯器1に対して予約設定を行うことができ、炊飯器1は、使用者が指示した時間に美味しく炊き上がった米を提供することができる。
なお、本発明の実施の形態は上記実施の形態に限定されず、種々の変更を行うことができる。例えば、炊飯器1は、上述した実施の形態1~8のうち複数の実施の形態の特徴を組み合わせて構成されてもよい。