以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
≪第1実施形態≫
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る車両運行管理装置及び車両運行管理方法について説明する。本実施形態では、本実施形態に係る車両運行管理装置を、ユーザの要求に基づいて運行される車両の運行計画を管理する車両運行管理システムに適用した例を用いて説明する。
図1は、車両運行管理システム1のブロック構成を示す図である。本実施形態の車両運行管理システム1は、車載装置100と、端末装置200と、モビリティサービスセンター300と、を備える。モビリティサービスセンター300は、電気通信回線により、車載装置100と情報の授受を行うことができるとともに、端末装置200とも情報の授受を行うことができる。
車載装置100は、サービス車両Vに搭載されている。サービス車両Vは、複数のユーザに共用される車両であって、ユーザの要求に応じて運行する、いわゆるデマンド型の車両と呼ばれる車両である。サービス車両Vとしては、電動モータを駆動源として備える電気自動車、内燃機関を駆動源として備えるエンジン自動車、電動モータ及び内燃機関の両方を駆動源として備えるハイブリッド自動車を例示できる。なお、電動モータを駆動源とする電気自動車やハイブリッド自動車には、二次電池を電動モータの電源とするタイプや燃料電池を電動モータの電源とするタイプのものも含まれる。また、サービス車両Vの種類としては、普通乗用車、バス、小型乗用車、軽乗用車が例示できる。
また、サービス車両Vは、バス等の移送サービスを行うための車両であってもよい。本実施形態では、サービス車両Vは、所定の地域内を、モビリティサービスセンター300により策定された運行計画に従って巡回する車両であり、ユーザのリクエスト情報に応じて、設定された停止位置で停止してユーザを乗降させる。
また、サービス車両Vは、ユーザが希望する条件に応じて自動的に運転をすることができ、ユーザを移送することが可能な車両であってもよい。なお、サービス車両Vを運転する主体は、特に限定されず、運転者であってもよいし、車両の走行を制御することが可能な走行制御装置であってもよい。
図1に示す各構成について説明する前に、本実施形態でのサービス車両の利用方法の概略について説明する。サービス車両を利用したいユーザは、端末装置200を介して、モビリティサービスセンター300に対してサービス車両への希望条件(以降、リクエスト情報ともいう。)を送信することで、サービス車両を利用することができる。ユーザは、サービス車両に対する希望条件を端末装置200に入力する。希望条件には、希望の乗車位置を示す希望乗車位置、希望の降車位置を示す希望降車位置、希望の乗車時刻を示す希望乗車時刻、希望の降車時刻を示す希望降車時刻が含まれる。また、希望降車位置とユーザの最終的な目的地が異なる場合、希望条件にはユーザの最終目的地が含まれていてもよい。なお、端末装置200は、ユーザの現在地を特定することが可能なGPS(Global Positioning System)機能を有しており、ユーザの希望条件には、ユーザの現在地の情報が付加される。
モビリティサービスセンター300では、複数のサービス車両の運行計画を管理しており、端末装置200から送信されるユーザの希望条件に応じてサービス車両の手配が行われる。サービス車両の手配が完了すると、モビリティサービスセンター300は、手配可能なサービス車両の車両情報(車種、利用可能な時間帯)と、ユーザが乗車する予定の位置を示す乗車位置、ユーザが降車する予定の位置を示す降車位置と、サービス車両が乗車位置に到着する時刻を示す乗車位置への到着予定時刻と、サービス車両が降車位置に到着する時刻を示す降車位置への到着予定時刻と、を端末装置200に送信する。また、手配可能なサービス車両に既に他のユーザが乗車中の場合、モビリティサービスセンター300は、乗車中のユーザの希望条件と受信したユーザの希望条件をそれぞれ満たすように、サービス車両の走行経路やサービス車両の停止位置が組み込まれた運行計画を策定する。ユーザは、端末装置200を介してこれらの情報について確認を行う。そして、ユーザがサービス車両を利用することに承諾すると、サービス車両の運行計画は更新される。ユーザは、乗車位置に到着予定時刻までに到着するように、徒歩又は自転車などの移動手段を用いて移動することで、サービス車両に乗車する。以上が本実施形態におけるサービス車両の利用方法の基本構成である。
次に、図1を参照しながら各構成について説明する。
車載装置100は、入力装置110、出力装置120、各種センサ130、通信装置140、地図情報データベース150、及び車載コントローラ160を備えている。車載装置100を構成する各装置は、相互に情報の授受を行うためにCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続されている。
入力装置110は、ユーザがサービス車両の利用に関する情報を入力することが可能な装置である。入力装置110としては、例えば、ユーザの手操作による入力が可能なタッチパネル又はジョイスティックや、ユーザの音声による入力が可能なマイクなどの装置が挙げられる。入力装置110は、乗車中のユーザが入力した入力情報を、車載コントローラ160に出力する。
出力装置120には、モビリティサービスセンター300からの情報が車載コントローラ160を介して入力される。出力装置120は、入力された情報を乗車中のユーザに対して提示することが可能な装置である。出力装置120としては、例えば、液晶ディスプレイや、スピーカなどが挙げられる。出力装置120がユーザに提示する情報については後述する。
各種センサ130は、サービス車両Vの走行状態に関する情報を検出する。各種センサ130としては、サービス車両Vの走行状態そのものを検出する装置類と、サービス車両Vへのユーザの乗り降りを検出する装置類とに分けられる。前者の装置としては、車速を検出する車速センサ、車両の周囲に存在する障害物を検出するレーダー、車両の走行位置を検出するGPSユニット等が挙げられる。後者の装置としては、サービス車両Vを利用するユーザか否かの認証を行う認証装置が挙げられる。例えば、認証装置としては、NFC(Near Field Communication)による通信が可能な装置が挙げられる。認証装置は、ユーザがサービス車両Vへ乗車するタイミングで、端末装置200などからユーザのID情報を読み取る。各種センサ130は、検出した情報を車載コントローラ160に出力する。
通信装置140は、電話回線網などを介して、モビリティサービスセンター300が備える通信装置320と通信可能な装置である。通信装置140は、受信した情報を車載コントローラ160に出力するとともに、車載コントローラ160から入力される情報をモビリティサービスセンター300に送信する。
地図情報データベース150は、道路情報及び地図情報を格納している。地図情報データベース150は、車載コントローラ160からアクセス可能なデータベースであり、車載コントローラ160からのアクセスに応じた情報を、車載コントローラ160に出力する。道路情報には、各道路の種別(一般道路、自動車専用道路、橋、トンネルなど)の情報が含まれる。
車載コントローラ160は、サービス車両Vの走行を制御するための装置である。車載コントローラ160は、車両の走行を制御するプログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とから構成される。
車載コントローラ160は、ROMに格納されたプログラムをCPUにより実行することにより、モビリティサービスセンター300から送信される走行経路に沿って、サービス車両Vを走行させる又は走行するための運転支援を行う走行制御機能と、ユーザの認証を行うユーザ認証機能と、乗車位置又は降車位置において、ドアの開け閉め等を行うユーザ応対機能と、備える。
車載コントローラ160は、走行制御機能により、モビリティサービスセンター300から送信される走行経路に沿ってサービス車両Vを走行させる又は運転支援を実行する。例えば、サービス車両Vがバスの場合、車載コントローラ160が出力装置120を介して走行経路の情報を運転者に提示する運転支援を実行することで、運転者は走行経路に沿った運転をすることができる。また、例えば、サービス車両Vが運転者によらず自動的に運転することが可能な車両の場合、車載コントローラ160は、サービス車両Vの各種駆動装置(付図示)に対して、走行経路に沿った走行をすることが可能な制御を行う。また、車載コントローラ160は、走行経路に沿ってサービス車両Vを走行させる際には、地図情報データベース150に格納された地図情報、道路情報を用いる。
車載コントローラ160は、ユーザ認証機能により、乗車しようとするユーザに対して、サービス車両Vを利用するユーザであるか否かの認証を行う。例えば、車載コントローラ160は、各種センサ130に含まれる認証装置からユーザIDを取得すると、モビリティサービスセンター300に対して希望条件を送信したユーザのID情報を要求して照合作業を行う。
車載コントローラ160は、ユーザ応対機能により、ユーザがサービス車両Vから乗降車するタイミングにて、車両の停止を示すために方向指示器又はハザードを点滅させるとともに、ドアの開閉制御を実行する。
次に、端末装置200について説明する。端末装置200は、入力装置210、出力装置220、通信装置230、及びコントローラ240を備えている。端末装置200は、ユーザが持ち運び可能であって無線通信可能なものである。端末装置200としては、例えば、ノートパソコン、タブレット端末、スマートフォンなどが挙げられる。
入力装置210は、ユーザが各種情報を入力することが可能な部材であり、例えば、ユーザの手操作による入力が可能なタッチパネル又はジョイスティックが挙げられる。サービス車両を利用する際には、ユーザは、入力装置210を介して希望乗車位置等の希望条件を入力することができる。また、モビリティサービスセンター300からの提案情報に対して、ユーザは、入力装置210を介して提案情報に対する承諾又は拒否をすることができる。入力装置210は、ユーザが入力した情報を、コントローラ240に出力する。
出力装置220には、通信装置230及びコントローラ240を介して、モビリティサービスセンター300からの情報が入力される。出力装置220は、ユーザに対してモビリティサービスセンター300からの情報を提示する装置であり、例えば、ディスプレイやスピーカが挙げられる。
通信装置230は、電話回線網などを介して、モビリティサービスセンター300が備える通信装置320と通信可能な装置である。通信装置230は、モビリティサービスセンター300から受信した情報をコントローラ240に出力するとともに、コントローラ240から入力される情報をモビリティサービスセンター300に送信する。
コントローラ240は、ユーザがサービス車両を利用する際に、所定のプログラム等を実行して、サービス車両の利用開始することが可能な制御装置であり、CPU、ROM、RAMで構成されている。例えば、コントローラ240は、サービス車両を利用するための専用のアプリケーションを予めROMに格納している。ユーザが入力装置210を介してアプリケーションの開始を操作すると、コントローラ240は、当該専用のアプリケーションを実行する。これにより、出力装置220には、専用のアプリケーションの画面が表示され、ユーザはサービス車両を利用することができる。
次に、モビリティサービスセンター300について説明する。モビリティサービスセンター300は、サーバ310を備えている施設であり、サービス車両の運行計画を管理している。モビリティサービスセンター300には、サービス車両を利用する複数のユーザにとって適した運行計画を策定するための情報が集められる。具体的には、モビリティサービスセンター300には、ユーザのサービス車両に対する希望条件の情報、サービス車両の位置の情報、道路交通情報が集められる。モビリティサービスセンター300では、収集された情報及び後述するサーバ310が備えるデータベースに格納されている情報に基づいて、サービス車両の手配、ユーザの乗降が行われるサービス車両の停止位置の算出、及び走行経路の算出等の各種処理がシリアル又はパラレルに行われる。サーバ310は、これらの処理を実行する装置である。
サーバ310は、通信装置320、道路地図情報データベース330、道路交通情報データベース340、リクエスト情報データベース350、及びコントローラ360を備えている。
通信装置320は、電話回線網などを介して、サービス車両Vが備えている通信装置140、及び端末装置200が備えている通信装置230と通信可能な装置である。通信装置320は、車載装置100、端末装置200から受信した情報をコントローラ360に出力するとともに、コントローラ360から入力される情報を、車載装置100又は端末装置200に送信する。なお、通信装置320は、道路交通情報通信システムVICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)と通信することも可能であり、コントローラ360は、VICSからの情報をもとに現在の交通状況を把握することもできる。通信装置320は、VICSから受信した情報を、コントローラ360を介して、道路交通情報データベース340に出力する。
道路地図情報データベース330は、コントローラ360がサービス車両Vの走行経路を算出するための地図情報及び道路情報を格納している。地図情報及び道路情報は、リンクとノードの組み合わせにより表現される情報である。道路地図情報データベース330には、所定の期間ごとに、更新された地図情報及び道路情報が入力される。これにより、コントローラ360は、実際の地形及び実際の道路形状に応じた、サービス車両Vの走行経路を算出することができる。
道路交通情報データベース340には、VICSからの情報が、所定の期間ごとに入力される。道路交通情報データベース340は、最新の渋滞情報、最新の交通障害情報、最新の交通規制情報を格納している。これにより、コントローラ360は、実際の交通状況に応じた、サービス車両Vの走行経路を算出することができる。
リクエスト情報データベース350は、ユーザのリクエスト情報を格納している。通信装置320がユーザからのリクエスト情報を受信する度に、リクエスト情報データベース350には、リクエスト情報が格納される。これにより、リクエスト情報データベース350には、受信した現在のリクエスト情報が格納されるだけでなく、これまで受信した過去のリクエスト情報が蓄積される。
コントローラ360は、サービス車両Vの運行計画を管理するための制御装置であり、CPU、ROM、RAMで構成されている。コントローラ360は、ROMに格納されたプログラムをCPUにより実行することにより、ユーザの希望条件を確認するユーザ確認機能と、サービス車両Vの状況を確認してサービス車両Vを手配するサービス車両管理機能と、リクエスト情報データベース350に蓄積されたリクエスト情報を分析するリクエスト情報分析機能と、分析結果に基づいてサービス車両の停止位置を算出する停止位置算出機能と、時間帯ごとのサービス車両Vの運行計画を策定する運行計画策定機能と、運行計画に関する情報を車載装置100及び端末装置200に通知する情報通知機能と、を備える。
コントローラ360は、ユーザ確認機能により、ユーザの希望条件の内容を確認する。ユーザの希望条件には、ユーザが入力した、希望乗車位置、希望降車位置、希望乗車時刻、及び希望降車時刻と、ユーザの現在地の情報が含まれている。
また、ユーザの希望条件には、希望降車位置だけでなく最終目的地が含まれていてもよい。なお、コントローラ360は、最終目的地が希望条件に含まれていない場合、希望降車位置を最終目的地として扱う。また、コントローラ360は、希望乗車位置が希望条件に含まれていない場合、ユーザの現在地を希望乗車位置として扱う。希望乗車位置及び希望降車位置は、サービス車両Vが走行する道路上の位置に限られず、施設内の位置であってもよい。
サービス車両管理機能について説明する。コントローラ360は、サービス車両管理機能により、サービス車両Vの現在の状況を確認して、ユーザの希望条件に最も適したサービス車両Vを手配する。コントローラ360は、待機中のサービス車両Vに限られず、走行中のサービス車両Vを状況確認の対象とする。
コントローラ360は、サービス車両Vから送信されるプローブ情報に基づいて、走行中のサービス車両Vの状況を確認する。例えば、サービス車両Vは、所定の期間ごとに現在地の情報を含むプローブ情報をモビリティサービスセンター300に送信する。この場合、コントローラ360は、プローブ情報に基づいて、走行中のサービス車両Vの現在地を把握することができる。
また、例えば、コントローラ360は、サービス車両Vの利用状況を管理するスケジュール表を有しており、スケジュール表に基づいて、待機中又は走行中のサービス車両Vの状況を確認する。そして、コントローラ360は、プローブ情報やスケジュール表により、複数のサービス車両Vの現在の状況を把握すると、複数のサービス車両Vの中から、ユーザの希望条件を満たすサービス車両Vを特定し、特定したサービス車両Vをサービス車両の利用を希望するユーザに割り当てる。
次に、リクエスト情報分析機能について説明する。コントローラ360は、リクエスト分析機能により、リクエスト情報データベース350に蓄積されたリクエスト情報を分析する。具体的には、コントローラ360は、リクエスト情報に含まれる、希望乗車時刻及び希望降車時刻から、時間帯ごとにリクエスト情報を分割する。次に、コントローラ360は、リクエスト情報に含まれる、希望乗車位置及び希望降車位置から、時間帯ごとのリクエスト情報をグループ化する。具体的には、コントローラ360は、一の時間帯における希望乗車位置及び希望降車位置と、当該時間帯に連続した時間帯における希望乗車位置及び希望降車位置との相関性の高さを算出し、相関性の高い時間帯を一つのグループとみなす。これにより、時間帯ごとの運行計画を設定することが可能となる。
図2を参照しながら、希望乗車位置及び希望降車位置の相関性について説明する。図2は、希望乗車位置及び希望降車位置の相関性を説明するための図である。図2(A)(B)は、リクエスト情報データベース350に蓄積されている希望乗車位置(図2では、白丸で示される希望乗車位置O)と、希望降車位置(図2では、黒丸で示される希望降車位置D)についての分布図である。なお、図2の例では、希望乗車位置Oは、ユーザが端末装置200を介してリクエスト情報を、モビリティサービスセンター300に送信した位置である。また、走行経路R及びサービス車両Vの停止位置S1~S5は、それぞれ、この地域において予め設定された走行経路及び停止位置を示している。このような予め定められた走行経路及び停止位置は、当初のサービス車両Vの運行計画に含まれている。図2の例では、サービス車両Vは、当初のサービス車両Vの運行計画に従って運行しており、走行経路Rに沿って巡回しながら、ユーザのリクエスト情報に応じて、停止位置S1~S5で停止する。
図2(A)は12時~12時15分の時間帯における希望乗車位置及び希望降車位置の分布図であり、図2(B)は、12時15分~12時30分の時間帯における希望乗車位置及び希望降車位置の分布図である。図2(C)は、時間帯と相関係数の関係の一例を示す図である。
図2の例では、コントローラ360は、図2(A)に示す希望乗車位置及び希望降車位置の分布と、図2(B)に示す希望乗車位置及び希望降車位置の分布が類似しているか否かを判定することで、希望乗車位置及び希望乗車位置の分布の類似の度合いを示す相関係数を算出する。例えば、コントローラ360は、希望乗車位置及び希望降車位置の分布の広がり方、希望乗車位置及び希望位置の数に応じて、2つの時間帯における分布が類似しているか否かを判定する。コントローラ360は、分布の類似性が高ければ高いほど、相関係数を高い値に設定する。コントローラ360は、一日分のリクエスト情報を、所定の時間帯毎に分割し、連続する時間帯において希望乗車位置及び希望降車位置の分布の比較を行うことで、時間帯に応じたユーザの希望乗車位置及び希望降車位置の傾向を把握することができる。
また、本実施形態では、コントローラ360は、相関係数が所定の閾値以上である時間帯のリクエスト情報をグループ化する。図2(C)の例に示すように、コントローラ360は、相関係数が閾値T以上であって、変曲点等の不連続性がない時間帯をグループ化する。図2(C)の例では、コントローラ360は、10時~14時の時間帯を、時間帯1~4の4つの時間帯にリクエスト情報を分割している。これにより、時間の変化とともに希望乗車位置及び希望乗車の分布の変化が緩やかな時間帯については、サービス車両Vの運行計画に対して、同一の停止位置を設定することができる。
次に、図3を参照しながら、停止位置算出機能について説明する。コントローラ360は、複数の希望乗車位置を代表する位置、及び複数の希望降車位置を代表する位置を算出する。図3は、本実施形態におけるサービス車両Vの停止位置を説明するための図である。図3(A)は、所定の時間帯におけるユーザの希望乗車位置及び希望降車位置の分布図を示し、図3(B)は、複数のユーザの希望乗車位置を代表する代表位置及び複数のユーザの希望降車位置を代表する代表位置を示し、図3(C)は、代表位置に基づいて設定されたサービス車両Vの停止位置を示す。なお、図3の例では、図2の例と同様に、当初の運行計画が予め設定されており、サービス車両Vは予め定められた走行経路Rを巡回しながら、リクエスト情報に応じて、予め定められた停止位置S1~S5に停止するものとする。
コントローラ360は、リクエスト情報データベース350から、図3(A)に示す希望乗車位置及び希望降車位置の分布を取得すると、例えば、クラスタリング処理を実行する。具体的には、コントローラ360は、図3(B)に示すように、希望乗車位置及び希望降車位置の分布について、複数のグループに分ける。例えば、一の希望乗車位置から所定の範囲内に存在する複数の希望乗車位置を、一のグループとして設定する。
コントローラ360は、希望乗車位置及び希望降車位置の分布を、複数のグループに分けると、グループごとに、複数の希望乗車位置を代表する位置及び複数の希望降車位置を代表する位置を、代表位置として算出する。代表位置を算出する方法は特に限られず、複数の希望乗車位置及び希望降車位置に対する重心の位置を、代表位置としてもよいし、複数の希望乗車位置及び希望降車位置の座標の平均値を、代表位置としてもよい。図3(B)の例では、コントローラ360は、希望乗車位置及び希望降車位置の分布を、7つのグループに分け、グループごとに代表位置を算出している。図3(B)の例では、代表位置は代表位置P1~P7で示される。
コントローラ360は、複数の代表位置を算出すると、代表位置を含めた代表位置の周辺に、ユーザが乗降するためのサービス車両Vの停止位置を設定する。本実施形態では、コントローラ360は、予め定められたサービス車両Vの停止位置を代替するために、サービス車両Vの停止位置を新たに設定する。このため、コントローラ360は、算出した代表位置の数が予め定められたサービス車両Vの停止位置の数よりも多い場合には、複数の代表位置の中から選定する。選定の基準は特に限定されず、例えば、サービス車両Vの走行経路に近い位置にある代表位置を優先的に選定してもよい。また、例えば、予め定められたサービス車両の停止位置に対して近い距離にある代表位置を優先的に選定してもよい。
図3(C)の例では、コントローラ360は、まず、代表位置P1~P7の中から、代表位置P1、P3、P4、P5、P7を選定する。そして、コントローラ360は、各代表位置の周辺であって、走行経路Rの経路上の位置に、停止位置S1’~S5’を設定している。
コントローラ360は、図3(A)~(C)に示す処理を、各時間帯のリクエスト情報に対して実行し、時間帯ごとのサービス車両Vの停止位置を設定する。その際に、コントローラ360は、リクエスト情報分析機能により、リクエスト情報が複数のグループに分割されている場合、グループごとにサービス車両Vの停止位置を設定する。
次に、運行計画策定機能について説明する。コントローラ360は、サービス車両Vの停止位置を設定すると、サービス車両Vの運行計画を策定する。本実施形態では、コントローラ360は、予め定められた走行経路を変更することなく、停止位置を予め設定された停止位置から新たに設定した停止位置へ変更する。図3(C)の例では、コントローラ360は、停止位置S1~S5を、新たに設定した停止位置S1’~S5’に変更する。そして、コントローラ360は、ユーザのリクエスト情報を受信しない状態において、サービス車両Vを走行経路Rに沿って巡回させ、ユーザのリクエスト情報を受信すると、ユーザの希望乗車位置から最短距離に位置する停止位置S1’~S5’で停止するように、サービス車両Vの運行計画を策定する。
また、コントローラ360は、時間帯ごとにサービス車両Vの運行計画を策定する。その際に、コントローラ360は、リクエスト情報分析機能により、リクエスト情報が複数のグループに分割されている場合、グループごとにサービス車両Vの運行計画を策定する。
次に、図4を参照しながら、情報通知機能について説明する。図4は、ユーザが希望条件を入力する方法の一例と、ユーザへ情報通知する方法の一例を示す図である。図4(A)、(B)は端末装置200の出力装置220が表示する表示画面を示している。図4の例では、端末装置200としてスマートフォンが用いられている。
図4(A)では、出力装置220が音声にてユーザに目的地の入力を促しており、ユーザは、地図情報とともに表示される現在位置を確認しながら、希望する目的地を表示画面にタッチして設定する。ユーザにより目的地が入力されると、入力された情報は、リクエスト情報(希望条件)として、モビリティサービスセンター300に送信され、上述したサービス車両の手配等の処理が開始される。
図4(B)では、出力装置220がユーザにサービス車両Vの運行計画に関する情報を提示している。具体的には、図4(B)の画面上側に表示されるように、出力装置220は、サービス車両Vに乗車する前の情報として、サービス車両Vの停止位置を提示するとともに、サービス車両Vが当該停止位置に到着するまでの所要時間を音声にて案内する。また、図4(B)の画面下側に表示されるように、出力装置220は、サービス車両Vに降車した後の情報として、サービス車両Vの停止位置を提示するとともに、サービス車両Vが当該停止位置に到着するまでの所要時間及び停止位置からユーザの目的地までの経路を音声にて案内する。なお、ユーザへの入力を促す方法は、図4(A)に示す方法に限られるものではなく、また、ユーザへ情報を提示する方法も、図4(B)に示す方法に限られるものではない。
次に、図5を参照しながら、本実施形態においてサービス車両の運行計画が策定されるまでの動作について説明する。図5に示すフローチャートの処理は、モビリティサービスセンター300に搭載されたサーバ310により実行される。具体的には、上述したコントローラ360が各処理を実行する。
まず、ステップS101にて、コントローラ360は、リクエスト情報データベース350に蓄積されたリクエスト情報を取得する。
ステップS102にて、コントローラ360は、リクエスト情報を分析する。具体的には、コントローラ360は、まず、リクエスト情報を受信した時刻から、時間帯ごとにリクエスト情報を分割する。そして、コントローラ360は、図2(C)に示すように、連続する時間帯における希望乗車位置及び希望降車位置について、相関性の高さを算出する。相関性とは、希望乗車位置及び希望降車位置の分布が類似している度合いを示している。コントローラ360は、相関性が高いほど相関係数を高く設定する。また、コントローラ360は、一日の各時間帯におけるリクエスト情報を対象にして、希望乗車位置及び希望降車位置の分布についての相関性の高さを算出する。
ステップS103にて、コントローラ360は、ステップS102にて分析された結果に基づいて、リクエスト情報を時間帯ごとにグループ化する。コントローラ360は、所定の閾値以上の相関性の高さがあり、連続する時間帯のリクエスト情報を一つのグループとみなす。これにより、時間が変化しても、希望乗車位置及び希望降車位置の分布の傾向が変わらない場合には、一つのリクエスト情報として扱うことができるため、サービス車両Vの運行計画を、ある程度まとまった時間帯ごとに策定することができる。以降の処理について、コントローラ360は、グループ化したリクエスト情報ごとに実行する。
ステップS104にて、コントローラ360は、複数の希望乗車位置を代表する位置、及び複数の希望降車位置を代表する位置を算出する。例えば、コントローラ360は、図3(B)に示すように、希望乗車位置及び希望降車位置の分布について、希望乗車位置及び希望降車位置が点在する範囲及び希望乗車位置及び希望降車位置の数に応じて、複数のグループに分ける。そして、コントローラ360は、グループごとに複数の希望乗車位置を代表する位置、及び複数の希望降車位置を代表する位置を算出する。
ステップS105にて、コントローラ360は、ステップS104にて算出された代表位置に基づいて、ユーザが乗降するためのサービス車両Vの停止位置を設定する。例えば、図3(C)に示すように、コントローラ360は、予め設定された走行経路R上であって、代表位置から所定の範囲内にサービス車両Vの停止位置を設定する。コントローラ360は、代表位置ごとに、サービス車両Vの停止位置を設定する。なお、このステップにおいて、サービス車両Vの停止位置を改めて設定することなく、コントローラ360は、ステップS104にて算出された代表位置を、サービス車両Vの停止位置として設定してもよい。
ステップS106にて、コントローラ360は、ステップS105にて設定したサービス車両Vの停止位置を含めたサービス車両Vの運行計画を策定する。例えば、図3(C)に示すように、コントローラ360は、予め設定された停止位置S1~S5から、複数の希望乗車位置を代表する位置、及び複数の希望降車位置を代表する位置である、停止位置S1’~S5’に変更した、サービス車両Vの運行計画を策定する。なお、本実施形態では、コントローラ360は、走行経路については、予め設定されたサービス車両Vの走行経路を用いる。
ステップS107にて、コントローラ360は、ステップS103にてグループ化した全ての時間帯においてサービス車両Vの運行計画を策定したか否かを判定する。サービス車両Vの運行計画が策定していない時間帯が存在する場合、ステップS104に戻り、全ての時間帯においてサービス車両Vの運行計画が策定している場合、処理を終了する。
以上のように、本実施形態では、サービス車両Vを利用する複数のユーザから、希望乗車位置及び希望降車位置を含む車両への希望条件を取得し、複数の希望乗車位置を代表する位置、及び複数の希望降車位置を代表する位置を算出し、代表する位置をユーザの乗降が行われるサービス車両Vの停止位置として設定し、サービス車両Vの停止位置を含むサービス車両Vの走行経路が組み込まれた、サービス車両Vの運行計画を策定する。これにより、サービス車両Vが特定のユーザの希望乗車位置及び希望降車位置で停止するような車両の運行計画が策定されることを防ぐことができ、その結果として、車両を利用する複数のユーザにとって適切な車両の運行計画を策定することができる。
また、本実施形態では、希望条件に含まれる、希望乗車位置、希望降車位置、希望乗車時刻、及び希望降車時刻に基づいて、時間帯ごとのサービス車両Vの運行計画を策定する。これにより、時間帯ごとに適切なサービス車両Vの運行計画を策定することができ、その結果として、サービス車両Vを利用するユーザ全体の満足度を向上させることができる。
また、本実施形態では、時間帯ごとに、希望乗車位置及び希望降車位置の分布を比較し、時間帯ごとの希望乗車位置の分布に相関関係がある場合、又は時間帯ごとの希望降車位置の分布に相関関係がある場合、相関関係があると判定された時間帯のそれぞれの運行計画に対して、同一の停止位置を設定する。これにより、希望乗車位置の分布の傾向が類似している時間帯については、同一の停止位置が組み込まれたサービス車両Vの運行計画を用いることができるため、時間帯ごとに、サービス車両Vが微小な距離だけずれた位置に停止する等のサービス車両Vの運行が複雑になることを防ぐことができる。
また、本実施形態では、サービス車両Vの停止位置へのサービス車両Vの到着予定時刻を算出し、サービス車両Vの停止位置及び当該到着予定時刻をユーザに通知する。これにより、ユーザは、サービス車両Vに乗車するために、どの場所にいつまでに到着しなければならないかを把握することができる。
また、本実施形態では、ユーザからユーザの目的地の情報を取得し、サービス車両Vの停止位置とユーザの目的地の位置関係の情報をユーザに通知する。これにより、ユーザは、サービス車両Vを降車した後に、容易に目的地まで到着することができる。
《第2実施形態》
次に、本発明の他の実施形態に係る車両運行管理方法又は車両運行管理装置について説明する。本実施形態では上述した第1実施形態に対して、コントローラ360が実行するサービス車両Vの停止位置の設定についての制御処理の一部が異なる。その他の構成及び制御処理は、第1実施形態と同じであり、第1実施形態の記載を適宜援用する。
上述した第1実施形態では、コントローラ360は、サービス車両Vの停止位置を、予め設定されたサービス車両Vの停止位置の数と同数だけ設定していたが、本実施形態のコントローラ360は、ユーザの移動コスト及びサービス車両Vの運行効率に基づいて、サービス車両Vの停止位置を増減させることができる。
まず、ユーザの移動コストについて説明する。移動コストとは、ユーザが現在地から最終目的地へ移動するまでに要するあらゆるコストであり、本実施形態では、時間、料金、身体的な負荷を数値化したものである。本実施形態では、ユーザの移動コスト(トータルユーザコスト(TUC)ともいう。)は、サービス車両Vを利用するユーザごとに算出されたユーザコスト(UC)の総和として示される。
トータルユーザコスト(TUC)=Σ(ユーザコスト(UC))
ユーザコスト(UC)は、以下の式で示すように、各コストから構成されている。コントローラ360は、以下に示す各コストを算出して、移動コストとする。各コストについて説明する。
ユーザコスト(UC)=アクセスコスト(AC)+待ち時間コスト(WC)+乗車時間コスト(TC)+イグレスコスト(EC)+料金(FARE)
アクセスコスト(AC):ユーザが現在地から乗車位置まで徒歩で移動するのに要する時間及び負荷で示されるコスト
AC=M(1+a+b)(ユーザの現在地から乗車位置までの距離LUorg-PU)/(ユーザの歩行速度VUSR)
待ち時間コスト(WC):乗車位置での待ち時間及びユーザにかかる負荷で示されるコスト
WC=M(1+b)(巡回所要時間TCIR/運行台数NOPE)
乗車時間コスト(TC):ユーザが乗車位置から降車位置までサービス車両Vで移動するのに要する時間で示されるコスト
TC=M(乗車位置から降車位置までの距離LPU-DO)/平均周回速度VMEAN
イグレスコスト(EC):ユーザが降車位置から最終目的地まで徒歩で移動するのに要する時間及び負荷で示されるコスト
EC=M(1+a+b)(降車位置から最終目的地までの距離LDO-Udes)/VUSR
料金(FARE):乗車位置から降車位置までのサービス車両Vの利用にかかる費用
M:時間価値貨幣換算係数
a:徒歩移動によりかかる負荷を時間価値に換算する係数
b:乗車位置でサービス車両Vを待つ間にかかる負荷及び徒歩移動を時間価値に換算する係数
アクセスコスト(AC)は、ユーザが現在地から乗車位置までを徒歩で移動するのに要するコストである。なお、ユーザの現在地と乗車位置が同一の場合(サービス車両Vがユーザの現在地に到着する場合)には、アクセスコスト(AC)はゼロとなる。なお、アクセスコスト(AC)における現在地とは、端末装置200がユーザの希望条件をモビリティサービスセンター300に送信した地点である。
待ち時間コスト(WC)は、乗車位置でユーザがサービス車両Vの到着を待っている間に要するコストである。待ち時間コスト(WC)には、待ち時間だけでなく、ユーザへの身体的な負荷(例えば、心身の疲労)が含まれている。
イグレスコスト(EC)は、ユーザが降車位置から最終目的地まで徒歩で移動するのに要するコストである。なお、降車位置とユーザの最終目的地が同一の場合(サービス車両Vがユーザの最終目的地に到着する場合)には、イグレスコスト(EC)はゼロとなる。
なお、アクセスコスト(AC)及びイグレスコスト(EC)は、上記の式に示すように、徒歩移動により要する時間の価値(係数M)と、徒歩移動に伴うユーザへの身体的な負荷(係数a)と、サービス車両Vを待つ間にかかる身体的な負荷(係数b)が考慮された値となる。
ユーザの歩行速度VUSRは、ユーザの歩行速度を示している。例えば、道路地図情報データベース330には、ユーザの平均的な歩行速度が各道路のリンクに関連付けられている。係数aは、徒歩移動による負荷を時間の価値に換算する係数である。例えば、ユーザが身障者、高年齢者、妊婦の場合や、ユーザが乳幼児を連れている場合には、徒歩移動による負荷が大きくなるため、係数aは平均値よりも大きく設定される。
コントローラ360は、ユーザの属性(性別、年齢等)がプローブ情報に含まれている場合、歩行速度VUSR及び係数aについて、ユーザの属性に応じて予め設定された値を用いる。また、コントローラ360は、移動コストの算出に用いた歩行速度VUSR及び係数aをデータベースに格納することで、次回以降、実績がある値を用いることができる。ユーザは、端末装置200に対して、性別、年齢等を入力したり、歩行速度VUSR及び係数aを直接設定したりすることで、歩行速度VUSR及び係数aを変更することができる。
運行台数NOPEは、運行しているサービス車両Vの台数を示している。
平均周回速度VMEANは、走行経路における代表的な車両の速度を示している。例えば、平均周回速度VMEANとしては、道路交通情報データベース340に格納されている、現在の交通状況における速度が用いられる。渋滞が発生している道路においては、平均周回速度VMEANの値は小さくなる。また、交通規制などで通行不可能な区間の道路においては、平均周回速度VMEANの値はゼロとなる。
係数bは、乗車位置で待っている間にかかるユーザへの身体的な負荷及び徒歩移動による負荷を時間の価値に換算する係数である。コントローラ360は、天気や気温に応じて、係数a、bを変更することができる。例えば、雨天や寒暑時では、屋外の移動や待機はユーザへの負荷が大きくなることを考慮して、コントローラ360は、係数a、bを平均値よりも大きく設定する。
係数Mは、時間の価値を貨幣に換算するために便宜上設けられた所定の係数である。係数Mは、実験的に求められた値が好ましい。
料金(FARE)は、乗車位置から降車位置までのサービス車両Vの利用にかかる費用である。料金(FARE)は、一律の料金であってもよいし、走行距離又は乗車時間の関数で表されるような変動する料金であってもよい。本実施形態では、コントローラ360は、料金(FARE)に、走行距離又は乗車時間で変動する料金を用いる。
次に、サービス車両Vの運行効率について説明する。サービス車両Vの運行効率とは、サービス車両Vをどれだけ効率よく運行しているかを示すものである。本実施形態では、サービス車両Vの運行効率は、運行効率(OE)で示される。運行効率(OE)は、以下の式で示される。
運行効率(OE)=Σ乗車人数NUSR/Σ巡回所要時間TCIR
乗車人数NUSR=時間帯あたりのリクエスト情報の数NREQ/運行台数NOPE
巡回所要時間TCIR=Σ(停止位置間の距離LRUN、i/停止位置間での走行速度Vi)+Σ停止位置でのユーザの乗降所要時間TPUDO、i
巡回所要時間TCIRは、サービス車両Vが走行経路に沿って一回巡回するのに要する時間を示している。巡回所要時間TCIRは、サービス車両Vの停止位置間をサービス車両が移動するのに要する時間と、停止位置でユーザが乗降するのに要する時間とで構成されている。停止位置が複数存在する場合には、巡回所要時間TCIRは、これらの時間の総和で示される。
次に、図6を参照しながら、トータルユーザコスト及びサービス車両Vの運行効率と、サービス車両Vの停止位置の数の関係について説明する。図6は、トータルユーザコスト及びサービス車両Vの運行効率と、サービス車両Vの停止位置の数の関係を説明するための図である。
一般に、サービス車両Vの停止位置の数が増加すると、ユーザの現在位置から停止位置までの移動距離は減少する。しかし、停止位置間の距離が減少するため、サービス車両Vの走行速度が下がるとともに、停止位置での安全確認を行う時間やドアの開閉に要する時間等の運行するに当たり必要な固定時間が増加する。そのため、図6に示すように、サービス車両Vの停止位置の数が増加すると、トータルユーザコスト(TUC)は減少して、所定のサービス車両Vの停止位置の数で最小となるが、その後、増加に転じてしまう。一方、サービス車両Vの運行効率については、サービス車両Vの停止位置の数が少ない方が、サービス車両Vの走行速度が上がるため、サービス車両Vの停止位置の数が減少すると、巡回所要時間が下がり、サービス車両Vの運行効率は向上する。トータルユーザコスト(TUC)及びサービス車両Vの運行効率と、サービス車両Vの停止位置の数には、このような関係性があるため、コントローラ360は、トータルユーザコスト(TUC)とサービス車両Vの運行効率のバランスを考慮して、サービス車両Vの停止位置の数を設定する。
例えば、図7に示すように、コントローラ360は、算出したユーザの移動コスト及びサービス車両Vの運行効率に基づいて、サービス車両Vの停止位置を増減させる。図7は、サービス車両Vの停止位置の数を増減させた際の一例を示す図である。
コントローラ360は、停止位置の数が3つの場合には、図7(A)に示す位置に、サービス車両Vの停止位置を設定する。同様に、コントローラ360は、停止位置の数が5つの場合には、図7(B)に示す位置に、サービス車両Vの停止位置を設定する。また、コントローラ360は、停止位置の数が7つの場合には、図7(C)に示す位置に、サービス車両Vの停止位置を設定する。さらに、コントローラ360は、停止位置の数が11つの場合には、図7(D)に示す位置に、サービス車両Vの停止位置を設定する。なお、図7(A)~(D)は、それぞれ、サービス車両Vの停止位置の数が3、5、7、11の場合におけるサービス車両Vの停止位置の一例を示している。
次に、図8を参照しながら、本実施形態においてサービス車両の運行計画が策定されるまでの動作について説明する。ステップS201~203、S207~S210の制御処理は、図5に示すステップS101~S103、ステップS104~S107の制御処理と同じため、各ステップの説明を援用する。
ステップS204にて、コントローラ360は、ユーザの移動コストを算出する。コントローラ360は、ステップS203にて分割された時間帯ごとに、ユーザの移動コストであるトータルユーザコスト(TUC)を算出する。
ステップS205にて、コントローラ360は、サービス車両Vの運行効率を算出する。コントローラ360は、ステップS203にて分割された時間帯ごとに、サービス車両Vの運行効率(OE)を算出する。
ステップS206にて、コントローラ360は、ステップS204にて算出されたユーザの移動コストと、ステップS205にて算出されたサービス車両Vの運行効率に基づいて、サービス車両Vの停止位置の数を設定する。例えば、コントローラ360は、図7(A)~(D)に示すように、サービス車両Vの停止位置の数を増減させる。
なお、ステップS204~S206の制御処理は、コントローラ360により設定された所定の判断基準を満たすまで繰り返し行われる。例えば、コントローラ360は、ユーザの移動コストが最小となることを、サービス車両Vの運行効率よりも優先させる場合には、サービス車両Vの停止位置の数を変動させて、ユーザの移動コストが最小となるサービス車両Vの停止位置の数を特定するまで、ステップS204~S206の制御処理を繰り返し行う。反対に、コントローラ360は、サービス車両Vの運行効率を向上させることを、ユーザの移動コストよりも優先させる場合には、サービス車両Vの停止位置の数を変動させて、サービス車両Vの運行効率が最大となるサービス車両Vの停止位置の数を特定するまで、ステップS204~S206の制御処理を繰り返し行う。
以上のように、本実施形態では、ユーザがサービス車両Vを利用して目的地に到着するまでにかかるユーザの移動コストを算出し、算出したユーザの移動コストに基づいて、サービス車両Vの停止位置の数を設定し、設定したサービス車両Vの停止位置の数が組み込まれたサービス車両Vの運行計画を策定する。これにより、ユーザの移動コストが向上するように、サービス車両Vの停止位置の数を設定することができ、サービス車両Vを利用するユーザの満足度を向上させることができる。
また、本実施形態では、ユーザの徒歩による移動時間又は移動距離、ユーザがサービス車両Vに乗車するための待ち時間、ユーザがサービス車両Vに乗車している時間、及びサービス車両Vの利用にかかる料金に基づいて、ユーザの移動コストを算出する。これにより、ユーザにかかる身体的な負荷や金銭的な負担が考慮された、サービス車両Vの運行計画を策定することができ、その結果として、サービス車両Vを利用するユーザの満足度を向上させることができる。
また、本実施形態では、サービス車両Vの運行効率を算出し、算出したサービス車両Vの運行効率に基づいて、サービス車両Vの停止位置の数を設定し、設定したサービス車両Vの停止位置の数が組み込まれたサービス車両Vの運行計画を策定する。これにより、サービス車両Vの運行効率を向上させるように、サービス車両Vの停止位置の数を設定することができ、サービス車両Vを運営する側の満足度を向上させることができる。
また、本実施形態では、サービス車両Vの走行経路の経路長、サービス車両Vが走行経路に沿って移動するのに要する時間、及びサービス車両Vの乗車人数に基づいて、サービス車両Vの運行効率を算出する。これにより、サービス車両Vが移動するために要する時間が考慮された、サービス車両Vの運行計画を策定することができ、その結果として、サービス車両Vを運営する側の満足度を向上させることができる。
《第3実施形態》
次に、本発明の他の実施形態に係る車両運行管理方法又は車両運行管理装置について説明する。本実施形態では上述した第1、第2実施形態に対して、コントローラ360が実行するサービス車両Vの走行経路の設定についての制御処理の一部が異なる。その他の構成及び制御処理は、第1実施形態と同じであり、第1、第2実施形態の記載を適宜援用する。
上述した第1、2実施形態では、コントローラ360は、サービス車両Vの走行経路には予め定められた走行経路を用いていたが、本実施形態のコントローラ360は、ユーザの移動コスト及びサービス車両Vの運行効率に基づいて、サービス車両Vの走行経路を設定する。
図9は、本実施形態において、設定されたサービス車両Vの走行経路の一例を示す図である。図9(A)は、予め設定されたサービス車両Vの停止位置と、上述した第1実施形態での制御処理により算出された、複数の希望乗車位置を代表する位置、及び複数の希望降車位置を代表する位置を示す図である。図9(B)は、予め設定されたサービス車両Vの走行経路を示す図である。図9(C)は、本実施形態において設定されたサービス車両Vの走行経路の一例を示す図である。
コントローラ360は、道路地図情報データベース330に格納されている地図情報及び道路情報に基づいて、図9(B)に示す予め設定されたサービス車両Vの走行経路を設定しておく。そして、コントローラ360は、図9(A)に示すように、ユーザの希望条件に基づいて、複数の希望乗車位置を代表する位置、及び複数の希望降車位置を代表する位置を設定する。
ここで、本実施形態のコントローラ360は、図9(A)に示す代表位置と、図9(B)に示す予め設定されたサービス車両Vの走行経路を利用して、ユーザの移動コスト及びサービス車両Vの運行効率を算出する。そして、コントローラ360は、道路地図情報データベース330に格納されている地図情報及び道路情報に基づいて、サービス車両Vの走行経路を算出するとともに、算出した走行経路ごとに、ユーザの移動コスト及びサービス車両Vの運行効率を算出する。
コントローラ360は、予め設定された走行経路よりも、ユーザの移動コスト又はサービス車両Vの運行効率を向上させることが可能な走行経路がある場合には、算出したサービス車両Vの走行経路が組み込まれたサービス車両Vの運行計画を策定する。例えば、コントローラ360は、図9(A)に示すように、予め設定された走行経路Rから距離がある位置に代表位置P4が設定された場合には、図9(C)に示すように、代表位置P4の周辺のサービス車両Vの停止位置P4’を経由したサービス車両Vの走行経路R’を設定する。
以上のように、本実施形態では、ユーザがサービス車両Vを利用して目的地に到着するまでにかかるユーザの移動コストを算出し、算出したユーザの移動コストに基づいて、サービス車両Vの走行経路を設定する。そして、設定したサービス車両Vの走行経路が組み込まれたサービス車両Vの運行計画を策定する。これにより、図9(A)に示すように、複数の希望乗車位置を代表する位置、及び複数の希望降車位置を代表する位置が予め定められた車両の走行経路Rから距離がある位置に算出されたとしても、図9(C)に示すように、サービス車両Vの走行経路R’を設定することができ、ユーザが停止位置までの移動にかかる時間や負荷を低減させることができる。その結果として、サービス車両Vを利用するユーザの満足度を向上させることができる。
また、本実施形態では、サービス車両Vの運行効率を算出し、算出したサービス車両Vの運行効率に基づいて、サービス車両Vの走行経路を設定する。そして、設定したサービス車両Vの走行経路が組み込まれたサービス車両Vの運行計画を策定する。これにより、図9(A)に示すように、複数の希望乗車位置を代表する位置、及び複数の希望降車位置を代表する位置が予め定められた車両の走行経路Rから距離がある位置に算出されたとしても、図9(C)に示すように、サービス車両Vの走行経路R’を設定することができ、ユーザの乗降を待つためにサービス車両Vが停止する時間を増やす必要がなく、サービス車両Vの運行効率を向上させることができる。その結果として、サービス車両Vを運営する側の満足度を向上させることができる。
《第4実施形態》
次に、本発明の他の実施形態に係る車両運行管理方法又は車両運行管理装置について説明する。本実施形態では上述した第1~第3実施形態に対して、コントローラ360が実行するサービス車両Vの走行経路の設定についての制御処理の一部が異なる。その他の構成及び制御処理は、第1実施形態と同じであり、第1~第3実施形態の記載を適宜援用する。
上述した第1~第3実施形態では、コントローラ360は、サービス車両Vの走行経路には一の走行経路を用いていたが、本実施形態のコントローラ360は、ユーザの移動コスト及びサービス車両Vの運行効率に基づいて、複数のサービス車両Vの走行経路を設定する。
図10は、本実施形態において、設定されたサービス車両Vの走行経路の一例を示す図である。図10(A)は、予め設定されたサービス車両Vの停止位置と、上述した第1実施形態での制御処理により算出された、複数の希望乗車位置を代表する位置、及び複数の希望降車位置を代表する位置を示す図である。図10(B)は、予め設定されたサービス車両Vの走行経路を示す図である。図10(C)は、図10(A)に示す代表位置に対して、一の走行経路を設定した場合のサービス車両Vの走行経路の一例を示す図である。図10(D)は、図10(A)に示す代表位置に対して、複数の走行経路を設定した場合のサービス車両Vの走行経路の一例を示す図である。
コントローラ360は、第3実施形態と同様に、道路地図情報データベース330に格納されている地図情報及び道路情報に基づいて、図10(B)に示す予め設定されたサービス車両Vの走行経路を設定しておく。そして、コントローラ360は、図10(A)に示すように、ユーザの希望条件に基づいて、複数の希望乗車位置を代表する位置、及び複数の希望降車位置を代表する位置を設定する。
ここで、本実施形態のコントローラ360は、図10(A)に示す代表位置に対して、一の走行経路を設定するか複数の走行経路を設定するかを判定する。コントローラ360は、第3実施形態での方法と同様の方法により、図10(C)に示す走行経路R’を設定するとともに、図10(C)に示す走行経路を設定した場合のユーザの移動コスト及びサービス車両Vの運行効率を算出する。この場合、図10(C)に示すように、走行経路R’は、代表位置P4付近に設定された停止位置P4’を経由するために、迂回した経路となる。そのため、コントローラ360は、図10(C)の走行経路R’では、走行経路の経路長が長くなるため、サービス車両Vの巡回所要時間が増加し、ユーザの移動コストが増加するとともに、サービス車両Vの運行効率が低減すると判断し、複数の走行経路を設定する。
例えば、コントローラ360は、図10(D)に示すように、代表位置P4を除く代表位置に対しては、図10(B)に示す予め設定された走行経路Rに沿って、サービス車両Vを巡回、代表位置P4に対しては、新たに設定した走行経路R’’に沿ってサービス車両Vを巡回させる。なお、図10(D)に示すように、複数の走行経路を設定した場合には、コントローラ360は、各走行経路に沿って巡回することが可能な複数のサービス車両Vの手配を行う。
以上のように、本実施形態では、ユーザがサービス車両Vを利用して目的地に到着するまでにかかるユーザの移動コストを算出し、算出したユーザの移動コストに基づいて、複数のサービス車両Vの走行経路を設定する。そして、設定した複数の走行経路が組み込まれたサービス車両Vの運行計画を策定する。これにより、ユーザの移動コストが向上するように、複数のサービス車両Vの走行経路を設定することができ、サービス車両Vを利用するユーザの満足度を向上させることができる。
また、本実施形態では、サービス車両Vの運行効率を算出し、算出したサービス車両Vの運行効率に基づいて、複数のサービス車両Vの走行経路を設定する。そして、設定した複数の走行経路が組み込まれたサービス車両Vの運行計画を策定する。これにより、サービス車両Vの運行効率を向上させるように、複数のサービス車両Vの走行経路を設定することができ、サービス車両Vを運営する側の満足度を向上させることができる。
なお、本実施形態では、予め定められた走行経路を用いる構成を例に挙げて説明したが、複数の走行経路には予め定められた走行経路が含まれてなくてもよい。
《第5実施形態》
次に、本発明の他の実施形態に係る車両運行管理方法又は車両運行管理装置について説明する。本実施形態では上述した第1~第4実施形態に対して、コントローラ360が手配するサービス車両の台数やサービス車両の車種の設定についての制御処理の一部が異なる。その他の構成及び制御処理は、第1~第4実施形態と同じであり、第1~第4実施形態の記載を適宜援用する。
本実施形態では、コントローラ360は、リクエスト情報の数に応じて、運行させるサービス車両Vの台数や、サービス車両の車種を調整する。まず、コントローラ360は、リクエスト情報の数から、所定の時間帯におけるユーザの数を推定する。コントローラ360は、推定したユーザがサービス車両を利用した場合を想定し、サービス車両Vの一台あたりの乗車人数と、サービス車両Vの台数を算出する。そして、コントローラ360は、算出した乗車人数が乗車可能なサービス車両Vの車種を選定する。コントローラ360は、サービス車両Vの台数及びサービス車両Vの車種が組み込まれたサービス車両Vの運行計画を策定する。
図11は、本実施形態において、設定されたサービス車両Vの台数及びサービス車両Vの車種の一例を示す図である。図11(A)(B)は、所定の時間帯における希望乗車位置及び希望降車位置の分布を示している。また、図11(A)における希望乗車位置及び希望降車位置の数は、図11(B)における希望乗車位置及び希望降車位置の数よりも多い。
例えば、図11(A)に示すような希望乗車位置及び希望降車位置の数の場合、コントローラ360は、サービス車両Vの台数として3台を設定し、サービス車両Vの車種として大型バスを設定する。図11(B)に示すような、希望乗車位置及び希望降車位置の数の場合、コントローラ360は、図11(A)に示す時間帯よりもユーザの数が少ないため、サービス車両Vの台数として1台を設定し、サービス車両Vの車種として大型バスを設定する。なお、図11(B)に示す時間帯において、コントローラ360は、ユーザの移動コストを低減させる観点から、サービス車両Vの台数として3台を設定し、サービス車両Vの車種として乗用車を設定してもよい。
以上のように、本実施形態では、希望条件の数に応じて、サービス車両Vの一台あたりの乗車人数と、サービス車両Vの台数を算出し、算出した乗車人数が乗車可能な車種を選定する。そして、サービス車両Vの車種及びサービス車両Vの台数が組み込まれたサービス車両Vの運行計画を策定する。これにより、時間帯によってサービス車両Vの利用者数が変動しても、適切なサービス車両Vの台数とサービス車両Vの車種を設定することができ、サービス車両Vの運行効率を向上させることができる。その結果として、サービス車両Vを運営する側の満足度を向上させることができる。また、移動の利便性が考慮された車種を設定することができ、ユーザの移動コストを低減させることができ、その結果として、サービス車両Vを利用するユーザの満足度を向上させることができる。
《第6実施形態》
次に、本発明の他の実施形態に係る車両運行管理方法又は車両運行管理装置について説明する。本実施形態では上述した第1~第5実施形態に対して、コントローラ360が設定するサービス車両Vの停止位置の設定についての制御処理の一部が異なる。その他の構成及び制御処理は、第1~第5実施形態と同じであり、第1~第5実施形態の記載を適宜援用する。
上述した第1~第5実施形態では、ユーザの希望乗車位置及び希望降車位置に基づいて、サービス車両Vの停止位置を設定していたが、本実施形態のコントローラ360は、サービス車両Vを利用したユーザの行動履歴に基づいて、サービス車両Vの停止位置を設定する。
具体的には、コントローラ360は、ユーザが所有する端末装置200からユーザの行動履歴の情報を取得する。端末装置200は、GPS機能を有しているため、ユーザが端末装置200を携帯しながらサービス車両Vを利用すると、端末装置200には、ユーザの移動履歴が記録される。コントローラ360は、通信装置320を介して端末装置200と通信することで、サービス車両Vを利用したユーザから、ユーザの行動履歴を取得する。なお、ユーザの行動履歴は、各ユーザの個人情報であることから、プローブパーソンデータとも呼ばれる。
コントローラ360は、ユーザの行動履歴を分析することで、ユーザがサービス車両Vを利用するために移動を開始した位置と、ユーザがサービス車両Vを利用した後に向かった目的地の位置を特定する。例えば、コントローラ360は、ユーザの行動履歴から、所定時間の間ユーザが移動しなかった位置を特定する。コントローラ360は、ユーザの行動履歴から、サービス車両Vの利用前においてユーザが滞在していた位置を特定すると、特定した位置を、ユーザがサービス車両Vを利用するために移動を開始した位置とする。また、コントローラ360は、ユーザの行動履歴から、サービス車両Vの利用後においてユーザが滞在していた位置を特定すると、特定した位置を、ユーザがサービス車両Vを利用した後に向かった目的地の位置とする。
そして、コントローラ360は、ユーザの行動履歴から特定された位置に基づいて、サービス車両Vの停止位置を設定する。例えば、コントローラ360は、特定された位置をサービス車両Vの停止位置として設定する。
図12は、本実施形態において、分析されたユーザの行動履歴の一例を示す図である。ここでは、図12の例で示されるユーザの行動履歴について説明する。13時にサービス車両Vが利用可能なエリアに入ってきたユーザは、13時10分~14時40分の間に所定の位置に滞在している。そして、滞在地から移動したユーザは、14時45分に、サービス車両Vを利用するためにリクエスト情報を、モビリティサービスセンター300に送信している。さらに、14時50分にサービス車両Vに乗車したユーザは、15時に希望降車位置で降車している。その後、降車したユーザは、15時10分~17時10分の間に所定の位置に滞在している。さらに、サービス車両Vを利用するためにリクエスト情報を、モビリティサービスセンター300に送信し、17時15分にサービス車両Vに乗車し、17時25分に降車している。
図12の例において、コントローラ360は、ユーザの行動履歴から、13時10分~14時40分の間に滞在していた位置を、ユーザが移動を開始した位置P1として特定する。また、コントローラ360は、15時10分~17時10分の間に滞在していた位置を、ユーザの目的地P2として特定する。そして、コントローラ360は、希望乗車位置O及び希望降車位置Dではなく、ユーザが移動を開始した位置P1及びユーザの目的地P2に基づいて、サービス車両Vの停止位置を設定する。
以上のように、本実施形態では、サービス車両Vを利用したユーザの行動履歴の情報を取得し、取得したユーザの行動履歴に基づいて、サービス車両Vの停止位置を設定する。これにより、サービス車両Vの停止位置を、ユーザの実際の行動に即した位置に設定することができるため、サービス車両Vを利用するユーザの満足度を向上させることができる。
《第7実施形態》
次に、本発明の他の実施形態に係る車両運行管理方法又は車両運行管理装置について説明する。本実施形態では上述した第1~第6実施形態に対して、コントローラ360が設定するサービス車両Vの停止位置の設定についての制御処理の一部が異なる。その他の構成及び制御処理は、第1~第6実施形態と同じであり、第1~第6実施形態の記載を適宜援用する。
上述した第1~第6実施形態では、リクエスト情報データベース350に蓄積されたユーザの希望乗車位置及び希望降車位置やユーザの行動履歴に基づいて、サービス車両Vの停止位置を設定していたが、本実施形態のコントローラ360は、予め車両が運行している地域で開催される取得し、イベントの開催情報に基づいて、サービス車両Vの停止位置を設定する。本実施形態のイベントとは、不定期に開催されるものであって、多数の来場者が見込まれるイベントである。イベントとしては、スタジアムでのスポーツ大会、広場でのマーケット等が例示できる。
コントローラ360は、通信装置320を介してイベントの開催情報を予め取得する。イベントの開催情報には、イベントの開催場所、イベントの開始時刻及び終了時刻、動員規模の情報、イベントの種別の情報が含まれる。例えば、コントローラ360は、インターネットやイベント管理会社から、イベントの開催情報を取得する。
コントローラ360は、取得したイベントの開催情報に基づいて、イベントの来場者に対応するために、イベントの会場周辺にサービス車両Vの停止位置を臨時的に設定する。また、コントローラ360は、イベントの動員規模に基づいて、イベントが開催される時間帯におけるサービス車両Vの台数を一時的に増やす。そして、コントローラ360は、臨時的に設定されたサービス車両Vの停止位置及び一時的に増加したサービス車両Vの台数が組み込まれたサービス車両Vの運行計画を策定する。
図13は、本実施形態において、臨時的に設定されたサービス車両の停止位置の一例を示す図である。図13では、コントローラ360は、サービス車両Vの定常的に運行させるために、定常的なサービス車両Vの運行計画を策定しているものとする。定常的なサービス車両Vの運行計画には、停止位置S1’~S5’、走行経路R、3台のサービス車両V、及びサービス車両Vの種別がバスという情報が含まれている。
図13に示すように、コントローラ360は、サービス車両Vが走行する地域において開催されるイベントの情報を取得する。図13では、イベント会場の位置を、イベント開催予定地Eとして示している。コントローラ360は、開催予定のイベントの情報を取得すると、イベントの来場者に対応するために、イベント開催予定地Eの周辺に、臨時のサービス車両Vの停止位置Stempを設定する。また、コントローラ360は、イベントの動員規模の情報から、サービス車両Vの台数を一時的に増やす。図13では、コントローラ360は、イベントの開催に伴って、臨時的に運行されるサービス車両Vを3台追加している。そして、コントローラ360は、イベントの開始時刻から終了時刻の時間帯に対応した運行計画に対して、設定した臨時のサービス車両Vの停止位置Stempの情報及び6台のサービス車両Vの情報を組み込む。
以上のように、本実施形態では、サービス車両Vが運行している地域で開催されるイベントの情報を取得し、イベントの情報に基づいて、サービス車両Vの停止位置を設定する。これにより、一時的にサービス車両Vの利用者数が増加する事態が起こったとしても、利用者数の増加に対して適切なサービス車両Vの運行計画を予め策定することができる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態において開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、上述した実施形態では、リクエスト情報データベース350に蓄積された希望乗車位置及び希望降車位置、ユーザの行動履歴、又はイベントの開催情報を分析し、サービス車両Vの停止位置を設定する構成を例に挙げて説明したが、ユーザがリクエスト情報をモビリティサービスセンター300に対して送信した直後に、サービス車両Vの停止位置を設定してもよい。例えば、コントローラ360は、端末装置200からリクエスト情報を受信すると、所定の時間だけ他のリクエスト情報を受信する。そして、コントローラ360は、受信したリクエスト情報に基づいてサービス車両Vの手配等の処理を開始する前に、リクエスト情報に含まれる希望乗車位置及び希望降車位置から、サービス車両Vの停止位置を設定してもよい。これにより、ユーザがサービス車両Vを利用したいタイミングにおいて、サービス車両Vの運行計画を策定することができ、その結果として、ユーザにとってより適したサービス車両Vの運行計画を策定することができる。
また、例えば、上述した実施形態では、ユーザの移動コスト及びサービス車両Vの運行効率のいずれも算出する構成を例に挙げて説明したが、ユーザの移動コストのみを算出し、ユーザの移動コストに基づいたサービス車両Vの運行計画を策定してもよい。また、サービス車両Vの運行効率のみを算出し、サービス車両Vの運行効率に基づいたサービス車両Vの運行計画を策定してもよい。
また、例えば、上述した実施形態では、サービス車両Vが走行経路に沿って巡回する構成を例に挙げたが、サービス車両Vが巡回することに限られず、例えば、ユーザのリクエスト情報に応じて、ユーザを迎えに行き、その後、ユーザの希望降車位置まで走行する構成であってもよい。
また、例えば、上述した実施形態では、サービス車両Vの停止位置の設定、サービス車両Vの停止位置の数の設定、サービス車両Vの走行経路の設定、複数のサービス車両Vの走行経路の設定を、それぞれ個別に説明したが、これらのうち複数のものを同時に設定してもよい。例えば、サービス車両Vの停止位置の数を変更するともに、複数のサービス車両Vの走行経路を新たに設定してもよい。
本発明に係るコントローラを、サーバ310のコントローラ360を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。また、例えば、上述した実施形態では、本発明に係る車両を、サービス車両Vを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。