以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
≪第1実施形態≫
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る情報提供装置について説明する。本実施形態では、本実施形態に係る情報提供装置を、カーシェアリングを管理運営する共用車両管理システムに適用した例を用いて説明する。カーシェアリングは、複数の共用車両を複数のユーザで共用するシステムである。複数の共用車両は、複数のステーションに配置されている。本実施形態のカーシェアリングシステムでは、共用車両を借り出すステーションと、共用車両を返却するステーションとは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。なお、各ステーションは、共用車両を駐車させることができ、共用車両の貸出及び返却を行ったり、利用されていない共用車両を待機させたりできる場所であり、カーシェアリングシステムのために予め用意した駐車場などが挙げられる。
図1は、本実施形態の共用車両管理システム1を示す構成図である。図1に示すように、本実施形態の共用車両管理システム1は、共用車両管理装置100と、複数のユーザに利用される複数の共用車両V1〜Vn(以下、共用車両Vnと総称することもある)にそれぞれ設けられる車載装置200V1〜200Vn(以下、車載装置200Vnと総称することもある)と、複数のユーザによりそれぞれ所持されるユーザ端末装置400A〜400Z(以下、ユーザ端末装置400Aと総称することもある)と、を有する。本実施形態の共用車両管理システム1を構成する、車載装置200V1〜200Vn、ユーザ端末装置400A〜400Zの台数は限定されない。
本実施形態の共用車両Vnは、無人で自動的に走行可能な自動運転機能を備える車両である。共用車両Vnは駆動機構や操舵機構を備えており、これらの機構は自動運転機能により、完全に自動で制御される。なお、共用車両Vnは、運転者の運転操作により走行することができる手動運転機能を備えてもよく、自動運転機能と手動運転機能の切り替えが可能な車両であってもよい。本実施形態の自動運転機能には、本願出願時における自動運転技術を適宜に用いることができる。なお、共用車両Vnは自動運転機能を備えなくてもよい。
共用車両Vnが自動運転機能を備えている場合に、走行開始指令(移送要求指令)が受信されるまでは、共用車両Vnは車両ステーションなどで待機している。共用車両管理装置100から、走行開始の指令(移送要求指令)を受信すると、共用車両Vnは走行を開始する。共用車両Vnは、走行開始指令を受信する際に、走行経路等を含んだ走行経路に関する情報を取得し、走行経路に沿うように走行する。
本実施形態の共用車両Vnとしては、電動モータを駆動源として備える電気自動車、内燃機関を駆動源として備えるエンジン自動車、電動モータ及び内燃機関の両方を駆動源として備えるハイブリッド自動車を例示できる。なお、電動モータを駆動源とする電気自動車やハイブリッド自動車には、二次電池を電動モータの電源とするタイプや燃料電池を電動モータの電源とするタイプのものも含まれる。
共用車両管理装置100、車載装置200V1〜200Vn及びユーザ端末装置400A〜400Zは、それぞれ通信装置(20、220、420)を備え、インターネット300などの電気通信回線網を介して相互に情報の授受が可能である。通信経路は有線であっても無線であってもよい。
本実施形態のユーザ端末装置400Aは、本発明の本実施形態に係るユーザ端末装置400Aに適用されるプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行することで、各機能を実行させる動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)と、を備えるコンピュータである。本実施形態のユーザ端末装置400Aは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はPDA(Personal Digital Assistant)その他の可搬型の端末装置であってもよい。
本実施形態のユーザ端末装置400Aは、各ユーザによる共用車両Vnの利用を求める入力情報を受け付ける入力装置410と、共用車両管理装置100などの外部装置と通信を行う通信装置420と、各ユーザに情報を通知するための表示装置430と、ユーザによる共用車両Vnの利用の制御処理を実行する制御装置440とを備える。
ユーザ端末装置400Aの入力装置410としては、例えば、ユーザの手操作による入力が可能なディスプレイ画面上に配置されるタッチパネル又はジョイスティックや、ユーザの音声による入力が可能なマイクなどの装置を用いることができる。
表示装置430は、共用車両管理装置100から受信した情報を、ユーザに通知する。表示装置430としては、ディスプレイなどが挙げられ、タッチパネル・ディスプレイを用いる場合には、入力装置410と兼用することができる。表示装置430は、例えば、予約が完了した共用車両Vnの情報などを共用車両管理装置100から受信して、ユーザに通知する。
本実施形態の制御装置440は、ユーザ端末装置400Aに備えられた図示しないGPS(Global Positioning System)受信機などの位置取得装置を用いて、ユーザ端末装置400Aを操作するユーザの現在位置の情報を取得する。現在位置の情報としては、例えば、緯度及び経度の情報が挙げられる。制御装置440は、取得した現在位置の情報を、通信装置420を介して、共用車両管理装置100に送信する。本実施形態では、制御装置440は、定期的に各ユーザの現在位置の情報を、共用車両管理装置100に送信する。これにより、後述する共用車両管理装置100が備える制御装置10は、各ユーザの現在の位置情報を取得することができる。
また、制御装置440は、各ユーザによる共用車両Vnの利用を求める利用要求などの入力情報を受け付け、通信装置420を介して、共用車両管理装置100に送信する。なお、本実施形態では、共用車両Vnの利用要求としては、ユーザが利用要求を送信してから直ぐに共用車両Vnを利用開始する即時利用の態様が挙げられる。
上述した利用要求には、ユーザのID情報、ユーザの現在位置の情報、ユーザの希望出発地の情報、ユーザが利用しようとする共用車両VnのID情報、ユーザの希望目的地の情報、ユーザの希望利用開始時刻などが含まれる。ユーザの希望出発地とは、ユーザが共用車両Vnに乗車する乗車位置であり、ユーザの希望目的地とは、ユーザが共用車両Vnを降車する降車位置である。なお、本実施形態のユーザ端末装置400Aは、必要に応じて、共用車両管理装置100から、各ステーションの情報や、各ステーションにおける利用候補の共用車両Vnの情報などを受信してもよい。
また、本実施形態においては、ユーザ端末装置400A及び車載装置200Vnのうち、一方又は両方が、ユーザに対して共用車両Vnの走行経路を案内するためのナビゲーション装置として機能してもよい。ナビゲーション装置として機能する場面としては、例えば、共用車両Vnが自動運転機能と手動運転機能の切り替えが可能な車両の場合において、ユーザが共用車両Vnを運転する場面が挙げられる。ユーザ端末装置400Aがナビゲーション装置として機能する場合には、ユーザ端末装置400Aは、例えば、予めユーザ端末装置400Aに備えられたROMなどに地図情報を記憶させておく。ユーザ端末装置400Aは、表示装置430に、地図情報とともに、ユーザが現在利用している共用車両Vnの現在位置と、ユーザが設定した目的地の位置とを表示し、共用車両Vnの現在位置から目的地までの走行経路を案内する。
本実施形態の車載装置200Vnは、各共用車両Vnの現在位置を検出するGPS受信機210と、共用車両管理装置100などの外部装置と通信を行う通信装置220と、ユーザによる共用車両Vnの利用の制御処理を実行する制御装置230とを備える。
この車載装置200Vnは、ユーザ端末装置400Aの機能を利用した簡易な機構にしてもよい。例えば、GPS受信機や通信装置、経路演算および経路誘導装置などがユーザ端末装置400Aに搭載されている場合はその機能を利用し、車載装置200Vnは、次に示すユーザの認証のみを行うようにしてもよい。
本実施形態においては、制御装置230は、車載装置200Vnに備えられた認証装置(不図示)を用いて、共用車両Vnに乗車したユーザが、この共用車両Vnの利用要求を行ったユーザと一致するか否かのユーザ認証を行う。例えば、制御装置230は、認証装置として、NFC(Near Field Communication)による通信が可能な装置を用いて、ユーザが所有するユーザ端末装置400Aや会員カードなどからユーザのID情報を読み取る。さらに、制御装置230は、通信装置220を介して共用車両管理装置100にアクセスして、共用車両Vnの利用要求の情報を取得し、共用車両Vnに乗車したユーザのユーザ認証を行う。
また、制御装置230は、GPS受信機210を用いて取得した現在位置の情報を、通信装置220を介して、共用車両管理装置100に送信する。これにより、後述する共用車両管理装置100が備える制御装置10は、各共用車両Vnの現在の位置情報を取得することができる。
さらに、制御装置230は、図示しないディスプレイやスピーカなどを用いて、共用車両管理装置100から送信された情報などを、ユーザに通知する。本実施形態では、制御装置230は、共用車両管理装置100から、共用車両Vnへの相乗りを希望しているユーザに関する情報などを受信して、ユーザに通知する。本実施形態の相乗りとは、一台の共用車両に複数人数が一緒に乗り合わせることを示し、例えば、他人同士が一台の共用車両に乗ることを示す。なお、以下の説明にて、複数のユーザが一台の共用車両Vnに相乗りで乗車している場合に、この共用車両Vnを相乗り車両と称している。
共用車両Vnが自動運転機能を有している場合には、制御装置230は、共用車両管理装置100から送信される走行経路に沿って走行するように共用車両Vnを制御する。共用車両Vnが自動運転機能を有していない場合には、制御装置230は、共用車両管理装置100から送信される走行経路を、ナビゲーションシステムに含まれる車載ディスプレイに表示する。
本実施形態の共用車両管理装置100は、共用車両管理システム1のサーバとして機能し、カーシェアリングシステムを管理運営するための制御処理を実行する制御装置10と、車載装置200Vn及びユーザ端末装置400Aとそれぞれ相互に通信可能な通信装置20と、通信装置20により受信した情報、各共用車両Vnの情報などを記憶するデータベース30とを備える。
データベース30は、共用車両情報31と、ユーザから受け付けた利用要求32と、地図情報33と、ユーザ情報34と、交通情報35とを記憶する。
共用車両情報31は、各共用車両Vnに関する情報である。共用車両情報31には、各共用車両Vnの現在位置の情報、各共用車両Vnの電力残容量や故障情報、各共用車両Vnの現在の利用状況などが含まれる。
利用要求32は、ユーザ端末装置400Aを介して各ユーザにより入力された共用車両Vnの利用要求情報である。利用要求32には、ユーザのID情報、ユーザが利用しようとする共用車両VnのID情報、ユーザの現在位置の情報、ユーザが設定した乗車位置(出発地)、降車位置(目的地)、乗車予定時刻(出発予定時刻)、降車予定時刻(到着予定時刻)等を示す情報などが含まれる。乗車予定時刻及び降車予定時刻は、それぞれ時間の幅をもたせてもよい。例えば、ユーザが、指定された降車位置に、午前10時30分から午前11時30分の間に到着したい場合には、到着予定時刻は、午前11時を中心とし30分前後の幅をもつ時間で示される。出発予定時刻も、同様に、任意の時間を中心として、任意の時間幅をもつ時間で示される。
地図情報33は、道路や施設などの情報も含む地図情報である。施設の情報には、例えば、建物の階数、建物の通路、建物の出入り口等を示す建物の構造の情報が含まれる。また、地図情報33には、例えば、各ステーションの位置情報、各ステーション周辺の施設情報、各ステーション周辺の交通状況、及び各ステーションの利用状況等の各ステーションに関する情報が含まれる。
ユーザ情報34は、カーシェアリングシステムを利用することができる全ユーザの情報である。ユーザ情報34には、全ユーザのID情報、全ユーザの現在位置の情報が含まれる。例えば、通信装置20が各ユーザのユーザ端末装置400Aから所定の期間ごとに各ユーザの現在の位置情報を受信することで、ユーザ情報34に各ユーザの現在の位置情報を格納することができる。
交通情報35は、渋滞情報及び交通規制情報等、共用車両Vnの走行に影響を及ぼす情報である。交通情報は、例えばVICS(登録商標)等の道路交通情報を管理するシステムから取得される。図2は、ある道路における1日の渋滞発生確率を模式的に表したグラフである。図2の例では、渋滞発生確率は、7時頃及び18時ごろに高くなっている。データベース30は、各道路における渋滞発生確率を、平日、休日、天候などの組み合わせと対応させつつ、交通情報35として記憶している。なお、交通情報35は、図2に示すような渋滞発生確率に限らず、例えば渋滞発生数等で示されてもよい。
本実施形態の共用車両管理装置100の制御装置10は、図1に示すように、カーシェアリングシステムを管理運営する処理を実行するためのプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、共用車両管理装置100として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13とを備える。
図3を用いて、カーシェアリングの形態の一例を説明する。図3は、本実施形態の共用車両管理システム1において、ユーザU1が共用車両V1を利用する方法の一例を示す概要図である。図3では、ユーザU1は、ユーザ端末装置400Aを用いて、共用車両V1を利用し、ユーザU1が設定した出発地P1から目的地P2まで移動しようとする場面を示している。
例えば、図3に示す場面において、ユーザU1がユーザ端末装置400Aに出発地P1及び目的地P2を入力すると、入力された情報は、ユーザU1が共用車両を利用する際の希望条件として、ユーザ端末装置400Aから共用車両管理装置100に送信される。
共用車両管理装置100は、希望条件に基づいて選定した共用車両V1に対して、出発地P1へ移動して、ユーザU1を迎えに行くための移動指令を送信する。移動指令には、現在の共用車両V1の位置から出発地P1までの走行経路、及び出発地P1から目的地P2までの走行経路R1が含まれる。共用車両V1は、共用車両管理装置100から移動指令を受信すると、自動運転機能により無人で自動的に出発地P1まで走行する。そして、ユーザU1が出発地P1で乗車すると、共用車両V1は、移動指令に含まれる走行経路R1に沿って、自動的に目的地P2まで走行する。共用車両V1が目的地P2に到着すると、ユーザU1は降車して共用車両V1の利用を終了する。その後、共用車両V1は、目的地P2から所定範囲内にあるステーションへ移動する。
なお、本実施形態では、出発地及び目的地としては、ユーザが、鉄道の駅や商業施設などの任意の地点を設定することができる。
図3に示す場面において、ユーザU2は、ユーザU1と同様に、共用車両V1を利用することができるユーザである。例えば、カーシェアリングシステムがユーザ登録した会員限定のシステムの場合、ユーザU1とユーザU2はともにユーザ登録した会員である。ユーザU2は、ユーザ端末装置400Bを操作し、共用車両管理装置100に対して希望条件を送信する。ユーザU2は、ユーザ端末装置400Bにより、共用車両V1の走行計画を含む情報と、相乗りを希望するか否かを確認するための情報を共用車両管理装置100から受信する。走行計画は、相乗りを行うための走行経路R2を含んでいる。ユーザU2は、ユーザ端末装置400Bに表示された走行経路等の走行計画を確認し、相乗りで共用車両V1を利用する旨の信号を車両管理装置100に送信する。
車両管理装置100は、ユーザU1とユーザU2との間で共用車両V1を相乗りで利用させるために、走行計画を、相乗りなしの走行経路R1から相乗り有りの走行経路R2に変更する。走行経路の変更に伴い、ユーザU1の目的地への到着予定時刻は遅くなるが、到着予定時刻がユーザU1の許容範囲内であれば、車両管理装置100は、相乗り条件を満たすと判定する。そして、車両管理装置100は、変更後の走行経路R2を共用車両V1に送信し、共用車両V1は走行経路R2上を走行する。
次に、共用車両管理装置100の制御処理を説明する。図4は、共用車両管理装置100の制御装置10による制御フローを示すフローチャートである。
ステップS101にて、制御装置10はユーザ端末装置400Aと通信を行い、ユーザから希望条件を取得する。希望条件は、共用車両200の利用にあたって、ユーザにより指定される条件である。希望条件は、乗車位置、降車位置、乗車希望時刻、降車希望時刻等で指定される。乗車位置及び降車位置は、例えばユーザ端末装置400Aの表示装置430に表示される地図上でユーザにより指定される位置である。乗車位置及び降車位置は、例えば緯度、経度で示される。なお、乗車位置及び降車位置は、例えば横浜駅周辺など、エリアで指定されてもよい。また、ユーザが希望する出発地又は目的地をユーザ端末装置400Aに入力し、制御装置10は出発地の周辺又は目的地の周辺に、乗車位置及び降車位置をそれぞれ設定してもよい。出発地に基づく乗車位置及び目的地に基づく降車位置は、共用車両Vnの停車に適した位置である。なお、出発地と乗車位置は同一地点でもよく、目的地と降車位置は同一地点でもよい。
乗車希望時刻及び降車希望時刻は、特定の時刻に限らず、例えばAM8時からAM9時などの時間帯で指定されてもよい。なお、希望条件は必ずしも乗車希望時刻又は降車希望時刻を含まなくてもよい。例えば、ユーザができるだけ早く共用車両200に乗車したいこと希望した場合には、希望条件は乗車希望時刻を含んでいない。
降車希望時刻は、相乗りの際に許容される時間の幅で設定されてもよい。上記のように、相乗りを行うことで走行経路が変更される場合には、降車予定時刻は、走行経路の変更までの時刻よりも遅くなる。ユーザが降車希望時間を時間の幅で指定した場合には、この時間幅は、相乗りによる降車時刻の遅れに対して許容できる範囲となる。すなわち、相乗りを行うことで、降車予定時刻が遅れる場合には、変更後の降車予定時刻が、降車希望時刻の許容範囲内であれば、相乗りが許可される。
希望条件は、相乗りの希望の有無を含んでもよい。例えば、相乗り時の共用車両200の利用料金が、相乗りをしていない時の料金より安くなる場合には、ユーザが予約申請時に相乗りを希望できるようにするために、相乗りの希望の有無が、希望条件に含まれる。
ユーザから取得した希望条件は、データベース30に蓄積される。
ステップS102にて、制御装置10は、ユーザから取得した希望条件に基づき、複数の共用車両Vnから利用可能な車両を特定する。制御装置10は、希望条件に合う共用車両Vnを選定する。例えば、制御装置10は、希望条件で指定された乗車位置から最も近い共用車両Vnを、利用可能な候補車両として選定する。希望条件が乗車位置及び乗車希望時刻を含む場合には、制御装置10は、共用車両Vnが乗車位置に乗車希望時刻までに到着できるか否かを判定する。制御装置10は、共用車両Vnが乗車位置に乗車希望時刻までに到着できると判定した場合に、共用車両Vnを利用できると判定する。共用車両Vnを利用できる場合には、制御装置10はステップS103の制御処理を実行する。
ステップS103にて、制御装置10は、複数のユーザから取得した複数の希望条件に基づき、相乗り条件を満たすか否かを判定する。制御装置10は、ステップS102の制御処理により特定された共用車両Vnに対して、相乗りを行うことで、希望する降車位置から降車位置まで移動できるユーザを、相乗り候補のユーザとして特定する。希望条件に、相乗りの希望の有無を含む場合には、制御装置10は、相乗りを希望するユーザの中から、相乗り候補のユーザを特定する。
制御装置10は、相乗り候補のユーザを相乗りした場合の、共用車両Vnの走行経経路を算出する。走行経路は、相乗り候補のユーザを含めて、共用車両Vnに乗車予定の各ユーザの乗車位置から降車位置までの経路である。制御装置10は、データベース30から交通情報35を取得し、交通情報に基づき、車両の走行時間が最短となる経路を算出する。制御装置10は、データベース30から、図2に示すような渋滞発生確率に関する情報を取得し、渋滞が予想される道路を避けて、走行時間が最短となるような経路を算出する。
次に、制御装置10は、算出された走行経路を走行した場合の乗車予定時刻及び降車予定時刻をそれぞれ算出する。制御装置10は、相乗りにより乗車予定の各ユーザの、乗車予定時刻及び降車予定時刻をそれぞれ算出する。制御装置10は、相乗りを受け入れる側のユーザの降車予定時刻が、相乗りを受け入れることにより遅延するか否かを判定する。また、相乗りを受け入れることで降車予定時刻が遅れる場合には、制御装置10は、到着予定時刻の遅れが許容範囲内であるか否かを判定する。許容範囲は、共用車両Vnの予約時にユーザにより指定された時間幅であり、希望条件により示される。そして、到着予定時刻の遅れが許容範囲内である場合には、制御装置10は相乗り条件を満たすと判定する。これにより、制御装置10は、複数のユーザの各希望条件に基づき、相乗り可能なユーザ及び共用車両Vn(相乗り車両Vn)を特定する。一方、到着予定時刻の遅れが許容範囲外である場合には、制御装置10は、相乗り条件を満たすと判定する。
なお、相乗りユーザの特定方法及び相乗り車両の特定方法は、上記の方法に限らず、例えば、性別や年代などのユーザの属性情報を用いて、相乗りユーザ又は車両を特定してもよい。例えば、現在、車両を利用しているユーザが女性である場合には、制御装置10は、相乗り候補ユーザを選択する場合に、ユーザ情報34を取得して、女性のユーザの中から相乗り候補ユーザを特定してもよい。
相乗り条件を満たす場合には、ステップS104にて、制御装置10は、通信装置20を用いて、走行計画を示す情報及び予約完了情報をユーザ端末装置400Nに送信することで、相乗り対象のユーザに対して走行計画及び予約完了を通知する。相乗り対象のユーザは、相乗り車両に乗車するユーザであって、相乗りする側のユーザ及び相乗りされる側のユーザを含む。走行計画は、ユーザが希望した乗車位置からの出発予定時刻、ユーザが希望する降車位置への到着予定時刻、走行経路等で示される。予約完了情報は、予約が完了した旨の通知に加えて、相乗り乗車であること、料金等の情報である。
相乗り条件を満たさない場合には、ステップS105にて、制御装置10はユーザに対して走行計画及び予約完了を通知する。通知される走行計画は、相乗りをしない場合の走行経路である。そして、走行経路及び予約確定をユーザに通知した後、図4に示す制御処理は終了する。
ステップS102の制御処理にて、利用可能な共用車両が存在しない場合には、ステップS106にて、制御装置10は、ユーザに対して予約不可を通知する。ステップS106で実行する処理の一例として、制御装置10は、希望条件に合致する共用車両が特定できない場合には、ユーザに対して希望の条件では共用車両を利用できないことを通知する。そして、図4に示す制御処理は終了する。
なお、上記の制御フローは、相乗り対象のユーザが相乗り車両に乗車する前に、共用車両Vnの予約を行う場合に限らず、あるユーザの乗車中の車両に、他のユーザが相乗りを行う場合に適用してもよい。乗車中の共用車両に対して相乗りを行うことで、乗車中のユーザの降車予定時刻が遅延した場合でも、降車予定時刻が許容範囲内であれば、制御装置10は相乗り条件を満たすと判定する。そして、制御装置10は、乗車中のユーザに対して、変更後の走行計画を通知する。乗車中のユーザは、通知を確認することで、変更後の降車予定時刻及び変更後の走行経路を認識できる。
次に、複数のユーザが相乗り車両に乗車している状態における車両管理装置100の具体的な制御を説明する。図5は、共用車両管理装置100の制御装置10による制御フローを示すフローチャートである。なお、図5に示す制御フローは、所定の周期(例えば10ms)で繰り返し実行される。
ステップS201にて、制御装置10は、走行計画に基づき、現在、複数のユーザが共用車両Vnに相乗りで乗車中か否を判定する。相乗り乗車中でない場合には、図5に示す制御フローは終了する。
相乗り乗車中である場合には、ステップS202にて、制御装置10は現在の交通情報を取得する。ステップS203にて、制御装置10は、取得された現在の交通情報及び相乗り車両の現在位置に基づき、相乗り対象のユーザの到着予定時刻を算出する。相乗り対象のユーザは、現在、相乗り車両に乗車しているユーザに相当する。ステップS203で算出される到着予定時刻は、取得した現在の交通情報又は現在走行中の道路の状況等により、共用車両Vnの予約時に算出された各到着予定時刻よりも遅くなる場合がある。
例えば、図2に示す渋滞発生確率では、ある道路における渋滞発生確率が低い状態であったが、突発的な事象により渋滞が発生した場合には、到着予定時刻は遅延する。例えば事故や工事などの突発的に生じた事象(突発事象)が、車両の走行時間に影響を与える場合には、到着時刻に対して遅延の原因となるため、遅延事象となり得る。取得した現在の交通情報が、突発的な事象による遅延の可能性を示している場合には、制御装置10は、取得された現在の交通情報に基づき到着予定時刻を算出することで、到着予定時刻の遅延を把握できる。
また、突発的な事象による遅延の可能性が外部から取得する交通情報に反映されていない場合でも制御装置10は、現在の走行状態から交通情報を取得してもよい。例えば、現在走行中の道路の先が工事等により混雑している場合には、現在の車速は、走行経路の算出時に想定していた車速よりも低くなる。そのため、制御装置10は、現在の車両の走行状態と、総経路を算出した際に予想される走行状態との違いから、交通情報を取得できる。そして、制御装置10は、現在の走行状態から到着予定時刻を算出することで、到着予定時刻の遅延を把握できる。なお、走行中の相乗り車両の車両情報は、例えば、相乗り車両の位置情報から算出してもよい。
ステップS204にて、制御装置10は、算出された到着予定時刻に遅延があるか否かを判定する。制御装置10は、相乗り対象のユーザの各到着予定時刻に対して、遅延があるか否かそれぞれ判定する。算出された到着予定時刻に遅延がない場合には、図5に示す制御処理は終了する。算出された到着予定時刻に遅延がある場合には、ステップS205にて、制御装置10は、到着予定時刻の遅延が許容範囲外であるか否かを判定する。到着予定時刻の遅延が許容範囲内である場合には、図5に示す制御処理は終了する。そして、相乗り対象のユーザの各到着予定時刻の遅延のうち、少なくとも1つの遅延が許容範囲外である場合には、制御装置10は、到着予定時刻の遅延が許容範囲外であると判定する。
本実施形態では、制御装置10が、ステップS203からステップS205の制御処理により、相乗り対象のユーザが相乗り車両に乗車している状態で、共用車両Vnの現在位置及び交通情報に基づき、相乗り対象のユーザの降車予定時刻に対して遅延の原因となる遅延事象が発生しているか否かを予想している。そして、遅延事象の発生が予測される場合には、制御装置10は、ユーザの到着予定時刻の遅延が許容範囲外であると判定して、ステップS206の制御処理を実行する。
ステップS206にて、制御装置10は乗換車両を特定する。相乗り対象のユーザのうち少なくとも一人のユーザが相乗り車両から他の共用車両Vnに乗り換える場合に、この乗換先となる共用車両Vnが乗換車両に相当する。
例えば、相乗り車両に対して、第1ユーザが先に乗車し、第2ユーザが後に乗車したとする。そして、相乗り乗車中に遅延事象が発生し、第1ユーザの降車予定時刻の遅延が、共用車両Vnの予約時に確定していた降車予定時刻の許容範囲外になったとする。このような場合に、本実施形態では、第2ユーザを相乗り車両から乗換車両に乗り替えさせるような制御を実行する。第2ユーザが乗換車両に乗り換えることで、第2ユーザが降車した後の共用車両Vnは、第1ユーザの降車位置に対して最短時間の走行経路で走行できる。そのため、第1ユーザの降車予定時刻の遅延を抑制できる。
制御装置10は、相乗り車両の現在位置及び共用車両Vnの現在位置に基づき、複数の共用車両Vnの中から、乗換車両を特定する。上記の例では、複数の共用車両Vnのうち、第2ユーザの降車位置又は降車位置の周囲を走行予定であり、かつ、相乗り車両の走行経路上又は相乗り車両の走行経路の周囲を走行する共用車両Vnを、乗換車両として特定する。すなわち、制御装置10は、第2ユーザの希望条件、相乗り車両の走行計画に基づき、相乗り車両の走行コスト及び乗換車両の走行コストを最適化するように、乗換車両を特定する。走行コストは、共用車両Vnの走行時間又は走行距離等で示される。なお、乗換車両の特定方法については、後述する。
ステップS207にて、制御装置10は、ユーザが相乗り車両から乗換車両に乗り換える乗換位置を設定する。乗換車両の走行経路と相乗り車両の走行経路が交わる地点、あるいは、乗換車両の走行経路と相乗り車両の走行経路が接近する地点を、乗換位置として設定する。乗換位置の設定の際には、制御装置10は、乗換位置の候補となる乗換候補位置を特定し、乗換候補位置への乗換車両の到着予定時刻及び乗換候補位置への相乗り車両の到着予定時刻を算出し、乗り換え効率が最もよい乗換候補位置を、乗換位置として設定する。なお、乗換位置の設定方法については、後述する。
ステップS208にて、制御装置10は、乗換車両の走行計画を算出する。乗換車両の走行計画は、乗り換えたユーザの希望条件に基づき算出される。なお、乗換時に、他のユーザが乗換車両に乗車している場合、又は、他のユーザが乗換車両の利用を予約している場合には、制御装置10は他のユーザの希望条件及び乗り換えたユーザの希望条件に基づき、乗換車両の走行計画を算出する。
ステップS209にて、制御装置10は、ユーザの希望条件に基づき、相乗り解消後の共用車両Vnの走行計画を算出する。このユーザは、相乗り解消後に、相乗り車両に残っているユーザである。
ステップS210にて、制御装置10は、乗換車両の走行計画、及び、相乗り解消後の共用車両Vnの走行計画を更新する。
ステップS211にて、制御装置10は、ユーザに対して、更新後の走行計画を通知する。制御装置10は、共用車両Vnに対して、更新後の走行計画に関する情報を送信する。そして、走行車両Vnの車載装置200は、更新後の走行計画に関する情報をディスプレイ等に表示することで、ユーザに対して更新後の走行計画を通知する。また、制御装置10は、ユーザ端末装置400に対して、更新後の走行計画に関する情報を送信してもよい。更新された走行計画の通知は、相乗りを継続した場合に到着予定時刻が遅延することを含んでいればよい。また、乗換車両に乗り換えるユーザへの通知には、乗換車両に関する情報を含んでいればよい、なお、乗換車両に関する情報は、システムが車両の乗り換えを提案していることを示す情報、乗換位置の情報、乗換位置への到着予定時刻の情報、乗換車両の車両情報、又は、乗換車両に乗車しているユーザ情報等である。乗換車両に関する情報は、相乗り車両に継続して乗車するユーザに対して通知する情報として、乗換により走行経路が変更になること、又は、乗換を行うために相乗り車両が停車すること等を含めてもよい。通知を受け取ったユーザは、相乗りを継続した場合に、降車予定時刻の遅延が発生すること、システムより乗り換えが提案されていること、乗り換えを行うことで降車予定時刻の遅延を抑制できること等を確認できる。そして、図5に示す制御処理は終了する。
次に、具体例を用いて、制御装置10の制御処理を説明する。図6は、相乗り車両の更新前の走行経路を説明するための概念図である。図7は、相乗り車両の更新前の走行経路において、遅延事象が発生した時の状況を説明するための概念図である。図8は、相乗り車両の更新後の走行経路、及び、乗換車両の走行経路を説明するための概念図である。
相乗りで乗車しているユーザP及びユーザQの希望条件を説明する。ユーザPは、位置Aを乗車位置として希望し、位置A’を降車位置(目的地)として希望している。ユーザQは、位置Bを乗車位置として希望し、位置B’を降車位置として希望している。位置Aと位置Bは同一地点である。ユーザPは、乗車位置Aの乗車希望時刻及び降車位置A’の降車希望時刻を所望の時刻でそれぞれ指定している。同様に、ユーザQは、乗車位置Bの乗車希望時刻及び降車位置B’の降車希望時刻を所望の時刻でそれぞれ指定している。また、共用車両Xは位置Sから出発する。ユーザPは、ユーザQよりも先に共用車両Xに乗車しており、図6の例では、ユーザPとユーザQが共用車両Xに相乗りで乗車しており、共用車両Xは交差点dに近づくように走行している。制御装置10は、ユーザPの希望条件及びユーザQの希望条件に基づき、乗車位置A、B及び降車位置A’、B’を含む目標地点を通りつつ、各目標地点の到着予定時刻がユーザX,Yの希望時間と合うように走行経路Rаを算出する。図6に示す走行経路Rаは制御装置10で算出されたルートであり、走行経路Raは、出発地Sから、交差点d、g、e、f、cの順に走行し、位置A’を目的地とするルートである。また、走行経路Raは、乗車位置A、B及び降車位置A’、B’を通る。
共用車両管理装置100は、共用車両Xの走行中、共用車両Xと通信を行い、共用車両Xの現在位置の情報を取得する。また、共用車両管理装置100は、共用車両Xの走行に影響を及ぼす交通情報を取得する。交通情報は、走行経路Raで発生している渋滞情報、走行経路Raで発生する渋滞の予測情報である。共用車両管理装置100は、取得された交通情報及び共用車両Xの現在位置に基づき、ユーザX、Yの到着予定時刻(降車位置A’、B’への到着予定時刻に相当)を算出する。共用車両管理装置100は、算出された到着予定時刻と、共用車両Xの予約確定時の到着予定時刻とを比較し、到着予定時刻に対して遅延の原因となる事象が発生しているか否かを予測する。
図7の例では、交通渋滞などの遅延事象が、交差点gと交差点eとの間で発生している。遅延事象が交差点gと交差点eとの間で発生した場合に、降車位置B’は交差点gと交差点eとの間にあるため、共用車両Xが走行経路Raを走行した場合に、降車位置B’への到着時刻が遅れる。また、降車位置A’への到着時刻も遅れる。
本実施形態では、図7の例に示すように、相乗りしているユーザP,Qの到着予定時刻の遅れが許容範囲外となる場合には、ユーザQを共用車両Xから他の共用車両に乗せ換えるために、乗換車両を特定する。共用車両管理装置100は、乗り換え対象のユーザを特定する場合に、相乗り車両への乗車順位の遅いユーザを優先させて、乗換車両に乗り換えるユーザを特定する。図7の例では、ユーザQが共用車両Xに乗車するときの乗車順位は、ユーザPが共用車両Xするときの乗車順位よりも遅いため、ユーザQがユーザPよりも優先されて、乗換車両に乗り換えるユーザとなる。これにより、先に乗車していたユーザが、後から乗車してきたユーザのために途中下車することを防止できる。また、途中下車によるユーザの不満を解消できる。なお、相乗り車両に乗車中のユーザが3人以上する場合には、相乗り車両に最も遅く乗車したユーザから順番に、乗換車両に乗り換えるユーザが特定される。
共用車両管理装置100は、乗換車両の特定方法の一例として、以下の方法で乗換車両を特定する。共用車両管理装置100は、乗り換え対象となるユーザの降車位置又は降車位置の周囲を走行経路として走行する共用車両を乗換車両の候補車両として特定する。候補車両が複数ある場合には、共用車両Xの現在位置から最も距離の近い車両を、乗換車両として特定する。ただし、共用車両Vnと共用車両Xとの間の距離に基づいて、乗換車両を特定する際には、候補車両の現在位置から乗り換え対象ユーザの希望目的地(降車位置)までの距離が、相乗り車両の現在位置から乗り換え対象ユーザの希望目的地(降車位置)までの距離より短い車両を、候補車両から除外した上で、共用車両管理装置100は乗換車両を特定する。
図8の例では、共用車両管理装置100は、ユーザQの降車位置B’又は降車位置B’の周囲を走行経路として走行する共用車両Vnを乗換車両の候補車両として特定する。共用車両Yは、走行経路Rbを走行している。共用車両Yに乗車中のユーザRは位置C’を降車位置として希望している。走行経路Rbは、共用車両Yの現在位置から、交差点d、g、h、e、c、f順に走行するルートである。走行経路Rbは、降車位置B’、C’を通る。
図8の例では、ユーザQの降車位置B’は共用車両Yの走行経路Rb上にあるため、共用車両管理装置100は、共用車両Yを乗換車両の候補車両として特定する。共用車両Yは、共用車両Xの現在位置から最も距離の近い車両である。また、共用車両Yの現在位置からユーザQの目的地(降車位置B’)までの距離は、共用車両Xの現在位置からユーザQの目的地(降車位置B’)までの距離より長い。そのため、共用車両管理装置100は、共用車両Yを乗換車両として特定する。
すなわち、本実施形態では、複数の共用車両Vnの中から、共用車両Xの現在位置から最も距離の近い共用車両を乗換車両として特定する。これにより、乗換車両がユーザQを乗せるために遠回りすることを防止でき、ユーザQ、Rの降車予定時刻が遅延すること防止できる。また本実施形態では、ユーザQの降車位置B’が共用車両Vnの走行経路上に存在する共用車両Yを乗換車両として特定する。これにより、ユーザQが乗換車両でユーザRと相乗りをすることで、乗換車両の走行経路の変更によるユーザRの降車予定時刻の遅延を防止できる。
図8の例と異なり、共用車両Xが交差点dに向かって走行している状態(図7に示す状態)で、乗換車両の候補となる共用車両Yが交差点dを既に通過し交差点gに向かって走行していたと仮定する。このような場合には、共用車両Yの現在位置からユーザQの降車位置B’までの距離は、共用車両Xの現在位置からユーザQの降車位置B’までの距離より短くなる。共用車両Yが共用車両Xからの乗り換えを受け入れるためには、共用車両Yは走行経路RbをUターンして、交差点dに戻る必要がある。本実施形態では、共用車両YがUターンしてユーザの乗り換えを受け入れるような事態を防ぐために、共用車両Yの現在位置からユーザQの目的地までの距離が共用車両Xの現在位置からユーザQの目的地までの距離より短くなるような共用車両を、乗換車両の候補から除外している。これにより、乗換車両が、乗り換え対象のユーザを乗せるために、不要な走行時間を費やすことを防止しつつ、乗換車両に既に乗車しているユーザ(図8の例ではユーザR)の降車予定時刻が遅延することを防止できる。
共用車両管理装置100は、乗換位置の特定方法の一例として、以下の方法で乗換位置を特定する。共用車両管理装置100は、相乗り車両の現在位置と乗換車両の現在位置に基づき、乗り換え対象のユーザが相乗り車両から乗換車両に乗り換える乗換候補位置を特定する。車両の乗り換え前、相乗り車両の走行経路と及び乗換車両の走行経路は決まっている。共用車両管理装置100は、互いの走行経路が交わる地点、又は、互いの走行経路が接近する地点を、乗換候補位置として特定する。なお、乗換候補位置は、必ずしも相乗り車両の停車地点と乗換車両の停車地点が一致する地点にする必要はなく、互いの停車位置が近くにあればよい。
共用車両管理装置100は、相乗り車両の平均速度及び乗換車両の平均速度に基づき、乗換候補位置での待ち時間を算出する。相乗り車両が乗換車両よりも先に乗車候補位置に到着する場合には、待ち時間は、相乗り対象のユーザが乗換候補地点で乗換車両の到着を待つ時間となる。一方、乗換車両が相乗り車両よりも先に乗車候補位置に到着する場合には、待ち時間は、乗換車両が乗換候補地点で相乗り車両の到着を待つ時間となる。共用車両管理装置100は、待ち時間が最も短い乗換候補位置を乗換位置として設定する。
図8の例を用いて、乗換位置の設定方法について説明する。図8の例では、共用車両Xの走行経路Raと共用車両Yの走行経路Rbが交差点dで重なっているため、交差点dの位置が乗換候補位置として特定される。次に、共用車両管理装置100は、共用車両Xの現在位置、及び、現在位置から交差点dまでの平均速度に基づき、交差点dに到着する共用車両Xの到着予定時刻を算出する。共用車両管理装置100は、共用車両Yの現在位置、及び、現在位置から交差点dまでの平均速度に基づき、交差点dに到着する共用車両Yの到着予定時刻を算出する。図8の例では、共用車両Xと共用車両Yが交差点dにほぼ同時刻に到着するため、共用車両管理装置100は、交差点dの位置を乗換位置に設定する。
乗換車両が特定され乗換位置が設定された後は、共用車両管理装置100は、相乗り解消後の共用車両の走行計画及び乗換車両の走行計画を更新する。図8の例では、共用車両Xが交差点dでユーザQを降ろした後、共用車両XにはユーザPのみが乗車している。共用車両管理装置100は、車両の現在位置、現在の交通情報、及びユーザPの希望条件に基づき、ユーザPの降車位置A’に最短時間で到着できる走行経路を算出する。図8の例では、ユーザQを交差点dで下車した後の走行経路は、交差点dから、交差点а、b、cの順に走行し、位置A’を目的地とする走行経路Rcに変更される。ユーザQの降車位置B’は共用車両Yの走行経路上に位置するため、共用車両Yの走行経路Rbは変更されない。
相乗り解消後の共用車両の走行経路及び乗換車両の走行経路が更新された後、共用車両管理装置100は、更新後の走行経路に基づき、降車位置への到着予定時刻を算出する。到着予定時刻の算出処理は、相乗り車両及び乗換車両が乗換位置に到着する前に実行される。
まず、乗換車両の共用車両の到着予定時刻について説明する。共用車両管理装置100は、相乗り車両の現在位置、乗換位置、及び、相乗り車両の車速に基づき、相乗り車両の現在位置から乗換位置までの走行時間(以下、第1走行時間とも称する)を算出する。相乗り車両の車速は、例えば、現在位置から乗換位置までの平均速度とすればよい。共用車両管理装置100は、乗換車両の現在位置、乗換位置、及び、乗換車両の車速に基づき、乗換車両の現在位置から乗換位置までの走行時間(以下、第2走行時間とも称する)を算出する。乗換車両の車速は、例えば、現在位置から乗換位置までの平均速度とすればよい。共用車両管理装置100は乗換位置、乗換車両に乗車するユーザの降車位置、及び、乗換車両の車速に基づき、乗換位置から降車位置までの走行時間(以下、第3走行時間とも称する)を算出する。そして、共用車両管理装置100は、第1走行時間、第2走行時間、及び第3走行時間に基づき、乗換車両の到着予定時刻を算出する。具体的には、相乗り車両が、乗換車両よりも先に乗換位置に到着する場合には、共用車両管理装置100は、第1走行時間と第3走行時間とを加算した走行時間を、現在の時刻に加算することで、降車位置への到着予定時刻を算出する。一方、乗換車両が、相乗り車両よりも先に乗換位置に到着する場合には、共用車両管理装置100は、第2走行時間と第3走行時間とを加算した走行時間を、現在の時刻に加算することで、降車位置への到着予定時刻を算出する。
次に、相乗り車両の共用車両の到着予定時刻について説明する。共用車両管理装置100は、上記と同様の方法で、第1走行時間及び第2走行時間を算出する。共用車両管理装置100は乗換位置、相乗り解消後の車両に残っているユーザの降車位置、及び、相乗り解消後の車速に基づき、乗換位置から降車位置までの走行時間(以下、第4走行時間とも称する)を算出する。そして、共用車両管理装置100は、第1走行時間、第2走行時間、及び第4走行時間に基づき、相乗り車両の到着予定時刻を算出する。具体的には、相乗り車両が、乗換車両よりも先に乗換位置に到着する場合には、共用車両管理装置100は、第1走行時間と第4走行時間とを加算した走行時間を、現在の時刻に加算することで、降車位置への到着予定時刻を算出する。一方、乗換車両が、相乗り車両よりも先に乗換位置に到着する場合には、共用車両管理装置100は、第2走行時間と第4走行時間と加算した走行時間を、現在の時刻にさらに加算することで、降車位置への到着予定時刻を算出する。
共用車両管理装置100は、走行経路及び到着予定時刻を算出した後、算出結果に応じて走行計画を更新する。そして、共用車両管理装置100は、更新後の走行計画を、相乗り車両に乗車しているユーザ及び乗換車両に乗車しているユーザに通知する。
他の具体例を挙げて、共用車両Vnの乗換について説明する。図9は相乗り車両の更新後の走行経路、及び、乗換車両の走行経路を説明するための概念図である。ユーザP、Qの希望条件、共用車両Xの走行経路Ra、及び、遅延事象が発生する道路は図6〜図8の例と同様である。共用車両Yの走行経路Rbは、図6〜図8の例と異なっており、交差点jから、交差点g、h、eの順に走行し、降車位置C’に到着するルートである。
図9の例では、共用車両Xと共用車両Yが交差点gにほぼ同時刻に到着するため、共用車両管理装置100は、交差点gの位置を乗換位置に設定する。共用車両Xは、ユーザQを交差点gで降ろした後、ユーザPのみを乗車させて走行する。そのため、相乗り解消後の共用車両Xの走行経路は、遅延事象を含む経路(交差点gと交差点eの間の経路)を避けつつ、交差点g、h、i、f、cの順に走行し、位置A’を目的地とする走行経路に変更される。共用車両Yは、ユーザQを乗車後、走行経路を変更せずに走行し、ユーザQを降車位置B’で降車させた後、ユーザRを降車位置C’で降車させるような経路を走行する。
他の具体例を挙げて、共用車両Vnの乗換について説明する。図10は相乗り車両の更新後の走行経路、及び、乗換車両の走行経路を説明するための概念図である。ユーザP、Qの希望条件及び遅延事象が発生する道路は図6〜図8の例と同様である。共用車両Xの走行経路Raは、図6〜図8の例と異なっており、出発地Sから出発して、交差点d、а、bの順に走行する。共用車両Yの走行経路Rbは、交差点bから、交差点eを走行し、降車位置C’に到着するルートである。
図10の例では、共用車両Xと共用車両Yが交差点bにほぼ同時刻に到着するため、共用車両管理装置100は、交差点bの位置を乗換位置に設定する。共用車両Xは、ユーザQを交差点bで降ろした後、ユーザPのみを乗車させて走行する。そのため、相乗り解消後の共用車両Xの走行経路は、交差点bから降車位置A’まで最短のルートになるように、交差点bから交差点cを通過し降車位置A’に到着するような走行経路に変更される。共用車両Yは、ユーザQを乗車後、走行経路を変更せずに走行し、ユーザQを降車位置B’で降車させた後、ユーザRを降車位置C’で降車させるような経路を走行する。
共用車両管理装置100は、共用車両Vnにユーザが乗車している場合には、図5に示す制御フローを繰り返し実行しつつ、共用車両Vnの走行を継続させる。一方、ユーザが降車位置で下車し、共用車両に乗車するユーザがいない場合には、共用車両Vnは車両ステーションまで走行する。
上記のように本実施形態では、複数のユーザから希望条件をそれぞれ取得し、希望条件に基づき複数の共用車両の中から相乗り車両を特定し、希望条件に基づき、各ユーザが希望する降車位置へ到着予定時刻及び相乗り車両の走行経路をそれぞれ算出し、走行経路上の走行に影響する交通情報を取得する。相乗り対象のユーザが乗車車両への乗車中に、乗車車両の現在位置及び交通情報に基づき、到着予定時刻に対して遅延の原因となる遅延事象が発生するか否かを予測し、遅延事象が発生すると予測された場合には、複数の共用車両の中から乗換車両を特定し、到着予定時刻が遅延すること、及び、乗換車両に関する情報を第2ユーザに通知する。複数のユーザは、少なくとも第1ユーザ及び第2ユーザを含んでおり、第1ユーザは第2ユーザよりも先に相乗り対象の車両に乗車する。降車位置は、第1ユーザが希望する第1降車位置、及び、第2ユーザが希望する第2降車位置を含んでいる。到着予定時刻は、第1降車位置への到着予定時刻及び第2降車位置への到着予定時刻を含んでいる。また乗車車両は、相乗り車両又は相乗り解消後の共用車両に相当する。
これにより、例えば、過去の渋滞発生確率曲線からの逸脱したような遅延事象が相乗り中に発生した場合でも、到着予定時刻の遅延が大幅に遅延することを防止できる。また乗換車両をサーバ側で設定するため、従来であればドライバーと利用者がコミュニケーションによって決定する乗り換え地点を自動で設定し、ユーザに提供することができる。その結果として、より安全で利便性の高いシステムを構築できる。
また本実施形態では、乗車車両の現在位置と乗換車両の現在位置に基づき、第2ユーザが乗車車両から乗換車両に乗り換える乗換位置を設定し、乗換位置を第2ユーザに通知する。これにより、第2ユーザは、乗換位置を把握できる。また、乗換位置における、第2ユーザ又は乗換車両の待ち時間を短縮できる。
また本実施形態では、第1走行時間、第2走行時間、及び第3走行時間に基づき、第2降車位置への乗換車両の到着予定時刻を算出し、第2降車位置への到着予定時刻を第2ユーザに通知する。これにより、第2ユーザは、乗り換えを行った後の、第2降車位置への到着予定時刻を把握できる。
また本実施形態では、第1走行時間、第2走行時間及び第4走行時間に基づき、第1降車位置への乗車車両の到着予想時間を算出し、第1降車位置への到着予想時間を第1ユーザに通知する。これにより、第1ユーザは、乗り換え解消後の、第1降車位置への到着予定時刻を把握できる。
また本実施形態では、乗車車両の現在位置の周辺に位置する共用車両を乗換車両として特定する。これにより、乗換位置における、第2ユーザ又は乗換車両の待ち時間を短縮できる。
また本実施形態では、第2降車位置が走行経路上に存在する共用車両、又は、第2降車位置が走行経路の周辺に存在する共用車両を、乗換車両として特定する。これにより、乗換車両が第2ユーザをピックアップするために遠回りすることを防ぎ、乗換車両に乗車しているユーザ及び第2ユーザの到着予定時刻が遅延することを抑制できる。
また本実施形態では、複数の共用車両のうち、共用車両の現在位置から乗車車両の現在位置までの距離が最も短い共用車両を乗換車両として特定する。これにより、乗換位置における、第2ユーザ又は乗換車両の待ち時間を短縮できる。
また本実施形態では、共用車両の現在位置から第2降車位置までの距離が、乗換車両の現在位置から降車位置までの距離が長い共用車両を乗換車両として特定する。これにより、共用車両YがUターンして第2ユーザの乗り換えを受け入れるような事態を防ぐことができる。
また本実施形態では、乗車車両の現在位置と乗換車両の現在位置に基づき、第2ユーザが乗車車両から乗換車両に乗り換える乗換候補位置を特定し、乗換車両が乗換候補位置で乗車車両の到着を待つ待機時間を、複数の乗換候補位置毎に算出し、複数の乗換候補位置の中から待機時間が最も短い乗換候補位置を乗換位置として設定する。これにより、乗換位置における、乗換車両の待ち時間を短縮化できる。
また本実施形態では、乗車車両の現在位置と乗換車両の現在位置に基づき、乗換候補位置を特定し、第2ユーザが乗換候補位置で乗換車両の到着を待つ待機時間を、複数の乗換候補位置毎に算出し、複数の乗換候補位置の中から待機時間が最も短い乗換候補位置を乗換位置として設定する。これにより、乗換位置における、第2ユーザの待ち時間を短縮化できる。
また本実施形態では、乗車車両への乗車順位の遅いユーザを優先させて、乗換車両に乗り換えるユーザを特定する。これにより、先に乗車していたユーザが、後から乗車してきたユーザのために途中下車することを防止できる。また、途中下車によるユーザの不満を解消できる。
なお、本実施形態の変形例として、道路情報に基づき、乗換車両の停車に適した位置を乗換位置として設定してもよい。例えば、道路の幅が狭い場合には、相乗り車両を安全に停車できない可能性がある。そのため、共用車両管理装置100は、道路情報から、幅の広い道路、車両の駐停車が認められている道路等を抽出し、抽出された道路上に乗換位置を設定する。これにより、適切な乗換位置を確保できる。
また本実施形態の変形例として、共用車両管理装置100は、乗換位置又は降車位置として過去に設定された位置を、今回の乗車位置に設定してもよい。ユーザの乗車位置又は降車位置として使用実績がある場合には、同じ地点に乗換位置を設定することで、安全に共用車両Vnを運行できる。なお、共用車両管理装置100は、ユーザの乗車位置又は降車位置として設定された場合には、乗車位置又は降車位置の位置情報を実績としてデータベース30に記憶すればよい。
また本実施形態の変形例として、共用車両管理装置100は、気象情報に基づき乗換位置を設定してもよい。例えば、雨や雪の日は、水たまりや路面凍結等によって、乗換位置を安全に確保できない可能性がある。共用車両管理装置100は、道路形状等から、水たまりや路面凍結の発生し易い場所を予め特定する。そして、共用車両管理装置100は、気象情報から、雨又は雪等の可能性がある場合には、水たまりや路面凍結の発生し易い場所を、乗換候補位置から除外する。これにより、安全に共用車両Vnを運行できる。