以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
≪第1実施形態≫
本実施形態では、本発明に係る情報処理装置を、サービス車両にて複数のユーザを移送するサービスを提供するシステムに適用した場合を例にして説明する。このようなシステムには様々な形態が存在するが、本実施形態では、特に、複数のユーザが一台のサービス車両に相乗りして移動するサービスを提供するシステムを例に挙げて説明する。具体的には、本発明に係る情報処理装置は、サービス車両の管理等を行うモビリティサービスセンターから、サービス車両を利用するユーザ及びサービス車両に対して、情報を提供する情報提供システムに適用される。本実施形態では、情報処理装置をモビリティサービスセンターに搭載する構成を例に説明するが、情報処理装置は、モビリティサービスセンターと情報の授受が可能な車載装置に適用してもよい。また、本発明に係る情報処理方法は後述する情報処理装置において使用される。
図1は、情報提供システム1のブロック構成を示す図である。本実施形態の情報提供システム1は、車載装置100と、端末装置200と、モビリティサービスセンター300と、を備える。モビリティサービスセンター300は、電気通信回線により、車載装置100と情報の授受を行うことができるとともに、端末装置200とも情報の授受を行うことができる。
車載装置100は、サービス車両Vに搭載されている。サービス車両Vは、複数のユーザに共用される車両であり、いわゆる共用車両と呼ばれる車両である。サービス車両Vとしては、電動モータを駆動源として備える電気自動車、内燃機関を駆動源として備えるエンジン自動車、電動モータ及び内燃機関の両方を駆動源として備えるハイブリッド自動車を例示できる。なお、電動モータを駆動源とする電気自動車やハイブリッド自動車には、二次電池を電動モータの電源とするタイプや燃料電池を電動モータの電源とするタイプのものも含まれる。
また、サービス車両Vは、タクシー等の移送サービスを行うための車両や、ユーザが希望する条件に応じて自動的に運転をすることができ、ユーザを移送することが可能な車両であってもよい。なお、サービス車両Vを運転する主体は、特に限定されず、運転者であてもよいし、車両の走行を制御することが可能な走行制御装置であってもよい。
図1に示す各構成について説明する前に、本実施形態でのサービス車両の利用方法の概略について説明する。サービス車両を利用したいユーザは、端末装置200を介して、モビリティサービスセンター300に対してサービス車両の利用予約を行うことで、サービス車両を利用することができる。ユーザは、利用予約をする際に、ユーザの希望条件を端末装置200に入力する。希望条件には、希望の乗車位置を示す希望乗車位置、希望の降車位置を示す希望降車位置、希望の乗車時刻を示す希望乗車時刻、希望の降車時刻を示す希望降車時刻が含まれる。また、希望降車位置とユーザの最終的な目的地が異なる場合、希望条件にはユーザの最終目的地が含まれていてもよい。なお、端末装置200は、ユーザの現在地を特定することが可能なGPS(Global Positioning System)機能を有しており、ユーザの希望条件には、ユーザの現在地の情報が付加される。
モビリティサービスセンター300では、端末装置200から送信されるユーザの希望条件に応じてサービス車両の手配が行われる。サービス車両の手配が完了すると、モビリティサービスセンター300は、手配可能なサービス車両の車両情報(車種、利用可能な時間帯)と、ユーザが乗車する予定の位置を示す乗車位置、ユーザが降車する予定の位置を示す降車位置と、サービス車両が乗車位置に到着する時刻を示す乗車位置への到着予定時刻と、サービス車両が降車位置に到着する時刻を示す降車位置への到着予定時刻と、を端末装置200に送信する。また、手配可能なサービス車両に既に他のユーザが乗車中の場合、モビリティサービスセンター300は、他のユーザに関する情報も併せて、端末装置200に送信する。ユーザは、端末装置200を介してこれらの情報について確認を行う。そして、ユーザがサービス車両を利用することに承諾すると、サービス車両の予約が完了する。ユーザは、乗車位置に到着予定時刻までに到着するように、徒歩により又は電車などの移動手段により移動することで、サービス車両に乗車することができる。以上が本実施形態におけるサービス車両の利用方法の基本構成である。
次に、図1を参照しながら各構成について説明する。
車載装置100は、入力装置110、出力装置120、各種センサ130、通信装置140、地図情報データベース150、及び車載コントローラ160を備えている。車載装置100を構成する各装置は、相互に情報の授受を行うためにCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続されている。
入力装置110は、ユーザがサービス車両の利用に関する情報を入力することが可能な装置である。入力装置110としては、例えば、ユーザの手操作による入力が可能なタッチパネル又はジョイスティックや、ユーザの音声による入力が可能なマイクなどの装置が挙げられる。入力装置110は、乗車中のユーザの入力情報を、車載コントローラ160に出力する。
出力装置120には、モビリティサービスセンター300からの情報が車載コントローラ160を介して入力される。出力装置120は、入力された情報を乗車中のユーザに対して提示することが可能な装置である。出力装置120としては、例えば、液晶ディスプレイや、スピーカなどが挙げられる。出力装置120がユーザに提示する情報については後述する。
各種センサ130は、サービス車両Vの走行状態に関する情報を検出する。各種センサ130としては、サービス車両Vの走行状態そのものを検出する装置類と、サービス車両Vへのユーザの乗り降りを検出する装置類とに分けられる。前者の装置としては、車速を検出する車速センサ、車両の周囲に存在する障害物を検出するレーダー、車両の走行位置を検出するGPSユニット等が挙げられる。後者の装置としては、サービス車両Vを利用するユーザか否かの認証を行う認証装置が挙げられる。例えば、認証装置としては、NFC(Near Field Communication)による通信が可能な装置が挙げられる。認証装置は、ユーザがサービス車両Vへ乗車するタイミングで、端末装置200などからユーザのID情報を読み取る。各種センサ130は、検出した情報を車載コントローラ160に出力する。
通信装置140は、電話回線網などを介して、モビリティサービスセンター300が備える通信装置320と通信可能な装置である。通信装置140は、受信した情報を車載コントローラ160に出力するとともに、車載コントローラ160から入力される情報をモビリティサービスセンター300に送信する。
地図情報データベース150は、道路情報及び地図情報を格納している。地図情報データベース150は、車載コントローラ160からアクセス可能なデータベースであり、車載コントローラ160からのアクセスに応じた情報を、車載コントローラ160に出力する。道路情報には、各道路の種別(一般道路、自動車専用道路、橋、トンネルなど)の情報が含まれる。
車載コントローラ160は、サービス車両Vの走行を制御するための装置である。車載コントローラ160は、車両の走行を制御するプログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とから構成される。
車載コントローラ160は、ROMに格納されたプログラムをCPUにより実行することにより、モビリティサービスセンター300から送信される走行経路に沿って、サービス車両Vを走行させる又は走行するための運転支援を行う走行制御機能と、ユーザの認証を行うユーザ認証機能と、乗車位置又は降車位置において、ドアの開け閉め等を行うユーザ応対機能と、備える。
車載コントローラ160は、走行制御機能により、モビリティサービスセンター300から送信される走行経路に沿ってサービス車両Vを走行させる又は運転支援を実行する。例えば、サービス車両Vがタクシーの場合、車載コントローラ160が出力装置120を介して走行経路の情報を運転者に提示する運転支援を実行することで、運転者は走行経路に沿った運転をすることができる。また、例えば、サービス車両Vが運転者によらず自動的に運転することが可能な車両の場合、車載コントローラ160は、サービス車両Vの各種駆動装置(付図示)に対して、走行経路に沿った走行をすることが可能な制御を行う。また、車載コントローラ160は、走行経路に沿ってサービス車両Vを走行させる際には、地図情報データベース150に格納された地図情報、道路情報を用いる。
車載コントローラ160は、ユーザ認証機能により、乗車しようとするユーザに対して、サービス車両Vを利用するユーザであるか否かの認証を行う。例えば、車載コントローラ160は、各種センサ130に含まれる認証装置からユーザIDを取得すると、モビリティサービスセンター300に対して予約しているユーザのID情報を要求して照合作業を行う。
車載コントローラ160は、ユーザ応対機能により、ユーザがサービス車両Vから乗降車するタイミングおいて、車両の停止を示すために方向指示器又はハザードを点滅させるとともに、ドアの開閉制御を実行する。
次に、端末装置200について説明する。端末装置200は、入力装置210、出力装置220、通信装置230、及びコントローラ240を備えている。端末装置200は、ユーザが持ち運び可能であって無線通信可能なものである。端末装置200としては、例えば、ノートパソコン、タブレット端末、スマートホンなどが挙げられる。
入力装置210は、ユーザが各種情報を入力することが可能な部材であり、例えば、ユーザの手操作による入力が可能なタッチパネル又はジョイスティックが挙げられる。サービス車両を利用する際には、ユーザは、入力装置210を介して希望乗車位置等の希望条件を入力することができる。また、モビリティサービスセンター300からの提案情報に対して、ユーザは、入力装置210を介して提案情報に対する承諾又は拒否をすることができる。入力装置210は、ユーザが入力した情報を、コントローラ240に出力する。
出力装置220には、通信装置230及びコントローラ240を介して、モビリティサービスセンター300からの情報が入力される。出力装置220は、ユーザに対してモビリティサービスセンター300からの情報を提示する装置であり、例えば、ディスプレイやスピーカが挙げられる。
通信装置230は、電話回線網などを介して、モビリティサービスセンター300が備える通信装置320と通信可能な装置である。通信装置230は、モビリティサービスセンター300から受信した情報をコントローラ240に出力するとともに、コントローラ240から入力される情報をモビリティサービスセンター300に送信する。
コントローラ240は、ユーザがサービス車両を利用する際に、所定のプログラム等を実行して、サービス車両の利用開始することが可能な制御装置であり、CPU、ROM、RAMで構成されている。例えば、コントローラ240は、サービス車両を利用するための専用のアプリケーションを予めROMに格納している。ユーザが入力装置210を介してアプリケーションの開始を操作すると、コントローラ240は、当該専用のアプリケーションを実行する。これにより、出力装置220には、専用のアプリケーションの画面が表示され、ユーザはサービス車両を利用することができる。
次に、モビリティサービスセンター300について説明する。モビリティサービスセンター300は、サーバ310を備えている施設であり、サービス車両の管理を行っている。モビリティサービスセンター300には、サービス車両を利用するユーザにとって、最適な乗車位置及び最適な降車位置、最適な走行経路を算出するためにあらゆる情報が集められる。具体的には、モビリティサービスセンター300には、ユーザのサービス車両に対する希望条件の情報、サービス車両の位置の情報、道路交通情報、天気の情報が集められる。モビリティサービスセンター300では、収集された情報及び後述するサーバ310が備えるデータベースに格納されている情報に基づいて、サービス車両の手配、乗車位置及び降車位置の算出、及び走行経路の算出等の各種処理がシリアル又はパラレルに行われる。サーバ310は、これらの処理を実行する装置である。
サーバ310は、通信装置320、道路地図情報データベース330、道路交通情報データベース340、施設地図情報データベース350、及びコントローラ360を備えている。
通信装置320は、電話回線網などを介して、サービス車両Vが備えている通信装置140、及び端末装置200が備えている通信装置230と通信可能な装置である。
また、通信装置320は、コントローラ360が現在の交通状況をリアルタイムで把握するために、図1に示すように、道路交通情報収集装置400が備える通信装置410と通信可能な装置である。
道路交通情報収集装置400は、例えば、一般道路や高速道路の路上に設置されている。交通状況としては、渋滞情報、交通障害情報(事故の情報、道路の清掃作業の情報、道路の工事情報、道路上の障害物の情報、路面の凍結に関する情報を含む)、交通規制情報(通行止め又は閉鎖の情報、徐行の情報、入口制限の情報、入口閉鎖の情報、速度規制の情報、進入禁止の情報、車線規制の情報を含む)が挙げられる。
なお、通信装置320は、道路交通情報収集装置400だけでなく、道路交通情報通信システムVICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)と通信することも可能であり、コントローラ360は、VICSからの情報をもとに現在の交通状況を把握することもできる。通信装置320は、道路交通情報収集装置400から受信した情報を、コントローラ360を介して、道路交通情報データベース340に出力する。
通信装置320は、車載装置100、端末装置200、及び道路交通情報収集装置400から受信した情報をコントローラ360に出力するとともに、コントローラ360から入力される情報を、車載装置100又は端末装置200に送信する。
道路地図情報データベース330は、コントローラ360がサービス車両Vの走行経路を算出するための地図情報及び道路情報を格納している。地図情報及び道路情報は、リンクとノードの組み合わせにより表現される情報である。道路地図情報データベース330には、所定の期間ごとに、更新された地図情報及び道路情報が入力される。これにより、コントローラ360は、実際の地形及び実際の道路形状に応じた、サービス車両Vの走行経路を算出することができる。
道路交通情報データベース340には、道路交通情報収集装置400により収集された情報が、所定の期間ごとに入力される。道路交通情報データベース340は、最新の渋滞情報、最新の交通障害情報、最新の交通規制情報を格納している。これにより、コントローラ360は、実際の交通状況に応じた、サービス車両Vの走行経路を算出することができる。
施設地図情報データベース350は、コントローラ360がサービス車両Vの走行経路を算出するための施設の地図情報を格納している。施設は、ユーザの目的地となり得る施設である。例えば、ショッピングモールなどの商業施設、市役所、学校、病院などの公共施設、遊園地などのレジャー施設が挙げられる。施設の地図情報には、施設の場所、施設に設けられている出入り口の場所及び駐車場の場所、施設のフロアマップ等が含まれる。
コントローラ360は、サービス車両Vを管理するための制御装置であり、CPU、ROM、RAMで構成されている。コントローラ360は、ROMに格納されたプログラムをCPUにより実行することにより、ユーザの希望条件を確認するユーザ確認機能と、サービス車両Vの状況を確認してサービス車両Vを手配するサービス車両管理機能と、ユーザの現在地から最終目的地までの複数の第1移動経路候補をリストアップする第1移動経路候補リストアップ機能と、第1移動経路候補ごとに移動コストを算出し、移動コストに基づいて第1移動経路候補の中から最適な第1移動経路を特定する第1移動経路特定機能と、第1移動経路に基づいて、サービス車両Vの第1走行経路を決定する第1走行経路決定機能と、第1走行経路に関する情報を車載装置100及び端末装置200に通知する第1走行経路通知機能と、を備える。
また、コントローラ360は、第1移動経路の代替となり得る複数の第2移動経路候補をリストアップする第2移動経路候補リストアップ機能と、第2移動経路候補ごとに移動コストを算出し、移動コストに基づいて第2移動経路候補の中から最適な第2移動経路を特定する第2移動経路特定機能と、第2移動経路に基づいて、サービス車両Vの第2走行経路を決定する第2走行経路決定機能と、第2走行経路に関する情報を車載装置100及び端末装置200に通知する第2走行経路通知機能と、を備える。
コントローラ360は、ユーザ確認機能により、ユーザの希望条件の内容を確認する。ユーザの希望条件には、ユーザが入力した、希望乗車位置、希望降車位置、希望乗車時刻、及び希望降車時刻と、ユーザの現在地の情報が含まれている。
また、ユーザの希望条件には、希望降車位置だけでなく最終目的地が含まれていてもよい。なお、コントローラ360は、最終目的地が希望条件に含まれていない場合、希望降車位置を最終目的地として扱う。また、コントローラ360は、希望乗車位置が希望条件に含まれていない場合、ユーザの現在地を希望乗車位置として扱う。希望乗車位置及び希望降車位置は、サービス車両Vが走行する道路上の位置に限られず、施設内の位置であってもよい。
また、本実施形態では、ユーザの希望条件には、相乗りするユーザに起因して発生する遅延に対してユーザが許容できる時間を示す、許容遅延時間が含まれる。許容遅延時間は、ユーザが分単位、時間単位での設定が可能な時間である。
コントローラ360は、ユーザ確認機能により確認した各種の情報を、RAM等に一時的に格納する。これにより、コントローラ360は、後述する各機能において、ユーザの現在地、希望乗車位置、希望降車位置、希望乗車時刻、希望降車時刻、最終目的地、及び許容遅延時間の情報を利用することができる。
まず、サービス車両管理機能について説明する。コントローラ360は、サービス車両管理機能により、サービス車両Vの現在の状況を確認して、ユーザの希望条件に最も適したサービス車両Vを手配する。コントローラ360は、待機中のサービス車両Vに限られず、走行中のサービス車両Vを状況確認の対象とする。
コントローラ360は、サービス車両Vから送信されるプローブ情報に基づいて、走行中のサービス車両Vの状況を確認する。例えば、サービス車両Vは、所定の期間ごとに現在地の情報を含むプローブ情報をモビリティサービスセンター300に送信する。この場合、コントローラ360は、プローブ情報に基づいて、走行中のサービス車両Vの現在地を把握することができる。
また、例えば、コントローラ360は、サービス車両Vの利用状況を管理するスケジュール表を有しており、スケジュール表に基づいて、待機中のサービス車両Vの状況を確認する。そして、コントローラ360は、プローブ情報やスケジュール表により、複数のサービス車両Vの現在の状況を把握すると、複数のサービス車両Vの中から、ユーザの希望条件を満たすサービス車両Vを特定し、特定したサービス車両Vをサービス車両の利用を希望するユーザに割り当てる。
次に、第1移動経路候補リストアップ機能について説明する。コントローラ360は、第1移動経路候補リストアップ機能により、一のユーザの希望条件に基づいて、一のユーザの現在地から最終目的地までの複数の第1移動経路候補を選定する。
ここで、移動経路の構成について説明する。移動経路は、サービス車両Vが移動するための移動経路と、ユーザが移動するための移動経路とを足し合わせた移動経路全体を示している。サービス車両Vが移動するための移動経路とは、サービス車両Vが走行する走行経路である。また、ユーザが移動するための移動経路には、ユーザが徒歩や電車等のサービス車両以外の移動手段(以降、徒歩等の移動手段)により現在地から乗車位置までを移動するための移動経路と、ユーザが徒歩等の移動手段により降車位置から最終目的地までを移動するための移動経路が含まれる。なお、ユーザが移動するための移動経路は、サービス車両Vが移動するための移動経路の一部であってもよい。この場合、ユーザの現在地、乗車位置、降車位置、及び最終目的地は、サービス車両Vの走行経路上に位置する。また、ユーザが移動するための移動経路は、サービス車両Vが移動するための移動経路の一部でなくてもよい。この場合、ユーザの現在地、乗車位置、降車位置、及び最終目的地の少なくとも一つは、サービス車両Vの走行経路上には位置していない。なお、本実施形態では、現在地と乗車位置は異なる位置とし、降車位置と最終目的地も異なる位置とする。
また、後述する移動経路の候補(移動経路候補ともいう)については、上述した移動経路における乗車位置が乗車位置の候補(乗車位置候補ともいう)に置換され、移動経路における降車位置が降車位置の候補(降車位置候補ともいう)に置換される。すなわち、移動経路の候補は、ユーザが徒歩等の移動手段により現在地から乗車位置候補までを移動するための移動経路候補と、ユーザが徒歩等の移動手段により降車位置候補から最終目的地までを移動するための移動経路候補と、サービス車両Vが走行する走行経路候補と、を含む。
まず、コントローラ360は、複数の乗車位置候補及び複数の降車位置候補を選定する。複数の乗車位置候補の選定を例に挙げて説明する。コントローラ360は、希望乗車位置から所定の範囲内に複数の乗車位置候補を選定する。例えば、コントローラ360は、道路地図情報データベース330又は施設地図情報データベース350にアクセスして、希望乗車位置の周辺のノードや、希望乗車位置の周辺のPOI(Point Of Interest)に対して、乗車位置候補を設定する。所定の範囲としては、例えば、希望乗車位置から、許容遅延時間内に徒歩で移動可能な範囲が挙げられる。
なお、希望乗車位置の周辺の範囲は、特に限定されないが、現在地から希望乗車位置までの移動手段と、現在地から乗車位置候補までの移動手段が変わらない範囲が好ましい。例えば、希望乗車位置が現在地から徒歩の圏内に設定されている場合、コントローラ360は、電車移動を要する位置に乗車位置候補を設定せず、徒歩移動が可能な範囲に乗車位置候補を設定する。また、コントローラ360は、希望乗車位置も乗車位置候補の一つとして設定する。
コントローラ360は、上述した方法と同様の方法により、希望降車位置から所定の範囲内に複数の降車位置候補を選定する。また、コントローラ360は、希望降車位置も降車位置候補の一つとして設定する。
次に、コントローラ360は、乗車位置候補及び降車位置候補の組み合わせごとに、第1移動経路の候補(第1移動経路候補ともいう)を算出する。第1移動経路候補には、ユーザの現在地から一の乗車位置候補までの移動経路候補と、一の降車位置候補から最終目的地までの移動経路候補と、サービス車両Vの現在地から一の乗車位置候補を経由して一の降車位置候補までのサービス車両Vの走行経路候補(第1走行経路候補ともいう)と、が含まれる。
例えば、コントローラ360は、移動経路候補及び走行経路候補をそれぞれ算出して、一の第1移動経路候補とする。コントローラ360は、乗車位置候補及び降車位置候補の組み合わせの数だけ、上述した処理を繰り返し実行することで、複数の第1移動経路候補を選定する。
次に、第1移動経路特定機能について説明する。コントローラ360は、第1移動経路特定機能により、第1移動経路候補ごとに移動コストを算出する。
ここで、移動コストについて説明する。移動コストとは、ユーザが現在地から最終目的地へ移動するまでに要するあらゆるコストであり、本実施形態では、時間、料金、身体的な負荷、ユーザの好みを数値化したものである。本実施形態では、移動コストは、ユーザコスト(TUC)で示される。ユーザコスト(TUC)は、以下の式で示すように、各コストから構成されている。コントローラ360は、以下に示す各コストを算出して、移動コストとする。各コストについて説明する。
ユーザコスト(TUC)=アクセスコスト(AC)+待ち時間コスト(WC)+乗車時間コスト(TC)+イグレスコスト(EC)+料金(FARE)+嗜好コスト(FC)
アクセスコスト(AC):ユーザが現在地から乗車位置まで徒歩で移動するのに要する時間及び負荷で示されるコスト
AC=M(1+a)(ユーザの現在地から乗車位置までの距離LUorg-PU)/(ユーザの歩行速度VUSR)
待ち時間コスト(WC):乗車位置での待ち時間及びユーザにかかる負荷で示されるコスト
WC=M(1+b){(サービス車両Vの現在地から乗車位置までの距離LVorg-PU)/(道路走行速度VROAD)-(LUorg-PU/VUSR)}
乗車時間コスト(TC):ユーザが乗車位置から降車位置までサービス車両Vで移動するのに要する時間で示されるコスト
TC=M(乗車位置から降車位置までの距離LPU-DO)/VROAD
イグレスコスト(EC):ユーザが降車位置から最終目的地まで徒歩で移動するのに要する時間及び負荷で示されるコスト
EC=M(1+a)(降車位置から最終目的地までの距離LDO-Udes)/VUSR
料金(FARE):乗車位置から降車位置までのサービス車両Vの利用にかかる費用
嗜好コスト(FC):上述したコスト以外のコストであり、走行経路に対するユーザの嗜好が数値化されたコスト
M:時間価値貨幣換算係数
a:徒歩移動によりかかる負荷を時間価値に換算する係数
b:乗車位置でサービス車両Vを待つ間にかかる負荷を時間価値に換算する係数
アクセスコスト(AC)は、ユーザが現在地から乗車位置までを徒歩で移動するのに要するコストである。なお、ユーザの現在地と乗車位置が同一の場合(サービス車両Vが現在地に到着する場合)には、アクセスコスト(AC)はゼロとなる。なお、アクセスコスト(AC)における現在地とは、端末装置200がユーザの希望条件をモビリティサービスセンター300に送信した地点である。
待ち時間コスト(WC)は、乗車位置でユーザがサービス車両Vの到着を待っている間に要するコストである。待ち時間コスト(WC)には、待ち時間だけでなく、ユーザへの身体的な負荷(例えば、心身の疲労)が含まれている。
イグレスコスト(EC)は、ユーザが降車位置から最終目的地まで徒歩で移動するのに要するコストである。なお、降車位置と最終目的地が同一の場合(サービス車両Vが最終目的地に到着する場合)には、イグレスコスト(EC)はゼロとなる。
なお、アクセスコスト(AC)及びイグレスコスト(EC)は、上記の式に示すように、徒歩移動により要する時間の価値(係数M)と、徒歩移動に伴うユーザへの身体的な負荷(係数a)が考慮された値となる。
道路走行速度VROADは、各道路における代表的な車両の速度を示している。例えば、道路交通情報データベース340に格納されている、現在の交通状況における速度が用いられる。渋滞が発生している道路においては、道路走行速度VROADの値は小さくなる。また、交通規制などで通行不可能な区間の道路においては、道路走行速度VROADの値はゼロとなる。
ユーザの歩行速度VUSRは、ユーザの歩行速度を示している。例えば、道路地図情報データベース330には、ユーザの平均的な歩行速度が各道路のリンクに関連付けられている。係数aは、徒歩移動による負荷を時間の価値に換算する係数である。例えば、ユーザが身障者、高年齢者、妊婦の場合や、ユーザが乳幼児を連れている場合には、徒歩移動による負荷が大きくなるため、係数aは平均値よりも大きく設定される。徒歩移動による負荷を数値化することで、徒歩による移動経路の距離が短い第1移動経路が特定される。
コントローラ360は、ユーザの属性(性別、年齢等)がプローブ情報に含まれている場合、歩行速度VUSR及び係数aについて、ユーザの属性に応じて予め設定された値を用いる。また、コントローラ360は、移動コストの算出に用いた歩行速度VUSR及び係数aをデータベースに格納することで、次回以降、実績がある値を用いることができる。ユーザは、端末装置200に対して、性別、年齢等を入力したり、歩行速度VUSR及び係数aを直接設定したりすることで、歩行速度VUSR及び係数aを変更することができる。
係数bは、乗車位置で待っている間にかかるユーザへの身体的な負荷を時間の価値に換算する係数である。コントローラ360は、天気や気温に応じて、係数a、bを変更することができる。例えば、雨天や寒暑時では、屋外の移動や待機はユーザへの負荷が大きくなることを考慮して、コントローラ360は、係数a、bを平均値よりも大きく設定する。これにより、徒歩移動又は待機時間が短くなるような第1移動経路が特定される。
係数Mは、時間の価値を貨幣に換算するために便宜上設けられた所定の係数である。係数Mは、実験的に求められた値が好ましい。
料金(FARE)は、乗車位置から降車位置までのサービス車両Vの利用にかかる費用である。料金(FARE)は、一律の料金であってもよいし、走行距離又は乗車時間の関数で表されるような変動する料金であってもよい。本実施形態では、コントローラ360は、料金(FARE)に、走行距離又は乗車時間で変動する料金を用いる。これにより、料金(FARE)が最小となるような第1移動経路が特定される。
嗜好コスト(FC)は、サービス車両Vの走行経路に対するユーザの嗜好が数値化されたコストである。コントローラ360は、サービス車両Vの走行の滑らかさについて指標化することができる。例えば、コントローラ360は、走行経路を走行した場合に想定される右左折の回数及び車線変更の回数、走行経路に含まれる交差点の数、走行する予定の道路の舗装の程度に応じて、走行の滑らかさについて指標化する。また、コントローラ360は、サービス車両Vが走行経路を走行した場合のサービス車両Vからの景観について指標化することができる。例えば、コントローラ360は、道路地図情報データベース330に含まれる地図情報から、サービス車両Vが走行経路を走行した場合における、サービス車両Vからの景観を予想することができ、予想結果に応じて、サービス車両Vからの景観について指標化する。
そして、コントローラ360は、指標化された走行の滑らかさ及びサービス車両Vからの景観を引数とした関数に、嗜好コスト(FC)を設定することで、ユーザの嗜好が反映されるような第1移動経路を設定することができる。例えば、ユーザがサービス車両V内でパソコン作業を行いたい場合、ユーザは、サービス車両Vを利用する際の希望条件に、その旨を追加する。これにより、コントローラ360は、右左折の回数が少なく、直線道路を走行する走行経路や、凹凸の少ない舗装された道路を走行する走行経路を、優先的に設定することができる。また、例えば、ユーザが景観の良い道路で移動したい場合も同様に、ユーザは、希望条件にその旨を追加する。これにより、コントローラ360は、サービス車両Vからの景観が良い道路を走行する走行経路を、優先的に設定することができる。
コントローラ360は、第1移動経路特定機能により、第1移動経路候補ごとに、上述した各コストを含む移動コストを算出する。そして、コントローラ360は、移動コストに基づいて、複数の第1移動経路候補の中から最適な第1移動経路を特定する。本実施形態では、コントローラ360は、移動コストの値が最小となる第1移動経路候補を、最適な第1移動経路として特定する。例えば、コントローラ360は、複数の第1移動経路候補について、移動コストの小さい順に並べ替えることで、移動コストが最小の第1移動経路候補を特定して第1移動経路とする。また、コントローラ360は、移動コストが所定の値よりも小さい範囲にある複数の第1移動経路候補を選定することができる。
次に、第1走行経路決定機能について説明する。コントローラ360は、第1移動経路特定機能により特定された第1移動経路から、サービス車両Vの走行経路である第1走行経路を決定する。コントローラ360は、第1移動経路の中から、ユーザの徒歩等の移動手段による移動経路を除いた、サービス車両Vの走行経路を抽出する。
また、コントローラ360は、サービス車両Vの第1走行経路を決定するとともに、決定した第1走行経路に含まれている乗車位置及び降車位置を抽出して、乗車位置及び降車位置を特定する。さらに、コントローラ360は、サービス車両Vの乗車位置への到着予定時刻と、サービス車両Vの降車位置への到着予定時刻と、をサービス車両Vの各地点への到着予定時刻として特定する。また、コントローラ360は、ユーザの乗車位置への到着予定時刻と、ユーザの最終目的への到着予定時刻を、ユーザの各地点への到着予定時刻として特定する。
次に、第1走行経路通知機能について説明する。コントローラ360は、第1走行経路通知機能により、第1走行経路に関する情報を、車載装置100及び端末装置200に送信する。第1走行経路に関する情報には、乗車位置及び降車位置の位置情報と、ユーザの乗車位置までの移動経路及び最終目的地までの移動経路の案内情報と、ユーザの各地点への到着予定時刻と、第1走行経路の案内情報と、サービス車両Vの各地点への到着予定時刻と、これらの情報に対してユーザに承諾の有無を促す情報と、が含まれている。ユーザは、希望条件に対するモビリティサービスセンター300から回答として、第1走行経路に関する情報を確認し、承諾するか否かを判断する。
また、コントローラ360は、第1移動経路特定機能により、移動コストが所定の値よりも小さい範囲にある複数の第1移動経路候補を選定している場合、移動コストの小さい順に、第1走行経路に関する情報を、車載装置100及び端末装置200に送信する。ユーザは、移動コストが小さい順に、第1走行経路に関する情報を確認することができ、承諾するか否かを判断する。
ユーザがモビリティサービスセンター300からの情報に承諾した場合、コントローラ360は、第1走行経路に関する情報を、車載装置100に送信する。サービス車両Vの運転するもの(運転者又は走行制御装置)は、乗車位置の位置と乗車位置への到着予定時刻を確認して、サービス車両Vを乗車位置まで走行させる。
図2、3を参照しながら、第1走行経路決定機能により決定された第1走行経路の具体的な例について説明する。図2は、第1走行経路の一の例を説明するための図であり、図3は、第1走行経路の他の例を説明するための図である。図2、3では、ユーザが利用するサービス車両Vには、他のユーザが乗車していないものとする。
図2は、ユーザMがサービス車両Vを利用しようと、端末装置200に希望条件を入力した場面において、モビリティサービスセンター300のコントローラ360がサービス車両Vの最適な走行経路として第1走行経路R1を特定した場面を示している。ユーザMは、希望条件として、現在地である希望乗車位置PUM(0)、最終目的地である希望降車位置DOM(0)を端末装置200に入力したものとする。なお、走行経路R0は、サービス車両Vの現在地から希望乗車位置PUM(0)を経由して希望降車位置DOM(0)までのサービス車両Vの走行経路を示している。
図2の例では、コントローラ360は、ユーザMの希望条件を受信すると、まず、希望乗車位置PUM(0)の周辺の範囲に複数の乗車位置候補PUM(i)を選定するとともに、希望降車位置DOM(0)の周辺に複数の降車位置候補DOM(j)を選定する。i、jは整数である。コントローラ360は、乗車位置候補PUM(i)及び降車位置候補DOM(i)の組み合わせごとに、第1移動経路を算出するとともに、第1移動経路ごとの移動コストを算出する。
そして、コントローラ360は、移動コストが最小となる第1移動経路を特定し、特定した第1移動経路に基づいて、図2に示す第1走行経路R1を設定する。また、コントローラ360は、ユーザMの乗車位置として乗車位置PUM(1)と、ユーザMの降車位置として降車位置DOM(1)を設定する。コントローラ360は、第1走行経路R1に関する情報を、ユーザMが所有する端末装置200に送信する。なお、説明の便宜上、iとjはともに「1」とする。
図2の例において、サービス車両Vが第1走行経路R1を走行することによる効果について説明する。仮に、サービス車両Vがユーザの希望条件に沿って走行しようとすると、サービス車両Vは、走行経路R0に沿って移動する。この場合、ユーザMを乗車させるためには、サービス車両Vは、現在地から希望乗車位置PUM(0)に到着するまでに3ブロックを移動する。ユーザMは、サービス車両Vが3ブロック移動している間に待たされることになる。また、ユーザMを降車させるためには、サービス車両Vは、希望降車位置DOM(0)が迂回することで到着可能な位置に設定されたため、迂回して移動して最終目的地に到着する。
一方、サービス車両Vが第1走行経路R1に沿って走行した場合には、ユーザMを乗車させるためには、サービス車両Vは、現在地から乗車位置PUM(1)に到着するまでに1ブロックを移動する。ユーザMは、サービス車両Vが一ブロック移動している間に、サービス車両Vに自ら近付こうと、現在地から徒歩圏内の乗車位置PUM(1)に徒歩で移動する。また、ユーザMを降車させるためには、サービス車両Vは、降車位置DOM(1)が迂回せずに到着可能な位置に設定されたため、迂回することなく移動して降車位置DOM(1)に到着する。ユーザMは、降車後、反対車線に位置する希望降車位置DOM(0)に徒歩で移動することで最終目的地に到着する。
このように、サービス車両Vが第1走行経路R1を走行すると、乗車位置PUM(1)までの移動距離は短くなるため、ユーザMは、現在地で走行経路R0に沿って移動するサービス車両Vの到着を待つよりも早く乗車位置PUM(1)で乗車することができる。また、サービス車両Vは迂回することなく降車位置DOM(1)に到着するため、ユーザMは、サービス車両Vが迂回経路に沿って希望降車位置DOM(0)に到着するよりも早く降車位置DOM(1)に到着する。ユーザMは、反対車線に徒歩で移動することで、結果的に希望降車位置DOM(0)で降車するよりも早く最終目的地に到着することができる。
図3は、図2の例と同様に、モビリティサービスセンター300のコントローラ360がサービス車両Vの最適な走行経路として第1走行経路R1を特定した場面を示している。希望乗車位置PUM(0)はユーザの現在地を示し、希望降車位置DOM(0)はユーザの最終目的地を示している。走行経路R0は、サービス車両Vの現在地から希望乗車位置PUM(0)を経由して希望降車位置DOM(0)までのサービス車両Vの走行経路を示している。また、図3の例では、希望乗車位置PUM(0)の目の前の道路では、希望乗車位置PUM(0)付近で交通渋滞が発生している。さらに、希望降車位置DOM(0)の目の前の道路では、希望降車位置DOM(0)付近で交通渋滞が発生している。
図3の例において、第1走行経路R1、乗車位置PUM(1)、及び降車位置DOM(1)の設定方法は、図2の例での設定方法と同様であるため、その説明を援用する。なお、コントローラ360は、第1走行経路R1、乗車位置PUM(1)、及び降車位置DOM(1)を設定する過程において、道路交通情報データベース340にアクセスして、図3に示す各道路での交通渋滞を把握している。
図3の例において、サービス車両Vが第1走行経路R1を走行することによる効果について説明する。仮に、サービス車両Vがユーザの希望条件に沿った走行経路R0を走行した場合、ユーザMを乗車させるためには、サービス車両Vは、現在地から希望乗車位置PUM(0)に到着するまでに、交通渋滞している道路を移動する。ユーザMは、交通渋滞によりサービス車両Vの到着が遅れて待たされることになる。また、ユーザMを降車させるためには、サービス車両Vは、希望降車位置DOM(0)が交通渋滞している道路に面した位置に設定されたため、交通渋滞している道路を移動する。
一方、サービス車両Vが第1走行経路R1に沿って走行した場合には、ユーザMを乗車させるためには、サービス車両Vは、現在地から乗車位置PUM(1)に到着するまでに交通渋滞していない道路を移動する。ユーザMは、交通渋滞している道路を避けようと、現在地から一ブロック先の乗車位置PUM(1)に徒歩で移動する。また、ユーザMを降車させるためには、サービス車両Vは、降車位置DOM(1)が交通渋滞している道路の手前の位置に設定されたため、交通渋滞している道路を通過することなく移動して降車位置DOM(1)に到着する。ユーザMは、降車後、交通渋滞している道路に沿って徒歩で移動することで最終目的地に到着する。
このように、サービス車両Vが第1走行経路R1を走行すると、交通渋滞を避けて乗車位置PUM(1)に到着するため、ユーザMは、現在地で交通渋滞の道路を移動するサービス車両Vの到着を待つよりも早く乗車位置PUM(1)で乗車することができる。また、サービス車両Vは交通渋滞している道路の手前の降車位置DOM(1)に到着するため、ユーザMは、サービス車両Vが交通渋滞している道路を移動して希望降車位置DOM(0)に到着するよりも早く降車位置DOM(1)に到着する。ユーザMは、交通渋滞している道路に沿って徒歩で移動することで、結果的に希望降車位置DOM(0)で降車するよりも早く最終目的地に到着することができる。
再び、図1に戻り、コントローラ360が備える機能について説明する。
第2移動経路候補リストアップ機能について説明する。コントローラ360は、サービス車両Vが第1走行経路を走行している場面において、他のユーザからの希望条件を受信すると、他のユーザをサービス車両Vに相乗りさせるために、第2移動経路候補リストアップ機能による処理を実行する。コントローラ360は、第2移動経路候補リストアップ機能により、第1移動経路の代替となり得る複数の第2移動経路候補を選定する。
以降では説明の便宜上、第1走行経路を走行しているサービス車両Vに乗車中のユーザ、すなわち、サービス車両を先に利用しているユーザを第1ユーザとし、サービス車両を後から利用するユーザを第2ユーザとする。また、第1ユーザの第1走行経路における乗車位置を当初の第1乗車位置とし、第2走行経路における第1ユーザの降車位置を第1降車位置とし、第2ユーザの乗車位置を第2乗車位置とし、第2ユーザの降車位置を第2降車位置とする。なお、第1ユーザと第2ユーザの降車順は特に限定されず、どちらが先に降車してもよい。
まず、コントローラ360は、第2ユーザの希望乗車位置の周辺に複数の第2ユーザの乗車位置候補(第2乗車位置候補ともいう)を選定する。なお、設定方法については、上述した第1移動候補リストアップ機能と同様のため、その説明を援用する。また、コントローラ360は、第2ユーザの希望降車位置の周辺に複数の第2ユーザの降車位置候補(第2降車位置候補ともいう)を選定する。
次に、コントローラ360は、当初の第1降車位置の周辺に複数の第1ユーザの降車位置候補(第1降車位置候補ともいう)を選定する。設定方法については、上述した第1移動候補リストアップ機能と同様のため、その説明を援用する。
そして、コントローラ360は、第2乗車位置候補、第2降車位置候補、及び第1降車位置候補の組み合わせごとに、第2移動経路の候補(第2移動経路候補ともいう)を算出する。
第2移動経路候補は、第1ユーザと第2ユーザの降車順に応じて異なる移動経路を含む。第2ユーザが先に降車する場合、第2移動経路候補には、サービス車両Vの第1走行経路上の現在地から、第2乗車位置候補及び第2降車位置候補を経由して、第1降車位置候補までのサービス車両Vの走行経路候補(第2走行経路候補ともいう)と、第1降車位置候補から第1ユーザの最終目的地までの移動経路候補と、が含まれる。
反対に、第1ユーザが先に降車する場合、第2移動経路候補は、サービス車両Vの第1走行経路上の現在地から、第2乗車位置候補及び第1降車位置候補を経由して、第2降車位置候補までのサービス車両Vの走行経路候補と、第2降車位置候補から第2ユーザの最終目的地までの移動経路候補と、が含まれる。
例えば、コントローラ360は、走行経路候補及び移動経路候補をそれぞれ算出して、一の第2の移動経路候補とする。コントローラ360は、第2乗車位置候補、第2降車位置候補、及び第1降車位置候補の組み合わせの数だけ、上述した処理を繰り返し実行することで、複数の第2移動経路候補を選定する。
次に、第2移動経路特定機能について説明する。コントローラ360は、第2移動経路特定機能により、第2移動経路候補ごとに各ユーザの移動コストを算出する。移動コストについては、第1移動経路候補特定機能において説明した内容と同様であるため、その説明を援用する。
コントローラ360は、第2移動経路特定機能により、第2移動経路候補ごとに、上述した各コストを含む移動コストを算出する。すなわち、コントローラ360は、サービス車両Vが第2走行経路候補を走行した場合における、第1ユーザが最終目的地に到着するまでに要する移動コスト(第1移動コストともいう)と、第2ユーザが最終目的地に到着するまでに要する移動コスト(第2移動コストともいう)を算出する。
そして、コントローラ360は、第1移動コスト及び第2移動コストに基づいて、複数の第2移動経路候補の中から最適な第2移動経路を特定する。本実施形態では、コントローラ360は、第1移動コストの値が最小となる第2移動経路候補を、最適な第2移動経路として特定する。例えば、コントローラ360は、複数の第2移動経路候補について、第1移動コストの小さい順に並べ替えることで、第1移動コストが最小の第2移動経路候補を特定して第2移動経路とする。また、コントローラ360は、移動コストが所定の値よりも小さい範囲にある複数の第2移動経路候補を選定することができる。なお、第2移動経路の特定するにあたっての判断基準は、第1移動コストの値が最小となることに限られず、コントローラ360は、第2移動コストの値が最小となる第2移動経路候補を、最適な第2移動経路として特定してもよい。また、第1移動コスト及び第2移動コストを合算値が最小となる第2移動経路候補を、最適な第2移動経路としてもよい。
次に、第2走行経路決定機能について説明する。コントローラ360は、第2移動経路特定機能により特定された第2移動経路から、サービス車両Vの走行経路である第2走行経路を決定する。コントローラ360は、第2移動経路の中から、ユーザの徒歩等の移動手段による移動経路を除いた、サービス車両Vの走行経路を抽出する。
また、コントローラ360は、サービス車両Vの第2走行経路を決定するとともに、決定した第2走行経路に含まれている、第2乗車位置及び第2降車位置と、第1降車位置を抽出して、各ユーザの乗車位置及び降車位置を特定する。さらに、コントローラ360は、サービス車両Vの第2乗車位置への到着予定時刻と、サービス車両Vの第2降車位置への到着予定時刻と、サービス車両Vの第1降車位置への到着予定時刻と、をサービス車両Vの各地点への到着予定時刻として特定する。また、コントローラ360は、第2ユーザの第2乗車位置への到着予定時刻と、第2ユーザの最終目的地への到着予定時刻と、を第2ユーザの各地点への到着予定時刻として特定する。また、コントローラ360は、第1ユーザの最終目的地への到着予定時刻を特定する。
次に、第2走行経路通知機能について説明する。コントローラ360は、第2走行経路通知機能により、第2走行経路に関する情報を、車載装置100及び各ユーザが所有する端末装置200に送信する。第2走行経路に関する情報には、第2乗車位置、第2降車位置、及び第1降車位置の位置情報と、第2乗車位置までの移動経路及び第2ユーザの最終目的地までの移動経路の案内情報と、第2ユーザの各地点への到着予定時刻と、第1ユーザの最終目的地までの移動経路の案内情報と、第1ユーザの最終目的地への到着予定時刻と、第2走行経路の案内情報と、サービス車両Vの各地点への到着予定時刻、これらの情報に対して各ユーザに承諾の有無を促す情報が含まれている。
第2ユーザは、希望条件に対するモビリティサービスセンター300から回答として、第2走行経路に関する情報を確認し、承諾するか否かを判断する。また、第1ユーザは、走行中のサービス車両Vの車内において、第2走行経路に関する情報を確認し、承諾するか否かを判断する。そして、両ユーザが承諾した場合、コントローラ360は、第2走行経路に関する情報を、車載装置100に送信する。サービス車両Vの運転するもの(運転者又は走行制御装置)は、第2乗車位置の位置と第2乗車位置への到着予定時刻を確認して、サービス車両Vを第2乗車位置まで走行させる。これにより、利用中のサービス車両Vに相乗りすることができる。
図4、5を参照しながら、第2走行経路決定機能により決定された第2走行経路の具体的な例について説明する。図4は、第2走行経路の一の例を説明するための図であり、図5は、第2走行経路の他の例を説明するための図である。
図4は、ユーザNがサービス車両Vを利用しようと、端末装置200に希望条件を入力した場面において、モビリティサービスセンター300のコントローラ360がサービス車両Vの最適な走行経路として第2走行経路R2を特定した場面を示している。ユーザMは、サービス車両Vを先に利用する第1ユーザであり、第1乗車位置PUM(1)で乗車している。また、第1走行経路R1は、コントローラ360の第1走行経路決定機能により、ユーザMの希望条件に基づいて決定された最適な走行経路を示している。サービス車両Vは、第1降車位置DOM(1)でユーザMを降車させるために、第1走行経路R1に沿って移動している。ユーザNは、サービス車両Vを後から利用する第2ユーザであり、希望条件として、現在地である希望乗車位置PUN(0)、最終目的地である希望降車位置DON(0)を端末装置200に入力したものとする。なお、ユーザNの希望降車位置DON(0)は、車幅の狭い道路(例えば、細街路)上の位置とする。また、図4の例において、後からサービス車両Vを利用するユーザNは、乗車中のユーザMよりも先に降車する。
図4の例では、コントローラ360は、ユーザNの希望条件を受信すると、まず、ユーザNの希望乗車位置PUN(0)の周辺の範囲に複数の第2乗車位置候補PUN(i)、ユーザNの希望降車位置DON(0)の周辺に複数の第2降車位置候補DON(j)、ユーザMの第1降車位置DOM(1)の周辺の範囲に複数の第1降車位置候補DOM(k)、を設定する。i、j、kは整数である。コントローラ360は、第2乗車位置候補PUM(i)、第2降車位置候補DOM(i)、及び第1降車位置候補DOM(k)の組み合わせごとに、第2移動経路を算出するとともに、第2移動経路ごとに第1移動コスト及び第2移動コストを算出する。
そして、コントローラ360は、第1移動コストが最小となる第2移動経路を特定し、特定した第2移動経路に基づいて、図4に示す第2走行経路R2を設定する。また、コントローラ360は、ユーザNの乗車位置として第2乗車位置PUN(2)と、ユーザNの降車位置として第2降車位置DON(2)を設定する。コントローラ360は、第2走行経路R2に関する情報を、ユーザNが所有する端末装置200に送信するとともに、ユーザMが所有する端末装置200に送信する。なお、説明の便宜上、iとjはともに「2」とする。また、図4の例では、コントローラ360は、ユーザMの第1降車位置DOM(2)は、第1降車位置DOM(1)と同じ位置に設定したものとする。
図4の例において、サービス車両Vが第2走行経路R2を走行することによる効果について説明する。仮に、ユーザMよりもユーザNの希望条件を優先させてユーザNを希望乗車位置PUN(0)で乗車させようとすると、サービス車両Vは、第1走行経路R1を反れた走行経路を移動する。この場合、第1走行経路R1を走行した時も遠回りをするため、サービス車両Vの第1降車位置DOM(1)への到着時刻には、遅延が発生する。また、仮に、ユーザNを希望降車位置DON(0)で降車させようとすると、サービス車両Vは、車幅の狭い道路を移動するため、速度を落とす必要があり、第1降車位置DOM(1)への到着時刻には、遅延が発生する。このため、サービス車両VにユーザNを相乗りさせる場合には、第1降車位置DOM(1)への到着時刻の遅延は、ユーザMの許容遅延時間を超えてしまい、サービス車両Vを先に利用しているユーザMの不満を抑制できない。
一方、サービス車両Vが第2走行経路R2に沿って走行した場合には、ユーザNを乗車させるためには、サービス車両Vは、現在地から第1走行経路R1を反れることなく移動する。ユーザNは、サービス車両Vが移動している間に、第1走行経路R1上の位置に設定された第2乗車位置PUN(2)へ移動する。また、ユーザNを降車させるためには、サービス車両Vは、車幅の狭い道路を走行することなく移動する。ユーザMは、降車後、車幅の狭い道路を徒歩で移動することで、ユーザNが相乗りする前まではサービス車両Vが到着する予定だった第1降車位置DOM(1)に到着する。
このように、サービス車両Vが第2走行経路R2を走行すると、第1走行経路R1上に設定された位置でユーザNを乗車させるため、また、サービス車両Vは、車幅の道路を走行することなく移動するため、ユーザNが相乗りする場合であっても、第1降車位置DOM(1)への到着時刻の遅延をユーザMの許容遅延時間以内に抑えることができ、サービス車両Vを先に利用しているユーザMの不満を抑制できる。
図5は、図4の例と同様に、モビリティサービスセンター300のコントローラ360がサービス車両Vの最適な走行経路として第2走行経路R2を特定した場面を示している。図5では、先にサービス車両Vを利用し乗車中のユーザMは、後からサービス車両Vを利用するユーザNよりも先に降車する。また、図5の例では、第1走行経路R1の終点から、ユーザNの希望乗車位置DON(0)へ向かう道路の途中では交通渋滞が発生している。
図5の例において、第2走行経路R2、第2乗車位置PUN(2)、第2降車位置DON(2)の設定方法は、図4の例での設定方法と同様であるため、その説明を援用する。また、図5では、第1降車位置DOM(1)はユーザMの降車位置であって、第1走行経路R1の終点である。また、第1降車位置DOM(2)はユーザMの降車位置であって、第2走行経路R2上の位置である。なお、コントローラ360は、第2走行経路R2、第2乗車位置PUN(2)、第2降車位置DON(2)、及び第1降車位置DOM(2)を設定する過程において、道路交通情報データベース340にアクセスして、図5に示す道路での交通渋滞を把握している。
図5の例において、サービス車両Vが第2走行経路R2を走行することによる効果について説明する。仮に、ユーザNよりもユーザMの希望条件を優先させてユーザMを第1降車位置DOM(1)で降車させてから、希望降車位置DON(0)へ移動しようとすると、サービス車両Vは、第1走行経路R1に沿って移動した後に、交通渋滞が発生している道路を移動する。この場合、希望降車位置PUN(0)への到着時刻には、遅延が発生する。このため、サービス車両VにユーザNを相乗りさせる場合には、希望降車位置DON(0)への到着時刻の遅延は、ユーザNの許容時間を超えてしまい、サービス車両を後から利用するユーザNの不満を抑制できない。
一方、サービス車両Vが第2走行経路R2に沿って走行した場合には、ユーザMを降車させるために、ユーザMを第1走行経路R1において第1降車位置DOM(1)よりも手前の交差点付近で降車させる。ユーザMは、第1走行経路R1に沿って徒歩で移動することで希望降車位置DOM(0)に徒歩で移動することで最終目的地に到着する。また、サービス車両Vは、ユーザMを降車させた後に、第1走行経路R1とは異なる走行経路を走行して、交通渋滞が発生している道路を通過することなく、ユーザNの希望降車位置DON(0)まで移動する。
このように、サービス車両Vが第2走行経路R2を走行すると、交通渋滞の道路を避けてユーザNの希望降車位置DON(0)へ移動するため、希望降車位置DON(0)への到着時刻の遅れをユーザNの許容遅延時間以内に抑えることができ、サービス車両を後から利用するユーザNの不満を抑制することができる。また、ユーザMは、ユーザNが相乗りする前までの降車位置であった第1降車位置DOM(1)の周辺で降車するため、徒歩移動の時間がかかったとしても、ユーザMの許容遅延時間以内に最終目的地に到着することができる。
次に、図6A~図6Cを参照しながら、ユーザの希望条件を受信してからサービス車両の走行経路を決定するまでの動作について説明する。図6A~図6Cに示すフローチャートの処理は、モビリティサービスセンター300に搭載されたサーバ310によりそれぞれ実行される。
まず、ステップS101では、サーバ310は、ユーザNの希望条件を受け付ける。具体的には、サーバ310が備える通信装置320は、ユーザNが端末装置200を介して入力した希望条件を受信して、コントローラ360に出力する。そして、サーバ310は、ユーザNの希望条件に沿った最適なサービス車両(例えば、ユーザNの現在地付近を走行中のサービス車両Vなど)を特定し、ユーザNに当該サービス車両を割り当てる。
ステップS102では、サーバ310は、ステップS101にてユーザNに割当られたサービス車両の状況を確認する。例えば、サーバ310は、サービス車両Vから送信されるプローブ情報をもとに、サービス車両Vの状況を確認する。具体的には、サーバ310は、他のユーザMの希望条件に沿った走行経路(第1走行経路)を走行しているか否かを判定する。言い換えると、サーバ310は、サービス車両Vが利用されているか否かを判定する。サービス車両Vが第1走行経路を走行していない場合、すなわち、サービス車両Vが他のユーザMに利用されていない場合には、ステップS103に進む。反対に、サービス車両Vが第1走行経路を走行している場合、すなわち、サービス車両Vが他のユーザMに利用されている場合には、図6Bに示すステップS201に進む。
ステップS103では、サーバ310は、ユーザNの希望乗車位置PUN(0)の周辺に複数の乗車位置候補PUN(i)を選定する。例えば、サーバ310は、道路地図情報データベース330又は施設地図情報データベース350にアクセスして、希望乗車位置PUN(0)の周辺のノードや、希望乗車位置PUN(0)の周辺のPOIに対して、乗車位置候補を設定する。なお、iは整数であり、乗車位置候補の数に応じて変わる。
ステップS104では、サーバ310は、ユーザNの希望降車位置DON(0)の周辺に複数の降車位置候補DON(j)を選定する。サーバ310は、ステップS103で選定した方法と同様の方法を用いる。ステップS103及びステップS104における周辺の範囲としては、例えば、ユーザNが希望乗車位置PUN(0)又は希望降車位置DON(0)から許容遅延時間内に徒歩で移動可能な範囲が挙げられる。なお、jは整数であり、降車位置候補の数に応じて変わる。
ステップS105では、サーバ310は、乗車位置候補PUN(i)及び降車位置候補DON(j)の組み合わせごとに、第1移動経路候補を算出する。第1移動経路候補には、サービス車両Vの現在地から乗車位置候補PUN(i)を経由して降車位置候補DON(j)までのサービス車両Vの第1走行経路候補と、ユーザNの現在地(希望乗車位置PUN(0))から乗車位置候補PUN(i)までの移動経路候補と、降車位置候補DON(j)からユーザNの最終目的地(希望降車位置DON(0))までの移動経路候補と、が含まれる。
ステップS106では、サーバ310は、ステップS105で算出した第1移動経路候補ごとに、ユーザNの移動コストを算出する。移動コストには、アクセスコスト(AC)、待ち時間コスト(WC)、乗車時間コスト(TC)、イグレスコスト(EC)、料金(FARE)、嗜好コスト(FC)が含まれる。
ステップS107では、サーバ310は、ステップS106で算出した移動コストについて整理する。具体的には、サーバ310は、移動コストの値が小さい順に第1移動経路候補を並び替えることで、乗車位置候補PUN(i)及び降車位置候補DON(j)の組み合わせを移動コストの値が小さい順に並べ替える。これにより、サーバ310は、移動コストの値が最小の乗車位置候補PUN(i)及び降車位置候補DON(j)の組み合わせを選定する。
ステップS108では、サーバ310は、ステップS107又はステップS114で選定された、乗車位置候補PUN(i)及び降車位置候補DON(j)の組み合わせが、ステップS101で受信した希望乗車位置PUN(0)及び希望降車位置DON(0)と一致しているか否かを判定する。一致している場合には、ステップS109へ進み、不一致の場合には、ステップS112へ進む。
ステップS109では、サーバ310は、ユーザNの乗車位置及び降車位置、サービス車両Vの第1走行経路を決定する。具体的には、サーバ310は、第1移動経路候補に希望乗車位置PUN(0)及び希望降車位置DON(0)が含まれている場合には、希望乗車位置PUN(0)及び希望降車位置DON(0)を、乗車位置及び降車位置とし、サービス車両Vの現在地から希望乗車位置PUN(0)を経由して希望降車位置DON(0)に至る走行経路を第1走行経路とする。また、サーバ310は、第1移動経路候補にユーザNが承諾した乗車位置候補PUN(i)及び降車位置候補DON(j)が含まれている場合には、乗車位置候補PUN(i)及び降車位置候補DON(j)をユーザNの乗車位置及び降車位置とし、サービス車両Vの現在地から乗車位置候補PUN(i)を経由して降車位置候補DON(j)に至る走行経路を第1走行経路とする。
ステップS110では、サーバ310は、ステップS109で決定したユーザNの乗車位置及び降車位置をユーザNに通知する。ステップS111では、サーバ310は、ステップS109で決定した第1走行経路をサービス車両Vに通知し、処理を終了する。
ステップS108にて、乗車位置候補PUN(i)及び降車位置候補DON(j)の組み合わせが、ステップS101で受信した希望乗車位置PUN(0)及び希望降車位置DON(0)と一致していない場合、ステップS112へ進む。
ステップS112では、サーバ310は、ステップS107で選定された移動コストが最小の乗車位置候補PUN(i)及び降車位置候補DON(j)の組み合わせ、又はステップS112で選定された移動コストが次に小さい乗車位置候補PUN(i)及び降車位置候補DON(j)の組み合わせを、ユーザNに提示する。具体的には、サーバ310は、第1走行経路に関する情報をユーザNが所持する端末装置200に送信する。第1走行経路に関する情報には、乗車位置及び降車位置の位置情報と、ユーザの乗車位置までの移動経路及び降車位置から最終目的地までの移動経路の案内情報と、ユーザの各地点への到着予定時刻と、第1走行経路の案内情報と、サービス車両Vの各地点への到着予定時刻と、これらの情報に対してユーザに承諾の有無を促す情報と、が含まれている。
ステップS113では、サーバ310は、ステップS112にて送信した第1走行経路に関する情報に対してユーザNが承諾したか否かを判定する。ユーザNが承諾したと判定した場合には、ステップS109へ進み、ユーザNが承諾していないと判定した場合には、ステップS114へ進む。
ステップS114では、サーバ310は、ステップS110にてユーザNに提示した乗車位置候補PUN(i)及び降車位置候補DON(j)の組み合わせの次に移動コストが低い乗車位置候補PUN(i)及び降車位置候補DON(j)の組み合わせを選定する。そして、選定が終了すると、ステップS108へ戻る。
次に、図6Bを参照しながら、第1ユーザ及び第2ユーザが存在する場合の動作について説明する。
図6AのステップS101にてサービス車両Vが他のユーザMに利用されている場合に、ステップS201へ進む。ユーザMは先にサービス車両Vを利用する第1ユーザであり、ユーザNはサービス車両Vを後からサービス車両Vを利用する第2ユーザである。
ステップS201では、サーバ310は、ユーザNの第2希望乗車位置PUN(0)の周辺に複数の第2乗車位置候補PUN(i)を選定する。ステップS202では、サーバ310は、ユーザNの第2希望降車位置DON(0)の周辺に複数の第2降車位置候補DON(j)を選定する。ステップS201及びステップS202は、図6AのステップS103及びステップS104に対応する。なお、i、jは整数であり、乗車位置候補及び降車位置候補の数に応じてそれぞれ変わる。
ステップS203では、サーバ310は、ユーザMの第1降車位置DON(1)の周辺に複数の第1降車位置候補DOM(k)を選定する。なお、kは整数であり、降車位置候補の数に応じて変わる。
ステップS204では、サーバ310は、第2乗車位置候補PUN(i)、第2降車位置候補DON(j)、及び第1降車位置候補DOM(k)の組み合わせごとに、第2移動経路候補を算出する。サーバ310は、第2降車位置候補DON(j)及び第1降車位置候補DOM(k)の位置関係から、ユーザN及びユーザMのどちらが先に降車するかを判定することができる。
第2ユーザが先に降車する場合、第2移動経路候補には、サービス車両Vの第1走行経路上の現在地から、第2乗車位置候補及び第2降車位置候補を経由して、第1降車位置候補までのサービス車両Vの第2走行経路候補と、第1降車位置候補から第1ユーザの最終目的地までの移動経路候補と、が含まれる。
第1ユーザが先に降車する場合、第2移動経路候補は、サービス車両Vの第1走行経路上の現在地から、第2乗車位置候補及び第1降車位置候補を経由して、第2降車位置候補までのサービス車両Vの走行経路候補と、第2降車位置候補から第2ユーザの最終目的地までの移動経路候補と、が含まれる。
ステップS205では、サーバ310は、ステップS204で算出した第2移動経路候補ごとに、ユーザNの移動コスト(第2移動コスト)及びユーザM(第1移動コスト)の移動コストを算出する。
ステップS206では、サーバ310は、ステップS205で算出したユーザMの移動コストが最小となる、ユーザMの第1降車位置候補DOM(k)を選定する。なお、図6B、図6Cに示す処理では、後からサービス車両Vを利用するユーザよりも先にサービス車両Vを利用しているユーザの希望条件を優先させているが、どちらのユーザを優先させるかは特に限定されず、後からサービス車両Vを利用するユーザの希望条件を優先させてもよい。
ステップS207では、サーバ310は、ステップS206で選定した第1降車位置候補DOM(k)又はステップS211で選定した第1降車位置候補DOM(k)がユーザMの当初の第1降車位置と一致しているか否かを判定する。当初の第1降車位置とは、ユーザNの希望条件を受け付ける前にユーザMが降車する予定であった位置である。一致している場合には、ステップS210へ進み、不一致の場合には、ステップS208へ進む。
ステップS208では、サーバ310は、ステップS206で選定された第1降車位置候補DOM(k)をユーザMに提示する。具体的には、サーバ310は、サービス車両Vに乗車中のユーザMが所持する端末装置200、又は車載装置100に当初の第1降車位置と異なる第1降車位置候補DOM(k)を送信する。
ステップS209では、サーバ310は、ステップS208にて送信した第1降車位置候補DOM(k)に対してユーザMが承諾したか否かを判定する。ユーザMが承諾したと判定した場合には、ステップS210へ進み、ユーザMが承諾していないと判定した場合には、ステップS211へ進む。
ステップS210では、サーバ310は、ステップS205で算出したユーザNの移動コストが最小となる、第2乗車位置候補PUN(i)、第2降車位置候補DON(j)、及び第1降車位置候補DOM(k)の組み合わせを選定する。なお、第1降車位置候補DOM(k)は、既に確定した位置であり、当初の第1降車位置又はユーザMが承諾した位置である。ステップS210が終了すると、図6CのステップS212へ進む。
ステップS209にて、ユーザMが承諾していないと判定すると、ステップS211へ進む。ステップS211では、サーバ310は、ステップS208にてユーザMに提示した第1降車位置候補DOM(k)の次にユーザMの移動コストが小さい第1降車位置候補DOM(k)を選定して、ステップS207へ戻る。
次に、図6Cを参照してステップS211以降について説明する。ステップS212では、サーバ310は、ステップS211で選定された、第2乗車位置候補PUN(i)及び第2降車位置候補DON(j)の組み合わせが、ステップS101で受信したユーザNの希望乗車位置PUN(0)及び希望降車位置DON(0)と一致しているか否かを判定する。一致している場合には、ステップS213へ進み、不一致の場合には、ステップS216へ進む。
ステップS213では、サーバ310は、ユーザNの第2乗車位置及び第2降車位置、ユーザMの第1降車位置、サービス車両Vの第2走行経路を決定する。具体的には、サーバ310は、第2走行経路候補に希望乗車位置PUN(0)及び希望降車位置DON(0)が含まれている場合、希望乗車位置PUN(0)及び希望降車位置DON(0)をユーザNの第2乗車位置及び第2降車位置とする。また、サーバ310は、第2走行経路候補に当初の第1降車位置が含まれている場合、当初の第1降車位置をユーザMの第1降車位置とする。サーバ310は、第2走行経路候補にユーザNが承諾した第2乗車位置候補PUN(i)及び第2降車位置候補DON(j)が含まれている場合、第2乗車位置候補PUN(i)及び第2降車位置候補DON(j)をユーザNの第2乗車位置及び第2降車位置とする。サーバ310は、第2走行経路候補にユーザMが承諾した第1降車位置候補DOM(k)が含まれている場合、第1降車位置候補DOM(k)をユーザMの第1降車位置とする。
また、サーバ310は、ユーザNが先にユーザMよりも降車する場合、サービス車両Vの現在地から第2乗車位置及び第2降車位置を経由して第1降車位置に至る走行経路を第2走行経路とする。また、サーバ310は、ユーザMが先にユーザNよりも降車する場合、サービス車両Vの現在地から第2乗車位置及び第1降車位置を経由して第2降車位置に至る走行経路を第2走行経路とする。
ステップS214では、ステップS213で決定した第2乗車位置、第2降車位置、及び第1降車位置をユーザN、Mに通知する。ステップS215では、サーバ310は、ステップS213で決定した第2走行経路をサービス車両Vに通知し、処理を終了する。
ステップS212にて、第2乗車位置候補PUN(i)及び第2降車位置候補DON(j)の組み合わせが、の希望乗車位置PUN(0)及び希望降車位置DON(0)と一致していない場合、ステップS216へ進む。
ステップS216では、サーバ310は、ステップS210で選定された、移動コストが最小の第2乗車位置候補PUN(i)及び第2降車位置候補DON(j)の組み合わせ、又はステップS218で選定された、移動コストが次に小さい第2乗車位置候補PUN(i)及び第2降車位置候補DON(j)の組み合わせを、ユーザNに提示する。具体的には、サーバ310は、第2走行経路に関する情報をユーザNが所持する端末装置200に送信する。第2走行経路に関する情報には、第2乗車位置及び第2降車位置の位置情報と、ユーザNの第2乗車位置までの移動経路及び第2降車位置から最終目的地までの移動経路の案内情報と、ユーザNの各地点への到着予定時刻と、第2走行経路の案内情報と、サービス車両Vの各地点への到着予定時刻と、これらの情報に対してユーザに承諾の有無を促す情報と、が含まれている。
ステップS217では、サーバ310は、ステップS216にて送信した第2走行経路に関する情報に対してユーザNが承諾したか否かを判定する。ユーザNが承諾したと判定した場合には、ステップS213へ進み、ユーザNが承諾していないと判定した場合には、ステップS218へ進む。
ステップS218では、サーバ310は、ステップS216にてユーザNに提示した第2乗車位置候補PUN(i)及び第2降車位置候補DON(j)の組み合わせの次にユーザNの移動コストが低い第2乗車位置候補PUN(i)及び第2降車位置候補DON(j)の組み合わせを選定する。そして、選定が終了すると、ステップS212へ戻る。
以上のように、本実施形態では、コントローラ360は、ユーザの希望条件に含まれる希望乗車位置及び希望降車位置に基づいて、希望乗車位置の周辺に複数の乗車位置候補と、希望降車位置の周辺に複数の降車位置候補を設定し、ユーザの現在地、サービス車両Vの現在地、複数の乗車位置候補、複数の降車位置候補に基づく複数の移動経路候補を算出し、移動経路候補ごとに移動コストを算出する。そして、コントローラ360は、移動コストが最小となる移動経路候補を特定するとともに、ユーザに対する最適な乗車位置及び降車位置と、サービス車両Vの走行経路を決定する。このような走行経路の決定方法を基本構成とするものである。
また、複数のユーザがサービス車両Vに相乗りする場合には、コントローラ360は、第1ユーザの希望条件に基づいてサービス車両Vの第1走行経路R1を算出し、第1ユーザが乗車した状態でサービス車両Vが第1走行経路R1を走行している間に、第2ユーザからの希望条件を受け付けると、第2ユーザの希望条件及び第1走行経路R1に基づいて、複数の第2乗車位置候補及び複数の第2降車位置候補を選定する。そして、コントローラ360は、第2乗車位置候補及び第2降車位置ごとに、第2乗車位置候補及び第2降車位置を含む複数の第2走行経路候補を選定する。コントローラ360は、サービス車両Vが第2走行経路候補を走行した場合における、第1ユーザが最終目的地に到着するまでに要する第1移動コスト及び第2ユーザが最終目的地に到着するまでに要する第2移動コストを算出する。コントローラ360は、第1移動コスト及び第2移動コストに基づいて、第2走行経路R2を決定する。これにより、サービス車両Vにユーザを相乗りさせる場合でも、第1ユーザの利便性だけでなく第2ユーザの利便性が考慮されたサービス車両Vの走行経路が決定されるため、第1ユーザに満足させつつ、第2ユーザへの不満を抑制することができ、サービス車両Vに相乗りするユーザの全体的な満足度を向上させることができる。
また、本実施形態において、コントローラ360は、ユーザの最終目的地までの到着予定時刻及び最終目的に到着するまでにかかる料金を含めて、移動コストとして算出する。これにより、ユーザが希望する到着時刻に到着可能な走行経路や、ユーザが希望する料金以内で移動することが可能な走行経路を、ユーザに提示することができ、ユーザの満足度を向上させることができる。
さらに、本実施形態において、コントローラ360は、ユーザへの身体的な負荷やユーザの嗜好を含めて、移動コストとして算出する。これにより、ユーザの現在の状態(体調、年齢等の身体的な状態だけでなく精神的な状態を含む)に応じた走行経路を、ユーザに提示することができ、ユーザの満足度を向上させることができる。
また、本実施形態では、コントローラ360は、ユーザが現在地から乗車位置まで徒歩移動するのに要する時間、ユーザの乗車位置での待ち時間、ユーザが乗車してから降車するまでのサービス車両Vの移動時間、ユーザが降車位置から最終目的地まで徒歩移動するのに要する時間を含めて、移動コストとして算出する。これにより、最も早く最終目的地に到着することが可能な走行経路を、ユーザに提示することができ、ユーザの満足度を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、コントローラ360は、第1ユーザ及び第2ユーザがサービス車両Vを利用する場合、先に利用している第1ユーザの移動コストが最小となるようにしたうえで、後から利用する第2ユーザの移動コストが最小となるように、サービス車両Vの走行経路を決定する。第1ユーザの希望条件を優先したうえで、第2ユーザに対する最適な走行経路が決定されるため、第1ユーザに対しては不満を抑制し、第2ユーザに対しては満足感を与えることができ、その結果、いずれのユーザの満足度を向上させることができる。
また、本実施形態では、コントローラ360は、第1移動コスト及び第2移動コストに基づいて、複数の走行経路候補を算出し、算出した複数の走行経路候補を、第1ユーザ及び第2ユーザに提示する。そして、第1ユーザ及び第2ユーザの両者から了承を得た場合に、走行経路を決定する。これにより、ユーザが現在の状態に応じて承諾した走行経路が決定されるため、ユーザの満足度を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、コントローラ360は、第1移動コスト及び第2移動コストに基づいて、第1ユーザの降車位置、第2ユーザの乗車位置及び降車位置を決定する。第2移動コストには、第2ユーザが希望乗車位置から乗車位置に移動するまでにかかる時間及び負荷、第2ユーザが乗車位置でサービス車両Vを待つ際にかかる時間及び負荷、第2ユーザが降車位置から最終目的地まで移動するのにかかる時間及び負荷が含まれている。これにより、サービス車両Vに相乗りすることが分かった第2ユーザに満足感を与えることが可能な乗車位置、降車位置、及び走行経路を提示することができる。
さらに、本実施形態では、コントローラ360は、第1ユーザが第2ユーザよりも先に降車する場合、第1移動コストに含まれる第1ユーザが当初の第1降車位置から最終目的地に移動するまでにかかる時間及び負荷に基づいて、第1ユーザの降車位置、第2ユーザの乗車位置及び降車位置を決定する。これにより、サービス車両Vに相乗りすることが分かった第1ユーザに満足感を与えることが可能な乗車位置、降車位置、及び走行経路を提示することができる。
≪第2実施形態≫
次に、実際の道路状況を考慮して降車位置及び走行経路を決定する方法について説明する。本実施形態では、コントローラ360は、図1に示す道路地図情報データベース330及び道路交通情報データベース340に含まれている、歩道の位置、交差点の形状、中央分離帯の情報、交通量、横断歩道の設置位置、及び信号機の切り替えタイミングに基づいて、移動コストのうちユーザが歩道を移動するのにかかる時間及び負荷が占める割合を上げて、降車位置及び走行経路を決定する。
図7、8を参照しながら、本実施形態における降車位置及び走行経路の決定方法について説明する。図7は、比較例に係るコントローラが設定した降車位置及び走行経路を説明するための図であり、図8は、本実施形態に係るコントローラが設定した降車位置及び走行経路を説明するための図である。
図7では、最終目的地Pfはユーザが最終的に到着したい位置を示し、A1及びA2は、信号機が設置された横断歩道を示している。降車位置DO’は、比較例に係るコントローラが設定した降車位置を示し、走行経路R’は比較例に係る降車位置を示している。なお、比較例に係るコントローラと、本実施形態に係るコントローラは、移動コストのうちユーザの徒歩移動に関するコストが占める割合が異なる点以外は、同様の機能を有している。
図7の例では、比較例に係るコントローラは、サービス車両Vを最終目的地Pf到着させるために、横断歩道A1にてUターンを要する走行経路R’を設定したとする。この場合、サービス車両Vが横断歩道A1にてUターンするためには、対向車線を走行している車両がいないことが条件となる。そのため、ユーザは、最終目的地Pfで降車すればよいだけにもかかわらず、交通状況によっては、横断歩道A1にて待たされ、結果的に最終目的地Pfへの到着時刻が許容遅延時間を超えている恐れがある。
また、図7の例では、比較例に係るコントローラは、交差点を左折した後に、最終目的地Pfから直線距離では最短距離に位置する降車位置DO’をユーザの降車位置に設定したとする。この場合、降車位置DO’で降車したユーザは、最終目的地Pfが反対車線に見えているにもかかわらず、中央分離帯があるため横断できず、反対車線へ渡るために横断歩道A1又はA2まで歩く必要がある。そのため、許容遅延時間内に降車位置DO’に到着したにもかかわらず、ユーザが降車してから最終目的地Pfに到着するまでには、横断歩道A1又はA2まで歩く時間や、信号機の信号の切り替わりを待つための時間がかかり、結果的に最終目的地Pfへの到着時刻が許容遅延時間を超えている恐れがある。
次に、本実施形態に係るコントローラが設定した降車位置及び走行経路について説明する。図8の例では、本実施形態に係るコントローラは、サービス車両Vを横断歩道A2付近の降車位置DOまでの走行経路Rを設定したとする。なお、走行経路Rは、上述した第1実施形態における、第1走行経路R1及び第2走行経路R2のどちらの走行経路であってもよい。
本実施形態におけるコントローラ360は、交差点の形状、中央分離帯の情報、道路における交通量、横断歩道の設置位置、及び信号機の切り替えタイミングを比較例に係るコントローラよりもより考慮して、降車位置DOを設定する。図8の例では、ユーザは、降車位置DOで降車した後、横断歩道A2にすぐに移動した後、横断歩道A2を渡って降車位置DOと反対車線に位置する位置Pへ移動する。そして、ユーザは、そこから徒歩移動で最終目的地Pfへ移動する。そのため、ユーザが横断歩道A2まで移動するのに要する時間を短縮するとともに、ユーザへの徒歩移動による負荷を軽減できる。また、横断歩道A2の信号機の信号が切り替われば、すぐに反対車線に渡って、最終目的地Pfに到着することができる。
以上のように、本実施形態では、コントローラ360は、歩道の位置、交差点の形状、中央分離帯の情報、交通量、横断歩道の設置位置、及び信号機の切り替えタイミングに基づいて、移動コストのうちユーザが歩道を移動するのにかかる時間及び負荷が占める割合を上げて、降車位置及び走行経路を決定する。これにより、ユーザが徒歩移動に要する時間や、ユーザが信号機の信号の切り替わりを待つ時間がより短縮することができ、また、徒歩移動にかかるユーザへの負荷、信号機の信号の切り替わりを待つ際にかかるユーザへの負荷をより軽減することができる。
なお、本実施形態では、降車位置の設定を例に挙げて説明したが、乗車位置を設定する際に適用してもよい。
≪第3実施形態≫
次に、歩道に関する情報に基づいて乗車位置を決定する方法について説明する。本実施形態では、コントローラ360は、図1に示す道路地図情報データベース330に含まれている、歩道に関する情報に基づいて、移動コストのうちユーザが乗車位置でサービス車両Vを待つ際にかかる負荷が占める割合を上げて、乗車位置を決定する。
図9を参照しながら、本実施形態における乗車位置の決定方法について説明する。図9は、本実施形態に係るコントローラが設定した乗車位置を説明するための図である。
図9では、現在地PU(0)はユーザの現在地を示し、乗車位置PU(1)は、本実施形態に係るコントローラが設定したユーザの乗車位置を示し、希望降車位置DO(0)はユーザが希望する降車位置を示す。また、図9の例では、天気は雨とする。
本実施形態では、コントローラ360は、道路地図情報データベース330にアクセスして歩道に関する情報を取得し、歩道に関する情報に基づいて乗車位置を設定する。歩道に関する情報には、歩道の位置、歩道の幅、歩道の傾斜角度、歩道に面した建物の形状、歩道に面した建物に設置されたエスカレータの位置及びエレベータの位置、歩道に面した建物の出入り口の場所が含まれる。
図9の例では、コントローラ360は、ユーザからの希望条件に基づいてユーザの現在地PU(0)を把握すると、道路地図情報データベース330から歩道に関する情報を取得する。そして、コントローラ360は、取得した情報から、ユーザの現在地PU(0)付近の建物Bには屋根がある車寄せがある情報を取得すると、建物B1の車寄せの位置に乗車位置PU(1)を設定する。コントローラ360から提案された乗車位置PU(1)にユーザが承諾すると、ユーザは雨に濡れずに建物Bの車寄せでサービス車両を待つため、現在地PU(0)で雨の中を待つよりも、ユーザにかかる身体的な負荷を軽減することができる。
以上のように、本実施形態では、コントローラ360は、歩道に関する情報に基づいて、乗車位置を決定する。これにより、図9の例のように、天気が雨の場合には、ユーザが雨の中でサービス車両を待つことを防ぐことができる。また、日差しが強い天気の場合には、アーケードに乗車位置を設定することで、ユーザが直射日光を浴びながらサービス車両を待つことを防ぐことができる。また、天気情報や地図情報から空気汚染が発生する時間帯や場所において、建物の中に乗車位置を設定することで、ユーザが汚染された環境のもとでサービス車両を待つことを防ぐことができる。
このように、本実施形態では、歩道に関する詳細な情報を考慮して乗車位置を設定するため、天気状況に応じてユーザの負荷を適切に軽減することが可能な乗車位置を設定することができる。
なお、本実施形態では、天気状況を考慮した例を挙げて説明したが、これに限られず、歩道の傾斜角度や歩道の幅の広さを考慮して、歩道の傾斜角度が小さい位置や歩道の幅が広い位置に乗車位置を設定することで、ユーザがサービス車両Vを待つ際にかかるユーザへの負荷を軽減させることができる。また、建物に設けられたエスカレータやエレベータの位置を考慮して、エスカレータ及びエレベータの位置付近に乗車位置を設定することで、ユーザが建物内で待ちやすくさせることができ、その結果、外で待つよりもユーザにかかる負荷を軽減させることができる。
なお、本実施形態では、乗車位置の設定を例に挙げて説明したが、降車位置を設定する際に適用してもよい。
≪第4実施形態≫
次に、施設内の位置を考慮して降車位置を決定する方法について説明する。本実施形態では、コントローラ360は、図1に示す施設地図情報データベース350に含まれる施設の出入り口の場所及び施設内のフロアマップに基づいて、降車位置を決定する。
図10を参照しながら、本実施形態における降車位置の決定方法について説明する。図10は、本実施形態に係るコントローラが設定した降車位置を説明するための図である。
図10では、所定の大都市の市役所の様子を示しており、建物B2~B7は市役所の各部署が設けられている建物を示している。また、黒色の三角印は建物B2~B7に設けられている出入口を示している。最終目的地Pfは、ユーザが手続きを行う部署の位置を示しており、建物B2の所定のフロアに設けられていることを示している。出入口E1~E4は、建物B2に設けられている複数の出入り口を示している。
本実施形態では、コントローラ360は、施設地図情報データベース350にアクセスして、施設の構造に関する施設情報を取得し、施設情報に基づいて降車位置を設定する。例えば、ユーザの希望降車位置が「市役所」に設定されている場合、コントローラ360は、乗車位置を決定する前に、ユーザに対して「市役所」のどの部署に用があるかの問合せを、端末装置200を介して行う。コントローラ360は、ユーザが用事のある特定の部署の情報を受信すると、施設地図情報データベース350に含まれる施設情報から、「市役所」に関する情報を取得する。取得した情報には、各部署の建物B2~B7の位置情報を含む地図情報だけでなく、建物B2~B7の内部にある部署の情報、建物B2~B7に設けられている出入口の情報、建物B2~B7の内部のフロアマップの情報が含まれる。
コントローラ360は、ユーザが用事のある部署が建物B2あることを特定すると、ユーザの最終目的地として最終目的地Pfを設定する。次に、コントローラ360は、ユーザが施設内の最終目的地Pfへ移動するのにかかる時間及び負荷を考慮して移動コストを算出する。そして、コントローラ360は、移動コストが最小トとなる乗車位置として、最終目的地Pfに最短で移動することが可能な出入口E1を特定する。コントローラ360は、移動コストを算出する過程において、建物B2の出入口E1~E4の位置情報及び建物Bのフロアマップの情報を参照している。最後に、コントローラ360は、出入口E1を降車位置として設定する。
以上のように、本実施形態では、コントローラ360は、施設地図情報データベース350から施設の構造に関する施設情報を取得し、施設情報に基づいて移動コストを算出する。そして、コントローラ360は、施設内を移動するのにかかる負時間及び負荷を考慮して、ユーザが施設内の特定の場所に最短で到着することが可能な位置に降車位置を設定する。これにより、ユーザは最短の移動距離及び最小の負荷で施設内の最終目的地に到着することができる。
なお、本実施形態では、市役所を例に挙げて説明したが、これに限られず、大型ショッピングセンター、デパート、スタジアム、大型の雑居ビルであってもよい。
≪第5実施形態≫
次に、ユーザへの提示方法として端末装置200への表示方法について説明する。図11は、第5実施形態におけるユーザへの情報提示方法を説明するための図である。
図11は、端末装置200の出力装置220が表示する表示画面を示している。図11の例では、端末装置200としてスマートホンが用いられている。また、図11の例では、端末装置200は、ユーザに複数の乗車位置候補を提示している。端末装置200は地図情報を示し、地図上にはユーザの現在地及び乗車位置候補が示されている。また、端末装置200には、現在地へのサービス車両Vの到着予定時刻と、乗車位置候補へのサービス車両Vの到着予定時刻が表示されている。端末装置200は、画面にて位置情報及び到着予定時刻を示すとともに、音声情報にてこれらの情報を伝えている。これにより、ユーザは、希望条件とは異なる位置に提案されたとしても、提案内容のメリット及びデメリットを容易に理解して、提案内容を承諾するか否かの判断をスムーズに行うことができる。
なお、本実施形態では、乗車位置候補の位置情報、乗車位置候補への移動経路、乗車位置候補へのサービス車両Vの到着予定時刻を示す例を挙げたがこれに限られず、例えば、ユーザの移動経路候補(第1移動経路候補又は第2移動経路候補)、当該移動経路候補における移動コスト(料金、サービス車両への乗車時間等)をユーザに提示してもよい。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態において開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、上述した実施形態では、移動経路候補を算出する際に、希望乗車位置及び希望降車位置に対する複数の乗車位置候補及び複数の降車位置候補を設定した後、乗車位置候補及び降車位置候補の組み合わせごとの移動経路候補を算出する例を挙げて説明したがこれに限られない。例えば、第1ユーザ及び第2ユーザが相乗りする場合には、第1走行経路R1に基づいて、第2希望乗車位置及び第2希望降車位置を含む複数の第2走行経路候補を算出した後、第2走行経路候補上の位置に第2乗車位置候補及び第2降車位置候補を選定してもよい。先に走行経路候補を算出するため、乗車位置候補及び降車位置候補を設定する範囲を事前に絞ることができる。
また、例えば、上述した実施形態では、本発明に係るコントローラを、サーバ310のコントローラ360を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。また、例えば、上述した実施形態では、本発明に係る共用車両を、サービス車両Vを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。また、例えば、上述した実施形態では、本発明に係る共用車両の走行経路を、第2走行経路を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。