以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
≪第1実施形態≫
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る車両管理システムについて説明する。本実施形態では、車両管理システムと車両管理方法を、配車システムに適用した場合を例にして説明する。本実施形態における車両管理とは、エリアごとに車両を配置することを含む。
図1は、車両管理システム1を示す構成図である。図1に示すように、本実施形態の車両管理システム1は、車両管理装置100と、複数のユーザに利用される複数の車両V1~Vn(以下、車両Vと総称することもある)がそれぞれ備える車載装置200V1~200Vn(以下、車載装置200Vと総称することもある)と、複数のユーザがそれぞれ所持するユーザ端末装置300A~300Z(以下、ユーザ端末装置300と総称することもある)と、を有する。本実施形態の車両管理システム1を構成する、車載装置200V1~200Vn、ユーザ端末装置300A~300Zの台数は限定されない。
車両管理装置100、車載装置200V1~200Vn、及びユーザ端末装置300A~300Zは、それぞれ通信装置(30、220、320)を備え、インターネット400などの電気通信回線網を介して相互に情報の授受が可能である。通信経路は有線であっても無線であってもよい。各装置間で行われる通信で利用する通信規格には、4G/LTE、Wifi等が挙げられる。
本実施形態のユーザ端末装置300は、本発明の本実施形態に係るユーザ端末装置300Aに適用されるプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行することで、各機能を実行させる動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)と、を備えるコンピュータである。本実施形態のユーザ端末装置300は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はPDA(Personal Digital Assistant)その他の可搬型の端末装置であってもよい。
本実施形態のユーザ端末装置300は、各ユーザによる車両Vの利用を求める利用要求を受け付ける入力装置310と、車両管理装置100などの外部装置と通信を行う通信装置320と、各ユーザに情報を通知するための表示装置330と、ユーザによる車両Vnの利用の制御処理を実行するコントローラ340とを備える。
ユーザ端末装置300の入力装置310としては、例えば、ユーザの手操作による入力が可能なディスプレイ画面上に配置されるタッチパネル又はジョイスティックや、ユーザの音声による入力が可能なマイクなどの装置を用いることができる。
表示装置330は、車両管理装置100から受信した情報を、ユーザに通知する。表示装置330としては、ディスプレイなどが挙げられ、タッチパネル・ディスプレイを用いる場合には、入力装置310と兼用することができる。表示装置330は、例えば、車両Vの走行経路の情報などを車両管理装置100から受信して、ユーザに通知する。
コントローラ340は、ユーザ端末装置300に備えられた図示しないGPS(Global Positioning System)受信機などの位置取得装置を用いて、ユーザ端末装置300を操作するユーザの現在位置の情報を取得する。現在位置の情報としては、例えば、緯度及び経度の情報が挙げられる。コントローラ340は、取得した現在位置の情報を、通信装置320を介して、車両管理装置100に送信する。
また、コントローラ340は、各ユーザによる車両Vの利用を求める利用要求などの入力情報を受け付け、通信装置320を介して、車両管理装置100に送信する。
上述した利用要求には、ユーザのID情報、ユーザが指定する車両Vの利用開始地点の情報及び車両Vの利用終了地点の情報などが含まれる。車両Vの利用開始地点とは、ユーザが車両Vの乗車を希望する位置(乗車希望位置)である。車両Vの利用終了地点とは、ユーザが車両Vの降車を希望する位置(降車希望位置)である。また、ユーザのID情報には、予め登録されたユーザの性別及び年齢が含まれる。
本実施形態の車両Vとしては、電動モータを駆動源として備える電気自動車、内燃機関を駆動源として備えるエンジン自動車、電動モータ及び内燃機関の両方を駆動源として備えるハイブリッド自動車を例示できる。なお、電動モータを駆動源とする電気自動車やハイブリッド自動車には、二次電池を電動モータの電源とするタイプや燃料電池を電動モータの電源とするタイプのものも含まれる。
また、車両Vは、運転者の運転により走行する車両であってもよいし、運転者が乗車した状態で、車載装置200Vが実行する自動的な運転により走行する車両であってもよい。さらに、車両Vは、搭乗者がいない状態で、車載装置200Vが実行する自動的な運転により走行する車両であってもよい。自動的に運転する技術には、本願出願時に知られた技術が適宜用いることができる。なお、自動的に運転する技術には、少なくとも、他車両、対象物との干渉を避ける機能、運転者等から操作介入があった場合、自動的な運転の制御を停止する機能、交通法規を順守した運転を行う機能が含まれる。
本実施形態の車載装置200Vは、各車両Vの現在位置を検出するGPS受信機210と、車両管理装置100などの外部装置と通信を行う通信装置220と、ユーザによる車両Vの利用の制御処理を実行するコントローラ230とを備える。
コントローラ230は、車載装置200Vに備えられた各装置から車両Vの情報を取得し、通信装置220を介して取得した車両Vの情報を車両管理装置100に送信する。車両Vの情報には、GPS受信機210により取得された現在位置の情報、車速センサ(不図示)により検出された車両Vの車速の情報が含まれる。また、車両Vの情報には、車両Vの利用状況の情報が含まれる。車両Vの利用状況としては、ユーザを送迎中の状況、他のユーザが相乗り可能な状況などが例示できる。なお、車両Vの情報には、上述した情報に限られず、例えば、車両Vの電力残容量や故障情報などが含まれていてもよい。
本実施形態の車両管理装置100は、コントローラ10と、データベース20と、通信装置30とを備える。
通信装置30は、車載装置200V及びユーザ端末装置300とそれぞれ相互に通信可能な装置である。通信装置30は、車載装置200Vから受信した情報を、コントローラ10に出力するとともに、コントローラ10から入力される情報を、車載装置200V及びユーザ端末装置300に送信する。各情報については後述する。
また、通信装置30は、道路交通情報通信システムVICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)、天気予報などの天気に関する情報を提供するサーバ、地図情報又は道路情報を提供するサーバと通信する。通信装置30は、VICSや各種情報を提供するサーバから受信した情報を、データベース20に出力する。通信装置30により受信された情報としては、渋滞情報、交通障害情報、交通規制情報、工事情報、天気情報、地図情報、道路情報が挙げられる。また、通信装置30は、ユーザ端末装置300から送信された情報のうち、車両Vの利用要求、及び車両Vの利用履歴に関する情報を、データベース20に出力する。さらに、通信装置30は、車載装置200Vから送信された情報を、データベース20に出力する。
データベース20は、車両情報21と、利用履歴情報22と、利用エリア情報23と、環境情報24と、地図情報25とを記憶する。また図示していないが、データベース20は、後述するコントローラ10が実行する処理のために、ユーザ端末装置300から送信される利用要求を記憶している。
車両情報21は、車両Vから送信される車両Vに関する情報である。車両情報21には、各車両Vの現在位置の情報、各車両Vの車速の情報、各車両Vの現在の利用状況などが含まれる。車両情報21は、通信装置30が車両Vから受信するたびに更新される。
利用履歴情報22は、過去にユーザが車両Vを利用した際の記録の情報である。利用履歴情報22には、ユーザの属性(性別及び年齢)、ユーザが指定した利用開始地点及び利用終了地点、車両Vの現在位置から利用開始地点までの走行距離及び所要時間、利用開始地点から利用終了地点までの走行距離及び所要時間、これらの所要時間に対するユーザの満足度が含まれる。
満足度とは、ユーザが走行距離及び所要時間に対してどの程度満足したかを数値化したものである。例えば、車両Vを利用した後、ユーザに対してアンケートを実施することで、車両管理装置100は、所要時間に対する満足度を取得することができる。なお、満足度は、数値に限られず、予め定められたカテゴリで表記されてもよいし、また数値やカテゴリとともに利用後のユーザの意見が付されていてもよい。
利用エリア情報23は、過去に車両Vが走行したエリアの情報である。利用エリア情報23には、利用開始地点が属するエリアと、利用終了地点が属するエリアが含まれている。また、車両Vが複数のエリアを横断した場合、利用履歴情報22には、横断したエリアの情報も含まれる。エリアの詳細については後述する。
環境情報24は、通信装置30により受信された、エリアごとの渋滞情報及び天気情報である。環境情報24としては、各道路における時間帯毎の渋滞情報、各道路における時間帯ごとの事故発生情報、その他交通インフラに関する情報などが例示できる。交通インフラに関する情報としては、例えば、車両V以外の他の移動手段の運行状況(例えば、鉄道各線の運行情報)が挙げられる。環境情報24は、通信装置30がこれらの情報を受信するたびに更新される。
地図情報25は、コントローラ10が車両Vの走行経路を算出するための地図情報及び道路情報である。地図情報及び道路情報は、リンクとノードの組み合わせにより表現される情報である。また、地図情報には、エリアごとの地形に関する情報が含まれる。地形に関する情報としては、平野、大地、丘陵、山脈、谷などのエリアの形態の情報が例示できる。また道路情報としては、道路幅の情報、車線数の情報、法定速度の情報、信号の位置及び一時停止線の位置情報などが例示できる。地図情報25は、通信装置30がこれらの情報を受信するたびに更新される。
コントローラ10は、車両管理システム1のサーバとして機能し、配車システムを管理運営するための制御処理を実行する。コントローラ10は、配車システムを管理運営する処理を実行するためのプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、車両管理装置100として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13とを備える。
コントローラ10は、利用受付機能と、需要増加エリア推定機能と、利用車両選定機能と、配車指示機能と、出発エリア特定機能と、利用車両移動判定機能と、対象車両選定機能と、配置変更機能と、通知機能とを実現する。コントローラ10は、上記機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実現するコンピュータである。以下において、コントローラ10が実現する各機能についてそれぞれ説明する。
まず、利用受付機能について説明する。コントローラ10は、利用受付機能により、ユーザから、ユーザ端末装置300を介して、一の車両Vに対しての利用要求を、逐次的に取得する。利用要求には、ユーザにより指定された利用開始地点及び利用終了地点の情報と、利用開始地点までの配車要求が含まれる。例えば、ユーザは、ユーザ端末装置300の入力装置310に、車両Vの乗車位置として利用開始地点を入力し、また車両Vの降車位置として利用終了地点を入力する。ユーザ端末装置300は、通信装置320を介して、入力された情報を、車両管理装置100へ送信する。ユーザ端末装置300から車両管理装置100へ送信される情報には、ユーザの利用要求だけでなく、予めユーザにより登録されたユーザのID情報、ユーザの現在位置の情報が含まれる。
次に、需要増加エリア推定機能について説明する。コントローラ10は、需要増加エリア推定機能により、これから車両Vの利用が増加する可能性のあるエリアを推定する。コントローラ10は、エリアごとに、車両Vの需要度を推定する。例えば、コントローラ10は、通信装置30を介して、各エリアで開催が予定されているイベントの情報を取得する。そして、コントローラ10は、イベントの開催場所、イベントの出演者、イベント主催会社等の情報に基づいて、イベント開催の時間帯における車両Vの需要度を推定する。例えば、コントローラ10は、イベントの開催場所が特定の施設であり、この施設の収容人数が所定の基準を超えている場合、車両Vの需要度が比較的高いと推定する。
また、コントローラ10は、データベース20に格納された環境情報24に基づいて、エリアごとの車両Vの需要度を推定してもよい。例えば、コントローラ10は、データベース20から、エリアごとの鉄道各線の運行状況を取得する。仮に、運行を見合わせている鉄道がある場合、コントローラ10は、この鉄道が通過するエリアでは、平常運行に戻るまでの間、車両Vの需要度が比較的高いと推定する。なお、需要度の推定方法は、上記方法に限られない。
次に、利用車両選定機能について説明する。コントローラ10は、利用車両選定機能により、ユーザの利用要求に基づいて、エリアごとに配置された複数の車両Vのうちユーザが利用する車両(以降、利用車両とも称す)を選定する。本実施形態では、コントローラ10は、複数の車両Vのうち、最短時間で利用開始地点に到着することが可能な車両Vを利用車両として選定する。なお、利用車両の選定方法は、上記の選定方法に限られず、例えば、最短時間で利用終了地点に到着することが可能な車両Vを利用車両として選定してもよい。利用車両の選定方法には、本願出願時に知られた技術が適宜用いることができる。
ここで、本実施形態において、配車サービスが実施される地域及び各エリアに配置される車両Vについて、図2を用いながら説明する。図2は、車両Vの配置変更が不要な場合を説明するための図である。なお、車両Vの配置変更の要否については後述する。
図2は、車両管理システム1による配車サービスを実施することが可能な地域を示している。説明の便宜上、この地域は、A1~A3、B1~B3、C1~C3の9つのエリアに区分されている。黒丸はエリアに配置された車両Vを示し、それぞれのエリアには、車両Vが配置されている。また、上向きの三角形はユーザにより指定された利用開始地点を示し、下向きの三角形はユーザにより指定された利用終了地点を示している。
図2では、各エリアに一又は複数の車両Vが配置されているが、エリアごとに配置される車両Vの台数は、例えば、ユーザによる車両Vの利用実績により決定される。図2の例の場合、利用頻度が高いエリアA2では、車両Vが3台配置されるのに対して、利用頻度が低いエリアC2では、車両Vが1台しか配置されていない。なお、利用実績により決定する方法は一例であり、車両Vの台数を決定する方法は、特に限定されるものではない。例えば、利用実績だけでなく、ユーザによる満足度に基づいて決定してもよい。図2の例において、エリアC2に配置した車両Vの台数が少なかったことが原因で、利用履歴情報22に「利用開始地点への到着が遅かった」などの意見が含まれていた場合、エリアC2に配置する台数を増加させてもよい。
また、本実施形態において、「配置」されている車両Vの状態には、エリア内に設けられた停車可能な場所(例えば、専用の駐車場)に停車している状態だけでなく、エリア内を巡回している状態を含む。言い換えると、本実施形態では、走行状態に関係なく、車両がエリア内に存在していることを「配置」と称する。
次に、配車指示機能について説明する。コントローラ10は、配車指示機能により、利用車両に搭載された車載装置200Vに対して、配車指示を送信する。配車指示には、利用開始地点への移動指示、利用開始地点から利用終了地点までの走行指示が含まれる。利用車両が運転者による運転で走行する車両の場合、利用車両の運転者は配車指示を確認し、利用開始地点への移動を開始する。また、搭乗者がなく自動的な運転による利用車両の場合、利用車両のコントローラ340には、利用開始地点及び利用終了地点の情報が入力される。そして、利用車両は利用開始地点への走行を開始する。
次に、出発エリア特定機能について説明する。コントローラ10は、出発エリア特定機能により、利用車両が配置されているエリアを出発エリアとして特定する。出発エリアの特定方法は、特に限定されない。例えば、コントローラ10は、利用車両の位置及び地図情報25に基づいて、出発エリアを特定する。また、例えば、コントローラ10は、利用開始地点に属するエリアに配置された車両Vの中から利用車両を選定した場合、利用開始地点に属するエリアを出発エリアとして特定する。図2の例において、エリアB2に配置された車両V1が利用車両として選定されたとする。この場合、コントローラ10は、エリアB2を出発エリアとして特定する。また、出発エリアを特定するタイミングは、特に限定されないが、利用車両が配車指示を受信したタイミング又は受信する前に特定するのが好ましい。
次に、利用車両移動判定機能について説明する。コントローラ10は、利用車両移動判定機能により、利用終了地点に基づいて、利用車両が出発エリアから他のエリアへ移動するか否かを判定する。コントローラ10は、利用終了地点が出発エリアの範囲外にある場合には、利用車両が他のエリアへ移動すると判定し、利用終了地点が出発エリアにある場合には、利用車両は他のエリアへ移動しないと判定する。
利用終了地点が出発エリアの範囲外にあるか否かについての判定方法は、特に限定されていない。例えば、利用終了地点と出発エリアとを比較する方法が挙げられる。この場合、例えば、コントローラ10は、地図データ上で、利用終了地点が出発エリアに含まれているか否かを判定する。
また、利用開始地点が属するエリアと出発エリアが同じであるという前提がある場合、言い換えると、利用車両が配置されているエリア内の何れかの場所に、ユーザが利用開始地点を指定した場合、コントローラ10は、利用開始地点が属するエリアと利用終了地点が属するエリアを比較してもよい。上記前提が成立する例としては、エリア同士が隣接しておらず、所定の距離を空けて各エリアが設けられていることが挙げられる。本実施形態では、コントローラ10は、利用開始地点と利用終了地点とを比較する方法を用いて、利用車両が他のエリアへ移動するか否かを判定する。
図2、3の例を用いて具体的に説明する。図3は、車両Vの配置変更が必要な場合を説明するための図であり、図3に示す地域、エリア、車両Vの配置は、図2に示す地域、エリア、車両Vの配置と同様とする。また、図2、図3の例では、エリアB2に配置された車両Vが利用車両として選定され、エリアB2が出発エリアとして特定されているものとする。
本実施形態では、コントローラ10は、利用開始地点が属するエリアと利用終了地点が属するエリアとを比較し、比較した2つのエリアが異なる場合、利用車両が出発エリアから他のエリアへ移動すると判定する。反対に、コントローラ10は、比較した2つのエリアが同じ場合、利用車両は他のエリアへ移動しないと判定する。他のエリアとは、出発エリア以外のエリアであり、出発エリアとの位置関係は特に限定されていない。例えば、他のエリアと出発エリアの間には一又は複数のエリアが存在してもよい。
図2の例では、利用開始地点Sと利用終了地点Gは、ともにエリアB2に属している。コントローラ10は、利用開始地点Sが属するエリアと利用終了地点Gが属するエリアとはともにエリアB2であり、利用車両は出発エリアであるエリアB2内で移動するため、利用車両は他のエリアへ移動しないと判定する。また、コントローラ10は、出発エリア内の車両Vの台数が利用車両の移動によっては減らないため、車両Vの配置変更が不要と判断する。
一方、図3の例では、利用開始地点SはエリアB2に属し、利用終了地点GはエリアB3に属している。コントローラ10は、利用開始地点Sが属するエリアと利用終了地点Gが属するエリアが異なるため、利用車両が出発エリアであるエリアB2から他のエリアであるエリアB3へ移動すると判定する。また、コントローラ10は、出発エリア内の車両Vの台数が利用車両の移動によって減るため、車両Vの配置変更が必要と判断する。
次に、対象車両選定機能について説明する。コントローラ10は、対象車両選定機能により、一又は複数の対象車両を選定する。対象車両とは、利用車両が他のエリアへ移動すると判定した場合に、エリアの配置転換の対象となる車両である。また、対象車両は、出発エリア以外のエリアに存在する車両Vである。
また、本実施形態では、対象車両には、ユーザに利用されておらず(配車指示を受信しておらず)エリアに配置されている車両Vと、ユーザにより利用されている車両Vが含まれる。対象車両としては、例えば、配置されたエリア内の特定の場所で停車している車両V、エリア内を巡回している車両Vなどが挙げられる。また、ユーザにより利用されており、配置場所から所定の利用開始地点に向かっている車両V、所定の利用開始地点から所定の利用終了地点に向かっている車両Vなどが挙げられる。
コントローラ10は、対象車両選定機能により、出発エリアに存在する車両Vの台数を維持するために、出発エリア以外のエリアに存在する車両Vを対象車両として選定する。図3の例を用いて説明する。図3の例では、エリアB2に配置された車両V1が利用車両として選定されている。コントローラ10は、利用車両がエリアB2(出発エリア)からエリアB3(他のエリア)へ移動すると判定した場合、エリアB2から減る予定の一台の車両Vを補うために、エリアB2以外のエリアに存在する複数の車両Vのうち一台の車両Vを対象車両として選定する。
また、コントローラ10は、他のエリアへ移動する利用車両の台数と同じ台数だけ対象車両を選定する。図3の例において、仮に、エリアB2に配置された車両V1及び車両V1’が、それぞれ異なるユーザからの利用要求によって利用車両として選定されていたとする。車両V1及び車両V1’がそれぞれ出発エリアから他のエリアへ移動する場合、コントローラ10は、エリアB2から減る予定の二台の車両Vを補うために、エリアB2以外のエリアに存在する複数の車両Vのうち二台の車両Vを対象車両として選定する。
次に、具体的な対象車両の選定方法について、いくつか例を挙げて説明する。例えば、コントローラ10は、出発エリアに隣接するエリアから対象車両を選定する。また、コントローラ10は、出発エリアに隣接する複数のエリアが存在する場合、出発エリアへの到着所要時間が最短な車両Vを、対象車両として選定する。
ここで、到着所要時間について説明する。本実施形態では、コントローラ10は、各エリアの地形に関する情報、道路交通に関する情報、及び道路に関する情報のうち少なくとも一つに基づいて、車両Vの現在位置から、出発エリアに到着するまでの所要時間を算出する。なお、到着所要時間を算出するにあたり、出発エリア内のどの地点までの所要時間とするかは特に限定されない。例えば、出発エリアの境界に到着するまでの時間を到着所要時間としてもよいし、出発エリア内の所定の場所に到着するまでの時間を到着所要時間としてもよい。
コントローラ10は、車両Vごとに到着所要時間を算出し、複数の車両Vの中から、最短の到着所要時間で出発エリアに到着可能な車両Vを、対象車両として選定する。
次に、コントローラ10は、利用終了地点が属するエリアと上記対象車両として選定された車両Vが配置されたエリアを比較し、比較した2つのエリアが一致するか否かを判定する。コントローラ10は、比較した2つのエリアが同じ場合、選定した車両Vを対象車両として確定させる。この場合、コントローラ10は、対象車両を出発エリアに移動させるだけで、出発エリア内の車両Vの台数を維持することができると判断する。
反対に、コントローラ10は、比較した2つのエリアが異なる場合、エリア単位の車両Vの台数を維持するためには、複数の対象車両の選定が必要と判断し、さらに対象車両を選定する。コントローラ10は、複数の対象車両を選定する場合、それぞれが異なるエリアに配置された車両Vとなるように選定する。
例えば、コントローラ10は、到着所要時間の算出と同様に、車両Vごとに、各エリアの地形に関する情報、道路交通に関する情報、及び道路に関する情報のうち少なくとも一つに基づいて、車両Vの現在位置から、車両Vが配置されたエリアに隣接するエリアに到着するまでの所要時間を算出する。そして、コントローラ10は、算出した所要時間に基づいて、エリアの配置転換あたり、複数の車両Vの総移動時間が最小となるように、対象車両を選定する。
到着所要時間に基づいて対象車両を選定した結果については、図4、5を用いて説明する。図4は、対象車両を選定した結果の第一の例であり、図5は、対象車両を選定した結果の第二の例である。なお、図4、5では、利用車両としてエリアB2に配置された車両V1が選定されており、利用車両はエリアB2(出発エリア)から利用終了地点が属するエリアB3(他のエリア)へ移動するものとする。
図4の例では、コントローラ10は、エリアB3に配置された車両V2が最短の所要時間でエリアB2に到着することができると判定し、車両V2を対象車両として選定している。この場合、エリアB2からエリアB3へ移動する車両V1と、エリアB3からエリアB2へ移動する車両V2が入れ替わるため、出発エリアであるエリアB2内の車両Vの台数は、利用車両の移動前後において変わらず維持される。また、地域全体の観点からも、エリア単位の車両Vの台数は、利用車両の移動前後において変わらず維持される。
図5の例では、コントローラ10は、エリアA2に配置された車両V3が最短の所要時間でエリアB2に到着できると判定し、車両V3を対象車両として選定している。このような判定が行われる理由としては、例えば、エリアB2とエリアB3の間に設けられた道路で工事が行われていたり、あるいは、エリアB2とエリアB3の間には細い山道が設けられていたりする場合が挙げられる。道路交通情報や地形情報を考慮することで、実際の交通事情やエリアの地形に対応した所要時間が算出される。
また、コントローラ10は、車両V3が配置されたエリアA2に対しては、エリアA3に配置された車両V4が最短の所要時間でエリアA2に到着できると判定し、車両V4を対象車両として選定している。また、コントローラ10は、車両V4が配置されたエリアA3に対しては、エリアB3に配置された車両V2が最短の所要時間でエリアA3に到着することができると判定し、車両V2を対象車両として選定している。この場合、車両V1がエリアB2からエリアB3へ移動し、車両V2がエリアB3からエリアA3へ移動し、車両V4がエリアA3からエリアA2へ移動し、車両V3がエリアA2からエリアB2へ移動するため、出発エリアであるエリアB2内の車両Vの台数は、利用車両の移動前後においても変わらず維持される。地域全体の観点からも、エリア単位の車両Vの台数は、利用車両の移動前後においても変わらず維持される。
また、対象車両を選定する方法は、出発エリアまでの到着所要時間に基づく方法に限られない。コントローラ10は、出発エリア以外のエリアから、出発エリアの方向に向かって走行している車両Vを、対象車両として選定してもよい。このような選定方法が適用される例としては、他のユーザにより利用されている車両Vが、出発エリア内に指定された利用終了地点に向かって走行していることが挙げられる。この場合、コントローラ10は、出発エリアに向かって走行している車両Vを、対象車両として選定する。
例えば、コントローラ10は、他のユーザの利用要求に含まれる利用終了地点と、出発エリアとを比較し、他のユーザの利用終了地点が出発エリアに含まれている場合、出発エリアに向かう車両Vを検出する。なお、出発エリアに向かう車両Vを検出する方法はこれに限られず、他の方法であってもよい。
上記出発エリアの方向に向かって走行している車両Vを対象車両として選定した結果については、図6を用いながら説明する。図6は、対象車両を選定した結果の第三の例である。なお、図6では、利用車両としてエリアB2(出発エリア)に配置された車両V1が選定されており、利用車両は利用終了地点が属するエリアB3(他のエリア)へ移動するものとする。また、エリアB1に配置された車両V5が他のユーザを乗車させてエリアB2へ向かって走行しているものとする。
図6の例では、車両V5がエリアB2へ向かって走行しているため、コントローラ10は、車両V5を対象車両として選定している。また、コントローラ10は、車両V5が配置されたエリアB1に対しては、エリアA1に配置された車両V6が最短の所要時間でエリアB1に到着できると判定し、車両V6を対象車両として選定している。以降、図5の例と同様に、コントローラ10は、最短の所要時間で移動先のエリアへ到着することができる車両V7~車両V9を対象車両として選定している。この場合においても、出発エリアであるエリアB2内の車両Vの台数は、利用車両の移動前後において変わらず維持される。地域全体の観点からも、エリア単位の車両Vの台数は、利用車両の移動前後において変わらず維持される。
次に、配置変更機能について説明する。コントローラ10は、配置変更機能により、対象車両を移動させるタイミングを算出する。具体的には、コントローラ10は、利用車両が移動先のエリアに進入するタイミングに対応するように、対象車両が移動先のエリアに進入するタイミングを算出する。
例えば、コントローラ10は、利用車両が走行する走行経路から、移動先のエリア(他のエリア)の境界を検出し、この境界地点を通過する通過予定時刻を算出する。そして、コントローラ10は、通過予定時刻に移動先のエリアの境界を通過するように、対象車両の移動開始時刻を算出する。なお、利用車両が移動先のエリアに進入するタイミングと、対象車両が移動先のエリアに進入するタイミングは必ずしも一致させる必要はない。例えば、利用車両が移動先のエリアに進入するよりも所定時間だけ早く対象車両が移動先のエリアに進入してもよいし、反対に、利用車両が移動先のエリアに進入するよりも所定時間だけ遅く対象車両が移動先のエリアに進入するようにしてもよい。
次に、通知機能について説明する。コントローラ10は、通知機能により、対象車両が移動開始するタイミングの情報(例えば、移動開始時刻など)、移動先のエリアの情報(例えば、エリア名、エリア内の特定の場所など)を、対象車両に搭載された車載装置200Vに送信する。これにより、例えば、対象車両の運転者は、配置転換することを知るとともに、どのエリアに向かって、いつ出発すればよいかを知ることができる。また、搭乗者がなく自動的な運転により走行する車両Vの場合、対象車両のコントローラ340には、移動先及び移動開始時刻の情報が入力される。なお、コントローラ10が送信する情報は、対象車両が移動開始するタイミングに限られず、対象車両が移動先のエリアに進入するタイミングであってもよい。
続いて、本実施形態の車両管理システムの制御手順を示すフローチャートである図7に基づいて、本実施形態の車両管理システムの制御処理について説明する。制御処理は、所定の周期毎に繰り返し実行される。
ステップS101では、コントローラ10は、ユーザから利用要求を取得したか否かを判定する。利用要求を取得した場合、ステップS102へ進み、利用要求を取得していない場合、ステップS110へ進む。
ステップS102では、コントローラ10は、ステップS101にて取得した利用要求に基づいて、ユーザが利用する車両Vを利用車両として選定する。例えば、コントローラ10は、利用開始地点が属するエリアから、利用開始地点に最短時間で到着することが可能な車両を、利用車両として選定する。また、コントローラ10は、利用車両に対して配車指示を送信する。
ステップS103では、コントローラ10は、ステップS102にて選定された利用車両が配置されているエリアを出発エリアとして特定する。例えば、コントローラ10は、利用車両の現在位置及び地図情報25に基づいて、利用車両の現在位置が属するエリアを出発エリアとして特定する。
ステップS104では、コントローラ10は、利用開始地点が属するエリアと利用終了地点が属するエリアを比較する。例えば、コントローラ10は、地図情報を参照することで、利用開始地点が属するエリア及び利用終了地点が属するエリアを特定する。
ステップS105では、コントローラ10は、ステップS104にて比較した2つのエリアが異なるか否かを判定する。比較した2つのエリアが異なる場合、ステップS105へ進み、比較した2つのエリアが同じ場合、車両管理システムの制御は終了する。
ステップS106では、コントローラ10は、利用開始地点が属するエリア(出発エリア)へ向かう車両Vが存在するか否かを判定する。利用開始地点が属するエリアへ向かう車両Vが存在する場合、ステップS107へ進み、当該エリアへ向かう車両が存在しない場合、ステップS108へ進む。
ステップS107では、コントローラ10は、ステップS106にて確認された車両V以外に対象車両を選定する必要があるか否かを判定する。例えば、コントローラ10は、ステップS106にて確認された利用開始地点が属するエリアへ向かう車両Vが現在配置されているエリアと、利用車両の移動先のエリアとを比較し、比較した2つのエリアが同じ場合、その他の対象車両の選定は不要と判定する。反対に、コントローラ10は、比較した2つのエリアが異なる場合、その他の対象車両の選定が必要と判定する。その他の対象車両の選定が必要と判定した場合、ステップS108へ進み、その他の対象車両の選定が不要と判定した場合、ステップS109へ進む。なお、その他の対象車両の選定が不要と判定した場合、コントローラ10は、ステップS106にて確認された車両Vを対象車両として選定する。
ステップS108では、コントローラ10は、対象車両の選定を行う。ステップS106からステップS108へ進んだ場合、コントローラ10は、例えば、出発エリアまでの到着所要時間に基づいて、対象車両を選定する。例えば、コントローラ10は、車両Vごとに、出発エリアへの到着所要時間を算出する。そして、コントローラ10は、複数の車両Vの中から、最短の所要時間で出発エリアに到着することが可能な車両Vを、対象車両として選定する。例えば、図4に示すように、コントローラ10は、エリアB3に配置された車両V2を対象車両として選定する。また、コントローラ10は、複数の対象車両の選定が必要な場合、車両Vが配置されたエリアに隣接するエリアまでの所要時間に基づいて、複数の対象車両を選定する。例えば、図5に示すように、コントローラ10は、車両V2~車両V4を対象車両として選定する。
また、ステップS107からステップS108へ進んだ場合、まずコントローラ10は、ステップS106にて確認された車両Vを対象車両として選定する。次に、コントローラ10は、例えば、車両Vが配置されたエリアに隣接するエリアまでの所要時間に基づいて、対象車両を選定する。図6に示すように、コントローラ10は、車両V5~車両V9を対象車両として選定する。なお、図6の例では、車両V5はステップS106にて確認された車両Vに該当する。
ステップS109では、コントローラ10は、対象車両の配置変更を実施する。例えば、コントローラ10は、利用車両が移動先のエリアに進入するタイミングに対応するように、対象車両が移動先のエリアに進入するタイミングを算出する。そして、コントローラ10は、算出したタイミングに基づいて、対象車両の移動開始のタイミングを算出する。コントローラ10は、移動開始のタイミング及び移動先のエリアの情報を、対象車両に搭載された車載装置200Vに送信する。これにより、対象車両は、配置されたエリアから移動先のエリアへの移動を開始することができる。ステップS109での処理が終了すると、車両管理システムの制御は終了する。
ステップS101にてユーザから利用要求を取得していないと判定した場合、ステップS110へ進む。ステップS110では、コントローラ10は、エリアごとに、車両Vの需要度を推定する。例えば、コントローラ10は、各エリアで開催予定のイベントの情報を取得する。そして、コントローラ10は、イベントの規模の情報に基づいて、イベント開催予定のエリアの車両Vの需要度を推定する。
ステップS111では、コントローラ10は、ステップS110にて推定した需要度に基づいて、需要度が所定の基準より高いエリアがあるか否かを判定する。需要度が基準よりも高いと判定した場合、ステップS112に進み、需要度が基準以下と判定した場合、車両管理システムの制御は終了する。
ステップS112では、コントローラ10は、ステップS111にて判定したエリア付近に移動させる車両を選定する。例えば、コントローラ10は、需要度が高いと判定されたエリアに隣接するエリアから、移動対象の車両を選定する。そして、コントローラ10は、需要度が高いと判定されたエリアの周辺を、移動対象の車両の移動先として設定する。
ステップS113では、コントローラ10は、ステップS112にて選定された移動対象の車両に対して、移動先の情報を送信する。これにより、移動対象の車両は、需要度が高いと判定されたエリア付近に移動する。ステップS113での処理が終了すると、車両管理システムの制御は終了する。
図8は、移動対象の車両を選定した結果の一例である。図8の例では、コントローラ10は、エリアB2(斜線部のエリア)を需要度が所定の基準よりも高いエリアとして判定している(ステップS111での処理)。この場合、コントローラ10は、エリアB2付近に車両Vを配置させるために、エリアB1に配置された車両V10、エリアC2に配置された車両V11、エリアA3に配置された車両V12を移動対象の車両として選定している。また、コントローラ10は、エリアB2の周辺を、車両V10~車両V12の移動先として設定し車両V10~車両V12を移動させる。これにより、需要度が高いエリアB2の周辺に車両Vを配置することができる。
以上のように、本実施形態に係る車両管理システムは、コントローラ10を用いて、複数のユーザに利用される複数の車両Vを管理する。コントローラ10は、ユーザから利用開始地点及び利用終了地点を含む車両Vの利用要求を受け付け、利用要求に基づいて、エリアごとに配置された複数の車両Vのうちユーザが利用する車両を、利用車両として選定し、利用終了地点が、利用車両が配置されている出発エリアの範囲外である場合、出発エリアと異なるエリアに存在する車両Vを対象車両として選定し、対象車両を出発エリアへ移動させる。これにより、出発エリアに存在する車両Vの台数の低減を防ぐことができるため、各エリアの車両Vの台数に不均衡が生じることを抑制することができる。その結果、配車サービスの品質の均一性を確保することができ、配車サービスの利用機会の増大を図ることができる。
また、本実施形態では、コントローラ10は、出発エリアに存在する車両Vの台数を維持するように、対象車両を出発エリアへ移動させる。これにより、例えば、複数台の利用車両が他のエリアへ移動する場合であっても、移動する利用車両の台数と同じ台数だけの対象車両が出発エリアに移動するため、出発エリアに存在する車両Vの台数の低減を防ぐことができる。
さらに、本実施形態では、コントローラ10は、出発エリアに到着するまでの所要時間に基づいて、対象車両を選定する。これにより、例えば、出発エリアに最短で到着することが可能な車両Vが対象車両として選定されるため、配置転換のために要する時間を縮減することができる。その結果、複数のユーザにから複数の利用要求をほぼ同じタイミングで取得した場合であっても、一部のユーザを待たすことなく迅速に対応することができる。
加えて、本実施形態に係る車両管理システム1は、地形情報、道路交通情報、及び道路情報をエリアごとに記憶するデータベース20を備えている。コントローラ10は、データベース20に記憶されたこれらの情報に基づいて、利用車両が配置されたエリアに到着する所要時間を算出する。これにより、移動先のエリアに到着するまでの所要時間を精度良く算出することができ、その結果、最適な一又は複数の対象車両を選定することができる。
また、本実施形態では、コントローラ10は、それぞれ異なるエリアに存在する複数の対象車両を選定し、エリア単位の車両Vの台数を維持するように、複数の対象車両をそれぞれ異なるエリアへ移動させる。これにより、配車サービスが実施される地域全体からの観点からでも、エリア単位の車両Vの台数を維持することができ、配車サービスの品質の均一性を確保することができ、配車サービスの利用機会の増大を図ることができる。
さらに、本実施形態では、コントローラ10は、利用車両が移動先のエリアに進入するタイミングと、対象車両が移動先のエリアに進入するタイミングが対応するように、対象車両を移動させる。これにより、例えば、上記の2つのタイミングを一致させた場合には、時間帯にかかわらず、エリア単位の車両Vの台数に不均衡が生じることを抑制し、配車サービスの品質の均一性を確保することができる。
加えて、本実施形態では、コントローラ10は、利用要求を受け付けていない場合、エリアごとに車両の需要度を推定し、車両の需要度が所定の基準よりも高いエリアが存在する場合、需要度が高いエリアの周辺に移動対象の車両Vを移動させる。これにより、需要度が高いと推定されたエリアの周辺に予め車両Vが配置されるため、配置された車両Vはこのエリアへ容易に移動することができる。その結果、例えば、このエリアから連続して利用要求を取得したとしても、周辺に配置された車両Vが需要度の高いエリアへ移動することで、ユーザの要求に迅速に対応することができる。
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、上述した実施形態では、図2~図6、図8に示すように、配車サービスが実施される地域を均等な大きさのエリアで分割した構成を例に挙げて説明したが、各エリアは均等な大きさでなくてもよい。図10は、領域の分割方法の一例である。例えば、道路形状、道路の車線数、信号機の位置などを考慮して、エリア内での移動時間やエリア間の移動時間が同じ程度になるように、エリアの大きさを設定してもよい。
また、例えば、上述した実施形態では、利用開始地点が属するエリアと利用終了地点が属するエリアを比較し、比較した2つのエリアが異なる場合に、利用車両が他のエリアへ移動すると判定する構成を例に挙げて説明したが、利用車両が他のエリアへ移動するか否かの判定方法はこれに限られない。例えば、コントローラ10は、出発エリアと利用終了地点が属するエリアを比較し、比較した2つのエリアが異なる場合、前記台数が変化すると推定してもよい。
図9は、対象車両を選定した結果の第四の例である。図9の例では、利用開始地点(上向きの三角形)及び利用終了地点(下向き三角形)はエリアB3に属している。また、利用開始地点にはエリアB3に配置された車両V2よりもエリアB2に配置された車両V1の方が早く到着するため、コントローラ10は、車両V1を利用車両として選定したものとする。この場面において、上述した実施形態による推定方法では、利用開始地点に属するエリアと利用終了地点に属するエリアが同じであるため、エリア単位の車両Vの台数が変化するとは推定しない。これに対して、出発エリアと利用終了地点が属するエリアを比較する方法を用いれば、比較した2つのエリア(図9の例では、エリアB2、エリアB3)が異なるため、利用車両が出発エリアから他のエリアへ移動することを適切に判定することができる。なお、図9の例では、車両V2が対象車両として選定されている。
また、例えば、上述した実施形態では、車両Vに関しては、車両の車種、車両の種別(大型車、普通車、小型車)、車両の運転に関する機能(運転支援機能付きの車両、自動運転機能付きの車両)にかかわらず、全て同一の車両として扱った構成を例に挙げて説明したが、車両Vを、車種、種別、機能ごとにタイプ別に分けてもよい。この場合、コントローラ10は、車両Vのタイプごとに、車両Vの配車管理を行ってもよい。これにより、例えば、特定のエリアに普通車が偏って存在したりすることを防ぐことができ、ユーザの要求に適切に対応することができる。
また、例えば、上述した実施形態では、対象車両の選定方法として、到着所要時間に基づく方法、及び出発エリアに向かっている車両Vを検出する方法を例に挙げて説明したが、対象車両の選定はこれ以外の方法であってもよい。例えば、コントローラ10は、利用終了地点が属するエリアを特定し、特定したエリアに存在する車両Vの中から対象車両を選定してもよい。これにより、一台の対象車両の配置を入れ替えるだけで、出発エリア内の車両Vの台数及びエリア単位の車両Vの台数を維持することができる。その結果、利用要求に対して対応可能な車両Vの台数を増やすことができ、利用要求に最適な利用車両を選定することができる。
例えば、本明細書では、本発明に係る車両管理システムを、車両管理システム1を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書では、本発明に係るコントローラを、コントローラ10を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書では、本発明に係るデータベースを、データベース20を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書では、本発明に係る車両を、車両Vを例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書では、本発明に係るエリア情報を、環境情報24、地図情報25を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。