JP7182781B2 - ボックスカルバート - Google Patents
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Description
・プレキャスト部材を現場へ運搬する際のサイズの制約上、部材厚が厚い場合、プレキャスト化は不利である。
・同運搬の際の重量の制約上、一部材を25t程度に抑える必要があり、プレキャスト部材の分割数が増える。
・プレキャスト頂版部材を、両サイドのプレキャスト側壁部材と接合するのは困難であり、仮置き用の内部支保工が必要となる。
・高盛土条件下で使用されるボックスカルバートは、標準化されていない。
頂版の厚さが500~2500mmであり、
PC版の上に形成されている現場打ちコンクリートは、プレキャスト壁部材に直接接しており、
壁と頂版との接合部の全部がプレキャスト壁部材の一部であり、該接合部内に鉄筋の重ね継手が無いこと、及び、
接合部に埋設された鉄筋と、PC版の上に形成されている現場打ちコンクリートに埋設された鉄筋とが、機械式継手により直接接続されていることを特徴とする。
本発明は次の作用を奏する。
・PC版を型枠の一部として用いて、頂版の現場打ちコンクリートの型枠支保工を不要にできる。また、接合部も型枠の一部として用いて、頂版の現場打ちコンクリートの側端面用の型枠工を不要にできる。よって、施工が容易になる。
・ラーメン構造の最も重要な部位である接合部をプレキャスト化することで、現場打ちに比べ品質の向上が図れる。
・複雑な鉄筋の重ね継手のための接合部配筋が不要なため、鉄筋組工が容易で施工性に優れる。
・接合部に鉄筋の重ね継手が無いため、接合部に応力集中や乾燥収縮などによるひび割れが発生しにくい。
・接合部の鉄筋と現場打ちコンクリートの鉄筋とが直接接続されるため、頂版と壁との間の応力伝達が十分に行われ、構造の安定性に優れる。
・頂版がPC版と現場打ちコンクリートとを含み、厚さが500~2500mmであるため、高盛土条件下で使用することができる。
ボックスカルバートには、内部空間が1つある1連ボックスカルバート(図7)のみならず、内部空間が横に並んで複数ある複数連ボックスカルバート(2連ボックスカルバート(図9)と3連ボックスカルバートが一般的である。)も含まれる。
1連ボックスカルバートの「壁」は、両側の「側壁」のみである(図7)。
複数連ボックスカルバートの「壁」には、両側の「側壁」と、内部空間を仕切る「中間壁」とがある(図9)。
よって、1連ボックスカルバートの場合、壁と頂版との「接合部」は、側壁と頂版との「端接合部」のみである(図7)。
複数連ボックスカルバートの場合、壁と頂版との「接合部」には、側壁と頂版との「端接合部」と、中間壁と頂版との「中間接合部」とがある(図9)。
よって、1連ボックスカルバートの場合、壁を構成する「プレキャスト壁部材」は、両側の「プレキャスト側壁部材」のみである(図7)。
複数連ボックスカルバートの場合、壁を構成する「プレキャスト壁部材」には、両側の「プレキャスト側壁部材」と、「プレキャスト中間壁部材」とがある(図9)。
(1)「端接合部」が「プレキャスト側壁部材」の一部であり、該「端接合部」内に鉄筋の重ね継手が無い態様
(2)「中間接合部」が「プレキャスト中間壁部材」の一部であり、該「中間接合部」内に鉄筋の重ね継手が無い態様
本発明において、底版の構造は特に限定されない。底版は、例えば、プレキャスト底版部材で構成されてもよいし、現場打ちコンクリートで構成されてもよいし、その組み合わせでもよい。
図1~図8に示す実施例1は、その完成品を図7及び図8に示すように、大型(例えば縦3000~10000mm、横4000~17000mm)の1連ボックスカルバート1である。両側の側壁(後述する23)がプレキャスト側壁部材2からなる。底版が、プレキャスト底版部材4と、2つのプレキャスト側壁部材2の一部(後述する底版端部分26)とからなる。頂版が、2つのプレキャスト側壁部材2から内側へ突出したハンチ24の上に載置されて架設されているPC版5と、PC版5の上に形成されている現場打ちコンクリート6と、プレキャスト側壁部材2の一部(後述する頂版端部分22)とからなる。そして、頂版の厚さが500~2500mmであり、側壁23と頂版との端接合部(後述する21)の全部がプレキャスト側壁部材2の一部であり、該端接合部21内に鉄筋の重ね継手が無いことを特徴とする。
プレキャスト側壁部材2は、上から、端接合部21と、端接合部21から内側へ張り出した頂版端部分22と、側壁23と、端接合部21と側壁23との境界レベルにハンチ24上面があるように側壁23から内側へ突出したハンチ24と、底版との接合部である底端接合部25と、底端接合部25から内側へ延出した底版端部分26とを含んでいる。ハンチ24の突出量は、頂版端部分22の張り出し量よりも大きい。
プレキャスト底版部材4は、底版の中間部分をなすものであり、下部材2bと、現場でモルタル充填継手10により接合されている。モルタル充填継手10は、プレキャスト底版部材4と下部材2bとに埋設された両充填継手用鉄筋11と、いずれか一方の同部材の端面付近に埋設された共通のスリーブ12と、スリーブ12内に両充填継手用鉄筋11の端部が進入した状態で、スリーブ12内の充填継手用鉄筋11との隙間に充填され硬化したモルタル(図示略)とから構成されている。
PC版5は、その両端部がハンチ24に支持され、頂版(PC版5と現場打ちコンクリート6)の自重及び(使用時には)頂版上の盛土の荷重によって、支間の下縁に引張応力が生じるため、コンクリート版中にPC鋼材13を配置し、プレテンション方式又はポストテンション方式により、下縁にプレストレス(圧縮応力)を導入したものである。PC版5はプレキャスト製である。
現場打ちコンクリート6は、PC版5の粗面仕上げされた接合上面に食い込むとともに、PC版5から上方へ突設されたジベル鉄筋14を埋設することにより、PC版5に対して強固に接合されている
また、現場打ちコンクリート6は、両側の上部材2aの機械式継手7に直接接続されて架設された連続鉄筋15と、各機械式継手7に直接接続されて現場打ちコンクリート6内で終わるフック鉄筋16とを埋設することにより、上部材2aに対して強固に接合されている。
頂版の厚さ500~2500mmのうち、PC版5の厚さは100~500mm、現場打ちコンクリート6の厚さは400~2000mmである。
(2)次に、図3,4に示すように、PC版5をハンチ24に載置して架設する。
(3)次に、図5,6に示すように、上部材2aの機械式継手7に連続鉄筋15とフック鉄筋16とを接続する。このとき、PC版5は作業足場代わりとして利用できる。
(4)次に、図7,8に示すように、PC版5の上に現場打ちコンクリート6を打設する。このとき、PC版5は型枠の一部として機能し、PC版5はハンチ24に支持されているので、型枠支保工が不要である。
・PC版5を型枠の一部として用いて、頂版の現場打ちコンクリート6の型枠支保工を不要にできる。また、端接合部21も型枠の一部として用いて、頂版の現場打ちコンクリート6の側端面用の型枠工を不要にできる。よって、施工が容易になる。
・ラーメン構造の最も重要な部位である端接合部21をプレキャスト化することで、現場打ちに比べ品質の向上が計れる。
・複雑な鉄筋の重ね継手のための端接合部配筋が不要なため、鉄筋組工が容易で施工性に優れる。
・端接合部21に鉄筋の重ね継手が無いため、端接合部21に応力集中や乾燥収縮などによるひび割れが発生しにくい。
・端接合部21の機械式継手用鉄筋8と現場打ちコンクリート6の連続鉄筋15及びフック鉄筋16とが機械式継手7で直接接続されるため、頂版と側壁との間の応力伝達が十分に行われ、構造の安定性に優れる。
・頂版がPC版5と現場打ちコンクリート6とを含み、厚さが500~2500mmであるため、高盛土条件下で使用することができる。
図9に示す実施例2は、大型の2連ボックスカルバート20であって、プレキャスト中間壁部材3を備え、2つの頂版と2つの底版を備える点において、実施例1と相違するものである。
プレキャスト中間壁部材3は、上から、中間接合部31と、中間接合部31から両方の内側へ張り出した頂版端部分32と、中間壁33と、中間接合部31と中間壁33との境界レベルにハンチ34上面があるように中間壁33から内側へ突出したハンチ34と、底版との接合部である底中間接合部35と、底中間接合部35から両方の内側へ延出した底版端部分26とを含んでいる。ハンチ34の突出量は、頂版端部分32の張り出し量よりも大きい。
(1)プレキャスト側壁部材2が頂版端部分22を備えないものとすること。この場合、端接合部21の内側面は側壁23の内側面の延長上にある。
また、プレキャスト中間壁部材3が頂版端部分32を備えないものとすること。この場合、中間接合部31の内側面は中間壁33の内側面の延長上にある。
(2)プレキャスト側壁部材2を上下方向の途中で分割されていないものとすること。
また、プレキャスト中間壁部材3を上下方向の途中で分割されていないものとすること。
(3)プレキャスト底版部材4を現場打ちに置き換えること。
2 プレキャスト側壁部材
2a 上部材
2b 下部材
3 プレキャスト中間壁部材
3a 上部材
3b 下部材
4 プレキャスト底版部材
5 PC版
6 現場打ちコンクリート
7 機械式継手
8 機械式継手用鉄筋
10 モルタル充填継手
11 充填継手用鉄筋
12 スリーブ
13 PC鋼材
14 ジベル鉄筋
15 連続鉄筋
16 フック鉄筋
20 2連ボックスカルバート
21 端接合部
22 頂版端部分
23 側壁
24 ハンチ
25 底端接合部
26 底版端部分
31 中間接合部
32 頂版端部分
33 中間壁
34 ハンチ
35 底中間接合部
36 底版端部分
Claims (3)
- 壁(23,33)はプレキャスト壁部材(2,3)からなり、頂版は、2つのプレキャスト壁部材(2,3)から内側へ突出したハンチ(24,34)の上に載置されて架設されているPC版(5)と、PC版(5)の上に形成されている現場打ちコンクリート(6)とを含み構成されるボックスカルバートにおいて、
頂版の厚さは500~2500mmであり、
PC版(5)の上に形成されている現場打ちコンクリート(6)は、プレキャスト壁部材(2,3)に直接接しており、
壁(23,33)と頂版との接合部(21,31)はプレキャスト壁部材(2,3)の一部であり、該接合部(21,31)内に鉄筋の重ね継手が無いこと、及び、
接合部(21,31)に埋設された鉄筋(8)と、PC版(5)の上に形成されている現場打ちコンクリート(6)に埋設された鉄筋(15,16)とが、機械式継手(7)により直接接続されていることを特徴とするボックスカルバート。 - プレキャスト壁部材(2,3)は、接合部(21,31)から内側へ張り出して頂版の一部をなす頂版端部分(22,32)を備えている請求項1記載のボックスカルバート。
- 現場打ちコンクリート(6)は、PC版(5)の粗面仕上げされた接合上面に食い込むとともに、PC版(5)から上方へ突設されたジベル鉄筋(14)を埋設することにより、PC版(5)に接合されている請求項1又は2記載のボックスカルバート。
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