JP2004263490A - 地下合成壁 - Google Patents
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Abstract
【課題】構造性能を有効に発揮させること。
【解決手段】地下合成壁10は、補強材12と固化部14とを有している。補強材12は、2枚のPC板20と、対向配置されたPC板20間を連結する連結部材22とを備えている。PC板20は、所定の厚みを有する平板状のものであって、その内部には、上下方向に延設された複数の主筋24が埋設されている。主筋24は、所定の間隔を隔てて相互が平行になるように配置されている。連結部材22は、帯筋26と連結筋28とを備えている。固化部14は、ソイルセメントが固化することで形成されるものであり、この固化部14は、対向配置された一対のPC板20間、および、掘削孔18と各PC板20間に充填介装される。
【選択図】 図1
【解決手段】地下合成壁10は、補強材12と固化部14とを有している。補強材12は、2枚のPC板20と、対向配置されたPC板20間を連結する連結部材22とを備えている。PC板20は、所定の厚みを有する平板状のものであって、その内部には、上下方向に延設された複数の主筋24が埋設されている。主筋24は、所定の間隔を隔てて相互が平行になるように配置されている。連結部材22は、帯筋26と連結筋28とを備えている。固化部14は、ソイルセメントが固化することで形成されるものであり、この固化部14は、対向配置された一対のPC板20間、および、掘削孔18と各PC板20間に充填介装される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、地下合成壁に関し、特に、ソイルセメントやソイルモルタルの固化部とプレキャストコンクリート板とを併用する地下合成壁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地中に土留め壁を構築する方法として、例えば、非特許文献1の第116〜117pに記載されているように、地下連続壁工法が知られている。この地下連続壁工法では、地盤中に安定液を満たして、溝孔を掘削し、鉄筋籠を溝孔内に建て込んだ後に、安定液をコンクリートに置換して、コンクリートを固化させるとこで、単位壁体を形成することを基本構成としている。
【0003】
このような地下連続壁工法で構築される壁体は、品質は良いが、コストが高く、また、掘削した部分をコンクリートに置換するので、残土が多く発生するという問題があった。
【0004】
一方、前述した地下連続壁工法において、コンクリートに替えて、現地掘削土に、セメントおよび細骨材を加えて混練した混合物を、掘削溝内に打設して形成されるソイルモルタル壁体は、残土の発生を低減し、かつ、コストも低減することができる。
【0005】
しかしながら、このような従来のソイルモルタル壁体には、以下に説明する課題があった。
【0006】
【非特許文献1】
「土木工法辞典」 2001年9月 産業調査会発行
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、ソイルモルタル壁体では、壁体の強度補強用に鉄筋を挿入することも行われているが、ソイルモルタルと鉄筋との付着性能が低いため、外力が加わった際に、付着破壊が起こり、設定した構造性能を有効に発揮することが難しいという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、構造性能が有効に発揮されるソイルモルタル地下合成壁を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、地盤中に掘削した溝状ないしは柱列状掘削孔内に、ソイルセメントまたはソイルモルタルとともに補強材を挿入して構築される地下合成壁であって、前記補強材は、前記溝状掘削孔内の前後壁面側に配置され、内部に主筋が埋設された一対のプレキャストコンクリート板と、対向配置された前記プレキャストコンクリート板間を連結する連結部材とを有し、前記プレキャストコンクリート板間および前記掘削孔と前記プレキャストコンクリート板間に前記ソイルセメントまたはソイルモルタルの固化部を介装するようにした。
【0010】
このように構成した地下合成壁によれば、主筋がプレキャストコンクリート板内に埋設されているので、大きな付着力が得られ、構造性能が有効に発揮される。
【0011】
また、合成壁の大部分は、ソイルセメントまたはソイルモルタルの固化部なので、残土を少なくすることもできる。
【0012】
前記連結部材は、前記主筋間に渡設される斜筋ないしは帯筋から構成することができる。
【0013】
掘削側に配置される前記プレキャストコンクリート板の外面には、予め保護シートを貼着することができる。
【0014】
前記補強材は、地中に構築する構造物のうち、耐震性などの高性能要求部に配置され、仮設構造部分などの非高性能要求部には、前記補強材の主筋部分を前記ソイルセメントまたはソイルモルタルの前記固化部中に挿入することができる。
【0015】
この構成によれば、高い付着力は、必要とする部分にだけに配置するので、経済性が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1から図4は、本発明にかかる地下合成壁の第1実施例を示している。同図に示した地下合成壁10は、補強材12と固化部14とを有している。
【0017】
本実施例の地下合成壁10は、地盤16中に柱列状掘削孔18を形成し、ソイルセメントとともに、補強材12を掘削孔18内に挿入することにより構築される。
【0018】
柱列状掘削孔18を形成する際には、オーガー掘削機などを地盤16の所定深度まで貫入し、セメントミルクを噴射させながら、現地盤土砂を攪拌混合して、ソイルセメントを作成する。
【0019】
そして、このソイルセメントの固化前に、掘削孔18内に補強材12を挿入して、その後に、ソイルセメントを固化させることで固化部14が形成される。本実施例で用いられる補強材12は、その詳細を図3,4に示すように、2枚のプレキャストコンクリート板(以下、PC板と略す)20と、対向配置されたPC板20間を連結する連結部材22とを備えている。
【0020】
PC板20は、所定の厚みを有する平板状のものであって、その内部には、上下方向に延設された複数の主筋24が埋設されている。本実施例の場合、PC板20は、掘削孔18の前後壁面側、すなわち、構築される地下合成壁10の根切り掘削側とこれに対向する地山側に配置される。
【0021】
主筋24は、複数本が所定の間隔を隔てて相互が平行になるように配置されている。連結部材22は、本実施例の場合、複数の鉄筋から構成され、帯筋26と連結筋28とを備えている。帯筋26は、PC板20の上下端に配置され、複数の主筋24を正方形状取り囲むようにして、PC板20を連結している。
【0022】
連結筋28は、PC板20の両側側面に配置されていて、上下方向に所定の間隔を隔てて段状に設けられ、両端を対向配置されたPC板20の主筋24に固着することにより、PC板20を連結している。
【0023】
このような構成の補強材12は、予め、工場生産され、地下合成壁10の構築現場まで運搬される。固化部14は、本実施例の場合、ソイルセメントが固化することで形成されるものであり、この固化部14は、対向配置された一対のPC板20間、および、掘削孔18と各PC板20間に充填介装される。
【0024】
さて、以上のように構成した地下合成壁10によれば、主筋24がPC板20内に埋設されているので、大きな付着力が得られ、外力が作用した場合に、従来のソイルモルタルのように簡単に付着破壊が起こらず、構造性能が有効に発揮される。
【0025】
また、本実施例の場合、合成壁10の大部分は、現位置掘削土をセメントで固めたソイルセメントの固化部14なので、残土の発生を非常に少なくすることもできる。
【0026】
図5および図6は、本発明にかかる地下合成壁の第2実施例を示しており、上記実施例と同一若しくは相当する部分には、同一符号を付してその説明を省略するとともに、以下にその特徴点についてのみ説明する。
【0027】
同図に示した地下合成壁10aは、補強材12と固化部14aとを有している。本実施例の地下合成壁10aは、地盤16中に角溝状の掘削孔18aを形成し、掘削孔18a内にソイルモルタルとともに、補強材12を挿入することにより構築される。
【0028】
溝状掘削孔18aを形成する際には、安定液を満たしながら所定深度まで掘削し、掘削孔18a内に補強材12を建て込んだ後に、安定液をソイルモルタルで置換することにより地下合成壁10aを造成する。
【0029】
この場合、ソイルモルタルは、掘削孔18aを掘削する際に発生した現地掘削土に、セメントおよび細骨材、各種混和材を添加して、これらを混練することにより作製され、得られたソイルモルタルを掘削孔18a内に投入して、安定液と置換する。そして、掘削孔18a内に充填されたソイルモルタルが固化すると、固化部14aが形成される。
【0030】
本実施例で用いられる補強材12は、第一実施例で用いたものと同じものが用いられている。ソイルモルタルが固化することで形成される固化部14aは、対向配置された一対のPC板20間、および、掘削孔18と各PC板20間に充填介装される。
【0031】
このように構成した第2実施例においても、上記実施例と同様に、主筋24がPC板20内に埋設されているので、大きな付着力が得られ、構造性能が有効に発揮されるとともに、合成壁10aの大部分は、現地発生土を用いるソイルモルタルの固化部14aなので、残土を少なくすることもできる。
【0032】
図7および図8は、本発明にかかる地下合成壁の第3実施例を示しており、上記実施例と同一若しくは相当する部分には、同一符号を付してその説明を省略するとともに、以下にその特徴点についてのみ説明する。
【0033】
これらの図に示した実施例は、上記第1ないしは第2実施例の補強材12aの変形例であり、本実施例の補強材12aは、2枚のPC板20aと、対向配置されたPC板20a間を連結する連結部材22aとを備えている。
【0034】
PC板20aは、所定の厚みを有する平板状のものであって、その内部には、上下方向に延設された複数の主筋24aが埋設されている。主筋24aは、所定の間隔を隔てて相互が平行になるように配置されている。
【0035】
連結部材22aは、本実施例の場合、複数の鉄筋から構成され、水平斜筋26aと鉛直斜筋28aとを備えている。水平斜筋26aは、PC板20aの上下端に配置され、対向するPC板20aの主筋24aを、斜めに結合するように、波状に屈曲形成されていて、一対のPC板20を連結している。
【0036】
鉛直斜筋28aは、対向配置された一対のPC板20aの両側側面に配置されていて、対向するPC板20aの主筋24aを、斜めに結合するように、波状に屈曲形成されていて、一対のPC板20を連結している。
【0037】
以上のような構成の補強材12aは、予め、工場生産され、地下合成壁の構築現場まで運搬される。このように構成された補強材12aを用いても、上記各実施例と同等の作用効果が得られる。
【0038】
図9および図10は、本発明にかかる地下合成壁の第4実施例を示しており、上記実施例と同一若しくは相当する部分には、同一符号を付してその説明を省略するとともに、以下にその特徴点についてのみ説明する。
【0039】
これらの図に示した実施例は、上記第1ないしは第2実施例の補強材12bの変形例であり、本実施例の補強材12bは、2枚のPC板20bと、対向配置されたPC板20b間を連結する連結部材22bとを備えている。
【0040】
PC板20bは、所定の厚みを有する平板状のものであって、その内部には、上下方向に延設された複数の主筋24bが埋設されている。主筋24bは、所定の間隔を隔てて相互が平行になるように配置されている。
【0041】
連結部材22bは、本実施例の場合、鉄筋と鋼板から構成され、帯筋26bと連結鋼板28bとを備えている。帯筋26bは、PC板20bの上下端に配置され、複数の主筋24bを正方形状取り囲むようにして、PC板20bを連結している。
【0042】
鋼板28bは、PC板20bの両側側面に配置されていて、上下方向に所定の間隔を隔てて段状に設けられ、両端を対向配置されたPC板20bの主筋24bに固着することにより、PC板20bを連結している。
【0043】
このように構成された補強材12bを用いても、上記各実施例と同等の作用効果が得られる。
【0044】
図11は、本発明にかかる地下合成壁の第5実施例を示しており、上記実施例と同一若しくは相当する部分には、同一符号を付してその説明を省略するとともに、以下にその特徴点についてのみ説明する。
【0045】
同図に示した実施例は、本発明の地下合成壁のより具体的な実施例であり、本実施例では、地下合成壁10cに用いる補強材12cは、地中に構築する構造物のうち、耐震性などの高性能要求部Aに配置され、仮設構造部分などの非高性能要求部Bには、補強材12cの主筋24cの部分だけをソイルセメントまたはソイルモルタルの固化部14c中に挿入している。
【0046】
すなわち、本実施例の場合には、地盤16cの所定深度にカルバートボックス30を形成するので、形成しようとするカルバートボックス30の側壁部分に、地中合成壁10cの補強材12cをそのまま利用するものである。
【0047】
本実施例の場合、地中合成壁10cを構築する際には、例えば、第1実施例で説明したように、地盤16c中に柱列状掘削孔18cを形成し、ソイルセメントとともに、補強材12cを掘削孔18c内に挿入することにより構築され、柱列状掘削孔18cを形成する際には、オーガー掘削機などを地盤16cの所定深度まで貫入し、セメントミルクを噴射させながら、現地盤土砂を攪拌混合して、ソイルセメントを造成する。
【0048】
そして、このソイルセメントの固化前に、掘削孔18c内に補強材12cを挿入して、その後に、ソイルセメントを固化させて固化部14cが形成される。本実施例で用いられる補強材12cは、カルバートボックス30の形成位置に対応する部分にだけ、PC板20cが配置されている。
【0049】
各PC板20cに埋設されている主筋24cは、上下端に延設されて、連結筋28cにより結合されており、カルバートボックス30の下底版30aを形成する個所から下の部分と、上底版30bを形成する個所から上の部分は、PC板20cを設けずに、主筋24cと連結筋28cのみの構成としている。
【0050】
本実施例の場合には、地下合成壁10cを形成した後に、内部を所定深度まで掘削して、地下合成壁10cのPC板20cをはつりだしなどにより露出させ、その後、露出したPC板20cの側面に、下および上底版30a,30bを連結形成して、カルバートボックス30を形成する。
【0051】
この場合、予め、掘削側に配置されるPC板20cの外面に、保護シートを貼着することができ、このような手段を講じておくと、完成時の壁面がきれいに仕上がる。
【0052】
また、掘削側に配置されるPC板20cに底版30a,30bとの間の連結用ナット部などを設けておくと、底版30a,30bとの間の結合が簡単に行える。以上のような構成によれば、高い付着力は、必要とする部分にだけにPC板20cを配置するので、経済性が向上する。
【0053】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかる地下合成壁によれば、構造性能が有効に発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる地下合成壁の第1実施例を示す平面図である。
【図2】図1の縦断面図である。
【図3】図1の地下合成壁で用いる補強材の平面図である。
【図4】図3の縦断面図である。
【図5】本発明にかかる地下合成壁の第2実施例を示す平面図である。
【図6】図5の縦断面図である。
【図7】本発明にかかる地下合成壁の第3実施例を示す平面図である。
【図8】図7の縦断面図である。
【図9】本発明にかかる地下合成壁の第4実施例を示す平面図である。
【図10】図9の縦断面図である。
【図11】本発明にかかる地下合成壁の第5実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
10,10a,10b,10c 地下合成壁
12,12a,12b,12c 補強材
14,14a 固化部
20,20a,20b,20c PC板
22,22a,22b,22c 連結部材
24,24a,24b,24c 主筋
【発明の属する技術分野】
この発明は、地下合成壁に関し、特に、ソイルセメントやソイルモルタルの固化部とプレキャストコンクリート板とを併用する地下合成壁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地中に土留め壁を構築する方法として、例えば、非特許文献1の第116〜117pに記載されているように、地下連続壁工法が知られている。この地下連続壁工法では、地盤中に安定液を満たして、溝孔を掘削し、鉄筋籠を溝孔内に建て込んだ後に、安定液をコンクリートに置換して、コンクリートを固化させるとこで、単位壁体を形成することを基本構成としている。
【0003】
このような地下連続壁工法で構築される壁体は、品質は良いが、コストが高く、また、掘削した部分をコンクリートに置換するので、残土が多く発生するという問題があった。
【0004】
一方、前述した地下連続壁工法において、コンクリートに替えて、現地掘削土に、セメントおよび細骨材を加えて混練した混合物を、掘削溝内に打設して形成されるソイルモルタル壁体は、残土の発生を低減し、かつ、コストも低減することができる。
【0005】
しかしながら、このような従来のソイルモルタル壁体には、以下に説明する課題があった。
【0006】
【非特許文献1】
「土木工法辞典」 2001年9月 産業調査会発行
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、ソイルモルタル壁体では、壁体の強度補強用に鉄筋を挿入することも行われているが、ソイルモルタルと鉄筋との付着性能が低いため、外力が加わった際に、付着破壊が起こり、設定した構造性能を有効に発揮することが難しいという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、構造性能が有効に発揮されるソイルモルタル地下合成壁を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、地盤中に掘削した溝状ないしは柱列状掘削孔内に、ソイルセメントまたはソイルモルタルとともに補強材を挿入して構築される地下合成壁であって、前記補強材は、前記溝状掘削孔内の前後壁面側に配置され、内部に主筋が埋設された一対のプレキャストコンクリート板と、対向配置された前記プレキャストコンクリート板間を連結する連結部材とを有し、前記プレキャストコンクリート板間および前記掘削孔と前記プレキャストコンクリート板間に前記ソイルセメントまたはソイルモルタルの固化部を介装するようにした。
【0010】
このように構成した地下合成壁によれば、主筋がプレキャストコンクリート板内に埋設されているので、大きな付着力が得られ、構造性能が有効に発揮される。
【0011】
また、合成壁の大部分は、ソイルセメントまたはソイルモルタルの固化部なので、残土を少なくすることもできる。
【0012】
前記連結部材は、前記主筋間に渡設される斜筋ないしは帯筋から構成することができる。
【0013】
掘削側に配置される前記プレキャストコンクリート板の外面には、予め保護シートを貼着することができる。
【0014】
前記補強材は、地中に構築する構造物のうち、耐震性などの高性能要求部に配置され、仮設構造部分などの非高性能要求部には、前記補強材の主筋部分を前記ソイルセメントまたはソイルモルタルの前記固化部中に挿入することができる。
【0015】
この構成によれば、高い付着力は、必要とする部分にだけに配置するので、経済性が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1から図4は、本発明にかかる地下合成壁の第1実施例を示している。同図に示した地下合成壁10は、補強材12と固化部14とを有している。
【0017】
本実施例の地下合成壁10は、地盤16中に柱列状掘削孔18を形成し、ソイルセメントとともに、補強材12を掘削孔18内に挿入することにより構築される。
【0018】
柱列状掘削孔18を形成する際には、オーガー掘削機などを地盤16の所定深度まで貫入し、セメントミルクを噴射させながら、現地盤土砂を攪拌混合して、ソイルセメントを作成する。
【0019】
そして、このソイルセメントの固化前に、掘削孔18内に補強材12を挿入して、その後に、ソイルセメントを固化させることで固化部14が形成される。本実施例で用いられる補強材12は、その詳細を図3,4に示すように、2枚のプレキャストコンクリート板(以下、PC板と略す)20と、対向配置されたPC板20間を連結する連結部材22とを備えている。
【0020】
PC板20は、所定の厚みを有する平板状のものであって、その内部には、上下方向に延設された複数の主筋24が埋設されている。本実施例の場合、PC板20は、掘削孔18の前後壁面側、すなわち、構築される地下合成壁10の根切り掘削側とこれに対向する地山側に配置される。
【0021】
主筋24は、複数本が所定の間隔を隔てて相互が平行になるように配置されている。連結部材22は、本実施例の場合、複数の鉄筋から構成され、帯筋26と連結筋28とを備えている。帯筋26は、PC板20の上下端に配置され、複数の主筋24を正方形状取り囲むようにして、PC板20を連結している。
【0022】
連結筋28は、PC板20の両側側面に配置されていて、上下方向に所定の間隔を隔てて段状に設けられ、両端を対向配置されたPC板20の主筋24に固着することにより、PC板20を連結している。
【0023】
このような構成の補強材12は、予め、工場生産され、地下合成壁10の構築現場まで運搬される。固化部14は、本実施例の場合、ソイルセメントが固化することで形成されるものであり、この固化部14は、対向配置された一対のPC板20間、および、掘削孔18と各PC板20間に充填介装される。
【0024】
さて、以上のように構成した地下合成壁10によれば、主筋24がPC板20内に埋設されているので、大きな付着力が得られ、外力が作用した場合に、従来のソイルモルタルのように簡単に付着破壊が起こらず、構造性能が有効に発揮される。
【0025】
また、本実施例の場合、合成壁10の大部分は、現位置掘削土をセメントで固めたソイルセメントの固化部14なので、残土の発生を非常に少なくすることもできる。
【0026】
図5および図6は、本発明にかかる地下合成壁の第2実施例を示しており、上記実施例と同一若しくは相当する部分には、同一符号を付してその説明を省略するとともに、以下にその特徴点についてのみ説明する。
【0027】
同図に示した地下合成壁10aは、補強材12と固化部14aとを有している。本実施例の地下合成壁10aは、地盤16中に角溝状の掘削孔18aを形成し、掘削孔18a内にソイルモルタルとともに、補強材12を挿入することにより構築される。
【0028】
溝状掘削孔18aを形成する際には、安定液を満たしながら所定深度まで掘削し、掘削孔18a内に補強材12を建て込んだ後に、安定液をソイルモルタルで置換することにより地下合成壁10aを造成する。
【0029】
この場合、ソイルモルタルは、掘削孔18aを掘削する際に発生した現地掘削土に、セメントおよび細骨材、各種混和材を添加して、これらを混練することにより作製され、得られたソイルモルタルを掘削孔18a内に投入して、安定液と置換する。そして、掘削孔18a内に充填されたソイルモルタルが固化すると、固化部14aが形成される。
【0030】
本実施例で用いられる補強材12は、第一実施例で用いたものと同じものが用いられている。ソイルモルタルが固化することで形成される固化部14aは、対向配置された一対のPC板20間、および、掘削孔18と各PC板20間に充填介装される。
【0031】
このように構成した第2実施例においても、上記実施例と同様に、主筋24がPC板20内に埋設されているので、大きな付着力が得られ、構造性能が有効に発揮されるとともに、合成壁10aの大部分は、現地発生土を用いるソイルモルタルの固化部14aなので、残土を少なくすることもできる。
【0032】
図7および図8は、本発明にかかる地下合成壁の第3実施例を示しており、上記実施例と同一若しくは相当する部分には、同一符号を付してその説明を省略するとともに、以下にその特徴点についてのみ説明する。
【0033】
これらの図に示した実施例は、上記第1ないしは第2実施例の補強材12aの変形例であり、本実施例の補強材12aは、2枚のPC板20aと、対向配置されたPC板20a間を連結する連結部材22aとを備えている。
【0034】
PC板20aは、所定の厚みを有する平板状のものであって、その内部には、上下方向に延設された複数の主筋24aが埋設されている。主筋24aは、所定の間隔を隔てて相互が平行になるように配置されている。
【0035】
連結部材22aは、本実施例の場合、複数の鉄筋から構成され、水平斜筋26aと鉛直斜筋28aとを備えている。水平斜筋26aは、PC板20aの上下端に配置され、対向するPC板20aの主筋24aを、斜めに結合するように、波状に屈曲形成されていて、一対のPC板20を連結している。
【0036】
鉛直斜筋28aは、対向配置された一対のPC板20aの両側側面に配置されていて、対向するPC板20aの主筋24aを、斜めに結合するように、波状に屈曲形成されていて、一対のPC板20を連結している。
【0037】
以上のような構成の補強材12aは、予め、工場生産され、地下合成壁の構築現場まで運搬される。このように構成された補強材12aを用いても、上記各実施例と同等の作用効果が得られる。
【0038】
図9および図10は、本発明にかかる地下合成壁の第4実施例を示しており、上記実施例と同一若しくは相当する部分には、同一符号を付してその説明を省略するとともに、以下にその特徴点についてのみ説明する。
【0039】
これらの図に示した実施例は、上記第1ないしは第2実施例の補強材12bの変形例であり、本実施例の補強材12bは、2枚のPC板20bと、対向配置されたPC板20b間を連結する連結部材22bとを備えている。
【0040】
PC板20bは、所定の厚みを有する平板状のものであって、その内部には、上下方向に延設された複数の主筋24bが埋設されている。主筋24bは、所定の間隔を隔てて相互が平行になるように配置されている。
【0041】
連結部材22bは、本実施例の場合、鉄筋と鋼板から構成され、帯筋26bと連結鋼板28bとを備えている。帯筋26bは、PC板20bの上下端に配置され、複数の主筋24bを正方形状取り囲むようにして、PC板20bを連結している。
【0042】
鋼板28bは、PC板20bの両側側面に配置されていて、上下方向に所定の間隔を隔てて段状に設けられ、両端を対向配置されたPC板20bの主筋24bに固着することにより、PC板20bを連結している。
【0043】
このように構成された補強材12bを用いても、上記各実施例と同等の作用効果が得られる。
【0044】
図11は、本発明にかかる地下合成壁の第5実施例を示しており、上記実施例と同一若しくは相当する部分には、同一符号を付してその説明を省略するとともに、以下にその特徴点についてのみ説明する。
【0045】
同図に示した実施例は、本発明の地下合成壁のより具体的な実施例であり、本実施例では、地下合成壁10cに用いる補強材12cは、地中に構築する構造物のうち、耐震性などの高性能要求部Aに配置され、仮設構造部分などの非高性能要求部Bには、補強材12cの主筋24cの部分だけをソイルセメントまたはソイルモルタルの固化部14c中に挿入している。
【0046】
すなわち、本実施例の場合には、地盤16cの所定深度にカルバートボックス30を形成するので、形成しようとするカルバートボックス30の側壁部分に、地中合成壁10cの補強材12cをそのまま利用するものである。
【0047】
本実施例の場合、地中合成壁10cを構築する際には、例えば、第1実施例で説明したように、地盤16c中に柱列状掘削孔18cを形成し、ソイルセメントとともに、補強材12cを掘削孔18c内に挿入することにより構築され、柱列状掘削孔18cを形成する際には、オーガー掘削機などを地盤16cの所定深度まで貫入し、セメントミルクを噴射させながら、現地盤土砂を攪拌混合して、ソイルセメントを造成する。
【0048】
そして、このソイルセメントの固化前に、掘削孔18c内に補強材12cを挿入して、その後に、ソイルセメントを固化させて固化部14cが形成される。本実施例で用いられる補強材12cは、カルバートボックス30の形成位置に対応する部分にだけ、PC板20cが配置されている。
【0049】
各PC板20cに埋設されている主筋24cは、上下端に延設されて、連結筋28cにより結合されており、カルバートボックス30の下底版30aを形成する個所から下の部分と、上底版30bを形成する個所から上の部分は、PC板20cを設けずに、主筋24cと連結筋28cのみの構成としている。
【0050】
本実施例の場合には、地下合成壁10cを形成した後に、内部を所定深度まで掘削して、地下合成壁10cのPC板20cをはつりだしなどにより露出させ、その後、露出したPC板20cの側面に、下および上底版30a,30bを連結形成して、カルバートボックス30を形成する。
【0051】
この場合、予め、掘削側に配置されるPC板20cの外面に、保護シートを貼着することができ、このような手段を講じておくと、完成時の壁面がきれいに仕上がる。
【0052】
また、掘削側に配置されるPC板20cに底版30a,30bとの間の連結用ナット部などを設けておくと、底版30a,30bとの間の結合が簡単に行える。以上のような構成によれば、高い付着力は、必要とする部分にだけにPC板20cを配置するので、経済性が向上する。
【0053】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかる地下合成壁によれば、構造性能が有効に発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる地下合成壁の第1実施例を示す平面図である。
【図2】図1の縦断面図である。
【図3】図1の地下合成壁で用いる補強材の平面図である。
【図4】図3の縦断面図である。
【図5】本発明にかかる地下合成壁の第2実施例を示す平面図である。
【図6】図5の縦断面図である。
【図7】本発明にかかる地下合成壁の第3実施例を示す平面図である。
【図8】図7の縦断面図である。
【図9】本発明にかかる地下合成壁の第4実施例を示す平面図である。
【図10】図9の縦断面図である。
【図11】本発明にかかる地下合成壁の第5実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
10,10a,10b,10c 地下合成壁
12,12a,12b,12c 補強材
14,14a 固化部
20,20a,20b,20c PC板
22,22a,22b,22c 連結部材
24,24a,24b,24c 主筋
Claims (4)
- 地盤中に掘削した溝状ないしは柱列状掘削孔内に、ソイルセメントまたはソイルモルタルとともに鉄筋などの補強材を挿入して構築される地下合成壁であって、
前記補強材は、前記溝状掘削孔内の前後壁面側に配置され、内部に主筋が埋設された一対のプレキャストコンクリート板と、対向配置された前記プレキャストコンクリート板間を連結する連結部材とを有し、
前記プレキャストコンクリート板間および前記掘削孔と前記プレキャストコンクリート板間に前記ソイルセメントまたはソイルモルタルの固化部を介装することを特徴とする地下合成壁。 - 前記連結部材は、前記主筋間に渡設される斜筋ないしは帯筋からなることを特徴とする請求項1記載の地下合成壁。
- 掘削側に配置される前記プレキャストコンクリート板の外面には、予め保護シートを貼着することを特徴とする請求項1または2記載の地下合成壁。
- 前記補強材は、地中に構築する構造物のうち、耐震性などの高性能要求部に配置され、仮設構造部分などの非高性能要求部には、前記補強材の主筋部分を前記ソイルセメントまたはソイルモルタルの前記固化部中に挿入することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の地下合成壁。
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- 2003-03-04 JP JP2003056593A patent/JP2004263490A/ja active Pending
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