JP3239867U - カルバート構造物 - Google Patents

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賀紀 森
俊彦 小澤
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共和コンクリート工業株式会社
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Abstract

Figure 0003239867000001
【課題】カルバート構造物において地震等の外力に対するハンチ部の耐荷性能を確保し、カルバート構造物全体をより剛性の高いかつ粘り強いものにする。
【解決手段】立設する複数の側壁3と側壁3間に架設する頂版4とを有するカルバート構造物1であって、頂版4は、プレキャストコンクリート製の下部頂版部材5と、下部頂版部材5の上に備える現場打ちコンクリートによって形成される上部頂版部材6とからなり、下部頂版部材5には、側壁3に接する両端にハンチ部54を形成するとともに、ハンチ部54を形成した両端にその幅方向中央を切り欠いて切欠部55を形成し、切欠部55に、一端側を機械式継手58によって側壁3に設けたハンチ用斜め鉄筋33に接合し、他端側を現場打ちコンクリートによって形成される上部頂版部材6内部の鉄筋に接合するハンチ鉄筋57を配置する。
【選択図】図7

Description

本考案は、橋梁やトンネルや暗渠などを構築するときに用いるカルバート構造物に関する。
プレキャストコンクリートによるカルバート構造物は、施工現場において、1個あるいは複数個並べて設置することで、橋梁やトンネルや暗渠などを構築することができる。このカルバート構造物には、例えば、立設する複数の側壁と、側壁間に架設する頂版とから断面が門形になる門形カルバート、または、底版と、底版の上に立設する複数の側壁と、側壁間に架設する頂版とから断面が方形枠型になるボックスカルバートなどがある。
例えば、特許文献1に開示されているカルバート構造物は、立設する複数の側壁と側壁間に架設する頂版と有する門形カルバートであって、頂版は、プレキャストコンクリート製の下部頂版部材と、下部頂版部材の上に備える現場打ちコンクリートによって形成される上部頂版部材とからなる。側壁や頂版の内部には、鉄筋をそれぞれ配置している。
また、頂版の下部頂版部材は、側壁に接する両端に、断面を大きくして強度を上げるためのハンチ部を形成する。このハンチ部の内部には、ハンチ鉄筋を配置している。
ところで、このハンチ部の内部に配置したハンチ鉄筋は、その一端側の上端を現場打ちコンクリートによって形成される上部頂版部材に埋設する。これとともに、ハンチ鉄筋の他端側の下端は、ハンチ部の内部に配置された横に向かう鉄筋に固定する。すなわち、ハンチ鉄筋は、その下端がハンチ部の内部に収まったものであり、側壁に設ける鉄筋とは接合していない。
このようにハンチ部に配置するハンチ鉄筋が側壁に設ける鉄筋と接合していないことで、地震等の外力に対するハンチ部の耐荷性能が確保できず、それによりカルバート構造物全体の剛性や粘り強さが確保できない。
特開2021-42610号公報
本考案は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、カルバート構造物において地震等の外力に対するハンチ部の耐荷性能を確保し、カルバート構造物全体をより剛性の高いかつ粘り強いものにすることである。
本考案は、立設する複数の側壁と側壁間に架設する頂版とを有するカルバート構造物であって、頂版は、プレキャストコンクリート製の下部頂版部材と、下部頂版部材の上に備える現場打ちコンクリートによって形成される上部頂版部材とからなり、下部頂版部材には、側壁に接する両端にハンチ部を形成するとともに、ハンチ部を形成した両端にその幅方向中央を切り欠いて切欠部を形成し、切欠部に、一端側を機械式継手によって側壁に設けた鉄筋に接合し、他端側を現場打ちコンクリートによって形成される上部頂版部材に埋設するハンチ鉄筋を配置したカルバート構造物である。
本考案によれば、下部頂版部材の切欠部に配置したハンチ鉄筋により、地震等の外力に対するハンチ部の耐荷性能を確保し、カルバート構造物全体をより剛性の高いかつ粘り強いものにすることができる。
本考案のカルバート構造物の正面図である。 本考案のカルバート構造物の斜視図である。 本考案のカルバート構造物の底版の一部断面正面図である。 本考案のカルバート構造物の側壁の一部断面正面図である。 本考案のカルバート構造物の頂版の一部断面正面図である。 本考案のカルバート構造物の頂版の下部頂版部材の端部の斜視図である。 本考案のカルバート構造物の頂版の端部のハンチ鉄筋を示す図である。 本考案のカルバート構造物の施工の工程を示す図であって、図8Aは、底版と側壁を設置したときの図、図8Bは、下部頂版部材を運んでいるときの図である。 本考案のカルバート構造物の施工の工程を示す図であって、図9Aは、下部頂版部材を側壁間に架設したときの図、図9Bは、ハンチ鉄筋を取り付けたときの図である。 本考案のカルバート構造物の施工の工程を示す図であって、下部頂版部材の上に上部頂版部材を形成したときの図である。 本考案のカルバート構造物の頂版のハンチ部の別の例を示す図である。 図11のA部の一部断面拡大図である。 本考案の別のカルバート構造物の斜視図である。 本考案の別のカルバート構造物の正面図である。
本考案のカルバート構造物の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、カルバート構造物の正面図、図2は、カルバート構造物の斜視図、図3は、カルバート構造物の底版の一部断面正面図、図4は、カルバート構造物の側壁の一部断面正面図、図5は、カルバート構造物の頂版の一部断面正面図、図6は、カルバート構造物の頂版の下部頂版部材の端部の斜視図、図7は、カルバート構造物の頂版の端部のハンチ鉄筋を示す図である。
本実施形態のカルバート構造物は、橋梁やトンネルや暗渠などを構築するとき、施工現場に、1個あるいは複数個並べて設置することで、橋梁やトンネルや暗渠などを構築することができるものである。
ここで説明するカルバート構造物1は、図1、図2に示すように、底版2と2つの側壁3と側壁3間に架設する頂版4とから断面が方形枠型になるボックスカルバートである。ただし、カルバート構造物1は、このボックスカルバートに限定されるものではなく、立設する2つの側壁と、側壁間に架設する頂版とから断面が門形になる門形カルバートなど他のものでもよい。
カルバート構造物1は、左右方向に長い板状の底版2と、底版2の左右両端の上に立設する左右一対の側壁3と、側壁3間に架設する左右方向に長い板状の頂版4とを有する。
本明細書内において「左右方向」は、カルバート構造物1の施工幅方向であり、図1、図2の図面中に矢印Lで示す。なお、他の図面中における矢印Lも同趣である。
底版2は、左右方向に長い板状であって、図3に示すように、所定の厚みTbを有し、その内部に鉄筋を設け、すなわち左右方向に向かう主鉄筋21を上下二列にそれぞれ複数設けるとともに、この左右方向に向かう主鉄筋21と直交する方向に向かう配力筋22を複数設ける。
左右一対の側壁3は、底版2の左右両端の上にそれぞれ立設するもので、左右対称である。側壁3は、図4に示すように、所定の厚みTsを有し、その内部に鉄筋を設け、すなわち上下方向(立設する方向)に向かう主鉄筋31を左右二列にそれぞれ複数設けるとともに、この上下方向に向かう主鉄筋31と直交する方向に向かう配力筋32を複数設ける。なお、図4は、左右一対の側壁3のうち右側の側壁3のみを示す。また、左右一対の側壁3には、主鉄筋31に接合し、側壁3の上面より斜め上方に向かって突出するハンチ用斜め鉄筋33を設ける。このハンチ用斜め鉄筋33の斜め上方に突出する方向は、左右一対の側壁3における相対する方向である。
この底版2と左右一対の側壁3は、施工現場においてコンクリートを直接打設する現場打ちコンクリートによって形成されるもので、底版2と左右一対の側壁3を一体に製作する。ただし、底版2と左右一対の側壁3は、現場打ちコンクリートによって形成されるものに限定されるものではなく、底版2と左右一対の側壁3を、あらかじめ専用工場において一体に製作するプレキャストコンクリート製でもよい。
頂版4は、左右方向に長い板状であって、左右一対の側壁3間に架設するものである。頂版4は、図5に示すように、下部頂版部材5と、この下部頂版部材5の上に備える上部頂版部材6とからなり、下部頂版部材5がプレキャストコンクリート製であり、上部頂版部材6が施工現場でコンクリートを直接打設する現場打ちコンクリートによって形成される。
頂版4の下部頂版部材5は、所定の厚みTdを有し、その内部に鉄筋を設け、すなわち左右方向に向かう主鉄筋51を上下二列にそれぞれ複数設けるとともに、この左右方向に向かう主鉄筋51と直交する方向に向かう配力筋52を複数設ける。また、頂版4の上部頂版部材6は、所定の厚みTuを有し、その内部に鉄筋を設け、すなわち左右方向に向かう主鉄筋61を上下二列にそれぞれ複数設けるとともに、この左右方向に向かう主鉄筋61と直交する方向に向かう配力筋62を複数設ける。また、下部頂版部材5から立ち上がって上部頂版部材6に埋設するスターラップ筋53を複数設けている。
頂版4の下部頂版部材5には、頂版4と側壁3とが接する部分の耐力向上のために、側壁3に接する左右の両端に断面を大きくしたハンチ部54をそれぞれ形成する。ハンチ部54は、下部頂版部材5の左右の両端の下部に形成し、端部に向かって下部頂版部材5の断面を徐々に大きくしたもので、その下面が傾斜している。
下部頂版部材5では、図6に示すように、ハンチ部54を形成した左右の両端においてその幅方向中央を切り欠いて切欠部55を形成する。切欠部55を形成することで、切欠部55の幅方向両外側の外壁部56が側壁3の上面に当接する。
ここでの「幅方向」は、頂版4の下部頂版部材5の幅方向であり、図6の図面中に矢印Wで示す。
また、この下部頂版部材5において、ハンチ部54の切欠部55には、ハンチ鉄筋57を複数配置する。ハンチ鉄筋57は、ハンチ部54の下面の傾斜に沿うように斜めに配置する。
ハンチ鉄筋57は、図7に示すように、その一端側の下端を、側壁3に設けた鉄筋のハンチ用斜め鉄筋33に機械式継手58によって接合する。
このハンチ鉄筋57と側壁3に設けたハンチ用斜め鉄筋33を接合する機械式継手58は、溶接や圧接をせずにカプラーを用いて鉄筋同士をつなぎ合わせる継手であって、その種類は、ねじ節鉄筋継手、モルタル充填継手、端部ねじ加工継手などがある。
また、ハンチ鉄筋57の他端側の上端は、下部頂版部材5より上方に突出し、下部頂版部材5の上に、現場打ちコンクリートによって上部頂版部材6を形成するときに、この上部頂版部材6に埋設される。このハンチ鉄筋57の上端は、上部頂版部材6の内部に設ける鉄筋の主鉄筋61に接合する。なお、ハンチ鉄筋57は、上部頂版部材6内部の主鉄筋61に接合しているが、主鉄筋61以外の配力筋62などのその他の鉄筋に接合してもよい。
また、上部頂版部材6を形成するときは、下部頂版部材5の切欠部55にもコンクリートを打設して切欠部55を埋める。これにより、切欠部55に配置したハンチ鉄筋57、機械式継手58、側壁3に設けたハンチ用斜め鉄筋33の上部はコンクリートの中に埋設される。
次に、本実施形態のカルバート構造物1の施工例について説明する。
図8、図9、図10は、カルバート構造物の施工の工程を示す図であって、図8Aは、底版と側壁を設置したときの図、図8Bは、下部頂版部材を運んでいるときの図、図9Aは、下部頂版部材を側壁間に架設したときの図、図9Bは、ハンチ鉄筋を取り付けたときの図、図10は、下部頂版部材の上に上部頂版部材を形成したときの図である。
カルバート構造物1の施工は、底版2と側壁3を設置する第一の工程と、側壁3間に頂版4の下部頂版部材5を架設する第二の工程と、ハンチ鉄筋57を取り付ける第三の工程と、下部頂版部材5の上に上部頂版部材6を形成する第四の工程とを有する。
第一の工程は、図8Aに示すように、施工現場において、底版2と左右一対の側壁3とをコンクリートを直接打設する現場打ちコンクリートによって形成することで、底版2と左右一対の側壁3を設置する。
第二の工程は、施工現場に設置した左右一対の側壁3間に頂版4の下部頂版部材5を架設する。すなわち、図8Bに示すように、プレキャストコンクリート製の下部頂版部材5をクレーン等の搬送機械で、左右一対の側壁3の上に運ぶ。続いて、図9Aに示すように、下部頂版部材5を左右一対の側壁3間に架設する。
第三の工程は、図9Bに示すように、下部頂版部材5の左右両端に形成した切欠部55に複数のハンチ鉄筋57を配置し、このハンチ鉄筋57の下端を、機械式継手58によって側壁3に設けたハンチ用斜め鉄筋33に接合することで、ハンチ鉄筋57を取り付ける。
第四の工程は、下部頂版部材5の上に、現場打ちコンクリートによって上部頂版部材6を形成して、頂版4を製作する。すなわち、図10に示すように、下部頂版部材5の上に、上部頂版部材6の内部に埋設される主鉄筋61等を設け、この主鉄筋61に、下部頂版部材5から上方に突出する複数のスターラップ筋53を接合するとともに、ハンチ鉄筋57も接合する。この主鉄筋61等を設けた後、ここにコンクリートを打設し、上部頂版部材6を形成することで、下部頂版部材5と上部頂版部材6とからなる頂版4が出来上がる。
これにより、カルバート構造物1を施工現場に構築することができる。
以上説明したように、下部頂版部材5のハンチ部54に配置するハンチ鉄筋57において、その一端側を、側壁3に設けたハンチ用斜め鉄筋33に機械式継手58によって接合するとともに、他端側を、上部頂版部材6内部の鉄筋の主鉄筋61に接合することで、ハンチ鉄筋57の剛性を高めることができる。このハンチ鉄筋57によって、地震等の外力に対するハンチ部54の耐荷性能を確保することができ、これにより、カルバート構造物全体をより剛性の高いかつ粘り強いものにすることができる。
また、ハンチ鉄筋57は、下部頂版部材5のハンチ部54に形成した切欠部55に配置することで、ハンチ鉄筋57の下端を、側壁3に設けたハンチ用斜め鉄筋33に機械式継手58によって接合する作業を簡単に行うことができる。
本考案のカルバート構造物1は、前述の実施形態に限定されるものではない。例えば、頂版4の下部頂版部材5に形成するハンチ部54にあっては、図11に示すように、ハンチ部54の下面の傾斜角を水平面に対して約45度(図面中にSで示す)にする。これにより、カルバート構造物1を構築する施工現場において、建築上の制約等により、ハンチ部54を横方向に大きくすることができない場合があるが、このような制約を受ける施工現場でも、本考案のカルバート構造物1を構築することができる。ハンチ部54の下面の傾斜角を上記のように水平面に対して約45度にした場合、図12に示すように、下部頂版部材5に形成する切欠部55では、下部頂版部材5の下面まで貫通している。そのため、カルバート構造物1の施工では、頂版4の上部頂版部材6を形成するとき、切欠部55にもコンクリートを打設するが、このとき、切欠部55の下側にも型枠を設置することで、コンクリートの流出を防止して打設を行うようにする。
また、本考案のカルバート構造物1は、例えば、図13に示すように、底版2と、立設する左右一対の側壁3において、その幅方向(図面中の矢印Wの方向)を、前述のものの約2倍にした幅広型のボックスカルバートでもよい。この場合、左右一対の側壁3間に架設する頂版4は、底版2や側壁3のように幅方向を2倍にするのではなく、頂版4を2つ並べて側壁3間に架設する。
また、図14に示すように、左右に2つの開口を有する2連型のボックスカルバートでもよい。この2連型のボックスカルバートでは、底版2の上に3つの側壁3が立設するようになり、側壁3間に架設する頂版4は、2つの頂版4を左右それぞれに架設する。
1…カルバート構造物、2…底版、3…側壁、4…頂版、5…下部頂版部材、6…上部頂版部材、21…主鉄筋、22…配力筋、31…主鉄筋、32…配力筋、33…ハンチ用斜め鉄筋、51…主鉄筋、52…配力筋、53…スターラップ筋、54…ハンチ部、55…切欠部、56…外壁部、57…ハンチ鉄筋、58…機械式継手、61…主鉄筋、62…配力筋。

Claims (1)

  1. 立設する複数の側壁と側壁間に架設する頂版とを有するカルバート構造物であって、
    頂版は、プレキャストコンクリート製の下部頂版部材と、下部頂版部材の上に備える現場打ちコンクリートによって形成される上部頂版部材とからなり、
    下部頂版部材には、側壁に接する両端にハンチ部を形成するとともに、ハンチ部を形成した両端にその幅方向中央を切り欠いて切欠部を形成し、切欠部に、一端側を機械式継手によって側壁に設けた鉄筋に接合し、他端側を現場打ちコンクリートによって形成される上部頂版部材内部の鉄筋に接合するハンチ鉄筋を配置したことを特徴とするカルバート構造物。
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