JP7182049B2 - 近赤外線吸収性色素、近赤外線吸収性組成物、および光学フィルタ - Google Patents
近赤外線吸収性色素、近赤外線吸収性組成物、および光学フィルタ Download PDFInfo
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Description
一般式(1)
[一般式(1)中、X1~X8、Yl~Y8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または、置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。また、X1~X8は、それぞれ独立に、互いに結合して置換基を有してもよい芳香環を形成しても良い。ただし、X1とX2、X3とX4、X5とX6、X7とX8のいずれか1つ以上は互いに結合して置換基を有してもよい芳香環を形成する。
Z1は、-OP(=O)R1R2、または一般式(2)で表される単量体単位を含む重合体部位を表す。ここでR1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。]
一般式(2)
[一般式(2)中、Wは、-CONH-R4-、-COO-R5-、-CONH-R6-O-、-COO-R7-O-を表し、R4~R7は、炭素原子と炭素原子の間が、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、または-NHCO-で連結されていても良いアルキレン基もしくはアリーレン基を表す。R3は水素原子または、メチル基を表す。*は、Alとの結合手である。]
一般式(3)
[一般式(3)中、Y9~Y16、R8~R21は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または、置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。
Z2は、-OP(=O)R1R2、または一般式(2)で表される単量体単位を含む重合体部位を表す。ここでR1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。]
一般式(2)
[一般式(2)中、Wは、-CONH-R4-、-COO-R5-、-CONH-R6-O-、-COO-R7-O-を表し、R4~R7は、炭素原子と炭素原子の間が、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、または-NHCO-で連結されていても良いアルキレン基もしくはアリーレン基を表す。R3は水素原子または、メチル基を表す。*は、Alとの結合手である。]
本発明の近赤外線吸収性色素は、下記一般式(1)で表される近赤外線吸収性色素(A)を含むことを特徴とする。近赤外線吸収性色素(A)は、耐熱性および耐光性が高いフタロシアニン骨格のπ共役系を拡大するように、置換基を有してもよい芳香環を1つ以上有することにより、700nm~800nmの近赤外線をよく吸収する。また、900nmより長波長領域では吸収を持たないため、よく透過するという分光特性を有する。
一般式(1)
[一般式(1)中、X1~X8、Yl~Y8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または、置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。また、X1~X8は、それぞれ独立に、互いに結合して置換基を有してもよい芳香環を形成しても良い。ただし、X1とX2、X3とX4、X5とX6、X7とX8のいずれか1つ以上は互いに結合して置換基を有してもよい芳香環を形成する。
Z1は、-OP(=O)R1R2、または一般式(2)で表される単量体単位を含む重合体部位を表す。ここでR1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。
一般式(2)
[一般式(2)中、Wは、-CONH-R4-、-COO-R5-、-CONH-R6-O-、-COO-R7-O-を表し、R4~R7は、炭素原子と炭素原子の間が、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、または-NHCO-で連結されていても良いアルキレン基もしくはアリーレン基を表す。R3は水素原子または、メチル基を表す。*は、Alとの結合手である。]
「置換基を有するアリール基」は、例えば、p-メチルフェニル基、p-ブロモフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2-アミノフェニル基、2-メチル-4-クロロフェニル基、4-ヒドロキシ-1-ナフチル基、6-メチル-2-ナフチル基、4,5,8-トリクロロ-2-ナフチル基、アントラキノニル基、2-アミノアントラキノニル基等が挙げられる。
「置換基を有するシクロアルキル基」は、例えば、2,5-ジメチルシクロペンチル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
「置換基を有するアルコキシル基」は、例えば、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ基、2,2-ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-ブトキシエトキシ基、2-ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
「置換基を有するアリールオキシ基」は、例えば、p-メチルフェノキシ基、p-ニトロフェノキシ基、p-メトキシフェノキシ基、2,4-ジクロロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2-メチル-4-クロロフェノキシ基等が挙げられる。
「置換基を有するアルキルチオ基」は、例えば、メトキシエチルチオ基、アミノエチルチオ基、ベンジルアミノエチルチオ基、メチルカルボニルアミノエチルチオ基、フェニルカルボニルアミノエチルチオ基等が挙げられる。
「置換基を有するアリールチオ基」は、例えば、クロロフェニルチオ基、トリフルオロメチルフェニルチオ基、シアノフェニルチオ基、ニトロフェニルチオ基、2-アミノフェニルチオ基、2-ヒドロキシフェニルチオ基等が挙げられる。
一般式(1)で表される近赤外線吸収性色素(A)の一形態は、-OP(=O)R1R2で表されるリン化合物部位中のリン酸基と、フタロシアニン部位中のアルミニウムカチオンが塩を形成したものである。
リン化合物部位の原料は、一般式(5)で表されるリン化合物である。
Vはヒドロキシ基または、塩素原子を表す。
限定されるものではない。
一般式(1)で表される近赤外線吸収性色素(A)の一形態は、一般式(2)で表される単量体単位を含む重合体部位中のリン酸基と、フタロシアニン部位中のアルミニウムカチオンが塩を形成したものである。
当該重合体部位は、その原料である一般式(6)で表されるモノマーをビニル重合してなる。なお、当該重合体部位は、一般式(6)で表されるモノマーと、一般式(6)で表されるモノマー以外にその他モノマーとを使用できる。
アルキレン基は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。アリーレン基は、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン基、ターフェニレン基、アンスリレン基があげられる。R23~R26は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。
R22は水素原子または、メチル基を表す。
スチレン類は、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt-Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、α-メチルスチレン等が挙げられる。
水酸基含有モノマーは、例えば、特に限定されないが、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4--ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシビニルベンゼン、2-ヒドロキシ-3--フェノキシプロピルアクリレートまたはこれらモノマーのカプロラクトン付加物(モル数は1~5)等が挙げられる。これらの中でも2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが耐熱性の観点から好ましい。
アゾ系化合物は、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4'-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2'-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、または2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物は、例えば、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、またはジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
(参考文献2)Matyjaszewskiら、Chem.Rev.2001,101,2921
(参考文献3)Matyjaszewskiら、J.Am.Chem.Soc.1995,117,5614
(参考文献4)Macromolecules 1995,28,7901,Science,1996,272,866
(参考文献5)WO96/030421号
(参考文献6)WO97/018247号
(参考文献7)特開平9-208616号公報
(参考文献8)特開平8-41117号公報
Z2は、-OP(=O)R1R2、または一般式(2)で表される単量体単位を含む重合体部位を表す。ここでR1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。
[一般式(2)中、Wは、-CONH-R4-、-COO-R5-、-CONH-R6-O-、-COO-R7-O-を表し、R4~R7は、炭素原子と炭素原子の間が、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、または-NHCO-で連結されていても良いアルキレン基もしくはアリーレン基を表す。R3は水素原子または、メチル基を表す。*は、Alとの結合手である。]
近赤外線吸収性色素(A1)は、ピロール環とナフタレン環が縮合したユニット3つと、イソインドール環ユニット1つが窒素で架橋した3+1型非対称フタロシアニンである。近赤外線吸収性色素(A1)は、非対称型であることにより、芳香環の会合による凝集が緩和し、分散安定性良好な近赤外線吸収性組成物を得ることができる。また、おそらく非対称型であることに由来して、吸収スペクトルの800~900nmに極値点を有さないことから、ノイズの少ない近赤外線吸収性組成物を得ることができる。極値点とは、短波長側から長波長側へ吸光度を確認した際に、吸光度の値が増加から減少へ、または減少から増加へ変化する点である。極値点を有する場合、その波長における透過光がノイズとして検出されることがあるため、極値点を有さない方が、より近赤外線吸収能力が優れていると言える。
一般式(4)および一般式(7)で表されるフタロシアニンの一般的な工業的製法を以下に記載する。(4)の方法は、一般式(7)で表されるフタロシアニンを合成する方法である。(1)~(3)の方法を用いると、一般式(4)で表されるフタロシアニンとして複数の構造を含有する。近赤外線吸収性色素(A)として複数の構造を含有するほうが、芳香環の会合による凝集が緩和され、分散安定性が優れた近赤外線吸収性組成物が得られるため、(1)~(3)の方法が好ましい。
(1)Wyler法
置換あるいは無置換の無水フタル酸および無水ナフタレンジカルボン酸や、置換あるいは無置換の無水フタル酸イミドおよび無水ナフタレンジカルボン酸イミドを用いて,尿素と金属塩存在下,高温で反応させる方法。無水フタル酸と無水ナフタレンジカルボン酸を併用、または、無水フタル酸イミドと無水ナフタレンジカルボン酸イミドを併用することで、一般式(1)で表される近赤外線吸収性色素を得ることができる。
(2)フタロジニトリル法
置換あるいは無置換フタロジニトリルおよび2,3―ジシアノナフタレンを、n-アミルアルコール、n-ヘキシルアルコール、1-メトキシエタノール、1-エトキシエタノールのようなアルコール系溶媒中で、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7)、DBN(1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン-5)、又は(金属)アルコキシドのような強塩基の存在下、金属塩と反応させる方法。フタロジニトリルと2,3―ジシアノナフタレンを併用することで、一般式(1)で表される近赤外線吸収性色素を得ることができる。
(3)ジイミノイソインドリン法
置換あるいは無置換の1,3-ジイミノイソインドリンおよび1,3-ジイミノベンゾ[f]イソインドリンを、2-ジメチルアミノエタノール、キノリン、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7)のような強塩基の存在下、金属塩と反応させる方法。1,3-ジイミノイソインドリンと1,3-ジイミノベンゾ[f]イソインドリン
を併用することで、一般式(1)で表される近赤外線吸収性色素を得ることができる。
(4)サブフタロシアニン開環法(サブフタロシアニンからの非対称型フタロシアニン合成法)
ボロンSUB-2,3-ナフタロシアニンクロリドと置換あるいは無置換の1,3-ジイミノイソインドリンから一般式(8)で表される化合物を合成した後、金属塩と反応させる方法。
近赤外線吸収性色素(A)または近赤外線吸収性色素(A1)は、例えば、フタロシアニン部位(PC1)またはフタロシアニン部位(PC2)と、一般式(5)で表されるリン化合物または一般式(6)で表されるモノマーを含む単量体をビニル重合してなる重合体(以下、重合体ともいう)を反応させて合成する
なお、前記フタロシアニン部位に、前記リン化合物および前記重合体の両方を同時または逐次反応させてもよい。
本発明の近赤外線吸収性色素は、比視感度の高い領域である480nm~650nmの透過性が高く、700nm~800nmの近赤外線の吸収性に優れる。これは、基板に塗工して被膜にした場合に、顕著に表れる。基板に塗工する際は、溶剤等に溶解させて使用しても良く、分散剤等を使用して分散液を得て使用しても良い。バインダ樹脂を加えて、近赤外線吸収性組成物として使用することもできる。
本発明の近赤外線吸収性組成物は、近赤外線吸収性色素(A)または近赤外線吸収性色素(A1)、およびバインダ樹脂を含むことを特徴とする
本発明の近赤外線吸収性組成物は、近赤外線吸収性色素(A)または近赤外線吸収性色素(A1)以外に、他の近赤外線吸収性色素を含有できる。これにより適宜分光を調整できる。他の近赤外線吸収性色素は、例えば、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物(近赤外線吸収性色素(A)または近赤外線吸収性色素(A1)を除く)、ナフタロシアニン化合物(近赤外線吸収性色素(A)を除く)、アントラキノン化合物、アミニウム化合物、ジインモニウム化合物、クロコニウム化合物、アゾ化合物、キノイド型錯体化合物、ジチオール金属錯体化合物等が挙げられる。
本発明の近赤外線吸収性組成物は、本発明の近赤外線吸収性色素以外の400nm~700nmに吸収を持つ有機色素を含むことができる。本発明の近赤外線吸収性組成物に含まれる近赤外線吸収性色素(A)または近赤外線吸収性色素(A1)は、700nm~800nmに強い吸収を持つため、例えば黒色有機色素、複数の有機色素を組み合わせて黒色を呈する有機色素を含むことで、400nm~800nmの光線を遮断し、800nm以上の光を透過する近赤外線透過性組成物として使用することもできる。また、センシングのための光源の波長に合わせて、400nm~700nmの特定領域に吸収を持つ有機色素を含むことで、外部の不正な光を遮断し、センシング精度を高める近赤外線吸収性組成物として使用することができる。ただし、800nm以上での透過率を確保するため、800nm以上の吸収が少ない有機色素を用いる必要がある。
有機色素は、有機顔料を用いても良く、例えば、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ、ジスアゾ、又はポリアゾ等のアゾ系顔料、アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、又はビオラントロン等のアントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、フタロシアニン顔料、スレン系顔料または金属錯体系顔料等が挙げられる。
また、有機色素として、染料を用いても良く、例えば、アントラキノン系染料、モノアゾ系染料、ジスアゾ系染料、オキサジン系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、トリフェニルメタン系染料等が挙げられる。染料を用いる際には。アニオン性染料、カチオン性染料の極性基を用いて樹脂中に取り込み有機溶剤への溶解性を付与する方法が有効となる。
青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79等が挙げられる。
緑色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントグリーン59、C.I.ピグメントグリーン62、C.I.ピグメントグリーン63等が挙げられる。
黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208、231、233、234等が挙げられる
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50等が挙げられる。
赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、1 01、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、291、295、296等が挙げられる。
そのため、これらの欠点を改善するために、塩基性染料の形態の場合は、有機酸や過塩素酸を用いて造塩化して用いることが好ましい。有機酸としては、有機スルホン酸、有機カルボン酸を用いることが好ましい。中でもトビアス酸等のナフタレンスルホン酸、過塩素酸を用いることが耐性の面で好ましい。
また、アニオン基を有する樹脂と造塩化して用いることが好ましく、ベタイン構造を有する樹脂と有機酸とともに造塩して用いることも好ましい。
また、酸性染料、直接染料を含むアニオン性染料の場合は、カチオン性基を有する化合物やカチオン性基を有する樹脂をカウンターイオンとして用いた造塩化合物として用いることが耐熱性、耐光性、耐溶剤性の面で好ましい。
また、カチオン基を有する樹脂と造塩化して用いることが好ましく、側鎖にカチオン基を有する樹脂と有機酸とともに造塩して用いることもより好ましい。
また、アニオン性染料はスルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物として用いることでも、耐性の面で好ましい。
塗工用途で、青色顔料はC.I.ピグメントブルー15:3もしくはピグメントブルー15:6、黄色色素はC.I.ピグメントイエロー139、紫色色素はC.I.ピグメントバイオレット23を用いることが好ましい。また成形用途で、青色顔料はC.I.ピグメントブルー15:3もしくはピグメントブルー15:6、黄色色素はC.I.ピグメントイエロー147、赤色色素はC.I.ソルベントレッド52が好ましい。
本発明の近赤外線吸収組成物には、必要に応じて色素誘導体を含むことができる。色素誘導体は、有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などを有する化合物である。色素誘導体は、例えば、スルホ基、カルボキシ基、またはリン酸基などの酸性置換基を有する化合物、ならびにこれらのアミン塩、スルホンアミド基、または末端に3級アミノ基などの塩基性置換基を有する化合物、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性置換基を有する化合物が挙げられる。
有機色素は、例えばジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チアジンインジゴ系顔料、トリアジン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ベンゾイソインドール等のインドール系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ナフトール系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料等が挙げられる。
本発明の近赤外線吸収組成物は、必要に応じて樹脂型分散剤を含むことができる。樹脂型分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料以外の成分と親和性が高く、分散粒子間を立体反発させる緩和部位とを有する。樹脂型分散剤は、グラフト型(櫛形)、ブロック型等、構造制御された樹脂が好ましく用いられる。
本発明の近赤外線吸収組成物は、バインダ樹脂を含む。バインダ樹脂は、400~700nmの全波長領域において透過率が80%以上の樹脂である。なお、透過率は、95%以上が好ましい。バインダ樹脂は硬化性の面でいうと、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂等が挙げられる。なお、活性エネルギー線硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂、または熱硬化樹脂に活性エネルギー線反応性官能基を有しても良い。また、バインダ樹脂は、物性面でいうと、現像性の観点からアルカリ可溶性樹脂が好ましい。アルカリ可溶性は、光学フィルタ作製時のアルカリ現像工程において現像溶解性を付与するためのものであり、酸性基が必要である。
熱可塑性樹脂は、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
アルカリ可溶性を有する熱可塑性樹脂は、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性を有する熱可塑性樹脂は、例えば、酸性基を有するアクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの中でも現像性、耐熱性、透明性が向上する面で酸性基を有するアクリル樹脂、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体が好ましい。
活性エネルギー線硬化性アルカリ可溶性樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を有することが好ましい。エチレン性不飽和二重結合は、例えば以下に示す(i) (ii)の方法で導入できる。活性エネルギー線による効果で樹脂は、3次元架橋されることで架橋密度が上がり、薬品耐性が向上する。
方法(i)は、例えば、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の単量体とを共重合して得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させる。次いで、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させることで、エチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を導入する方法である。
あるいは、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類スチレン、又はα-メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。
方法(ii)は、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体のイソシアネート基を反応させる方法である。
N-置換マレイミド類は、例えば、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、3-マレイミドプロピオン酸、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-(1-ピレニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-アミノフェニル)マレイミド、N-(4-ニトロフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ブロモメチル-2,3-ジクロロマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオナート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチラート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノアート、N-[4-(2-ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9-マレイミドアクリジン等が挙げられる。アルキレンオキシ基含有単量体は、例えば、EO変性クレゾールアクリレート、n-ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、フェノールのエチレンオキサイド(EO)変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEO又はプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのPO変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明の近赤外線吸収組成物は、被膜の硬化度を調整するために、エチレン性不飽和二重結合を有しないアルカリ可溶性樹脂を含有できる。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の酸価は、アルカリ現像溶解性を付与するために50以上200以下(KOHmg/g)であり、20~300以下の範囲が好ましく、より好ましくは90以上170以下の範囲である。酸価が50未満であるとアルカリ現像溶解性が低下し、残渣が発生しパターンの直線性が悪化する。過度に酸価を有すると基板への密着性が低下し、露光パターンが残りにくくなる。
本発明においては、バインダ樹脂として熱可塑性樹脂と併用して、さらに熱硬化性化合物を含むことが好ましい。例えば、本発明の近赤外線吸収組成物を用いて光学フィルタを作製する際、熱硬化性化合物を含むことで、フィルタセグメントの焼成時に反応し塗膜の架橋密度を高め、そのためフィルタセグメントの耐熱性が向上し、フィルタセグメント焼成時の色素凝集が抑えられ、比視感度の高い領域である480nm~650nmの透過率低下抑制という効果が得られる。
熱硬化性化合物としては、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ベンゾグアナミン化合物、ロジン変性マレイン酸化合物、ロジン変性フマル酸化合物、メラミン化合物、尿素化合物、およびフェノール化合物が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の近赤外線吸収組成物ではエポキシ化合物およびオキセタン化合物が好ましく用いられる。
本発明の近赤外線吸収組成物、重合性化合物、及び光重合開始剤を含むことによって感光性近赤外線吸収組成物とすることができる。重合性化合物には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれる。
重合性化合物は、酸基を有する光重合性単量体を含有できる。酸基は、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等が挙げられる。
重合性化合物は、エチレン性不飽和結合とウレタン結合を有する単量体を含有できる。前記単量体は、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレートや、アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレート等が挙げられる。
光重合開始剤は、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン、又は2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、又はエタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又はジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が挙げられる。これらの中でも、オキシムエステル系化合物が好ましい。
オキシムエステル系化合物は、紫外線を吸収することによってオキシムのN-O結合の解裂がおこり、イミニルラジカルとアルキロキシラジカルを生成する。これらのラジカルは更に分解することにより活性の高いラジカルを生成するため、少ない露光量でパターンを形成させることができる。近赤外線吸収組成物の色素濃度が高い場合、塗膜の紫外線透過率が低くなり塗膜の硬化度が低くなることがあるが、オキシムエステル系化合物は高い量子効率を持つため好適に使用される。
さらに、本発明の近赤外線吸収組成物には、増感剤を含有させることができる。
増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ-ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α-アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’-ジエチルイソフタロフェノン、3,3’又は4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
本発明の近赤外線吸収組成物は連鎖移動剤として、チオール系連鎖移動剤を含むことが好ましい。チオールを光重合開始剤とともに使用することにより、光照射後のラジカル重合過程において、連鎖移動剤として働き、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生するので、得られる近赤外線吸収組成物は高感度となる。
本発明の近赤外線吸収組成物は、重合禁止剤を含有できる。これによりフォトリソグラフィー法の露光時にマスクの回折光による感光を抑制できるため、所望の形状のパターンが得やすくなる。
発明の近赤外線吸収組成物は、紫外線吸収剤を含んでも良い。本発明における紫外線吸収剤とは、紫外線吸収機能を有する有機化合物であり、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、及びサリシレート系化合物などが挙げられる。
本発明の近赤外線吸収組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤は、近赤外線吸収組成物に含まれる光重合開始剤や熱硬化性化合物が、熱硬化やITOアニール時の熱工程によって酸化し黄変することを防ぐため、塗膜の透過率を向上できる。特に着色組成物の着色剤濃度が高い場合、塗膜架橋成分量が少なくなるため高感度の架橋成分の使用や、光重合開始剤の増量といった対応を取るため熱工程の黄変が強くなる現象が見られる。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、高い塗膜の透過率を得る事ができる。
近赤外線吸収性組成物は、溶存している酸素を還元するためアミン系化合物を含有することができる。
アミン系化合物は、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、及びN,N-ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
近赤外線吸収性組成物は、塗工の際、組成物のレベリング性を向上させるためレベリング剤を含有できる。レベリング剤は、例えば、主鎖にポリエーテル構造またはポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンは、例えば、東レ・ダウコーニング社製FZ-2122、ビックケミー社製BYK-333等が挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンは、例えば、ビックケミー社製BYK-310、BYK-370等が挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用できる。レベリング剤の含有量は、近赤外線吸収性組成物の不揮発分100質量%中、0.003~0.5質量%が好ましい。
本発明の近赤外線吸収組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤の全量を基準(100質量%)として、0.1~10質量%の量で用いることができる。
本発明の近赤外線吸収組成物には、基材との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることができる。密着向上剤による密着性が向上することにより、細線の再現性が良好となり解像度が向上する。
近赤外線吸収性組成物は、有機溶剤を含有する。これにより組成物の粘度調整が容易になる。
本発明の近赤外線吸収組成物は、色素を、分散剤、バインダ樹脂などの色素担体及び/又は有機溶剤中に、好ましくは分散助剤(色素誘導体や界面活性剤)と一緒に、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる(色素分散体)。このとき、2種以上の色素等を同時に色素担体に分散しても良いし、別々に色素担体に分散したものを混合しても良い。染料等、色素の溶解性が高い場合、具体的には使用する有機溶剤への溶解性が高く、攪拌により溶解、異物が確認されない状態であれば、上記のような微細に分散して製造する必要はない。
本発明の近赤外線吸収組成物は、重力加速度3000~25000Gの遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように近赤外線吸収組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
本発明の近赤外線吸収性組成物は、例えば、以下の用途に使用できる。
本発明の光学フィルタは、本発明の近赤外線吸収性組成物により形成されてなる被膜を有することを特徴とする。本発明の光学フィルタとしては、近赤外線カットフィルタ及び近赤外線透過フィルタがある。近赤外線カットフィルタは、主に近赤外線吸収性色素により構成され、近赤外線を遮断し可視光を透過させる役割を持つ。一方、近赤外線透過フィルタは、近赤外線吸収性色素の他に可視光を吸収する色素により構成され、可視光と近赤外線吸収性色素が吸収する波長領域の近赤外線を遮断し、さらにそれより長波長の近赤外線を透過させる役割を持つ。
近赤外線カットフィルタは、例えば下記のような用途に用いられる。
デジタルカメラは、撮像する際に受光する光を赤、緑、青のフィルタで分解し、光を電気信号に変えるフォトダイオードに送ることで、色を認識する。しかしながら、フォトダイオードは近赤外線にも反応して電気信号に変えてしまうので、これを遮断するために、近赤外線カットフィルタを使用できる。近赤外線を遮断するフィルタは、可視領域に吸収が少ないことが重要である。可視領域に吸収が多いと受光する光に色がついてしまい、フォトダイオードの色の認識に悪影響が出る。本発明の近赤外線吸収顔料は可視領域に吸収が少なく不可視性が高いため、フォトダイオードの色の認識に対する悪影響が少ない。
スマートフォン、タブレットパソコン等、他には銀行ATM、マルチメディア端末等にはセキュリティ保護のため指紋認証、手指静脈認証等の生体認証機能が搭載されている。特にスマートフォン、タブレットパソコンに用いる指紋認証技術の発展は目まぐるしく、フォトダイオードが無機系から有機系に代わるのに伴い、認証範囲が画面サイズに増大(フルスクリーン化)し、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ等にディスプレイ内蔵型指紋認証センサが開発されている。
近赤外線カットフィルタは、ディスプレイに組み込むこともできる。具体的には、電子黒板のようなタッチパネル機能付き液晶ディスプレイが挙げられる。このタッチパネル機能付き液晶ディスプレイは、表示・書き込み・保存の3つの機能が備わっており、これに内蔵されるタッチパネルにおいても、赤外性走査方式や赤外線投影方式などの光学方式が採用されており、前述した外光によるノイズが問題であった。タッチパネル機能付き液晶ディスプレイは、学校等での用途も多いため精度およびタッチに対する反応の良さは重要である。本発明の光学フィルタをディスプレイに組み込むことでノイズとなる外光をカットできるため好ましいものである。
また、本発明の光学フィルタは、液晶や有機EL、Mini-LED、Micro-LEDを用いた各種ディスプレイの反射防止膜としても好ましく使用できる。可視光のみならず近赤外領域の光の反射も抑えることによって、ディスプレイでの黒表示がより黒くできるメリットがある。本発明の近赤外線吸収性組成物は耐熱性に優れているため、ディスプレイ製造において必要とされる工程の耐性についても好ましく使用できる。
波長850nmや900nm、940nm等の波長のLEDが普及し、自動運転における距離測定や生体認証(指紋認証、虹彩認証、顔認証、静脈認証等、または、それらの併用)、さまざまなセンサーにおける光検出に使用されている。しかし、大気中には紫外線、可視光、近赤外線等あらゆる波長の光線が存在するため、検出する波長の光以外を遮断するフィルタが必要になる。近赤外線吸収性色素と可視光を吸収する色素、紫外線吸収剤等と組み合わせることにより、近赤外線吸収性色素の吸収波長より長波長の光のみ透過させ、それより短波長の光は遮断させることができる。具体的には、本発明の近赤外線吸収性色素に青色色素と黄色色素、赤色もしくは紫色の色素を組合せるのが好ましい。 塗工用途で、青色色素はC.I.ピグメントブルー15:3もしくはC.I.ピグメントブルー15:6、黄色色素はC.I.ピグメントイエロー139、赤色色素はC.I.ピグメントレッド254、C.I.アシッドレッド52もしくはC.I.アシッドレッド289、紫色色素はC.I.ピグメントバイオレット23を用いることが好ましい。また成形用途で、青色顔料はC.I.ピグメントブルー15:3もしくはC.I.ピグメントブルー15:6、黄色色素はC.I.ピグメントイエロー147、赤色色素はC.I.ソルベントレッド52が好ましい。
本発明の光学フィルタは、印刷法またはフォトリソグラフィ法により、製造することができる。印刷法によるフィルタセグメントの形成は、近赤外線吸収組成物の印刷と乾燥を行うことでパターン化ができるため、フィルタの製造法は、低コストであり、かつ量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性制御も重要であり、分散剤や体質顔料によってインキ粘度の調整も行うことができる。
本発明の近赤外線吸収性色素は、成形用途でも使できる。なお、成形用途とは、塗工以外の方法でフィルムや三次元体を作製する用途である。
近赤外線吸収性組成物を成形用途に使用する場合、近赤外線吸収性色素、および熱可塑性樹脂の溶融混錬物であることが好ましい。
成形用近赤外線吸収性組成物に含まれる熱可塑性樹脂は、例えばポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂などが挙げられる。
ポリアミド樹脂は、結晶性樹脂であり、例えば、カルボン酸成分と、アミノ基を2個以上有する化合物(Am)とを脱水縮合反応させて合成できる。
アミノ基を2個以上有する化合物(Am)は、例えば、公知のものを使用することができ、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン;イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’
-ジアミン等の脂環式ポリアミンを含む脂肪族ポリアミン;フェニレンジアミン、キシリレンジアミン等の芳香族ポリアミン;1,3-ジアミノ-2-プロパノール、1,4-ジアミノ-2-ブタノール、1-アミノ-3-(アミノメチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン-1-オール、4-(2-アミノエチル)-4,7,10-トリアザデカン-2-オール、3-(2-ヒドロキシプロピル)-o-キシレン-α,α’-ジアミン等のジアミノアルコールが挙げられる。
ポリアミド樹脂の市販品は、例えば、6ナイロン(東レ社製)、66ナイロン(東レ社製)、610ナイロン等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂は、非晶性樹脂であり、芳香族ジヒドロキシ化合物に、ホスゲン或いは炭酸ジエステル等のカーボネート前駆体を反応させて合成する。ホスゲンを用いる合成反応の場合は、例えば、界面法が好ましい。また、炭酸ジエステルを用いる合成反応の場合、溶融状で反応させるエステル交換法が好ましい。
シクロオレフィン樹脂は、主鎖および又は側鎖に脂環構造を有する非晶性樹脂である。脂環構造の種類は、例えば、例えば、ノルボルネン重合体、単環の環状オレフィン重合体、環状共役ジエン重合体、およびビニル脂環式炭化水素重合体、ならびにこれらの水素化物等が挙げられる。これらの中でも成形性と透明性に優れることから、ノルボルネン重合体が好ましい。ノルボルネン単量体は、例えば、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3,7-ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8-ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3-エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン(慣用名:テトラシクロドデセン)等が挙げられる。
シクロオレフィン樹脂の市販品は、例えば、トパス(ポリプラスチックス社製)、アペル(三井化学社製)が挙げられる。
ポリエーテルイミド樹脂は、ガラス転移温度が180℃超の非晶性樹脂であり、透明性良好で高強度、高耐熱性、高弾性率および広範な耐薬品性を有している。そのため自動車、遠隔通信、航空宇宙、電気/電子、輸送およびヘルスケアなどの多様な用途で広範に使用されている。
ポリエーテルイミド樹脂の製造プロセスの1つは、ビスフェノールA二ナトリウム塩(BPA・Na2)などのジヒドロキシ芳香族化合物のアルカリ金属塩とビス(ハロフタルイミド)との重合によるものである。得られたポリエーテルイミド樹脂の分子量は2つの方法で制御できる。第1の方法は、ジヒドロキシ芳香族化合物のアルカリ金属塩に対して、モル過剰のビス(ハロフタルイミド)を使用することである。第2の方法は、末端キャッピング剤を形成する無水フタル酸などの単官能性化合物の存在下でビス(無水ハロフタル酸)を調製することである。無水フタル酸は、有機ジアミンの一部と反応してモノハロ-ビス(フタルイミド)を形成する。モノハロ-ビス(フタルイミド)は、成長中のポリマー鎖におけるフェノキシド末端基との反応による重合ステップにおいて、末端キャッピング剤として働く。
ポリエーテルイミド樹脂の市販品は、ULTEM(サウジ基礎産業公社製)が挙げられる。
成形用近赤外線吸収性組成物は、近赤外線吸収性色素、および熱可塑性樹脂を、溶融混錬することでの製造できる。溶融混錬温度は樹脂によって異なるが、230℃以上が好ましく、270℃以上がより好ましい。なお、溶融混錬後、冷却することが好ましい。溶融混錬温度の上限は、熱可塑性樹脂の種類により異なるため限定されない。前記上限は、強いてあげれば500℃以下が好ましく、450℃以下がより好ましい。また、前記上限は、本発明の近赤外線吸収顔料の昇華温度未満、または分解温度未満である必要がある。
マスターバッチとして作製する場合、近赤外線吸収性色素の含有量は、組成物100質量%中に0.01~20質量%が好ましく、0.05~2質量%がより好ましい。
本発明の近赤外線吸収性組成物は、光記録媒体として使用できる。近赤外線吸収性組成物から形成した被膜または成形体に近赤外線を照射すると、色素の結晶状態が変化し、被膜または成形体の屈折率が変わる。この原理は、光ディスクなどの記録媒体に用いられている。
本発明の近赤外線吸収性組成物は、レーザー溶着材またはレーザーマーキング材として使用できる。近赤外線吸収性組成物から形成した被膜または成形体に、近赤外線吸収性色素が吸収する波長のレーザーを照射すると、色素がレーザー光を吸収し発熱することで樹脂が溶融・炭化する。溶融する場合に、他の樹脂と溶着させることができるため、マーキングが可能となる。
本発明に用いたフタロシアニン顔料の同定には、MALDI TOF-MSスペクトルを用いた。MALDI TOF-MSスペクトルは、ブルカー・ダルトニクス社製MALDI質量分析装置autoflexIIIを用い、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。また、組成は、得られたマススペクトラムにおいて、全分子イオンピーク強度の総和に対する各分子イオンピーク強度(相対強度)を算出し、それらの相対強度比をモル比とみなした。
フタロシアニン顔料は、一般式(1)においてX1とX2、X3とX4、X5とX6、X7とX8のうち1箇が互いに結合して芳香環を形成した化合物をn1体、2箇所が互いに結合して芳香環を形成した化合物をn2体、3箇所が互いに結合して芳香環を形成した化合物をn3体、4箇所とも互いに結合して芳香環を形成した化合物をn4体とする。また4箇所とも芳香環を形成していない化合物はn0体とした。
樹脂型分散剤およびバインダ樹脂の酸価は、0.1Nの水酸化カリウム・エタノール溶液を用い、電位差滴定法によって求めた。樹脂型分散剤およびバインダ樹脂の酸価は、不揮発分の酸価を示す。
酸性樹脂型分散剤およびバインダ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC-8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
塩基性樹脂型分散剤の重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC-8120GPC)で、展開溶媒に3mMトリエチルアミン及び10mMLiBrのN,N-ジメチルホルムアミド溶液を用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
樹脂型分散剤のアミン価は、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって求めた後、水酸化カリウムの当量に換算した。樹脂型分散剤のアミン価は、不揮発分のアミン価を示す。
樹脂型分散剤の4級アンモニウム塩価は、5%クロム酸カリウム水溶液を指示薬として、0.1Nの硝酸銀水溶液で滴定して求めた後、水酸化カリウムの当量に換算した。下記樹脂型分散剤の4級アンモニウム塩価は、不揮発分の4級アンモニウム塩価を示す。
(フタロシアニン顔料(a-1)の合成)
反応容器中で、フタロニトリル64部、2,3―ジシアノナフタレン89部、n-アミルアルコール890部、DBU(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)137部と三塩化アルミニウム34部を混合攪拌し、昇温後136℃で5時間還流した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5000部、水10000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2000部、水4000部からなる混合溶媒で洗浄し、乾燥して、140部のフタロシアニン顔料(1-1)を得た(下記化学式(1-1)で表される化合物の混合物)。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。
フタロシアニン顔料(a-1)の合成で使用したフタロニトリル64部、2,3―ジシアノナフタレン89部の代わりに、それぞれ、フタロニトリル26部、2,3―ジシアノナフタレン143部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-1)の合成と同様の操作を行い、フタロシアニン顔料(a-2)を147部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-2)の主成分は以下の構造のn3体であった。
フタロシアニン顔料(a-1)の合成で使用したフタロニトリル64部、2,3―ジシアノナフタレン89部の代わりに、それぞれ、フタロニトリル13部、2,3―ジシアノナフタレン160部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-1)の合成と同様の操作を行い、フタロシアニン顔料(a-3)を147部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-3)の主成分は以下の構造のn3体であった。
フタロシアニン顔料(a-1)の合成で使用したフタロニトリル64部、2,3―ジシアノナフタレン89部の代わりに、それぞれ、フタロニトリル102部、2,3―ジシアノナフタレン36部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-1)の合成と同様の操作を行い、フタロシアニン顔料(a-4)を147部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-4)の主成分は以下の構造のn1体であった。
反応容器中で、キノリン900部に3-テトラフルオロプロピルオキシ-1,3-ジイミノイソインドリン30部、1,3―ジイミノベンゾ[f]イソインドリン86部と、塩化アルミニウム無水物50部を混合攪拌した。昇温し、140℃で5時間加熱攪拌した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5000部、水10000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2000部、水4000部からなる混合溶媒で洗浄し、乾燥して、108部のフタロシアニン顔料(1-5)を得た。
フタロシアニン顔料(a-2)の合成で使用したフタロニトリル26部の代わりに、4-メチルフタロジニトリル29部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-2)の合成と同様の操作を行い、フタロシアニン顔料(a-6)を110部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-6)の主成分は以下の構造のn3体であった。
フタロシアニン顔料(a-2)の合成で使用したフタロニトリル26部の代わりに、4-プロピルチオフタロジニトリル40部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-2)の合成と同様の操作を行い、フタロシアニン顔料(a-7)を110部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-7)の主成分は以下の構造のn3体であった。
フタロシアニン顔料(a-2)の合成で使用したフタロニトリル26部の代わりに、4-(4-ピリジニル)フタロジニトリル40部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-2)の合成と同様の操作を行い、フタロシアニン顔料(a-8)を110部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-8)の主成分は以下の構造のn3体であった。
反応容器中で、ジメチルスルホキシド700部、1-クロロナフタレン200部に、ボロンsub―2,3―ナフタロシアニンクロリド100部と、1,3-ジイミノイソインドリン30部を混合攪拌した。昇温し、150℃で5時間加熱攪拌した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5000部、水10000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2000部、水4000部からなる混合溶媒で洗浄し、乾燥して、110部のフタロシアニン顔料(9-1)を得た。
次いで、キノリン900部に、フタロシアニン顔料(9-1)110部と、塩化アルミニウム無水物28部を混合攪拌した。昇温し、150℃で4時間加熱攪拌した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5000部、水10000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2000部、水4000部からなる混合溶媒で洗浄し、乾燥して、100部のフタロシアニン顔料(9-2)を得た。
濃硫酸1500部にナフタロシアニン顔料(a-2)100部を氷浴下にて加えた。その後、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン151部を徐々に加え、25℃で6時間撹拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水9000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、165部のフタロシアニン顔料(a-10)を得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。得られたフタロシアニン顔料(a-10)について臭素置換数を算出したところ、平均8個であり、マススペクトラムからも同一の分子量に相当するピークを確認し、目的の化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-10)の主成分は以下の構造のn3体であった。
フタロシアニン顔料(a-5)の合成で使用した3-テトラフルオロプロピルオキシ-1,3-ジイミノイソインドリン30部、1,3―ジイミノベンゾ[f]イソインドリン86部の代わりに、それぞれ、1,3-ジイミノイソインドリン16部、4,9-ジブトキシ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン111部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-5)の合成と同様の操作を行い、フタロシアニン顔料(a-11)を113部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-11)の主成分は以下の構造のn3体であった。
フタロシアニン顔料(a-5)の合成で使用した3-テトラフルオロプロピルオキシ-1,3-ジイミノイソインドリン30部、1,3―ジイミノベンゾ[f]イソインドリン86部の代わりに、それぞれ、1,3-ジイミノイソインドリン16部、4,9-ジクロロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン117部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-5)の合成と同様の操作を行い、フタロシアニン顔料(a-12)を119部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-12)の主成分は以下の構造のn3体であった。
フタロシアニン顔料(a-5)の合成で使用した3-テトラフルオロプロピルオキシ-1,3-ジイミノイソインドリン30部、1,3―ジイミノベンゾ[f]イソインドリン86部の代わりに、それぞれ、1,3-ジイミノイソインドリン16部、5-ニトロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン106部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-5)の合成と同様の操作を行い、フタロシアニン顔料(a-13)を103部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-13)の主成分は以下の構造のn3体であった。
フタロシアニン顔料(a-5)の合成で使用した3-テトラフルオロプロピルオキシ-1,3-ジイミノイソインドリン30部、1,3―ジイミノベンゾ[f]イソインドリン86部の代わりに、それぞれ、1,3-ジイミノイソインドリン16部、5,8-ジエトキシ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン115部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-5)の合成と同様の操作を行い、フタロシアニン顔料(a-14)を103部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-14)の主成分は以下の構造のn3体であった。
フタロシアニン顔料(a-5)の合成で使用した3-テトラフルオロプロピルオキシ-1,3-ジイミノイソインドリン30部、1,3―ジイミノベンゾ[f]イソインドリン86部の代わりに、それぞれ、1,3-ジイミノイソインドリン16部、1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-5-スルホン酸122部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-5)の合成と同様の操作を行い、フタロシアニン顔料(a-15)を120部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-15)の主成分は以下の構造のn3体であった。
フタロシアニン顔料(a-5)の合成で使用した3-テトラフルオロプロピルオキシ-1,3-ジイミノイソインドリン30部、1,3―ジイミノベンゾ[f]イソインドリン86部の代わりに、それぞれ、1,3-ジイミノイソインドリン16部、4-フェニル-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン120部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-5)の合成と同様の操作を行い、フタロシアニン顔料(a-16)を116部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-16)の主成分は以下の構造のn3体であった。
フタロシアニン顔料(a-5)の合成で使用した3-テトラフルオロプロピルオキシ-1,3-ジイミノイソインドリン30部、1,3―ジイミノベンゾ[f]イソインドリン86部の代わりに、それぞれ、1,3-ジイミノイソインドリン16部、6,7-ジメチル-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン99部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-5)の合成と同様の操作を行い、フタロシアニン顔料(a-17)を102部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-17)の主成分は以下の構造のn3体であった。
フタロシアニン顔料(a-5)の合成で使用した3-テトラフルオロプロピルオキシ-1,3-ジイミノイソインドリン30部、1,3―ジイミノベンゾ[f]イソインドリン86部の代わりに、それぞれ、1,3-ジイミノイソインドリン16部、6-(フェニルチオ)-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン134部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-5)の合成と同様の操作を行い、フタロシアニン顔料(a-18)を127部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-18)の主成分は以下の構造のn3体であった。
フタロシアニン顔料(a-5)の合成で使用した3-テトラフルオロプロピルオキシ-1,3-ジイミノイソインドリン30部、1,3―ジイミノベンゾ[f]イソインドリン86部の代わりに、それぞれ、1,3-ジイミノイソインドリン16部、1,3-ジイミノ-N、N-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-6-スルホンアミド130部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-5)の合成と同様の操作を行い、フタロシアニン顔料(a-19)を103部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-19)の主成分は以下の構造のn3体であった。
フタロシアニン顔料(a-5)の合成で使用した3-テトラフルオロプロピルオキシ-1,3-ジイミノイソインドリン30部、1,3―ジイミノベンゾ[f]イソインドリン86部の代わりに、それぞれ、1,3-ジイミノイソインドリン16部、6,7-ジクロロ-4,9-ジメトキシ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン144部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-5)の合成と同様の操作を行い、フタロシアニン顔料(a-20)を137部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-20)の主成分は以下の構造のn3体であった。
反応容器中で、n-アミルアルコール1390部にフタロジニトリル250部と塩化アルミニウム無水物65部を混合攪拌した。これに、DBU(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)297部を加え、昇温し、136℃で5時間還流した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5000部、水10000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2000部、水4000部からなる混合溶媒で洗浄し、乾燥して、150部のフタロシアニン顔料(C-1)を得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。
フタロシアニン顔料(a-2)の合成で使用した塩化アルミニウム無水物34部の代わりに、塩化銅36部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-2)の合成と同様の操作を行い、105部の比較ナフタロシアニン顔料(P-2)を得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。比較フタロシアニン顔料(P-2)の主成分は以下の構造のn3体であった。
(樹脂(B-1)の合成)
攪拌装置、温度計、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応器に、PGMAc100部、メチル4-シアノ-4-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)ペンタノエート(以下、「BM1448」と略記する。)3部を仕込み、窒素雰囲気中で80℃に昇温した後、メチルメタクリレート48部、エチルメタクリレート29部、ターシャリーブチルアクリレート19部、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(以下、「V65」と略記する。)1部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃に2時間保持した後、さらに、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート(以下、「P-1M」と略記する。分子量228)5部及びPGME100部からなる混合物を1時間で滴下した。次いで、90℃に12時間保持した後、PGMEを添加することで、樹脂(B-1)の30質量%溶液を得た。この樹脂(B-1)のTgは37℃であった。
[実施例1]
(近赤外線吸収性色素(A-1)の製造)
下記の手順でフタロシアニン顔料(a-1)とリン化合物とからなる近赤外線吸収性色素1を製造した。 N - メチルピロリドン200部に5部のジフェニルリン酸を添加し、十分に攪拌混合を行った後、50℃に加熱した。この溶液に、10部のフタロシアニン顔料(a-1)を少しずつ添加した後、90℃で120分攪拌した。反応の終点確認は、例えば、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点とした。続けて、この反応溶液を水2000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗の順で処理を行い、乾燥して、12部の近赤外線吸収性色素(A-1)を得た。
(近赤外線吸収性色素(A-2)~(A-46)、比較近赤外線吸収性色素(A-49)~(A-51)の製造)
以下、近赤外線吸収性色素、リン化合物を表2に量に変更した以外は近赤外線吸収性色素1と同様にして、近赤外線吸収性色素(A-2)~(A-46)、比較近赤外線吸収性色素(A-49)~(A-51)を製造した。
(近赤外線吸収性色素(A-47)の合成)
下記の手順でフタロシアニン顔料(a-2)と樹脂(B-1)とからなる近赤外線吸収性色素(A-47)を製造した。N - メチルピロリドン200部に65部の樹脂(B-1)を添加し、十分に攪拌混合を行った後、50℃に加熱した。この溶液に、10部のフタロシアニン顔料(a-2)を少しずつ添加した後、90℃で120分攪拌した。反応の終点確認は、例えば、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点とした。続けて、この反応溶液を水2000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗の順で処理を行い、乾燥して、24部の近赤外線吸収性色素(A-47)を得た。
この時、フタロシアニン顔料(a-2)と、樹脂(B-1)に含まれるP-1Mのモル比率は、フタロシアニン顔料(a-2)/樹脂(B-1)に含まれるP-1M =0.9/1であった。
(近赤外線吸収性色素(A-48)の合成)
近赤外吸収性色素(A-47)の合成で使用したフタロシアニン顔料(a-2)10部の代わりに、フタロシアニン顔料(a-10)10部を使用した以外は、近赤外吸収性色素(C-47)の合成と同様の操作を行い、26部の近赤外吸収性色素(A-48)を得た。
この時、フタロシアニン顔料(a-10)と、樹脂(B-1)に含まれるP-1Mのモル比率は、フタロシアニン顔料(a-10)/樹脂(B-1)に含まれるP-1M =0.9/1であった。
(バインダ樹脂溶液の調整):
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン370部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、ジシクロペンタニルメタクリレート18部、ベンジルメタクリレート10部、グリシジルメタクリレート18.2部、メタクリル酸メチル25部、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、更に100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、更に100℃で1時間反応を続けた。次に、容器内を空気置換に替え、アクリル酸9.3部(グリシジル基の100%)にトリスジメチルアミノフェノール0.5部及びハイドロキノン0.1部を上記容器内に投入し、120℃で6時間反応を続け固形分酸価0.5となったところで反応を終了し、アクリル樹脂の溶液を得た。更に、引き続きテトラヒドロ無水フタル酸19.5部(生成した水酸基の100%)、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で3.5時間反応させアクリル樹脂の溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してバインダ樹脂溶液を調製した。重量平均分子量(Mw)は19000であった。
(樹脂型分散剤1溶液):
[モノマー(b-1)の合成]
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、メタクリル酸2-イソシアナトエチル60部、3-(ジメチルアミノ)プロピルアミン29部、THF120部を仕込み、室温で5時間撹拌した。FT-IRで反応が完結していることを確認したのち、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、淡黄色透明の液体として、下記のモノマー(b-1)を73部得た(収率82%)。得られた化合物の同定は、1H-NMRで実施した。
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、モノマー(b-1)の合成で得られた、モノマー(b-1)6.6部、イオン交換水5部を仕込み、室温で撹拌したのち、35%塩酸水溶液8部を滴下した。アミン価測定で反応が完結していることを確認し、淡黄色透明液体として、モノマー(b-2)水溶液を20部得た。得られた化合物の同定は、1H-NMRで実施した。
次に、この反応槽に、PGMAc20部、第二ブロックモノマーとしてモノマー(b-1)21.2部、モノマー(b-2)水溶液27部(不揮発分38%)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、不揮発分当たりのアミン価が50mgKOH/g、4級アンモニウム塩価が20mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9,800、不揮発分が40質量%である、塩基性の樹脂型分散剤1溶液を得た。
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート60部、nーブチルメタクリレート20部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、PGMAc133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、PGMAc61部、第二ブロックモノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレート20部(以下、DMという)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。ジメチルアミノエチルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、不揮発分当たりのアミン価が71.4mgKOH/g、重量平均分子量9900(Mw)、不揮発分が40質量%のポリ(メタ)アクリレート骨格であり、3級アミノ基を有する、塩基性の樹脂型分散剤2溶液を得た。
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート60部、nーブチルメタクリレート20部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、PGMAc133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、PGMAc61部、第二ブロックモノマーとしてメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液25.6部(三菱レイヨン社製「アクリエステルDMC78」)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、不揮発分当たりのアミン価が29.4mgKOH/g、重量平均分子量9800(Mw)、不揮発分が40質量%のポリ(メタ)アクリレート骨格であり、4級アンモニウム塩基を有する、塩基性の樹脂型分散剤3溶液を得た。
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、4-ジメチルアミノ-1,2-エポキシブタン55部、テトラヒドロフラン(THF)120部を仕込み、70℃で加熱撹拌し、メタクリル酸35部を60分かけて滴下した。滴下完了後、70℃でさらに2時間加熱撹拌し1H-NMRで反応が完結していることを確認したのち、室温に放冷した。反応溶液を、イオン交換水300部、飽和炭酸水素ナトリウム200部、飽和食塩水200部で順次洗浄後、有機層に硫酸マグネシウム20gを加え、撹拌後、ろ過を行った。得られた溶液の溶媒をロータリーエバポレーターで留去し、淡黄色透明の液体として、下記の構造含有モノマー(b-3)を31部得た(収率42%。得られた化合物の同定は、1H-NMRで実施した。
次に、この反応槽に、PGMAc25部、第二ブロックモノマーとして、エチレン性不飽和単量体(b-3)25.1部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。エチレン性不飽和単量体(b-3)投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認した。
さらに、この反応装置に、ベンジルクロライド4.5部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま3時間撹拌し、その後冷却した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、不揮発分当たりのアミン価が50mgKOH/g、4級アンモニウム塩価が20mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9,800、不揮発分が40質量%である、塩基性の樹脂型分散剤4溶液を得た。
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート50部、n-ブチルメタクリレート50部、PGMAc45.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12部を加え、12時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物9.7部、PGMAc70.3部、触媒としてDBU(1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン)0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分40%に調整した。このようにして、酸価43、重量平均分子量9000、ポリ(メタ)アクリレート骨格であり、芳香族カルボキシル基を有する、酸性の樹脂型分散剤5溶液を得た。
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6部、ピロメリット酸無水物9.7部、モノブチルスズオキシド0.01部、PGMAc88.9部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、系内の温度を70℃に冷却し、メチルメタクリレート50部とn-ブチルメタクリレート30部と、ヒドロキシメチルメタクリレート20部を仕込み、AIBN0.12部とPGMAc26.8部を添加して、10時間反応した。不揮発分測定により重合が95%進行したことを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分40%に調整し、酸価43、重量平均分子量9000、ポリ(メタ)アクリレート骨格であり、芳香族カルボキシル基を有する、酸性の樹脂型分散剤6溶液を得た。
BYK-P104 (ビックケミー・ジャパン製:不揮発分50%)に、PGMAcを加えて不揮発分40%に調整し、樹脂型分散剤7溶液を得た。
Disperbyk-171 (ビックケミー・ジャパン製:不揮発分39.5%) に、PGMAcを加えて不揮発分40%に調整し、樹脂型分散剤8溶液を得た。
Disperbyk-142 (ビックケミー・ジャパン製:不揮発分60%) に、PGMAcを加えて不揮発分40%に調整し、樹脂型分散剤9溶液を得た。
下記共重合体の不揮発分40%PGMAc溶液
[実施例49]
(近赤外線吸収性組成物(D-1))
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで3時間分散した後、0.5μmのフィルタで濾過し、近赤外線吸収性組成物を作製した。
近赤外線吸収性色素(A-1) :10.0部
樹脂型分散剤1溶液 : 7.5部
バインダ樹脂溶液 :35.0部
PGMAc :47.5部
(近赤外線吸収性組成物(D-2)~(D-58)、(D-73)~(D-75))
以下、近赤外線吸収性色素、樹脂型分散剤溶液、バインダ樹脂溶液、溶剤を表3に示す組成、量に変更した以外は近赤外線吸収性組成物(D-1)と同様にして、近赤外線吸収性組成物(D-2)~(D-58)および、(D-73)~(D-75)を調整した。
(近赤外線吸収性組成物(D-59))
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで3時間分散した後、0.5μmのフィルタで濾過し、近赤外線吸収性組成物を作製した。
近赤外線吸収性色素(A-2) :7.0部
他の近赤外線吸収性色素(X-1) :3.0部
樹脂型分散剤1溶液 :7.5部
バインダ樹脂溶液 :35.0部
PGMAc :47.5部
(近赤外線吸収性組成物(D-60)~(D-72))
以下、近赤外線吸収性色素、樹脂型分散剤溶液、バインダ樹脂溶液、溶剤を表3に示す組成、量に変更した以外は近赤外線吸収性組成物(D-59)と同様にして、近赤外線吸収性組成物(D-60)~(D-72) を調整した。なお、(X-1)~(X-14)は、以下に示す他の近赤外線吸収性色素である。
実施例および比較例で得られた近赤外線吸収性組成物(D-1~75)について、分光特性、耐性(耐光性、耐熱性)に関する試験を下記の方法で行った。なお、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は実用レベル、×は実用には適さないレベルである。結果を表4に示す。
得られた近赤外線吸収性組成物の粘度を測定し、初期粘度とした。さらに、40℃で7日間の促進試験を行い、経時促進粘度を測定した。促進による変化率として、「促進経時粘度/初期粘度」を算出し、分散安定性を下記基準で評価した。
◎ :1.05未満
○ :1.05以上、1.10未満
△ :1.10以上、1.3未満
× :1.3以上
得られた近赤外線吸収性組成物を1.1mm厚のガラス基板上にスピンコーターを用いて、乾燥後の膜厚が1.0μmになるようにスピンコートし、60℃で5分乾燥した後、230℃で5分加熱し、基板を作製した。得られた基板の分光を分光光度計(U-4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて300~1200nmの波長範囲の吸収スペクトルを測定した。得られた基板について、700-800nmにおける吸光度の最大値(W)と、480~650nmにおける吸光度の最小値(X)の比率(W/X)を求め、以下の基準で評価した。なお、この比率(W/X)が大きいほど、近赤外線における吸収に対し、比視感度の高い領域(480nm~650nm)で最も吸収の低い波長における吸収が少なく、透過性が最大となる波長における透過性が高いと言える。
◎ :30以上
○ :15以上、30未満
△ :5以上、15未満
× :5未満
上記で得られた基板について、700-800nmにおける吸光度の最大値(X)と、480~650nmにおける吸光度の最大値(Y)の比率(X/Y)を求め、以下の基準で評価した。なお、この比率(X/Y)が大きいほど、近赤外線における吸収に対し、比視感度の高い領域(480nm~650nm)で吸収が少なく、人の目に明るく感じられる領域の透過性が高いと言える。
◎ :4以上
○ :3以上、4未満
△ :2以上、3未満
× :2未満
得られた基板の吸収スペクトルにおいて、800~900nmに極値点を有するかどうかを評価した。極値点とは、短波長側から長波長側へ吸光度を確認した際に、吸光度の値が増加から減少へ、または減少から増加へ変化する点である。極値点を有する場合、その波長における透過光がノイズとして検出されることがあるため、極値点を有さない方が、より近赤外線吸収能力が優れていると言える。
あり :極値点を有する
なし :極値点を有さない
分光特性評価と同じ手順で試験用基板を作製し、耐光性試験機(TOYOSEIKI社製「SUNTEST CPS+」)に入れ、24時間放置した。近赤外線吸収膜の分光極大吸収波長における吸光度を測定し、光照射前のそれに対する残存比を求め、耐光性を、下記基準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=(照射後の吸光度)÷(照射前の吸光度)×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が90%以上、95%未満
× :残存率 が90%未満
分光特性評価と同じ手順で試験用基板を作製し、耐熱性試験として210℃で20分追加加熱した。近赤外線吸収膜の分光極大吸収波長における吸光度を測定し、耐熱性試験前のそれに対する残存比を求め、耐熱性を、下記基準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=(耐熱性試験後の吸光度)÷(耐熱性試験前の吸光度)×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が90%以上、95%未満
× :残存率 が90%未満
[実施例121]
(感光性近赤外線吸収性組成物(R-1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1 .0μmのフィルタで濾過して、感光性近赤外線吸収性組成物(R-1) を得た。
近赤外線吸収性組成物(D-2) :50.0部
バインダ樹脂溶液 : 7.5部
光重合性開始剤(東亞合成社製「アロニックスM-402」) : 2.0部
光重合開始剤(BASFジャパン社製「OXE-02」) : 1.5部
PGMAc :39.0部
(感光性近赤外線吸収性組成物(R-2)~(R-24))
以下、近赤外線吸収性組成物を表5に示す近赤外線吸収性組成物の種類に変更した以外は感光性近赤外線吸収性組成物(R-1)と同様にして感光性近赤外線吸収性組成物(R-2)~(R-24)を得た。
実施例および比較例で得られた感光性近赤外線吸収性組成物(R-1)~(R-24)について、分光特性、耐性(耐熱性、耐光性、)に関する試験を下記の方法で行った。なお、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は実用可能レベル、×は実用には適さないレベルである。結果を表5に示す。
得られた感光性近赤外線吸収性組成物の粘度を測定し、初期粘度とした。さらに、40℃で7日間の促進試験を行い、経時促進粘度を測定した。
促進による変化率として、促進経時粘度/初期粘度 を算出し、下記基準で評価した。
◎ :1.05未満
○ :1.05以上、1.10未満
△ :1.10以上、1.3未満
× :1.3以上
得られた感光性近赤外線吸収性組成物を1.1mm厚のガラス基板上にスピンコーターを用いて、乾燥後の膜厚が1.0μmになるようにスピンコートし、60℃で5分乾燥した後、230℃で5分加熱し、基板を作製した。得られた基板の分光を分光光度計(U-4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて300~1200nmの波長範囲の吸収スペクトルを測定した。得られた基板について、700-800nmにおける吸光度の最大値(W)と、480~650nmにおける吸光度の最小値(X)の比率(W/X)を求め、以下の基準で評価した。なお、この比率(W/X)が大きいほど、近赤外線における吸収に対し、比視感度の高い領域(480nm~650nm)で最も吸収の低い波長における吸収が少なく、透過性が最大となる波長における透過性が高いと言える。
◎ :30以上
○ :15以上、30未満
△ :5以上、15未満
× :5未満
上記で得られた基板について、700-800nmにおける吸光度の最大値(X)と、480~650nmにおける吸光度の最大値(Y)の比率(X/Y)を求め、以下の基準で評価した。なお、この比率(X/Y)が大きいほど、近赤外線における吸収に対し、比視感度の高い領域(480nm~650nm)で吸収が少なく、人の目に明るく感じられる領域の透過性が高いと言える。
◎ :4以上
○ :3以上、4未満
△ :2以上、3未満
× :2未満
上記で得られた基板について、800~900nmに極値点を有するかどうかを評価した。極値点とは、短波長側から長波長側へ吸光度を確認した際に、吸光度の値が増加から減少へ、または減少から増加へ変化する点である。極値点を有する場合、その波長における透過光がノイズとして検出されることがあるため、極値点を有さない方が、より近赤外線吸収能力が優れていると言える。
あり :極値点を有する
なし :極値点を有さない
分光特性評価と同じ手順で試験用基板を作製し、耐光性試験機(TOYOSEIKI社製「SUNTEST CPS+」)に入れ、24時間放置した。近赤外線吸収膜の分光極大吸収波長における吸光度を測定し、光照射前のそれに対する残存比を求め、耐光性を下記基準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=(照射後の吸光度)÷(照射前の吸光度)×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が90%以上、95%未満
× :残存率 が90%未満
分光特性評価と同じ手順で試験用基板を作製し、耐熱性試験として210℃で20分追加加熱した。近赤外線吸収膜の分光極大吸収波長における吸光度を測定し、耐熱性試験前のそれに対する残存比を求め、耐熱性を下記基準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=(耐熱性試験後の吸光度)÷(耐熱性試験前の吸光度)×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が90%以上、95%未満
× :残存率 が90%未満
[実施例132~135]
(近赤外吸収カットフィルタ(F-1)~(F-4))
本発明の感光性近赤外線吸収性組成物(R-1)を1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターで塗布し、プリベイクとして、100℃のホットプレートで1分加熱処理した。
次いで、超高圧水銀灯USH-200DP(ウシオ電機(株)製)を使用して、100μm四方の近赤外吸収カットフィルタを形成するためフォトマスクを通して露光量1000mJ/cm2にてパターン露光を行った。
露光後の被膜を0.2質量%炭酸ナトリウム水溶液を現像液として用い、現像液圧0.1mPaでシャワー現像法にて被膜の未硬化部分を除去して400μm×400μmのパターンを形成させた。その後、100℃で120分ポストベークした。熱処理後の近赤外吸収カットフィルタ(F-1)の膜厚は1.0μmであった。
感光性近赤外線吸収性組成物(R-2)~(R-4)についても、近赤外吸収カットフィルタ(F-1)と同様にして近赤外線カットフィルタ(F-2)~(F-4)を得た。
近赤外線カットフィルタ(F-1)~(F-4)について、分光特性、耐久性(耐熱性、耐光性)に関する試験を感光性近赤外線吸収性組成物評価と同様な方法で行った。結果を表6に示す。
(青色着色組成物)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで3時間分散した後、0.5μmのフィルタで濾過し、青色着色組成物を作製した。
C.I.ピグメントブルー PB15:6 :10.0部
樹脂型分散剤2溶液 : 7.5部
バインダ樹脂溶液 :35.0部
PGMAc :47.5部
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで3時間分散した後、0.5μmのフィルタで濾過し、紫色着色組成物を作製した。
C.I.ピグメントバイオレット PV23 :10.0部
樹脂型分散剤2溶液 : 7.5部
バインダ樹脂溶液 :35.0部
PGMAc :47.5部
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで3時間分散した後、0.5μmのフィルタで濾過し、黄色着色組成物を作製した。
C.I.ピグメントイエロー PY139 :10.0部
樹脂型分散剤2溶液 : 7.5部
バインダ樹脂溶液 :35.0部
PGMAc :47.5部
(可視光領域吸収性組成物(P-1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、可視光領域吸収性組成物(P-1)を得た。
近赤外線吸収性組成物(D-1) :10.0部
青色顔料組成物 :20.0部
紫色顔料組成物 :10.0部
黄色顔料組成物 :10.0部
バインダ樹脂溶液 : 7.5部
光重合性化合物(東亞合成社製「アロニックスM-402」) : 2.0部
光重合開始剤(BASFジャパン社製「OXE-02」) : 1.5部
PGMAc :39.0部
(可視光領域吸収性組成物(P-2)~(P-5))
以下、近赤外線吸収性組成物を表7に示す近赤外線吸収性組成物の種類に変更した以外は可視光領域吸収性組成物(P-1)と同様にして可視光領域吸収性組成物(P-2)~(P-5)を得た。
フィルタの機能は、例えば、近赤外線の透過が可能か否か、およびそれ以外の波長領域の光線をカットできるか否かである。
以下、900~1200nmの透過率、ならびに400~800nmの波長域の吸収性を評価した。
得られた基板に対し、分光光度計(U-4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて400~800nmの波長範囲の透過スペクトルを測定した。
○:400~800nm全領域において、透過率が2%未満
△:400~800nmの一部領域において、透過率が2%以上
×:400~800nm全領域において、透過率が2%以上
得られた基板に対し、分光光度計(U-4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて900nm~1200nmの透過率を測定した。
○ :900~1200nm全領域において、透過率が80%以上
△ :900~1200nmの一部領域において、40%以上80%未満
× :900~1200nmの一部領域において、40%未満
得られた基板を、耐光性試験機(TOYOSEIKI社製「SUNTEST CPS+」)に入れ、24時間放置した。この際、放射照度47mW/cm2、300~800nmの広帯の光にて試験を実施した。その後、分光光度計(U-4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて400~800nmの波長範囲の透過スペクトルを測定した。
○:400~800nm全領域において、透過率が2%未満
△:400~800nmの一部領域において、透過率が2%以上
×:400~800nm全領域において、透過率が2%以上
得られた基板を、耐熱性試験として210℃で20分追加加熱した。その後、分光光度計(U-4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて400~800nmの波長範囲の透過スペクトルを測定した。
○:400~800nm全領域において、透過率が2%未満
△:400~800nmの一部領域において、透過率が2%以上
×:400~800nm全領域において、透過率が2%以上
(熱可塑性樹脂(E))
(E-1)ポリエステルMA-2101M(ポリエステル樹脂、ユニチカ社製、結晶性樹脂、融点264℃)
(E-2)アミランCM3001-N(ポリアミド樹脂、東レ社製、結晶性樹脂、融点265℃)
(E-3)ユーピロンS-3000(ポリカーボネート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチック社製、非晶性樹脂、ガラス転移温度145℃)
(E-4)トパス(シクロオレフィン樹脂、ポリプラスチックス社製、非晶性樹脂、ガラス転移温度78℃)
(E-5)アペル(シクロオレフィン樹脂、三井化学社製、非晶性樹脂、ガラス転移温度135℃)
(E-6)ULTEM(ポリエーテルイミド樹脂、サウジ基礎産業公社製、非晶性樹脂、ガラス転移温度217℃)
(マスターバッチの製造)
近赤外線吸収色素(A-2)を1部と、熱可塑性樹脂(E-1)99部とを同じ供給口からスクリュー径30mmの二軸押出機(日本製鋼所社製)に投入し、300℃で溶融混錬した上で、ペレタイザーを用いてペレット状にカッティングしてマスターバッチ(M-1)を作製した。
希釈樹脂の熱可塑性樹脂(E-1)95部に対して、得られたマスターバッチ(M-1)5部を混合し、T-ダイ成形機(東洋精機製)を用いて、温度300℃で溶融混合し、厚さ250μmのフィルム(Q-1)を成形した。
実施例141と同様に、表8記載の材料を用いて、厚さ250μmのフィルム(Q-2)~(Q-37)を成形した。
得られたフィルムに対し、分光を分光光度計(U-4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて300~1200nmの波長範囲の吸収スペクトルを測定した。得られた基板について、700-800nmにおける吸光度の最大値(W)と、480~650nmにおける吸光度の最小値(X)の比率(W/X)を求め、以下の基準で評価した。なお、この比率(W/X)が大きいほど、近赤外線における吸収に対し、比視感度の高い領域(480nm~650nm)で最も吸収の低い波長における吸収が少なく、透過性が最大となる波長における透過性が高いと言える。
◎ :30以上
○ :15以上、30未満
△ :5以上、15未満
× :5未満
得られたフィルムに対し、700-800nmにおける吸光度の最大値(X)と、480~650nmにおける吸光度の最大値(Y)の比率(X/Y)を求め、以下の基準で評価した。
◎ :4以上
○ :3以上、4未満
△ :2以上、3未満
× :2未満
得られたフィルムに対し、800~900nmに極値点を有するかどうかを評価した。極値点とは、短波長側から長波長側へ吸光度を確認した際に、吸光度の値が増加から減少へ、または減少から増加へ変化する点である。極値点を有する場合、その波長における透過光がノイズとして検出されることがあるため、極値点を有さない方が、より近赤外線吸収能力が優れていると言える。
あり :極値点を有する
なし :極値点を有さない
得られたフィルムの透明性を目視で評価した。
〇: 全く濁りが認められない。
△: 若干濁りが認められる。
×: 明らかに濁りが認められる。
近赤外線吸収性評価と同じ手順で試験用フィルムを作製し、耐光性試験機(TOYOSEIKI社製「SUNTEST CPS+」)に入れ、放射照度47mW/cm2、300~800nmの広帯の光を照射し、24時間放置した。次いで、試験用フィルムを取り出し、当該試験用フィルムの極大吸収波長における吸光度を測定し、光照射前の前記吸光度に対する残存比を求め、耐光性を、下記基準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=(照射後の吸光度)÷(照射前の吸光度)×100
○ :残存率 が90%以上
△ :残存率 が85%以上90%未満
× :残存率 が85%未満、
[実施例175]
(マスターバッチの製造)
近赤外線吸収性色素(A-2)を1部、ピグメントブルー15:3を1部、ピグメントイエロー147を1部、ソルベントレッド52を1部、熱可塑性樹脂(E-1)96部とを同じ供給口からスクリュー径30mmの二軸押出機(日本製鋼所社製)に投入し、300℃で溶融混錬した上で、ペレタイザーを用いてペレット状にカッティングしてマスターバッチ(MP-1)を作製した。
希釈樹脂の熱可塑性樹脂(E-1)95部に対して、得られたマスターバッチ(MP-1)5部を混合し、T-ダイ成形機(東洋精機製)を用いて、温度300℃で溶融混合し、厚さ250μmのフィルム(QP-1)を成形した。
実施例175と同様に、表10記載の材料を用いて、厚さ250μmのフィルム(QP-2)~(QP-7)を成形した。
以下、90012~00nmの透過率、ならびに400~800nmの波長域の吸収性を評価した。
得られたフィルムに対し、分光光度計(U-4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて400~800nmの波長範囲の透過スペクトルを測定した。
○:400~800nm全領域において、透過率が2%未満
△:400~800nmの一部領域において、透過率が2%以上
×:400~800nm全領域において、透過率が2%以上
得られたフィルムに対し、分光光度計(U-4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて900~1200nmの透過率を測定した。
○ :900~1200nm全領域において、透過率が80%以上
△ :900~1200nmの一部領域において、40%以上80%未満
× :900~1200nmの一部領域において、40%未満
得られたフィルムの透明性を目視で評価した。
〇: 全く濁りが認められない。
△: 若干濁りが認められる。
×: 明らかに濁りが認められる。
得られたフィルムを、耐光性試験機(TOYOSEIKI社製「SUNTEST CPS+」)に入れ、24時間放置した。この際、放射照度47mW/cm2、300~800nmの広帯の光にて試験を実施した。その後、分光光度計(U-4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて400~800nmの波長範囲の透過スペクトルを測定した。
○:400~800nm全領域において、透過率が2%未満
△:400~800nmの一部領域において、透過率が2%以上
×:400~800nm全領域において、透過率が2%以上
Claims (7)
- 下記一般式(3)で表される近赤外線吸収性色素(A1)。
一般式(3)
[一般式(3)中、Y9~Y16、R8~R21は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または、置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。
Z2は、-OP(=O)R1R2、または一般式(2)で表される単量体単位を含む重合体部位を表す。ここでR1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。]
一般式(2)
[一般式(2)中、Wは、-CONH-R4-、-COO-R5-、-CONH-R6-O-、-COO-R7-O-を表し、R4~R7は、炭素原子と炭素原子の間が、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、または-NHCO-で連結されていても良いアルキレン基もしくはアリーレン基を表す。R3は水素原子または、メチル基を表す。*は、Alとの結合手である。] - 請求項1記載の近赤外線吸収性色素(A1)と、下記一般式(1)で表される近赤外線吸収性色素(A)(ただし、近赤外線吸収性色素(A1)を除く)とを含むことを特徴とする近赤外線吸収性色素組成物。
一般式(1)
Z1は、-OP(=O)R1R2、または一般式(2)で表される単量体単位を含む重合体部位を表す。ここでR1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。]
一般式(2)
[一般式(2)中、Wは、-CONH-R4-、-COO-R5-、-CONH-R6-O-、-COO-R7-O-を表し、R4~R7は、炭素原子と炭素原子の間が、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、または-NHCO-で連結されていても良いアルキレン基もしくはアリーレン基を表す。R3は水素原子または、メチル基を表す。*は、Alとの結合手である。] - 近赤外線吸収性色素組成物中の近赤外線吸収性色素(A1)の含有量が、20~100質量%であることを特徴とする請求項2記載の近赤外線吸収性色素組成物。
- 請求項1~3いずれか1項に記載の近赤外線吸収性色素または近赤外線吸収性色素組成物と、バインダ樹脂とを含むことを特徴とする近赤外線吸収性組成物。
- さらに光重合性単量体および/または光重合開始剤を含むことを特徴とする請求項4記載の近赤外線吸収性組成物。
- さらに400nm~700nmに吸収を持つ有機色素を含むことを特徴とする請求項4または5記載の近赤外線吸収性組成物。
- 請求項4~6いずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物により形成されてなる被膜を有することを特徴とする光学フィルタ。
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