JP6939438B2 - カラーフィルタ用着色組成物、及びカラーフィルタ - Google Patents

カラーフィルタ用着色組成物、及びカラーフィルタ Download PDF

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Description

本発明は、カラー液晶表示装置、カラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタの製造に使用されるカラーフィルタ用着色組成物、及びこれを用いて形成されてなるフィルタセグメントを備えるカラーフィルタに関するものである。
近年顔料で達成し得ない高コントラスト比・高明度化を実現するため、染料系の色材に注目が集まっている。しかし、染料種によっては、蛍光発光特性を示す(例えば特許文献1参照)ため、コントラスト比が低くなるという問題があった。また、染料一般の特性として、顔料に比較して耐熱性・耐光性など堅牢性に劣る傾向にあり、またカラーフィルタ用着色物として好適な有機溶剤への溶解性が劣る傾向にある。そのため、染料を使用するに当たって、有機溶剤溶解性を付与すること、堅牢性を付与すること、蛍光を有する染料においては蛍光発光を抑制する技術が求められている。
染料の発する蛍光を消光する材料として、様々な文献が提案されているが(例えば特許文献2参照)、これらの消光材は、カラーフィルタの基板作製時の加熱工程で昇華・分解等することにより蛍光消光効果を発揮できず、充分なコントラスト比を得ることが出来ていなかった。更に消光材の効果を効果的に発揮するには、蛍光発光する染料と消光材の距離を近づけることでエネルギー移動を促進させることが一般的に知られている。この距離を近づける手法として染料と消光剤を塩形成が考えられ、同様の手法が提案されているが、この方法では耐溶剤性の改善は示されているものの、カラーフィルタの基板作製時の加熱工程で昇華・分解等対する耐熱性に関しては解決されていない(特許文献3参照)。
また消光材の昇華・分解等に対する耐熱性を向上させる手段として、樹脂に組み込む手法が提案されている(特許文献4参照)。この手法は、耐熱性の向上には有効だが、染料・消光材ともに樹脂に組み込んでいる為に互いの距離が離れてしまい、消光効果が十分に得られていなかった。
また染料を使用する際には、溶媒に溶解させて染料溶液とした際に異物除去の為にフィルター濾過を行うが、現在は高濃度での溶解が求められている為に、染料が十分に溶解せずフィルターに詰まり、濾過性が課題となることが知られている。
特開2010−032999号公報 特開2013−101166号公報 特開2011−215572号公報 特開2015−018208号公報
本発明の目的は、耐熱性、耐溶剤性、コントラスト比(CR)及び濾過性に優れたカラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタを提供することである。
<1>着色剤、バインダー樹脂及び有機溶剤を含むカラーフィルタ用着色組成物であって、着色剤が、1分子中に、下記一般式(1)で表される構造単位、及び下記一般式(2)で表される構造単位を有する造塩化合物を含むカラーフィルタ用着色組成物。
一般式(1)
Figure 0006939438
[一般式(1)中、Rは水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基又は置換基を有してもよいアリール基を表し、R〜Rの内2つが互いに結合して環を形成しても良い。Qはアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R−又は−COO−R−を表し、Rはアルキレン基を表す。Yはアニオン性色素を表す(但し、下記一般式(4)〜下記一般式(6)で表わされるアニオンを除く)。]
一般式(2)
Figure 0006939438
[一般式(2)中、Rは水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基又は置換基を有してもよいアリール基を表し、R〜Rの内2つが互いに結合して環を形成しても良い。Qはアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R−又は−COO−R−を表し、Rはアルキレン基を表す。Zは、下記一般式(4)、下記一般式(5)及び下記一般式(6)からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有するアニオンを表す。]
一般式(4)
Figure 0006939438
[一般式(4)中、R10〜R27はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の飽和炭化水素基、ニトロ基、ハロゲン原子、−SO2NHR401、−SO3H又は−SO2CH3を表す。R28及びR29はそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、−SO2NHR402、−SO3H又は−SO2CH3を表す。R401及びR402はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の飽和炭化水素基、又は炭素数2〜15のアルコキシアルキル基を表す。A1〜A4はそれぞれ独立に、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−を表す。*はMとの結合手を表す。Mは、Cr又はCoを表す。nは、1〜5の整数を表す。]
一般式(5)
Figure 0006939438
[一般式(5)中、R31〜R39はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基、ニトロ基、ハロゲン原子、−SO2NHR501、−SO3H又は−SO2CH3を表す。R40は、水素原子、メチル基、エチル基、−SO2NHR502、−SO3H又は−SO2CH3を表す。R501及びR502はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基、又は炭素数2〜15のアルコキシアルキル基を表す。A5及びA6はそれぞれ独立に、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−を表す。*はMとの結合手を表す。Mは、Cr又はCoを表す。nは、1〜2の整数を表す。]
一般式(6)
Figure 0006939438
[一般式(6)中、 R42は、炭素数1〜12の1価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、−OH、−OR601、−CO−OR602、−O−COR603、−CONR604605、炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子で置換されていてもよく、該飽和炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−及び−CO−の少なくとも1つで置き換わっていてもよい。R43は、水素原子、−CN、又は−CONH2を表す。R44は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。R45〜R48はそれぞれ独立に、−R606、−OR607、−CO−OR608、−COR609、−OCO−OR610、−O−COR611、−CN、−NO2、ハロゲン原子、−SO3H、−SO3Na、−SO3K、−SO2NR612613又は−NR5253を表す。R45及びR46、R46及びR47、並びにR47及びR48は、互いに結合してベンゼン環を含んだ6〜7員環を形成してもよい。R601〜R613は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数7〜12のアラルキル基、又は炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基、該アラルキル基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、−OR51で置換されていてもよい。R51は、水素原子、炭素数1〜8の1価の飽和炭化水素基又は炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基を表す。R52及びR53は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数2〜8のアシル基又はテトラヒドロフルフリル基を表す。R52及びR53は、互いに結合して窒素原子を含んだ環を形成してもよい。A7〜A10は、それぞれ独立に、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−を表す。*はMとの結合手を表す。Mは、Cr又はCoを表す。nは、1〜5の整数を表す。]
<2>一般式(1)におけるYが、キサンテン系アニオン性色素である上記カラーフィルタ用着色組成物。
<3>造塩化合物がさらに、ヒドロキシル基、カルボキシル基、オキセタン基、及びt−ブチル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱架橋性基を含む構造単位を有する上記カラーフィルタ用着色組成物。
<4>造塩化合物におけるYとZの質量比(Z/Y)が0.1〜0.8である、上記カラーフィルタ用着色組成物。
<5>一般式(2)におけるZが、式(4−1)、及び式(5−1)からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有するアニオンである、上記カラーフィルタ用着色組成物。
式(4−1)
Figure 0006939438
式(5−1)
Figure 0006939438
<6>造塩化合物がさらに、ベンジルメタクリレートに由来する構造単位を有する上記のカラーフィルタ用着色組成物。
<7>さらに光重合性単量体及び/又は光重合開始剤を含有する上記カラーフィルタ用着色組成物。
<8>基板上に、上記カラーフィルタ用着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタ。
本発明により、濾過性に優れ、さらに、高い耐熱性、耐溶剤性、コントラスト比(CR)を有する塗膜を形成可能なカラーフィルタ用着色組成物、及び、高い耐熱性、耐溶剤性、コントラスト比(CR)を有する高品質のカラーフィルタを得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本願では、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、又は「(メタ)アクリレート」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、又は「アクリレート及び/又はメタクリレート」を表すものとする。
また、本明細書に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、着色剤、バインダー樹脂及び有機溶剤を含み、着色剤が、1分子中に、一般式(1)で表される構造単位、及び一般式(2)で表される構造単位を有する造塩化合物を含むことを特徴とする。
<着色剤>
<造塩化合物>
本発明の着色組成物は、着色剤として、1分子中に、下記一般式(1)で表される構造単位及び下記一般式(2)で表される構造単位を有する造塩化合物を含む。
[一般式(1)で表される構造単位及び下記一般式(2)で表される構造単位]
一般式(1)
Figure 0006939438
[一般式(1)中、Rは水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基又は置換基を有してもよいアリール基を表し、R〜Rの内2つが互いに結合して環を形成しても良い。Qはアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R−又は−COO−R−を表し、Rはアルキレン基を表す。Yはアニオン性色素を表す(但し、下記一般式(4)〜下記一般式(6)で表わされるアニオンを除く)。]
一般式(2)
Figure 0006939438
[一般式(2)中、Rは水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基又は置換基を有してもよいアリール基を表し、R〜Rの内2つが互いに結合して環を形成しても良い。Qはアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R−又は−COO−R−を表し、Rはアルキレン基を表す。Zは、一般式(4)、一般式(5)及び一般式(6)からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有するアニオンを表す。]
一般式(4)
Figure 0006939438
[一般式(4)中、R10〜R27はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の飽和炭化水素基、ニトロ基、ハロゲン原子、−SO2NHR401、−SO3H又は−SO2CH3を表す。R28及びR29はそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、−SO2NHR402、−SO3H又は−SO2CH3を表す。R401及びR402はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の飽和炭化水素基、又は炭素数2〜15のアルコキシアルキル基を表す。A1〜A4はそれぞれ独立に、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−を表す。*はMとの結合手を表す。Mは、Cr又はCoを表す。nは、1〜5の整数を表す。]
一般式(5)
Figure 0006939438
[一般式(5)中、R31〜R39はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基、ニトロ基、ハロゲン原子、−SO2NHR501、−SO3H又は−SO2CH3を表す。R40は、水素原子、メチル基、エチル基、−SO2NHR502、−SO3H又は−SO2CH3を表す。R501及びR502はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基、又は炭素数2〜15のアルコキシアルキル基を表す。A5及びA6はそれぞれ独立に、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−を表す。*はMとの結合手を表す。Mは、Cr又はCoを表す。nは、1〜2の整数を表す。]
一般式(6)
Figure 0006939438
[一般式(6)中、 R42は、炭素数1〜12の1価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、−OH、−OR601、−CO−OR602、−O−COR603、−CONR604605、炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子で置換されていてもよく、該飽和炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−及び−CO−の少なくとも1つで置き換わっていてもよい。R43は、水素原子、−CN、又は−CONH2を表す。R44は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。R45〜R48はそれぞれ独立に、−R606、−OR607、−CO−OR608、−COR609、−OCO−OR610、−O−COR611、−CN、−NO2、ハロゲン原子、−SO3H、−SO3Na、−SO3K、−SO2NR612613又は−NR5253を表す。R45及びR46、R46及びR47、並びにR47及びR48は、互いに結合してベンゼン環を含んだ6〜7員環を形成してもよい。R601〜R613は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数7〜12のアラルキル基、又は炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基、該アラルキル基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、−OR51で置換されていてもよい。R51は、水素原子、炭素数1〜8の1価の飽和炭化水素基又は炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基を表す。R52及びR53は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数2〜8のアシル基又はテトラヒドロフルフリル基を表す。R52及びR53は、互いに結合して窒素原子を含んだ環を形成してもよい。A7〜A10は、それぞれ独立に、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−を表す。*はMとの結合手を表す。Mは、Cr又はCoを表す。nは、1〜5の整数を表す。]
一般式(1)及び一般式(2)のRにおけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられる。該アルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
で表されるアルキル基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、水酸基、アルコキシル基等が挙げられる。上記の中でも、Rとしては、水素原子又はメチル基が最も好ましい。
一般式(1)及び一般式(2)のR〜Rにおけるアルキル基としては、例えば、直鎖アルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル及びn−オクタデシル等)、分岐アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、イソヘキシル、2−エチルヘキシル及び1,1,3,3−テトラメチルブチル等)、シクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等)及び架橋環式アルキル基(ノルボルニル、アダマンチル及びピナニル等)が挙げられる。該アルキル基としては、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜8のアルキル基である。
一般式(1)及び一般式(2)のR〜Rにおけるアルケニル基としては、例えば、直鎖又は分岐のアルケニル基(ビニル、アリル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル及び2−メチル−2−プロぺニル等)、シクロアルケニル基(2−シクロヘキセニル及び3−シクロヘキセニル等)が挙げられる。該アルケニル基としては、炭素数2〜18のアルケニル基が好ましく、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基である。
一般式(1)及び一般式(2)のR〜Rにおけるアリール基としては、例えば、単環式アリール基(フェニル等)、縮合多環式アリール基(ナフチル、アントラセニル、フェナンスレニル、アントラキノリル、フルオレニル及びナフトキノリル等)及び芳香族複素環炭化水素基(チエニル(チオフェンから誘導される基)、フリル(フランから誘導される基)、ピラニル(ピランから誘導される基)、ピリジル(ピリジンから誘導される基)、9−オキソキサンテニル(キサントンから誘導される基)及び9−オキソチオキサンテニル(チオキサントンから誘導される基)等)が挙げられる。
一般式(1)及び一般式(2)のR〜Rにおけるアルキル基、アルケニル基又はアリール基が置換基を有する場合、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルケニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、及びフェニル基等から選択される置換基が挙げられる。置換基としては、中でも、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシル基、フェニル基が特に好ましい。
一般式(1)及び一般式(2)のR〜Rとしては、安定性の観点から無置換のアルキル基が特に好ましい。また、R〜Rのうち2つが互いに結合して環を形成しても良い。
一般式(1)及び一般式(2)のQにおけるアルキレン基及びアリーレン基としては、上述のR〜Rにおけるアルキル基及びアリール基の水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
一般式(1)及び一般式(2)のRにおけるアルキレン基としては、上述のR〜Rにおけるアルキル基の水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
一般式(1)及び一般式(2)のQとしては、重合性及び入手性の観点から、−CONH−R−、−COO−R−であることが好ましい。また、Rがメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基であることが更に好ましく、エチレン基であることが特に好ましい。
<Y:アニオン性色素(但し、一般式(4)〜(6)で表わされるアニオンを除く)>
におけるアニオン性色素(但し、一般式(4)〜(6)で表わされるアニオンを除く)としては、公知のものが制限なく採用でき、具体的には、分子中にカルボン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基、リン酸基、又はこれらの金属塩を有するアニオン性染料に由来するアニオン性色素が挙げられる。アニオン性染料としては、例えば、アントラキノン系アニオン性染料、モノアゾ系アニオン性染料、ジスアゾ系アニオン性染料、オキサジン系アニオン性染料、アミノケトン系アニオン性染料、キサンテン系アニオン性染料、キノリン系アニオン性染料、トリフェニルメタン系アニオン性染料などが挙げられる。
染料の種類としては、油溶性染料、酸性染料、直接染料、塩基性染料、媒染染料、酸性媒染染料等の各種染料が挙げられる。油溶性染料としては、カラーインデックスに分類されるC.I.ソルベントに分類されるもの、塩基性染料としては同C.I.ベーシックに分類されるもの、酸性染料としては同C.I.アシッドに分類されるもの、直接染料としては同C.I.ダイレクトに分類されるものである。ここで直接染料は、構造中にスルホン酸基(−SO3H、−SO3Na)を有しており、本発明においては、直接染料は酸性染料として見なすものである。アニオン性染料とは、染料骨格中にスルホン基等のアニオン部位を持つものであり、一般的には酸性染料と呼ばれるものが該当する。
以下に、アニオン性染料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
赤色系染料としては、C.I.アシッドレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、23、24、25、25:1、26、26:1、26:2、27、29、30、31、32、33、34、35、36、37、39、40、41、42、43、44、45、47、50、52、53、54、55、56、57、59、60、62、64、65、66、67、68、70、71、73、74、76、76:1、80、81、82、83、85、86、87、88、89、91、92、93、97、99、102、104、106、107、108、110、111、113、114、115、116、120、123、125、127、128、131、132、133、134、135、137、138、141、142、143、144、148、150、151、152、154、155、157、158、160、161、163、164、167、170、171、172、173、175、176、177、181、229、231、237、239、240、241、242、249、252、253、255、257、260、263、264、266、267、274、276、280、286、289、299、306、309、311、323、333、324、325、326、334、335、336、337、340、343、344、347、348、350、351、353、354、356、388等が挙げられる。
また、C.I.ダイレクトレッド1、2、2:1、4、5、6、7、8、10、10:1、13、14、15、16、17、18、21、22、23、24、26、26:1、28、29、31、33、33:1、34、35、36、37、39、42、43、43:1、44、46、49、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、67、67:1、68、72、72:1、73、74、75、77、78、79、81、81:1、85、86、88、89、90、97、100、101、101:1、107、108、110、114、116、117、120、121、122、122:1、124、125、127、127:1、127:2、128、129、130、132、134、135、136、137、138、140、141、148、149、150、152、153、154、155、156、169、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、186、189、204、211、213、214、217、222、224、225、226、227、228、232、236、237、238等も使用できる。
黄色系染料としては、C.I.アシッドイエロー2,3、4、5、6、7、8、9、9:1、10、11、11:1、12、13、14、15、16、17、17:1、18、20、21、22、23、25、26、27、29、30、31、33、34、36、38、39、40、40:1、41、42、42:1、43、44、46、48、51、53、55、56、60、63、65、66、67、68、69、72、76、82、83、84、86、87、90、94、105、115、117、122、127、131、132、136、141、142、143、144、145、146、149、153、159、166、168、169,172、174、175、178、180、183、187、188、189、190、191、192、199等が挙げられる。
また、C.I.ダイレクトイエロー1、2、4、5、12、13、15、20、24、25、26、32、33、34、35、41、42、44、44:1、45、46、48、49、50、51、61、66、67、69、70、71、72、73、74、81、84、86、90、91、92、95、107、110、117、118、119、120、121、126、127、129、132、133、134等も使用できる。
橙色系染料としては、C.I.アシッドオレンジ1、1:1、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、17、18、19、20、20:1、22、23、24、24:1、25、27、28、28:1、30、31、33、35、36、37、38、41、45、49、50、51、54、55、56、59、79、83、94、95、102、106、116、117、119、128、131、132、134、136、138等が挙げられる。
また、C.I.ダイレクトオレンジ1、2、3、4、5、6、7、8、10、13、17、19、20、21、24、25、26、29、29:1、30、31、32、33、43、49、51、56、59、69、72、73、74、75、76、79、80、83、84、85、87、88、90、91、92、95、96、97、98、101、102、102:1、104、108、112、114等も使用できる。
青色染料としては、C.I.アシッドブルー1、2、3、4、5、6、7、8、9、11、13、14、15、17、19、21、22、23、24、25、26、27、29、34、35、37、40、41、41:1、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、62、62:1、63、64、65、68、69、70、73、75、78、79、80、81、83、8485、86、88、89、90、90:1、91、92、93、95、96、99、100、103、104、108、109、110、111、112、113、114、116、117、118、119、120、123、124、127、127:1、128、129、135、137、138、143、145、147、150、155、159、169、174、175、176、183、198、203、204、205、206、208、213、227、230、231、232、233、235、239、245、247、253、257、258、260、261、262、264、266、269、271、272、273、274、277、278、280等が挙げられる。
また、C.I.ダイレクトブルー1、2、3、4、6、7、8、8:1、9、10、12、14、15、16、19、20、21、21:1、22、23、25、27、29、31、35、36、37、40、42、45、48、49、50、53、54、55、58、60、61、64、65、67、79、96、97、98:1、101、106、107、108、109、111、116、122、123、124、128、129130、130:1、132、136、138、140、145、146、149、152、153、154、156、158、158:1、164、165、166、167、168、169、170、174、177、181、184、185、188、190、192、193、206、207、209、213、215、225、226、229、230、231、242、243、244、253、254、260、263等も使用できる。
紫色染料としては、C.I.アシッドバイオレット1、2、3、4、5、5:1、6、7、7:1、9、11、12、13、14、15、16、17、19、20、21、23、24、25、27、29、30、31、33、34、36、38、39、41、42、43、47、49、51、63、67、72、76、96、97、102、103、109等が挙げられる。
また、C.I.ダイレクトバイオレット1、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、16、17、18、21、22、25、26、27、28、29、30、31、32、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、51、52、54、57、58、61、62、63、64、71、72、77、78、79、80、81、82、83、85、86、87、88、93、97等も使用できる。
緑色染料としては、C.I.アシッドグリーン2、3、5、6、7、8、9、10、11、13、14、15、16、17、18、19、20、22、25、25:1、27、34、36、37、38、40、41、42、44、54、55、59、66、69、70、71、81、84、94、95等が挙げられる。また、C.I.ダイレクトグリーン11、13、14、24、30、34、38、42、49、55、56、57、60、78、79、80等も使用できる。
<Z:一般式(4)、一般式(5)及び一般式(6)からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有するアニオン>
[一般式(4)で表されるアニオン]
一般式(4)
Figure 0006939438
[一般式(4)中、R10〜R27はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の飽和炭化水素基、ニトロ基、ハロゲン原子、−SO2NHR401、−SO3H又は−SO2CH3を表す。R28及びR29はそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、−SO2NHR402、−SO3H又は−SO2CH3を表す。R401及びR402はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の飽和炭化水素基、又は炭素数2〜15のアルコキシアルキル基を表す。A1〜A4はそれぞれ独立に、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−を表す。*はMとの結合手を表す。Mは、Cr又はCoを表す。nは、1〜5の整数を表す。]
一般式(4)中、R10〜R27、R401及びR402で表される炭素数1〜8の1価の飽和炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1−メチルブチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1,6−ジメチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基及び1,1,5,5−テトラメチルヘキシル基等の分枝鎖状アルキル基が挙げられる。
10〜R27のうち、少なくとも1つがニトロ基であることが好ましい。ニトロ基を有することにより、化合物の分光濃度が高くなる傾向がある。また、ニトロ基に加えてさらに少なくとも一つのハロゲン原子を有することにより、化合物の蛍光発光が弱まる傾向がある。ハロゲン原子の中でも、クロロ基、ブロモ基が好ましい。
28及びR29は、それぞれ独立に、水素、メチル基、−SO2NHR402、−SO3H又は−SO2CHが好ましい。
401及びR402で表される炭素数2〜15のアルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、メトキシペンチル基、1−エトキシプロピル基、2−エトキシプロピル基、1−エトキシ−1−メチルエチル基、2−エトキシ−1−メチルエチル基、1−イソプロポキシプロピル基、2−イソプロポキシプロピル基、1−イソプロポキシ−1−メチルエチル基、2−イソプロポキシ−1−メチルエチル基、オクチルオキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル基等が挙げられる。
一般式(4)において、R10〜R18、R19〜R27のうち1つがそれぞれ独立に、水素原子、クロロ基、SO2NHR401、−SO3H、及び−SO2CH3であり、R28及びR29がそれぞれ独立に水素原子、メチル基又は−SO3Hであり、R401が水素原子、炭素数1〜4の1価の飽和炭化水素基、又は炭素数2〜8のアルコキシアルキル基であり、A1〜A4のうち2つが*−O−、残りが同一に*−O−又は*−O−CO−であり、MはCrであり、nは1となる組合せが好ましい。
式(4)で表されるアニオンとしては、C.I.ソルベントオレンジ62に由来するアニオン(式(4−1))、C.I.ソルベントオレンジ41に由来するアニオン、C.I.ソルベントレッド130に由来するアニオン(式(4−2))、C.I.ソルベントイエロー21に由来するアニオン(式(4−3))等が挙げられる。中でも、好ましくはC.I.ソルベントオレンジ62に由来するアニオン(式(4−1))又はC.I.ソルベントオレンジ41に由来するアニオンであり、より好ましくはC.I.ソルベントオレンジ62に由来するアニオン(式(4−1))である。
式(4−1)
Figure 0006939438
式(4−2)
Figure 0006939438
式(4−3)
Figure 0006939438
[一般式(5)で表されるアニオン]
一般式(5)
Figure 0006939438
[一般式(5)中、R31〜R39はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基、ニトロ基、ハロゲン原子、−SO2NHR501、−SO3H又は−SO2CH3を表す。R40は、水素原子、メチル基、エチル基、−SO2NHR502、−SO3H又は−SO2CH3を表す。R501及びR502はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基、又は炭素数2〜15のアルコキシアルキル基を表す。A5及びA6はそれぞれ独立に、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−を表す。*はMとの結合手を表す。Mは、Cr又はCoを表す。nは、1〜2の整数を表す。]
一般式(5)中、R31〜R39、R501及びR502で表される炭素数1〜8の1価の飽和炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1−メチルブチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1,6−ジメチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基及び1,1,5,5−テトラメチルヘキシル基等の分枝鎖状アルキル基が挙げられる。
31〜R39のうち、少なくとも1つがそれぞれ独立に水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、−SO2NHR501、−SO3H又は−SO2CH3であることが好ましい。ニトロ基を有することにより、化合物の分光濃度が高くなる傾向がある。また、ハロゲン原子を有することにより、化合物の蛍光発光が弱まる傾向があるので好ましい。ハロゲン原子の中でも、クロロ基、ブロモ基が好ましい。R501は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数2〜15のアルコキシアルキル基を表す。
40は、メチル基、−SO2NHR502、−SO3H又は−SO2CHが好ましい。
502で表される炭素数2〜15のアルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、メトキシペンチル基、1−エトキシプロピル基、2−エトキシプロピル基、1−エトキシ−1−メチルエチル基、2−エトキシ−1−メチルエチル基、1−イソプロポキシプロピル基、2−イソプロポキシプロピル基、1−イソプロポキシ−1−メチルエチル基、2−イソプロポキシ−1−メチルエチル基、オクチルオキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル基等が挙げられる。
一般式(5)において、R31〜R39のうち1つがニトロ基であり、1つが水素原子又はクロロ基であり、1つがSO2NHR501、−SO3H、及びSO2CH3から選ばれる1つであり、残りが水素原子であり、R40がメチル基、又は−SO3Hであり、R501が水素原子、炭素数1〜4の1価の飽和炭化水素基、又は炭素数2〜8のアルコキシアルキル基であり、A5〜A6のうち1つが*−O−、残りが*−O−又は*−O−CO−であり、M1はCr又はCoであり、nは1となる組合せが好ましい。
式(5)で表されるアニオンとしては、例えば、C.I.ソルベントオレンジ56に由来するアニオン(式(5−1))等が挙げられ、好適に用いられる。
式(5−1)
Figure 0006939438
[一般式(6)で表されるアニオン]
一般式(6)
Figure 0006939438
[一般式(6)中、 R42は、炭素数1〜12の1価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、−OH、−OR601、−CO−OR602、−O−COR603、−CONR604605、炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子で置換されていてもよく、該飽和炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−及び−CO−の少なくとも1つで置き換わっていてもよい。R43は、水素原子、−CN、又は−CONH2を表す。R44は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。R45〜R48はそれぞれ独立に、−R606、−OR607、−CO−OR608、−COR609、−OCO−OR610、−O−COR611、−CN、−NO2、ハロゲン原子、−SO3H、−SO3Na、−SO3K、−SO2NR612613又は−NR5253を表す。R45及びR46、R46及びR47、並びにR47及びR48は、互いに結合してベンゼン環を含んだ6〜7員環を形成してもよい。R601〜R613は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数7〜12のアラルキル基、又は炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基、該アラルキル基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、−OR51で置換されていてもよい。R51は、水素原子、炭素数1〜8の1価の飽和炭化水素基又は炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基を表す。R52及びR53は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数2〜8のアシル基又はテトラヒドロフルフリル基を表す。R52及びR53は、互いに結合して窒素原子を含んだ環を形成してもよい。A7〜A10は、それぞれ独立に、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−を表す。*はMとの結合手を表す。Mは、Cr又はCoを表す。nは、1〜5の整数を表す。]
一般式(6)中、R42で表される炭素数1〜12の1価の飽和炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基等の直鎖状飽和炭化水素基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、メチルペンチル基、エチルブチル基、メチルヘキシル基、エチルペンチル基、プロピルブチル基、(メチルエチル)ブチル基、(メチルエチル)(メチル)プロピル基、メチルヘプチル基、エチルヘキシル基、プロピルペンチル基、(メチルエチル)ペンチル基、ブチルブチル基、(ブチル)(メチル)ブチル基、(ジメチルエチル)(ブチル)ブチル基、ジメチルプロピル基、ジメチルブチル基、(エチル)(メチル)プロピル基、ジメチルペンチル基、(エチル)(メチル)ブチル基、ジメチルヘキシル基、(エチル)(メチル)ペンチル基、(プロピル)(メチル)ブチル基、(メチルエチル)(メチル)ブチル基、ジエチルブチル基等の分枝鎖状飽和炭化水素基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基等の脂環式飽和炭化水素基が挙げられる。
一般式(6)中、R44で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、R42で例示した前記各基のうち炭素数が4以下の直鎖状飽和炭化水素基、炭素数が4以下の分枝鎖状飽和炭化水素基が例示できる。
一般式(6)中、R601〜R613、R52及びR53で表される炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基としては、R42で例示した前記各基のうち炭素数が8以下のものが例示できる。さらには、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、2−メチルプロペニル基等も挙げられる。
一般式(6)中、R601〜R613における炭素数7〜12のアラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。R601〜R613及びR51における炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。R51で表される炭素数1〜8の1価の飽和炭化水素基としては、R42で例示した前記各基のうち炭素数が8以下のものが例示できる。
一般式(6)中、R52及びR53における炭素数2〜8のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基等が挙げられる。
一般式(6)中、R42において、−CH2−が−O−又は−CO−で置き換えられた飽和炭化水素基としては、例えば、アセチル基、オキソブチル基、オキソペンチル基、オキソヘキシル基等のオキソ基を含有する飽和炭化水素基;フェナシル基、オキソ(ナフチル)エチル基、オキソ(ヒドロキシフェニル)エチル基、オキソ(ヒドロキシナフチル)エチル基、オキソ(メトキシフェニル)エチル基、オキソ(フェニル)プロピル基、オキソ(ナフチル)プロピル基等の芳香族基で置換されたオキソ基含有飽和炭化水素基;等の1つの−CH2−が−CO−で置き換えられた飽和炭化水素基;並びに2−[2−(アセチルオキシ)アセトキシ]エチル基、2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エチル基、2−[2−(メトキシカルボニル)エチルカルボニルオキシ]エチル基等のアルキル基、アルキレン基、及びエステル結合とで形成される基;2−ベンゾイルオキシエチル基等のアルキレン基、芳香族環、及びエステル結合とで形成される基;等の1つの−CH2−が−CO−で置き換えられ、1つの−CH2−が−O−で置き換えられた飽和炭化水素基が挙げられる。
一般式(6)において、R42が、炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基;アルキル基とアルキレン基と2つのエステル結合とで形成される基、アルキレン基と芳香族環と1つのエステル結合とで形成される基のいずれかであり、R43が−CNであり、R44が炭素数1〜4のアルキル基であり、R45〜R48のうち3つが水素原子であり、残る一つが水素原子又は−NR5253であり、この−NR5253を構成するR52及びR53のうち一方は水素原子であり、他方は炭素数2〜4のアシル基であり、A11〜A14のうち2つが*−O−、残りが同一に*−O−又は*−O−CO−であり、M2はCrであり、nは1となる組合せが好ましい。
式(6)で表されるアニオンとしては、例えば、式(6−1)〜(6−6)で表されるアニオンが挙げられる。
式(6−1)
Figure 0006939438
式(6−2)
Figure 0006939438
式(6−3)
Figure 0006939438
式(6−4)
Figure 0006939438
式(6−5)
Figure 0006939438
式(6−6)
Figure 0006939438
一般式(4)、一般式(5)及び一般式(6)からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有するアニオンZとしては、一般式(4)又は一般式(5)で表される構造を有するアニオンが好ましい。中でも、C.I.ソルベントオレンジ62に由来するアニオン(式(4−1))又は、C.I.ソルベントオレンジ56に由来するアニオン(式(5−1))が特に好ましい。
造塩化合物は、後述の造塩化合物の製造の項のとおり、さらに、ヒドロキシル基、カルボキシル基、オキセタン基、及びt−ブチル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱架橋性基を含むことが好ましい。カラーフィルタの製造における加熱工程においては、造塩化合物が有する熱架橋性基が架橋を形成し、強固な被膜が形成され、塗膜の色変化を防ぐ。これにより耐熱性を向上させることができ、また、耐溶剤性も向上する。
また、造塩化合物におけるYとZの質量比(Z/Y)は、好ましくは0.1〜0.8である。より好ましくは0.1〜0.4である。ピアゾロンアゾ系染料による消光能を十分に発揮させるには0.1より大きいことがこの好ましく、耐熱性や耐溶剤性の観点から0.4より小さいことが好ましい。
<造塩化合物の製造>
本発明の造塩化合物は、1分子中に、一般式(1)で表される構造単位及び一般式(2)で表される構造単位を有してさえいればよく、特に好ましくは、下記一般式(3)で表される構造単位を含む側鎖にカチオン性基を有するビニル系樹脂と、アニオン性染料と、上述の一般式(4)〜(6)で表わされるアニオンを有する化合物と、の造塩体である。
[一般式(3)で表される構造単位を含む側鎖にカチオン性基を有するビニル系樹脂]
一般式(3)
Figure 0006939438
[一般式(3)中、R21は水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。R22〜R24はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基又は置換基を有してもよいアリール基を表し、R22〜R24の内2つが互いに結合して環を形成しても良い。Qはアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R25−又は−COO−R−を表し、R25はアルキレン基を表す。Uは無機又は有機のアニオンを表す。]
一般式(3)のR21におけるアルキル基及び有してもよい置換基は、上述の一般式(1)のRにおけるアルキル基及び有してもよい置換基と同義である。
一般式(3)のR22〜R24におけるアルキル基、アルケニル基、アリール基及び有してもよい置換基は、上述の一般式(1)のR〜Rにおけるアルキル基及び有してもよい置換基と同義である。
一般式(3)のQにおけるアルキレン基及びアリーレン基は、上述の一般式(1)のQにおけるアルキレン基及びアリーレン基と同義である。
一般式(3)のR25におけるアルキレン基は、上述の一般式(1)のRにおけるアルキレン基と同義である。
一般式(3)のUにおける、無機又は有機のアニオンとしては、公知のものが制限なく採用でき、具体的には、水酸化物イオン;塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲンイオン;ギ酸イオン、酢酸イオン等のカルボン酸イオン;炭酸イオン、重炭酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、クロム酸イオン、ニクロム酸イオン、リン酸イオン、シアン化物イオン、過マンガン酸イオン、さらには、ヘキサシアノ鉄(III)酸イオンのような錯体イオン等が挙げられる。合成適性や安定性の点からは、ハロゲンイオン及びカルボン酸イオンが好ましく、ハロゲンイオンが最も好ましい。対アニオンがカルボン酸イオン等の有機酸イオンである場合は、樹脂中に有機酸イオンが共有結合し、分子内塩を形成していてもよい。
(側鎖にカチオン性基を有するビニル系樹脂の製造方法)
一般式(3)で表される構造単位を含む側鎖にカチオン性基を有するビニル系樹脂を得るには、4級アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体とその他単量とを共重合する方法だけでなく、アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体とその他単量とを共重合してアミノ基を有するビニル系樹脂を得た後、オニウム塩化剤を反応させ、アンモニウム塩化する方法により得ても良い。
以下に、一般式(3)で表される構造単位を含むビニル系樹脂を得るために使用可能なエチレン性不飽和単量体の具体例を示す。なお、本明細書において「アクリル、メタクリル」、のいずれか或いは双方を示す場合「(メタ)アクリル」、と記載することがある。同様に、「アクリロイル、メタクリロイル」のいずれか或いは双方を示す場合、「(メタ)アクリロイル」と記載することがある。
4級アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリロイルアミド系第4級アンモニウム塩、ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート、トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジt−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミドが挙げられ、ジメチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン等のジアルキルアミノ基を有するスチレン類、ジアリルメチルアミン、ジアリルアミン等のジアリルアミン化合物、N−ビニルピロリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール等のアミノ基含有芳香族ビニル系単量体が挙げられる。
オニウム塩化剤としては、例えば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、又はジプロピル硫酸等のアルキル硫酸、p−トルエンスルホン酸メチル、又はベンゼンスルホン酸メチル等のスルホン酸エステル、メチルクロライド、エチルクロライド、プロピルクロライド、又はオクチルクロライド等のアルキルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、プロピルブロマイド、又はオクチルクロブロマイド等のアルキルブロマイド、あるいは、ベンジルクロライド、又はベンジルブロマイド等が挙げられる。
アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体とオニウム塩化剤との反応は、通常はアミノ基に対して等モル以下のオニウム塩化剤を、アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体溶
液に滴下することによって行うことができる。アンモニウム塩化反応時の温度は90℃程度以下であり、特にビニルモノマーをアンモニウム塩化する場合には30℃程度以下が好ましく、反応時間は1〜4時間程度である。
別に、オニウム塩化剤として、アルコキシカルボニルアルキルハライドを使用することもできる。
(その他単量体)
その他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリルなどが好ましい。
このようなビニルモノマーの具体例としては、例えば以下のような化合物が挙げられる 。
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア クリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オク タデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)ア クリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレング リコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β−フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸 トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチルなどが挙げられる。
中でも、その他単量体として(メタ)アクリル酸ベンジルを用いることが好ましい。
クロトン酸エステル類の例としては、クロトン酸ブチル、及びクロトン酸ヘキシル等が 挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブ チレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニルなどが挙げられる。マレイン 酸ジエステル類の例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、及びマレイン 酸ジブチルなどが挙げられる。
フマル酸ジエステル類の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、及びフマ ル酸ジブチルなどが挙げられる。
イタコン酸ジエステル類の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、及 びイタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類の例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ )アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリル アミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)ア ミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルア ミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ) アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アク リルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、 ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
ビニルエーテル類の例としては、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキ シルビニルエーテル、及びメトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。スチレン類 の例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エ チルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシ スチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン 、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt− Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、及びα−メチル スチレンなどが挙げられる
その他単量体は、熱架橋性官能基を含むことが好ましい。カラーフィルタの製造における加熱工程においては、カラーフィルタ用着色組成物が含有する樹脂が有する熱架橋性官能基が架橋を形成し、強固な被膜が形成され、塗膜の色変化を防ぐ。これにより耐熱性を向上させることができ、また、耐溶剤性も向上する。
上記熱架橋性官能基の好適な構造としては特に限定されないが、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボン酸無水物、1級又は2級アミノ基、イミノ基、オキセタニル基、t−ブチル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アリル基、(メタ)アクリル基等が挙げられる。中でもカラーフィルタ用着色組成物という用途における保存安定性や他の材料との反応性の観点から、ヒドロキシル基、カルボキシル基、オキセタニル基、t−ブチル基、イソシアネート基、(メタ)アクリル基が好ましく、アルカリ現像性の観点からはカルボキシル基を有していることが好ましい。
上記熱架橋性官能基を有する単量体の具体例を以下に示す。
ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシビニルベンゼン、2−ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート又はこれらモノマーのカプロラクトン付加物(付加モル数は1〜5が好ましい)などが挙げられる。
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びクロトン酸等が挙げられ、カルボン酸無水物基を有するエチレン性不飽和単量体としては、無水マレイン酸、及び無水イタコン酸等が挙げられる。
オキセタニル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、3−(アクリロイルオキシ メチル)3−メチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)3−メチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)3−エチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)3−エチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)3−ブチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)3−ブチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)3−ヘキシルオキセタン及び3−(メタクリロイルオキシメチル)3−ヘキシルオキセタンなどが挙げられる。
t−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、t−ブチルアクリレート、t −ブチルメタクリレートなどが挙げられる。
イソシアネート基を有するエチレン性不飽単量体としては、例えば、2−イソシアネー トエチルメタクリレート、2−イソシアネートエチルアクリレート、4−イソシアネート ブチルメタクリレート、4−イソシアネートブチルアクリレートなどが挙げられる。
上記イソシアネート基としては、ブロックイソシアネート基も含まれ、好ましく使用することができる。ブロックイソシアネート基とは、通常の条件では、イソシアネート基を他の官能基で保護することにより該イソシアネート基の反応性を抑える一方で、加熱により脱保護し、活性なイソシアネート基を再生させることができるイソシアネートブロック体のことを示す。このようなブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体の市販品としては、例えば、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(カレンズMOI−BP,昭和電工製);メタクリル酸2−(0−[1'メチルプロ ビリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(カレンズMOI−BM,昭和電工製)などが挙げられる。
熱架橋性官能基として(メタ)アクリロイル基を導入するには、
側鎖にカチオン性基を有するビニル系樹脂を得た後に、該ビニル系樹脂が有する官能基に 、前記官能基に対し反応し得る官能基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させる方法が挙げられる。例えば、カルボキシル基を有する側鎖にカチオン性基を有するビニル系樹脂中のカルボキシル基に、グリシジル基を有するエチレン性不飽和単量体のグリシジル基を反応させることで、熱架橋性官能基として(メタ)アクリロイル基を有するビニル系樹脂を得ることができる。また、水酸基を有する側鎖にカチオン性基を有するビニル系樹脂の水酸基に、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体のイソシアネート基を反応させることで、熱架橋性官能基として(メタ)アクリロイル基を有するビニル系樹脂を得ることができる。
上記熱架橋性官能基はビニル系樹脂中に少なくとも一種類含まれている必要があり、二種類以上含まれていてもよい。
さらに、熱架橋性官能基が二種類以上含まれている場合、熱架橋性官能基同士が加熱時により反応しやすい組み合わせである場合に、架橋の効果が向上する。例えば、ヒドロキシル基とカルボキシル基、又は、オキセタニル基とカルボキシル基の組み合わせは、熱架橋により強固な塗膜が得られるだけでなく、熱架橋する前のアルカリ現像の工程では、カルボキシル基の存在によりアルカリ現像性が向上するため好ましい。また、ヒドロキシル基とブロックイソシアネート基の組み合わせも効果的であり好ましい。
さらに、オキセタニル基とt-ブチル基の組み合わせは、t-ブチル基が加熱時にカルボキシル基となりオキセタニル基と反応するためより好ましい。オキセタニル基及びt―ブチル基は、ヒドロキシル基やカルボキシル基に比べ疎水性が高く、側鎖にカチオン性基を有するビニル系樹脂中により多く含まれていても、他の樹脂との相溶性が悪くならないため、より多く含むことができ、結果的に塗膜の架橋密度を高め、より強固な塗膜を得ることができると考えている。
本発明に好適な一般式(3)で表される構造単位を含むビニル系樹脂を得る方法としては、アニオン重合、リビングアニオン重合、カチオン重合、リビングカチオン重合、フリーラジカル重合、及びリビングラジカル重合等、公知の方法が使用できる。このうち、フリーラジカル重合又はリビングラジカル重合が好ましい。
本発明に好適な一般式(3)で表される構造単位を含むビニル系樹脂は、ランダム樹脂又はブロック樹脂いずれでも構わないが、本発明のカラーフィルタ用組成物が赤色組成物である場合、ランダム樹脂であることが好ましい。
一般式(3)で表される構造単位を含むビニル系樹脂中に存在するアンモニウム塩基の量は、特に限定されるものではないが、樹脂のアンモニウム塩価が10〜200mgKOH/gであることが好ましく、20〜130mgKOH/gであることがより好ましい。
この範囲とすることで、着色力と異物等の経時安定性とを両立を達成することができる。
樹脂のアンモニウム塩価が、上記範囲を満たすためには、樹脂を構成するエチレン性不飽和単量体全量に対し、4級アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体が、好ましくは4〜74質量%であり、より好ましくは8〜48質量%である。
一般式(3)で表される構造単位を含むビニル系樹脂の分子量は、特に限定されるものではないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した換算重量平均分子量が1,000〜500,000であることが好ましく、3,000〜15,000であることがより好ましい。
また、一般式(3)で表される構造単位を含むビニル系樹脂は、カラーフィルタ用着色組成物に広く使用される溶剤に溶解する特性を有することが好ましい。これにより異物発生のない塗膜を得ることができる。特に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解することがより好ましい。
[アニオン性染料]
一般式(3)で表される構造単位を含む側鎖にカチオン性基を有するビニル系樹脂と造塩するアニオン性染料は、上述の一般式(1)のYにおけるアニオンを与えうるアニオン性染料である。
本発明において好ましく用いることのできるアニオン性染料は、カラーフィルタ用着色組成物として用いた場合、一定以上の耐熱性、耐溶剤性を備えていなければならない。しかし、アニオン性染料は、良好な分光特性を有し、発色性に優れるものの、耐熱性、耐溶剤性が悪く、また有機溶剤への溶解性が不足するためカラーフィルタ用着色組成物として使用できないという色素が多い。染料に含まれるアニオン性基としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、及びそれらの塩基などが挙げられ、耐熱性、耐溶剤性の観点からスルホン酸基、リン酸基、及びそれらの塩基であることが好ましい。(蛍光を有する)アニオン性基を有する色素としては、アニオン性基を少なくとも一つは有する色素であれば特に制限はなく使用できるが、C.I.アシッドレッド51(エリスロシン(食用赤色3号))、C.I.アシッドレッド52(アシッドローダミン)、C.I.アシッドレッド87(エオシンG(食用赤色103号))、C.I.アシッドレッド92(アシッドフロキシンPB(食用赤色104号))、C.I.アシッドレッド254、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド388、ローズベンガルB(食用赤色5号)、アシッドローダミンG、C.I.アシッドバイオレット9、食用青色101号(C.I.アシッド ブルー 1)、アシッドピュアブルー(C.I.アシッド ブルー 3)、レーキブルーI(C.I.アシッド ブルー 5)、レーキブルーII(C.I.アシッド ブルー7)食用青色1号(C.I.アシッド ブルー 9)、C.I.アシッド ブルー 22、C.I.アシッド ブルー 83、C.I.アシッド ブルー 90、C.I.アシッド ブルー 93、C.I.アシッド ブルー 100、C.I.アシッド ブルー 103、C.I.アシッド ブルー 104、C.I.アシッド ブルー 109、C.I.ダイレクトレッド70、C.I.アシッドイエロー186、同ダイレクトイエロー7、8、9、14、17、18、22、28、29、30、54、59、165、C.I.ダイレクトオレンジ18、C.I.ダイレクトレッド11などが挙げられる。C.I.アシッドレッド52(アシッドローダミン)、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド254は色相及び発色性の観点でより好ましい。
また、スルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物として用いることで、耐熱性、耐光性、耐溶剤性を向上させることができる。
[一般式(4)〜(6)で表わされるアニオンを有する化合物]
一般式(3)で表される構造単位を含む側鎖にカチオン性基を有するビニル系樹脂と造塩する一般式(4)〜(6)で表わされるアニオンを有する化合物は、上述の一般式(2)のZにおけるアニオンを与えうる化合物であり、金属錯塩染料であることが好ましい。
そのような金属錯塩染料としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー13、19、21、25、25:1、62、79、81、82、83、83:1、88、89、90、151、161、C.I.ソルベントオレンジ5、11、20、40:1、41、45、54、56、58、62、70、81、99、C.I.ソルベントレッド8、35、83:1、84:1、90、90:1、91、92、118、119、122、124、125、127、130、132、160、208、212、214、225、233、234、243;C.I.ソルベントバイオレット2、21、21:1、46、49、58、61;C.I.ソルベントブルー137;C.I.ソルベントブラウン28、42、43、44、53、62、63;C.I.アシッドイエロー59、121;C.I.アシッドオレンジ74、162;C.I.アシッドレッド211が挙げられる。これらの中でも蛍光発光抑制の観点から、C.I.ソルベントイエロー 21、79、81、82、C.I.ソルベントオレンジ 41、54、56、62、99、C.I.ソルベントレッド 8、118、122、127が好ましく、蛍光発光抑制と明度のバランスを考えると、C.I.ソルベントオレンジ41、56、62、99が特に好ましい。
金属錯塩染料の金属原子は、クロム(Cr)又はコバルト(Co)であり、クロム(Cr)が消光能の観点でより好ましい。
金属錯塩染料としては、金属原子と染料分子との結合比が1:1である1:1形金属錯塩染料と、該比が1:2である1:2形金属錯塩染料とが挙げられ、1:2形金属錯塩染料が好ましい。
金属錯塩染料は、蛍光消光能を有するものであり、アニオン性染料と併用することで、着色組成物のコントラスト比を増大させる効果がある。アニオン性染料と金属錯塩染料を、一般式(3)で表わされる側鎖にカチオン性基を有する樹脂と反応させて、同一分子内に共存した造塩体とすることで、アニオン性染料と金属錯塩染料が近接し、蛍光消光がより効率的に行われる。その結果十分な量の蛍光を抑制し、高コントラスト比を発現する事ができる。同時に造塩化合物の形態で用いることで、金属錯塩染料の耐熱性・耐溶剤性が向上し、カラーフィルタ作製時の加熱工程における昇華・分解が抑制される。また、アニオン性染料と金属錯塩染料を同一の樹脂分子内に含有させることにで、造塩化合物の極性が有機溶剤と近い値になり、かつ他の樹脂と相溶性が良くなることで、フィルターの濾過性が良好になる。
<塩形成>
本発明の造塩化合物は、側鎖にカチオン性基を有する樹脂と、アニオン性染料及び一般式(4)〜(6)で表わされる金属錯塩染料の金属塩もしくは有機カチオン塩とを溶解させた水溶液を攪拌また振動させるか、あるいは側鎖にカチオン性基を有する樹脂の水溶液とアニオン性染料の水溶液、及び一般式(4)〜(6)で表わされる金属錯塩染料の金属塩もしくは有機カチオン塩の水溶液とを攪拌又は振動下で混合させることにより、容易に得ることができる。側鎖にカチオン性基を有する樹脂の水溶液を攪拌し、これに対しアニオン性染料の水溶液及び一般式(4)〜(6)で表わされる金属錯塩染料の金属塩もしくは有機カチオン塩の水溶液を滴下していく方法がより好ましい。
水溶液中で、樹脂のカチオン性基と染料のアニオン性基がイオン化され、これらがイオン結合し、該イオン結合部分が水不溶性となり析出する。逆に、樹脂の対アニオンと酸性染料の対カチオンからなる塩は水溶性のため、水洗等により除去が可能となる。使用する側鎖にカチオン性基を有する樹脂、及びアニオン性染料は、各々単一種類のみを使用しても、構造の異なる複数種類を使用してもよい。また、必要に応じてpHを変えることでアニオン性染料及び一般式(4)〜(6)で表わされる金属錯塩染料の水への溶解性を調製して塩形成をすることができる。
側鎖にカチオン性基を有する樹脂と、アニオン性染料及び一般式(4)〜(6)で表わされる金属錯塩染料の金属塩もしくは有機カチオン塩との比率は、樹脂の全カチオン性基と、アニオン性染料及び一般式(4)〜(6)で表わされるアニオンの全アニオン性基とのモル比が、10/1〜1/1の範囲であれば本発明の造塩化合物を好適に調整でき、2/1〜1/1の範囲であればより好ましい。
また、アニオン性染料と、一般式(4)〜(6)で表わされるアニオンを有する化合物である金属錯塩染料の金属塩もしくは有機カチオン塩との比率は、モル比で20/1〜1/20の範囲であれば本発明の造塩化合物を好適に調整でき、15/1〜1/15の範囲であればより好ましい。すなわち、本発明における造塩化合物の一般式(1)で表される構造単位と下記一般式(2)で表される構造単位のモル比は、15/1〜1/15であることが好ましい。
<その他の着色剤>
本発明の組成物は、造塩化合物以外の着色剤として、有機顔料、又はその他の染料を用いることができる。これらは1種以上を併用して用いてもよい。
(有機顔料)
青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79などを挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、又は15:6であり、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6である。
特に、着色組成物を青色フィルタセグメント用に用いる場合、青色顔料を併用することで、多くのバックライトがもつ特徴的なピークをもつ425〜500nm付近において、分光スペクトルが高い透過率を有することが可能になり、従来の青色顔料及びその他の顔料を組み合わせた着色剤よりも青色フィルタセグメントとして、高い明度を得ることができるために好ましい。
緑色顔料としては、例えばC.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55又は58を挙げることができる。更に特開2016−188993に記載の顔料を使用することができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36、58、特開2016−18993記載の顔料である。
黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208などを挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、又は185であり、更に好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、又は185である。
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50などを挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、又は23であり、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23である。
赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、1 01、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276などを挙げることができる。
赤色顔料と同様にはたらくオレンジ色顔料としては、例えばC.I.ピグメント オレンジ36、38、43、51、55、59、61等のオレンジ色顔料を用いることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、赤色顔料としてC.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177を用いることが特に好ましいものである。
(顔料の微細化)
本発明に用いる顔料は、微細化して用いることが好ましいが、微細化方法は特に限定されるものではなく、例えば湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法いずれも使用でき、本発明で例示するように湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理を行うことができる。
微細化した顔料の一次粒子径は、着色剤担体中への分散が良好なことから、20nm以上であることが好ましい。また、コントラスト比が高いフィルタセグメントを形成できることから、100nm以下であることが好ましい。特に好ましい範囲は、25〜85nmの範囲である。なお、顔料の一次粒子径は、顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)による電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で行った。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積を、求めた粒径の立方体と近似して平均体積を求め、この平均体積を有している立方体の一辺の長さを平均一次粒子径とする。
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、トリミックス、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100質量部に対し、50〜2000質量部用いることが好ましく、300〜1000質量部用いることが最も好ましい。
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料100質量部に対し、5〜1000質量部用いることが好ましく、50〜500質量部用いることが最も好ましい。
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料100質量部に対し、5〜200質量部の範囲であることが好ましい。
(その他併用可能な染料)
次に、本発明の着色粗製物に併用可能な染料について説明する。併用することができる染料としては、油溶性染料、酸性染料、塩基性染料のいずれかの形態を有するものであることが好ましい。
(油溶性染料)
油溶性染料を用いる場合、キサンテン系染料、又はアントラキノン系染料が明度の観点で好ましい。
キサンテン系油溶性染料としては、C.I.ソルベントレッド35、C.I.ソルベントレッド36、C.I.ソルベントレッド42、C.I.ソルベントレッド43、C.I.ソルベントレッド44、C.I.ソルベントレッド45、C.I.ソルベントレッド46、C.I.ソルベントレッド47、C.I.ソルベントレッド48、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド72、C.I.ソルベンレッド73、C.I.ソルベントレッド109、C.I.ソルベントレッド140、C.I.ソルベントレッド141、C.I.ソルベントレッド237、C.I.ソルベントレッド246、C.I.ソルベントバイオレット2、又はC.I.ソルベントバイオレット10等が挙げられる。
中でも、発色性の高いローダミン系油溶性染料であるC.I.ソルベントレッド35、C.I.ソルベントレッド36、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド109、C.I.ソルベントレッド237、C.I.ソルベントレッド246、C.I.ソルベントバイオレット2がより好ましい。
アントラキノン系油溶性染料としては、C.I.ソルベントレッド172、222、C.I.ソルベントバイオレット60等が挙げられる。
(酸性染料)
トリアリールメタン系酸性染料としては、C.I. アシッドブルー1、3、5、7、9、11、15、17、19、22、24、38、48、75、83、90、91、93、93:1、100、103、104、109、110、119、147、269、123、213、C.I. ダイレクトブルー41、C.I. アシッドバイオレット17、19、21、23、25、38、49、72、ダイレクトブルー41などが挙げられる。
キサンテン系酸性染料としては、C.I.アシッドレッド51(エリスロシン(食用赤色3号))、C.I.アシッドレッド52(アシッドローダミン)、C.I.アシッドレッド87(エオシンG(食用赤色103号))、C.I.アシッドレッド92(アシッドフロキシンPB(食用赤色104号))、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド388、ローズベンガルB(食用赤色5号)、アシッドローダミンG、C.I.アシッドバイオレット9を用いることが好ましい。
中でも、耐熱性、耐光性の面で、キサンテン系酸性染料であるC.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド388、あるいは、ローダミン系酸性染料であるC.I.アシッドレッド52(アシッドローダミン)、C.I.アシッドレッド289、アシッドローダミンG、C.I.アシッドバイオレット9を用いることがより好ましい。
この中でも特に、発色性、耐熱性、耐光性に優れる点において、ローダミン系酸性染料であるC.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド289を用いることが最も好ましい。
アントラキノン系酸性染料としては、C.I. アシッドブルー23、25、27、35、40、41、43、45、47、49、51、53、55、56、62、68、69、78、80、81:1、11、124、127、127:1、140、150、175、215、230、277、344、C.I. アシッドバイオレット41、42、43、C.I. アシッドグリーン25、27、又はダイレクトバイオレット17等が挙げられる。
アゾ系酸性染料としては、例えば、C.I. アシッドレッド1、3、4、6、8、11、12、14、18、26、27、33、37、53、57、88、106、108、111、114、131、137、138、151、154、158、159、173、184、186、215、257、266、296、337;
C.I. アシッドオレンジ7、10、12、19、20、22、28、30、52、56、74、127;C.I. アシッドバイオレット11、56、58;C.I. アシッドイエロー1、17、18、23、25、36、38、42、44、54、59、72、78、151;C.I. アシッドブラウン2、4、13、248;C.I. アシッドブルー92、102、113、117などが挙げられる。
(塩基性染料)
塩基性染料を用いる場合、トリアリールメタン系、又はキサンテン系染料が明度の観点で好ましい。
トリアリールメタン系塩基性染料としては、C.I.ベーシックバイオレット1(メチルバイオレット)、同3(クリスタルバイオレット)、同14(Magenta)、C.I.ベーシック ブルー1(ベーシックシアニン6G)、同5(ベーシックシアニンEX)、同7(ビクトリアピュアブルー BO)、同26(ビクトリアブルー B conc.)、C.I.ベーシック グリーン1(ブリリアントグリーンGX)、同4(マラカイトグリーン)等があげられる。中でもC.I.ベーシック ブルー7、同グリーン 4、同バイオレット1、同バイオレット3を用いることが好ましい。
ローダミン系塩基性染料としては、C.I.ベーシック レッド1(ローダミン6G、6GCP)、同3、同8(ローダミンG)、C.I.ベーシックバイオレット10(ローダミンB)等があげられる。中でもC.I.ベーシック レッド1、同バイオレット10、同バイオレット11を用いることが好ましい。
フラビン系塩基性染料としては、C.I.ベーシックイエロー1、オーラミン系塩基性染料としては、C.I.ベーシックイエロー2、3、サフラニン系塩基性染料としては、C.I.ベーシック レッド2、フロキシン系塩基性染料としては、C.I.ベーシックレッド12、アクリジン系塩基性染料としては、C.I.ベーシックイエロー5、オキサジン系塩基性染料としては、C.I.ベーシック ブルー3、チアジン系塩基性染料としては、C.I.ベーシック ブルー24、メチレンブルー系塩基性染料としては、C.I.ベーシック ブルー9(メチレンブルーFZ、メチレンブルーB)、同25(ベーシック ブルーGO)、同24(ニューメチレンブルーNX)等があげられる。中でもC.I.ベーシックイエロー1、同ブルー9、同24、同25を用いることが好ましい。
アゾ系塩基性染料としては、ベーシックレッド22、ベーシックレッド76、ベーシックイエロー57、ベーシックブラウン16、ベーシックブラウン17等が挙げられる。
<バインダー樹脂>
本発明の着色組成物はバインダー樹脂を含有する。バインダー樹脂は、着色剤を分散するもの、もしくは造塩化合物を染色、浸透させるものであって、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びフェノール樹脂等が挙げられる。
バインダー樹脂としては、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。また、本発明のカラーフィルタ用着色組成物はアルカリ現像型着色レジスト材の形態であるため、酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を用いることが好ましい。
酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、及びスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
酸性基含有エチレン性不単量体を共重合したアルカリ可溶性樹脂の光感度を向上させるために、エチレン性不飽和活性二重結合を有するエネルギー線硬化性樹脂を用いることもできる。また、側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂を用いると、レジスト材での耐溶剤性改善の効果があるため、好ましい。
エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂としては、たとえば以下に示す(a)〜や(c)の方法により不飽和エチレン性二重結合を導入した樹脂が挙げられる。
[方法(a)]
方法(a)としては、例えば、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、不飽和エチレン性二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、不飽和エチレン性二重結合及びカルボキシル基を導入する方法がある。
エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解すること等もできる。また、多塩基酸無水物として、不飽和エチレン性二重結合を有する、エトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更に不飽和エチレン性二重結合を増やすことができる。
[方法(b)]
方法(a)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体を付加反応させ、不飽和エチレン性二重結合及びカルボキシル基を導入する方法がある。
この方法では、方法(a)に比べ、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体由来の水酸基が多く生成する。本発明の造塩化合物を得る際に使用する、側鎖にカチオン性基を有する樹脂に、熱架橋性官能基としてオキセタニル基、t−ブチル基が含まれている場合は、バインダー樹脂として方法(b)によって得られる樹脂を使用すると、より高い耐熱性を発現するため、好ましい。
[方法(c)]
方法(c)としては、水酸基を有する不飽和エチレン性単量体を使用し、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
水酸基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ−バレロラクトン、(ポリ)ε−カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12−ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又はグリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、着色剤を好ましく分散させるためには、10,000〜100,000の範囲が好ましく、より好ましくは10,000〜80,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は5,000〜50,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
バインダー樹脂を感光性組成物として使用する場合、顔料及び造塩化合物の分散性、浸透性、現像性、及び耐熱性の観点から、酸価20〜300mgKOH/gの樹脂を用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターン形成するのが困難である。300mgKOH/gを超えると、微細パターンが残らなくなる場合がある。
バインダー樹脂は、成膜性及び諸耐性が良好なことから、着色剤の全重量を基準(100質量%)として、30質量%以上の量で用いることが好ましく、着色剤濃度が高く、良好な色特性を発現できることから、500質量%以下の量で用いることが好ましい。
<熱硬化性化合物>
本発明の着色組成物は、バインダー樹脂である熱可塑性樹脂と併用して、さらに熱硬化性化合物を含むことできる。本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いてカラーフィルタを作製する際、熱硬化性化合物を含むことで、フィルタセグメントの焼成時に反応し塗膜の架橋密度を高め、そのためフィルタセグメントの耐熱性が向上し、フィルタセグメント焼成時の顔料凝集が抑えられ、コントラスト比が向上するという効果が得られる。
熱硬化性化合物としては、例えば、エポキシ化合物及び/又は樹脂、ベンゾグアナミン化合物及び/又は樹脂、ロジン変性マレイン酸化合物及び/又は樹脂、ロジン変性フマル酸化合物及び/又は樹脂、メラミン化合物及び/又は樹脂、尿素化合物及び/又は樹脂、及びフェノール化合物及び/又は樹脂が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明のカラーフィルタ用着色組成物ではエポキシ化合物及び/又は樹脂が好ましく用いられる。
エポキシ化合物は、低分子化合物でもよく、樹脂のような高分子量化合物でもよい。
このようなエポキシ化合物の例としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α’,α’−ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α’,α’−ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’−ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられるが、通常用いられるエポキシ化合物であればこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
市販品としては、例えば、エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート190P、エピコート191P(以上は商品名;油化シェルエポキシ(株)製)、エピコート1004、エピコート1256(以上は商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、TECHMORE VG3101L(商品名;三井化学(株)製)、EPPN−501H、502H(商品名;日本化薬(株)製)、JER 1032H60(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、JER 157S65、157S70(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPPN−201(商品名;日本化薬(株)製)、JER152、JER154(以上は商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1020(以上は商品名;日本化薬(株)製)、セロキサイド2021、EHPE−3150(以上商品名;ダイセル化学工業(株)製)、デナコールEX−810、EX−830、EX−851、EX−512、EX−421、EX−313、EX−201、EX−111(以上は商品名;ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
エポキシ化合物の配合量は、着色剤100重量に対し、0.5〜300質量部であることが好ましく、1.0〜50質量部であることがより好ましい。0.5質量部未満では耐熱性改善効果が小さく、300質量部より多いとフォトリソグラフィーによるフィルタセグメント形成時に不具合を生ずる場合がある。
また本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、熱硬化性化合物の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性化合物と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。前記硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性化合物100質量部に対し、0.01〜15質量部が好ましい。
<有機溶剤>
本発明の着色組成物は有機溶剤を含有する。有機溶剤は、着色剤を充分に着色剤担体中に分散、浸透させ、ガラス基板等の基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にすることができる。。
有機溶剤としては、例えば乳酸エチル、ベンジルアルコール、1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ−ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
中でも、本発明に用いる蛍光を有する色素の造塩化合物や、金属錯塩染料の造塩化合物、オプションとして用いる顔料や併用可能なその他染料の分散、溶解が良好なことから、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール、3−メトキシブタノール等のアルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。特に、本発明に用いる蛍光を有する色素の造塩化合物や、金属錯塩染料の造塩化合物への溶解性の観点で3−メトキシブタノールを用いることが最も好ましい。
これらの有機溶剤は、1種を単独で、若しくは2種以上を混合して用いることができる。2種以上の混合溶剤とする場合、上記の好ましい有機溶剤が65〜95質量%含有されていることが好ましい。
また有機溶剤は、着色組成物を適正な粘度に調節し、目的とする均一な膜厚のフィルタセグメントを形成できることから、着色剤100質量部に対して、500〜4000質量部の量で用いることが好ましい。
<光重合性単量体>
本発明の着色組成物は、さらに光重合性単量体及び/又は光重合開始剤を添加し、カラーフィルタ用感光性着色組成物として使用することができる。
本発明の光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
これらの光重合性単量体は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
光重合性単量体の配合量は、着色剤100質量部に対し、5〜400質量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から10〜300質量部であることがより好ましい。
<光重合開始剤>
本発明の着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成するために、光重合開始剤を加えて溶剤現像型あるいはアルカリ現像型感光性着色組成物の形態で調製することができる。
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、又は2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、又は2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、又はO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又は2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。
これらの光重合開始剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。光重合開始剤の含有量は、着色剤100質量部に対し、2〜200質量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から3〜150質量部であることがより好ましい。
<増感剤>
さらに、本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、増感剤を含有させることができる。
増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’又は4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
これらの増感剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
増感剤の含有量は、着色組成物中に含まれる光重合開始剤100質量部に対し、3〜60質量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5〜50質量部であることがより好ましい。
<多官能チオール>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有することができる。
多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
多官能チオールの含有量は、カラーフィルタ用着色組成物の全固形分の重量を基準(100質量%)として好ましくは0.1〜30質量%であり、より好ましくは1〜20質量%である。多官能チオールの含有量が0.1質量%未満では多官能チオールの添加効果が不充分であり、30質量%を越えると感度が高すぎて逆に解像度が低下する。
<酸化防止剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤は、カラーフィルタ用着色組成物に含まれる光重合開始剤や熱硬化性化合物が、熱硬化やITOアニール時の熱工程によって酸化し黄変することを防ぐため、塗膜の透過率を高くすることができる。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、高い塗膜の透過率を得る事ができる。
本発明における「酸化防止剤」とは、紫外線吸収機能、ラジカル補足機能、又は、過酸化物分解機能を有する化合物であればよく、具体的には、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒドロキシルアミン系、サルチル酸エステル系、及びトリアジン系の化合物があげられ、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤等が使用できる。
これらの酸化防止剤の中でも、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、好ましいものとしては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤又はイオウ系酸化防止剤が挙げられる。また、より好ましくは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、又はリン系酸化防止剤である。
これらの酸化防止剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。酸化防止剤の含有量は、カラーフィルタ用着色組成物の固形分重量を基準(100質量%)として、0.5〜5.0質量%の場合、明度、感度が良好であるためより好ましい。
<アミン系化合物>
また、本発明の着色組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有させることができる。
このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、及びN,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
<レベリング剤>
本発明の着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性を良くするため、レベリング剤を添加することが好ましい。
レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、着色組成物の全重量を基準(100質量%)として、0.003〜0.5質量%用いることが好ましい。
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、又は両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
<その他の添加剤成分>
本発明の着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸及びそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤100質量部に対し、0.1〜10質量部の量で用いることができる。
密着向上剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、着色組成物中の着色剤100質量部に対して、0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部の量で用いることができる。
<カラーフィルタ用着色組成物の製造方法>
本発明の着色組成物は、着色剤を分散助剤を用いて、バインダー樹脂などの着色剤担体及び/又は溶剤中に、必要に応じてニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる(着色剤分散体)。このとき、2種以上の着色剤等を同時に着色剤担体に分散しても良いし、別々に着色材担体に分散したものを混合しても良い。
エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂は、着色剤分散体を調製する段階で加えてもよく、調製した着色剤分散体に後から加えても同様の効果が得られるが、着色組成物の安定性の観点から感光性着色組成物を調整する段階で加える方が好ましい。
染料等、着色剤の溶解性が高い場合、具体的には使用する溶剤への溶解性が高く、攪拌により溶解、異物が確認されない状態であれば、上記のような微細に分散して製造する必要はない。この場合、分散助剤は、染料等を溶解した着色剤溶液に添加、混合するだけで用いることもできる。
また、カラーフィルタ用感光性着色組成物(レジスト材)として用いる場合には、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物として調製することができる。溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物は、前記着色剤分散体と、光重合性単量体及び/又は光重合開始剤と、必要に応じて、溶剤、その他の顔料分散剤、及び添加剤等を混合して調整することができる。光重合開始剤は、着色組成物を調製する段階で加えてもよく、調製した着色組成物に後から加えてもよい。
<分散助剤>
着色剤を着色剤担体中に分散する際に、適宜、樹脂型分散剤、色素誘導体、界面活性剤等の分散助剤を含有してもよい。分散助剤は、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を着色剤担体中に分散してなる着色組成物は、明度及び粘度安定性が良好になる。
[樹脂型分散剤]
樹脂型分散剤としては、添加着色剤に吸着する性質を有する着色剤親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、添加着色剤に吸着して着色剤担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
本発明で使用する分散剤としては、塩基性官能基を有する高分子分散剤が好ましく、窒素原子含有グラフト共重合体や、側鎖に3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、含窒素複素環などを含む官能基を有する、窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体及びウレタン系高分子分散剤などが好ましい。樹脂型分散剤は、着色剤全量に対して5〜200重量%程度使用することが好ましく、成膜性の観点から10〜100重量%程度使用することがより好ましい。
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミ−・ジャパン社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2009、2010、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155、2163、2164またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、6919、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ル−ブリゾ−ル社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、56000、76500等、BASF社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503等、味の素ファインテクノ社製のアジスパ−PA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が好ましい。
また、本発明で使用する樹脂型分散剤としては、カルボキシル基を有する樹脂型分散剤として、下記(S1)又は(S2)を含有することも好ましい。
(S1)水酸基を有する重合体の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物である樹脂型分散剤。
(S2)水酸基を有する化合物の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合した重合体である樹脂型分散剤。
≪樹脂型分散剤(S1)≫
樹脂型分散剤(S1)は、WO2008/007776号公報、特開2008−029901号公報、特開2009−155406号公報等の公知の方法で製造することができる。水酸基を有する重合体(p)は、末端に水酸基を有する重合体であることが好ましく、例えば、水酸基を有する化合物(q)の存在下に、エチレン性不飽和単量体(r)を重合した重合体として得ることができる。水酸基を有する化合物(q)としては、分子内に水酸基とチオール基を有する化合物であることが好ましい。末端の水酸基は複数であることが好ましいため、中でも、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(q1)が好適に用いられる。
すなわち、より好ましい一例である、片末端に2つの水酸基を有する重合体は、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(q1)の存在下に、単量体(r1)を含むエチレン性不飽和単量体(r)を重合した重合体(p1)として得ることができる。水酸基を有する重合体(p)の水酸基は、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基と反応してエステル結合を形成する一方、無水環は開環し、カルボン酸を生じる。
≪樹脂型分散剤(S2)≫
樹脂型分散剤(S2)は、特開2009−155406号公報、特開2010−185934号公報、特開2011−157416号公報等の公知の方法で製造することができ、例えば、水酸基を有する化合物(q)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体(r)を重合することで得られる。中でも、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(q1)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、単量体(r1)を含むエチレン性不飽和単量体(r)を重合した重合体であることが好ましい。
(S1)と(S2)は、エチレン性不飽和単量体(r)を重合した重合体部位の導入を先に行うか後で行うかの違いである。諸条件により分子量等が若干異なることがあるが、原料と反応条件が同じであれば、理論上は同じものができる。
[色素誘導体]
色素誘導体としては、有機顔料、アントラキノン、アクリドン又はトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、又は置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物があげられ、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報、特開2001−335717号公報、特開2003−128669号公報、特開2004−091497号公報、特開2007−156395号公報、特開2008−094873号公報、特開2008−094986号公報、特開2008−095007号公報、特開2008−195916号公報、特許第4585781号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独又は2種類以上を混合して用いることができる。
色素誘導体の含有量は、分散性向上の観点から、着色剤100質量部に対し、好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上、最も好ましくは3質量部以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは35質量部以下である。
[界面活性剤]
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
界面活性剤を添加する場合には、着色剤100質量部に対し、好ましくは0.1〜55質量部、さらに好ましくは0.1〜45質量部である。界面活性剤の含有量が、0.1質量部未満の場合には、添加した効果が得られ難く、含有量が55質量部より多いと、過剰な分散剤により分散に影響を及ぼすことがある。
<粗大粒子の除去>
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルター、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成されたフィルタセグメントを具備するものである。カラーフィルタとしては、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、及び青色フィルタセグメントを具備するもの、又はマゼンタ色フィルタセグメント、シアン色フィルタセグメント、及びイエロー色フィルタセグメントを具備するものが挙げられる。
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
<カラーフィルタの製造方法>
本発明のカラーフィルタは、印刷法又はフォトリソグラフィー法により、製造することができる。
印刷法によるフィルタセグメントの形成は、印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストであり、かつ量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度及び平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性制御も重要であり、分散剤や体質顔料によってインキ粘度の調整も行うことができる。
フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤又はアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジスト材を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法などにより製造することができるが、本発明の着色組成物はいずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめフィルタセグメントを形成しておき、このフィルタセグメントを所望の基板に転写させる方法である。
透明基板あるいは反射基板上に各色フィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成することができる。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、前記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後に各色フィルタセグメントを形成することもできる。また本発明のカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や透明導電膜などが形成される。
カラーフィルタは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、液晶表示パネルが製造される。
かかる液晶表示パネルは、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)等のカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」をそれぞれ表す。また、「PGMAC」とはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを意味する。
(アクリル樹脂、及び酸性樹脂の平均分子量)
酸性樹脂の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)である。
(酸性分散剤、及びアクリル樹脂の酸価)
酸性分散剤、及びアクリル樹脂の酸価は、JIS K 0070の電位差滴定法に準拠し、測定した酸価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。
(塩基性樹脂の平均分子量)
塩基性樹脂の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、装置としてHLC−8320GPC(東ソー株式会社製)を用い、カラムとして SUPER−AW3000を使用し、溶離液として30mMトリエチルアミン及び10mM LiBrのN,N−ジメチルホルムアミド溶液を用いて測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)である。
(塩基性樹脂のアミン価)
ビニル系樹脂型分散剤のアミン価は、ASTM D 2074の方法に準拠し、測定した全アミン価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。
<バインダー樹脂の製造>
(バインダー樹脂溶液1)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート13.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加してバインダー樹脂溶液1を調製した。重量平均分子量(Mw)は26000であった。
(バインダー樹脂溶液2)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりスチレン5.2部、グリシジルメタクリレート35.5部、ジシクロペンタニルメタクリレート41.0部、アゾビスイソブチロニトリル1.0部の混合物を2.5時間かけて滴下し重合反応を行った。
次にフラスコ内を空気置換し、アクリル酸17.0部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.3部、及びハイドロキノン0.3部を投入し、120℃で5時間反応を続け固形分酸価=0.8となったところで反応を終了し、重量平均分子量が約12,000の樹脂溶液を得た。
さらにテトラヒドロ無水フタル酸30.4部、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で4時間反応させ、不揮発分が20%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してバインダー樹脂溶液2を調製した。
<金属錯塩染料の製造>
(式(6−1)で表わされるアニオンを有する化合物)
下記式(d−1)で表わされる化合物5.4部に水100部を加えた後、水酸化ナトリウム2.0部を加え、溶解させた。氷冷下、35%亜硝酸ナトリウム水溶液9.5部を加え、ついで35%塩酸30.0部を少しずつ加えて溶解させ2時間撹拌し、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を得た。ついでアミド硫酸6.3部を水50部に溶解させた水溶液をゆっくりと加え、過剰の亜硝酸ナトリウムをクエンチした。
ついで、下記式(d−2)で表わされる化合物7.1部を水100部に懸濁させ、水酸化ナトリウムを用いて、pHを8.0に調整した。ここに、前記ジアゾニウム塩を含む懸濁液を15分かけて、pHが7から7.5の範囲におさまるように10%水酸化ナトリウム溶液を適宜追加しながら、滴下した。滴下終了後、さらに30分間撹拌することで黄色の懸濁液を得た。1時間攪拌した。濾過して得た黄色固体を減圧下60℃で乾燥し、下記式(d−3)で表される化合物を11.3部得た。
式(d−1)
Figure 0006939438
式(d−2)
Figure 0006939438
式(d−3)
Figure 0006939438
式(d−3)の化合物10部をジメチルホルムアミド100部に入れて溶解し、硫酸アンモニウムクロム(III)12水3.7部、酢酸ナトリウム1.1部を加えた後、4時間半の間加熱還流した。室温まで冷却した後、反応溶液を20%食塩水1500部へ注入し、ろ過後に得られた赤橙色固体を60℃で乾燥し、式(6−1)で表されるアニオンを有するナトリウム塩化合物12.1部を得た。
式(6−1)
Figure 0006939438
<一般式(X)で表わされる側鎖にカチオン性基を有する樹脂の製造>
(側鎖にカチオン性基を有する樹脂P−1)
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、イソプロピルアルコール75.1部を仕込み、窒素気流下で75 ℃ に昇温した。別途、メチルメタクリレート33.2部、n−ブチルメタクリレート27.3部、2−エチルヘキシルメタクリレート27.3部、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩12.2部、及び別途メチルエチルケトン23.4部に溶解した2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)7.0部を、均一にした後、滴下ロートに仕込み、4つ口セパラブルフラスコに取り付け、2時間かけて滴下した。滴下終了2時間後、固形分から重合収率が98%以上であり、重量平均分子量(Mw)が、7300である事を確認し、50℃へ冷却した。その後、メタノールを14.3部加え、樹脂成分が40質量%の側鎖にカチオン性基を有する樹脂P−1を得た。
(側鎖にカチオン性基を有する樹脂P−2〜7の調製)
以下、モノマーを表1に示す組成に変更した以外は樹脂P−1と同様にして、側鎖にカチオン性基を有する樹脂P−2〜7を得た。
Figure 0006939438
表1中のモノマーは以下のものを用いた。
MMA:メチルメタクリレート、
n−BMA:n−ブチルメタクリレート、
2−EHMA:2−エチルヘキシルメタクリレート、
HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート、
MAA:メタクリル酸、
OXMA:3−(メタクリロイルオキシメチル)3−エチルオキセタン、
t−BuMA:ターシャリブチルメタクリレート、
BzMA:ベンジルメタクリレート、
DMC78: メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩
<造塩化合物の製造>
(造塩化合物D−1)
下記の手順でC.I.アシッドブルー 40と、側鎖にカチオン性基を有する樹脂(P−1)とからなる造塩化合物(D−1)を製造した。
水2000部に50部の側鎖にカチオン性基を有する樹脂(P−1)(樹脂成分が40質量%)を添加し、十分に攪拌混合を行った後、60℃に加熱する。一方、100部の水に3.3部のC.I.アシッドブルー40と3.3部のC.I.ソルベントイエロー21を溶解させた水溶液を調製し、先ほどの樹脂溶液に少しずつ滴下していく。滴下後、60℃で120分攪拌し、十分に反応を行う。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたものと判断した。攪拌しながら室温まで放冷した後、吸引濾過と水洗によって側鎖にカチオン性基を有する樹脂の対アニオンとC.I.アシッドブルー40又はC.I.ソルベントイエロー21対カチオンとからなる塩を除去した後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥し、24.8部のC.I.アシッドブルー40とC.I.ソルベントイエロー21の重量比率(Z)/(Y)が1.0である、造塩化合物(D−1)を得た。この造塩化合物に含まれるアニオン性染料の重量濃度は12.4%であった。
(造塩化合物D−2〜24)
以下、側鎖にカチオン性基を有する樹脂、アニオン性染料、ピラゾロンアゾ系染料の種類、組成を表2に示す内容に変更した以外は、造塩化合物D−1と同様にして、造塩化合物(D−2)〜(D−24)作製した。
<比較用造塩化合物等の製造>
(造塩化合物D−25)
下記の手順でC.I.アシッドブルー 40と側鎖にカチオン性基を有する樹脂(P−1)とからなる造塩化合物(D―25)を製造した。
水2000部に50部の側鎖にカチオン性基を有する樹脂(P−1)(樹脂成分が40質量%)を添加し、十分に攪拌混合を行った後、60℃に加熱する。一方、100部の水に5.6部のC.I.アシッドブルー40を溶解させた水溶液を調製し、先ほどの樹脂溶液に少しずつ滴下していく。滴下後、60℃で120分攪拌し、十分に反応を行う。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたものと判断した。攪拌しながら室温まで放冷した後、吸引濾過と水洗によって側鎖にカチオン性基を有する樹脂の対アニオンとC.I.アシッドブルー40対カチオンとからなる塩を除去した後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥し、25.0部の造塩化合物(D−25)を得た。この造塩化合物に含まれるアニオン性色素の重量濃度は21.8%であった。
(造塩化合物D−26〜33)
以下、側鎖にカチオン性基を有する樹脂、アニオン性染料の種類、組成を表3に示す内容に変更した以外は、造塩化合物D−25と同様にして、造塩化合物(D−26)〜(D−33)作製した。
Figure 0006939438
Figure 0006939438
(SO62とカチオン樹脂との造塩化合物D−34)
水2000部に50部の側鎖にカチオン性基を有する樹脂(P−7)を添加し、十分に攪拌混合を行った後、60℃に加熱する。一方、90部の水に8.5部のC.I.ソルベントオレンジ 62を溶解させた水溶液を調製し、先ほどの樹脂溶液に少しずつ滴下していく。滴下後、60℃で120分攪拌し、十分に反応を行う。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたものと判断した。攪拌しながら室温まで放冷した後、吸引濾過と水洗によって側鎖にカチオン性基を有する樹脂の対アニオンとC.I.ソルベントオレンジ 62対カチオンとからなる塩を除去した後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥し、26.5部の、C.I.ソルベントオレンジ 62と側鎖にカチオン性基を有する樹脂(P−7)との造塩化合物(D−34)を得た。この造塩化合物に含まれるアニオン性染料の重量濃度は29.7%であった。
(BV10とSO62との造塩化合物D−35)
水100部に10.0部のC.I.ベーシックバイオレット10を溶解させた水溶液と水100部に15.0部のC.I.ソルベントオレンジ62を溶解させた水溶液を調整した。その後、室温にて2つの水溶液を混合し、約1時間撹拌した。その後、吸引濾過と水洗によって未反応のC.I.ベーシックバイオレット10及び、C.I.ソルベントオレンジ62を除去した後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥し、21.2部のC.I.ベーシックバイオレット10とC.I.ソルベントオレンジ62との造塩化合物(D−35)を得た。この造塩化合物に含まれるアニオン性染料の重量濃度は40.0%であった。
(C.I.ソルベントイエロー21溶液S−1)
メタノール95.0部に5.0部のC.I.ソルベントイエロー21を溶解させた後、1.0μmのフィルターで濾過し、5.0質量%のメタノール溶液(S−1)を調製した。
(C.I.ソルベントオレンジ62溶液S−2)
メタノール95.0部に5.0部のC.I.ソルベントオレンジ62を溶解させた後、1.0μmのフィルターで濾過し、5.0質量%のメタノール溶液(S−2)を調製した。
(C.I.ソルベントオレンジ56溶液S−2)
メタノール95.0部に5.0部のC.I.ソルベントオレンジ56を溶解させた後、1.0μmのフィルターで濾過し、5.0質量%のメタノール溶液(S−3)を調製した。
C.I.ソルベントイエロー21のアニオン構造:一般式(4−3)
Figure 0006939438
C.I.ソルベントオレンジ62のアニオン構造:一般式(4−1)
Figure 0006939438
C.I.ソルベントオレンジ56のアニオン構造:一般式(5−1)
Figure 0006939438
一般式(6−1)で表わされるアニオン構造
Figure 0006939438
<カラーフィルタ用着色組成物の製造>
(実施例1;着色組成物DP−1)
造塩化合物(D−1)を12.10部、バインダー樹脂溶液1を14.52部、及び、シクロヘキサノン73.38部を30分攪拌混合して、固形分中のアニオン性染料が10.0質量%となるように着色組成物(DP−1)を製造した。
(実施例2〜24;着色組成物DP−2〜24)
以下、造塩化合物、バインダー樹脂溶液1、及び、シクロヘキサノンを表4に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして、固形分中のアニオン性染料が10. 0質量% となるように着色組成物(DP−2)〜(DP−24)を製造した。
ただし、実施例1〜9は、参考例である。
(比較例1;着色組成物DP−25)
造塩化合物(D−25)を6.88部、C.I.ソルベントイエロー21の5質量%メタノール溶液(S−1)を30.00部、バインダー樹脂溶液1を33.10部、及び、シクロヘキサノン30.02部を30分攪拌混合して、固形分中のアニオン性染料が10.0質量%であり、かつ固形分中のアニオン性染料に対するC.I.ソルベントイエロー21の比率が1.0となるように着色組成物(DP−25)を製造した。
(比較例2〜13;着色組成物DP−26〜37)
以下、造塩化合物、ピラゾロンアゾ系染料メタノール5質量%溶液、固形分中のアニオン性染料に対するピラゾロンアゾ系染料の比率、バインダー樹脂溶液1、及びシクロヘキサノンの種類と組成を、表5に示す内容に変更した以外は、着色組成物DP−25と同様にして、固形分中のアニオン性染料が10.0質量%となるように着色組成物(DP−26)〜(DP−37)を製造した。
(比較例14;着色組成物DP−38)
AR52の造塩化合物(D−33)を5.88部、SO62の造塩化合物(D−34)を1.52部、バインダー樹脂溶液1を38.01部、及び、シクロヘキサノン54.59部部を30分攪拌混合して、固形分中のアニオン性染料が10.0質量%であり、かつ固形分中のアニオン性染料に対するC.I.ソルベントオレンジ62の比率が0.3となるように着色組成物(DP−38)を製造した。
(比較例15;着色組成物DP−39)
BV10とSO62との造塩化合物(D−35)を3.75部、バインダー樹脂溶液1を56.25部、及び、シクロヘキサノン40.00部を30分攪拌混合して、固形分中のカチオン系キサンテン染料が10.0質量%であり、かつ固形分中のアニオン性染料に対するC.I.ソルベントオレンジ62の比率が1.0となるように着色組成物(DP−38)を製造した。
Figure 0006939438
Figure 0006939438
<カラーフィルタ用着色組成物の評価>
得られた着色組成物(DP−1〜39)について、CR、耐熱性、耐溶剤性、濾過性に関する試験を下記の方法で行った。結果を表6に示す。
(塗膜のCR評価)
得られた着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布、オーブンにて230℃で30分焼成して熱処理後の塗膜の膜厚が表面形状測定装置「Dektak8(Veeco社製)」を用いて測定して膜厚が約1.5μm前後となるように3点の塗布基板を作製した。各基板の膜厚及びコントラスト比を測定し、3点のデータから膜厚が1.5μmにおけるコントラストを一次相関法で求めた。判定基準は以下の通りである。尚、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
◎:CR≧17000以上
〇:CR=15000以上、17000未満
△:CR=12000以上、15000未満
×:CR=12000未満
(塗膜の耐熱性評価)
得られた着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布、オーブンにて230℃で30分焼成して熱処理後の塗膜の膜厚が表面形状測定装置「Dektak8(Veeco社製)」を用いて測定して膜厚が約2.0μm前後となるように3点の塗布基板を作製した。得られた塗膜のC光源での色度([L*(1)、a*(1)、b*(1)])を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。さらにその後、耐熱性試験として230℃で1時間加熱し、C光源での色度([L*(2)、a*(2)、b*(2)])を測定し、下記計算式により、色差ΔEab*を求め、下記判定基準で評価した。尚、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
ΔEab* = √((L*(2)- L*(1))2+ (a*(2)- a*(1))2+( b*(2)- b*(1)) 2)
◎:ΔEab*が1.0未満
〇:ΔEab*が1.0以上 1.5未満
△:ΔEab*が1.5以上 3.0未満
×:ΔEab*が3.0以上
(塗膜の耐溶剤性評価)
得られた着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布、オーブンにて230℃で30分焼成して熱処理後の塗膜の膜厚が表面形状測定装置「Dektak8(Veeco社製)」を用いて測定して膜厚が約2.0μm前後となるように3点の塗布基板を作製した。得られた塗膜のC光源での色度([L*(1)、a*(1)、b*(1)])を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。さらにその後、耐薬品性試験として得られた塗膜を1−メチル−2−ピロリドンに30分浸漬させ、その後純水で1−メチル−2−ピロリドンを洗浄した後、C光源での色度([L*(2)、a*(2)、b*(2)])を測定し、下記計算式により、色差ΔEab*を求め、下記判定基準で評価した。尚、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
ΔEab* = √((L*(2)- L*(1))2+ (a*(2)- a*(1))2+( b*(2)- b*(1)) 2)
◎:ΔEab*が1.0未満
〇:ΔEab*が1.0以上 1.5未満
△:ΔEab*が1.5以上 3.0未満
×:ΔEab*が3.0以上
(濾過性の評価)
得られた着色組成物10gを窒素圧(0.3MPa)にて、フィルター(φ0.2μm、ADVANTEC社製、型番;39115221)に通し、フィルターを通して得られた量を測定し、下記判定基準で評価した。
◎:濾過量が8.0g以上
〇:濾過量が5.0g以上 8.0g未満
△:濾過量が3.0g以上 5.0g未満
×:濾過量が3.0g以下
Figure 0006939438
アニオン性染料と金属錯塩染料を造塩により同一の樹脂分子中に存在させることで、2種の染料の距離が近くなり金属錯塩染料の蛍光消光能がより効果的に発揮されたことにより、高コントラスト比の着色組成物を得ることが出来た(実施例1〜24)。特に、カチオン性樹脂中にベンジルメタクリレートを有することで、ベンゼン環を介してアニオン性染料と金属錯塩染料の配列が規則的になりより高い消光能を発揮して、非常に高いコントラスト比を示した(実施例20〜24)。一方、金属錯塩染料を同一樹脂内に存在させず、溶液として加えた場合は蛍光を発するアニオン性染料との距離が離れてしまうことで、十分な消光能が得られずコントラスト比が低い結果となった(比較例1〜13)。
また、耐熱性・耐溶剤性の悪い金属錯塩染料を樹脂で造塩することで、実施例1〜24で示すように耐熱性及び耐溶剤性が比較的良好な結果となった。その中でも、アニオン性染料に対する金属錯塩染料の含有量を小さくすると耐溶剤性が非常に良い結果を示した(実施例10〜24)。更に、金属錯塩染料を一般式(4−1)又は(5−1)で示される構造にすると、耐熱性が向上した(実施例14〜24)。一方、金属錯塩染料を樹脂と造塩していない比較例1〜13では、耐熱性・耐溶剤性ともに良好な結果は得られなかった。
比較例14で示すようにアニオン性染料と金属錯塩染料が別々の樹脂で造塩されている系では、造塩による金属錯塩染料の耐熱性・耐溶剤性の改善効果は見られるものの、同一樹脂分子内にアニオン性染料と金属錯塩染料が存在していないため、消光能は十分でなく低いコントラスト比を示した。更に、二つの染料間距離が遠いため染料分子間の相互作用が無く、同一組成となる実施例22と比較すると耐熱性・耐溶剤性は若干劣る結果となった。
比較例15で示すようにカチオン性キサンテン染料と金属錯塩染料を直接造塩した構造では、二つの染料間距離が近くなるため、非常に高いCRを示したものの、樹脂のような高分子量の分子との造塩ではないため、耐熱性・耐溶剤性が悪い結果となった。
また、同一樹脂中にアニオン性染料と金属錯塩染料を存在させることで、溶剤への溶解性やバインダー樹脂との相溶性が非常に良くなり濾過性が非常に良い着色組成物となった。一方、比較例で示したものは、濾過性が悪い結果となった。
<カラーフィルタ用感光性着色組成物の製造>
(実施例25;感光性着色組成物DR−1)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルターで濾過して、アルカリ現像型レジスト材(DR−1)を作製した。
造塩化合物(D−1) :12.10部
バインダー樹脂溶液2 : 9.98部
トリメチロールプロパントリアクリレート : 0.75部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 0.15部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) : 0.008部
シクロヘキサノン :21.25部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :55.76部
(実施例26〜48;感光性着色組成物DR−2〜24)
(比較例16〜30;感光性着色組成物DR−25〜39)
造塩化合物、バインダー樹脂溶液2、トリメチロールプロパントリアクリレート、光重合開始剤、増感剤、シクロヘキサノン、及び、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを表7に示す内容に変更した以外は感光性着色組成物DR−1と同様にして、感光性着色組成物(DR−2)〜(DR−39)を作製した。
ただし、実施例25〜33は、参考例である。
Figure 0006939438
<カラーフィルタ用感光性着色組成物の評価>
得られた着色組成物(DR−1〜39)について、CR、耐熱性、耐溶剤性、濾過性に関する試験を下記の方法で行った。結果を表8に示す。
(塗膜のCR評価)
得られた感光性着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布、50mJ/cm2の露光量で紫外線により露光した後、23℃の0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液にて30秒間スプレー現像、オーブンにて230℃で30分焼成して熱処理後の塗膜の膜厚が表面形状測定装置「Dektak8(Veeco社製)」を用いて測定して約1.5μm前後となるように3点の感光性着色組成物の塗布基板を作製した。各基板の膜厚及びコントラスト比を測定し、3点のデータから膜厚が1.5μmにおけるコントラストを一次相関法で求めた。判定基準は以下の通りである。尚、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
◎:CR≧17000以上
〇:CR=15000以上、17000未満
△:CR=12000以上、15000未満
×:CR=12000未満
(塗膜の耐熱性評価)
得られた感光性着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布、50mJ/cm2の露光量で紫外線により露光した後、23℃の0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液にて30秒間スプレー現像、オーブンにて230℃で30分焼成して熱処理後の塗膜の膜厚が表面形状測定装置「Dektak8(Veeco社製)」を用いて測定して約2.0μm前後となるように3点の感光性着色組成物の塗布基板を作製した。得られた塗膜のC光源での色度([L*(1)、a*(1)、b*(1)])を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。さらにその後、耐熱性試験として230℃で1時間加熱し、C光源での色度([L*(2)、a*(2)、b*(2)])を測定し、下記計算式により、色差ΔEab*を求め、下記判定基準で評価した。尚、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
ΔEab* = √((L*(2)- L*(1))2+ (a*(2)- a*(1))2+( b*(2)- b*(1)) 2)
◎:ΔEab*が1.0未満
〇:ΔEab*が1.0以上 1.5未満
△:ΔEab*が1.5以上 3.0未満
×:ΔEab*が3.0以上
(塗膜の耐溶剤性評価)
得られた感光性着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布、50mJ/cm2の露光量で紫外線により露光した後、23℃の0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液にて30秒間スプレー現像、オーブンにて230℃で30分焼成して熱処理後の塗膜の膜厚が表面形状測定装置「Dektak8(Veeco社製)」を用いて測定して約2.0μm前後となるように3点の感光性着色組成物の塗布基板を作製した。得られた塗膜のC光源での色度([L*(1)、a*(1)、b*(1)])を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。さらにその後、耐薬品性試験として得られた塗膜を1−メチル−2−ピロリドンに30分浸漬させ、その後純水で1−メチル−2−ピロリドンを洗浄した後、C光源での色度([L*(2)、a*(2)、b*(2)])を測定し、下記計算式により、色差ΔEab*を求め、下記判定基準で評価した。尚、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
ΔEab* = √((L*(2)- L*(1))2+ (a*(2)- a*(1))2+( b*(2)- b*(1)) 2)
◎:ΔEab*が1.0未満
〇:ΔEab*が1.0以上 1.5未満
△:ΔEab*が1.5以上 3.0未満
×:ΔEab*が3.0以上
(濾過性の評価)
得られた感光性着色組成物10gを窒素圧(0.3MPa)にて、フィルター(φ0.2μm、ADVANTEC社製、型番;39115221)に通し、フィルターを通して得られた量を測定し、下記判定基準で評価した。
◎:濾過量が8.0g以上
〇:濾過量が5.0g以上 8.0g未満
△:濾過量が3.0g以上 5.0g未満
×:濾過量が3.0g以下
Figure 0006939438
着色組成物の結果と同様の結果を得た。アニオン性染料と金属錯塩染料を同一の樹脂分子内に共存させることで、高いコントラスト比、耐熱性、耐溶剤性、濾過性を有する感光性着色組成物を得ることができた。
<カラーフィルタの製造>
(赤色感光性着色組成物(RR−1)の作製)
下記の組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)にて5時間分散した後、5.0μmのフィルターで濾過し、赤色着色組成物(RP−1)を作製した。
赤色顔料(C.I.ピグメントレッド254) 12.0部
樹脂型分散剤(BASF社製「EFKA4300」) 1.0部
バインダー樹脂溶液1 35.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 52.0部
続いて、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルターで濾過し、赤色感光性着色組成物(RR−1)を作製した。
赤色着色組成物(RP−1) 30.0部
赤色着色組成物(D−20) 4.4部
バインダー樹脂溶液2 2.9部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM400」) 2.3部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) 1.5部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB−F」) 0.3部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート 58.6部
(青色感光性着色組成物(RB−1)の作製)
下記の組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)にて5時間分散した後、5.0μmのフィルターで濾過し、青色着色組成物(BP−1)を作製した。
青色顔料(C.I.ピグメントブルー15:6) 7.2部
紫色顔料(C.I.ピグメントバイオレット23) 4.8部
樹脂型分散剤(BASF社製「EFKA4300」) 1.0部
バインダー樹脂溶液1 17.5部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 69.5部
続いて、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルターで濾過し、青色感光性着色組成物(RB−1)を作製した。
青色着色組成物(BP−1) 34.0部
バインダー樹脂溶液2 7.6部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM400」) 3.3部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) 2.0部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB−F」) 0.4部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート 52.7部
(緑色感光性着色組成物(RG−1)の作製)
下記の組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)にて5時間分散した後、5.0μmのフィルターで濾過し、緑色着色組成物(GP−1)を作製した。
緑色顔料(C.I.ピグメントグリーン58) 12.0部
樹脂型分散剤(BASF社製「EFKA4300」) 1.0部
バインダー樹脂溶液1 35.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 52.0部
続いて、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルターで濾過し、緑色感光性着色組成物(RG−1)を作製した。
緑色着色組成物(GP−1) 34.0部
バインダー樹脂溶液2 15.2部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM400」) 3.3部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」 2.0部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB−F」) 0.4部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート 45.1部
ガラス基板上にブラックマトリクスをパターン加工し、該基板上にスピンコーターで赤色感光性着色組成物(RR−1)を膜厚2.0μmに塗布し着色被膜を形成した。該被膜にフォトマスクを介して、超高圧水銀ランプを用いて300mJ/cm2の紫外線を照射した。次いで0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像して未露光部分を取り除いた後、イオン交換水で洗浄し、この基板を230℃で20分加熱して、赤色フィルタセグメントを形成した。同様の方法により、本発明の青色感光性着色組成物(RB−1)を用いて青色フィルタセグメントを形成し、次いで、緑色感光性着色組成物(RG−1)を用いてそれぞれ塗布し、青色セグメント、緑色セグメントを形成して、カラーフィルタを得た。
本発明の感光性着色組成物を用いることにより、カラーフィルタのコントラスト比、耐熱性、耐溶剤性向上し、好適に使用することができた。

Claims (7)

  1. 着色剤、バインダー樹脂及び有機溶剤を含むカラーフィルタ用着色組成物であって、着色剤が、1分子中に、下記一般式(1)で表される構造単位、及び下記一般式(2)で表される構造単位を有する造塩化合物を含み、造塩化合物におけるY とZ の質量比(Z /Y )が0.1〜0.8であるカラーフィルタ用着色組成物。
    一般式(1)
    Figure 0006939438

    [一般式(1)中、Rは水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基又は置換基を有してもよいアリール基を表し、R〜Rの内2つが互いに結合して環を形成しても良い。Qはアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R−又は−COO−R−を表し、Rはアルキレン基を表す。Yはアニオン性色素を表す(但し、下記一般式(4)〜下記一般式(6)で表わされるアニオンを除く)。]

    一般式(2)
    Figure 0006939438

    [一般式(2)中、Rは水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基又は置換基を有してもよいアリール基を表し、R〜Rの内2つが互いに結合して環を形成しても良い。Qはアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R−又は−COO−R−を表し、Rはアルキレン基を表す。Zは、下記一般式(4)、下記一般式(5)及び下記一般式(6)からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有するアニオンを表す。]

    一般式(4)
    Figure 0006939438

    [一般式(4)中、R10〜R27はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の飽和炭化水素基、ニトロ基、ハロゲン原子、−SO2NHR401、−SO3H又は−SO2CH3
    を表す。R28及びR29はそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、−SO2NH
    402、−SO3H又は−SO2CH3を表す。R401及びR402はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の飽和炭化水素基、又は炭素数2〜15のアルコキシアルキル基を表す。A1〜A4はそれぞれ独立に、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−を表す。*はMとの結合手を表す。Mは、Cr又はCoを表す。nは、1〜5の整数を表す。]

    一般式(5)
    Figure 0006939438

    [一般式(5)中、R31〜R39はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基、ニトロ基、ハロゲン原子、−SO2NHR501、−SO3H又は−SO2CH3を表す。R40は、水素原子、メチル基、エチル基、−SO2NHR502、−SO3H又は−SO2CH3を表す。R501及びR502はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基、又は炭素数2〜15のアルコキシアルキル基を表す。A5及びA6はそれぞれ独立に、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−を表す。*はMとの結合手を表す。Mは、Cr又はCoを表す。nは、1〜2の整数を表す。]

    一般式(6)
    Figure 0006939438

    [一般式(6)中、 R42は、炭素数1〜12の1価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭
    化水素基に含まれる水素原子は、−OH、−OR601、−CO−OR602、−O−COR603、−CONR604605、炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子で
    置換されていてもよく、該飽和炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−及び−CO−
    の少なくとも1つで置き換わっていてもよい。R43は、水素原子、−CN、又は−CONH2を表す。R44は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を
    表す。R45〜R48はそれぞれ独立に、−R606、−OR607、−CO−OR608、−COR609、−OCO−OR610、−O−COR611、−CN、−NO2、ハロゲン原子、−SO3H、−SO3Na、−SO3K、−SO2NR612613又は−NR5253を表す。R45及びR46、R46及びR47、並びにR47及びR48は、互いに結合してベンゼン環を含んだ6〜7員
    環を形成してもよい。R601〜R613は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数7〜12のアラルキル基、又は炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基、該アラルキル基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、−OR51で置換されていてもよい。R51は、水素原子、炭素数1〜8の1価の飽和炭化水素基又は炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基を表す。R52及びR53は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数2〜8のアシル基又はテトラヒドロフルフリル基を表す。R52及びR53は、互いに結合して窒素原子を含んだ環を形成してもよい。A7〜A10は、それぞれ独立に、*−O−、*−O−
    CO−、*−CO−O−を表す。*はMとの結合手を表す。Mは、Cr又はCoを表す。nは、1〜5の整数を表す。]
  2. 一般式(1)におけるYが、キサンテン系アニオン性色素である請求項1に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  3. 造塩化合物がさらに、ヒドロキシル基、カルボキシル基、オキセタン基、及びt−ブチル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱架橋性基を含む構造単位を有する請求項1又は2に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  4. 一般式(2)におけるZが、式(4−1)、及び式(5−1)からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有するアニオンである、請求項1〜いずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
    式(4−1)
    Figure 0006939438


    式(5−1)
    Figure 0006939438
  5. 造塩化合物がさらに、ベンジルメタクリレートに由来する構造単位を有する請求項1〜いずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  6. さらに光重合性単量体及び/又は光重合開始剤を含有する請求項1〜いずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  7. 基板上に、請求項1〜いずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタ。
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