JP7179326B2 - 水性美爪料組成物 - Google Patents
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Description
しかし、この種の爪装飾材料は、有機溶剤を含むため、使用時に揮発する有機溶剤を、使用者が直接吸引するおそれがある。また、形成される塗膜は強靭な塗膜とはなり得ず、擦れ、衝撃等の刺激により容易に剥離してしまうおそれがある。
また、水性美爪料組成物において、レベリング評価を行う際には、その都度水性美爪料組成物を塗布して塗膜を形成して行う必要があり、塗膜形成前に、迅速かつ煩雑な作業をしなくても容易にレベリング評価を行う方法が求められていた。
しかも、レベリング評価は、官能試験に頼っていることから、個人差が生じたり再現性に欠けたりするものであり、塗布前にレベリング評価を客観的に行うことができる水性美爪料組成物についてはいまだ知られていなかった。
しかしながら、皮膜形成前のマニキュア組成物自体についての損失正接や貯蔵弾性率については何ら記載されていない。また、レベリング評価を塗膜形成前に行うことについても記載されていない。
しかしながら、塗膜形成前のネイルエナメル自体についての損失正接や貯蔵弾性率については何ら記載されていない。また、レベリング評価を塗膜形成前に行うことについても記載されていない。
しかしながら、この化粧料を水性美爪料組成物とすることについては記載されておらず、ファンデーションに係る具体例が記載されているだけであるし、乾燥皮膜形成前の化粧料自体についての貯蔵弾性率や損失正接については何ら記載されていない。また、レベリング評価を塗膜形成前に行うことについても記載されていない。
具体的には以下の通りである。
項1:貯蔵弾性率(G’)が1.5~10.0Paであり、損失正接(tanδ)が1.0~7.0である、水性美爪料組成物。
項2:粘度が100~400mPa・sである、項1に記載の水性美爪料組成物。
項3:前記水性美爪料組成物が、塗膜形成成分及び流動性調整剤を含有する、項1又は2に記載の水性美爪料組成物。
項4:前記塗膜形成成分が、80nm以下の粒子径においてピークを有する粒子径分布を示し、かつガラス転移温度が20~45℃の樹脂エマルジョンである、項3に記載の水性美爪料組成物。
項5:前記流動性調整剤が、疎水変性ポリウレタン及び/又はカルボキシビニルポリマーを含む、項3又は4に記載の水性美爪料組成物。
本発明の水性美爪料組成物は、着色剤を含有させることにより、ソリッドカラーやラメ調、金属光沢調、暗色や明色等多彩に着色される着色層(カラーコート)として使用することができる。
いずれの層用として使用する場合であっても、乾燥後少なくとも3日間、欠けたり、剥がれたりすることなく、また下層や使用者の爪に対して浮きが発生しないことが必要である。
また、水性美爪料組成物は、粘度が100~400mPa・sであることが好ましい。
本発明における水性美爪料組成物の貯蔵弾性率(G’)は、動的粘弾性パラメータであって、線形粘弾性体に振動的(周期的)な歪みまたは力を与えた場合に観測される弾性率である。
本発明における水性美爪料組成物の貯蔵弾性率(G’)は、水性美爪料組成物を、粘弾性測定装置(HAAKE RheoStress 6000:Thermo Fisher Scientific社製)を用い、測定温度20℃、歪み0.05degreeの条件で測定した際の、角速度9.22(rad/s)での測定値である。
本発明の水性美爪料組成物は、貯蔵弾性率(G’)が1.5~10.0Paであり、好ましくは1.5~9.0Pa、より好ましくは1.5~8.0Pa、最も好ましくは2.0~7.0Paである。
貯蔵弾性率(G’)が1.5Pa未満であると、水性美爪料組成物の弾性力が低すぎるため、水性美爪料組成物が顔料を含有する場合に経時的に顔料の沈降が発生するおそれがある。
貯蔵弾性率(G’)が10.0Paを超えると、水性美爪料組成物の弾性力が高すぎるため、水性美爪料組成物の塗膜形成後の流動性が悪くなりレベリングの点で問題が生じるおそれがある。
本発明における水性美爪料組成物の損失正接(tanδ)は、動的粘弾性パラメータであって、貯蔵弾性率(G’)に対する損失弾性率(G”)の比(損失弾性率G”/貯蔵弾性率G’)である。線形粘弾性体に振動的(周期的)な歪みまたは力を与えた場合に観測される弾性率である。
本発明における水性美爪料組成物の損失正接(tanδ)は、水性美爪料組成物を、粘弾性測定装置(HAAKE RheoStress 6000:Thermo Fisher Scientific社製)を用い、測定温度20℃、歪み0.05degreeの条件で測定した際の、角速度9.22(rad/s)での測定値である。
本発明の水性美爪料組成物は、損失正接(tanδ)が1.0~7.0であり、好ましくは1.0~6.0、より好ましくは1.0~5.0、最も好ましくは1.5~4.0である。
損失正接(tanδ)が1.0未満であると、水性美爪料組成物に弾性(固体)の性質が強く出ることから、水性美爪料組成物の塗膜形成後の流動性が悪くなりレベリングの点で問題が生じるおそれがある。
損失正接(tanδ)が7.0を超えると、粘性(液体)の性質の性質が強く出ることから、水性美爪料組成物が顔料を含有する場合に経時的に顔料の沈降が発生するおそれがある。
本発明における水性美爪料組成物の粘度は、粘弾性測定装置(HAAKE RheoStress 6000:Thermo Fisher Scientific社製)を用い、測定温度20℃、ずり速度1000s-1の条件で測定した際に100~400mPa・sであることが好ましい。
粘度が100mPa・s未満であると、粘度が低くなりすぎて塗り感が悪くなったり、水性美爪料組成物が顔料を含有する場合に経時的に顔料の沈降が発生したりするおそれがある。
粘度が400mPa・sを超えると、粘度が高くなりすぎて塗り感が悪くなったり、塗膜形成後の流動性が悪くなりレベリングの点で問題が生じたりするおそれがある。
本発明の水性美爪料組成物は、貯蔵弾性率(G’)が1.5~10.0Paであり、損失正接(tanδ)が1.0~7.0である限り、その組成は特に限定されない。
水性美爪料組成物の貯蔵弾性率(G’)及び損失正接(tanδ)を調整する手法としては、例えば、水性美爪料組成物中に含有される各種成分の種類や配合量を調整する方法が一般的であるが、水性美爪料組成物の貯蔵弾性率(G’)及び損失正接(tanδ)を所定の範囲にし得る方法であれば特に限定されない。
以下、貯蔵弾性率(G’)が1.5~10.0Paであり、損失正接(tanδ)が1.0~7.0となる水性美爪料組成物の好ましい例を説明する。
本発明の水性美爪料組成物に含有されていてもよい塗膜形成成分としては、水性美爪料組成物において塗膜形成成分としての機能を発揮することができる成分であればいずれのものでもよい。特に、樹脂成分を塗膜形成成分として用いることが好ましい。
塗膜形成成分として樹脂成分を用いる場合、適切な樹脂成分の選択やその含有量を調整することにより、水性美爪料組成物の貯蔵弾性率(G’)及び損失正接(tanδ)を容易に調整することができる。
例えば、水性美爪料組成物中に親水性の樹脂と疎水性の樹脂とを組み合わせて含有させることにより、水性美爪料組成物の貯蔵弾性率(G’)及び損失正接(tanδ)を調整することができる。
また、樹脂成分の配合量を増減させることにより、水性美爪料組成物の貯蔵弾性率(G’)及び損失正接(tanδ)を調整することができる。
これらのうち、水性美爪料組成物の成膜性、塗り感、塗膜強度等の点や、貯蔵弾性率(G’)調整の容易性及び/又は損失正接(tanδ)調整の容易性等の点から、エマルジョンを用いることが好ましい。
アクリル樹脂系エマルジョンは、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸のエステルを単量体成分として含む共重合体である樹脂のエマルジョンである。そのような共重合体である樹脂を構成する単量体としては以下の親水性単量体及び疎水性単量体からなるものがあげられる。
本発明の水性美爪料組成物にアクリル樹脂系エマルジョンが含有される場合、1種のアクリル樹脂系エマルジョンが含有されていてもよく、2種以上のアクリル樹脂系エマルジョンが含有されていてもよい。2種以上のアクリル樹脂系エマルジョンが含有される場合には、ガラス転移温度や平均粒子径が互いに異なる2種以上のアクリル樹脂系エマルジョンが含有されることが好ましい。
このようなアクリル樹脂系エマルジョンとしては、ジュリマーET-410(東亞合成社製商品名)、TOCRYL BCX-3101(トーヨーケム社製商品名)、TOCRYL BCX-6202(トーヨーケム社製商品名)又はTOCRYL BCX-6020(トーヨーケム社製商品名)が好ましく使用され、これらの2種以上を用いることがより好ましい。
本発明において2種以上のアクリル樹脂系エマルジョンが使用される場合には、ガラス転移温度が高く平均粒子径が小さいアクリル樹脂系エマルジョンと、ガラス転移温度が低く平均粒子径が大きいアクリル樹脂系エマルジョンとを含むものが好ましい。
塗膜形成成分の含有量が水性美爪料組成物全体に対して60質量%を超えると、貯蔵弾性率(G’)が高くなりすぎる、損失正接(tanδ)が小さくなりすぎる、水性美爪料組成物の粘度が高くなりすぎて塗り感が悪化する等の場合がある。
本発明の水性美爪料組成物に含有されていてもよい流動性調整剤としては、水性美爪料組成物において流動性調整機能を発揮することができる成分であればいずれのものでもよい。
特に、増粘剤、溶剤、成膜助剤・可塑剤、湿潤剤、ポリマーポリオール等の、水性美爪料組成物を増粘又は希釈する等により流動性を調整し、その動的粘弾性を調整し得る機能を有するものが好ましい。
流動性調整剤として増粘剤、溶剤、成膜助剤・可塑剤、湿潤剤、ポリマーポリオール等を用いる場合、適切な成分の選択やその含有量を調整することにより、水性美爪料組成物の貯蔵弾性率(G’)及び損失正接(tanδ)を容易に調整することができる。
以下、流動性調整剤として好適に用いられる増粘剤、溶剤、成膜助剤・可塑剤、湿潤剤及びポリマーポリオールについて詳説する。
本発明の水性美爪料組成物に含有されていてもよい流動性調整剤としての増粘剤は、水性美爪料組成物において増粘剤としての機能を発揮することができる成分であればいずれのものでもよい。
流動性調整剤として増粘剤が用いられる場合、適切な増粘剤の選択やその含有量を調整することにより、水性美爪料組成物の貯蔵弾性率(G’)及び損失正接(tanδ)を容易に調整することができる。
これらの中でも、貯蔵弾性率(G’)調整及び/又は損失正接(tanδ)調整をより容易に行うことができることから、疎水変性ポリウレタン(a)及び/又はカルボキシビニルポリマー系化合物(b)を用いることが特に好ましい。これらの高分子系増粘剤は、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
以下、前記疎水変性ポリウレタン(a)及びカルボキシビニルポリマー(b)について詳説する。
前記の疎水変性ポリウレタン(a)としては、会合性増粘剤としての機能を有するものが好ましい。
会合性増粘剤とは、親水基部を骨格とし、末端に疎水性部分をもつコポリマーであり、水性媒体中でコポリマーの疎水性部分同士が会合し、親水部がループ状又はブリッジ状をなすことにより増粘作用を示す増粘剤であると考えられているものである。
下記一般式(1)
R1-{(O-R2)k-OCONH-R3[-NHCOO-(R4-O)n-R5]h}m ・・・(1)
(式中、R1はm価の有機基を表し、R2及びR4は互いに同一でも異なってもよい2価の有機基を表し、R3はウレタン結合を有していてもよいh価の有機基を表し、R5は1価の有機基を表し、k及びnは括弧内の構造の繰返し単位数であって各々独立に0~1000の整数であり、hは1以上の整数であり、mは1以上の整数である。)
で表される疎水変性ポリウレタン(a-1)の1種以上、及び/又は、
モノヒドロキシ化合物と、ポリオキシアルキレングリコールと、モノグリセリルエーテル化合物と、ポリイソシアネート化合物とを含むモノマー成分を反応させて得られる疎水変性ポリウレタン(a-2)の1種以上、が好ましく用いられる。
これらの疎水変性ポリウレタンとしては、分子の末端に疎水性基を有し、分子の骨格部分が親水性部位を有している、分子末端が疎水変性されたものが好ましく用いられる。
前記疎水変性ポリウレタン(a-1)及び疎水変性ポリウレタン(a-2)について詳説する。
前記疎水変性ポリウレタン(a-1)は、下記一般式(1)
R1-{(O-R2)k-OCONH-R3[-NHCOO-(R4-O)n-R5]h}m ・・・(1)
(式中、R1はm価の有機基を表し、R2及びR4は互いに同一でも異なってもよい2価の有機基を表し、R3はウレタン結合を有していてもよいh価の有機基を表し、R5は1価の有機基を表し、k及びnは括弧内の構造の繰返し単位数であって各々独立に0~1000の整数であり、hは1以上の整数であり、mは1以上の整数である。)
で表されるものである。疎水変性ポリウレタン(a-1)としては、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
式:R1-[(O-R2)k-OH]mで表されるポリエーテルポリオールの重量平均分子量は、500~100,000の範囲内であり、好ましくは1,000~50,000の範囲内である。
R5は、炭素数6~40、好ましくは8~36、より好ましくは12~24の有機基である疎水性基であることが好ましい。有機基としては、フッ素原子を有していてもよい炭化水素基であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基、シクロアルケニル基等である。
本発明においては、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/ヘキサメチレンジイソシアネート)コポリマー(ADEKA社製商品名アデカノールGT-700、GT-730)を用いることが特に好ましい。
前記疎水変性ポリウレタン(a-2)は、式:HO-(R6-O)p-R7(式中、R6は2価の有機基を表し、R7は1価の有機基を表し、pは括弧内の構造の繰返し単位数であって0~1000の整数であり、R6が複数ある場合には互いに同一でも異なってもよい。)で表されるモノヒドロキシ化合物と、式:HO-(R8-O)q-H(式中、R8は2価の有機基を表し、qは括弧内の構造の繰返し単位数であって2~1000の整数であり、R8が複数ある場合には互いに同一でも異なってもよい。)で表されるポリオキシアルキレングリコールと、式:HO-CH2-CH(OH)-CH2-O-R9(式中、R9は1価の有機基を表す。)で表されるモノグリセリルエーテル化合物と、式:R10-(NCO)r(式中、R10はr価の有機基を表し、rは1以上の整数である。)で表されるポリイソシアネート化合物とを含むモノマー成分を反応させて得られるものである。疎水変性ポリウレタン(a-2)としては、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
本発明においては、前記(PEG-240/テトラデシルオクタデセス-100/エチルヘキシルグリセリン/ヘキサメチレンジイソシアネート)コポリマーを用いることが特に好ましい。
前記のカルボキシビニルポリマー(b)としては、カルボキシル基を有する水溶性のビニルポリマーであり、例えば、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を主鎖として、アリルショ糖やペンタエリスリトールのアリルエーテル等による架橋構造を有するポリマーが好ましい。
カルボキシビニルポリマー(b)としては、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
増粘剤の含有量としては、例えば、水性美爪料組成物全体に対して0.001~5質量%であり、好ましくは0.005~1.5質量%、より好ましくは0.015~1.5質量%である。
前記疎水変性ポリウレタン(a)の含有量としては、例えば、水性美爪料組成物全体に対して0.015~1.5質量%であり、好ましくは0.03~0.6質量%、より好ましくは0.15~0.3質量%である。
前記カルボキシビニルポリマー(b)の含有量としては、例えば、水性美爪料組成物全体に対して0.001~5質量%であり、好ましくは0.005~1質量%、より好ましくは0.01~0.5質量%である。
前記カルボキシビニルポリマー(b)の含有量が水性美爪料組成物全体に対して0.001質量%未満であったり又は5質量%を超えたりすると、水性美爪料組成物の貯蔵弾性率(G’)及び/又は損失正接(tanδ)を所期の範囲内とすることが困難になる場合があり、また、水性美爪料組成物に浮遊物や沈殿物が発生するおそれや、水性美爪料組成物の粘度が高くなりすぎて塗り感が悪化するおそれがある。
本発明の水性美爪料組成物に含有されていてもよい溶剤としては、水性美爪料組成物において溶剤としての機能を発揮する成分であればいずれのものでも用いることができる。
また、溶剤は、成膜助剤としての機能を発揮することができる成分であってもよい。
本発明の水性美爪料組成物において使用してもよい水溶性有機溶剤の含有量は、特に制限されず、水性美爪料組成物の貯蔵弾性率(G’)及び損失正接(tanδ)や、水性美爪料組成物に付与すべき特性等に応じて適宜設定すればよい。水溶性有機溶剤の含有量としては、例えば、水性美爪料組成物全体に対して0~20質量%であり、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1~3質量%である。
水溶性有機溶剤の含有量が水性美爪料組成物全体に対して20質量%を超えると、水性美爪料組成物の貯蔵弾性率(G’)及び/又は損失正接(tanδ)を所期の範囲内とすることが困難になる場合があり、また、水性美爪料組成物の粘度が低くなりすぎる可能性がある。
本発明の水性美爪料組成物に含有されていてもよい成膜助剤・可塑剤としては、水性美爪料組成物において成膜助剤・可塑剤のいずれかの機能を発揮することができる成分であればいずれのものでも用いることができる。
また、成膜助剤・可塑剤は、溶剤としての機能を発揮することができる成分であってもよい。
通常、低粘度の成膜助剤・可塑剤の含有量を増加させると、水性美爪料組成物に粘性(液体)の性質を付与することができるから、貯蔵弾性率(G’)の値を小さく、損失正接(tanδ)の値を大きくすることが可能である。
また、通常、高粘度の成膜助剤・可塑剤の含有量を増加させると、水性美爪料組成物に弾性(固体)の性質を付与することとなり、貯蔵弾性率(G’)の値を大きく、損失正接(tanδ)の値を小さくすることが可能である。
前記成膜助剤・可塑剤の含有量が水性美爪料組成物全体に対して20質量%を超えると、水性美爪料組成物の貯蔵弾性率(G’)及び/又は損失正接(tanδ)を所期の範囲内とすることが困難になる場合があり、また、水性美爪料組成物の粘度が高くなりすぎて塗り感が悪化する可能性がある。
本発明の水性美爪料組成物に含有されていてもよい湿潤剤としては、水性美爪料組成物において湿潤剤としての機能を発揮することができる成分であればいずれのものでも用いることができる。
湿潤剤の含有量が水性美爪料組成物全体に対して15質量%を超えると、水性美爪料組成物の貯蔵弾性率(G’)及び/又は損失正接(tanδ)を所期の範囲内とすることが困難になる場合があり、また、水性美爪料組成物にタック性が現れる可能性がある。
本発明の水性美爪料組成物に含有されていてもよいポリマーポリオールとしては、任意のポリマーポリオールを用いることができる。
ポリマーポリオールは、希釈剤としての機能を発揮するものであり、さらに、本発明の水性美爪料組成物の付着性を向上させる機能を発揮する場合がある。
縮合型ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,4-ヘキサンジメタノール、ダイマー酸ジオール、ポリエチレングリコール等のポリオール化合物と、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸等の有機多塩基酸との縮合反応によって得られたものがあげられる。
付加重合ポリエステルポリオールとしては、ポリカプロラクトンがあげられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、ポリオールの直接ホスゲン化、ジフェニルカーボネートによるエステル交換法などによって合成されたものがあげられる。
ポリマーポリオールの重量平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは100~100,000である。
本発明の水性美爪料組成物に含有されていてもよい「その他の成分」としては、水性美爪料組成物の添加剤として使用可能な成分であればいずれのものでも用いることができる。
このような「その他の成分」としては、例えば、着色剤、界面活性剤・顔料分散剤、消泡剤、pH調整剤、防腐剤があげられる。
これらの成分以外にも、貯蔵弾性率(G’)、損失正接(tanδ)、レベリング、沈降、塗り感、成膜性、光沢、粘度、使用性、塗膜の耐久性等に悪影響を与えない範囲で、各種の添加剤を配合することができる。そのような添加剤としては、例えば、香料、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、充填剤、表面張力調整剤、難燃剤、酸化防止剤、イオン吸着体、低応力化剤、抗菌剤、可撓性付与剤、ワックス類、ハロゲントラップ剤、濡れ改良剤等の、これまでに慣用されている各種の添加剤の1種以上を配合することができる。
また、水性美爪料組成物に配合することができる各種の装飾材料等を配合することも可能である。
「その他の成分」のうち、着色剤、界面活性剤(顔料分散剤)、消泡剤、pH調整剤及び防腐剤について詳説する。
本発明の水性美爪料組成物に含有されていてもよい着色剤としては、例えば、無機着色顔料、有機着色顔料、光輝顔料、蛍光顔料、着色樹脂粒子、染料等の少なくとも1種を使用することができる。着色剤の状態としては、粒子状や分散液状のものが用いられてよく、また、所望の色調とするために、2種以上の着色剤を混合して使用してもよい。
これらのうち、顔料や着色樹脂粒子等の粒子は、シランカップリング剤、樹脂、顔料誘導体等の表面処理剤で表面処理されたものであってもよく、表面処理されていないものであってもよい。
無機着色顔料としては、例えば、酸化チタン、ベンガラ、グンジョウ、カーボンブラック、鉄黒、酸化亜鉛、亜鉛黄、鉄黄、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等が使用されるが、これらに限定されるものではない。
着色樹脂粒子としては、前記着色顔料、光輝顔料、蛍光顔料、染料等の1種以上と樹脂との混合物の微粒子であり、樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の樹脂を用いることができる。
着色剤の含有量が水性美爪料組成物全体に対して10質量%を超えると、水性美爪料組成物の貯蔵弾性率(G’)及び/又は損失正接(tanδ)を所期の範囲内とすることが困難になる場合があり、また、光沢を損なう可能性がある。
本発明の水性美爪料組成物に含有されていてもよい界面活性剤・顔料分散剤としては、水性美爪料組成物において界面活性剤及び/又は顔料分散剤としての機能を発揮することができる成分であればいずれのものでも用いることができる。
特に、POE(20)ヤシ油脂肪酸ソルビタン(ポリオキシエチレン(20)ヤシ油脂肪酸ソルビタンエステル)、三洋化成工業社製商品名イオネットS-20や同イオネットT-20C(ヤシ油脂肪酸ソルビタン)の1種以上を用いることが好ましい。
界面活性剤の含有量が水性美爪料組成物全体に対して2質量%を超えると、水性美爪料組成物の貯蔵弾性率(G’)及び/又は損失正接(tanδ)を所期の範囲内とすることが困難になる場合があり、また、水性美爪料組成物の耐水性が悪化する可能性がある。
本発明の水性美爪料組成物に含有されていてもよい消泡剤としては、水性美爪料組成物において消泡剤としての機能を発揮することができる成分であればいずれのものでも用いることができる。
消泡剤の含有量が水性美爪料組成物全体に対して0.1質量%を超えると、塗布後の水性美爪料組成物にピンホールが表れる可能性がある。
本発明の水性美爪料組成物に含有されていてもよいpH調整剤としては、水性美爪料組成物においてpH調整剤としての機能を発揮することができる成分であればいずれのものでも用いることができる。
なお、本発明の水性美爪料組成物において、塗布・乾燥した後に塗膜中に残存するpH調整剤を用いた場合、水性美爪料組成物塗膜の耐久性に問題が生じる可能性があるが、温水中に浸漬することで水性美爪料組成物塗膜の剥離を促進させることが可能となる
pH調整剤の含有量が水性美爪料組成物全体に対して2質量%を超えると、水性美爪料組成物の粘度が高くなりすぎて塗り感等が悪化する場合がある。
なお、水性美爪料組成物のpHが6未満となるとメイクオフ性に優れないおそれがあり、一方、pH9を超えると皮膚刺激性が生じるとともに耐冷水性や乾燥性が悪化する恐れがある。
本発明の水性美爪料組成物に含有されていてもよい防腐剤としては、水性美爪料組成物において防腐剤としての機能を発揮することができる成分であればいずれのものでも用いることができる。
防腐剤の含有量が水性美爪料組成物全体に対して1質量%を超えると、化粧品の添加基準を超えることとなる。
本発明の水性美爪料組成物は、使用者自身の爪の表面に、必要に応じてサンディングを施した後、さらに必要に応じて下塗りをした後に、筆や刷毛を用いる等の公知の手段によって爪表面に塗布することができる。
もちろん、爪表面に本発明の水性美爪料組成物を塗布後、乾燥前に小さな飾りや粉体等を塗膜表面に付着させることも可能である。
爪に塗布した後、自然乾燥させたり、赤外線等を当てたりして加熱乾燥させることができる。
被覆される爪は、人の手足の爪のいずれでもよく、犬や猫などの動物の爪でもよい。また、マネキン等の人形の爪部に用いることも可能である。
1.ナイロン板に各水性美爪料組成物を30μl取る。
2.一般的な美爪料組成物用の筆で、一辺が1.5cmの正方形の中を縦に4回、横に4回、再度縦に4回塗り広げる。
3.塗布後、一晩以上室温で乾燥させる。
4.乾燥後の塗膜のレベリング具合を評価する。
◎:塗膜がなだらかで筆跡が見えない。
○:塗膜がなだらかであるが筆跡がやや見える。
△:塗膜に大きな波が見える。
×:塗膜に細かな波が見える。
1.各水性美爪料組成物を透明なサンプル瓶に充填する。
2.50℃の雰囲気下で2週間保存する。
3.外観を目視で観察し評価する。
◎:沈殿していない。
○:ほとんど沈殿していない。
△:沈殿がみられる。
×:著しく沈殿している。
1.爪に、各水性美爪料組成物を一般的な美爪料組成物用の筆で適量塗り広げる。
2.乾燥後、塗膜表面を目視で観察する。
○:塗膜がなだらかで筆跡が見えない。
△:塗膜に大きな波が見える。
×:塗膜に細かな波が見える。
アクリル樹脂系エマルジョンを25.399質量部(樹脂分の含有量として)、1,2-オクタンジオールを2.000質量部、赤色202号を0.120質量部、青色404号を0.030質量部、酸化チタンを4.400質量部、ヒドロキシエチルセルロースを0.026質量部、カルボキシビニルポリマーを0.150質量部、疎水変性ポリウレタンを0.255質量部、ヤシ油脂肪酸ソルビタンを0.022質量部、POEヤシ油脂肪酸ソルビタンを0.335質量部、フェノキシエタノールを0.500質量部、エタノールを2.500質量部、シメチコンを0.010質量部、プロピレングリコールを2.000質量部、水を水性美爪料組成物として100質量部となる量、となる割合で各成分を加えて水性美爪料組成物を得た。得られた水性美爪料組成物について、レベリング、沈降及び塗り感について評価した。
結果を表1に示す。
表1に示す成分を、表1に示す質量部となる割合で各成分を加えて水性美爪料組成物を得た。得られた水性美爪料組成物について、レベリング、沈降及び塗り感について評価し、結果を表1に併せて示す。
・アクリル樹脂系エマルジョン1:
ジュリマーET-410(東亜合成社製商品名)とTOCRYL BCX-6020(トーヨーケム社製商品名)を、樹脂分の質量比でジュリマーET-410:TOCRYL BCX-6020=64.69:12.20の比率でブレンドしたもの(表1中のアクリル樹脂系エマルジョンの配合量は樹脂分の含有量)。
ビニゾール1050N(大同化成工業社製商品名)
Skolor Niello Silver 9010S(CQV社製商品名)
カーボポール940(Lubrizol Advanced Materials社製商品名)
(PEG-240/デシルテトラデセス-20/ヘキサメチレンジイソシアネート)コポリマー(ADEKA社製商品名アデカノールGT-730)
ヤシ油脂肪酸ソルビタンエステルのポリエチレンオキサイド20モル付加物
ポリジメチルポリシロキサンとシリカの混合物(信越化学工業社製商品名KM-72)
市販されている水性美爪料組成物を2種類準備し、貯蔵弾性率(G’)(Pa)、損失正接(tanδ)及び粘度(mPa・s)を測定した。
貯蔵弾性率(G’)が1.5Pa未満で、損失正接(tanδ)が1.0~7.0の範囲内である比較例1及び2の水性美爪料組成物は、レベリング及び塗り感の評価に問題がないものの、沈降の評価に問題がある。
貯蔵弾性率(G’)が10.0Paを超え、損失正接(tanδ)が1.0~7.0の範囲内であるものの下限値に近い比較例3の水性美爪料組成物は、沈降及び塗り感の評価に問題がないものの、レベリングの評価に問題がある。
貯蔵弾性率(G’)が10.0Paを大きく超え、損失正接(tanδ)が1.0未満である比較例4の水性美爪料組成物は、沈降の評価に問題がないものの、レベリング及び塗り感の評価に問題がある。
貯蔵弾性率(G’)が1.5~10.0Paの範囲内であるものの下限値に近く、損失正接(tanδ)が7.0を超える比較例5の水性美爪料組成物は、レベリングの評価に問題がないものの、沈降及び塗り感の評価に問題があり、また、粘度が高すぎるものである。
貯蔵弾性率(G’)が1.5~10.0Paの範囲内であり、損失正接(tanδ)が7.0を超える比較例6の水性美爪料組成物は、レベリングの評価に問題がないものの、沈降及び塗り感の評価に問題があり、また、粘度が高すぎるものである。
貯蔵弾性率(G’)が10.0Paを超え、損失正接(tanδ)が1.0未満である比較例7及び8の水性美爪料組成物(いずれも市販品)は、沈降及び塗り感の評価に問題がないものの、レベリングの評価に問題がある。
さらに、水性美爪料組成物の貯蔵弾性率(G’)が1.5~10.0Paであり、損失正接(tanδ)が1.0~7.0であることにより、レベリング、沈殿及び塗り感に問題がない水性美爪料組成物とすることができることから、これらの指標を用いて水性美爪料組成物の客観的な評価を塗膜形成前に行うことが可能となる。
Claims (4)
- 測定温度20℃、歪み0.05degreeの条件で測定した際の、角速度9.22(rad/s)での貯蔵弾性率(G’)が1.5~10.0Paであり、測定温度20℃、歪み0.05degreeの条件で測定した際の、角速度9.22(rad/s)での損失正接(tanδ)が1.0~7.0である、水性美爪料組成物であって、
水性美爪料組成物が、塗膜形成成分及び流動性調整剤を含有し、
塗膜形成成分が、80nm以下の粒子径においてピークを有する粒子径分布を示し、かつガラス転移温度が20~45℃の樹脂エマルジョンであり、
流動性調整剤が、疎水変性ポリウレタン及びカルボキシビニルポリマーを含む、水性美爪料組成物。 - 粘度が100~400mPa・sである、請求項1に記載の水性美爪料組成物。
- 測定温度20℃、歪み0.05degreeの条件で測定した際の、角速度9.22(rad/s)での貯蔵弾性率(G’)が1.5~10.0Paであり、
測定温度20℃、歪み0.05degreeの条件で測定した際の、角速度9.22(rad/s)での損失正接(tanδ)が1.0~7.0である、
ことを確認することを含む、塗膜を形成することなく水性美爪料組成物のレベリングを評価する方法。 - 測定温度20℃、歪み0.05degreeの条件で測定した際の、角速度9.22(rad/s)での貯蔵弾性率(G’)を1.5~10.0Paとし、
測定温度20℃、歪み0.05degreeの条件で測定した際の、角速度9.22(rad/s)での損失正接(tanδ)を1.0~7.0とする、
水性美爪料組成物の調製方法。
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