JP7179325B2 - 水性美爪料組成物 - Google Patents
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Description
しかし、この種の爪装飾材料は、有機溶剤を含むため、使用時に揮発する有機溶剤を、使用者が直接吸引するおそれがある。また、形成される塗膜は強靭な塗膜とはなり得ず、擦れ、衝撃等の刺激により容易に剥離してしまうおそれがある。
本発明は、成膜性、光沢、塗り感及びレベリングのすべての点で優れるとともに、顔料を含む場合であっても経時的に顔料の沈降が発生しない水性美爪料組成物を得ることを課題とする。
具体的には以下の通りである。
項1:下記(A)~(D)を含有する水性美爪料組成物。
(A)アクリル樹脂系エマルジョン
(B)1,2-オクタンジオール
(C)疎水変性ポリウレタン
(D)カルボキシビニルポリマー
項2:前記(A)アクリル樹脂系エマルジョンが、80nm以下の粒子径においてピークを有する粒子径分布を示し、かつガラス転移温度が20~45℃のアクリル樹脂系エマルジョンである、項1に記載の水性美爪料組成物。
項3:前記(C)疎水変性ポリウレタンが、会合性増粘剤である、項1又は2に記載の水性美爪料組成物。
項4:前記(C)疎水変性ポリウレタンが、
(c-1)
下記一般式(1)
R1-{(O-R2)k-OCONH-R3[-NHCOO-(R4-O)n-R5]h}m ・・・(1)
(式中、R1はm価の有機基を表し、R2及びR4は互いに同一でも異なってもよい2価の有機基を表し、R3はウレタン結合を有していてもよいh価の有機基を表し、R5は1価の有機基を表し、k及びnは括弧内の構造の繰返し単位数であって各々独立に0~1000の整数であり、hは1以上の整数であり、mは1以上の整数である。)
で表されるものの1種以上、及び/又は、
(c-2)
式:HO-(R6-O)p-R7(式中、R6は2価の有機基を表し、R7は1価の有機基を表し、pは括弧内の構造の繰返し単位数であって0~1000の整数であり、R6が複数ある場合には互いに同一でも異なってもよい。)で表されるモノヒドロキシ化合物と、式:HO-(R8-O)q-H(式中、R8は2価の有機基を表し、qは括弧内の構造の繰返し単位数であって2~1000の整数であり、R8が複数ある場合には互いに同一でも異なってもよい。)で表されるポリオキシアルキレングリコール化合物と、式:HO-CH2-CH(OH)-CH2-O-R9(式中、R9は1価の有機基を表す。)で表されるモノグリセリルエーテル化合物と、式:R10-(NCO)r(式中、R10はr価の有機基を表し、rは1以上の整数である。)で表されるポリイソシアネート化合物とを 含むモノマー成分を反応させて得られるものの1種以上、
である、項1~3のいずれかに記載の水性美爪料組成物。
項5:前記(C)疎水変性ポリウレタンが、
(PEG-240/デシルテトラデセス-20/ヘキサメチレンジイソシアネート)コポリマー、及び/又は、(PEG-240/テトラデシルオクタデセス-100/エチルヘキシルグリセリン/ヘキサメチレンジイソシアネート)コポリマー、である、項1~4のいずれかに記載の水性美爪料組成物。
本発明の水性美爪料組成物は、着色剤を含有させることにより、ソリッドカラーやラメ調、金属光沢調、暗色や明色等多彩に着色される着色層(カラーコート)として使用することができる。
いずれの層用として使用する場合であっても、乾燥後少なくとも3日間、欠けたり、剥がれたりすることなく、また下層や使用者の爪に対して浮きが発生しないことが必要である。
本発明の水性美爪料組成物は、(A)アクリル樹脂系エマルジョン、(B)1,2-オクタンジオール、(C)疎水変性ポリウレタン、及び、(D)カルボキシビニルポリマーを含有するものである。また、これら(A)~(D)に加えて、水性美爪料組成物において通常使用される各種添加剤等の(E)その他の成分を含んでいてもよい。
以下、本発明の水性美爪料組成物について詳述する。
本発明の水性美爪料組成物は、アクリル樹脂系エマルジョンを含有するものである。
ここで、アクリル樹脂系エマルジョンは、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸のエステルを単量体成分として含む共重合体である樹脂のエマルジョンである。そのような共重合体である樹脂を構成する単量体としては以下の親水性単量体及び疎水性単量体からなるものがあげられる。
本発明にて使用するアクリル樹脂系エマルジョンとしては、1種のアクリル樹脂系エマルジョンを使用してもよく、2種以上のアクリル樹脂系エマルジョンを使用してもよい。2種以上のアクリル樹脂系エマルジョンを用いる場合には、ガラス転移温度や平均粒子径が互いに異なる2種以上のアクリル樹脂系エマルジョンを使用してもよい。
80nmを超える粒子径においてもピークを有するようなアクリル樹脂系エマルジョンを使用する組成とすることもできる。
このようなアクリル樹脂系エマルジョンとしては、ジュリマーET-410(東亞合成社製商品名)、TOCRYL BCX-3101(トーヨーケム社製商品名)、TOCRYL BCX-6202(トーヨーケム社製商品名)又はTOCRYL BCX-6020(トーヨーケム社製商品名)が好ましく使用され、これらを併用することがより好ましい。
本発明において2種以上のアクリル樹脂系エマルジョンが使用される場合には、ガラス転移温度が高く平均粒子径が小さいアクリル樹脂系エマルジョンと、ガラス転移温度が低く平均粒子径が大きいアクリル樹脂系エマルジョンとを含むものが好ましい。
アクリル樹脂系エマルジョンの樹脂分の含有量が水性美爪料組成物全体に対して60質量%を超えると、水性美爪料組成物の粘度が高くなりすぎて塗り感が悪化する。
本発明の水性美爪料組成物は、1,2-オクタンジオールを含有する。
本発明の水性美爪料組成物において使用される1,2-オクタンジオールの含有量は、特に制限されず、水性美爪料組成物に付与すべき特性等に応じて適宜設定すればよい。1,2-オクタンジオールの含有量としては、例えば、水性美爪料組成物全体に対して0.05~10質量%であり、好ましくは0.15~4.5質量%、より好ましくは0.3~3.0質量%である。
1,2-オクタンジオールの含有量が水性美爪料組成物全体に対して10質量%を超えると、水性美爪料組成物の粘度が高くなりすぎて塗り感が悪化する。
1,2-オクタンジオールを水性美爪料組成物に配合させることによって、爪表面に形成された本発明の水性美爪料組成物の塗膜は、成膜性及び光沢性に優れるものとなる。
なお、1,2-オクタンジオールは、可塑剤としての性質を備えながら、防腐剤としての性質も発揮する。
本発明の水性美爪料組成物は、疎水変性ポリウレタンを含有するものである。
疎水変性ポリウレタンとしては、会合性増粘剤としての機能を有するものが好ましい。
会合性増粘剤とは、親水基部を骨格とし、末端に疎水性部分をもつコポリマーであり、水性媒体中でコポリマーの疎水性部分同士が会合し、親水部がループ状又はブリッジ状をなすことにより増粘作用を示す増粘剤であると考えられているものである。
(c-1)下記一般式(1)
R1-{(O-R2)k-OCONH-R3[-NHCOO-(R4-O)n-R5]h}m ・・・(1)
(式中、R1はm価の有機基を表し、R2及びR4は互いに同一でも異なってもよい2価の有機基を表し、R3はウレタン結合を有していてもよいh価の有機基を表し、R5は1価の有機基を表し、k及びnは括弧内の構造の繰返し単位数であって各々独立に0~1000の整数であり、hは1以上の整数であり、mは1以上の整数である。)
で表されるものの1種以上、及び/又は、
(c-2)モノヒドロキシ化合物と、ポリオキシアルキレングリコール化合物と、モノグリセリルエーテル化合物と、ポリイソシアネート化合物とを含むモノマー成分を反応させて得られるものの1種以上、
が好ましく用いられる。
これらの疎水変性ポリウレタンとしては、分子の末端に疎水性基を有し、分子の骨格部分が親水性部位を有している、分子末端が疎水変性されたものが好ましく用いられる。
以下、上記(c-1)の疎水変性ポリウレタン及び(c-2)の疎水変性ポリウレタンについて詳説する。
(c-1)の疎水変性ポリウレタンは、下記一般式(1)
R1-{(O-R2)k-OCONH-R3[-NHCOO-(R4-O)n-R5]h}m ・・・(1)
(式中、R1はm価の有機基を表し、R2及びR4は互いに同一でも異なってもよい2価の有機基を表し、R3はウレタン結合を有していてもよいh価の有機基を表し、R5は1価の有機基を表し、k及びnは括弧内の構造の繰返し単位数であって各々独立に0~1000の整数であり、hは1以上の整数であり、mは1以上の整数である。)
で表されるものの1種以上である。
式:R1-[(O-R2)k-OH]mで表されるポリエーテルポリオールの重量平均分子量は、500~100,000の範囲内であり、好ましくは1,000~50,000の範囲内である。
R5は、炭素数6~40、好ましくは8~36、より好ましくは12~24の有機基である疎水性基であることが好ましい。有機基としては、フッ素原子を有していてもよい炭化水素基であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基、シクロアルケニル基等である。
本発明においては、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/ヘキサメチレンジイソシアネート)コポリマー(ADEKA社製商品名アデカノールGT-700、GT-730)を用いることが特に好ましい。
(c-2)の疎水変性ポリウレタンは、式:HO-(R6-O)p-R7(式中、R6は2価の有機基を表し、R7は1価の有機基を表し、pは括弧内の構造の繰返し単位数であって0~1000の整数であり、R6が複数ある場合には互いに同一でも異なってもよい。)で表されるモノヒドロキシ化合物と、式:HO-(R8-O)q-H(式中、R8は2価の有機基を表し、qは括弧内の構造の繰返し単位数であって2~1000の整数であり、R8が複数ある場合には互いに同一でも異なってもよい。)で表されるポリオキシアルキレングリコール化合物と、式:HO-CH2-CH(OH)-CH2-O-R9(式中、R9は1価の有機基を表す。)で表されるモノグリセリルエーテル化合物と、式:R10-(NCO)r(式中、R10はr価の有機基を表し、rは1以上の整数である。)で表されるポリイソシアネート化合物とを 含むモノマー成分を反応させて得られるものの1種以上である 。
疎水変性ポリウレタンの含有量が水性美爪料組成物全体に対して1.5質量%を超えると、水性美爪料組成物の粘度が高くなりすぎて塗り感が悪化する。
本発明の水性美爪料組成物において使用されるカルボキシビニルポリマーは、カルボキシル基を有する水溶性のビニルポリマーであり、例えば、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を主鎖として、アリルショ糖やペンタエリスリトールのアリルエーテル等による架橋構造を有するポリマーである。
カルボキシビニルポリマーの含有量が水性美爪料組成物全体に対して0.001質量%未満であったり又は5質量%を超えると、水性美爪料組成物に浮遊物や沈殿物が発生するおそれがある。
本発明の水性美爪料組成物には、目的とする色調、塗り感、成膜性、光沢、レベリング性、沈降防止性等に応じて、さらに各種の成分を含むことができる。
このような成分としては、塗膜形成剤、ポリマーポリオール、着色剤(着色顔料、光輝顔料、染料、蛍光顔料、着色樹脂粒子等)、溶剤、成膜助剤・可塑剤、界面活性剤、増粘剤、湿潤剤、泡消剤、pH調整剤、防腐剤、その他の成分等の水性美爪料組成物の分野で通常使用されている添加剤があげられる。
本発明の水性美爪料組成物に含まれていてもよい塗膜形成剤としては、前記(A)アクリル樹脂系エマルジョン以外の成分であって、水性美爪料組成物において塗膜形成剤としての機能を発揮することができる成分であればいずれのものでも用いることができる。
塗膜形成剤の樹脂量の含有量が水性美爪料組成物全体に対して40質量%を超えると、水性美爪料組成物の粘度が高くなり塗り感等が悪化する可能性がある。
本発明の水性美爪料組成物に含まれていてもよいポリマーポリオールとしては、任意のポリマーポリオールを用いることができる。
縮合型ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,4-ヘキサンジメタノール、ダイマー酸ジオール、ポリエチレングリコール等のポリオール化合物と、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸等の有機多塩基酸との縮合反応によって得られたものがあげられる。
付加重合ポリエステルポリオールとしては、ポリカプロラクトンがあげられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、ポリオールの直接ホスゲン化、ジフェニルカーボネートによるエステル交換法等によって合成されたものがあげられる。
本発明の水性美爪料組成物において使用してもよいポリマーポリオールの含有量は、特に制限されず、水性美爪料組成物に付与すべき特性等に応じて適宜設定すればよい。ポリマーポリオールの含有量としては、例えば、水性美爪料組成物全体に対して0~40質量%となる量であり、好ましくは0.1~40質量%、より好ましくは2~15質量%である。
本発明の水性美爪料組成物に含まれていてもよい着色剤としては、水性美爪料組成物を着色することができる成分であればいずれのものでも用いることができる。
これらのうち、顔料や着色樹脂粒子等の粒子は、シランカップリング剤、樹脂、顔料誘導体等の表面処理剤で表面処理されたものであってもよく、表面処理されていないものであってもよい。
無機着色顔料としては、例えば、酸化チタン、ベンガラ、グンジョウ、カーボンブラック、鉄黒、酸化亜鉛、亜鉛黄、鉄黄、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等が使用されるが、これらに限定されるものではない。
着色樹脂粒子としては、前記着色顔料、光輝顔料、蛍光顔料、染料等の1種以上と樹脂との混合物の微粒子であり、樹脂としては、ポリオレフィン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の樹脂を用いることができる。
着色剤の含有量が水性美爪料組成物全体に対して10質量%を超えると、光沢を損なう可能性がある。
本発明の水性美爪料組成物に含まれていてもよい溶剤としては、水性美爪料組成物において成膜助剤としての機能を発揮することができる成分であればいずれのものでも用いることができる。
本発明の水性美爪料組成物において使用してもよい水溶性有機溶剤の含有量は、特に制限されず、水性美爪料組成物に付与すべき特性等に応じて適宜設定すればよい。水溶性有機溶剤の含有量としては、例えば、水性美爪料組成物全体に対して0~20質量%であり、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1~3質量%である。
水溶性有機溶剤の含有量が水性美爪料組成物全体に対して20質量%を超えると、水性美爪料組成物の粘度が低くなり塗り感等が悪化したり、塗布後の水性美爪料組成物にタック性が現れる可能性がある。
本発明の水性美爪料組成物に含まれていてもよい成膜助剤・可塑剤としては、水性美爪料組成物において成膜助剤・可塑剤としての機能を発揮することができる成分であって、前記1,2-オクタンジオール以外のものであればいずれのものでも用いることができる。
前記成膜助剤・可塑剤の含有量が水性美爪料組成物全体に対して7質量%を超えると、水性美爪料組成物の粘度が高くなりすぎて塗り感等が悪化する可能性がある。
本発明の水性美爪料組成物に含まれていてもよい界面活性剤としては、水性美爪料組成物において界面活性剤としての機能や顔料分散剤としての機能を発揮することができる成分であればいずれのものでも用いることができる。
特に好ましいものは、POE(20)ヤシ油脂肪酸ソルビタン(ポリオキシエチレン(20)ヤシ油脂肪酸ソルビタンエステル)、三洋化成工業社製商品名イオネットS-20や同イオネットT-20C(ヤシ油脂肪酸ソルビタン)の1種以上である。
界面活性剤の含有量が水性美爪料組成物全体に対して2質量%を超えると、水性美爪料組成物の耐水性が悪化する可能性がある。
本発明の水性美爪料組成物に含まれていてもよい増粘剤としては、水性美爪料組成物において増粘剤としての機能を発揮することができる成分であって、前記(C)疎水変性ポリウレタン及び前記(D)カルボキシビニルポリマー以外の増粘剤であればいずれのものでも用いることができる。
前記増粘剤の含有量が水性美爪料組成物全体に対して2質量%を超えると、水性美爪料組成物の粘度が高くなりすぎて塗り感等が悪化する可能性がある。
本発明の水性美爪料組成物に含まれていてもよい湿潤剤としては、水性美爪料組成物において湿潤剤としての機能を発揮することができる成分であればいずれのものでも用いることができる。
湿潤剤の含有量が水性美爪料組成物全体に対して15質量%を超えると、水性美爪料組成物にタック性が現れる可能性がある。
本発明の水性美爪料組成物に含まれていてもよい消泡剤としては、水性美爪料組成物において消泡剤としての機能を発揮することができる成分であればいずれのものでも用いることができる。
消泡剤の含有量が水性美爪料組成物全体に対して0.1質量%を超えると、塗布後の水性美爪料組成物にピンホールが表れる可能性がある。
本発明の水性美爪料組成物に含まれていてもよいpH調整剤としては、水性美爪料組成物においてpH調整剤としての機能を発揮することができる成分であればいずれのものでも用いることができる。
なお、本発明の水性美爪料組成物において、塗布・乾燥した後に塗膜中に残存するpH調整剤を用いた場合、水性美爪料組成物塗膜の耐久性に問題が生じる可能性があるが、温水中に浸漬することで水性美爪料組成物塗膜の剥離を促進させることが可能となる
pH調整剤の含有量が水性美爪料組成物全体に対して2質量%を超えると、水性美爪料組成物の粘度が高くなりすぎて塗り感等が悪化する場合がある。
なお、水性美爪料組成物のpHが6未満となるとメイクオフ性に優れないおそれがあり、一方、pH9を超えると皮膚刺激性が生じるとともに耐冷水性や乾燥性が悪化する恐れがある。
本発明の水性美爪料組成物に含まれていてもよい防腐剤としては、水性美爪料組成物において防腐剤としての機能を発揮することができる成分であればいずれのものでも用いることができる。
防腐剤の含有量が水性美爪料組成物全体に対して1質量%を超えると、化粧品の添加基準を超えることとなる。
本発明の水性美爪料組成物には、塗り感、成膜性、光沢、レベリング、粘度、使用性、塗膜の耐久性等に悪影響を与えない範囲で、上記の各成分以外にも、各種の添加剤を配合することができる。
そのような添加剤としては、例えば、香料、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、充填剤、表面張力調整剤、難燃剤、酸化防止剤、イオン吸着体、低応力化剤、抗菌剤、可撓性付与剤、ワックス類、ハロゲントラップ剤、濡れ改良剤等の、これまでに慣用されている各種の添加剤の1種以上を配合することができる。
また、水性美爪料組成物に配合することができる各種の装飾材料等を配合することも可能である。
本発明の水性美爪料組成物は、使用者自身の爪の表面に、必要に応じてサンディングを施した後、さらに必要に応じて下塗りをした後に、筆や刷毛を用いる等の公知の手段によって爪表面に塗布することができる。
もちろん、爪表面に本発明の水性美爪料組成物を塗布後、乾燥前に小さな飾りや粉体等を塗膜表面に付着させることも可能である。
爪に塗布した後、自然乾燥させたり、赤外線等を当てたりして加熱乾燥させることができる。
被覆される爪は、人の手足の爪のいずれでもよく、犬や猫等の動物の爪でもよい。また、マネキン等の人形の爪部に用いることも可能である。
(成膜性)
1.塩化ビニル樹脂板に、100μmドクター型アプリケータを用いて、12cm/sの速度で各水性美爪料組成物を塗布する。
2.乾燥後、塗膜表面を目視で観察する。
○:塗膜がなめらかで透明である。
△:塗膜に小さいひび割れがある。
×:塗膜にひび割れがあり、塗膜全体が白濁して見える。
1.塩化ビニル樹脂板に、100μmドクター型アプリケータを用いて、12cm/sの速度で各水性美爪料組成物を塗布する。
2.乾燥後、HORIBAハンディ光沢計グロスチェッカーIG-310にて光沢度を測定する。
○:光沢度70以上
△:光沢度50以上70未満
×:光沢度50未満
1.爪に、各水性美爪料組成物を一般的な美爪料組成物用の筆で適量塗り広げる。
2.乾燥後、塗膜表面を目視で観察する。
○:塗膜がなだらかで筆跡が見えない。
△:塗膜に大きな波が見える。
×:塗膜に細かな波が見える。
1.ナイロン板に各水性美爪料組成物を30μl取る。
2.一般的な美爪料組成物用の筆 で、一辺が1.5cmの正方形の中を縦に4回、横に4回、再度縦に4回塗り広げる。
3.塗布後、一晩以上室温で乾燥させる。
4.乾燥後の塗膜のレベリング具合を評価する。
○:塗膜がなだらかで筆跡が見えない。
△:塗膜に大きな波が見える。
×:塗膜に細かな波が見える。
1.各水性美爪料組成物を透明なサンプル瓶に25℃の雰囲気下で充填する 。
2.50℃の雰囲気下で2週間保存する。
3.外観を目視で観察し評価する。
○:50℃で沈殿が発生しない。
△:25℃では沈殿が発生しないが、50℃では沈殿が発生する。
×:25℃で沈殿が発生する。
アクリル樹脂系エマルジョンを24.975質量部(樹脂分の含有量として)、1,2-オクタンジオールを2.000質量部、疎水変性ポリウレタンを0.225質量部、カルボキシビニルポリマーを0.150質量部、酸化チタンを5.500質量部、POEヤシ油脂肪酸ソルビタンを0.400質量部、ヒドロキシエチルセルロースを0.025質量部、フェノキシエタノールを0.500質量部、エタノールを2.500質量部、シメチコンを0.010質量部、プロピレングリコールを2.000質量部、水を水性美爪料組成物全体で100質量部となる量(残量)、となる割合で各成分を加えて水性美爪料組成物を得た。得られた水性美爪料組成物について、成膜性、光沢、塗り感、レベリング及び沈降について評価した。
結果を表1に示す。
表1に示す成分を、表1に示す質量部となる割合で各成分を加えて水性美爪料組成物を得た。得られた水性美爪料組成物について、成膜性、光沢、塗り感、レベリング及び沈降について評価し、結果を表1に併せて示す。
・アクリル樹脂系エマルジョン1:
ジュリマーET-410(東亞合成社製商品名)とTOCRYL BCX-6202 (トーヨーケム社製商品名)を、樹脂分の質量比でジュリマーET-410:TOCRYL BCX-6202=64.69:12.20の比率でブレンドしたもの(表1中のアクリル樹脂系エマルジョンの配合量は樹脂分の含有量)。
ビニゾール1050N(大同化成工業社製商品名)
アルミニウムフレークを基材にし、フレーク表層にシリカ層を被覆し、更に金属粒子をメッキしたメタリック顔料(東洋アルミニウム社製商品名コスミカラー)
(PEG-240/デシルテトラデセス-20/ヘキサメチレンジイソシアネート)コポリマー(ADEKA社製商品名アデカノールGT-730)
カーボポール940(Lubrizol Advanced Materials社製商品名)
ヤシ油脂肪酸のポリエチレンオキサイド20モル付加ソルビタンエステル
ポリジメチルポリシロキサンとシリカの混合物(信越化学工業社製商品名KM-72)
これに対して、カルボキシビニルポリマーに代えてアクリル樹脂系増粘剤であるアクリル樹脂系エマルジョン2を含む比較例1の水性美爪料組成物、カルボキシビニルポリマーを含まない比較例2の水性美爪料組成物及び疎水変性ポリウレタンを含まない比較例3の水性美爪料組成物は、成膜性、光沢、塗り感及びレベリングの評価に問題はないが、いずれも顔料の沈降が生じてしまう。
疎水変性ポリウレタンを含まずカルボキシビニルポリマーを増量した比較例4の水性美爪料組成物は、成膜性の評価に問題がなく、顔料の沈降が生じないものの、塗り感及びレベリングの評価に問題がある。
カルボキシビニルポリマーを含まず疎水変性ポリウレタンを増量した比較例5の水性美爪料組成物は、成膜性、光沢、塗り感及びレベリングの評価に問題はないが、顔料の沈降が生じてしまう。
これら実施例及び比較例の記載からみて、疎水変性ポリウレタンとカルボキシビニルポリマーの両者を併用することで、成膜性、光沢、塗り感及びレベリングのすべての点で優れ、顔料の沈降が生じない水性美爪料組成物を得ることができることがわかる。
Claims (5)
- 下記(A)~(D);
(A)アクリル樹脂系エマルジョン
(B)1,2-オクタンジオール
(C)疎水変性ポリウレタン
(D)カルボキシビニルポリマー
を含有し、
水性美爪料組成物全体に対して、
(A)アクリル樹脂系エマルジョンの含有量が10~60質量%、
(B)1,2-オクタンジオールの含有量が0.05~10質量%、
(C)疎水変性ポリウレタンの含有量が0.015~1.5質量%、
(D)カルボキシビニルポリマーの含有量が0.001~5質量%、
である、水性美爪料組成物。 - 前記(A)アクリル樹脂系エマルジョンが、80nm以下の粒子径においてピークを有する粒子径分布を示し、かつガラス転移温度が20~45℃のアクリル樹脂系エマルジョンである、請求項1に記載の水性美爪料組成物。
- 前記(C)疎水変性ポリウレタンが、会合性増粘剤である、請求項1又は2に記載の水性美爪料組成物。
- 前記(C)疎水変性ポリウレタンが、
(c-1)
下記一般式(1)
R1-{(O-R2)k-OCONH-R3[-NHCOO-(R4-O)n-R5]h}m
・・・(1)
(式中、R1はm価の有機基を表し、R2及びR4は互いに同一でも異なってもよい2価の有機基を表し、R3はウレタン結合を有していてもよいh価の有機基を表し、R5は1価の有機基を表し、k及びnは括弧内の構造の繰返し単位数であって各々独立に0~1000の整数であり、hは1以上の整数であり、mは1以上の整数である。)
で表されるものの1種以上、及び/又は、
(c-2)
式:HO-(R6-O)p-R7(式中、R6は2価の有機基を表し、R7は1価の有機基を表し、pは括弧内の構造の繰返し単位数であって0~1000の整数であり、R6が複数ある場合には互いに同一でも異なってもよい。)で表されるモノヒドロキシ化合物と、式:HO-(R8-O)q-H(式中、R8は2価の有機基を表し、qは括弧内の構造の繰返し単位数であって2~1000の整数であり、R8が複数ある場合には互いに同一でも異なってもよい。)で表されるポリオキシアルキレングリコール化合物と、式:HO-CH2-CH(OH)-CH2-O-R9(式中、R9は1価の有機基を表す。)で表されるモノグリセリルエーテル化合物と、式:R10-(NCO)r(式中、R10はr価の有機基を表し、rは1以上の整数である。)で表されるポリイソシアネート化合物とを含むモノマー成分を反応させて得られるものの1種以上、
である、請求項1~3のいずれかに記載の水性美爪料組成物。 - 前記(C)疎水変性ポリウレタンが、
(PEG-240/デシルテトラデセス-20/ヘキサメチレンジイソシアネート)コポリマー、及び/又は、(PEG-240/テトラデシルオクタデセス-100/エチルヘキシルグリセリン/ヘキサメチレンジイソシアネート)コポリマー、である、請求項1~4のいずれかに記載の水性美爪料組成物。
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