JP7176892B2 - マーキングフィルム - Google Patents
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Description
白色基材11は、文字や画像を形成するため白色であることが好ましく、通常、樹脂と、白色顔料とを含む。
粘着剤層12は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位およびカルボキシル基含有単量体由来の構成単位を含む水分散型アクリル系共重合体、カーボンブラック、酸化チタンならびにカルボジイミド系架橋剤を含む粘着剤組成物から形成されてなる。
水分散型アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、カルボキシル基含有単量体、および必要に応じてこれらと共重合可能な単量体(以下、共重合性単量体とも称する)を用いることにより形成される。すなわち、水分散型アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位、カルボキシル基含有単量体由来の構成単位、および必要に応じて上記単量体と共重合可能な単量体由来の構成単位を含む。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基が好ましくは炭素数1~24、より好ましくは炭素数1~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、粘着性能の観点から、(メタ)アクリル酸ブチルおよび/または(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルが好ましく、耐候性(屋外環境曝露後の再剥離性)のさらなる向上の観点から、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルがより好ましい。
カルボキシル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。
共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの水酸基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N,N-ジメチルアクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、耐候性(屋外環境曝露後の再剥離性)のさらなる向上の観点から、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルが好ましい。
水分散型アクリル系共重合体の製造方法としては、例えば、上述の単量体を含む単量体混合物に、乳化剤および重合開始剤を添加し、乳化重合する方法が挙げられる。
(1)単量体混合物、乳化剤、水等の全量を仕込み、昇温し、水に溶かした重合開始剤を全量滴下または分割添加して、重合する。
(2)反応容器内に水、乳化剤、単量体混合物の一部を仕込み、昇温した後、水に溶かした重合開始剤を滴下または分割添加して重合反応を進行させた後、残りの単量体混合物を全量滴下または分割添加して重合を継続する。
(3)反応容器内に水に溶かした重合開始剤を仕込んでおき昇温した後、単量体混合物、乳化剤、および水からなる乳化液を全量滴下または分割添加して重合する。
カーボンブラックとしては、特に制限されず、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸化チタンは、ルチル型、アナターゼ型のいずれであってもよいが、ルチル型であることが好ましい。
カルボジイミド系架橋剤としては、例えば、ポリ(4,4’-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニルカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニルカルボジイミド)等の芳香族ポリカルボジイミド;ポリ(ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)等の脂環族ポリカルボジイミド、ポリ(ジイソプロピルカルボジイミド)等の脂肪族ポリカルボジイミド等が挙げられる。
粘着剤組成物には、上記成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、フィラー、増粘剤、樹脂、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤等の添加剤を添加してもよい。
粘着剤組成物の製造方法は、特に制限されず、例えば、上記方法にて製造した水分散型アクリル系共重合体の分散液に、カーボンブラック、酸化チタンおよびカルボジイミド系架橋剤、および必要に応じて添加剤を、一括でまたは順次に添加し、撹拌混合することで得ることができる。この際、添加順序は特に制限されない。また、撹拌は、スターラー等の公知の手段を用いて行うことができる。
粘着剤層12の形成方法は特に限定されないが、粘着剤組成物を剥離ライナー13上に塗布する方法が採られる。塗布方法は特に限定されず、例えばロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スロットダイコーター、リップコーター、グラビアコーターなどの公知の塗布装置を用いて塗布することができる。粘着剤組成物の塗布厚としては、通常10~100μm、好ましくは15~50μmである。粘着剤組成物を剥離ライナー13上に塗布後、乾燥処理を行うことによって、粘着剤層12が形成される。この際の乾燥条件としては特に限定されず、通常60~150℃にて10~300秒の条件で行われる。
剥離ライナー13としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルム;上質紙、グラシン紙、クラフト紙などの紙が挙げられる。
本実施形態に係るマーキングフィルム10の製造方法は、特に制限されないが、例えば、上述した方法により粘着剤層12および剥離ライナー13の積層体を作製し、該粘着剤層12と白色基材11を貼り合わせる方法が挙げられる。
本発明の一実施形態に係るマーキングフィルム10の白色基材11の粘着剤層12と接していない面には、必要に応じてインク受理層等を介して、インクジェット印刷等の方法により色や模様を施してもよい。かようなマーキングフィルムについて、剥離ライナー13を除去し、露出した粘着剤層12面を塩化ビニル系被着体の表面に貼付することで、被着体の色や模様を隠蔽しつつ、白色基材11に施された色や模様を被着体上に提示することができる。さらに、このマーキングフィルムが貼付された被着体は、屋外環境に一定期間曝露されても、マーキングフィルムを被着体から容易に剥離することができる。ゆえに、本発明の一実施形態に係るマーキングフィルムは、屋外で使用される塩化ビニル系被着体(看板、広告、車両、建築物、交通標識等)を一定期間装飾する目的で、好適に使用することができる。
[実施例1]
(水分散型アクリル系共重合体の合成)
攪拌機、温度計、および滴下ロートを備えた容器にアクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)97.2質量部、アクリル酸(AA)2.0質量部、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)0.8質量部を仕込み、これにポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩(花王株式会社製、ラテムルE-118B)1.5質量部、アリルアルキルスルホコハク酸エステル塩(三洋化成株式会社製、エレミノールJS-2)2.5質量部とイオン交換水56質量部を加え、室温下撹拌して単量体混合物の乳化物を予め調製した。別途、攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管、および滴下ロートを備えた反応装置にイオン交換水28質量部を仕込み、窒素を封入して内温80℃まで昇温し、その温度に保ちながら、10質量%の過硫酸アンモニウム水溶液2質量部を仕込んだ。次に、予め調製した単量体混合物の乳化物を滴下ロートに移し、4時間かけて滴下した。これと併行して5質量%過硫酸アンモニウム水溶液4質量部を滴下して内温80℃で乳化重合を行った。滴下終了後、80℃で4時間熟成し、平均粒子径250nmを有するアクリル系共重合体エマルションを得た。その後、室温まで冷却し、アンモニア水で中和した後に水を加えて、固形分濃度50質量%、pH8.0の水分散型アクリル系共重合体の分散液を得た。
上記調製した水分散型アクリル系共重合体分散液に、水分散型アクリル系共重合体100質量部(固形分)に対して、カーボンブラック水分散体(大日精化工業株式会社製、MF-5630Black(製品名))0.8質量部(固形分換算)、酸化チタン水分散体(大日精化工業株式会社製、MF-5765White(製品名))0.3質量部(固形分換算)、カルボジイミド系架橋剤としてカルボジライト(登録商標)SV-02(日清紡ケミカル株式会社製)を2.4質量部(固形分換算)となるよう、各成分を添加し、粘着剤組成物を調製した。
剥離ライナーの剥離処理面(剥離層)上に、ナイフコーターを用いて、乾燥後の厚みが30μmになるよう上記の粘着剤組成物を塗工した後、90℃にて2分間乾燥し、粘着剤層を形成した。次いで、白色基材として厚さ80μmの白色ポリ塩化ビニルフィルム(平均重合度1300の塩化ビニル樹脂100質量部、アジピン酸系可塑剤(株式会社ADEKA製、アデカサイザーPN-230)35質量部、Ba-Zn系安定剤3質量部、酸化チタン(石原産業株式会社製、TIPAQUE R-980、平均粒子径240nm)30質量部からなる組成物を混練し、カレンダー法により製膜したもの)を粘着剤層と貼り合せて、マーキングフィルムを作製した。
実施例1において、カルボジイミド系架橋剤の代わりにエポキシ系架橋剤(ナガセケムテックス株式会社製、デナコールEX-313(製品名))0.5質量部(固形分換算)を添加し、粘着剤組成物を調製したこと以外は実施例1と同様にして、マーキングフィルムを作製した。
実施例1において、水分散型アクリル系共重合体の代わりに、以下の方法で合成した溶剤型アクリル系共重合体を使用して粘着剤組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、マーキングフィルムを作製した。
攪拌機、温度計、および滴下ロートを備えた容器にアクリル酸-2-エチルヘキシル(2EHA)97.2質量部、アクリル酸(AA)2.0質量部、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)0.8質量部、過酸化物系開始剤およびトルエン(溶剤)を仕込み、窒素置換を行いながら加温し、重合を行って、溶剤型アクリル系共重合体を得た(重量平均分子量500,000)。
上記調製した溶剤型アクリル系共重合体に、アクリル系共重合体100質量部(固形分)に対して、カーボンブラック溶液(大日精化工業株式会社製、NX-591ブラック(製品名))0.8質量部(固形分換算)、酸化チタン溶液(大日精化工業株式会社製、NX-501ホワイト(製品名))0.3質量部(固形分換算)、カルボジイミド系架橋剤としてカルボジライト(登録商標)Elastostab H01(日清紡ケミカル株式会社製)を2.4質量部(固形分換算)となるよう、各成分を添加し、粘着剤組成物を調製した。
実施例1の粘着剤組成物の調製において、カーボンブラックおよび酸化チタンの代わりにアルミニウム片(東洋アルミニウム株式会社製、リーフィングアルペースト0300M(製品名)、平均粒子径(D50)16μm)を水分散型アクリル系共重合体100質量部(固形分)に対して、0.6質量部(固形分換算)添加したところ、アルミニウム片が分散せず、沈殿したため、均一な粘着剤組成物を作製することができなかった。得られた粘着剤組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、マーキングフィルムを作製した。
[耐候性(屋外環境曝露後の再剥離性)]
実施例および比較例のマーキングフィルムから剥離ライナーを除去し、粘着剤層面を被着体であるポリ塩化ビニルフィルム(平均重合度1300の塩化ビニル樹脂100質量部に対して可塑剤としてフタル酸ジオクチルを30質量部含有)に貼付して24時間静置した。その後、サンシャインカーボン促進耐候性試験機(スガ試験機株式会社製、サンシャインウェザーメーター S80)を用い、ブラックパネル温度計の示す温度63℃±3℃、相対湿度50%±5%の試験条件にて、連続1000時間の耐候性試験を行った。耐候性試験中、マーキングフィルムに対し、120分照射中に、18分間水噴射を行った。耐候性試験後、マーキングフィルムを被着体から剥離して、被着体表面を目視で観察し、下記基準で判定した。
×:被着体表面に糊残りが認められる。
JIS K 5600-4-1:1999に準拠し、実施例および比較例のマーキングフィルムの隠蔽率を測定した。具体的には、隠蔽率試験紙の黒部と白部にまたがるようにマーキングフィルムを貼付し、反射分光濃度計(エックスライト社製、X-Rite939)を用いて、黒部上の三刺激値YB及び白部上の三刺激値YWを測定し、YB/YWの百分率を求めた。被着体の色や文字・画像を隠蔽するためには、隠蔽率99.5%以上であることが好ましい。
×:隠蔽率が99.5%未満である。
11 白色基材、
12 粘着剤層、
13 剥離ライナー。
Claims (5)
- 白色基材と、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位およびカルボキシル基含有単量体由来の構成単位を含む水分散型アクリル系共重合体、カーボンブラック、酸化チタンならびにカルボジイミド系架橋剤を含む粘着剤組成物から形成されてなる粘着剤層と、
を含み、
前記カーボンブラックおよび前記酸化チタンの合計含有量が前記水分散型アクリル系共重合体100質量部に対して、2質量部以下であり、前記カーボンブラックおよび前記酸化チタンの質量比がカーボンブラック:酸化チタン=55:45~80:20であり、
可塑剤を含む塩化ビニル系マーキングフィルムが貼付された被着体の前記塩化ビニル系マーキングフィルム上に貼付する、マーキングフィルム。 - 前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルが(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルである、請求項1に記載のマーキングフィルム。
- 前記カルボキシル基含有単量体が(メタ)アクリル酸である、請求項1または2に記載のマーキングフィルム。
- 前記白色基材を構成する樹脂が塩化ビニル系樹脂である、請求項1~3のいずれか1項に記載のマーキングフィルム。
- 前記粘着剤層中の前記カーボンブラックおよび酸化チタンの合計含有量が0.1~10質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載のマーキングフィルム。
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