JP2020033422A - マーキングフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】隠蔽性に優れ、かつ塩化ビニル系被着体に貼付して屋外環境に曝露した後、被着体から剥離する際に被着体表面の糊残りが少ないマーキングフィルムを提供する。【解決手段】白色基材11と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位およびカルボキシル基含有単量体由来の構成単位を含む水分散型アクリル系共重合体、カーボンブラック、酸化チタンならびにカルボジイミド系架橋剤を含む粘着剤組成物から形成されてなる粘着剤層12と、を含むマーキングフィルム10。【選択図】図1

Description

本発明は、マーキングフィルムに関する。
屋外看板、屋外サイン、屋外広告、車両広告等の目的で、マーキングフィルムとよばれる粘着フィルムが使用されている。マーキングフィルムは、基材フィルムの片面に粘着剤層が積層されてなる構成を有し、該粘着剤層面を看板、建物、車両等に貼り合わせることで、基材フィルムに施された色や文字・画像等により、広告宣伝効果をもたらすことができる。
マーキングフィルムは、イベント等が開催される期間に、看板、サイン、広告等を変更したり、隠したりするために、既存のマーキングフィルムの上に貼付されることがある。このような場合、既存のマーキングフィルムの色や文字・画像が透けて見えないように、マーキングフィルムには隠蔽性が要求される。また、イベント等が終了した後には、マーキングフィルムを剥がして、既存のマーキングフィルムに戻すため、粘着剤(糊)が残らないことが要求される。
特許文献1には、着色フィルムに、溶剤型粘着剤およびアルミニウム片を含む粘着剤層が積層された装飾用粘着フィルムが開示されている。
特開2003−183602号公報
マーキングフィルムが適用される被着体として、主に塩化ビニル系マーキングフィルムが貼付された被着体(以下、「塩化ビニル系被着体」とも称する)が選択されることがある。しかし、特許文献1に記載されるような装飾用粘着フィルムを、塩化ビニル系被着体に貼付して屋外環境に曝露すると、被着体から剥離する際に、被着体表面に糊残りが生じることが判明した。この場合には、被着体表面を洗浄して糊を除去する等、被着体の現状復帰に手間と時間を要する。
したがって、本発明の目的は、隠蔽性に優れ、かつ塩化ビニル系被着体に貼付して屋外環境に曝露した後、被着体から剥離する際に被着体表面の糊残りが少ないマーキングフィルムを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係るマーキングフィルムは、白色基材と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位およびカルボキシル基含有単量体由来の構成単位を含む水分散型アクリル系共重合体、カーボンブラック、酸化チタンならびにカルボジイミド系架橋剤を含む粘着剤組成物から形成されてなる粘着剤層と、を含むマーキングフィルムである。
本発明によれば、隠蔽性に優れ、かつ塩化ビニル系被着体に貼付して屋外環境に曝露した後、被着体から剥離する際に被着体表面の糊残りが少ないマーキングフィルムが得られる。
本発明の一実施形態に係るマーキングフィルムの断面模式図である。
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等は、室温(20〜25℃)/相対湿度45〜55%RHの条件で測定する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、「アクリルまたはメタクリル」を指す。
本発明の一実施形態に係るマーキングフィルムは、白色基材と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位およびカルボキシル基含有単量体由来の構成単位を含む水分散型アクリル系共重合体、カーボンブラック、酸化チタンならびにカルボジイミド系架橋剤を含む粘着剤組成物から形成されてなる粘着剤層と、を含む。本発明の一実施形態に係るマーキングフィルムは、隠蔽性に優れ、かつ塩化ビニル系被着体に貼付して屋外環境に曝露した後、被着体から剥離する際に被着体表面の糊残りが少ない(すなわち、屋外環境曝露後の再剥離性に優れる)。
看板、広告、車両、建築物、交通標識、包装材料等の被着体を装飾する装飾用粘着フィルムにおいて、被着体の色や模様を隠ぺいする目的で、特許文献1に記載されるような溶剤型粘着剤および灰色を呈するアルミニウム片を含む粘着剤層を有する装飾用粘着フィルムが従来使用されていた。また、かような被着体として、主に塩化ビニル系樹脂で構成される被着体(塩化ビニル系被着体)が汎用されている。しかし、従来の装飾用粘着フィルムを、塩化ビニル系被着体に貼付し、屋外環境に曝露すると、被着体から剥離する際に、被着体表面に糊残りが生じることが判明した。この原因として、屋外環境に曝露することで、粘着剤層の組成や構造に何らかの変化が生じ、粘着力が上昇していることが推測された。
そこで、本発明者らは、粘着剤層を形成する粘着剤組成物について鋭意検討した。その結果、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位およびカルボキシル基含有単量体由来の構成単位を含む水分散型アクリル系共重合体(以下、単に「水分散型アクリル系共重合体」または「共重合体」とも称する)と、カルボジイミド系架橋剤とを併用することで、上述したような屋外環境曝露後の被着体表面の糊残りが改善されることを見出した。水分散型アクリル系共重合体は、粒子であり、この粒子同士が融着することで、隙間の少ない粘着剤層が形成されると考えられる。このため、マーキングフィルムの粘着剤層面を塩化ビニル系被着体に貼付した後、塩化ビニル系被着体に含まれる可塑剤が粘着剤層に移行しにくいと考えられる。さらに、水分散型アクリル系共重合体に含まれるカルボキシル基と、カルボジイミド架橋剤に含まれるカルボジイミド基とが反応すると、屋外環境下でも分解しにくい架橋構造が形成されると考えられる。よって、水分散型アクリル系共重合体とカルボジイミド系架橋剤とを組み合わせて形成される粘着剤層は、屋外環境に曝露しても、粘着剤層の組成や構造が変化しにくく、粘着剤層の凝集破壊が抑えられる。ゆえに、本発明の一実施形態に係るマーキングフィルムは、塩化ビニル系被着体に貼付して屋外環境に曝露した後、被着体から剥離する際に、被着体表面に糊残りが生じにくいと考えられる。
しかし、上記の組み合わせに対し、隠蔽性成分であるアルミニウム片を配合して粘着剤層を形成したところ、アルミニウム片が分散せず、マーキングフィルムが所望の隠蔽性を発現できないという別の課題が生じた。そこで、本発明者らは、アルミニウム片に代わる隠蔽性成分について検討した。その結果、アルミニウム片の代わりに、黒色顔料であるカーボンブラックと、白色顔料である酸化チタンとを配合することで、所望の隠蔽性が得られることを見出した。カーボンブラックおよび酸化チタンは、水分散型アクリル系共重合体の分散媒に対して良く分散するため、粘着剤組成物中で沈降しにくい。また、カーボンブラックの他に酸化チタンを含むことによって灰色を呈するため、白色基材を通して粘着剤層が透けてみることがない。ゆえに、本発明の一実施形態に係るマーキングフィルムは、隠蔽性に優れると考えられる。
なお、上記メカニズムは推測によるものであり、本発明は上記メカニズムに何ら限定されるものではない。
以下の説明において、マーキングフィルムを、単に「フィルム」と称する場合がある。なお、「フィルム」の概念には、シートと称されるものが包含される。
図1は、本発明の一実施形態に係るマーキングフィルム10の断面概略図である。マーキングフィルム10は、白色基材11と、粘着剤層12と、剥離ライナー13と、をこの順で有する。剥離ライナー13は、粘着剤層12が被着体に貼付されるまで、粘着剤層12にごみなどの付着物が付着することを防止する。ゆえに、剥離ライナー13は、マーキングフィルム10を被着体に貼付する際に剥離される。このため、マーキングフィルム10は、剥離ライナー13を有していないものも包含される。なお、図1では、白色基材11および粘着剤層12が隣接して配置されているが、これらの層の間には他の層が存在していてもよい。また、図1では、白色基材11が最上層に配置されているが、白色基材11の上に、他の層(例えば、インク受理層、インク層等)がさらに設けられてもよい。
<白色基材11>
白色基材11は、文字や画像を形成するため白色であることが好ましく、通常、樹脂と、白色顔料とを含む。
白色基材11を構成する樹脂としては、特に制限されないが、三次曲面を有する被着体への追従性に優れ、かつインク受理層を設けずに直接印刷可能であることから、好ましくは塩化ビニル系樹脂である。
塩化ビニル系樹脂としては、ポリ塩化ビニル;エチレン−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−ハロゲン化オレフィン共重合体等の塩化ビニルを主体とする共重合体;ポリ塩化ビニルまたは塩化ビニル共重合体を主体とする共重合体と、その他の樹脂(例えば、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体、部分ケン化ポリビニルアルコールなど)とのブレンド物などが挙げられる。
ポリ塩化ビニルまたは塩化ビニルを主体とする共重合体は、塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法など常用のいかなる製造法によって得られたものでもよい。これらポリ塩化ビニル系材料は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、特に制限されないが、例えば300〜5000である。該平均重合度は、JIS K 6720−2:1999に準拠して算出される値である。
白色基材は、上記の塩化ビニル系樹脂に可塑剤が添加されたものであってもよい。塩化ビニル系樹脂に可塑剤を添加することで、柔軟性の高い白色基材が得られる。可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ジイソデシル等のフタル酸系可塑剤;アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル等のアジピン酸系可塑剤;アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシリル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸オクチルジフェニル、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸エステル、エポキシ化大豆油等が挙げられる。
また、低環境負荷の観点から、白色基材を構成する樹脂としては、オレフィン系、ウレタン系、アクリル系樹脂、ゴム成分を含有するアクリルポリオール系樹脂とポリイソシアナート化合物との反応により得られるアクリルウレタン系樹脂等を用いてもよい。さらに、例えばポリプロピレン系合成紙などの合成紙が基材の構成材料として用いられてもよい。
白色基材には、必要に応じて、安定剤、滑剤、充填剤、着色剤、加工助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難撚剤等を適宜に含有していてもよい。安定剤としては、例えば、Ba−Zn系、Cd−Ba系、Sn系等のものが用いられ、或いはこれらがエポキシ化大豆油、エポキシ樹脂等と併用されていてもよい。
白色基材に含まれうる白色顔料は、特に制限されず、酸化チタン等の公知の白色顔料が挙げられる。白色顔料が酸化チタンの場合、酸化チタンの平均一次粒径は、分散性や分散安定性の観点から、50〜700nmであることが好ましく、100〜500nmであることがより好ましく、200〜300nmであることがさらにより好ましい。酸化チタンの平均一次粒径は、レーザー回折散乱法により測定した体積基準のメジアン径である。
白色基材に含まれる白色顔料の含有量は、基材が白色を呈するように適宜設定されるが、例えば、15〜40質量%である。
白色基材の厚さは、用いる基材の種類によって適宜選択されるが、好ましくは10〜200μm、より好ましくは30〜150μm、さらにより好ましくは50〜100μmである。
白色基材は、単層であっても複層であってもよい。
白色基材の製膜方法について特に制限はなく、例えば、上記の樹脂に白色顔料を混練して、カレンダー法、キャスト法などの従来公知の方法で、製膜してもよい。
<粘着剤層12>
粘着剤層12は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位およびカルボキシル基含有単量体由来の構成単位を含む水分散型アクリル系共重合体、カーボンブラック、酸化チタンならびにカルボジイミド系架橋剤を含む粘着剤組成物から形成されてなる。
[水分散型アクリル系共重合体]
水分散型アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、カルボキシル基含有単量体、および必要に応じてこれらと共重合可能な単量体(以下、共重合性単量体とも称する)を用いることにより形成される。すなわち、水分散型アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位、カルボキシル基含有単量体由来の構成単位、および必要に応じて上記単量体と共重合可能な単量体由来の構成単位を含む。
≪(メタ)アクリル酸アルキルエステル≫
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基が好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、粘着性能の観点から、(メタ)アクリル酸ブチルおよび/または(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが好ましく、耐候性(屋外環境曝露後の再剥離性)のさらなる向上の観点から、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルがより好ましい。
被着体に対する密着性の観点から、共重合体中の(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位の含有量は、水分散型アクリル系共重合体の全構成単位の合計量に対して、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらにより好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上である。また、耐候性(屋外環境曝露後の再剥離性)のさらなる向上の観点から、共重合体中の(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位の含有量は、水分散型アクリル系共重合体の全構成単位の合計量に対して、好ましくは99.5質量%以下であり、より好ましくは99質量%以下であり、さらにより好ましくは98質量%以下である。当該値は、水分散型アクリル系共重合体を製造する際の単量体の合計質量に対する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの質量の割合と実質的に同等である。
≪カルボキシル基含有単量体≫
カルボキシル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。
耐候性(屋外環境曝露後の再剥離性)のさらなる向上の観点から、共重合体中のカルボキシル基含有単量体由来の構成単位の含有量は、水分散型アクリル系共重合体の全構成単位の合計量に対して、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上である。また、被着体に対する密着性の観点から、共重合体中のカルボキシル基含有単量体由来の構成単位の含有量は、水分散型アクリル系共重合体の全構成単位の合計量に対して、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、さらにより好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下である。当該値は、水分散型アクリル系共重合体を製造する際の単量体の合計質量に対するカルボキシル基含有単量体の質量の割合と実質的に同等である。
≪共重合性単量体≫
共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの水酸基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、耐候性(屋外環境曝露後の再剥離性)のさらなる向上の観点から、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。
共重合体中の共重合性単量体由来の構成単位の含有量は、水分散型アクリル系共重合体の全構成単位の合計量に対して、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、さらにより好ましくは1質量%以下である(下限値:0質量%)。当該値は、水分散型アクリル系共重合体を製造する際の単量体の合計質量に対する共重合性単量体の質量の割合と実質的に同等である。
(水分散型アクリル系共重合体の製造方法)
水分散型アクリル系共重合体の製造方法としては、例えば、上述の単量体を含む単量体混合物に、乳化剤および重合開始剤を添加し、乳化重合する方法が挙げられる。
なお、乳化重合において、重合安定性の観点から、単量体混合物は、乳化剤(または乳化剤の一部)を、単量体混合物に溶解しておくか、または、予めO/W型の乳化液の状態としておくことが好ましい。
乳化重合を行う際の手順としては、例えば、以下の(1)〜(3)の方法が挙げられる。
(1)単量体混合物、乳化剤、水等の全量を仕込み、昇温し、水に溶かした重合開始剤を全量滴下または分割添加して、重合する。
(2)反応容器内に水、乳化剤、単量体混合物の一部を仕込み、昇温した後、水に溶かした重合開始剤を滴下または分割添加して重合反応を進行させた後、残りの単量体混合物を全量滴下または分割添加して重合を継続する。
(3)反応容器内に水に溶かした重合開始剤を仕込んでおき昇温した後、単量体混合物、乳化剤、および水からなる乳化液を全量滴下または分割添加して重合する。
乳化剤としては、特に制限は無いが、水分散型アクリル系共重合体の分散安定性を向上させる観点から、アニオン系乳化剤またはノニオン系乳化剤が好ましく、耐候性(屋外環境曝露後の再剥離性)の向上の観点から、アニオン系乳化剤がより好ましい。
アニオン系乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩、アリルアルキルスルホコハク酸エステル塩等が挙げられる。また、ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。これらの乳化剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
乳化剤の添加量としては、乳化重合反応の安定性の観点、および、未反応の乳化剤が残存することによる物性低下を防ぐ観点から、単量体混合物100質量部に対して、好ましくは0.5〜12質量部、より好ましくは0.8〜8質量部、更に好ましくは1〜6質量部である。
なお、乳化剤は、単量体混合物に水を加えた溶液に直接添加してもよく、予め重合容器に添加しておいてもよく、またはそれらを併用してもよい。
重合開始剤としては、水溶性、油溶性のいずれであってもよく、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド等のアゾ系化合物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物等が挙げられ、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせや、過酸物とアスコルビン酸ナトリウムとの組み合わせ等からなるレドックス開始剤を用いてもよい。重合開始剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、重合安定性に優れているという観点から、過硫酸塩またはレドックス開始剤が好ましい。
重合開始剤の添加量としては、重合速度を速める観点から、単量体混合物100質量部に対して、好ましくは0.01〜6質量部、より好ましくは0.03〜4質量部、さらに好ましくは0.1〜2質量部である。
なお、重合開始剤は、予め反応容器内に加えておいてもよく、重合開始直前に加えてもよく、重合開始後に複数回に分けて加えてもよく、単量体混合物中に予め加えておいてもよく、該単量体混合物からなる乳化液を調整後、当該乳化液に加えてもよい。
また、乳化重合時に、公知の連鎖移動剤やpH緩衝剤をさらに添加してもよい。
乳化重合に際し、用いる水としては、イオン交換水が好ましい。水の使用量は、単量体混合物100質量部に対して、好ましくは30〜400質量部、より好ましくは35〜200質量部、更に好ましくは40〜150質量部である。
乳化重合により得られた水分散型アクリル系共重合体分散液に対して、さらに、アンモニア水、各種水溶性アミン、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液を添加して、pH5〜9(好ましくはpH6〜8.5)に調整することが好ましい。
水分散型アクリル系共重合体分散液の固形分濃度は、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは25〜70質量%、更に好ましくは45〜65質量%である。
水分散型アクリル系共重合体分散液の25℃における粘度は、好ましくは50〜12000mPa・s、より好ましくは100〜10000mPa・s、更に好ましくは200〜9000mPa・sである。本明細書において、粘度は、B型回転粘度計を用いて測定される値である。
水分散型アクリル系共重合体は、水にアクリル系共重合体が分散しているエマルション形状(粒子形状)を有する。この際、水分散型アクリル系共重合体の平均粒子径は、好ましくは50〜500nmであり、より好ましくは100〜300nmである。ここで、水分散型アクリル系共重合体の平均粒子径は、レーザー回折分散法により測定される体積基準のメジアン径である。
[カーボンブラック]
カーボンブラックとしては、特に制限されず、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの好ましい平均一次粒径は10〜500nmの範囲である。ここで、カーボンブラックの平均一次粒径は、1000個のカーボンブラック粒子を電子顕微鏡で観察して求めた算術平均径である。
カーボンブラックとしては、市販品を用いることができ、キャボット社製バルカンXC−72、バルカンP、ブラックパールズ880、ブラックパールズ1100、ブラックパールズ1300、ブラックパールズ2000、リーガル400、ライオン社製ケッチェンブラックEC、三菱化学社製#3150、#3250などのオイルファーネスブラック;電気化学工業社製デンカブラックなどのアセチレンブラック等が挙げられる。
上記カーボンブラックは、水分散体を用いてもよい。カーボンブラックの水分散体を用いることで、水分散型アクリル系重合体分散液に対するカーボンブラックの分散性が向上するため、好ましい。カーボンブラック水分散体におけるカーボンブラックの固形分濃度は、カーボンブラックが分散される限り特に限定されるものではないが、例えば、20〜80質量%である。カーボンブラック水分散体としては、市販品を用いることができ、大日精化工業社製MF−5630Blackなどが挙げられる。
粘着剤層中のカーボンブラックの含有量は、好ましくは0.05〜5質量%であり、より好ましくは0.1〜2質量%である。0.05質量%以上であれば被着体の隠蔽性に優れ、5質量%以下であれば被着体に対する密着性に優れる。なお、当該値は、粘着剤組成物の固形分質量に対するカーボンブラックの質量の割合と実質的に同等である。上記と同様の観点から、粘着剤組成物におけるカーボンブラックの含有量は、水分散型アクリル系共重合体100質量部に対して、好ましくは0.05〜5質量部であり、より好ましくは0.1〜2質量部である。
[酸化チタン]
酸化チタンは、ルチル型、アナターゼ型のいずれであってもよいが、ルチル型であることが好ましい。
酸化チタンの平均一次粒径は、分散性や分散安定性の観点から、50〜700nmであることが好ましく、100〜500nmであることがより好ましい。酸化チタンの平均一次粒径は、レーザー回折散乱法により測定した体積基準のメジアン径である。
上記酸化チタンは、水分散体を用いてもよい。酸化チタンの水分散体を用いることで、水分散型アクリル系重合体分散液に対する酸化チタンの分散性が向上するため、好ましい。酸化チタン水分散体における酸化チタンの固形分濃度は、カーボンブラックが分散される限り特に限定されるものではないが、例えば、20〜80質量%である。カーボンブラック水分散体としては、市販品を用いることができ、大日精化工業社製MF−5765Whiteなどが挙げられる。
粘着剤層中の酸化チタンの含有量は、好ましくは0.05〜5質量%であり、より好ましくは0.1〜2質量%である。0.05質量%以上であれば被着体の隠蔽性に優れ、5質量%以下であれば被着体に対する密着性に優れる。なお、当該値は、粘着剤組成物の固形分質量に対する酸化チタンの質量の割合と実質的に同等である。また、上記と同様の観点から、粘着剤組成物における酸化チタンの含有量は、水分散型アクリル系共重合体100質量部に対して、好ましくは0.05〜5質量部であり、より好ましくは0.1〜2質量部である。
被着体の隠蔽性の観点から、粘着剤層中のカーボンブラックおよび酸化チタンの合計含有量は、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、さらにより好ましくは0.3質量%以上である。一方、被着体に対する密着性の観点から、粘着剤層中のカーボンブラックおよび酸化チタンの合計含有量は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以下であり、さらにより好ましくは1.5質量%以下である。なお、当該値は、粘着剤組成物の固形分質量に対する、カーボンブラックおよび酸化チタンの合計質量の割合と実質的に同等である。上記と同様の観点(隠蔽性と密着性の両立の観点)から、粘着剤組成物におけるカーボンブラックおよび酸化チタンの合計含有量は、水分散型アクリル系共重合体100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部であり、より好ましくは0.2〜2質量部である。
粘着剤層におけるカーボンブラックおよび酸化チタンの質量比(カーボンブラック:酸化チタン)は、好ましくは30:70〜80:20であり、より好ましくは40:60〜70:30であり、特に好ましくは55:45〜70:30である。上記範囲内であれば、粘着剤層が適度な灰色を呈する。ゆえに、被着体の隠蔽性に優れるとともに、粘着剤の色が白色基材に透けにくいため、マーキングフィルムの装飾効果が損なわれない。
[カルボジイミド系架橋剤]
カルボジイミド系架橋剤としては、例えば、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニルカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニルカルボジイミド)等の芳香族ポリカルボジイミド;ポリ(ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)等の脂環族ポリカルボジイミド、ポリ(ジイソプロピルカルボジイミド)等の脂肪族ポリカルボジイミド等が挙げられる。
カルボジイミド系架橋剤としては、市販品を用いてもよく、日清紡ケミカル株式会社製のカルボジライト(登録商標)V−02、V−02−L2、SV−02、V−04、V−10、SW−12G、E−02、E−03A、E−05等が挙げられる。
粘着剤組成物におけるカルボジイミド系架橋剤の含有量は、水分散型アクリル系共重合体100質量部に対して、好ましくは0.5〜20質量部であり、より好ましくは1〜10質量部であり、さらにより好ましくは1〜5質量部である。1質量部以上であれば、所望の架橋構造を形成でき、耐候性(屋外環境曝露後の再剥離性)が良好となる。一方、20質量部以下であれば、被着体に対する密着性が良好となる。
[添加剤]
粘着剤組成物には、上記成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、フィラー、増粘剤、樹脂、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤等の添加剤を添加してもよい。
[粘着剤組成物の製造方法]
粘着剤組成物の製造方法は、特に制限されず、例えば、上記方法にて製造した水分散型アクリル系共重合体の分散液に、カーボンブラック、酸化チタンおよびカルボジイミド系架橋剤、および必要に応じて添加剤を、一括でまたは順次に添加し、撹拌混合することで得ることができる。この際、添加順序は特に制限されない。また、撹拌は、スターラー等の公知の手段を用いて行うことができる。
[粘着剤層の形成方法]
粘着剤層12の形成方法は特に限定されないが、粘着剤組成物を剥離ライナー13上に塗布する方法が採られる。塗布方法は特に限定されず、例えばロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スロットダイコーター、リップコーター、グラビアコーターなどの公知の塗布装置を用いて塗布することができる。粘着剤組成物の塗布厚としては、通常10〜100μm、好ましくは15〜50μmである。粘着剤組成物を剥離ライナー13上に塗布後、乾燥処理を行うことによって、粘着剤層12が形成される。この際の乾燥条件としては特に限定されず、通常60〜150℃にて10〜300秒の条件で行われる。
粘着剤層12の厚み(乾燥厚み)は、特に限定されないが、被着体に対する密着性および耐候性(屋外環境曝露後の再剥離性)を両立する観点から、好ましくは10〜100μmである。
<剥離ライナー13>
剥離ライナー13としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルム;上質紙、グラシン紙、クラフト紙などの紙が挙げられる。
剥離ライナー13の厚みは、通常10〜400μm程度である。また、剥離ライナー11の表面には、粘着剤層12の剥離性を向上させるためのシリコーンなどから構成される剥離剤からなる層(剥離層)が設けられてもよい。かような層が設けられる場合の当該層の厚みは、通常0.01〜5μm程度である。
<マーキングフィルムの製造方法>
本実施形態に係るマーキングフィルム10の製造方法は、特に制限されないが、例えば、上述した方法により粘着剤層12および剥離ライナー13の積層体を作製し、該粘着剤層12と白色基材11を貼り合わせる方法が挙げられる。
上記方法において、粘着剤層12と白色基材11との密着性を高めるため、予め白色基材11の表面処理を行ってもよい。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン処理、プライマー処理等が挙げられる。
<マーキングフィルムの用途>
本発明の一実施形態に係るマーキングフィルム10の白色基材11の粘着剤層12と接していない面には、必要に応じてインク受理層等を介して、インクジェット印刷等の方法により色や模様を施してもよい。かようなマーキングフィルムについて、剥離ライナー13を除去し、露出した粘着剤層12面を塩化ビニル系被着体の表面に貼付することで、被着体の色や模様を隠蔽しつつ、白色基材11に施された色や模様を被着体上に提示することができる。さらに、このマーキングフィルムが貼付された被着体は、屋外環境に一定期間曝露されても、マーキングフィルムを被着体から容易に剥離することができる。ゆえに、本発明の一実施形態に係るマーキングフィルムは、屋外で使用される塩化ビニル系被着体(看板、広告、車両、建築物、交通標識等)を一定期間装飾する目的で、好適に使用することができる。
塩化ビニル系被着体は、主に塩化ビニル系樹脂で構成された被着体であれば、特に制限されない。塩化ビニル系樹脂としては、<白色基材11>の項で説明した塩化ビニル系樹脂と同様のものを使用することができる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「質量部」あるいは「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。
<マーキングフィルムの作製>
[実施例1]
(水分散型アクリル系共重合体の合成)
攪拌機、温度計、および滴下ロートを備えた容器にアクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)97.2質量部、アクリル酸(AA)2.0質量部、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)0.8質量部を仕込み、これにポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩(花王株式会社製、ラテムルE−118B)1.5質量部、アリルアルキルスルホコハク酸エステル塩(三洋化成株式会社製、エレミノールJS−2)2.5質量部とイオン交換水56質量部を加え、室温下撹拌して単量体混合物の乳化物を予め調製した。別途、攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管、および滴下ロートを備えた反応装置にイオン交換水28質量部を仕込み、窒素を封入して内温80℃まで昇温し、その温度に保ちながら、10質量%の過硫酸アンモニウム水溶液2質量部を仕込んだ。次に、予め調製した単量体混合物の乳化物を滴下ロートに移し、4時間かけて滴下した。これと併行して5質量%過硫酸アンモニウム水溶液4質量部を滴下して内温80℃で乳化重合を行った。滴下終了後、80℃で4時間熟成し、平均粒子径250nmを有するアクリル系共重合体エマルションを得た。その後、室温まで冷却し、アンモニア水で中和した後に水を加えて、固形分濃度50質量%、pH8.0の水分散型アクリル系共重合体の分散液を得た。
(粘着剤組成物の調製)
上記調製した水分散型アクリル系共重合体分散液に、水分散型アクリル系共重合体100質量部(固形分)に対して、カーボンブラック水分散体(大日精化工業株式会社製、MF−5630Black(製品名))0.8質量部(固形分換算)、酸化チタン水分散体(大日精化工業株式会社製、MF−5765White(製品名))0.3質量部(固形分換算)、カルボジイミド系架橋剤としてカルボジライト(登録商標)SV−02(日清紡ケミカル株式会社製)を2.4質量部(固形分換算)となるよう、各成分を添加し、粘着剤組成物を調製した。
(マーキングフィルムの作製)
剥離ライナーの剥離処理面(剥離層)上に、ナイフコーターを用いて、乾燥後の厚みが30μmになるよう上記の粘着剤組成物を塗工した後、90℃にて2分間乾燥し、粘着剤層を形成した。次いで、白色基材として厚さ80μmの白色ポリ塩化ビニルフィルム(平均重合度1300の塩化ビニル樹脂100質量部、アジピン酸系可塑剤(株式会社ADEKA製、アデカサイザーPN−230)35質量部、Ba−Zn系安定剤3質量部、酸化チタン(石原産業株式会社製、TIPAQUE R−980、平均粒子径240nm)30質量部からなる組成物を混練し、カレンダー法により製膜したもの)を粘着剤層と貼り合せて、マーキングフィルムを作製した。
[比較例1]
実施例1において、カルボジイミド系架橋剤の代わりにエポキシ系架橋剤(ナガセケムテックス株式会社製、デナコールEX−313(製品名))0.5質量部(固形分換算)を添加し、粘着剤組成物を調製したこと以外は実施例1と同様にして、マーキングフィルムを作製した。
[比較例2]
実施例1において、水分散型アクリル系共重合体の代わりに、以下の方法で合成した溶剤型アクリル系共重合体を使用して粘着剤組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、マーキングフィルムを作製した。
(溶剤型アクリル系共重合体の合成)
攪拌機、温度計、および滴下ロートを備えた容器にアクリル酸−2−エチルヘキシル(2EHA)97.2質量部、アクリル酸(AA)2.0質量部、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)0.8質量部、過酸化物系開始剤およびトルエン(溶剤)を仕込み、窒素置換を行いながら加温し、重合を行って、溶剤型アクリル系共重合体を得た(重量平均分子量500,000)。
(粘着剤組成物の調製)
上記調製した溶剤型アクリル系共重合体に、アクリル系共重合体100質量部(固形分)に対して、カーボンブラック溶液(大日精化工業株式会社製、NX−591ブラック(製品名))0.8質量部(固形分換算)、酸化チタン溶液(大日精化工業株式会社製、NX−501ホワイト(製品名))0.3質量部(固形分換算)、カルボジイミド系架橋剤としてカルボジライト(登録商標)Elastostab H01(日清紡ケミカル株式会社製)を2.4質量部(固形分換算)となるよう、各成分を添加し、粘着剤組成物を調製した。
[比較例3]
実施例1の粘着剤組成物の調製において、カーボンブラックおよび酸化チタンの代わりにアルミニウム片(東洋アルミニウム株式会社製、リーフィングアルペースト0300M(製品名)、平均粒子径(D50)16μm)を水分散型アクリル系共重合体100質量部(固形分)に対して、0.6質量部(固形分換算)添加したところ、アルミニウム片が分散せず、沈殿したため、均一な粘着剤組成物を作製することができなかった。得られた粘着剤組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、マーキングフィルムを作製した。
<マーキングフィルムの評価>
[耐候性(屋外環境曝露後の再剥離性)]
実施例および比較例のマーキングフィルムから剥離ライナーを除去し、粘着剤層面を被着体であるポリ塩化ビニルフィルム(平均重合度1300の塩化ビニル樹脂100質量部に対して可塑剤としてフタル酸ジオクチルを30質量部含有)に貼付して24時間静置した。その後、サンシャインカーボン促進耐候性試験機(スガ試験機株式会社製、サンシャインウェザーメーター S80)を用い、ブラックパネル温度計の示す温度63℃±3℃、相対湿度50%±5%の試験条件にて、連続1000時間の耐候性試験を行った。耐候性試験中、マーキングフィルムに対し、120分照射中に、18分間水噴射を行った。耐候性試験後、マーキングフィルムを被着体から剥離して、被着体表面を目視で観察し、下記基準で判定した。
○:被着体表面に糊残りが認められない
×:被着体表面に糊残りが認められる。
[隠蔽性]
JIS K 5600−4−1:1999に準拠し、実施例および比較例のマーキングフィルムの隠蔽率を測定した。具体的には、隠蔽率試験紙の黒部と白部にまたがるようにマーキングフィルムを貼付し、反射分光濃度計(エックスライト社製、X−Rite939)を用いて、黒部上の三刺激値Y及び白部上の三刺激値Yを測定し、Y/Yの百分率を求めた。被着体の色や文字・画像を隠蔽するためには、隠蔽率99.5%以上であることが好ましい。
○:隠蔽率が99.5%以上である
×:隠蔽率が99.5%未満である。
表1に示すように、実施例のマーキングフィルムは、ポリ塩化ビニルフィルムに貼付し、屋外環境に曝した後も、糊残りなく剥がすことができた。また、実施例のマーキングフィルムは、被着体の色や模様を隠蔽する性能にも優れていた。
一方、カルボジイミド系架橋剤の代わりにエポキシ系架橋剤を使用したマーキングフィルム(比較例1)や、水分散型アクリル系共重合体の代わりに溶剤型アクリル系共重合体を使用したマーキングフィルム(比較例2)は、ポリ塩化ビニルフィルムに貼付して屋外環境に曝した後、剥離する際に糊残りが生じた。
10 マーキングフィルム、
11 白色基材、
12 粘着剤層、
13 剥離ライナー。

Claims (5)

  1. 白色基材と、
    (メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位およびカルボキシル基含有単量体由来の構成単位を含む水分散型アクリル系共重合体、カーボンブラック、酸化チタンならびにカルボジイミド系架橋剤を含む粘着剤組成物から形成されてなる粘着剤層と、
    を含むマーキングフィルム。
  2. 前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルが(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルである、請求項1に記載のマーキングフィルム。
  3. 前記カルボキシル基含有単量体が(メタ)アクリル酸である、請求項1または2に記載のマーキングフィルム。
  4. 前記白色基材を構成する樹脂が塩化ビニル系樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマーキングフィルム。
  5. 前記粘着剤層中の前記カーボンブラックおよび酸化チタンの合計含有量が0.1〜10質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマーキングフィルム。
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