JP7174620B2 - タイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関するものである。
低燃費性や、破断強度、耐摩耗性を向上させることを目的として、タイヤ用ゴム組成物に、芳香族ビニル化合物に基づく構成単位及び共役ジエン化合物に基づく構成単位を有し、共役ジエン部を水素添加した水添共重合体を配合することが知られている(特許文献1,2)。
水素添加率の高い水添共重合体は、架橋点が少なく加硫速度が遅くなるという問題があるため、特許文献3では、水添共重合体を用いた場合であっても、チウラム系加硫促進剤を用いることで、加硫速度を維持し、耐摩耗性を向上できることが開示されている。
特開2017-145341号公報 WO2014/133097号公報 特開2018-95779号公報 WO2007/088980号公報
また、水添共重合体を配合したゴム組成物において、ウエットグリップ性能の更なる改善が求められているが、特許文献1~3にはウエットグリップ性能についての記載はなく、破断強度、及び耐摩耗性を維持しつつ、加硫速度とウエットグリップ性能を両立できる例は知られていない。
本発明は、以上の点に鑑み、チウラム系加硫促進剤を用いた場合と比較し、同等の加硫速度が得られ、破断強度、及び耐摩耗性を維持しつつ、ウエットグリップ性能を向上させることができるタイヤ用ゴム組成物を提供することを目的とする。
なお、特許文献4でも水添共重合体を用いた組成物が開示されているが、その用途は防振ゴムであり、タイヤに用いるものではない。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物は、上記課題を解決するために、芳香族ビニル-共役ジエン共重合体が水素添加された水添共重合体であって、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定された重量平均分子量が30万以上であり、共役ジエン部の水素添加率が80モル%以上である水添共重合体を含むゴム成分と、グアニジン系加硫促進剤とジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤とを、質量比(グアニジン系加硫促進剤/ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤)で0.5~4.0の割合で含有するものとする。
上記タイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、シリカを10~150質量部含有するものとすることができる。
本発明に係る空気入りタイヤは、上記タイヤ用ゴム組成物を用いて作製したものとする。
本発明のタイヤ用ゴム組成物によれば、チウラム系加硫促進剤を用いた場合と比較し、同等の加硫速度が得られ、破断強度、及び耐摩耗性を維持しつつ、ウエットグリップ性能を向上させた空気入りタイヤを得ることができる。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本実施形態に係るゴム組成物において用いられるゴム成分は、芳香族ビニル-共役ジエン共重合体が水素添加された水添共重合体であって、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定された重量平均分子量が30万以上であり、共役ジエン部の水素添加率が80モル%以上である水添共重合体を含むものである。ここで、本明細書において、「ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定された重量平均分子量」とは、検出器として示差屈折率検出器(RI)を用い、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、測定温度を40℃、流量を1.0mL/min、濃度を1.0g/L、注入量を40μLとし、市販の標準ポリスチレンを用いてポリスチレン換算で算出した値とする。また、水素添加率は、H-NMRを測定して得られたスペクトルの不飽和結合部のスペクトル減少率から計算した値とする。
上記芳香族ビニル-共役ジエン共重合体を構成する芳香族ビニルとしては、特に限定されないが、例えばスチレン、α-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、3-ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4-シクロヘキシルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記芳香族ビニル-共役ジエン共重合体を構成する共役ジエンとしては、特に限定されないが、例えば1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ヘキサジエンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記芳香族ビニル-共役ジエン共重合体は、特に限定されないが、スチレン及び1,3-ブタジエンの共重合体(スチレンブタジエン共重合体)であることが好ましい。従って、水添共重合体としては、水添スチレンブタジエン共重合体であることが好ましい。また、水添共重合体は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であっても、交互共重合体であってもよい。
上記水添共重合体は、例えば、芳香族ビニル-共役ジエン共重合体を合成し、水素添加処理を行うことで合成することができる。芳香族ビニル-共役ジエン共重合体の合成方法は、特に限定されないが、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法等を挙げることができ、特に溶液重合法が好ましい。また、重合形式は、回分式及び連続式のいずれであってもよい。なお、芳香族ビニル-共役ジエン共重合体は市販のものを使用することも可能である。
水素添加の方法は、特に限定されず、公知の方法、公知の条件で水素添加すればよい。通常は、20~150℃、0.1~10MPaの水素加圧下、水添触媒の存在下で実施される。なお、水素添加率は、水添触媒の量、水添反応時の水素圧力、反応時間等を変えることにより、任意に選定することができる。水添触媒として、通常は、元素周期表4~11族金属のいずれかを含む化合物を用いることができる。例えば、Ti、V、Co、Ni、Zr、Ru、Rh、Pd、Hf、Re、Pt原子を含む化合物を水添触媒として用いることができる。より具体的な水添触媒としては、Ti、Zr、Hf、Co、Ni、Pd、Pt、Ru、Rh、Re等のメタロセン系化合物;Pd、Ni、Pt、Rh、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等の担体に担持させた担持型不均一系触媒;Ni、Co等の金属元素の有機塩又はアセチルアセトン塩と有機アルミニウム等の還元剤とを組み合わせた均一系チーグラー型触媒;Ru、Rh等の有機金属化合物又は錯体;水素を吸蔵させたフラーレンやカーボンナノチューブ等を挙げることができる。
水添共重合体の水素添加率(芳香族ビニル-共役ジエン共重合体の共役ジエン部に対して水素添加された割合)は80モル%以上であり、好ましくは80~95モル%であり、より好ましくは85~95モル%であり、さらに好ましくは90~95モル%である。水素添加率が80モル%以上であることにより、架橋の均質化による耐摩耗性の改善効果に優れる。
水添共重合体の重量平均分子量は、30万以上であれば特に限定されないが、30万~200万であることが好ましく、30万~100万であることがより好ましく、30万~60万であることがさらに好ましい。
上記ゴム成分には、上記水添共重合体以外のジエン系ゴムが含まれていても良く、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレン-イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン-イソプレン共重合体ゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。これらジエン系ゴムは、いずれか1種単独で、又は2種以上ブレンドして用いることができる。
ゴム成分中の上記水添共重合体の含有割合は、特に限定されないが、70~100質量%であることが好ましく、80~100質量%であることがより好ましい。
本実施形態に係るゴム組成物は、加硫促進剤として、グアニジン系加硫促進剤、及びジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤を併用するものであるが、本発明の効果を損なわない範囲において、他の加硫促進剤を含有するものであってもよく、例えば、スルフェンアミド系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チオウレア系加硫促進剤などを用いるものであってもよい。これらの中でも、スルフェンアミド系加硫促進剤であることが好ましい。
グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、1,3-ジフェニルグアニジン(D)、ジ-O-トリルグアニジン(DT)などが挙げられる。
ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤としては、例えば、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnBzDTC)、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnMDC)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnEDC)、ジ-n-ブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnBDC)、N-ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛(ZnPDC)、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnEPDC)、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム(NaMDC)、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(NaEDC)、ジ-n-ブチルジチオカルバミン酸ナトリウム(NaBDC)、ジエチルジチオカルバミン酸テルル(TeEDC)、ジメチルジチオカルバミン酸銅(CuMDC)、ジメチルジチオカルバミン酸鉄(FeMDC)などが挙げられる。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CZ)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(NS)、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(OBS)、N,N-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(DZ)が挙げられる。
ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤とグアニジン系加硫促進剤の配合割合(グアニジン系加硫促進剤/ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤)は、質量比で、0.5~4.0であることが好ましい。
グアニジン系加硫促進剤の含有量は、特に限定されないが、ゴム成分100質量部に対して、0.1~3質量部であることが好ましく、0.2~2質量部であることがより好ましい。
ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤の含有量は、特に限定されないが、ゴム成分100質量部に対して、0.1~3質量部であることが好ましく、0.2~2質量部であることがより好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤の含有量は、特に限定されないが、ゴム成分100質量部に対して、0.1~3質量部であることが好ましく、0.2~2質量部であることがより好ましい。
加硫促進剤の合計の含有量は、ゴム成分100質量部に対して0.1~9質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5~6質量部である。
本実施形態に係るゴム組成物には、補強性充填剤として、カーボンブラック及び/又はシリカを用いることができる。すなわち、補強性充填剤は、カーボンブラック単独でも、シリカ単独でも、カーボンブラックとシリカの併用でもよい。好ましくは、カーボンブラックとシリカの併用である。補強性充填剤の含有量は、特に限定されず、例えばゴム成分100質量部に対して、10~150質量部であることが好ましく、より好ましくは20~100質量部であり、さらに好ましくは30~80質量部である。
上記カーボンブラックとしては、特に限定されず、公知の種々の品種を用いることができる。カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1~70質量部であることが好ましく、より好ましくは1~30質量部である。
シリカとしても、特に限定されないが、湿式沈降法シリカや湿式ゲル法シリカなどの湿式シリカが好ましく用いられる。シリカを含有する場合、その含有量は、ゴムのtanδのバランスや補強性などの観点からゴム成分100質量部に対して、10~150質量部であることが好ましく、より好ましくは15~100質量部である。
シリカを含有する場合、スルフィドシラン、メルカプトシランなどのシランカップリング剤をさらに含有してもよい。シランカップリング剤を含有する場合、その含有量はシリカ含有量に対して2~20質量%であることが好ましい。
本実施形態に係るゴム組成物には、上記した各成分に加え、通常のゴム工業で使用されているプロセスオイル、加工助剤、亜鉛華、ステアリン酸、軟化剤、可塑剤、液状ゴム、樹脂、ワックス、老化防止剤、加硫剤などの配合薬品類を通常の範囲内で適宜配合することができる。
上記加硫剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などの硫黄成分が挙げられ、特に限定するものではないが、その含有量はゴム成分100質量部に対して0.1~4質量部であることが好ましく、より好ましくは0.2~3質量部である。
本実施形態に係るゴム組成物は、通常用いられるバンバリーミキサーやニーダー、ロール等の混合機を用いて、常法に従い混練して作製することができる。すなわち、第一混合段階で、ゴム成分に対し、加硫剤及び加硫促進剤を除く添加剤を添加混合し、次いで、得られた混合物に、最終混合段階で加硫剤及び加硫促進剤を添加混合してゴム組成物を調製することができる。
このようにして得られるゴム組成物は、タイヤ用として用いることができ、乗用車用、トラックやバスの大型タイヤなど各種用途・サイズの空気入りタイヤのトレッド部やサイドウォール部などタイヤの各部位に適用することができる。ゴム組成物は、常法に従い、例えば、押出加工によって所定の形状に成形され、他の部品と組み合わせた後、例えば140~180℃で加硫成形することにより、空気入りタイヤを製造することができる。
本実施形態に係る空気入りタイヤの種類としては、特に限定されず、乗用車用タイヤ、トラックやバスなどに用いられる重荷重用タイヤなどの各種のタイヤが挙げられる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〈水添共重合体の合成例1〉
窒素置換された耐熱反応容器に、シクロヘキサンを2.5L、テトラヒドロフラン(THF)を50g、n-ブチルリチウムを0.12g、スチレンを100g、1,3-ブタジエンを400g入れ、反応温度50℃で重合を行った。重合が完了した後にN,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシランを1.7g加えて、1時間反応させた後、水素ガスを0.4MPa-ゲージの圧力で供給し、20分間撹拌した。次いで、水素ガス供給圧力を0.7MPa-ゲージ、反応温度を90℃とし、チタノセンジクロリドを主とした触媒を用いて目的の水素添加率となるまで反応させ、溶媒を除去することにより、水添共重合体1を得た。
得られた水添共重合体1の重量平均分子量は、測定装置として(株)島津製作所製「LC-10A」を用い、カラムとしてPolymer Laboratories社製「PLgel-MIXED-C」を、検出器として示差屈折率検出器(RI)を用い、溶媒としてTHFを用い、測定温度を40℃、流量を1.0mL/min、濃度を1.0g/L、注入量を40μLとして測定し、標準ポリスチレンによるポリスチレン換算で35万であった。結合スチレン量は20質量%であり、ブタジエン部の水素添加率は90モル%であった。なお、結合スチレン量はH-NMRを用いて、スチレン単位に基づくプロトンと、ブタジエン単位(水素添加部を含む)に基づくプロトンとのスペクトル強度比から求めた。
〈水添共重合体の合成例2〉
水素添加を行う反応時間を変更し、水素添加率を変更した以外、合成例1と同様の方法によって水添共重合体2を得た。得られた水添共重合体2の重量平均分子量は、上記と同様に測定し、標準ポリスチレンによるポリスチレン換算で35万、結合スチレン量は20質量%、ブタジエン部の水素添加率は80モル%であった。
〈水添共重合体の合成例3〉
スチレンを175g、1,3-ブタジエンを325gに変更した以外、合成例1と同様の方法によって水添共重合体3を得た。得られた水添共重合体3の重量平均分子量は上記と同様に測定し、標準ポリスチレンによるポリスチレン換算で35万、結合スチレン量は35質量%、ブタジエン部の水素添加率は90モル%であった。
〈実施例及び比較例〉
バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合(質量部)に従い、まず、第一混合段階(ノンプロ練り工程)で、加硫促進剤及び硫黄を除く成分を添加混合し(排出温度=160℃)、次いで、得られた混合物に、最終混合段階(プロ練り工程)で、加硫促進剤及び硫黄を添加混合して(排出温度=90℃)、ゴム組成物を調製した。
表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
・水添SBR1:上記合成例1に従い作製した水添共重合体1
・水添SBR2:上記合成例2に従い作製した水添共重合体2
・水添SBR3:上記合成例3に従い作製した水添共重合体3
・カーボンブラック:東海カーボン(株)製「シースト3」
・シリカ:エボニックジャパン(株)製「UltrasilVN3」
・シランカップリング剤:エボニックジャパン社製「Si69」
・オイル:JXTGエネルギー(株)製「プロセスNC140」
・老化防止剤:大内新興化学工業(株)製「ノクラック6C」
・ワックス:日本精蝋(株)製「OZOACE0355」
・ステアリン酸:花王(株)製「ルナックS-20」
・酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製「亜鉛華3号」
・加工助剤:LANXESS製「アクチプラストPP」
・硫黄:鶴見化学工業(株)製「粉末硫黄」
・加硫促進剤1:住友化学(株)製「ソクシノールCZ」、スルフェンアミド系加硫促進剤
・加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製「ノクセラ-D」、グアニジン系加硫促進剤
・加硫促進剤3:川口化学工業(株)製「アクセルTBZT」、チウラム系加硫促進剤
・加硫促進剤4:三新化学工業(株)製「サンセラーZBE」、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤
得られた各ゴム組成物について、加硫速度、破断強度、ウエットグリップ性能、及び耐摩耗性を評価した。評価方法は次の通りである。
・加硫速度:JIS K6300-2に準拠して測定した。具体的には、160℃の温度条件において、加硫曲線におけるトルクの最大値(Fmax)と最小値(Fmin)を測定し、{(Fmax-Fmin)×0.9+Fmin}のトルクに達するまでの時間(分)を90%加硫時間t90とした。比較例1の値を100とした指数で示した。指数が大きいほど加硫速度が遅いことを示し、指数が95~105であれば、比較例1と同等の加硫速度であると評価した。
・破断強度:得られたゴム組成物を160℃で30分間加硫した所定形状の試験片を用いて、JIS K6251に準じて、引張試験(ダンベル状3号形)を実施して破断時の応力を測定した。比較例1の値を100とした指数で示した。数値が大きいほど、破断強度が高いことを示し、95以上であれば破断強度を維持できたものと評価した。
・ウエットグリップ性能:得られたゴム組成物をトレッド部に用いた215/45ZR17試験ラジアルタイヤ4本を自動車に装着し、2~3mmの水深で水をまいた路面上を走行した。100km/hにて摩擦係数を測定し、比較例1の値を100とした指数で示した。指数が大きいほど摩擦係数が高く、ウエットグリップ性能に優れることを示す。
・耐摩耗性:得られたゴム組成物をトレッド部に用いた215/45ZR17試験タイヤ4本を2000ccの4WD車に装着し、一般乾燥路面において2500km毎に左右ローテーションさせながら10000km走行させて、走行後の4本のトレッド残溝深さの平均値を、比較例1を100とする指数表示で示した。数値の大きいものほど耐摩耗性が良好であることを示す。95以上であれば耐摩耗性を維持できたものと評価した。
Figure 0007174620000001
結果は、表1に示す通りであり、実施例1~6はいずれも加硫速度の指数が95~105の範囲内であり、チウラム系加硫促進剤を用いた比較例1と同等の加硫速度が得られた。また、実施例1~6では、比較例1との対比より、破断強度及び耐摩耗性を維持ないしは向上しつつ、ウエットグリップ性能を向上させることができた。
比較例2は、グアニジン系加硫促進剤とジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤との配合割合が0.5未満である例であり、破断強度が悪化した。
比較例3は、グアニジン系加硫促進剤とジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤との配合割合が4.0を超える例であり、耐摩耗性が悪化した。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、乗用車、ライトトラック・バス等の各種タイヤに用いることができる。

Claims (3)

  1. 芳香族ビニル-共役ジエン共重合体が水素添加された水添共重合体であって、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定された重量平均分子量が30万以上であり、共役ジエン部の水素添加率が80モル%以上である水添共重合体を含むゴム成分と、
    グアニジン系加硫促進剤とジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤とを、質量比(グアニジン系加硫促進剤/ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤)で0.5~4.0の割合で含有することを特徴とする、タイヤ用ゴム組成物。
  2. ゴム成分100質量部に対して、シリカを10~150質量部含有することを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のタイヤ用ゴム組成物を用いて作製した、空気入りタイヤ。

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