JP7173476B2 - 化粧用香料組成物並びにその製造方法 - Google Patents
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Description
このため従来から、香り成分を何らかの素材に含有乃至は担持させ、前記課題を解消しようとする試みが成されている。しかしながら、技術面、安全面、商業的コスト面等で課題をかかえており、前記課題は完全には解決されていない。
更に、グリセリン、PEG-30水添ヒマシ油のいずれか一方又は双方を添加することにより、香気成分を包含するミセルが構成され、このミセルがセルロースナノファイバー(CNF)の形成する三次元ネットワークに包接されることにより、あるいはこのミセルがセルロースナノファイバー(CNF)に担持されることにより、緩放散性(徐放性)をより高めることができる。
また、基材に添加される香料が、1, 3-ジメトキシ-5-メチルベンゼンを含むバラ由来香気成分であるため、自然由来の成分によって、鎮静作用に優れた香料組成物を得ることができる。
更にまた、香料組成物を含有した化粧品を液状またはペースト状に形成することにより、化粧品としての使い勝手に優れたものとすることができる。
また技術面、安全面、商業的コスト面等での課題を解消した香料組成物を製造することができる
本発明の化粧用香料組成物は、水を主成分とした基材に対して、香料及びセルロースナノファイバー(CNF)が添加されたものである。なお水に代えて予め処方された化粧水を基材として用いてもよい。
なお後述する実施例で用いる香料は、1, 3-ジメトキシ-5-メチルベンゼンを含むバラ由来香気成分である。これは例えばハイブリッド・ティー系のバラ花弁抽出由来すなわち自然由来のものである。因みにこのバラ由来の香料(以下、バラ香料と称する)は、鎮静作用等を発現させるものである。
また前記基材に対するセルロースナノファイバー(CNF)の添加量は、固形分量で0.01~1重量%、好ましくは0.01~0.5重量%、更に好ましくは0.01~0.2重量%の範囲とされる。
また前記セルロースナノファイバー(CNF)5により保湿性が発現されるものであり、これもセルロースナノファイバー(CNF)5による基材1中の水分の囲い込みが図られているものと推定されている。
またPEG-30水添ヒマシ油の添加量は基材1に対して0.1~5重量%、好ましくは0.1~3.5重量%、更に好ましくは0.5~3重量%とされる。
なお前記グリセリンに代えて、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等を適用してもよく、また前記PEG-30水添ヒマシ油に代えて、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-50水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、オレイン酸ポリグリセリル-10等を適用してもよい。
更に製品利用形態としては目的に合うように液状、ペースト状、更には固形カプセルタイプ等が採られるもであり、特に化粧品としての利用を考慮すると、液状またはペースト状等とすることが好ましい。
また別途香料組成物の担持材として紙、織布、樹脂シートを用いるようにしてもよく、このような担持材を適用して衣類、寝具、家具を構成することもできる。
具体的には、化粧基材の配合を、水93%、グリセリン6%、PEG-30水添ヒマシ油1%とした。
また化粧基材を90%、化学的解繊CNF2%溶液を10%として、化学的解繊CNFの含有量が0.2重量%となる分散液を調製し、この分散液にバラ香料を0.00005%添加して試料Aを調整した。
また化粧基材を90%、機械的解繊CNF1%溶液を10%として、機械的解繊CNFの含有量が0.1重量%となる分散液を調製し、この分散液にバラ香料を0.00005%添加して試料Bを調整した。
なお香料の添加は0.00001~3重量%とする。
図3に示すグラフにおいて、傾きの値が小さいことは香気成分が徐放していることを示しており、試料Bは化粧基材よりも徐放性が高く、試料Aは試料Bよりも更に徐放性が高いことが確認された。
なお他の香気成分(一例としてLialool、Citronellol、Rose oxide )についても同様の結果が得られている。
なお機械的解繊CNF、化学的解繊CNF、ヒアルロン酸Naにおいて添加する濃度の最適条件の検討を行った結果、機械的解繊CNFが0.1重量%、化学的解繊CNFが0.2重量%、ヒアルロン酸Naが0.08重量%において最も高い保湿効果を示したことから、各添加物には最適な添加濃度があることが分かった。そこで、上記の濃度を最適濃度とし、この最適濃度となるように「試料A」、「試料B」、「参考試料」を調製し、それぞれの保湿性の比較を行った。
表1は、「化粧基材」の水分値を基準とし、「化粧基材」に対する各最適濃度での水分値差(Δ水分値)を示すものである。
保湿性の比較結果は、試料Bは化粧基材はもとより、参考試料よりも保湿性が大幅に高く、試料Aは試料Bよりも更に保湿性が高いことが確認された。
2 香気成分
3 ミセル
5 セルロースナノファイバー(CNF)
F 化粧用香料組成物
Claims (5)
- 水を主成分とする基材に対し、香料及びセルロースナノファイバー(CNF)を添加して成る液状またはペースト状に形成された化粧用香料組成物であって、
前記香料は、1, 3-ジメトキシ-5-メチルベンゼンを含むバラ由来香気成分であり、
また前記基材には、グリセリン、PEG-30水添ヒマシ油のいずれか一方又は双方を添加することにより、香気成分を包含するミセルが構成され、
このミセルがセルロースナノファイバー(CNF)の形成する三次元ネットワークに包接されることにより、あるいはこのミセルがセルロースナノファイバー(CNF)に担持されることにより、香気成分の緩放散性(徐放性)と保湿性とを発現させるとともに、緩放散性(徐放性)をより高めることができるようにしたことを特徴とする化粧用香料組成物。
- 前記添加されるセルロースナノファイバー(CNF)は、幅3~100nmであり、且つ添加割合が基材に対して固形分量0.01~1重量%の範囲であることを特徴とする請求項1記載の化粧用香料組成物。
- 前記グリセリンの添加量は基材に対して1~10重量%であり、またPEG-30水添ヒマシ油の添加量は基材に対して0.1~5重量%であることを特徴とする請求項1または2記載の化粧用香料組成物。
- 前記セルロースナノファイバー(CNF)として、化学的解繊CNFまたは機械的解繊CNFのいずれか一方または双方を用いたことを特徴とする請求項1、2または3記載の化粧用香料組成物。
- 水を主成分とする基材に対し、セルロースナノファイバー(CNF)を添加し、ここに香料を0.00001~3重量%添加することを特徴とする請求項1、2、3または4記載の化粧用香料組成物の製造方法。
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