JP2019031605A - フィブロイン組成物 - Google Patents
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Description
(1)液体がポリオールを液体全体に対して30質量%以上の割合で含む
(2)液体としてのポリオールを組成物全体に対して30質量%以上の割合で含む
このような組成物において、フィブロインは、通常、液体中に分散又は溶解していてもよい。
また、本発明の組成物において、液体は、例えば、C2−4アルカンジオール、ジ乃至トリC2−4アルカンジオール、C3−6アルカントリオール、及びジ乃至トリC3−6アルカントリオールから選択された少なくとも1種のポリオールを含んでいてもよい。
本発明の組成物において、フィブロインの割合は、例えば、組成物全体に対して0.001〜20質量%程度であってもよい。
本発明の組成物は、1,3−ブチレングリコールで10倍希釈したときの濁度が80NTU以下となる組成物であってもよい。
本発明には、フィブロインと前記液体とを混合し、前記組成物を製造する方法も含まれる。
このような組成物では、通常、フィブロインが液体中に分散ないし溶解している。
そして、このような分散ないし溶解状態は、比較的安定であり、長期に亘って維持しうる。
また、本発明の組成物は、新たに別の液体(水など)が添加されるなどしても、効率良く、分散ないし溶解状態を保持しうる。そのため、一旦調製された本発明の組成物を用いて、用途等に応じて、フィブロインの分散ないし溶解安定性に優れた種々の組成物を提供しうる。
本発明の組成物(フィブロイン組成物)は、フィブロインと液体とを含む。そして、この液体は、後述するように、特定の液体で構成されている。
フィブロインは、タンパク質(繊維状タンパク質)であり、通常、絹糸虫類[例えば、蚕(家蚕、野蚕など)、蜘蛛、蜂などの各種昆虫など]が分泌するタンパク質であってもよい。
ポリアクリル酸を標準物質とし、0.1M酢酸ナトリウム水溶液/アセトニトリル=75/25(質量比)を溶離液としてHLC−8320GPC(東ソー社製)、カラムGF−310−HQ、GF−710−HQ及びGF−1G−7B(東ソー社製)によるGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法にて測定できる。
組成物(液状組成物、フィブロイン混合液、フィブロイン組成物)は、液体(液体(B)ということがある)を含む。本発明では、このような液体(液体成分)として、少なくともポリオール(ポリオール(B1)ということがある)を含む液体を使用する。
ポリオールの沸点(1気圧の沸点)の下限値は、特に限定されないが、例えば、100℃、130℃、150℃、180℃などであってもよい。
本発明の組成物は、フィブロインと液体とを含んでいればよく、用途等に応じて他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、保湿剤、香料、色素、ビタミン類、防腐剤、防かび剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、増粘剤、界面活性剤、乳化剤、分散剤などの添加剤が挙げられる。
他の成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
組成物において、フィブロインの割合(濃度、組成物全体に対するフィブロインの割合)は、特に限定されないが、例えば、0.001〜20質量%、好ましくは0.005〜15質量%、さらに好ましくは0.01〜10質量%程度であってもよい。
本発明の組成物の製造方法は、特に限定されず、例えばフィブロインと液体と(さらに必要に応じて他の成分と)を混合することにより製造できる。
このような場合、所定の溶媒は前記他の液体(水など)であってもよい。所定の溶媒に、フィブロインを溶解又は分散させる場合、所定の溶媒の割合は、特に限定されないが、例えば、フィブロイン1質量部に対して、0.1質量部以上、0.5質量部以上、1質量部以上、2質量部以上、3質量部以上、5質量部以上などであってもよい。
なお、所定の溶媒の上限値は、特に限定されないが、例えば、10000質量部、1000質量部、100質量部などであってもよい。
本発明の組成物は、フィブロインと液体を含んでおり、そのまま、各種用途に使用することができる。
このような組成物は、前記のように、通常、フィブロインが液体中に分散した組成物(分散液)の形態であり、そのまま使用しても各種用途への適用性が高い。
特に、前記のように、一旦形成された分散状態は、その後、水等を添加しても保持されるため、第2の組成物における、ポリオールや他の液体(水など)の割合は必ずしも前記の範囲である必要はない。
詳細には、第1の組成物を経由することで、水などにより希釈され、ポリオールの割合が前記範囲外となる(前記範囲を充足しない)第2の組成物になっても、良好な分散状態が維持される。そのため、当該第2の組成物を用いて各種用途に使用することも可能である。
なお、ポリオールの割合の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.01質量%、0.05質量%、0.1質量%、0.2質量%などであってもよい。
なお、第2の組成物における他の液体の割合の上限値は、特に限定されないが、例えば、99.5質量%、99質量%、98.5質量%、98質量%、97質量%などであってもよい。
通常、第2の組成物は、少なくとも水を含む液体(第2の液体)で第1の組成物を希釈したものであってもよく、第2の組成物におけるポリオールや水の割合は、第1の組成物における前記ポリオール(さらには水)の割合を充足しない割合(例えば、液体又は第2の組成物全体に対するポリオールの割合が30質量%未満であるなど)であってもよい。
パックは、前記組成物により形成される。
パックは、被パック部位(顔面など)に直接的にコーティングするためのパックであってもよく、シートパック(シート状のパック)であってもよい。
基材を備えたパックは、基材と、パック形成成分とで構成されており、このパック形成成分が、前記組成物で形成されている。
より具体的には、基材を備えたパックのうち、ウェットタイプのパックは、例えば、基材と、この基材にコーティング又は含浸された液状成分とで構成されている。
このタイプのパックでは、液状成分が、少なくとも前記組成物に由来するものであってもよい。液状成分は、保湿成分などを含んでいてもよい。
なお、ウェットタイプのパックは、例えば、シートマスク、シートパック、ローションパック、フェイスマスクなどとも称されている。このようなパックは、折りたたまれたパックを容器や袋から出して広げて使用するものであってもよい。
このタイプのパックでは、液状成分が、少なくとも前記組成物に由来するものであってもよい。液状成分は、保湿成分などを含んでいてもよい。
なお、ドライタイプのパックは、使用時に、液状成分(例えば、化粧水)を含ませることで肌へ密着させるものであってもよく、具体的には、乾燥パック、ドライパックなどと称されている。
パックには、フィルムタイプのパック(フィブロイン含有フィルム)も含まれる。このようなフィルムタイプのパックは、被パック部位に直接的にコーティングするためのパックであってもよい。
このタイプのパックでは、パックそのものが、前記組成物に由来してもよい。また、フィルムタイプのパックは、保湿成分などを含んでいてもよい。
フィルムタイプのパックは、敏感肌や皮膚疾患を有する被パック部位の肌保護フィルムとしても利用することができ、フィルム形成(コーティング)後、化粧できるなどの特性を持っていてもよい。
フィルムタイプのパックの厚みは、例えば、0.05〜50μm、好ましくは0.1〜40μm、さらに好ましくは0.1〜30μm程度であってもよい。
なお、フィルムタイプのパックは、離型紙(離型フィルムなど)上に形成されていてもよいが、通常、パックそのものを構成する基材(織布、不織布など)を備えていない場合が多い。
・グリセリン 4%
・ペンチルグリコール 3%
・1,3−ブチレングリコール 2.4%
・トレハロース 1%
・フィブロイン 0.2%
・オウゴン根エキス 適量
・PEG−60水添ヒマシ油 0.5%
・ヒドロキシエチルセルロース 0.1%
・エチルヘキシルグリセリン 0.1%
・メチルパラベン 0.05%
・フェノキシエタノール 0.02%
・トコフェロール 適量
・水 全体を100%とする量
また、他の成分(トレハロースなど)を混合するタイミングは、特に限定されず、第1の組成物の調製時に混合してもよく、第1の組成物に水とともに混合してもよい。
パックの製造方法は、前記組成物で形成される(又は前記組成物を用いて形成される)限り、特に限定されず、パックの形態等に応じて適宜製造しうる。
例えば、基材を備えたパック(シート状のパック、例えば、ウェットタイプのパック、ドライタイプのパック)は、例えば、基材(基材シート、シート状基材)に、少なくとも前記組成物(又は前記組成物を含む液状成分)をコーティングする(又は含浸させる又は付着させる)工程を経て得ることができる。
さらに、被パック部位に直接的にフィルムタイプのパックを形成する場合には、被パック部位に、前記組成物をコーティングする(さらに必要に応じて乾燥させる)ことで、フィルムタイプのパックを被パック部位に形成できる。
フィブロインの水懸濁ないし水溶液[フィブロイン粉末(重量平均分子量65,000)を0.01g、水0.29gを含む懸濁液ないし溶液]と、液体成分としてのグリセリン5.0gとを混合し、フィブロインとグリセリンとの混合液(組成物)を得た。
また、その後、混合液を3ヶ月室温で放置しても、ゲル化や沈殿などの現象は生じておらず、同様にして10倍希釈液の濁度を測定したが変化は観察されなかった。
実施例1において、液体成分の種類やその量を下記表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、混合液を得た。
実施例2で得られた混合液に、水3.0gを混合し、希釈し、混合液(希釈液)を得た。
実施例3で得られた混合液に、水3.0gを混合し、希釈し、混合液(希釈液)を得た。
実施例7で得られた混合液に、水5.0gを混合し、希釈し、混合液(希釈液)を得た。
GL:グリセリン
BG:1,3−ブタンジオール
DPG:ジプロピレングリコール
EtOH:エタノール
また、表1において、実施例8及び9の水の質量「3.29g」のうち「3.0g」は、希釈に使用した水の量であり、実施例10の水の質量「5.29g」のうち「5.0g」は、希釈に使用した水の量である。
なお、実施例2〜10で得られた混合液も、実施例1同様、ゲル化や沈殿などは生じておらず、10倍希釈した希釈液の濁度も低いものであった(例えば、実施例3で得られた混合液を1,3−ブチレングリコールにて10倍希釈した希釈液の濁度は14.7NTUであった)。
また、その後、実施例2〜10で得られた混合液を3ヶ月室温で放置しても、ゲル化や沈殿などの現象は生じておらず、同様にして10倍希釈液の濁度を測定したが変化は観察されなかった。
フィブロインの水懸濁ないし水溶液[フィブロイン粉末(重量平均分子量65,000)を0.02g、水0.58gを含む懸濁液ないし溶液]と、液体成分としての1,3−ブタンジオール1.0gとを混合し、フィブロインと1,3−ブタンジオールとの混合液(組成物)を得た。
混合液の性状は、液体中に固体成分であるフィブロインが分散した分散体(粘稠分散体)であり、ゲル化や沈殿などは生じていなかった。
そして、得られた組成物に、さらに、水8.42gを添加して希釈し、混合液(希釈液)を得た。
得られた希釈液は、分散状態を保持していた。
なお、水で希釈する前後の組成物(混合液)の組成及び性状は以下の通りである。
実施例11において、水の添加順序を変更したこと以外は、実施例11と同様にして混合液を得た。
すなわち、フィブロインの水懸濁ないし水溶液[フィブロイン粉末(重量平均分子量65,000)を0.02g、水0.58gを含む懸濁液ないし溶液]、液体成分としての1,3−ブタンジオール1.0g及び水8.42gを一度に混合し、フィブロインと1,3−ブタンジオールと水との混合液(組成物)を得た。
得られた混合液では、固体成分であるフィブロインが沈殿しており、フィブロインが分散した組成物が得られなかった。
不織布(旭化成(株)、ベンリーゼSE603)に、実施例4、実施例5、参考例2で得られた組成物を適量含浸し、2cm角のパック(ウェットタイプのパック)を得た。
なお、パックの感触(風合い)は、実施例13を基準として評価した。
特に、意外なことに、実施例12及び13では、参考例5及び6に比べて、フィブロイン含有量を大きくしているにもかかわらず、良好な風合いのパックを得ることができた。
実施例2又は参考例2で得られた組成物を用い、以下のようにして、フィルムを作成した。
アルミ箔に紙が裏打ちされた基材を用い、その基材に実施例2又は参考例2で得られた組成物にカルボマーを0.0005g及び脂肪酸ソルビタンエステル0.0005gを用いて作成した溶液を2cm角の枠で形成された基材の上に、それぞれの溶液を2g塗布し、50℃の熱風乾燥器及び真空乾燥機で1時間乾燥させることで、フィルム(厚み1μm)を作成した。
一方、参考例2で得られた組成物を用いて形成したフィルムは、表面に凹凸があり、表面が粗いフィルムであった。
Claims (6)
- フィブロインと液体とを含み、下記条件(1)及び/又は(2)を充足する組成物。
(1)液体がポリオールを液体全体に対して30質量%以上の割合で含む
(2)液体としてのポリオールを組成物全体に対して30質量%以上の割合で含む - フィブロインが液体中に分散又は溶解している請求項1記載の組成物。
- 液体が、C2−4アルカンジオール、ジ乃至トリC2−4アルカンジオール、C3−6アルカントリオール、及びジ乃至トリC3−6アルカントリオールから選択された少なくとも1種のポリオールを含む請求項1又は2記載の組成物。
- フィブロインの割合が組成物全体に対して0.001〜20質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
- 1,3−ブチレングリコールで10倍希釈したときの濁度が80NTU以下である請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
- フィブロインと液体とを混合し、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物を製造する方法。
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