JP7173194B2 - 液晶配向剤、液晶配向膜及びそれを用いた液晶表示素子 - Google Patents
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Description
2.前記重合体が、前記式(1)で表される構造を有するジアミンとテトラカルボン酸二無水物との重縮合物であるポリイミド前駆体及びそのイミド化物であるポイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体である前記1に記載の液晶配向剤。
3.前記ジアミンが、下記の式(2)で表される前記1又は2に記載の液晶配向剤。
4.前記ポリイミド前駆体が、下記式(6)で表される前記1~3に記載の液晶配向剤。
5.前記式(6)中、X1の構造が、後記する式(A-1)~式(A-21)の構造からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記4に記載の液晶配向剤。
6.前記式(6)で表される構造単位を有する重合体が、液晶配向剤に含有される全重合体に対して10モル%以上含有される前記4又は5に記載の液晶配向剤。
7.前記有機溶媒が4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン及びジエチレングリコールジエチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、前記4~6に記載の液晶配向剤。
8.前記1~7のいずれかに記載の液晶配向剤を用いて得られる液晶配向膜。
9.前記8に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
10.液晶表示素子が横電界駆動方式である前記9に記載の液晶表示素子。
11.下記式(1)で表される構造を有するジアミンとテトラカルボン酸二無水物との重縮合物であるポリイミド前駆体及びそのイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体。
12.上記ジアミンが、以下の式(2)で表される前記11に記載の重合体。
13.前記ポリイミド前駆体が、下記式(6)で表される前記11又は12に記載の重合体。
14.前記式(6)中、X1の構造が、後記する式(A-1)~式(A-21)の構造からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記13に記載の重合体。
本発明の液晶配向剤に含有される重合体の有する上記(1)の構造は、導電性ピロール構造及び共役構造を有するが、これにより、例えば液晶配向膜中において、電荷の移動を促進させることができ、蓄積電荷の緩和を促進させることができるものと考えられる。
本発明の液晶配向剤は、下記式(1)の構造を有するジアミン(本発明では、特定ジアミンともいう。)から得られる重合体(本発明では、特定重合体ともいう。)と、有機溶媒とを含有する。
ここにおける一価の有機基としては、炭素数が1~10、好ましくは1~3を有する、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基、又はフルオロアルコキシ基が挙げられる。なかでも、R1は、水素原子、又はメチル基が好ましい。
上記式(2)及び式(2-1)中のnは、1~3の整数を表す。好ましくは1又は2である。
上記特定ジアミンを合成する方法は特に限定されない。例えば、下記式(4)で表されるジニトロ化合物を使用し、その有するニトロ基を還元反応によりアミノ基に変換する方法が挙げられる。
反応温度は特に限定されないが、-100℃から使用する溶媒の沸点までの範囲、好ましくは、-50~150℃である。反応時間は、通常0.05~350時間、好ましくは0.5~100時間である。
イソシアネート類を反応させてR1を導入する場合、イソシアネート類の例としては、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、n-プロピルイソシアネート、フェニルイソシアネートなどが挙げられる。反応溶媒、反応温度は、上記酸ハライドにおける場合と同様である。
アルコールの水酸基をOMs、OTf、OTs等の脱離基に置換したアルコール類を反応させてR1を導入する場合、好ましくは塩基の存在下に行われる。上記アルコール類の例としては、メタノール、エタノール、1-プロパノールなどが挙げられ、これらのアルコール類と、メタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、パラトルエンスルホン酸クロリド等とを反応させることで、OMs、OTf、OTs等の脱離基に置換されたアルコールを得ることができる。塩基の例、反応溶媒、反応温度は、上記酸ハライドにおける場合と同様である。
式(5)の化合物を合成する方法に特に制限はないが、式(5)のピロール環上の置換位置が2位及び4位である場合は、例えば、下記反応式1で表すように、ニトロ基を有するα-ハロケトンとニトロ基を有するケトンとを、好ましくは塩基の存在下に反応させることにより得ることができる。反応式1において、Xは、Br、I又はOTfを表す。
上記反応における速度を促進する目的で、塩化亜鉛、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム等を用いることができる。
上記金属錯体の使用量は、いわゆる触媒量でよく、基質に対して20モル%以下で十分であり、好ましくは10モル%以下である。
本発明の液晶配向剤は、特定ジアミンを用いて得られる重合体である。重合体の具体例としては、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド、ポリウレア、ポリアミドなどが挙げられる。なかでも、下記式(6)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体、及びそのイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である重合体が好ましい。
X1の具体例としては、国際公開公報2015/119168の13頁~14頁に掲載される、式(X-1)~(X-46)の構造などが挙げられる。
本発明の液晶配向剤は、上記式(6)の構造単位を有するポリイミド前駆体のほかに、下記式(7)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体、及びそのイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体を含んでいてもよい。
本発明の液晶配向剤が、式(6)の構造単位を有するポリイミド前駆体と、式(7)の構造単位を有するポリイミド前駆体を含む場合、式(6)の構造単位は、式(6)と式(7)の合計に対して10モル%以上が好ましく、より好ましくは20モル%以上であり、特に好ましくは30モル%以上である。
式(1)で表される2価の基を主鎖に有するポリイミドとしては、前記ポリイミド前駆体を閉環させて得られるポリイミドが挙げられる。このポリイミドにおいては、アミド酸基の閉環率(イミド化率ともいう)は必ずしも100%である必要はなく、用途や目的に応じて任意に調整できる。
ポリイミド前駆体をイミド化させる方法としては、ポリイミド前駆体の溶液をそのまま加熱する熱イミド化、又はポリイミド前駆体の溶液に触媒を添加する触媒イミド化が挙げられる。
本発明の液晶配向剤は、式(1)で表される構造を有するジアミンから得られる重合体(特定重合体)を含有するが、異なる構造の特定重合体を2種以上含有していてもよい。また、特定重合体に加えて、その他の重合体、即ち式(1)で表される2価の基を有さない重合体を含有していてもよい。その他の重合体としては、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ポリオルガノシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレンまたはその誘導体、ポリ(スチレン-フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。本発明の液晶配向剤がその他の重合体を含有する場合、全重合体成分に対する特定重合体の割合は5質量%以上でが好ましく、例えば5~95質量%が挙げられる。
なかでも、1-ヘキサノール、シクロヘキサノール、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、エチレングリコールモノブチルエーテル又はジプロピレングリコールジメチルエーテルを用いることが好ましい。このような溶媒の種類及び含有量は、液晶配向剤の塗布装置、塗布条件、塗布環境などに応じて適宜選択される。
本発明の液晶配向膜は、前記液晶配向剤から得られる。液晶配向膜を得る方法の一例を挙げるなら、塗布液形態の液晶配向剤を基板に塗布し、乾燥し、焼成して得られた膜に対してラビング処理法又は光配向処理法で配向処理を施す方法が挙げられる。
液晶配向剤を塗布する基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、窒化珪素基板とともに、アクリル基板やポリカーボネート基板などのプラスチック基板等を用いることもできる。その際、液晶を駆動させるためのITO電極などが形成された基板を用いると、プロセスの簡素化の点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならば、シリコンウエハーなどの不透明な物でも使用でき、この場合の電極にはアルミニウムなどの光を反射する材料も使用できる。
液晶配向剤を基板上に塗布した後は、ホットプレート、熱循環型オーブン、IR(赤外線)型オーブンなどの加熱手段により、溶媒を蒸発させ、焼成する。液晶配向剤を塗布した後の乾燥、焼成工程は、任意の温度と時間を選択できる。通常は、含有される溶媒を十分に除去するために、50~120℃で1~10分焼成し、その後、150~300℃で、5~120分焼成する条件が挙げられる。
本発明の液晶配向膜は、IPS方式やFFS方式などの横電界方式の液晶表示素子に好適であり、特に、FFS方式の液晶表示素子の液晶配向膜として有用である。
本発明の液晶表示素子は、上記液晶配向剤から得られる液晶配向膜付きの基板を得た後、既知の方法で液晶セルを作製し、該液晶セルを使用して素子としたものである。
液晶セルの作製方法の一例として、パッシブマトリクス構造の液晶表示素子を例にとり説明する。なお、画像表示を構成する各画素部分にTFT(Thin Film Transistor)などのスイッチング素子が設けられたアクティブマトリクス構造の素子であってもよい。
または、基板の上に液晶配向膜を形成した後、一方の基板上の所定の場所にシール材を配置する際に、外部から液晶を充填可能な開口部を設けておき、基板を貼り合わせた後、液晶材料をシール材に設けた開口部を通じて液晶セル内に注入し、次いで、この開口部を接着剤で封止して液晶セルを得る。液晶材料の注入は、真空注入法でもよいし、大気中で毛細管現象を利用した方法でもよい。
なお、本発明の液晶配向膜及び液晶表示素子は、本発明の液晶配向剤を用いている限り上記の記載に限定されるものでは無く、その他の公知の手法で作製されたものであっても良い。液晶配向剤から液晶表示素子を得るまでの工程は、例えば、日本国特開2015-135393号の17頁の段落0074~19頁の段落0081などに開示されている。
NMP:N-メチル-2-ピロリドン、GBL:γ―ブチロラクトン、
BCS:ブチルセロソルブ
<添加剤>
LS-4668:3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
装置:Varian NMR system 400NB(400MHz)(Varian社製)、及びJMTC-500/54/SS(500MHz)(JEOL社製)
測定溶媒:CDCl3(重水素化クロロホルム),DMSO-d6(重水素化ジメチルスルホキシド)
基準物質:TMS(テトラメチルシラン)(δ:0.0ppm,1H)及びCDCl3(δ:77.0ppm,13C)
常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC-101)(昭和電工社製)、及びカラム(KD-803,KD-805)(Shodex社製)を用いて、以下のようにして測定した。
カラム温度:50℃
溶離液:N,N’-ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム-水和物(LiBr・H2O)が30mmol/L(リットル)、リン酸・無水結晶(o-リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量;約900,000、150,000、100,000、及び30,000、東ソー社製)及びポリエチレングリコール(分子量;約12,000、4,000、及び1,000、ポリマーラボラトリー社製)。
ポリアミック酸溶液の粘度は、E型粘度計TVE-22H(東機産業社製)を用い、温度25℃において、サンプル量1.1mL、コーンロータTE-1(1°34’、R24)で測定した。
1H-NMR(DMSO-d6):8.40-8.36(4H,m),8.28-8.24(4H,m),3.53(4H,s)
1H-NMR(DMSO-d6):11.8(1H,br),8.30-8.26(4H,m),8.11-8.07(4H,m),7.04(2H,s)
1H-NMR(DMSO-d6):10.6(1H,s),7.39-7.35(4H,m),6.57-6.53(4H,m),6.19(2H,s),5.01(4H,s)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mlの四つ口フラスコにDA-1を(2.49g,10.0mmol)加えた後、NMP29.0gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。この溶液を撹拌しながら、CA-2を(0.98g,5.0mmol)、及びNMPを3.6g(表1中の追加量1)加えた後、25℃条件下にて1時間攪拌した。その後、CA-1を(0.87g,4.0mmol)加え、NMPを3.6g(表1中の追加量2)加えた後、さらに50℃条件下にて12時間攪拌することで樹脂固形分濃度12質量%のポリアミック酸溶液(PAA-A1)を得た。このポリアミック酸溶液の粘度は300mPa・sであった。
表1に示す、テトラカルボン酸酸二無水物成分、ジアミン成分、及びNMP量を使用し、それぞれ、表1に示す反応温度にせしめた他は、合成例1と同様に実施することにより、表1に示す固形分濃度及び粘度を有するポリアミック酸溶液(PAA-A2)~(PAA-A9)及びポリアミック酸溶液(PAA-B1)~((PAA-B7)を得た。
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの200mlの四つ口フラスコにDA-6(4.03g,16.5mmol)、DA-7を(3.59g、9.0mmol)、及びDA-8を(2.50g、4.5mmol)加えた後、NMPを102.1g加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。この溶液を撹拌しながらCA-4を(4.37g、19.5mmol)、及びNMPを12.8g加え、40℃条件下にて3時間攪拌した。その後、25℃条件下にてCA-2を(1.71g,8.7mmol)、及びNMPを12.8g加えた後、さらに12時間攪拌することで樹脂固形分濃度15質量%のポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液の粘度は820mPa・sであった。
このポリアミック酸溶液を80.0g分取し、NMPを70.0g加えた後、無水酢酸を6.8g、及びピリジンを1.8g加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール555.0gに注ぎ、生成した沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、60℃で減圧乾燥しポリイミドの粉末を得た。このポリイミドのイミド化率は75%であった。得られたポリイミド粉末80.0gにNMP586.7gを加えて50℃にて20hr攪拌して溶解させることでポリイミド溶液(SPI-B8)を得た。
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mlの四つ口フラスコにDA-6を(2.20g,9.0mmol)、DA-13を(1.62g,15.0mmol)、及びDA-14を(2.45g,6.0mmol)加えた後、NMPを81.8g加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。この溶液を撹拌しながらCA-4を(6.52g,29.10mmol)加えNMPを9.1g加えた後、40℃条件下にて24時間攪拌することで樹脂固形分濃度12質量%のポリアミック酸溶液(PAA-B9)を得た。このポリアミック酸溶液の粘度は386mPa・sであった。
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの200mlの四つ口フラスコにDA-1(2.62g,10.5mmol)、DA-2(1.39g,7.0mmol)、及びDA-3(3.49g,17.5mmol)を加えた後、NMP70.0gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。この溶液を撹拌しながら、CA-2を(1.70g,8.7mmol)、及びNMPを9.5g加えた後、25℃条件下にて1時間攪拌した。その後、CA-3を(6.57g,26.3mmol)加え、NMPを9.5g加えた後、さらに50℃条件下にて12時間攪拌することで樹脂固形分濃度12質量%のポリアミック酸溶液(PAA-A10)を得た。このポリアミック酸溶液の粘度は375mPa・sであった。
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mlの四つ口フラスコにDA-1(1.12g,4.5mmol)、DA-2(0.59g,3.0mmol)、及びDA-3(1.49g,7.5mmol)を加えた後、NMP:GBL=1:1混合溶媒31.0gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。この溶液を撹拌しながら、CA-2を(1.15g,5.9mmol)、及びNMP:GBL=1:1混合溶媒を10.0g加えた後、25℃条件下にて1時間攪拌した。その後、CA-5を(2.60g,8.8mmol)加え、NMP:GBL=1:1混合溶媒を10.0g加えた後、さらに50℃条件下にて12時間攪拌することで樹脂固形分濃度12質量%のポリアミック酸溶液(PAA-A12)を得た。このポリアミック酸溶液の粘度は200mPa・sであった。
合成例1~16、18で得られたポリアミック酸溶液、及び合成例17で得られたポリイミド溶液を、下記の表2-1及び表2-2に示される、ポリマー1及びポリマー2の比率になるように混合して得られる溶液に対して、NMP、GBL、BCS、LS-4668を1重量%含むNMP溶液、及びAD-1を3重量%含むNMP溶液を、表2-1及び表2-2に示す組成になるように、攪拌しながら加え、更に室温で2時間撹拌することにより実施例1~22及び比較例1~6の液晶配向剤を得た。
30mm×35mmの大きさで、厚さが0.7mmの電極付きのガラス基板を準備した。基板上には第1層目として対向電極を構成する、ベタ状のパターンを備えたIZO電極が形成されている。第1層目の対向電極の上には第2層目として、CVD法により成膜されたSiN(窒化珪素)膜が形成されている。第2層目のSiN膜の膜厚は500nmであり、層間絶縁膜として機能する。第2層目のSiN膜の上には、第3層目としてIZO膜をパターニングして形成された櫛歯状の画素電極が配置され、第1画素及び第2画素の2つの画素を形成している。各画素のサイズは、縦10mmで横約5mmである。このとき、第1層目の対向電極と第3層目の画素電極とは、第2層目のSiN膜の作用により電気的に絶縁されている。
上記液晶配向膜付きの2種類の基板を用いて、それぞれのラビング方向が逆平行になるように組み合わせ、液晶注入口を残して周囲をシールし、セルギャップが3.8μmの空セルを作製した。この空セルに液晶(メルク社製、MLC-3019、)を常温で真空注入した後、注入口を封止してアンチパラレル配向の液晶セルとした。得られた液晶セルは、FFSモード液晶表示素子を構成した。その後、液晶セルを120℃で1時間加熱し、一晩放置してから下記する各評価に使用した。
以下の光学系等を用いて残像の評価を行った。すなわち、作製した液晶セルを偏光軸が直交するように配置された2枚の偏光板の間に設置し、電圧無印加の状態でLEDバックライトを点灯させておき、透過光の輝度が最も小さくなるように、液晶セルの配置角度を調整した。次に、この液晶セルに周波数30Hzの交流電圧を印加しながらV-Tカーブ(電圧-透過率曲線)を測定し、相対透過率が23%となる交流電圧を駆動電圧として算出した。
残像評価では、相対透過率が23%となる周波数30Hzの交流電圧を印加して液晶セルを駆動させながら、同時に1Vの直流電圧を印加し、30分間駆動させた。その後、印加直流電圧値を0Vにして直流電圧の印加のみを停止し、その状態でさらに15分駆動した。
作製した液晶セルを偏光軸が直交するように配置された2枚の偏光板の間に設置し、電圧無印加の状態でLEDバックライトを点灯させておき、透過光の輝度が最も小さくなるように、液晶セルの配置角度を調整した。次に、この液晶セルに周波数30Hzの交流電圧を印加しながらV-Tカーブ(電圧-透過率曲線)を測定し、相対透過率が23%となる交流電圧を駆動電圧として算出した。
フリッカーレベル(%)={フリッカー振幅/(2×z)}×100
フリッカーレベルは、LEDバックライトの点灯及び交流電圧の印加を開始した時点から60分間が経過するまでに、フリッカーレベルが3%未満を維持した場合に「○」と評価した。60分間でフリッカーレベルが3%以上に達した場合に「×」と評価した。
そして、上述した方法に従うフリッカーレベルの評価は、液晶セルの温度が23℃の状態の温度条件下で行った。
上記実施例1~22、及び比較例1~5の各液晶配向剤を使用する液晶表示素子について、上記で実施した残像消去時間の評価、及び駆動直後のフリッカーレベルの評価の結果を表3に示す。
液晶配向剤を孔径1.0μmのフィルターで濾過した後、準備された上記電極付き基板と対向基板として裏面にITO膜が成膜されており、かつ高さ4μmの柱状のスペーサーを有するガラス基板のそれぞれにスピンコートした。次いで、80℃のホットプレート上で5分間乾燥後、230℃で30分間焼成して膜厚100nmの塗膜として、各基板上にポリイミド膜を得た。この塗膜面に偏光板を介して消光比26:1の直線偏光した波長254nmの紫外線を300mJ/cm2照射した。この基板を、230℃のホットプレート上で30分間加熱し、液晶配向膜付き基板を得た。上記、2枚の基板を一組とし、基板上にシール剤を印刷し、もう1枚の基板を、液晶配向膜面が向き合い配向方向が0°になるようにして張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、ネガ型液晶のMLC-7026-100(メルク社製)を注入し、注入口を封止して、FFS駆動液晶セルを得た。その後、得られた液晶セルを110℃で1時間加熱し、一晩放置してから下記の各評価に使用した。
ラビング法による液晶表示素子の場合と同様にして、上記で作製した光配向法による液晶表示素子の光学系等を用いて残像の評価を行った。
なお、残像評価は、ラビング法による液晶表示素子の場合と異なり、直流電圧の印加を開始した時点から30分間が経過するまでに、相対透過率が23%に低下した時間を数値化した。5分以内に相対透過率が23%に低下した場合は「○」に、6~30分以内であれば「△」と定義した。相対透過率が23%に低下するまでに30分間以上を要した場合に、残像消去不可とし、「×」と定義した。
ラビング法による液晶表示素子の場合と同様にして、上記で作製した光配向法による液晶表示素子の光学系等を用いて残像の評価を行った。
上記実施例19及び比較例6で得られた液晶配向剤を使用する液晶表示素子について、上記で実施した残像消去時間の評価、及び駆動直後のフリッカーレベルの評価の結果を表4に示す。
なお、2016年1月22日に出願された日本特許出願2016-010996号及び2016年6月1日に出願された日本特許出願2016-110237号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
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