JP7172133B2 - 包装袋 - Google Patents

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本発明は、電子レンジを用いて加熱することができ、包装袋のまま開封せずに食品を好適に加熱調理することが可能な包装袋に関するものであり、さらに、落下などの衝撃によっても破袋しにくいパウチに関するものである。
従来から、調理済みまたは半調理状態の食品を、常温、低温、あるいは冷凍保存可能に包装袋に収容し、開封せずに電子レンジで加熱して調理することのできる、包装袋入りの食品が知られている。包装袋を開封せずに電子レンジで加熱すると、包装袋内の水分が水蒸気となり、包装袋の体積が増加して内圧が高まるので、水蒸気が逃げられる隙間がないと破裂などの虞がある。そのため、例えば特許文献1のパウチのように、側部シール部に他の部分に先だって剥離して水蒸気などを放出する未シール部と張出部分を設けて蒸気抜きシール部とすることなどが行われている。
また、包装袋は、輸送時や取り扱い時に落下したときの衝撃により破袋し、内容物が漏出してしまうことがある。これを防ぐためには、ヒートシール時のシール圧を高めて強くシールする、また例えば特許文献2のように、スタンディングパウチの底部フィルムの折り目とパウチ側面の折り曲げのための折り曲げ線の交点をボトムシール部内に位置する様にして、落下時の衝撃が前記交点に集中することを防ぐ、などといった手法も行われていた。
しかし、電子レンジ加熱用の包装袋の場合、前述のように蒸気抜きシール部が設けられ、蒸気抜きシール部は加熱時の内圧により自然に開封する様にされているため、他の部分よりも剥離しやすくなっており、特許文献2に開示されているような構造を採用した場合でも、落下時の衝撃により蒸気抜きシール部が剥離して包装袋が開封され、内容物の漏出が起こることがあった。またヒートシール時のシール圧を高めて強くシールした場合、蒸気抜きの際のシール部の剥離がうまく行かずに内圧が高まりすぎて袋が破裂してしまったり、シールの際にシーラント樹脂が流れてシール部の厚みが薄くなってしまう、いわゆるシール痩せと称される現象が生じて逆に破袋し易くなったりすることがあり、問題となっていた。
特開2017-149487号公報 特開2015-214352号公報
本発明は以上の様な従来技術に鑑みなされたもので、電子レンジ加熱用の包装袋であって、電子レンジ加熱時には自然に蒸気抜きが行え、かつ落下時の衝撃による破袋の虞を抑制できる包装袋を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明は、
一対のシートを重ね合わせて縁をシールして内容物を収容する収容空間が形成された包装袋であって、
前記一対のシートの縁に沿う第1のシール部、および前記収容空間側に向けて凹んだ形状を有する第2のシール部、を含むシール部と、
前記収容空間側が前記第2のシール部により囲まれ、かつ前記収容空間とは反対側に開いたシールされていない部分である未シール部と、を備え、
前記第2のシール部は、前記収容空間側に突出した先端部と、前記先端部と前記第1のシール部とを繋げる接続部とを有し、
前記第2のシール部は、未シール部を囲む第2の領域とこの第2の領域を囲んでこの第2の領域より前記収容空間側に位置する第1の領域とで構成されており、前記第1の領域が第1のシール強度を有し、前記第2の領域が第2のシール強度を有し、
前記第1のシール強度よりも前記第2のシール強度が大きいことを特徴とする包装袋である。
また、本発明の請求項2に係る発明は、
前記第1のシール強度が、25~30N/15mmであることを特徴とする請求項1に記載の包装袋である。
また、本発明の請求項3に係る発明は、
前記第2のシール強度が、30~50N/15mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の包装袋である。
また、本発明の請求項4に係る発明は、
前記未シール部が、前記第1のシール部よりも前記収容空間側に入り込んでいることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の包装袋である。
また、本発明の請求項5に係る発明は、
前記接続部は、前記先端部側から前記第1のシール部側に向けて進行する前記第2のシール部の剥離を規制する剥離規制部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の包装袋である。
また、本発明の請求項6に係る発明は、
前記収容空間側に向けて窪んだ形状が、台形、V字形、U字形のいずれかであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の包装袋である。
また、本発明の請求項7に係る発明は、
前記1対のシートの下端側に逆V字状に二つ折りした底シートを挟みこみ、縁をシールしたスタンディングパウチ形状であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の包装袋である。
また、本発明の請求項8に係る発明は、
請求項1から7のいずれかに記載の包装袋の製造方法であって、前記第2のシール部をヒートシールする際、前記第1のシール強度とする部位のヒートシール後に、前記第2のシール強度とする部位をヒートシールすることを特徴とする包装袋の製造方法である。
本発明によれば、包装袋を電子レンジで加熱する際、内容物の水分から生じる水蒸気の圧力により包装袋のシール部の一部である第2のシール部が剥離して開口を形成することにより、内圧が高くなり過ぎて袋が破裂することを防ぎ、水蒸気による暖めや調理、蒸らしができると共に、包装袋の輸送や取扱い中に落下による衝撃などに耐えて破袋を防ぐことができる。
すなわち、シール強度を他のシール部と同等として、または強くして、または弱くしてシール強度を全体で一様にした従来の蒸気抜きシール部と異なり、本発明の包装袋の蒸気
抜きシール部である第2のシール部は、収容空間側を第1のシール強度、未シール部側を第2のシール強度とし、第2のシール強度を第1のシール強度より大きくすることにより、シール強度を強くした部位でもシール痩せが生じ難くすることができ、第2のシール強度を有する部分により包装袋の落下に伴う衝撃による破袋を抑制できるシール強度を有すると共に、電子レンジによる加熱時においては、内容物から発生した水蒸気の内圧により、シール強度のより低い第1のシール強度を有する収容空間側から第2のシール部の剥離が進み、徐々にシール強度がより高い第2のシール強度を有する未シール部側の剥離に至り、剥離が未シール部に達することで蒸気抜きシール部が開口して未シール部から蒸気を放出することで袋の破裂を防ぐことができる包装袋が得られる。
本発明の包装袋の一形態の正面図である。 充填口を封止した状態の包装袋の正面図である。 蒸気抜きシール部の拡大図である。 蒸気抜きシール部が実際に開封される様子を例示した図である。 蒸気抜きシール部に剥離規制部を設けた例の拡大図である。 蒸気抜きシール部の別形態の例の模式図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また以下において同等の部材等には同じ符号を付して説明を省略することがある。
図1および図2は、本発明の包装袋の一構成例を示す図である。本発明の包装袋1は、1対の積層シート2、3を対向させて表裏のシートとし、底部に逆V字に折畳んだ底シート4を挟みこんで縁で貼り合せて右辺シール部7、左辺シール部8および底辺シール部9とし、内部に収容空間5を設けたスタンディングパウチの形態である。図1は天辺側を開口した状態を示していて、天辺が内容物の充填口6となっている。充填口6から内容物20を充填した後にシールして天辺シール部6´として包装袋1を密封した状態を例示したのが図2である。なお包装袋1は、例示したようなスタンディングパウチに限られず、例えば平パウチの形態であっても良い。また、1枚の積層シートを二つ折りにして、縁でシールした三方シール袋の形状であっても良い。
積層シート2、3は例えば以下のような層構造を有する。
積層シート2、3は最外層、中間層、および、最内層を含む。最外層を構成する材料の一例は透明な材料である。透明な材料の一例はポリエチレンテレフタレートである。中間層は印刷層、第1の接着層、延伸ナイロン層、および、第2の接着層を含む。印刷層は最外層の内側に設けられる。一例では印刷層の外面に絵柄および商品説明のテキスト等が印刷される。第1の接着層は印刷層の内側に設けられる。延伸ナイロン層は第1の接着層の内側に設けられる。第2の接着層は延伸ナイロン層の内側に設けられる。各接着層を構成する材料の一例はドライラミネート接着剤である。最内層は第2の接着層の内側に設けられる。最内層はシーラント層とすることができる。最内層を構成する材料の一例は無延伸ポリプロピレンである。
右辺シール部7、左辺シール部8、底辺シール部9および天辺シール部6´を総じて第1のシール部として、右辺シール部7の天辺側に、収容空間5側に向けて凹んだ形状を有する蒸気抜きシール部10である第2のシール部10が設けられている。第2のシール部10は、第1のシール部に接続する接続部11と、収容空間5側に突出した先端部12を有しており、第2のシール部10に囲まれた領域はシールされていない未シール部13となっている。未シール部13は、右辺シール部7のシール幅を超えて収納空間5側に入り
込んでいる。
蒸気抜きシール部10である第2のシール部10は、封止された状態の包装袋1が電子レンジなどの加熱手段により加熱される際に内容物20から発生した水蒸気を収容空間5の外部に排出するために設けられた部分である。蒸気抜きシール部10である第2のシール部10は、接続部11で右辺シール部7と連続し、右辺シール部7とともに積層シート2、3の側部をシールしている。なお蒸気抜きシール部10である第2のシール部10は、左辺シール部8に設けられても良いことは言うまでもない。
第2のシール部10は、収容空間5側の部分14が第1のシール強度を有し、未シール部13側の部分15が第2のシール強度を有してシールされており、第2のシール強度は第1のシール強度よりも大きくなっている。それぞれのシール強度は、積層シート2、3の材質や内容物の加熱温度などに応じて適宜設定することができるが、例えばJIS Z
1707:1997に規定のヒートシール強さに基づく測定値が、第1のシール強度を25~30N/15mm、第2のシール強度を30~50N/15mmとすると好ましい。
図3は蒸気抜きシール部10の拡大図である。第1のシール強度を有する収容空間5側の部分14のシール幅W1は、1mm~3mmとすると好ましい。第2のシール強度を有する未シール部13側の部分15の幅W2は、2mm~3mmとすると落下時にも破袋しない十分なシール強度が得られ好ましい。第1のシール強度を有する部分14と第2のシール強度を有する部分15のシール強度、シール幅を上記のように設定することで、落下時の衝撃によっては破袋せず、使用の際に加熱した時には内圧が過剰に上昇して袋の破裂に至る前に蒸気抜き部10でのシール剥がれが起きて蒸気抜きをより安定して行える。
第1のシール強度を有する部分14と第2のシール強度を有する部分15を設ける際は、第1のシール強度を有する部分14を先に形成し、その後、第2のシール強度を有する部分15を設けるようにするのが望ましい。第1のシール強度を有する部分14が先に設けられていることにより、第2のシール強度を有する部分15を設けるためにより強いシール圧を加えても、積層体2、3のシーラント層の流動が第1のシール強度を有する部分14に規制されて流動し難く、シール痩せを起こし難くなるためである。
また実際に設ける方法としては、第1のシール強度を有する部分14と第2のシール強度を有する部分15をそれぞれ別個のシール型を用いるなどしてシール温度、シール圧、シール時間などのシール条件を別個に設定してヒートシールしても良いが、例えば、最初に第1のシール強度を有する部分14と第2のシール強度を有する部分15を合わせたシール型で同時に同条件でヒートシールし、次いで第2のシール強度を有する部分15のみを再度ヒートシールしても良い。すなわち、第2のシール強度を有する部分15は2回ヒートシールすることで、シール強度が高くなる様にすることもできる。
右辺シール部7、左辺シール部8の一方または両方の天辺近傍に、包装袋を切り裂いて開封する補助となるノッチ(図示せず)を設けても良い。またノッチの延長上に、天辺シール部6´に平行に切取線(図示せず)を設けても良い。ノッチから切取線に沿って包装袋1の一部を容易に切り取ることができ、天辺の部分が開口され、使用者は、開口された天辺から内容物20を取り出すことができる。ノッチ、切取線はいずれも公知の方法を適宜採用して設けることができ、例えばノッチはカッター刃により切込みや型刃によるV字状の切欠きなどにより設けることができ、切取線は傷加工やレーザー加工によりハーフカット線を設ける、直線カット性のフィルムを貼り付けるなどの方法により設けることができる。
図4は、蒸気抜きシール部10が実際に開封される様子を例示した図である。左側の図で、包装袋を加熱すると、内容物の水分が水蒸気となることなどにより袋の内圧が上昇する。内圧による応力17は蒸気抜きシール部10の収容空間5側に突出した先端部12の中でも特に突出した部位、図では左下部分に集中し、まず第1のシール強度を有する部分14でシール剥がれが始まる。この時点では、シール剥がれは第2のシール強度を有する部分15では起こっておらず、非シール部13が袋の端縁に達して形成された開口16からの蒸気抜きは発生していない。
袋の加熱が進み、内圧がさらに高まってくると、右側の図のように、蒸気抜きシール部10に掛かる応力はさらに強くなり、第1のシール強度を有する部分14よりも強いシール強度でシールされた第2のシール強度を有する部分15でもシール剥がれが発生し始め、シール剥がれが未シール部13に達すると袋の内部と外部が連通し、開口16から蒸気18が噴出し、蒸気抜きが行われる。
このとき、未シール部13が右辺シール部7のシール幅を超えて収納空間5側に入り込んでいることで、先端部12のシール剥がれが自然に未シール部13に達して蒸気抜きがスムーズに行える。そうでない場合、先端部12のシール剥がれの進行が右辺シール部7により規制を受け、未シール部13まで達し難くなる可能性があり、蒸気抜きが不安定となってしまう虞がある。
また、蒸気抜きシール部10の剥離が、先端部12の特定の部位から徐々に進行する様に、剥離を規制する剥離規制部を設けても良い。図5は、剥離規制部19において第1のシール強度を有する部分14の幅W3を広く設定することで、図の左下側からの徐々に剥離が進行し易くなる様にした例である。これにより、第2のシール強度を有する部分15の剥離も左下側から徐々に進行し易くなり、未シール部13への連通も徐々に進み、蒸気の放出が急に起こる虞が抑制できる。なお、剥離規制部で第2のシール強度を有する部分15の幅を広くする様にしても良い。
図6は、蒸気抜きシール部10である第2のシール部10の別形態の例の模式図である。第2のシール部10は、図1などに例示したような台形に限られず、形成し易い比較的単純な形状とすれば特に制限はないが、例えば図5(a)に示すようなV字状や、図5(b)に示すようなU字状であっても良い。いずれの形状であっても、第2のシール部10に囲まれて未シール部13が設けられており、収納空間5側が第1のシール強度を有する部分14とされ、未シール部13側が第2のシール強度を有する部分15とされている。
以上説明したように、本発明によれば、電子レンジで加熱する際、内容物の水分から生じる水蒸気の圧力によりシール部の一部である第2のシール部が剥離して開口部を形成することにより、内圧が高くなり過ぎて破袋することを防ぎ、水蒸気による暖めや調理、蒸らしができると共に、包装袋の輸送や取扱い中に落下による衝撃などに耐えて破袋を防ぐことができる包装袋が得られる。
1・・・包装袋
2、3・・・積層シート
4・・・底シート
5・・・収納空間
6・・・充填口
6´・・・天辺シール部
7・・・右辺シール部
8・・・左辺シール部
9・・・底辺シール部
10・・・蒸気抜きシール部(第2のシール部)
11・・・接続部
12・・・先端部
13・・・未シール部
14・・・収容空間側の部分
15・・・未シール部側の部分
16・・・開口
17・・・応力
18・・・蒸気
19・・・剥離規制部
20・・・内容物

Claims (8)

  1. 一対のシートを重ね合わせて縁をシールして内容物を収容する収容空間が形成された包装袋であって、
    前記一対のシートの縁に沿う第1のシール部、および前記収容空間側に向けて凹んだ形状を有する第2のシール部、を含むシール部と、
    前記収容空間側が前記第2のシール部により囲まれ、かつ前記収容空間とは反対側に開いたシールされていない部分である未シール部と、を備え、
    前記第2のシール部は、前記収容空間側に突出した先端部と、前記先端部と前記第1のシール部とを繋げる接続部とを有し、
    前記第2のシール部は、未シール部を囲む第2の領域とこの第2の領域を囲んでこの第2の領域より前記収容空間側に位置する第1の領域とで構成されており、前記第1の領域が第1のシール強度を有し、前記第2の領域が第2のシール強度を有し、
    前記第1のシール強度よりも前記第2のシール強度が大きいことを特徴とする包装袋。
  2. 前記第1のシール強度が、25~30N/15mmであることを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
  3. 前記第2のシール強度が、30~50N/15mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の包装袋。
  4. 前記未シール部が、前記第1のシール部よりも前記収容空間側に入り込んでいることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の包装袋。
  5. 前記接続部は、前記先端部側から前記第1のシール部側に向けて進行する前記第2のシール部の剥離を規制する剥離規制部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の包装袋。
  6. 前記収容空間側に向けて凹んだ形状が、台形、V字形、U字形のいずれかであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の包装袋。
  7. 前記1対のシートの下端側に逆V字状に二つ折りした底シートを挟みこみ、縁をシールしたスタンディングパウチ形状であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の包装袋。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の包装袋の製造方法であって、前記第2のシール部をヒートシールする際、前記第1のシール強度とする部位のヒートシール後に、前記第2のシール強度とする部位をヒートシールすることを特徴とする包装袋の製造方法。
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