JP7168952B2 - レジストパターン形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、レジストパターン形成方法に関し、特には、極端紫外線(EUV)を用いたレジストパターン形成方法に関するものである。
従来、半導体製造等の分野において、電子線などの電離放射線や紫外線などの短波長の光の照射により主鎖が切断されて現像液に対する溶解性が増大する重合体が、主鎖切断型のポジ型レジストとして使用されている(例えば、特許文献1,2参照)。
ここで、近年では、電子線等と比較して露光の際の近接効果が少なく、また、微細なパターン形成を可能にする技術として、極端紫外線(EUV:Extreme ultraviolet)を用いたEUVリソグラフィ技術が注目されている。
そして、例えば非特許文献1では、α-メチルスチレン単位とα-クロロアクリル酸メチル単位とを含有するα-メチルスチレン・α-クロロアクリル酸メチル共重合体よりなるポジ型レジスト用いて形成したレジスト膜について、極端紫外線を用いて露光を行った際のパターニング性能を評価している。
特公平8-3636号公報 国際公開第2017/130872号
Roberto Fallica,他6名、"Lithographic performance of ZEP520A and mr-PosEBR resists exposed by electron beam and extreme ultraviolet lithography"、Journal of Vacuum Science & Technology B、2017年10月
しかし、α-メチルスチレン・α-クロロアクリル酸メチル共重合体よりなるポジ型レジストを用いて形成したレジスト膜を極端紫外線で露光する上記従来のレジストパターン形成方法には、極端紫外線に対するレジスト膜の感度が低く、レジストパターンを効率的に形成し得るようにするという点において改善の余地があった。
そこで、本発明は、極端紫外線を用いてレジストパターンを効率的に形成し得る方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、所定の共重合体を含むポジ型レジスト組成物を用いて形成したレジスト膜が、極端紫外線に対する感度が高く、当該レジスト膜を極端紫外線で露光すればレジストパターンを効率的に形成し得ることを新たに見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のレジストパターン形成方法は、下記一般式(I):
Figure 0007168952000001
〔一般式(I)中、Bは、置換基を有していてもよい架橋環式飽和炭化水素環基であり、nは、0又は1である。〕
で表される単量体単位(A)と、
下記一般式(II):
Figure 0007168952000002
〔一般式(II)中、Rは、アルキル基であり、pは、0以上5以下の整数であり、Rが複数存在する場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。〕
で表される単量体単位(B)とを有する共重合体と、溶剤とを含むポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜を極端紫外線で露光する工程と、
露光された前記レジスト膜を現像する工程と、
を含むことを特徴とする。
このように、上記所定の単量体単位(A)および単量体単位(B)を含有する共重合体を含むポジ型レジスト組成物を用いて形成したレジスト膜を極端紫外線で露光すれば、レジストパターンを効率的に形成することができる。
ここで、本発明のレジストパターン形成方法は、前記Bが、置換基を有していてもよいアダマンチル基であることが好ましい。Bが置換基を有していてもよいアダマンチル基であれば、レジスト膜の極端紫外線に対する感度を更に向上させることができる。
本発明によれば、極端紫外線を用いてレジストパターンを効率的に形成することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明のレジストパターン形成方法は、電子線等と比較して露光の際の近接効果が少なく、また、微細なパターン形成を可能にする極端紫外線を用いてレジストパターンを形成する方法であり、例えば、LSI(Large Scale Integration)などの半導体デバイス、及び、基板上に遮光層または反射層が形成されてなるマスクブランクスなどの製造プロセスにおいてレジストパターンを形成する際に好適に用いることができる。
(レジストパターン形成方法)
本発明のレジストパターン形成方法では、以下に詳述するポジ型レジスト組成物および極端紫外線を用いる。具体的には、本発明のレジストパターン形成方法は、所定の共重合体を含む所定のポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程(レジスト膜形成工程)と、レジスト膜を極端紫外線で露光する工程(露光工程)と、露光されたレジスト膜を現像する工程(現像工程)とを含み、任意に、現像されたレジスト膜をリンスする工程(リンス工程)を更に含む。
<レジスト膜形成工程>
レジスト膜形成工程では、レジストパターンを利用して加工される基板などの被加工物の上に、ポジ型レジスト組成物を塗布し、塗布したポジ型レジスト組成物を乾燥させてレジスト膜を形成する。ここで、基板としては、特に限定されることなく、LSI(Large Scale Integration)などの半導体デバイスの製造等に用いられるシリコン基板、及び、基板上に遮光層または反射層が形成されてなるマスクブランクスなどを用いることができる。
また、ポジ型レジスト組成物の塗布方法および乾燥方法としては、特に限定されることなく、レジスト膜の形成に一般的に用いられている方法を用いることができる。例えば、スピンコート法で基板上にレジスト溶液を塗布し、ホットプレート上でソフトベークを行うことでレジスト膜を形成することができる。ソフトベークの温度は特に限定されないが、100℃以上、200℃以下とすることができる。また、ソフトベーク時間は、例えば30秒以上60分以下とすることができる。
そして、本発明のパターン形成方法では、以下のポジ型レジスト組成物を使用する。
なお、極端紫外線に対する感度を更に向上させる観点からは、レジスト膜形成工程で形成されるレジスト膜の密度は、1.15g/cm以上であることが好ましく、1.18g/cm以上であることがより好ましい。ここで、レジスト膜の密度は、共重合体の組成やレジスト膜の形成条件を変更することにより調整することができる。ここで、レジスト膜の密度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
[ポジ型レジスト組成物]
ポジ型レジスト組成物は、以下に詳述する所定の共重合体と、溶剤とを含み、任意に、レジスト組成物に配合され得る既知の添加剤を更に含有する。
-共重合体-
本発明のレジストパターン形成方法にて使用するポジ型レジスト組成物に含有される共重合体は、下記の一般式(I):
Figure 0007168952000003
〔一般式(I)中、Bは、置換基を有していてもよい架橋環式飽和炭化水素環基であり、nは、0又は1である。〕
で表される単量体単位(A)と、
下記一般式(II):
Figure 0007168952000004
〔一般式(II)中、Rは、アルキル基であり、pは、0以上5以下の整数であり、Rが複数存在する場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。〕
で表される単量体単位(B)とを有する。
なお、共重合体は、単量体単位(A)および単量体単位(B)以外の任意の単量体単位を含んでいてもよいが、共重合体を構成する全単量体単位中で単量体単位(A)および単量体単位(B)が占める割合は、合計で90mol%以上であることが好ましく、100mol%(即ち、共重合体は単量体単位(A)および単量体単位(B)のみを含む)ことが好ましい。
また、上記共重合体は、単量体単位(A)および単量体単位(B)を有する限りにおいて、特に限定されることなく、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体(ABAB・・・)、などのいずれであってもよいが、交互共重合体を90質量%以上(上限は100質量%)含む共重合体であることが好ましい。
そして、共重合体は、所定の単量体単位(A)および単量体単位(B)を含んでいるので、極端紫外線が照射されると、主鎖が切断されて低分子量化する。また、上記共重合体は、単量体単位(A)中に架橋環式飽和炭化水素環基が含まれている。このような架橋環式飽和炭化水素環基を有する共重合体は、架橋環式飽和炭化水素環の嵩高く且つ剛直な構造の寄与によるものと推察されるが、ドライエッチングに使用される、イオン、高速中性粒子、ラジカル等により分解され難い。したがって、上記共重合体を主鎖切断型のポジ型レジストとして使用すれば、耐ドライエッチング性に優れるレジストパターンを良好に形成することができる。
--単量体単位(A)--
ここで、単量体単位(A)は、下記の一般式(III):
Figure 0007168952000005
〔式(III)中、B及びnは、式(I)と同様である。〕で表される単量体(a)に由来する構造単位である。
そして、共重合体を構成する全単量体単位中の単量体単位(A)の割合は、特に限定されることなく、例えば30mol%以上70mol%以下とすることができる。
ここで、式(I)および(III)中のBを構成し得る「架橋環式飽和炭化水素環基」とは、当該基中に存在する最も炭素数が多い飽和炭化水素環(最大飽和炭化水素環)の、互いに隣接しない2以上の原子を連結する架橋基を1つ以上有する環構造からなる基をいう。
最大飽和炭化水素環としては、シクロヘキサン、シクロオクタンが挙げられる。
そして、最大飽和炭化水素環の互いに隣接しない2以上の原子を連結する架橋基としては、2価の基であれば特に限定されないが、アルキレン基であることが好ましく、メチレン基であることがより好ましい。
具体的な架橋環式飽和炭化水素環基としては、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基が挙げられ、重合体の電離放射線等に対する感度を向上させる観点からは、アダマンチル基が好ましい。アダマンチル基は嵩高い構造であるので、溶解特性が向上(溶解特性にコントラストがつく)し、感度がより向上すると推測される。
また、式(I)および(III)中のBを構成し得る架橋環式飽和炭化水素環基は、置換基を有していてもよい。架橋環式飽和炭化水素環基が有し得る置換基としては、特に限定されることなく、メチル基、エチル基などのアルキル基や、水酸基などが挙げられる。架橋環式飽和炭化水素環基が、置換基を複数有する場合、それらの置換基は、同一であっても、異なっていてもよい。また、架橋環式飽和炭化水素環基が、置換基を複数有する場合、2つの置換基が一緒になって結合して、ラクトン環(例えば、γ-ブチロラクトン環)、ラクタム環等の複素環を形成していてもよい。
さらに、式(I)および式(III)中のnは、重合体の電離放射線等に対する感度を向上させつつ、ガラス転移温度を高めてレジストパターンの耐熱性を向上させる観点から、0であることが好ましい。
そして、上述した式(I)で表される単量体単位(A)を形成し得る、上述した式(III)で表される単量体(a)としては、特に限定されることなく、例えば、以下の(a-1)~(a-14)等の、架橋環式飽和炭化水素環基を有するα-クロロアクリル酸エステルが挙げられる。
Figure 0007168952000006
--単量体単位(B)--
また、単量体単位(B)は、下記の一般式(IV):
Figure 0007168952000007
〔式(IV)中、R及びpは、式(II)と同様である。〕で表される単量体(b)に由来する構造単位である。
そして、共重合体を構成する全単量体単位中の単量体単位(B)の割合は、特に限定されることなく、例えば30mol%以上70mol%以下とすることができる。
ここで、式(II)及び式(IV)中のRを構成し得るアルキル基としては、特に限定されることなく、例えば非置換の炭素数1~5のアルキル基が挙げられる。中でも、Rを構成し得るアルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましい。
また、重合体の調製の容易性及び電離放射線等に対する感度を向上させる観点からは、式(II)及び式(IV)中のpは、0であることが好ましい。即ち、単量体単位(B)は、α-メチルスチレンに由来する構造単位(α-メチルスチレン単位)であることが好ましい。
-共重合体の重量平均分子量-
共重合体の重量平均分子量は、30,000以上であることが好ましく、50,000以上であることがより好ましく、60,000以上であることが特に好ましく、200,000以下であることが好ましく、150,000以下であることがより好ましく、120,000以下であることが特に好ましい。共重合体の重量平均分子量が上記下限値以上であれば、耐ドライエッチング性に優れるレジストパターンを良好に形成することができる。また、共重合体の重量平均分子量が上記上限値以下であれば、良好な露光感度でレジストパターンを得ることができる。
-共重合体の数平均分子量-
共重合体の数平均分子量は、15,000以上であることが好ましく、20,000以上であることがより好ましく、30,000以上であることが特に好ましく、150,000以下であることが好ましく、130,000以下であることがより好ましく、110,000以下であることが特に好ましい。共重合体の数平均分子量が上記下限値以上であれば、現像後に良好な残膜率でレジストパターンを得ることができる。また、共重合体の数平均分子量が上記上限値以下であれば、良好な露光感度でレジストパターンを得ることができる。
--共重合体の分子量分布--
また、共重合体の分子量分布(共重合体の重量平均分子量を共重合体の数平均分子量で除した値)は、2.5以下であることが好ましく、1.05以上であることが好ましい。共重合体の分子量分布が上記上限値以下であれば、レジストパターン形成方法を経て得られるパターンの明瞭性を高めることができる。また、共重合体の分子量分布が上記下限値以上であれば、共重合体の製造容易性を高めることができる。
なお、共重合体の重量平均分子量及び数平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
--共重合体の平均励起エネルギー-
共重合体の平均励起エネルギーは、77eV以下であることが好ましく、75eV以下であることがより好ましく、73eV以下であることが特に好ましい。共重合体の平均励起エネルギーが上記上限値以下であれば、極端紫外線照射時にレジスト膜構成原子の外殻の電子が励起しやすいと推定され、極端紫外線に対する感度が更に向上したレジスト膜を形成することができる。なおここで、平均励起エネルギーは、原子の内外殻の電子が全て考慮された原子が励起される平均的なエネルギーを表す量であるが、材料組成に大きな変化がない場合は、極端紫外線(EUV、92.5eV)に対しても、性能指標となりうると推定される。
なお、共重合体の平均励起エネルギーは、実施例に記載の方法により測定することができる。
--共重合体のEUV吸収係数-
共重合体のEUV吸収係数は、25000cm-1以上であることが好ましく、28000cm-1以上であることがより好ましく、30000cm-1以上であることが特に好ましい。共重合体のEUV吸収係数が上記下限値以上であれば、露光感度が良好となる。
なお、共重合体のEUV吸収係数は、実施例に記載の方法により測定することができる。
--共重合体の調製方法--
そして、上述した単量体単位(A)および単量体単位(B)を有する共重合体は、例えば、単量体(a)と単量体(b)とを含む単量体組成物を重合させた後、任意に得られた重合物を精製することにより調製することができる。
なお、共重合体の組成、分子量分布、重量平均分子量および数平均分子量は、重合条件および精製条件を変更することにより調整することができる。具体的には、例えば、共重合体の組成は、重合に使用する単量体組成物中の各単量体の含有割合を変更することにより調整することができる。また、重量平均分子量および数平均分子量は、重合温度を高くすれば、小さくすることができる。更に、重量平均分子量および数平均分子量は、重合時間を短くすれば、小さくすることができる。
ここで、共重合体の調製に用いる単量体組成物としては、単量体(a)および単量体(b)を含む単量体成分と、任意で使用可能な溶媒と、重合開始剤と、任意に添加される添加剤との混合物を用いることができる。そして、単量体組成物の重合は、既知の方法を用いて行うことができる。中でも、溶媒を使用する場合には、溶媒としてシクロペンタノンなどを用いることが好ましい。また、重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチルなどのラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。
また、単量体組成物を重合して得られた重合物は、そのまま共重合体として使用してもよいが、特に限定されることなく、重合物を含む溶液にテトラヒドロフラン等の良溶媒を添加した後、良溶媒を添加した溶液をメタノール等の貧溶媒中に滴下して重合物を凝固させることにより回収し、以下のようにして精製することもできる。
得られた重合物を精製する場合に用いる精製方法としては、特に限定されることなく、再沈殿法やカラムクロマトグラフィー法などの既知の精製方法が挙げられる。中でも、精製方法としては、再沈殿法を用いることが好ましい。
なお、重合物の精製は、複数回繰り返して実施してもよい。
そして、再沈殿法による重合物の精製は、例えば、得られた重合物をテトラヒドロフラン等の良溶媒に溶解した後、得られた溶液を、テトラヒドロフラン等の良溶媒とメタノール等の貧溶媒との混合溶媒に滴下し、重合物の一部を析出させることにより行うことが好ましい。このように、良溶媒と貧溶媒との混合溶媒中に重合物の溶液を滴下して重合物の精製を行えば、良溶媒および貧溶媒の種類や混合比率を変更することにより、得られる共重合体の分子量分布、重量平均分子量および数平均分子量を容易に調整することができる。具体的には、例えば、混合溶媒中の良溶媒の割合を高めるほど、混合溶媒中で析出する共重合体の分子量を大きくすることができる。
なお、再沈殿法により重合物を精製する場合、本発明の共重合体としては、良溶媒と貧溶媒との混合溶媒中で析出した重合物を用いてもよいし、混合溶媒中で析出しなかった重合物(即ち、混合溶媒中に溶解している重合物)を用いてもよい。ここで、混合溶媒中で析出しなかった重合物は、濃縮乾固などの既知の手法を用いて混合溶媒中から回収することができる。
-溶剤-
なお、溶剤としては、上述した共重合体を溶解可能な溶剤であれば、特許第5938536号公報に記載の溶剤などの既知の溶剤を用いることができる。中でも、適度な粘度のポジ型レジスト組成物を得てポジ型レジスト組成物の塗工性を向上させる観点からは、溶剤としては、アニソール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、 シクロペンタノン、シクロヘキサノン、または3-メトキシプロピオン酸メチルを用いることが好ましい。
<露光工程>
露光工程では、レジスト膜形成工程で形成したレジスト膜に対し、極端紫外線を照射して、所望のパターンを描画する。
なお、照射する極端紫外線の波長は、特に限定されることなく、例えば、1nm以上30nm以下とすることができ、好ましくは13.5nmとすることができる。
また。極端紫外線の照射には、EQ-10M(ENERGETIQ社製)、NXE(ASML社製)などの既知の露光装置を用いることができる。
<現像工程>
現像工程では、露光工程で露光されたレジスト膜と、現像液とを接触させてレジスト膜を現像し、被加工物上にレジストパターンを形成する。
ここで、レジスト膜と現像液とを接触させる方法は、特に限定されることなく、現像液中へのレジスト膜の浸漬やレジスト膜への現像液の塗布等の既知の手法を用いることができる。また、現像液の温度は特に限定されないが、例えば-20℃以上25℃以下とすることができる。さらにまた、現像時間は、例えば、30秒以上10分以下とすることができる。
本発明のレジストパターン形成方法で使用する現像液は、鎖状ジアルキルエーテルを含むことが好ましい。鎖状ジアルキルエーテルを現像液として用いて現像すれば、高解像のパターンを得ることができる。鎖状ジアルキルエーテルとは、2つの直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が、エーテル結合により連結されてなる構造を有する、非環式脂肪族エーテルである。また、2つの直鎖又は分岐鎖状のアルキル基は、同一であっても、相異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。より具体的には、鎖状ジアルキルエーテルとしては、ジ-n-プロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル(以下、「ジブチルエーテル」とも称する)、ジ-n-ペンチルエーテル(以下、「ジアミルエーテル」とも称する)、ジ-n-ヘキシルエーテル(以下、「ジヘキシルエーテル」とも称する)等の直鎖アルキル基を有するエーテル;及びジイソヘキシルエーテル、メチルイソペンチルエーテル、エチルイソペンチルエーテル、プロピルイソペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル(以下、「ジイソアミルエーテル」とも称する)、メチルイソブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル、プロピルイソブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル等の分岐鎖アルキル基を有するエーテルが挙げられる。これらは、複数種を併用することもできる。なお、現像液は、上記のような鎖状ジアルキルエーテル以外に、任意で、界面活性剤及び酸化防止剤として公知の添加剤を更に含有していても良い。現像液が任意成分を含む場合には、現像液中における任意成分の濃度は、例えば、2質量%以下であり得る。
<リンス工程>
任意で行いうるリンス工程では、現像工程で現像されたレジスト膜と、所定のリンス液とを接触させて、現像されたレジスト膜をリンスし、被加工物上にレジストパターンを形成する。リンス液としては、炭化水素系溶剤を含むリンス液を好適に用いることができる。
[リンス液]
リンス液に含まれる好適な炭化水素系溶剤としては、例えば、炭素数12以下の直鎖又は分岐状の脂肪族炭化水素を挙げることができる。これらは、複数種を併用することもできる。リンス液として炭化水素系溶剤を用いることで、リンス工程にてパターン倒れが生じることを効果的に抑制することができるので、結果的に、現像マージンを向上させることができる。なお、リンス液は、任意で、上記のような炭化水素系溶剤以外に、界面活性剤等として公知の添加剤を更に含有していてもよい。リンス液が任意成分を含む場合には、リンス液中における任意成分の濃度は、例えば、2質量%以下であり得る。
なお、リンス工程におけるリンス液の温度は特に限定されないが、例えば-20℃以上25℃以下とすることができる。さらにまた、リンス時間は、例えば、5秒以上3分以下とすることができる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
そして、実施例および比較例において、共重合体の重量平均分子量、数平均分子量、分子量分布、平均励起エネルギー、およびEUV吸収係数、並びに、レジスト膜の密度および極端紫外線に対する感度は、下記の方法で測定および評価した。
<重量平均分子量、数平均分子量及び分子量分布>
実施例、比較例で得られた共重合体についてゲル浸透クロマトグラフィーを用いて重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。具体的には、ゲル浸透クロマトグラフ(東ソー社製、HLC-8220)を使用し、展開溶媒としてテトラヒドロフランを用いて、共重合体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を標準ポリスチレン換算値として求めた。そして、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
<吸収係数および平均励起エネルギー>
吸収係数および平均励起エネルギーは、X線反射率法(XRR法)による膜密度の実測値と構成元素から算出した。
X線反射率法(XRR法)は、X線を試料表面に極浅い角度で入射させ、その入射角対鏡面方向に反射したX線強度プロファイルを測定し、この測定で得られた結果をシミュレーション結果と比較し、シミュレーションパラメータを最適化することにより、試料の膜厚や膜密度を決定する手法である。
X線反射率法(XRR法)を用いて膜厚と膜密度を測定することで、正確な吸収係数の算出が可能である。
<密度>
密度測定用のレジスト膜について、全自動多目的X線回折装置(Rigaku社製、SmartLab)を用い、X線反射率法(X-ray Reflectivity)で密度を算出した。
<感度>
得られた感度曲線(横軸:極端紫外線の総照射量の常用対数、縦軸:レジスト膜の残膜率(0≦残膜率≦1.00))について、残膜率0.20~0.80の範囲において感度曲線を二次関数にフィッティングし、得られた二次関数(残膜率と総照射量の常用対数との関数)上の残膜率0の点と残膜率0.50の点とを結ぶ直線(感度曲線の傾きの近似線)を作成した。その後、作成した直線(感度曲線の傾きの近似線)において残膜率が0となる際の、極端紫外線の総照射量Eth(mJ/cm)を求めた。なお、Ethの値が小さいほど、レジスト膜の極端紫外線に対する感度が高く、レジストパターンの形成効率が高いことを意味する。
(実施例1)
<単量体(a-1)の合成>
3つ口フラスコに窒素気流下、アクリル酸-1-アダマンチル30.0g、脱水クロロホルム300mL、脱水ジメチルホルムアミド0.9mLを加えて攪拌を行い、5℃に冷却した。内温を20℃以下に保ちながら、塩素ガス15.7gを導入し、12時間反応を行った。反応液を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘプタン/クロロホルム=10/1(体積比))で精製し、減圧濃縮した。濃縮物にヘキサン200mLを加えて0℃に冷却した。次いで、トリエチルアミン50gをゆっくり滴下し、室温まで昇温して5時間反応を行った。析出した塩を桐山ロートでろ過し、塩をヘキサン50mLで2回洗浄した。ろ液及び洗浄液に対し、1M塩酸で2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で2回、分液操作を行った。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えた後にろ過を行い、ろ液を減圧濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=40/1(体積比))で精製し、濃縮することで、下記式の構造を有する単量体(a-1)を得た。
Figure 0007168952000008
<共重合体1の合成>
撹拌子を入れたガラス製のアンプルに、単量体(a-1)40.00gと、単量体(b)としてのα-メチルスチレン46.03gと、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル 0.055gと、溶媒としてのシクロペンタノン21.50gとを加えて密封し、窒素ガスで加圧、脱圧を10回繰り返して系内の酸素を除去した。
そして、系内を78℃に加温し、6時間反応を行った。次に、系内にテトラヒドロフラン100gを加え、得られた溶液をメタノール2.0L中に滴下して重合物を析出させた。その後、析出した重合物をろ過で回収した後、テトラヒドロフラン200gに溶解させ、得られた溶液をメタノール2.0L中に滴下し、生成した沈殿物をろ過により回収して50℃で24時間乾燥させることにより、以下の二種の単量体単位を含む共重合体1を得た。そして、得られた共重合体1について、重量平均分子量、数平均分子量、分子量分布、平均励起エネルギー、およびEUV吸収係数を測定した。結果を表1に示す。
得られた共重合体1の重量平均分子量(Mw)は62000、数平均分子量(Mn)は35000、分子量分布(Mw/Mn)は1.79であった。またH-NMR測定により算出したモノマー比は、α-メチルスチレン単位が46mol%、α-クロロアクリル酸-1-アダマンチル単位が54mol%であった。
Figure 0007168952000009
また、上記に従って、各種評価を行った。結果を表1に示す。
<ポジ型レジスト組成物の調製>
得られた共重合体1を溶剤としてのアニソールに溶解させて、ポアサイズ0.25μmのポリエチレンフィルターでろ過することで、レジスト溶液(EUVリソグラフィ用ポジ型レジスト組成物)(共重合体の濃度:1.5質量%)を得た。
<レジスト膜の形成>
スピンコーター(ミカサ社製、MS-A150)を使用し、ポジ型レジスト組成物を直径4インチのシリコンウェハ上に厚さ40nmになるように塗布した。そして、塗布したポジ型レジスト組成物を温度180℃のホットプレートで3分間加熱して、シリコンウェハ上にレジスト膜(感度曲線作成用)を形成した。
また、ポジ型レジスト組成物を厚さが50nmになるように塗布した以外は上述したのと同様にして、密度測定用のレジスト膜を形成した。そして、共重合体よりなるポジ型レジスト膜の密度を測定した。結果を表1に示す。
<露光、現像およびリンス>
そして、EUV露光装置(ENERGETIQ社製、EQ-10M)を用いて、極端紫外線の照射量が互いに異なるパターン(寸法10mm×10mm)をレジスト膜上に複数描画し、レジスト用現像液としてのジイソアミルエーテル[酸化防止剤としてのジ-tert-ブチルヒドロキシトルエンを2質量%以下含有する](鎖状ジアルキルエーテル)を用いて、温度23℃で1分間の現像処理を行った後、リンス液としてのn-ノナン(炭化水素系溶剤)を用いて10秒間リンスした。
なお、極端紫外線の照射量は、0mJ/cmから20mJ/cmの範囲内で2mJ/cmずつ異ならせた。
次に、描画した部分のレジスト膜の厚みを光学式膜厚計(SCREENセミコンダクターソリューション社製、ラムダエースVM-1200)で測定し、極端紫外線の総照射量の常用対数と、現像後のレジスト膜の残膜率(=現像後のレジスト膜の膜厚/シリコンウェハ上に形成したレジスト膜の膜厚)との関係を示す感度曲線を作成した。
(実施例2)
<共重合体2の合成>
共重合体1の合成で、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリルを 0.055gから0.0018gとした以外は、共重合体1の合成と同様にして共重合体2を得た。
得られた共重合体2の重量平均分子量(Mw)は112000、数平均分子量(Mn)は49000、分子量分布(Mw/Mn)は2.30であった。またH-NMR測定により算出したモノマー比は、α-メチルスチレン単位が46mol%、α-クロロアクリル酸-1-アダマンチル単位が54mol%であった。
そして、共重合体2を用いて、実施例1と同様にして、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジスト膜の形成」、「露光、現像およびリンス」、並びに、各種評価を行った。結果を表1に示す。但し、「露光、現像およびリンス」にあたり用いた現像液は鎖状ジアルキルエーテルとしてのジヘキシルエーテルであり、リンス液は炭化水素系溶剤としてのn-デカンであった。
(実施例3)
<共重合体3の調製>
5gの共重合体1を50gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させて得られた溶液をTHF337gとメタノール(MeOH)500gとの混合溶媒に滴下した。その後、溶液をキリヤマ漏斗によりろ過し、不溶物を回収した後、50℃で24時間真空乾燥した。
得られた共重合体3の重量平均分子量(Mw)は69000、数平均分子量(Mn)は49000、分子量分布(Mw/Mn)は1.42であった。またH-NMR測定により算出したモノマー比は、α-メチルスチレン単位が46mol%、α-クロロアクリル酸-1-アダマンチル単位が54mol%であった。
そして、共重合体3を用いて、実施例1と同様にして、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジスト膜の形成」、「露光、現像およびリンス」、並びに、各種評価を行った。結果を表1に示す。但し、「露光、現像およびリンス」にあたり用いた現像液は鎖状ジアルキルエーテルとしてのジヘキシルエーテルであり、リンス液は炭化水素系溶剤としてのn-デカンであった。
(実施例4)
<単量体(a-2)の合成>
ディーンスターク装置を取り付けた3つ口フラスコに窒素気流下、2,3-ジクロロプロピオン酸56.3g、2-アダマンタノール50.0g、ジメシチルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナート1.9g、トルエン200mLを加えた後、120℃まで昇温し、生成する水を留去しながら、24時間反応を行った。
反応液を室温まで冷却後、ヘキサン300mLを加えて0℃に冷却した。次いで、トリエチルアミン50gをゆっくり滴下し、室温まで昇温して5時間反応を行った。析出した塩を桐山ロートでろ過し、塩をヘキサン50mLで2回洗浄した。ろ液及び洗浄液に対し、1M塩酸で2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で2回、分液操作を行った。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えた後にろ過を行い、ろ液をエバポレーターで濃縮した。濃縮物にヘキサンを加えて60℃に加温して溶解させたのちに0℃に冷却することで、結晶を析出させた。結晶を桐山ロートでろ過し、室温で24時間減圧乾燥することで、下記式の構造を有する単量体(a-2)を得た。
Figure 0007168952000010
<共重合体4の合成>
撹拌子を入れたガラス製のアンプルに、単量体(a-2)10.00gと、単量体(b)としてのα-メチルスチレン10.51gと、重合開始剤としての2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル0.019gと、溶媒としてのシクロペンタノン5.38gとを加えて密封し、窒素ガスで加圧、脱圧を10回繰り返して系内の酸素を除去した。
そして、系内を78℃に加温し、6時間反応を行った。次に、系内にテトラヒドロフラン20gを加え、得られた溶液をメタノール1.5L中に滴下して重合物を析出させた。その後、析出した重合物をろ過で回収した後、テトラヒドロフラン20gに溶解させ、得られた溶液をメタノール1.5L中に滴下し、生成した沈殿物をろ過により回収して50℃で24時間乾燥させることにより、以下の二種類の単量体単位を含む共重合体4を得た。
得られた共重合体4の重量平均分子量(Mw)は72000、数平均分子量(Mn)は39000、分子量分布(Mw/Mn)は1.87であった。またH-NMR測定により算出したモノマー比は、α-メチルスチレン単位が46mol%、α-クロロアクリル酸-2-アダマンチル単位が54mol%であった。
Figure 0007168952000011
そして、共重合体4を用いて、実施例1と同様にして、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジスト膜の形成」、「露光、現像およびリンス」、並びに、各種評価を行った。結果を表1に示す。但し、「露光、現像およびリンス」にあたり用いた現像液は鎖状ジアルキルエーテルとしてのジヘキシルエーテルであり、リンス液は炭化水素系溶剤としてのn-ヘプタンであった。
(実施例5)
<単量体(a-3)の合成>
ディーンスターク装置を取り付けた3つ口フラスコに窒素気流下、2,3-ジクロロプロピオン酸25.3g、1-アダマンタンメタノール24.5g、ジメシチルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナート0.7g、トルエン100mLを加えた後、昇温し、80℃で12時間、130℃で4時間、生成する水を留去しながら、16時間反応を行った。
反応液を室温まで冷却後、ヘキサン150mLを加えて0℃に冷却した。次いで、トリエチルアミン22.5gをゆっくり滴下し、室温まで昇温して5時間反応を行った。析出した塩を桐山ロートでろ過し、塩をヘキサン25mLで2回洗浄した。ろ液及び洗浄液に対し、1M塩酸で2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で2回、分液操作を行った。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えた後にろ過を行い、ろ液をエバポレーターで濃縮した。濃縮物に少量のヘキサンを加えて桐山ロートでろ過し、室温で24時間減圧乾燥することで、下記式の構造を有する単量体(a-3)を得た。
Figure 0007168952000012
<共重合体5の合成>
撹拌子を入れたガラス製のアンプルに、単量体(a-3)10.00gと、単量体(b)としてのα-メチルスチレン10.86gと、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.015gと、溶媒としてのシクロペンタノン2.60gを加えて密封し、窒素ガスで加圧、脱圧を10回繰り返して系内の酸素を除去した。
そして、系内を78℃に加温し、6時間反応を行った。次に、系内にテトラヒドロフラン20gを加え、得られた溶液をメタノール1.0L中に滴下して重合物を析出させた。その後、析出した重合物をろ過で回収した後、テトラヒドロフラン20gに溶解させ、得られた溶液をメタノール1.0L中に滴下し、生成した沈殿物をろ過により回収して50℃で24時間乾燥させることにより、以下の二種の単量体単位を含む共重合体5を得た。
得られた共重合体5の重量平均分子量(Mw)は58000、数平均分子量(Mn)は33000、分子量分布(Mw/Mn)は1.78であった。またH-NMR測定により算出したモノマー比は、α-メチルスチレン単位が46mol%、α-クロロアクリル酸メチル-1-アダマンチル単位が54mol%であった。
Figure 0007168952000013
そして、共重合体5を用いて、実施例1と同様にして、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジスト膜の形成」、「露光、現像およびリンス」、並びに、各種評価を行った。結果を表1に示す。但し、「露光、現像およびリンス」にあたり用いた現像液は鎖状ジアルキルエーテルとしてのジイソアミルエーテル(酸化防止剤としてのジ-tert-ブチルヒドロキシトルエンを2質量%以下含有する)であり、リンス液は炭化水素系溶剤としてのn-デカンであった。
(比較例1)
<共重合体6の調製>
単量体(a)としてのα-クロロアクリル酸メチル(ACAM)3.00gおよび単量体(b)としてのα-メチルスチレン(AMS)6.88gと、溶媒としてのシクロペンタノン12.1gと、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.012gとを含む単量体組成物をガラス容器に入れ、ガラス容器を密閉および窒素置換して、窒素雰囲気下、78℃の恒温槽内で48時間撹拌した。その後、室温に戻し、ガラス容器内を大気解放した後、得られた溶液にテトラヒドロフラン(THF)30gを加えた。そして、THFを加えた溶液を、メタノール300g中に滴下し、重合物を析出させた。その後、得られた重合物を100gのTHFに溶解させ、得られた溶液をTHF600gとMeOH400gとの混合溶媒に滴下し、白色の凝固物を析出させた。その後、凝固物を含む溶液を桐山漏斗によりろ過し、凝固物を回収した。そして、凝固物を50℃で24時間真空乾燥した。得られた共重合体6の重量平均分子量(Mw)は72,000であり、数平均分子量(Mn)は51,000あり、分子量分布(Mw/Mn)は1.4であった。また、H-NMR測定により算出したモノマー比は、α-クロロアクリル酸メチル単位を54mol%、α-メチルスチレン単位を46mol%含んでいた。
そして、共重合体6を用いて、実施例1と同様にして、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジスト膜の形成」、「露光、現像およびリンス」、並びに、各種評価を行った。結果を表1に示す。但し、「露光、現像およびリンス」にあたり用いた現像液は、酢酸ヘキシル(日本ゼオン製、ZED-N60)であり、リンス液は、イソプロピルアルコールであった。
表1中、
「ACA1Ad」は、α-クロロアクリル酸-1-アダマンチル単位を、
「AMS」は、α-メチルスチレン単位を、
「ACA2Ad」は、α-クロロアクリル酸-2-アダマンチル単位を、
「ACAM1Ad」は、α-クロロアクリル酸メチル-1-アダマンチル単位を、
「ACAM」は、α-クロロアクリル酸メチル単位を、
それぞれ示す。
Figure 0007168952000014
表1より、実施例1~5では、比較例1と比較して、極端紫外線に対する感度が高いレジスト膜を形成し得ることが分かる。
(参考例)
なお、実施例1および比較例1のレジスト膜について、EUV露光装置(ENERGETIQ社製、EQ-10M)に替えて電子線描画装置(エリオニクス社製、ELS-S50)を使用し、電子線の照射量を4μC/cmから200μC/cmの範囲内で4μC/cmずつ異ならせた以外は上述したのと同様にして、電子線の総照射量の常用対数と、現像後のレジスト膜の残膜率(=現像後のレジスト膜の膜厚/シリコンウェハ上に形成したレジスト膜の膜厚)との関係を示す感度曲線を作成し、感度曲線の傾きの近似線において残膜率が0となる際の、電子線の総照射量Eth’(μC/cm)を求めた。各レジスト膜について、EthおよびEth’の値を表2に示す。
Figure 0007168952000015
表2より、実施例1のレジスト膜は、露光に使用する光源を電子線から極端紫外線に変更した際の感度の向上割合が比較例1のレジスト膜に比べて著しく大きいことが分かる。
本発明によれば、極端紫外線を用いてレジストパターンを効率的に形成することができる。

Claims (1)

  1. 下記一般式(I):
    Figure 0007168952000016
    〔一般式(I)中、Bは、置換基を有していてもよい架橋環式飽和炭化水素環基であり、nは1である。〕
    で表される単量体単位(A)と、
    下記一般式(II):
    Figure 0007168952000017
    〔一般式(II)中、Rは、アルキル基であり、pは、0以上5以下の整数であり、Rが複数存在する場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。〕
    で表される単量体単位(B)とを有する共重合体と、溶剤とを含むポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程と、
    前記レジスト膜を極端紫外線で露光する工程と、
    露光された前記レジスト膜を現像する工程と、
    を含み、
    前記レジスト膜を形成する工程で形成される前記レジスト膜の密度が1.15g/cm以上であり、
    前記単量体単位(A)が、α-クロロアクリル酸メチル-1-アダマンチル単位であり、
    前記極端紫外線の波長が1nm以上30nm以下である、レジストパターン形成方法。
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