JP7168126B2 - フタロシアニンの製造方法 - Google Patents
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Description
で表される化合物から下記式(PA-1)
で表される化合物を得、この式(PA-1)で表される化合物から下記式(I)又は(II)
で表される化合物を得る製造方法に関する。
本発明の化合物(I)又は(II)の製造方法について以下に記載する。
下記式(DA-1)
で表される化合物から下記式(PA-1)
で表される化合物を得、この式(PA-1)で表される化合物から本発明の前記式(I)又は(II)で表される化合物を得ることができる。
前記式(DA-1)で表される化合物としては限定されるわけではないが、下記化合物(DA-1-1)~(DA-1-17)等が挙げられる。
で表される化合物と無水マレイン酸を反応させて得ることが好ましい。
前記式(FR-1)で表される化合物としては限定されるわけではないが、下記化合物(FR-1-1)~(FR-1-5)等が挙げられる。
前記触媒としては反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、塩酸、硫酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ポリリン酸、二リン酸、トリフルオロ酢酸、又は下記式(AC)
で表される化合物であることが好ましい。
本製造方法においては前記R1~R4はいずれも水素原子を表すことが好ましい。
前記式(FR-1)で表される化合物はバイオマス由来であることが好ましい。
前記無水マレイン酸と前記式(FR-1)で表される化合物は共にバイオマス由来であることがより好ましい。
バイオマス由来の無水マレイン酸としては、例えば特許文献4又は5に記載の方法により得られるFFやHMFを酸化することにより得られるマレイン酸を脱水環化することによって得られ、又は直接酸化することによっても得ることができる。バイオマス由来の式(FR-1)で表される化合物としては、例えば特許文献4又は5に記載の方法により得られるFFやHMFに対し脱カルボニル反応、還元反応及び脱水反応等を適宜組み合わせて行うことにより得ることができる。
化合物(FR-1)及び無水マレイン酸をDiels-Alder反応に供することにより化合物(DA-1)を製造することができる。
反応溶媒としては、反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないがクロロホルム、ジオキサン、酢酸エチル、アルキルベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテルが好ましい。
反応Aで得られた化合物(DA-1)を開環脱水反応を行うことにより、化合物(PA-1)を製造することができる。
下限値としては20℃以上が好ましく、25℃以上が好ましく、30℃以上が好ましく、35℃以上が好ましく、40℃以上が好ましい。上限値としては150℃以下が好ましく、140℃以下が好ましく、130℃以下が好ましく、120℃以下が好ましく、110℃以下が好ましく、100℃以下が好ましい。
で表される化合物であることが好ましい。
反応Bで得られた化合物(PA-1)を尿素及びMXと触媒存在下反応させることによって化合物(I)を製造することができる。
触媒としては反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、モリブデン触媒が好ましく、モリブデン(IV)酸アンモニウム四水和物がより好ましい。
本反応により下記(i-1)~(i-5)で表される化合物を製造することもできる。
反応Cで得られた化合物(I)は脱金属反応を行うことにより化合物(II)を製造することができる。脱金属反応としては反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、例えばChemical Communication,2009,1970-1971に記載の方法が挙げられる。
本発明の製造方法により、前記化合物(I)及び(II)で表される化合物群から選択される化合物を1種又は2種以上含有し、下記式(IA)~(IIE)
で表される化合物群から選択される1種又は2種以上を含有する組成物を製造することができる。前記式(IA)、(IIA)、(IB)、(IIB)、(IC)、(IIC)、(ID)、(IID)、(IE)又は(IIE)で表される化合物の製造方法について以下に記載する。
下記式(DA-2)
で表される化合物から下記式(PA-2)
で表される化合物を得、この式(PA-2)で表される化合物から前記式(IA)、(IIA)、(IB)、(IIB)、(IC)、(IIC)、(ID)、(IID)、(IE)又は(IIE)で表される化合物を得ることができる。
前記式(DA-2)で表される化合物としては限定されるわけではないが、下記化合物(DA-2-1)~(DA-2-7)等が挙げられる。
前記式(DA-2)で表される化合物から前記式(PA-2)で表される化合物を得る際には反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、触媒を用いることが好ましい。
で表される化合物であることが好ましい。
上記触媒の量としては、前記式(DA-2)で表される化合物に対して0.1~3000mol%が好ましく、0.5~2500mol%が好ましく、1~2000mol%が好ましく、5~1500mol%が好ましく、10~1000mol%が好ましく、20~500mol%が好ましく、50~500mol%が好ましく、70~500mol%が好ましく、100~500mol%が好ましく、150~500mol%が好ましく、200~500mol%が好ましく、250~500mol%が好ましく、300~500mol%が好ましい。下限値としては0.1mol%以上が好ましく、0.5mol%以上が好ましく、1mol%以上が好ましく、5mol%以上が好ましく、10mol%が好ましく、20mol%以上が好ましく、50mol%以上が好ましく、70mol%以上が好ましく、100mol%以上が好ましく、150mol%以上が好ましく、200mol%以上が好ましく、250mol%以上が好ましく、300mol%以上が好ましい。上限値としては3000mol%以下が好ましく、2500mol%以下が好ましく、2000mol%以下が好ましく、1500mol%以下が好ましく、1000mol%以下が好ましく、500mol%以下が好ましい。これらの上限値と下限値はいずれの組み合わせでも用いられる。
本製造方法において前記R1~R4はいずれも水素原子を表すことが好ましい。
前記無水マレイン酸と前記式(FR-1)で表される化合物は共にバイオマス由来であることがより好ましい。
同時に得る場合の具体的な反応経路を以下に示す。
(反応A2)
化合物(FR-1)及び無水マレイン酸をDiels-Alder反応に供することにより化合物(DA-1)及び(DA-2)を含む組成物を製造することができる。
反応溶媒としては、反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないがクロロホルム、ジオキサン、酢酸エチル、アルキルベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテルが好ましい。
反応温度は反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、-10~100℃が好ましく、0℃~80℃がより好ましく、10℃~70℃がさらに好ましく、15度~50℃が特に好ましい。下限値としては-10℃以上が好ましく、0℃以上がより好ましく、10℃以上がさらに好ましく、15℃以上が特に好ましい。上限値としては100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましく、70℃以下がさらに好ましく、50℃以下が特に好ましい。化合物(DA-2)の生成を促進するためには0~100℃が好ましく、10~100℃が好ましく、15~100℃がより好ましく、20~100℃がさらに好ましく、25~100℃が特に好ましい。下限値としては0℃以上が好ましく、10℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましく、20℃以上がさらに好ましく、25℃以上が特に好ましい。化合物(DA-2)の生成を抑制するためには-10~90℃が好ましく、-10~80℃が好ましく、-10~70℃がより好ましく、-10~60℃がさらに好ましく、-10~50℃が特に好ましい。上限値としては90℃以下が好ましく、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、60℃以下がさらに好ましく、50℃以下が特に好ましい。
反応A2で得られた化合物(DA-1)及び(DA-2)を含む組成物を開環脱水反応を行うことにより、化合物(PA-1)及び(PA-2)を含む組成物を製造することができる。
下限値としては20℃以上が好ましく、25℃以上が好ましく、30℃以上が好ましく、35℃以上が好ましく、40℃以上が好ましい。上限値としては150℃以下が好ましく、140℃以下が好ましく、130℃以下が好ましく、120℃以下が好ましく、110℃以下が好ましく、100℃以下が好ましい。
上記反応は触媒を使用することが好ましい。触媒としては、反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、塩酸、硫酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ポリリン酸、二リン酸、トリフルオロ酢酸、又は下記式(AC)
で表される化合物であることが好ましい。
反応B2で得られた化合物(PA-1)及び(PA-2)を含む組成物を尿素及びMXと触媒存在下反応させることによって式(I)で表される化合物群から選択される化合物を1種又は2種以上含有し、式(IA)、(IB)、(IC)、(ID)及び(IE)で表される化合物群から選択される化合物を1種又は2種以上含有する組成物を製造することができる。
Mは金属原子を表すが、Al、Si、Sc、Ti、V、Mg、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、In、Sn又はPbであることが好ましく、Al、Fe、Cu、Znであることがより好ましく、Cu、Znであることがさらに好ましい。
触媒としては反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、モリブデン触媒が好ましく、モリブデン(IV)酸アンモニウム四水和物がより好ましい。
本反応により下記(i-1)~(i-5)で表される化合物を製造することもできる。
(反応D2)
反応C2で得られた式(I)で表される化合物を1種又は2種以上含有し、式(IA)、(IB)、(IC)、(ID)及び(IE)で表される化合物群から選択される化合物を1種又は2種以上含有する組成物は脱金属反応を行うことにより、式(II)で表される化合物を1種又は2種以上含有し、前記式(IIA)、(IIB)、(IIC)、(IID)及び(IIE)で表される化合物群から選択される化合物を1種又は2種以上含有する組成物を製造することができる。脱金属反応としては反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、例えばChemical Communication,2009,1970-1971に記載の方法が挙げられる。
上記のフタロシアニン組成物は前記式(I)及び(II)で表される化合物群から選択される化合物を1種又は2種以上含有し、前記式(IA)~(IIE)で表される化合物群から選択される化合物を1種又は2種以上含有する組成物であるが、R1~R4は水素原子、炭素原子数1~12の直鎖又は分岐のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、水素原子、炭素原子数1~12の直鎖又は分岐のアルキル基、塩素原子、臭素原子がより好ましく、水素原子、炭素原子数1~12の直鎖又は分岐のアルキル基、臭素原子がさらに好ましく、水素原子、臭素原子が特に好ましい。
式(I)で表される化合物としては限定されるわけではないが下記式(I-1)~(I-12-2)で表される化合物等が挙げられる。
上記式(I-1)~(I-12)で表される化合物としては下記式(I-1-1)~(I-1-4)で表される化合物が好ましい。
式(II)で表される化合物としては限定されるわけではないが下記式(II-1)~(II-12-2)で表される化合物等が挙げられる。
上記式(IA-1)~(IE-1)で表される化合物としては下記式(IA-1-1)~(IE-1-4)で表される化合物が好ましい。
前記式(IA)~(IIE)で表される化合物により、顔料結晶化、樹脂分散性及び色相を制御することが可能であり、フタロシアニン組成物の高性能化につながる。
上記方法により製造した式(I)、(II)又は(IA)~(IIE)で表される化合物はさらに公知慣用の方法により精製を行い、式(I)又は(II)で表される化合物のみを取り出すことも可能である。
上記方法により製造した式(I)、(II)又は(IA)~(IIE)で表される化合物、前記精製により取り出した式(I)又は(II)で表される化合物及び本発明の組成物中に含まれる化合物はさらに公知慣用の方法によりハロゲン化、スルホン化、イミド化を行うことができる。
<本発明の製造方法により製造したフタロシアニン化合物及び組成物の用途>
本発明の製造方法により製造したフタロシアニン化合物及び組成物は多様な用途に適用可能である。例えば顔料組成物として使用でき、必要に応じて、他の樹脂、ゴム、添加剤、顔料や染料等と混合され化粧品、医薬品または農薬のコーティング材または印字マーカー、文房具、筆記具、印刷インキ、インクジェットインキ、金属インキ、塗料、プラスチック着色剤、カラートナー、カラーフィルタ、有機半導体材料や近赤外の強い吸収を生かしたレーザー溶着用の近赤外吸収剤等に調整され使用される。以下、上記用途の一例を示す。
本発明の製造方法により製造したフタロシアニン化合物及び組成物は、化粧品として使用できる。使用される化粧品には特に制限はなく、本発明の非水溶性色素組成物は、様々なタイプの化粧品に使用することができる。
また、本発明の製造方法により製造したフタロシアニン化合物及び組成物を含む化粧品は、該化粧品のタイプ等に応じて、通常の化粧品と同様に使用することができる。
本発明の製造方法により製造したフタロシアニン化合物及び組成物は、流動性に優れた低粘度のインキの製造が可能であり、グラビア印刷インキやフレキソ印刷インキ用の顔料として好適である。インキは、バインダー樹脂、溶媒、顔料、各種添加剤からなる。バインダー樹脂には、例えば、ニトロセルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、溶剤には、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノールなどのアルコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-i-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-i-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-i-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ-i-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールジ-i-プロピルエーテル、エチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールジ-i-ブチルエーテル、エチレングリコールジ-t-ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールジ-i-プロピルエーテル、プロピレングリコールジ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールジ-i-ブチルエーテル、プロピレングリコールジ-t-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-i-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-i-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ-i-プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ-i-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ-t-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-i-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-i-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ-i-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ-i-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ-t-ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテル系溶剤、添加剤には、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性などの界面活性剤、ガムロジン、重合ロジン、不均化ロジン、水添ロジン、マレイン化ロジン、硬化ロジン、フタル酸アルキッド樹脂などロジン類、顔料誘導体、分散剤、湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、ワックス成分などを使用することができる。
上記の通り調製した印刷インキは紙、合成紙、熱可塑性樹脂フィルム、プラスチック製品、鋼板等への印刷に使用することができるものであり、電子彫刻凹版等によるグラビア印刷版を用いたグラビア印刷用、又は樹脂版等によるフレキソ印刷版を用いたフレキソ印刷用のインキ等として有用である。当該印刷インキは、印刷インキを一旦印刷版又は印刷パターンに密着・転写した後、インキのみを再度基材に密着させ、必要に応じて乾燥させ印刷物とするものである。当該印刷物は他基材等との積層体の構成要素としても使用可能である。
本発明の製造方法により製造したフタロシアニン化合物及び組成物を着色剤として塗料とする場合、塗料として使用される樹脂としては、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂など様々である。
また、顔料添加剤及び/又は顔料組成物を、液状樹脂中で分散し又は混合し、塗料用樹脂組成物とする場合に、通常の添加剤類、例えば、分散剤類、充填剤類、塗料補助剤類、乾燥剤類、可塑剤類及び/又は補助顔料を用いることができる。これは、それぞれの成分を、単独又は幾つかを一緒にして、全ての成分を集め、又はそれらの全部を一度に加えることによって、分散又は混合して達成される。
上記のように用途にあわせて調製された本発明の製造方法により製造したフタロシアニン化合物及び組成物を含む組成物を分散する分散機としては、ディスパー、ホモミキサー、ペイントコンディショナー、スキャンデックス、ビーズミル、アトライター、ボールミル、二本ロール、三本ロール、加圧ニーダー等の公知の分散機が挙げられるが、これらに限定されるものではない。顔料組成物の分散は、これらの分散機にて分散が可能な粘度になるよう、樹脂、溶剤が添加され分散される。分散後の高濃度塗料ベースは固形分5~20%であり、これにさらに樹脂、溶剤を混合し塗料として使用に供される。
本発明の製造方法により製造したフタロシアニン化合物及び組成物は、インクジェット用インクに好適に使用することができ、特に顔料分散剤などを用いて分散させた水性顔料分散液として、水性インクジェット用インクに好適に使用することができる。前記水性顔料分散液は、本発明の縮合多環系有機顔料の高濃度水分散液(顔料ペースト)を作成し、それを水溶性溶媒及び/または水で希釈し、必要に応じてその他の添加剤を添加して調製することができる。
また市販品を使用することも勿論可能である。市販品としては、味の素ファインテクノ(株)製品のアジスパーPBシリーズ、ビックケミー・ジャパン(株)のDisperbykシリーズ、BYK-シリーズ、BASFジャパン株式会社製のEFKAシリーズ等を使用できる。
(1)顔料分散剤及び水を含有する水性媒体に、顔料を添加した後、撹拌・分散装置を用いて顔料を該水性媒体中に分散させることにより、顔料ペーストを調製する方法。
(2)顔料、及び顔料分散剤を2本ロール、ミキサー等の混練機を用いて混練し、得られた混練物を、水を含む水性媒体中に添加し、撹拌・分散装置を用いて顔料ペーストを調製する方法。
(3)メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等のような水と相溶性を有する有機溶剤中に顔料分散剤を溶解して得られた溶液に顔料を添加した後、撹拌・分散装置を用いて顔料を有機溶液中に分散させ、次いで水性媒体を用いて転相乳化させた後、前記有機溶剤を留去し顔料ペーストを調製する方法。
前記顔料ペーストに占める縮合多環系有機顔料の量は5~60質量%であることが好ましく、10~50質量%であることがより好ましい。顔料量が5質量%より少ない場合は、前記顔料ペーストから調製した水性インクの着色が不充分であり、充分な画像濃度が得られない傾向にある。また、逆に60質量%よりも多い場合は、顔料ペーストにおいて顔料の分散安定性が低下する傾向がある。
また、粗大粒子が、ノズル詰まり、その他の画像特性を劣化させる原因になるため、インク調製前後に、遠心分離、あるいは濾過処理等により粗大粒子を除去することが好ましい。
前記湿潤剤は、インクの乾燥防止を目的として添加する。乾燥防止を目的とする湿潤剤のインク中の含有量は3~50質量%であることが好ましい。本発明で使用する湿潤剤としては特に限定はないが、水との混和性がありインクジェットプリンターのヘッドの目詰まり防止効果が得られるものが好ましい。例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール、等が挙げられる。中でも、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールを含むことが安全性を有し、かつインク乾燥性、吐出性能に優れた効果が見られる。
前記界面活性剤は、表面張力等のインク特性を調整するために添加する。このために添加することのできる界面活性剤は特に限定されるものではなく、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、これらの中では、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
本発明の製造方法により製造したフタロシアニン化合物及び組成物はプラスチック着色用途にも使用できる。着色プラスチック成形品を得る場合には、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンやポリ塩化ビニル樹脂等の、射出成形やプレス成形等の熱成形用の熱可塑性樹脂(プラスチック)が用いられるが、本発明の製造方法により製造したフタロシアニン化合物及び組成物はこれらの樹脂に従来公知の方法で練り込んで使用することができる。
本発明の製造方法により製造したフタロシアニン化合物及び組成物はトナー着色用途にも使用できる。
静電荷像現像用トナーを得る場合には、たとえばポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂等の常温で固形の皮膜形成性の熱可塑性樹脂が分散用樹脂として使用される。
本発明の製造方法により製造したフタロシアニン化合物及び組成物は、公知の方法でカラーフィルタの緑色画素部のパターンの形成に用いることが出来る。典型的には、本発明の製造方法により製造したフタロシアニン化合物及び組成物と、感光性樹脂とを必須成分して含むカラーフィルタ緑色画素部用感光性組成物を得ることが出来る。
カラーフィルタ緑色画素部用感光性組成物を調製するには、例えば、本発明の製造方法により製造したフタロシアニン化合物及び組成物と、感光性樹脂と、光重合開始剤と、前記樹脂を溶解する有機溶剤とを必須成分として混合する。その製造方法としては、本発明の製造方法により製造したフタロシアニン化合物及び組成物と有機溶剤と必要に応じて分散剤を用いて分散液を調製してから、そこに感光性樹脂等を加えて調製する方法が一般的である。
必要に応じて用いる分散剤としては、例えばビックケミー社のディスパービック(DISPERBYK 登録商標)130、同161、同162、同163、同170、同LPN-6919、同LPN-21116等が挙げられる。また、レベリング剤、カップリング剤、カチオン系の界面活性剤なども併せて使用可能である。
有機溶剤としては、例えばトルエンやキシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤、エトキシエチルプロピオネート等のプロピオネート系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、N,N-ジメチルホルムアミド、γ-ブチロラクタム、N-メチル-2-ピロリドン、アニリン、ピリジン等の窒素化合物系溶剤、γ-ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物のようなカルバミン酸エステル、水等がある。有機溶剤としては、特にプロピオネート系、アルコール系、エーテル系、ケトン系、窒素化合物系、ラクトン系、水等の極性溶媒で水可溶のものが適している。
光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルパーオキサイド、2-クロロチオキサントン、1,3-ビス(4'-アジドベンザル)-2-プロパン、1,3-ビス(4'-アジドベンザル)-2-プロパン-2'-スルホン酸、4,4'-ジアジドスチルベン-2,2'-ジスルホン酸等がある。
こうして調製されたカラーフィルタ緑色画素部用感光性組成物は、フォトマスクを介して紫外線によるパターン露光を行った後、未露光部分を有機溶剤やアルカリ水等で洗浄することによりカラーフィルタとなすことができる。
ものではない。また、以下の実施例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
撹拌装置、温度計、滴下ロート、冷却管を備えた反応容器に、無水酢酸(21.0g)、メタンスルホン酸(148.0g)を加え、攪拌しながら氷冷した。反応混合物に合成例1で得た化合物(DA-1-1)と化合物(DA-2-1)の混合物(10.0g)をゆっくり滴下した。室温で2時間攪拌後、80℃に昇温しさらに4時間攪拌した。その後室温まで冷却し、トルエン(50ml)を加えた。有機層を分けとり、さらに水層をトルエン(50ml×2)で再抽出した。得られた有機層を合わせた後、水、飽和食塩水、炭酸水素ナトリウム水溶液の順に洗浄し、溶液を濃縮後、無水フタル酸と2,3-ナフタレンジカルボン酸無水物の混合物の白色固体が得られた。
撹拌装置、温度計、滴下ロート、冷却管を備えた反応容器に無水フタル酸(9.7g)、2,3-ナフタレンジカルボン酸無水物(0.3g)、尿素(12.98g)、塩化銅(1.67g)、モリブデン(IV)酸アンモニウム四水和物(0.04g)を加え、攪拌しながら190℃に加熱した。2時間攪拌後室温まで冷却し、粗体をフィルターで濾別し、水、酸の順に洗浄した後、中性になるまで洗浄し、オーブンで一晩乾燥させることでPc-2(8.5g)を得た。
ニトロベンゼンの代わりにアルキルベンゼン使用した以外はChem.Commun.,2009,1970-1971に記載の方法に準拠し、式(I)は含有するが、式(IA)~(IIE)は含まない比較フタロシアニンRPc-1(8.75g)を得た。
上記実施例で得られたフタロシアニン組成物等を質量分析した。分析方法としては得られた組成物等5mgをTHFに溶解させ、FD-MS JMS-T100GC(JEOL製)に供した。結果を下記表に示す。
X線回折(XRD)によりPc-1及びPc-2の結晶構造を解析したところ、β型フタロシアニンの結晶構造を有することを確認した。
上記実施例及び比較例により得られたPc-1、Pc-2、RPc-1の粗体及びそれらを顔料化したもののTEM観察を行い粒子の状態を確認した。顔料化は粗体(0.5g)を塩化ナトリウム(1.5g)とともにジエチレングリコール(0.6g)に分散し、Hoover Mullerを用いて粉砕し、水に分散させた後ろ過し98℃のオーブンで一晩乾燥させることで調製した。結果を下記図1~図6に示す。
Claims (6)
- 下記式(DA-1):
で表される化合物を得、この式(PA-1)で表される化合物から下記式(I)又は(II):
で表される化合物を得る、前記化合物(I)又は(II)で表される化合物の製造方法であって、
前記式(DA-1)で表される化合物が、下記式(FR-1):
で表される化合物と無水マレイン酸を反応させて得られる化合物であり、
前記式(FR-1)で表される化合物が、下記(FR-1-1)~(FR-1-5):
- 前記R1~R4がいずれも水素原子であり、前記(FR-1)で表される化合物が、前記(FR-1-1)の化合物である、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記無水マレイン酸がバイオマス由来である請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記式(FR-1)で表される化合物がバイオマス由来である請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記無水マレイン酸及び前記式(FR-1)で表される化合物がともにバイオマス由来である請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
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