JP2019163417A - インク、インクセット、インクジェット記録方法、及びインクの製造方法 - Google Patents

インク、インクセット、インクジェット記録方法、及びインクの製造方法 Download PDF

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慎也 林
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Abstract

【課題】顔料分散液を用いてインクを調製する際にインク中の粒子径変化が抑制され、非浸透性基材にインクを付与した際に、光沢、画質、印画濃度、及び耐光性に優れた印画物を得ることができるインク、上記インクを含むインクセット、上記インクを用いたインクジェット記録方法、及び上記インクの製造方法を提供すること。【解決手段】明細書に記載の一般式(1)で表される顔料(P)、明細書に記載の一般式(2−1)で表される繰り返し単位及び一般式(2−2)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物である水溶性高分子分散剤(D)、ポリマー粒子(L)、親水性有機溶剤(S)、及び水を含有するインク、上記インクを含むインクセット、上記インクを用いたインクジェット記録方法、及び上記インクの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、インク、インクセット、インクジェット記録方法、及びインクの製造方法に関する。
アゾ顔料は、色彩的特性である色相及び着色力に優れているため、様々な分野に広く使用されている。たとえば、アゾ顔料を分散剤により水に分散させた顔料分散液は、インクジェット記録用インクなどに用いられている。
特許文献1には、特定構造のアゾ顔料と水不溶性樹脂とを含む顔料分散液、水溶性有機溶剤、及び水を含むインクジェット記録用インクが開示されている。
特許文献2には、特定構造のアゾ顔料とビニルポリマーとを含む顔料分散体、水溶性有機溶剤、及び水を含むインクジェット記録用インクが開示されている。
特許文献3には、特定構造のアゾ顔料と水不溶性ポリマー分散剤とを含む顔料分散液、ポリマー粒子、水溶性有機溶剤、及び水を含むインクジェット用インクが開示されている。
特許文献4には、特定のアゾ顔料と水溶性高分子分散剤とを含む顔料分散物、水溶性有機溶剤、及び水を含むインクジェット記録用インクが開示されている。
また、インクジェット記録方法は、印刷版を必要とせず、画像形成部のみにインクを吐出して記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。更に、インクジェット方式は印刷装置も比較的安価で、小型化も可能であり、騒音も少ない。このように、インクジェット方式は他の画像記録方式に比べて種々の利点を兼ね備えている。
そのため、インクジェット記録方法は、近年、オフィスプリンタ、ホームプリンタの分野に加え、商業印刷分野、サイン、ディスプレーなど、産業印刷分野においてもインクジェット記録方法が適用されるようになってきた。これらの分野で使用されるインクには、オフィスプリンタ、ホームプリンタとは異なる性能も求められる。
例えば、水性インクを、従来のような紙媒体とは異なるフィルム基材等の非浸透性基材に好適に使用できることなどが求められる。
特開2010−215839号公報 特開2011−213916号公報 特開2011−51222号公報 特開2014−162875号公報
本発明者らが検討したところ、特許文献1〜3に記載のインクは、ポリ塩化ビニルのような疎水的な非浸透性基材にインクジェット法などにより付与した際に得られる印画物の光沢に関して、改善の余地があることが分かった。
また、特許文献1〜3に記載のインクは、顔料分散液にその他の成分を混合して調製した際に、インク中の粒子の粒子径変化(凝集による粗大化)が起こる場合があり、インク中の粒子径が大きくなり、インクの吐出時に目詰まりを生じることがあり、さらに、基材に印画した際にも粒子のばらつきが大きくなるため、乱反射を引き起こし、光沢が低下する場合があることが分かった。
また、特許文献4に記載のインクは、非浸透性基材にインクジェット法などにより付与した際に、基材に定着しないため、印画物の光沢について改善の余地があることに加え、画質の低下(濃度ムラ、ひび割れ、及び他色のインクとの混色部におけるハジキ)、並びに印画濃度の低下が起こる場合があることが分かった。
更に、非浸透性基材へ適用した際に得られる印画物の耐光性についても求められている。
本発明の課題は、顔料分散液を用いてインクを調製する際にインク中の粒子径変化が抑制され、非浸透性基材にインクを付与した際に、光沢、画質、印画濃度、及び耐光性に優れた印画物を得ることができるインク、上記インクを含むインクセット、上記インクを用いたインクジェット記録方法、及びインクの製造方法を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、特定の顔料(P)、特定の水溶性高分子分散剤(D)、ポリマー粒子(L)、親水性有機溶剤(S)及び水を含有するインクにより上記課題を解決でき、さらには、得られる印画物の画質、印画濃度、及び耐光性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のインクをインクジェット法により非浸透性基材上に付与した場合に、光沢を有する画像が形成され、更にインクの調製時の粒子径変化が小さい理由は、詳細には明らかではないが、本発明者らは以下のように推定している。
顔料分散液からインク(典型的にはインクジェット記録用インク)を調製する際、一般的にはインクとしての諸性能を付与するために顔料分散液に更に親水性有機溶剤を添加する。この際、顔料の分散に用いられている高分子分散剤が水不溶性であると、水よりも親水性有機溶剤との親和性が高いため、高分子分散剤が顔料粒子表面から脱着した場合に顔料に再吸着しにくくなり、その結果、インク中の顔料を含む粒子の粒子径が大きくなってしまうと考えられる。特に非浸透性基材に印画する場合、インク中の親水性有機溶媒が多くなるため、顕著である。これに対して、顔料の分散に用いる高分子分散剤を水溶性とすることにより、高分子分散剤が顔料粒子表面から脱着しても、再吸着が可能となり、顔料を含む粒子の粒子径変化が起こりにくくなると考えられる。
また、上記のように、インク中の顔料を含む粒子の粒子径を小さく保てることから、粗大な粒子による乱反射が抑制され、印画物の光沢も良好となるものと考えられる。
インク中にポリマー粒子を含有させることにより、インクの液滴が非浸透性基材に定着しやすくなり、さらに、ポリマー粒子が顔料粒子の間隙を埋めて平滑にすることで、印画物の光沢、画質、印画濃度が良好となるものと考えられる。
即ち、本発明の上記課題は、以下の手段により解決された。
〔1〕
下記一般式(1)で表される顔料(P)、
下記一般式(2−1)で表される繰り返し単位及び下記一般式(2−2)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物である水溶性高分子分散剤(D)、
ポリマー粒子(L)、
親水性有機溶剤(S)、及び
水、
を含有するインク。
Figure 2019163417
一般式(1)中、
Zは、置換基を有していてもよい、5員ヘテロ環又は6員ヘテロ環を表す。
、Y、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。
及びGは、それぞれ独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。
及びWは、それぞれ独立に置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
Figure 2019163417
一般式(2−1)中、Rは水素原子、又はメチル基若しくは置換メチル基を表し、Rは置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
一般式(2−2)中、Rは水素原子、又はメチル基若しくは置換メチル基を表し、Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。
〔2〕
上記水溶性高分子分散剤(D)中の親水性繰り返し単位の含有量が、上記水溶性高分子分散剤(D)中の全繰り返し単位に対して20モル%以上である〔1〕に記載のインク。
〔3〕
上記水溶性高分子分散剤(D)中の親水性繰り返し単位の含有量が、上記水溶性高分子分散剤(D)中の全繰り返し単位に対して25モル%以上である〔1〕又は〔2〕に記載のインク。
〔4〕
上記水溶性高分子分散剤(D)の重量平均分子量が5000〜100000である〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のインク。
〔5〕
上記顔料(P)に対する上記水溶性高分子分散剤(D)の質量比が0.60以下である〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のインク。
〔6〕
上記顔料(P)に対する上記ポリマー粒子(L)の質量比が0.7〜1.5である〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のインク。
〔7〕
上記ポリマー粒子(L)がポリエステル、ポリウレタン、及びポリスチレンの少なくともいずれかである〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のインク。
〔8〕
上記ポリマー粒子(L)がポリエステルである〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載のインク。
〔9〕
上記親水性有機溶剤(S)のうち、沸点が200℃以上の有機溶剤を、上記インクの全質量に対して20質量%以上含有する〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載のインク。
〔10〕
上記顔料(P)が、下記式(d1)で表される顔料、下記式(d2)で表される顔料、及び下記式(d3)で表される顔料からなる群から選択される少なくとも1種である〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載のインク。
Figure 2019163417
Figure 2019163417
Figure 2019163417
〔11〕
インクジェット記録用である、〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載のインク。
〔12〕
〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載のインクと、シアンインクと、マゼンタインクとを含有するインクセット。
〔13〕
〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載のインクを、インクジェット法により非浸透性基材上に付与するインクジェット記録方法。
〔14〕
上記非浸透性基材がポリ塩化ビニルを含む基材である〔13〕記載のインクジェット記録方法。
〔15〕
下記一般式(1)で表される顔料(P)、下記一般式(2−1)で表される繰り返し単位及び下記一般式(2−2)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物である水溶性高分子分散剤(D)、及び水を含有する顔料分散液と、
ポリマー粒子(L)の分散液と、
親水性有機溶剤(S)と、
水と、
を混合する工程を有するインクの製造方法。
Figure 2019163417
一般式(1)中、
Zは、置換基を有していてもよい、5員ヘテロ環又は6員ヘテロ環を表す。
、Y、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。
及びGは、それぞれ独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。
及びWは、それぞれ独立に置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
Figure 2019163417
一般式(2−1)中、Rは水素原子、又はメチル基若しくは置換メチル基を表し、Rは置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
一般式(2−2)中、Rは水素原子、又はメチル基若しくは置換メチル基を表し、Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。
本発明によれば、顔料分散液を用いてインクを調製する際にインク中の粒子径変化が抑制され、非浸透性基材にインクを付与した際に、光沢、画質、印画濃度、及び耐光性に優れた印画物を得ることができるインク、上記インクを含むインクセット、上記インクを用いたインクジェット記録方法、及びインクの製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書では、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの少なくとも一種を表し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの少なくとも一種を表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの少なくとも一種を表す。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明のインクは、
下記一般式(1)で表される顔料(P)、
下記一般式(2−1)で表される繰り返し単位及び下記一般式(2−2)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物である水溶性高分子分散剤(D)、
ポリマー粒子(L)、
親水性有機溶剤(S)、及び
水、
を含有するインクである。
Figure 2019163417
一般式(1)中、
Zは、置換基を有していてもよい、5員ヘテロ環又は6員ヘテロ環を表す。
、Y、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。
及びGは、それぞれ独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。
及びWは、それぞれ独立に置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
Figure 2019163417
一般式(2−1)中、Rは水素原子、又はメチル基若しくは置換メチル基を表し、Rは置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
一般式(2−2)中、Rは水素原子、又はメチル基若しくは置換メチル基を表し、Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。
以下に、本発明に用いる各成分につき説明する。
(顔料(P))
本発明のインクは、上記一般式(1)で表される顔料(P)を含有する。
顔料(P)は、上記一般式(1)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はその化合物の塩若しくはその互変異性体の塩を含む顔料である。
顔料(P)は、その特異的な構造により分子内及び分子間相互作用(水素結合やπ−πスタッキング)を形成しやすく耐光性に優れ、水又は有機溶媒等に対する溶解性が低く、好ましい形態のアゾ顔料とすることができる。顔料は、媒体中に分子集合体等の粒子として分散させて用いられる。
一般式(1)において、W及びWは、それぞれ独立に置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
、Wが置換若しくは無置換のアルキル基を表す場合のアルキル基としては、直鎖、分岐、環状の置換若しくは無置換のアルキル基が挙げられ、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えば、アルコキシ基、アルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。直鎖又は分岐状の置換若しくは無置換のアルキル基としては、好ましくは、置換若しくは無置換の炭素数1から30のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基等が挙げられる。置換若しくは無置換のシクロアルキル基としては、好ましくは、置換若しくは無置換の炭素数3から30のシクロアルキル基であり、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等が挙げられる。置換若しくは無置換のビシクロアルキル基としては、好ましくは、置換若しくは無置換の炭素数5から30のビシクロアルキル基であり、すなわち、置換若しくは無置換の炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基等が挙げられる。アルキル基が有していてもよい置換基については後で更に詳述する。
、Wが置換若しくは無置換のアルコキシ基を表す場合のアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1から30のアルコキシ基であり、炭素数1から8のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1から4のアルコキシ基が更に好ましい。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等が挙げられ、特に好ましくはメトキシ基である。アルコキシ基は置換基を有していてもよい。置換基については後述する。
、Wが置換若しくは無置換のアミノ基を表す場合の置換若しくは無置換のアミノ基としては、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基が好ましく、より好ましくは、アミノ基、炭素数1から30のアルキルアミノ基、炭素数6から30のアニリノ基であり、更に好ましくは、アミノ基、炭素数1から8のアルキルアミノ基、炭素数6から18のアニリノ基であり、特に好ましくは、アミノ基、炭素数1から4のアルキルアミノ基、炭素数6から12のアニリノ基である。置換若しくは無置換のアミノ基としては、例えば、アミノ基(−NH)、メチルアミノ基(−NHCH)、ジメチルアミノ基{−N(CH}、アニリノ基(−NHPh)、N−メチル−アニリノ基{−N(CH)Ph}、ジフェニルアミノ基{−N(Ph)}等が挙げられ、特に好ましくはアミノ基である。Phはフェニル基を表す。アミノ基が有していてもよい置換基については後で更に詳述する。
、Wが置換若しくは無置換のアリール基を表す場合のアリール基としては、好ましくは、炭素数6から30のアリール基であり、炭素数6から18のアリール基がより好ましく、炭素数6から12のアリール基が更に好ましい。置換若しくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等が挙げられる。アリール基が有していてもよい置換基については後で更に詳述する。
、Wは、それぞれ独立に置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基又は置換若しくは無置換のアルキル基を表すことが好ましく、置換若しくは無置換のアルコキシ基又は置換若しくは無置換のアミノ基を表すことがより好ましく、総炭素数5以下のアルコキシ基、アミノ基(−NH基)、又は総炭素数5以下のアルキルアミノ基を表すことが更に好ましく、総炭素数3以下のアルコキシ基又は総炭素数3以下のアルキルアミノ基を表すことが特に好ましく、メトキシ基を表すことが最も好ましい。
一般式(1)において、R11、R12はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。
11、R12が置換基を表す場合の置換基としては、置換若しくは無置換のアルキル基(例えば、置換若しくは無置換の炭素数1〜12の直鎖又は分岐状のアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル)、置換若しくは無置換の炭素数7〜18のアラルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2〜12の直鎖又は分岐状のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数2〜12の直鎖又は分岐状のアルキニル基、置換若しくは無置換の炭素数3〜12のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル)、置換若しくは無置換の炭素数3〜12のシクロアルケニル基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、置換若しくは無置換のアリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、置換若しくは無置換のヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メチルスルホニルエトキシ)、置換若しくは無置換のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルボニルフェノキシ、3−メトキシカルボニルフェニルオキシ)、置換若しくは無置換のアシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、置換若しくは無置換のアリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、置換若しくは無置換のウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、置換若しくは無置換のスルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、置換若しくは無置換のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、置換若しくは無置換のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、置換若しくは無置換のアルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、p−トルエンスルホニルアミノ)、置換若しくは無置換のカルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、置換若しくは無置換のスルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、置換スルホニル基(例えば、メチルスルホニル、オクチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル)、置換若しくは無置換のアルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、置換若しくは無置換のヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、置換アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、置換若しくは無置換のアシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、置換若しくは無置換のカルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、置換若しくは無置換のシリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、置換イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、置換若しくは無置換のヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、置換若しくは無置換のスルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、置換若しくは無置換のホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、置換若しくは無置換のアシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基)が挙げられる。
11、R12はそれぞれ独立に、置換若しくは無置換の総炭素数1〜8のアシルアミノ基、置換若しくは無置換の総炭素数1〜12のアルキル基、置換若しくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、又は置換若しくは無置換の総炭素数4〜12のヘテロ環基を表すことが好ましく、総炭素数1〜8の直鎖又は分岐状のアルキル基、又は置換若しくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基を表すことがより好ましく、総炭素数1〜8の直鎖又は分岐状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、i−プロピル基又はt−ブチル基が好ましく、特にi−プロピル基又はt−ブチル基が好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
一般式(1)において、Zは置換基を有していてもよい、5員ヘテロ環又は6員ヘテロ環を表し、好ましくは、炭素数3から10の6員含窒素ヘテロ環である。2つの置換基が互いに結合して縮環を形成してもよい。なお、置換基については後述する。
Zが表す5員ヘテロ環又は6員ヘテロ環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピロリン環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、イソオキサゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、イミダゾリジン環、チアゾリン環などが挙げられる。5員ヘテロ環又は6員ヘテロ環の2つの置換基が互いに結合して形成される縮環としては、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、フタラジン環、キノキサリン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイソオキサゾール環などが挙げられる。
Zは好ましくは、ピリジン環、ピリミジン環、S−トリアジン環、ピリダジン環、ピラジン環、1,2,4−チアジアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、イミダゾール環であり、より好ましくは、ピリジン環、ピリミジン環、S−トリアジン環、ピリダジン環、ピラジン環であり、特に色相、着色力、画像堅牢性の点から、ピリミジン環、S−トリアジン環が好ましく、更に4位及び6位で一般式(1)の窒素原子と連結するピリミジン環、2位に炭素数1〜4のアルコキシ基を有するS−トリアジン環が色相と画像堅牢性の点から好ましく、特に2位に炭素数1〜4のアルコキシ基を有するS−トリアジン環が良好な画像の光堅牢性向上の点から最も好ましい。
一般式(1)において、G及びGは、それぞれ独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、置換若しくは無置換のアラルキル基(好ましくは炭素数7〜20)、置換若しくは無置換のアルケニル基(好ましくは炭素数2〜20)、置換若しくは無置換のアルキニル基(好ましくは炭素数2〜20)、置換若しくは無置換のアリール基(好ましくは炭素数2〜20)、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜20)を表す。
及びGは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、プロパルギル基、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基、ピリジル基、ピリミジニル基、又はピラジニル基を表すことが好ましく、水素原子、メチル基、フェニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、又はピラジニル基を表すことがより好ましく、総炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、2−ピリジル基、2,6−ピリミジニル基、2,5−ピラジニル基、又はフェニル基を表すことが更に好ましく、総炭素数3以下のアルキル基がより好ましい。更に色相と画像堅牢性の観点から、水素原子、メチル基、フェニル基が好ましく、その中でも色相と光堅牢性向上の点からメチル基が特に好ましい。
一般式(1)において、Y及びYはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。
、Yが置換基を表す場合の置換基の例は、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
及びYとして特に好ましくは、水素原子、アルキル基(例えば、メチル基)、アリール基(例えば、フェニル基)、ヘテロ環基(例えば2−ピリジル基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基)であり、更に水素原子、総炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル基、フェニル基、メチルチオ基であることが好ましい。更に色相と画像堅牢性の観点から、水素原子、メチル基が好ましく、その中でも色相と光堅牢性向上の点から水素原子が特に好ましい。
一般式(1)において、G、G、Y、Y、W、W、R11、R12、Zが、更に置換基を有する場合の置換基としては、下記の置換基(以下「置換基J」と称する場合がある)を挙げることができる。
(置換基J)
置換基Jとしては、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。また、上記の置換基の中で水素原子を有するものは、その水素原子がさらに上記の置換基で置換されていてもよい。
置換基Jのより詳細な説明は、特開2011−74377号公報の[0068]〜[0106]の記載を参照することができる。
顔料(P)は、下記一般式(1−1)で表される顔料であることが好ましい。
Figure 2019163417
一般式(1−1)中、
1a、Y、Y、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。
及びGは、それぞれ独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。
及びWは、それぞれ独立に置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
一般式(1−1)中のY、Y、R11、R12、G、G、W及びWは、それぞれ一般式(1)中のY、Y、R11、R12、G、G、W及びWと同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(1−1)中のR1aは水素原子又は置換基を表す。
1aが置換基を表す場合の置換基の例は、Y及びYが置換基を表す場合の置換基の例と同様であり、好ましくはアルコキシ基であり、より好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基であり、最も好ましくはメトキシ基である。
1aが更に置換基を有する場合の置換基としては、上記置換基Jを挙げることができる。
顔料(P)の具体例としては、特開2011−74376号公報の[0124]〜[0139]に記載された化合物が参照できる。
顔料(P)は、下記式(d1)で表される顔料、下記式(d2)で表される顔料、及び下記式(d3)で表される顔料からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、下記式(d1)又は式(d2)で表される顔料であることがより好ましく、下記式(d1)で表される顔料であることが更に好ましい。
Figure 2019163417
Figure 2019163417
Figure 2019163417
本発明で用いる顔料に結晶多形が存在する場合、どの多形であってもよく、また2種以上の多形の混合物であっても良いが、結晶型が単一のものを主成分とすることが好ましい。すなわち結晶多形が混入していないものが好ましく、単一の結晶型を有する顔料の含有量は顔料全体に対し70%〜100%、好ましくは80%〜100%、より好ましくは90%〜100%、更に好ましくは95%〜100%、特に好ましくは100%である。
本発明で用いる顔料は、一般式(1)で表される化合物の互変異性体を含むものであってもよい。
一般式(1)は、化学構造上取りうる数種の互変異性体の中から極限構造式の形で示しているが、記載された構造以外の互変異性体であってもよく、複数の互変異性体を含有した混合物として用いても良い。
例えば、一般式(1)で表される化合物には、下記一般式(1’)で表されるアゾ−ヒドラゾンの互変異性体が考えられる。
Figure 2019163417
一般式(1’)中、R11、R12、W、W、Y、Y、G、G及びZは一般式(1)中のR11、R12、W、W、Y、Y、G、G及びZと同義である。
一般式(1)で表される化合物は、酸基を有する場合には、酸基の一部あるいは全部が塩型のものであってもよく、塩型の化合物と遊離酸型の化合物が混在していてもよい。塩型の例としてNa、Li、K等のアルカリ金属の塩、Mg、Ca、Ba等のアルカリ土類金属の塩、アルキル基若しくはヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアンモニウムの塩、又は有機アミンの塩が挙げられる。有機アミンの例として、低級アルキルアミン、ヒドロキシ置換低級アルキルアミン、カルボキシ置換低級アルキルアミン及び炭素数2〜4のアルキレンイミン単位を2〜10個有するポリアミン等が挙げられる。これらの塩型の場合、その種類は1種類に限られず複数種混在していてもよい。
一般式(1)で表される化合物は、その1分子中に酸基が複数個含まれる場合は、その複数の酸基は塩型あるいは遊離酸型であり互いに異なるものであってもよい。
本発明で用いる顔料は、結晶中に水分子を含む水和物であっても良い。
本発明で用いる顔料は、一般式(1)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩を含む顔料であり、一般式(1)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩の分子の集合体が微粒子の形態となったものである。顔料中の一般式(1)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩の含有率は、80質量%以上であることが好ましい。
本発明で用いられる一般式(1)で表される化合物の合成方法、及び顔料の製造方法(ソルベントソルトリミング等の後処理を含む)としては、特開2011−74376号公報の[0153]〜[0159]の記載を参照することができる。
本発明のインクに含まれる顔料(P)は1種でも2種以上であってもよい。
本発明のインク中の顔料(P)の含有量は、本発明のインクの全質量に対して、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5〜30質量%であることがより好ましく、1〜15質量%であることが更に好ましく、印画濃度と光沢の点で1.5〜4質量%であることが更に好ましい。
(水溶性高分子分散剤(D))
本発明で用いる水溶性高分子分散剤(D)(以下、分散剤(D)ともいう)は、下記一般式(2−1)で表される繰り返し単位及び下記一般式(2−2)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物である。
Figure 2019163417
一般式(2−1)中、Rは水素原子、又はメチル基若しくは置換メチル基を表し、Rは置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
一般式(2−2)中、Rは水素原子、又はメチル基若しくは置換メチル基を表す。Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。
本発明で用いる高分子分散剤は、水溶性である。
本発明において、高分子分散剤が水溶性であるとは、高分子分散剤を105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が5g以上であることをいう。上記溶解量は、高分子分散剤の塩生成基の種類に応じて、水酸化ナトリウム又は酢酸で100%中和した時の溶解量である。本発明における高分子分散剤(D)は、105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が6g以上であることが好ましく、7g以上であることがより好ましい。
上述のように、本発明では、水溶性高分子分散剤を用いることによって、顔料分散液を用いてインクを調製する際にインク中の粒子径変化が小さくなる。また、インクを用いて非浸透性基材上に形成した印画物の光沢が良好となる。
上記一般式(2−1)中、Rは水素原子、又はメチル基若しくは置換メチル基を表す。Rは水素原子又はメチル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。置換メチル基が有する置換基としては、前述の置換基Jが挙げられる。
上記一般式(2−1)中、Rは置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
置換若しくは無置換のアルキル基としては、置換若しくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基がより好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2―エチルヘキシル基、n−オクタデシル基、2−ヒドロキシエチル基又は2−フェノキシエチル基であることが好ましい。
置換若しくは無置換のアラルキル基としては、置換若しくは無置換の炭素数7〜30のアラルキル基が好ましく、置換若しくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基がより好ましく、具体的にはベンジル基又は2−フェネチル基であることが好ましい。
置換若しくは無置換のアリール基としては、置換若しくは無置換の炭素数6〜30のアリール基が好ましく、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基がより好ましく、具体的にはフェニル基、p−トリル基、又はナフチル基であることが好ましい。
上記アルキル基、アラルキル基、及びアリール基が、置換基を有する場合の置換基としては、前述の置換基Jが挙げられる。
はベンジル基、メチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクタデシル基、2−ヒドロキシエチル基又は2−フェノキシエチル基であることが好ましく、より好ましくはベンジル基である。
一般式(2−2)中、Rは水素原子、又はメチル基若しくは置換メチル基を表す。Rは水素原子又はメチル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。置換メチル基が有する置換基としては、前述の置換基Jが挙げられる。
一般式(2−2)中、Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。Mがカウンターカチオンを表す場合、カウンターカチオンとしては、ナトリウムイオン、リチウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機カチオンが挙げられる。有機カチオンの例として、低級アルキルアンモニウムカチオン、ヒドロキシ置換低級アルキルアンモニウムカチオン、カルボキシ置換低級アルキルアンモニウムカチオン及び炭素数2〜4のアルキレンイミン単位を2〜10個有する有機カチオン等が挙げられる。
一般式(2−2)中のMは、すべてが水素原子であっても良いし、すべてがカウンターカチオンであっても良いし、一部が水素原子で一部がカウンターカチオンであっても良い。また、カウンターカチオンは1種でも良いし、2種以上が混在していても良い。水素原子とカウンターカチオンの比率(水素原子/カウンターカチオンのモル比率)は、50/50〜0/100であることが好ましく、30/70〜0/100であることがより好ましい。
上記水溶性高分子分散剤(D)は、上記一般式(2−1)で表される繰り返し単位と上記一般式(2−2)で表される繰り返し単位とを有する場合は、上記一般式(2−1)で表される繰り返し単位/上記一般式(2−2)で表される繰り返し単位、として表される、水溶性高分子分散剤1分子中に含まれる各モノマー単位の含有比率(モル比率)が、50/50〜95/5であることが好ましく、60/40〜90/10であることがより好ましい。
水溶性高分子分散剤(D)中に含まれる上記一般式(2−1)で表される繰り返し単位、及び上記一般式(2−2)で表される繰り返し単位は、それぞれ1種であってもよく、2種以上であってもよい。
水溶性高分子分散剤(D)は、更に他の繰り返し単位を含有していてもよい。他の繰り返し単位としては例えば、スチレン、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。水溶性高分子分散剤(D)が、他の繰り返し単位を含有する場合、他の繰り返し単位の含有量としては、水溶性高分子分散剤(D)の全繰り返し単位に対して、0.1〜40モル%が好ましい。
水溶性高分子分散剤(D)は、親水性繰り返し単位を水溶性高分子分散剤(D)全繰り返し単位に対して20モル%以上含有することが水溶性確保の観点から好ましく、25モル%以上含有することがより好ましい。また、60モル%以下とすることが顔料への吸着性、すなわちインクの貯蔵安定性の観点から好ましい。
ここで、上記親水性繰り返し単位とは、水溶性高分子分散剤(D)を構成する繰返し単位のうち、親水性基を含有する繰り返し単位のことである。
上記親水性基としては、特に制限はなく、解離性基であっても、非解離性基であっても、ノニオン性親水性基であってもよく、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ポリアルキレンオキシ基(好ましくはポリエチレンオキシ基、ポリプロピレンオキシ基等)、ホスホン酸基、スルホ基、アルキルアンモニウムアルキル基(好ましくはトリメチルアンモニウムエチル基等)等が挙げられる。
親水性繰り返し単位としては、上記一般式(2−2)で表される繰り返し単位、及び上記一般式(2−1)で表される繰り返し単位のうちRとして親水性基を有する繰り返し単位が好ましく挙げられる。
具体的には、上記一般式(2−2)で表される繰り返し単位である、アクリル酸又はメタクリル酸に由来する繰り返し単位が挙げられる。また、上記一般式(2−1)で表される繰り返し単位である、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、トリメチル−2−メタクロイルオキシエチルアンモニウムクロリドに由来する繰返し単位が挙げられる。
水溶性高分子分散剤(D)は、公知の方法(例えば、特開2011−74377号公報、特開2012−25866号公報等に記載の方法)で合成することができる。
水溶性高分子分散剤(D)の合成に用いられる重合溶媒には、特に制限はない。重合溶媒として使用した有機溶剤を本発明のインク中の親水性有機溶剤(S)として用いることもできる。
水溶性高分子分散剤(D)の重量平均分子量(Mw)は5000〜100000であることが好ましく、7000〜70000であることがより好ましく、7000〜50000であることが更に好ましい。水溶性高分子分散剤(D)の重量平均分子量が5000以上であると、印画物の画質が優れ好ましい。水溶性高分子分散剤(D)の重量平均分子量が100000以下であると、印画物の光沢に優れることに加え、水溶性を確保でき、インクの貯蔵安定性の低下を防ぐことができ、好ましい。
本明細書において、水溶性高分子分散剤(D)の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により測定したポリスチレン換算値である。GPCは、HLC−8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSK gel GMHXL、TSK gel G4000HXL、およびTSK gel G2000HXL(東ソー(株)製、7.8mmID×30.0cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて測定した。
本発明のインクにおいて、顔料(P)に対する水溶性高分子分散剤(D)の質量比([水溶性高分子分散剤(D)の含有質量]/[顔料(P)の含有質量])が0.60以下であることが好ましく、0.55以下であることがより好ましい。
また、上記顔料(P)に対する上記水溶性高分子分散剤(D)の質量比は、0.15を超えることが好ましく、0.20以上が更に好ましい。
上記顔料(P)に対する上記水溶性高分子分散剤(D)の質量比が0.15を超えることにより、顔料(P)を分散させることができるため好ましい。また、上記顔料(P)に対する上記水溶性高分子分散剤(D)の質量比が0.60以下であることにより、顔料(P)に対して水溶性高分子分散剤(D)が過剰になりすぎず、疎水的な非浸透性基材に印画して乾燥した際に、液滴が固くなりすぎずにひび割れを起こしにくく、画質を確保できる点から好ましい。
また、水溶性高分子分散剤(D)は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインク中の水溶性高分子分散剤(D)の含有量は、インクの全質量に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましく、0.15〜3質量%であることが更に好ましい。
(ポリマー粒子(L))
本発明のインクは、ポリマー粒子(L)を含む。
以下、ポリマー粒子(L)を構成しているポリマーをポリマー(L)とも呼ぶ。
本発明のインクは、ポリマー粒子(L)含むことで、上述のように得られる印画物の光沢を良好とすることができる。さらに、非浸透性基材への定着および顔料粒子の間隙を埋めて平滑化することで、印画物の光沢、画質及び印画濃度が良好となる。
ポリマー粒子(L)は水不溶性である(すなわち、ポリマー(L)は水不溶性である)ことが好ましい。
本発明において、ポリマーが水不溶性であるとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が5g未満であることをいう。上記溶解量は、ポリマーの塩生成基の種類に応じて、水酸化ナトリウム又は酢酸で100%中和した時の溶解量である。本発明におけるポリマー(L)は、105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が2g以下であることが好ましく、1g以下であることがより好ましい。
なお、ポリマー(L)は高分子分散剤とは異なる成分である。ポリマー(L)は、インク中で単独で分散して存在するが、高分子分散剤は、インク中で顔料との混合物で分散して存在する。
ポリマー(L)は無色又は淡黄色のポリマーであることが好ましい。
ポリマー粒子(L)としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、(メタ)アクリルポリマー((メタ)アクリル樹脂)、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
ポリマー粒子(L)は公知の方法で合成してもよいし、市販品を用いてもよい。
ポリマー粒子(L)として用いることができるポリエステルとしては、具体的には、東洋紡(株)製バイロナール、高松油脂(株)製ペスレジンなどが挙げられる。
ポリマー粒子(L)として用いることができるポリウレタンとしては、具体的には、三井化学(株)製タケラック、第一工業製薬(株)製エラストロン、大成ファインケミカル(株)製WBRシリーズ、明成化学工業(株)製パスコール、楠本化成(株)製Neorezシリーズなどが挙げられる。
ポリマー粒子(L)として用いることができるポリスチレンとしては、具体的には、Mallard Creek Polymers社製Roveneシリーズのポリスチレンなどが挙げられる。
ポリマー粒子(L)として用いることができる(メタ)アクリルポリマーとしては、具体的には、日本合成化学(株)製モビニールシリーズのスチレン/(メタ)アクリル樹脂、Mallard Creek Polymers社製Roveneシリーズのスチレン/(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン/(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
ポリマー粒子(L)として用いることができるスチレン−ブタジエン共重合体としては、Mallard Creek Polymers社製Roveneシリーズ、日本ゼオン(株)製Nipol Lx421が挙げられる。
ポリマー粒子(L)として用いることができるポリ塩化ビニルとしては、具体的には、日信化学工業(株)製ビニブランなどが挙げられる。
ポリマー粒子(L)は、印画物の画質、特に本発明のインク(典型的にはイエローインク)と他色のインク(例えばシアンインク、マゼンタインク)とを非浸透性基材上で混色する場合における、混色部の画質向上の観点から、ポリエステル、ポリウレタン、及びポリスチレンの少なくともいずれかであることが好ましく、ポリエステルであることがより好ましい。
これは、ポリマー粒子(L)を上記種類のポリマーとすることにより、他色インクに用いられているバインダー樹脂(主にスチレン系樹脂)と、ポリマー粒子(L)との親和性が高くなり、上記混色部におけるハジキを抑制できるためと推察している。
本発明におけるポリマー粒子(L)の体積平均粒子径(以下、単に「平均粒子径」ともいう。)は、0.1〜200nmであることが好ましく、0.1〜170nmであることがより好ましく、1.4〜170nmであることが更に好ましく、1.4〜150nmであることが特に好ましい。
また、ポリマー粒子(L)の粒子径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒子径分布を持つもの、又は単分散の粒子径分布を持つもの、いずれでもよい。また、ポリマー粒子(L)を、2種以上混合して使用してもよい。
ポリマー粒子(L)の体積平均粒子径及び粒子径分布は、光散乱法を用いて測定することができる。
本発明におけるポリマー(L)の分子量範囲は、重量平均分子量で、3000〜200000であることが好ましく、10000〜200000であることがより好ましく、30000〜150000であることが更に好ましい。重量平均分子量を3000以上とすることで水溶性成分量を効果的に抑制することができる。また、重量平均分子量を200000以下とすることで、自己分散安定性を高めることができる。
ポリマー(L)の重量平均分子量は、水溶性高分子分散剤(D)の重量平均分子量と同様の方法で測定される。
本発明のインクにおいて、顔料(P)に対するポリマー粒子(L)の質量比([ポリマー粒子(L)の含有質量]/[顔料(P)の含有質量])は0.6〜3.0であることが好ましい。上記顔料(P)に対する上記ポリマー粒子(L)の質量比を上記範囲とすることにより、得られる印画物の画質を確保でき、さらに光沢をより良好とすることができる。上記顔料(P)に対する上記ポリマー粒子(L)の質量比は、0.7〜3.0であることがより好ましく、0.7〜2.5であることがさらに好ましく、0.7〜1.5であることが最も好ましい。
また本発明のインク中のポリマー粒子(L)の含有量としては、インクの全質量に対して、1〜30質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましく、2〜10質量%であることが特に好ましい。
ポリマー粒子(L)は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(親水性有機溶剤(S))
本発明のインクは、親水性有機溶剤(S)を含有する。本発明において、親水性有機溶剤とは、25℃における水溶解度として10g/100g−HO以上であるものが好ましく、20g/100g−HO以上であるものがより好ましく、水と任意の割合で混和するものが特に好ましい。
親水性有機溶剤(S)は、グリセリン、ジグリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール、1,2−ブタンジオール等のアルカンジオール(多価アルコール類);ヴルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の糖類;糖アルコール類;ピアルロン酸類;尿素類等のいわゆる固体湿潤剤;エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン等が挙げられる。
上記親水性有機溶剤(S)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。インクをインクジェット記録用インクとして用いる場合のインク液物性(特に、表面張力及び粘度)調整の観点から、2種以上を併用することが好ましい。
本発明において、インク中の上記親水性有機溶剤(S)の含有量は、インクの全質量に対して20〜55質量%であることが好ましく、25〜55質量%であることがより好ましく、25〜51質量%であることが更に好ましい。
また、親水性有機溶剤(S)のうち、沸点が200℃以上の有機溶剤を、インクの全質量に対して15質量%以上含有することが好ましく、20質量%以上含有することがより好ましい。沸点の高い有機溶剤を一定量以上含有することによって、印画物の画質が良好となる。これは、インクの乾燥が徐々に起こるため印画物表面がなだらかになることに加え、インクの疎水性が上がり、ポリ塩化ビニルのような非浸透性基材を用いた際に、基材との親和性が高くなり、得られた画像のひび割れ及びムラが起こりにくいためと推定される。
なお、本明細書中における沸点の値は、1気圧(101300Pa)での値である。
沸点が200℃以上の親水性有機溶剤(S)としては、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル(230℃)、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(230℃)、2−ピロリドン(245℃)、1,2−ヘキサンジオール(223℃)、ジプロピレングリコール(232℃)、グリセリン(290℃)、1,6−ヘキサンジオール(250℃)、トリエチレングリコール(276℃)、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(272℃)等が挙げられる。
さらに、親水性有機溶剤(S)のうち、沸点が200℃以上、かつ溶解度パラメーター(SP値)が29MPa1/2以下の有機溶剤をインクの全質量に対して20質量%以上含有することが印画物の画質の観点からより好ましい。なお、SP値は、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147〜154(1974)に記載の方法で計算される値である。
(水)
本発明で用いる水としては、水道水、井水等であってもよく、特に制限はないが、例えば、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水が好ましい。更に、カビ又はバクテリア等の発生を防ぐ目的で、紫外線処理、過酸化水素水処理等により滅菌された水を用いることも好ましい。
インク中の水の含有量は、インクの全質量に対して、20〜98質量%であることが好ましく、30〜90質量%であることがより好ましい。
(その他の成分)
本発明のインクは、顔料(P)、水溶性高分子分散剤(D)、ポリマー粒子(L)、親水性有機溶剤(S)及び水に加え、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、防腐剤、界面活性剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤(特開2003−306623号公報に記載)が挙げられる。
(防腐剤)
防腐剤とは微生物、特に細菌及び真菌(カビ)の発生、発育を防止する機能を有するものをいう。
防腐剤としては、重金属イオンを含有する無機物系の防腐剤(銀イオン含有物など)や塩類を挙げることができる。また、有機系の防腐剤としては、第四級アンモニウム塩(テトラブチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等)、フェノール誘導体(フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、キシレノール、ビスフェノール等)、フェノキシエーテル誘導体(フェノキシエタノール等)、ヘテロ環化合物(ベンゾトリアゾール、プロキセル(PROXEL)、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等)、酸アミド類、カルバミン酸、カルバメート類、アミジン・グアニジン類、ピリジン類(ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド等)、ジアジン類、トリアジン類、ピロール・イミダゾール類、オキサゾール・オキサジン類、チアゾール・チアジアジン類、チオ尿素類、チオセミカルバジド類、ジチオカルバメート類、スルフィド類、スルホキシド類、スルホン類、スルファミド類、抗生物質類(ペニシリン、テトラサイクリン等)、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、及び、その塩など種々のものが使用可能である。
また、防腐剤としては、防菌防微ハンドブック(技報堂出版(株):1986)、防菌防黴剤事典(日本防菌防黴学会事典編集委員会編)等に記載のものも使用することができる。
防腐剤の含有量は、広い範囲で使用可能であるが、顔料に対して、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が更に好ましい。
〔インクの製造方法〕
本発明のインクの製造方法は特に限定されず、公知の方法で製造することができるが、顔料(P)を水溶性高分子分散剤(D)によって水中に分散させた顔料分散液と、これとは別に、ポリマー粒子(L)の分散液とを製造し、顔料分散液、ポリマー粒子(L)の分散液、親水性有機溶剤(S)、及び水、並びに、必要に応じてその他の成分を混合して、インクを製造する方法が好ましい。
(顔料分散液の製造方法)
顔料分散液の製造方法は、
工程(A):顔料(P)、水溶性高分子分散剤(D)、及び水を含む組成物を得る工程、並びに、
工程(B):分散機を用いて、工程(A)で得られた組成物中の顔料(P)を分散させ、顔料分散液を得る工程、を含むことが好ましい。
以下に各工程について説明する。
<工程(A)>
工程(A)においては、各成分を公知の混合方法で混合することが好ましい。混合方法は、特に制限はない。
また、工程(A)における混合温度及び混合時間は、特に限定されず、所望の混合の進行状況に応じ適宜選択すればよい。
工程(A)においては、各成分は任意の順で混合してもよい。
また、工程(A)において、必要に応じ、上述の親水性有機溶剤、又は親水性有機溶剤以外の有機溶剤、防腐剤等のその他の成分を添加してもよい。
<工程(B)>
工程(B)は、分散機を用いて、工程(A)で得られた組成物中の顔料(P)を分散させ、顔料分散液を得る工程である。
工程(B)では、工程(A)で得られた組成物を分散機により撹拌等を行い、組成物中の顔料を分散させて顔料分散液とする。
なお、工程(B)では、工程(A)で得られた組成物を用いるが、工程(A)と工程(B)とが同時に行われてもよい。工程(A)と工程(B)とが同時に行われる場合の例としては、分散機に工程(A)で用いる顔料(P)、水溶性高分子分散剤(D)、及び水、並びに必要に応じてその他の成分を投入し、工程(A)の組成物を得ると同時に分散機による分散を行う場合などが挙げられる。
工程(B)では、顔料(P)を含む粒子の体積平均粒子径が所望の範囲となるように、分散させることが好ましく、顔料(P)を含む粒子の体積平均粒子径が100nm以下となるように、分散することがより好ましい。
本発明において、顔料分散液中の顔料(P)を含む粒子の体積平均粒子径は、下記のように測定して得られた測定値である。
得られた顔料分散液について、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用い、動的光散乱法により平均粒子径を測定した。顔料分散液30μlに対してイオン交換水10mlを加えて測定用サンプル液を調製し、これを25℃に調温して測定した。
工程(B)における顔料の分散方法は、公知の分散機を用いて行うことができ、特に限定されない。工程(B)には、例えば、ミル方式(例えば、コロイドミル、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ペイントシェイカー、アジテーターミル等)、超音波方式(超音波ホモジナイザー)、高圧乳化分散方式(高圧ホモジナイザー;具体的な市販装置としてはゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、DeBEE2000等)、高速撹拌型分散機等を使用することができる。
これらの中でも、ミル方式であることが好ましく、媒体分散方式、すなわち分散メディアを用いる分散機(コロイドミル、ボールミル、サンドミル、ビーズミル等)であることがより好ましく、ビーズミルが更に好ましい。
<工程(C)>
顔料分散液の製造方法では、工程(B)の後に、工程(C)として、工程(B)で得られた顔料分散液に加熱処理を行う工程(以下、単に「加熱処理工程」ともいう。)を更に含むことが好ましい。加熱処理工程を有することにより、顔料分散液中の顔料(P)と水溶性高分子分散剤(D)との関係がより安定なものとなる。
加熱処理工程における加熱温度としては、40℃以上95℃以下が好ましく、50℃以上95℃以下がより好ましく、60℃以上95℃以下が更に好ましい。
また、加熱処理工程における加熱時間としては、5分以上が好ましく、5分以上24時間以下がより好ましく、30分以上12時間以下が更に好ましい。
また、加熱処理工程において、撹拌を行いながら加熱処理を行ってもよい。
顔料分散液の製造方法は、上記の工程(A)〜(C)に加え、他の工程を含んでいてもよい。他の工程としては、例えば、pH調整工程、殺菌工程、溶媒除去工程、脱イオン工程、遠心分離工程、ろ過工程などが挙げられる。
(ポリマー粒子(L)の分散液の製造方法)
ポリマー粒子(L)の分散液の製造方法は、前述のとおり公知の方法(例えば、特開2011−46908号公報等に記載の方法)で調製することができる。
インク中の顔料を含む粒子の体積平均粒子径は、20〜400nmであることが好ましく、30〜300nmであることがさらに好ましく、40〜250nmであることが特に好ましい。
本発明のインクは、上記顔料分散液に他の成分を混合して、上記の製造方法にてインクを調製する際、顔料を含む粒子の体積平均粒子径の変化が起こりにくい。
インク中の顔料を含む粒子の体積平均粒子径の測定は、インク30μlに対してイオン交換水5mlを加えて測定用サンプル液を調製した以外は、上述の顔料分散液中の顔料を含む粒子の体積平均粒子径の測定と同様にして測定できる。
[インクジェット記録用インク]
本発明のインクは、種々の用途に用いることができるが、特に、インクジェット記録用であることが好ましい。すなわち、本発明のインクはインクジェット記録用インクであることが好ましい。
[インクセット]
本発明は、上記の本発明のインクと、シアンインクと、マゼンタインクとを含有するインクセットにも関する。
本発明のインクを用いたインクジェット記録用インク(好ましくはイエローインク)、特にポリマー粒子(L)として、ポリエステル、ポリウレタン、及びポリスチレンの少なくともいずれかを用いたイエローインクは、他色のインクと非浸透性基材上で混色する場合において、混色部の画質を向上させることができるため、インクセットとして用いることも好ましい。
[インクジェット記録方法]
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクをインクジェット法により非浸透性基材上に付与して画像を形成するインク付与工程を備えるが、必要に応じて、その他の工程を備えて構成される。
以下、本発明の記録方法を構成する各工程を説明する。
−インク付与工程−
インク付与工程は、既述の本発明のインクを記録媒体(非浸透性基材)にインクジェット法で付与する。本工程では、記録媒体上に選択的にインクを付与でき、所望の可視画像を形成できる。本発明のインクにおける各成分の詳細及び好ましい態様などの詳細については、既述した通りである。
インクジェット法は、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。
−非浸透性基材−
本発明の記録方法は、非浸透性基材(以下、単に「基材」ともいう。)に上に画像を記録するものである。
非浸透性基材の「非浸透性」とは、インクに含まれる水の吸収が少ない又は吸収しないことをいい、具体的には、水の吸収量が0.3g/m以下である性質をいう。
なお、基材の水の吸収量は、非浸透性基材の画像記録面の100mm×100mmの大きさの領域に水を接触させた状態で25℃にて1分間保持し、吸収された水の質量を求め、単位面積当たりの吸収量を算出することで得られる。
非浸透性基材としては、少なくとも一方の表面(好ましくは、処理液及びインクが付与される表面)に樹脂を有する基材、表面に易接着層を有する基材等を挙げることができる。
少なくとも一方の表面に樹脂を有する基材には、例えば紙材の一方面又は両面の少なくとも一部が樹脂で被覆された樹脂被覆紙、樹脂を成形した樹脂成形体(例えば樹脂を板状(シート状)に成形した樹脂板)が含まれる。
上記した樹脂の例としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリオレフィン(例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE))、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられ、ポリ塩化ビニルであることが好ましい。
ポリ塩化ビニル(PVC)の例としては、リンテック社製のLAGジェットシリーズ(例えば、LAGジェットP−224RW、LAGジェットP−280RW、LAGジェットP−284ZC)、(株)ミマキエンジニアリング社製の白塩ビシリーズ(例えば、白塩ビG−115A)が挙げられる。
ポリエチレンテレフタレート(PET)の例としては、リンテック社製のLAGジェットシリーズ(例えば、LAGジェットE−2204RC、LAGジェットG−1100EC)が挙げられる。
ポリウレタンの例としては、リンテック社製のLAGジェットシリーズ(例えば、LAGジェットU−1003RW)が挙げられる。
また、表面に易接着層を有する基材としては、表面に易接着層を有するポリエチレンテレフタレートが挙げられ、具体例としては、きもと社製のビューフルUVシリーズ(例えば、TP−50、TP−100、TP−188)が挙げられる。
上記のうち、非浸透性基材は、少なくとも一方の表面(例えば処理液及びインクが付与される表面)にPVC、PET、PP、又はPEを有する基材が好ましい。具体的には、非浸透性基材の例として、紙材の一方面又は両面の少なくとも一部がPVC、PET、PP、又はPEで被覆された樹脂被覆紙、PVC、PET、PP、又はPEを成形した板材等を挙げることができる。
非浸透性基材の厚みとしては、10μm以上300μm以下であることが好ましい。中でも、非浸透性基材の厚みは、10μm以上100μm以下がより好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
(合成例1 水溶性高分子分散剤H1の合成)
1,2−HDO(1,2−ヘキサンジオール)78.1gにV−601(和光純薬(株)製)2.7gを添加し、撹拌して溶解させて開始剤溶液を調製した。
別に、1,2−HDO58.6gにメタクリル酸ベンジル123.4g、メタクリル酸26.0g、及び、連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル6.6gを添加し、撹拌してモノマー溶液を調製した。
1L3口フラスコに1,2−HDOを101.4g入れ、窒素気流化、内温80℃に昇温し、ここに開始剤溶液、及びモノマー溶液を同時に添加し始め、それぞれ5時間、及び4時間かけて添加した。開始剤溶液を添加終了後、2時間80℃にて撹拌した後、70℃に冷却して、ここに50質量%水酸化カリウム水溶液を27.1g、水を18.4g、1,2−HDOを5.3g加え、70℃にて1時間撹拌し、水溶性高分子分散剤H1の1,2−HDO溶液を得た(分散剤溶液1)を453g得た。分散剤溶液1の固形分濃度は36.5質量%であった。水溶性高分子分散剤H1の重量平均分子量(Mw)は8000であり、酸価は1.9mmol/gであった。
なお、固形分濃度とは、溶剤以外の成分の濃度をいう。
(合成例2 水溶性高分子分散剤H2の合成)
DPG(ジプロピレングリコール)75.4gにV−601(和光純薬(株)製)2.2gを添加し、撹拌して溶解させて開始剤溶液を調製した。
別に、DPG56.6gにメタクリル酸ステアリル55.1g、メタクリル酸ベンジル55.9g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル28.6g、メタクリル酸9.8g、及び、連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル1.8gを添加し、撹拌してモノマー溶液を調製した。
1L3口フラスコにDPGを98.0g入れ、窒素気流化、内温80℃に昇温し、ここに開始剤溶液、及びモノマー溶液を同時に添加し始め、それぞれ5時間、及び4時間かけて添加した。開始剤溶液を添加終了後、2時間80℃にて撹拌した後、70℃に冷却して、ここにジメチルアミノエタノールを8.1g、水を23.0g加え、70℃にて1時間撹拌し、水溶性高分子分散剤H2のDPG溶液を得た(分散剤溶液2)を415g得た。分散剤溶液H2の固形分濃度は36.2質量%であった。水溶性高分子分散剤H2の重量平均分子量(Mw)は20000であり、酸価は0.7mmol/gであった。
(合成例3 水溶性高分子分散剤H3の合成)
1,2−HDO76.4gにV−601(和光純薬(株)製)2.71gを添加し、撹拌して溶解させて開始剤溶液を調製した。
別に、1,2−HDO57.3gにメタクリル酸ベンジル124.0g、メタクリル酸25.4g、及び、連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル3.3gを添加し、撹拌してモノマー溶液を調製した。
1L3口フラスコに1,2−HDOを99.3g入れ、窒素気流化、内温80℃に昇温し、ここに開始剤溶液、及びモノマー溶液を同時に添加し始め、それぞれ5時間、及び4時間かけて添加した。開始剤溶液を添加終了後、2時間80℃にて撹拌した後、70℃に冷却して、ここに50質量%水酸化カリウム水溶液を26.5g、水を12.0g、1,2−HDOを5.2g加え、70℃にて1時間撹拌し、水溶性高分子分散剤H3の1,2−HDO溶液を得た(分散剤溶液3)を435g得た。分散剤溶液3の固形分濃度は37.5質量%であった。水溶性高分子分散剤H3の重量平均分子量(Mw)は16000であり、酸価は1.9mmol/gであった。
(合成例4 水溶性高分子分散剤H4の合成)
1,2−HDO75.9gにV−601(和光純薬(株)製)2.7gを添加し、撹拌して溶解させて開始剤溶液を調製した。
別に、1,2−HDO56.9gにメタクリル酸ベンジル124.1g、メタクリル酸25.2g、及び、連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル2.2gを添加し、撹拌してモノマー溶液を調製した。
1L3口フラスコに1,2−HDOを98.6g入れ、窒素気流化、内温80℃に昇温し、ここに開始剤溶液、及びモノマー溶液を同時に添加し始め、それぞれ5時間、及び4時間かけて添加した。開始剤溶液を添加終了後、2時間80℃にて撹拌した後、70℃に冷却して、ここに50質量%水酸化カリウム水溶液を26.3g、水を11.9g、1,2−HDOを5.2g加え、70℃にて1時間撹拌し、水溶性高分子分散剤H3の1,2−HDO溶液を得た(分散剤溶液4)を430g得た。分散剤溶液4の固形分濃度は37.8質量%であった。水溶性高分子分散剤H4の重量平均分子量(Mw)は19000であり、酸価は1.9mmol/gであった。
(合成例5 水溶性高分子分散剤H5の合成)
1,2−HDO77.0gにV−601(和光純薬(株)製)2.7gを添加し、撹拌して溶解させて開始剤溶液を調製した。
別に、1,2−HDO57.7gにメタクリル酸ベンジル123.8g、メタクリル酸25.6g、及び、連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル4.4gを添加し、撹拌してモノマー溶液を調製した。
1L3口フラスコに1,2−HDOを100.0g入れ、窒素気流化、内温80℃に昇温し、ここに開始剤溶液、及びモノマー溶液を同時に添加し始め、それぞれ5時間、及び4時間かけて添加した。開始剤溶液を添加終了後、2時間80℃にて撹拌した後、70℃に冷却して、ここに50質量%水酸化カリウム水溶液を26.7g、水を12.1g、1,2−HDOを5.3g加え、70℃にて1時間撹拌し、水溶性高分子分散剤H5の1,2−HDO溶液を得た(分散剤溶液5)を453g得た。分散剤溶液5の固形分濃度は36.7質量%であった。水溶性高分子分散剤H5の重量平均分子量(Mw)は13000であり、酸価は1.9mmol/gであった。
水溶性高分子分散剤H6〜H20、H22及びH24についても、上記合成例5に示す水溶性高分子分散剤の原料モノマー種及びモル比、連鎖移動剤種及び使用量、開始剤種、並びに重合溶媒種を下記表1に示すように変更した以外は合成例5と同様にして合成した。
使用した原料モノマー種及びその組成(モル%)、水溶性高分子分散剤全繰り返し単位中の親水性構造単位の含有量(モル%)、連鎖移動剤種、モノマーと連鎖移動剤のモル比(モノマー/連鎖移動剤)、開始剤種、重合溶媒種については、下記表1に示す。また、水溶性高分子分散剤の重量平均分子量及び酸価についても表1に示す。
連鎖移動剤を用いていないH21及びH23は特開2014−162875号公報記載の合成例(1)−6を参照して合成した。
なお、比較例で使用した高分子分散剤HR1は特開2011−51222号公報記載の樹脂分散剤P−1に従って合成した。
高分子分散剤H1〜H24については、それぞれ、105℃で2時間乾燥させた後、固形分が5gになるように量りとり、25℃の水100gを加え、完溶していることを確認した。すなわち、高分子分散剤H1〜H24は水溶性高分子であった。
一方、高分子分散剤HR1は非水溶性高分子(水不溶性高分子)であった。
Figure 2019163417
Figure 2019163417
上記表1において用いられる略号は以下のとおりである。
BnA:アクリル酸ベンジル
BnMA:メタクリル酸ベンジル
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
MMA:メタクリル酸メチル
SMA:メタクリル酸ステアリル
HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
PhEMA:メタクリル酸2−フェノキシエチル
PhMA:メタクリル酸フェニル
2EHMA:メタクリル酸2−エチルヘキシル
2−EHMPA:3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル
3−MPA:3−メルカプトプロピオン酸
MMPA:3−メルカプトプロピオン酸メチル
BMPA:3−メルカプトプロピオン酸メブチル
MEK:メチルエチルケトン
なお、「パーブチルO」は日油(株)製の重合開始剤である
(顔料分散液(S1)の調製)
水溶性高分子分散剤H1の1,2−HDO溶液(分散剤溶液1)21.1gに水73.5g、前述の式(d1)で表される化合物(アゾ顔料(d1))からなる粉体の顔料を15.4g加えて混合した。このとき、顔料に対する水溶性高分子分散剤の質量比(D/P)は0.5である。これを直径0.1mmのジルコニア製のビーズ375gを用いて、バッチ式ビーズミルBSG−01(81D 030)(アイメックス株式会社製)で1500rpm(rotation per minute)にて23時間分散した。分散終了後、ろ布を用いてビーズを分離し、超純水を用いて洗浄して顔料分散液1―1(顔料濃度:12.1質量%)を115g得た。
得られた顔料分散液1−1に水26gを加え、内温90℃に昇温して12時間撹拌した。その後、1時間30分かけて内温45℃に冷却した。ここに水130gを加えて、遠心分離機で粗大粒子を沈降させた。沈降した固体を除去した後、分画分子量50,000の限外ろ過膜を用いてクロスフローろ過方式にて精製を行った後、顔料濃度10質量%に濃縮した。内温70℃にて1時間加熱し、室温(25℃)に冷却した後に孔径1.0μmのフィルターを通して、顔料分散液(S1)(顔料濃度:10.1質量%)を125g得た。明細書中に記載の測定方法により測定した顔料を含む粒子の体積平均粒子径は84nmだった。。
(顔料分散液(S2)の調製)
水溶性高分子分散剤H2のDPG溶液(分散剤溶液2)26.7gに水59.1g、前述の式(d2)で表される化合物(アゾ顔料(d2))からなる粉体の顔料を24.2g加えて混合した。このとき、顔料に対する水溶性高分子分散剤の質量比(D/P)は0.4である。これを実施例1―1と同様にして47時間分散した。分散終了後、ろ布を用いてビーズを分離し、超純水を用いて洗浄して顔料分散液1−2(顔料濃度:16.8質量%)を124g得た。
得られた顔料分散液1−2に水72gを加え、内温90℃に昇温して6時間撹拌した。その後、1時間30分かけて内温45℃に冷却した。遠心分離機で粗大粒子を沈降させ、沈降した固体を除去した後、孔径0.3μmのフィルターを通して、顔料分散液(S2)(顔料濃度:10.1質量%)を186g得た。体積平均粒子径は89nmだった。
(顔料分散液(S3)の調製)
オレイン酸ナトリウム4.8gを水81.0gに溶解させ、前述の式(d2)で表される化合物(アゾ顔料(d2))から成る粉体の顔料を24.2g加えて混合した。このとき、顔料に対する低分子分散剤であるオレイン酸ナトリウムの質量比(S/P)は0.2である。これを実施例1−1と同様にして11時間分散した。分散終了後、ろ布を用いてビーズを分離し、超純水を用いて洗浄して顔料分散液1−3(顔料濃度:15.1質量%)を142g得た。
水溶性高分子分散剤H2のDPG溶液(分散剤溶液2)26.2gに水36.2g、顔料分散液1−3を130g加え、内温90℃に昇温して12時間撹拌した。このとき、顔料に対する水溶性高分子分散剤の質量比(D/P)は0.4である。その後、1時間30分かけて内温45℃に冷却した。遠心分離機で粗大粒子を沈降させ、沈降した固体を除去した後、孔径0.3μmのフィルターを通して、顔料分散液(S3)(顔料濃度:10.1質量%)を172g得た。体積平均粒子径は82nmだった。
(顔料分散液(S4)〜(S34)及び(HS1)〜(HS4)の調製)
顔料分散液(S1)の調製において使用した顔料、水溶性高分子分散剤、及び顔料に対する水溶性高分子分散剤の質量比(D/P)を下記表3及び表4に示す顔料、水溶性高分子分散剤及び質量比(D/P)に変更した以外は顔料分散液(S1)と同様にして、顔料分散液(S4)〜(S20)、(S22)〜(S34)及び顔料分散液(HS1)、(HS3)、(HS4)を調製した。
また、顔料分散液(S3)の調製において使用した顔料、水溶性高分子分散剤、及び顔料に対する水溶性高分子分散剤の質量比(D/P)を下記表2に示す顔料、水溶性高分子分散剤及び質量比(D/P)に変更した以外は顔料分散液(S3)と同様にして、顔料分散液(S21)及び顔料分散液(HS2)を調製した。
特開2010−31224号公報記載のPig.−25を顔料(d4)として、Pig.−55を顔料(d5)として用いた。
P.Y.74は、C.I.ピグメントイエロー74を表す。
P.Y.120は、C.I.ピグメントイエロー120を表す。
なお「C.I.」はカラーインデックスの略語である。
Figure 2019163417
Figure 2019163417
使用した顔料(P)、水溶性高分子分散剤(D)、顔料に対する水溶性高分子分散剤の質量比(D/P)、及び顔料に対する低分子分散剤の質量比(S/P)については下記表3及び表4に示す。また、顔料分散液の体積平均粒子径及び顔料濃度についても表3及び表4に示す。
Figure 2019163417
Figure 2019163417
(実施例1 イエローインク(Y1)の調製)
上記顔料分散液(S1)11.4g、超純水7.7g、2−ピロリドン2.7g、1,2-ブタンジオール13.5g、ジエチレングリコールイソブチルエーテル9.0g、サーフィノール104PG−50を2.0g加え、良く撹拌した後、ポリマー粒子として東洋紡株式会社製バイロナールMD−1930(ポリエステル樹脂、31質量%)3.7gを加えて良く撹拌し、イエローインク(Y1)を得た。このとき、顔料に対するポリマー粒子の質量比(L/P)は1.0である。
(実施例2〜49及び比較例1〜5)
実施例1において使用した顔料分散液、ポリマー粒子、親水性有機溶剤、界面活性剤及びそれらの使用量、並びに超純水の使用量を下記表5〜14に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、イエローインク(Y2)〜(Y49)および比較例のイエローインク(HY1)〜(HY4)を調製した。
以下にイエローインク(Y42)、(Y43)の調製において用いたポリマー粒子B−01(L−6)の調製法を示す。
〜自己分散性ポリマー粒子B−01の調製〜
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン560.0gを仕込んで、87℃まで昇温した。反応容器内は還流状態を保ちながら(以下、反応終了まで還流)、メチルメタクリレート220.4g、イソボルニルメタクリレート301.6g、メタクリル酸58.0g、メチルエチルケトン108g、及び「V−601」(和光純薬(株)製)2.32gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、1時間攪拌後、(1)「V−601」1.16g、メチルエチルケトン6.4gからなる溶液を加え、2時間攪拌を行った。続いて、(1)の工程を4回繰り返し、さらに「V−601」1.16g、メチルエチルケトン6.4gからなる溶液を加えて3時間攪拌を続けた。重合反応終了後、溶液の温度を65℃に降温し、イソプロパノール163.0gを加えて放冷した。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は63000、酸価は65.1(mgKOH/g)であった。
次に、得られた重合溶液317.3g(固形分濃度41.0%)を秤量し、イソプロパノール46.4g、20%無水マレイン酸水溶液1.65g(水溶性酸性化合物、共重合体に対してマレイン酸として0.3%相当)、2モル/LのNaOH水溶液28.54gを加え、反応容器内温度を70℃に昇温した。次に蒸留水380gを10ml/minの速度で滴下し、水分散化せしめた(分散工程)。
その後、減圧下、反応容器内温度70℃で1.5時間保って、イソプロパノール、メチルエチルケトン、蒸留水を合計で287.0g留去し(溶剤除去工程)、プロキセルGXL(S)(アーチ・ケミカルズ・ジャパン(株)製)0.278g(ポリマー固形分に対してベンゾイソチアゾリン−3−オンとして440ppm(parts per million))、水70gを添加した。その後1μmのフィルターでろ過を実施し、ろ過液を回収し、固形分濃度23.0質量%の自己分散性ポリマー粒子B−01の水性分散物を得た。
[画像記録及び評価]
富士フイルムDimatix社製DMP2850プリンターを用いて、インク液滴量10pLで1270DPI(dots per inch)、カートリッジ温度を30℃、プレート温度を55℃に設定し、HSL形式で{鮮やかさ;明るさ}がそれぞれ{0;0}、{0;38}、{0;76}、{0;128}のカラーパッチを、ミマキエンジニアリング社製白塩ビG−115A(非浸透性基材)に各実施例及び比較例のイエローインクを用いて印画した後、(株)ミマキエンジニアリング社製Lx101ラテックスインクパックシアンおよびマゼンタを用いてそれぞれ同様に印画することで、黄色(イエローインク単色)、緑色(イエローインクとシアンインクとの混色部)、赤色(イエローインクとマゼンタインクとの混色部)のカラーパッチを形成し、70℃の送風乾燥機で10分間乾燥させて非浸透性基材上に形成された印画物を作製した。
<画質>
印画物の黄色、緑色、赤色の{鮮やかさ;明るさ}がそれぞれ{0;0}、{0;128}の部分をそれぞれ光学顕微鏡(BX51、オリンパス社製)および目視で観察し、下記基準を用いて評価した。なお、下記基準においてB以上であることが実用上好ましい。
(黄色の評価)
A:光学顕微鏡で観察しても濃度ムラ、ひび割れがない
B:目視では濃度ムラ、ひび割れが観察されないが、光学顕微鏡では濃度ムラ、ひび割れが観察される。
C:目視において濃度ムラが観察される
D:目視において激しい濃度ムラが観察される。
(緑色及び赤色の評価)
A:光学顕微鏡で観察しても濃度ムラ、ハジキがない
B:目視では濃度ムラ、ハジキが観察されないが、光学顕微鏡では濃度ムラ、ハジキが観察される。
C:目視において濃度ムラ、ハジキが観察される。
D:目視において激しい濃度ムラ、ハジキが観察される。
<光沢>
印画物の黄色、緑色、赤色の{鮮やかさ;明るさ}がそれぞれ{0;0}の部分の20°光沢度を、光沢度計(堀場製作所製 IG−331)で測定し、算出した平均値を、下記基準を用いて評価した。下記基準においてB以上であることが実用上好ましい。
A:50以上
B:40以上50未満
C:30以上40未満
D:30未満
<印画濃度>
印画物の黄色、緑色、赤色の{鮮やかさ;明るさ}がそれぞれ{0;0}の部分のOD(Optical Density)を、X−rite社製i1 Pro分光測色計で測定して平均値を下記基準を用いて評価した。
A:1.8以上
B:1.7以上1.8未満
C:1.6以上1.7未満
D:1.6未満
<耐光性>
上記印画物をキセノンウェザーメーター(スガ試験機社製)を用いて60W/m(300−400nm)、40℃、相対湿度50%、275nmカットフィルター条件下、14日間照射した。黄色、緑色、赤色それぞれの画像部に関して、照射前のODが1に最も近い部分の、照射前後の色差ΔEを測定して平均値を下記基準を用いて評価した。
A:ΔEが6.5未満
B:ΔEが6.5以上10未満
C:ΔEが10以上13.5未満
D:ΔEが13.5以上
<顔料分散液を用いてインクを調製する際にインク中の粒子径変化>
イエローインク中の顔料を含む粒子の体積平均粒子径について、インク30μlに対してイオン交換水5mlを加えて測定用サンプル液を調製し、明細書中に記載の方法にて測定し、イエローインクの調製に用いた顔料分散液中における顔料を含む粒子の体積平均粒子径と比較し、下式の値に関して下記基準を用いて評価した。結果を下記表5〜14の「粒子径変化」の欄に示した。
体積平均粒子径[インク]−体積平均粒子径[顔料分散液]
A:10nm未満(負の値を含む)
B:10nm以上30nm未満
C:30nm以上50nm未満
D:50nm以上
イエローインクの調製に使用した各種成分及び上記評価の結果について、下記表5〜表14に示す。
Figure 2019163417
Figure 2019163417
Figure 2019163417
Figure 2019163417
Figure 2019163417
Figure 2019163417
Figure 2019163417
Figure 2019163417
Figure 2019163417
Figure 2019163417
上記表5〜14において、顔料分散液、ポリマー粒子、沸点200℃以上の溶剤、沸点200℃未満の溶剤、界面活性剤、超純水の欄に記載の各数値は、イエローインク全質量に対する各成分の含有量(単位 質量%)で表したものである。
表5〜14中の各成分について記載する。
(ポリマー粒子)
L−1:バイロナール(登録商標)MD−1480(ポリエステル 含有率25質量%)
L−2:バイロナール(登録商標)MD−1930(ポリエステル 含有率31質量%)
L−3:NeoRez(登録商標)R600(ポリウレタン 含有率33質量%)
L−4:WBR−2101(ポリウレタン 含有率25質量%)
L−5:Rovene(登録商標)4170(ポリスチレン 含有率50質量%)
L−6:B−01(アクリル樹脂 含有率23質量%)
(沸点200℃以上の溶剤)
S−1:ジエチレングリコールイソブチルエーテル(230℃)
S−2:2−ピロリドン(245℃)
S−3:1,2−ヘキサンジオール(223℃)
S−4:ジプロピレングリコール(232℃)
S−5:グリセリン(290℃)
なお、括弧内の値は沸点を示す。
(沸点200℃未満の溶剤)
S−11:1,2−ブタンジオール(194℃)
S−12:ジエチレングリコールジエチルエーテル(189℃)
なお、括弧内の値は沸点を示す。
(界面活性剤)
W−1:サーフィノール104PG−50(日信化学工業株式会社製)
W−2:サーフィノール465(日信化学工業株式会社製)
表5〜14の結果より、本発明のインクから得られた印画物は、光沢に優れ、画質、印画濃度、及び耐光性にも優れることが分かった。また、本発明のインクは、インク調製時の、顔料を含む粒子の体積平均粒子径の変化が小さいことも分かった。
一方、非水溶性高分子分散剤(水不溶性高分子分散剤)を用いた比較例1、分散剤を用いなかった比較例2においては、顔料分散液を用いてインクを調製する際にインク中の粒子径変化が大きく、かつ得られた印画物の光沢が実施例のインクを用いた場合に比べて低かった。
ポリマー粒子(L)を用いなかった比較例3においては、得られた印画物の光沢、画質、印画濃度がいずれも実施例のインクを用いた場合に比べて劣っていた。

Claims (15)

  1. 下記一般式(1)で表される顔料(P)、
    下記一般式(2−1)で表される繰り返し単位及び下記一般式(2−2)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物である水溶性高分子分散剤(D)、
    ポリマー粒子(L)、
    親水性有機溶剤(S)、及び
    水、
    を含有するインク。
    Figure 2019163417

    一般式(1)中、
    Zは、置換基を有していてもよい、5員ヘテロ環又は6員ヘテロ環を表す。
    、Y、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。
    及びGは、それぞれ独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。
    及びWは、それぞれ独立に置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
    Figure 2019163417

    一般式(2−1)中、Rは水素原子、又はメチル基若しくは置換メチル基を表し、Rは置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
    一般式(2−2)中、Rは水素原子、又はメチル基若しくは置換メチル基を表し、Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。
  2. 前記水溶性高分子分散剤(D)中の親水性繰り返し単位の含有量が、前記水溶性高分子分散剤(D)中の全繰り返し単位に対して20モル%以上である請求項1に記載のインク。
  3. 前記水溶性高分子分散剤(D)中の親水性繰り返し単位の含有量が、前記水溶性高分子分散剤(D)中の全繰り返し単位に対して25モル%以上である請求項1又は2に記載のインク。
  4. 前記水溶性高分子分散剤(D)の重量平均分子量が5000〜100000である請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク。
  5. 前記顔料(P)に対する前記水溶性高分子分散剤(D)の質量比が0.60以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク。
  6. 前記顔料(P)に対する前記ポリマー粒子(L)の質量比が0.7〜1.5である請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク。
  7. 前記ポリマー粒子(L)がポリエステル、ポリウレタン、及びポリスチレンの少なくともいずれかである請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク。
  8. 前記ポリマー粒子(L)がポリエステルである請求項1〜7のいずれか1項に記載のインク。
  9. 前記親水性有機溶剤(S)のうち、沸点が200℃以上の有機溶剤を、前記インクの全質量に対して20質量%以上含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載のインク。
  10. 前記顔料(P)が、下記式(d1)で表される顔料、下記式(d2)で表される顔料、及び下記式(d3)で表される顔料からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜9のいずれか1項に記載のインク。
    Figure 2019163417

    Figure 2019163417

    Figure 2019163417
  11. インクジェット記録用である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のインク。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクと、シアンインクと、マゼンタインクとを含有するインクセット。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクを、インクジェット法により非浸透性基材上に付与するインクジェット記録方法。
  14. 前記非浸透性基材がポリ塩化ビニルを含む基材である請求項13記載のインクジェット記録方法。
  15. 下記一般式(1)で表される顔料(P)、下記一般式(2−1)で表される繰り返し単位及び下記一般式(2−2)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物である水溶性高分子分散剤(D)、及び水を含有する顔料分散液と、
    ポリマー粒子(L)の分散液と、
    親水性有機溶剤(S)と、
    水と、
    を混合する工程を有するインクの製造方法。
    Figure 2019163417

    一般式(1)中、
    Zは、置換基を有していてもよい、5員ヘテロ環又は6員ヘテロ環を表す。
    、Y、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。
    及びGは、それぞれ独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。
    及びWは、それぞれ独立に置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
    Figure 2019163417

    一般式(2−1)中、Rは水素原子、又はメチル基若しくは置換メチル基を表し、Rは置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
    一般式(2−2)中、Rは水素原子、又はメチル基若しくは置換メチル基を表し、Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。
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