JP7167446B2 - 水性ポリウレタン樹脂組成物、該組成物を用いた人工皮革、皮革用表面処理剤 - Google Patents

水性ポリウレタン樹脂組成物、該組成物を用いた人工皮革、皮革用表面処理剤 Download PDF

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本発明は、水性ポリウレタン樹脂組成物、該組成物を用いた人工皮革、皮革用表面処理剤に関する。
ポリウレタン樹脂組成物は、従来は専ら有機溶剤を使用した組成物として使用され、各種の素材への密着性が高く種々の物性に優れているので、被覆剤や塗料或いは接着剤や印刷インキなどとして汎用されてきた。
近年においては、社会的及び産業界からの要請である環境保全性や作業安全性などからして有機溶剤を使用しない水性(水系)の組成物が要望され、有機溶剤を使用しないことが経済的に有利でもあるので、最近では、水分散体を使用する水性のポリウレタン樹脂組成物への変換がなされてきている。
水性のポリウレタン樹脂組成物の中でもポリカーボネート系ポリウレタン樹脂組成物については耐加水分解性、耐熱性、耐磨耗性、耐薬品性などに有利なことから人工皮革、合成皮革、天然皮革などに用いられており、特定のポリカーボネートジオールを用いることで、耐汗性、耐加水分解性、風合い、柔軟性などに優れた合成皮革、人工皮革を提供するポリウレタンエマルジョンが提案されている(特許文献1、2)。またポリイソシアネート成分をブレンドして耐アルカリ性や耐溶剤性に優れたポリウレタンエマルジョンが提案されている(特許文献3)。
しかしながら、上記に示すポリウレタンエマルジョンは溶剤系ポリウレタン樹脂と比較して引張強度や伸びといった機械物性が低下し、バランスの取れた機械物性が得られていなかった。
特開平5-32756号公報 特開平7-41539号公報 特開2005-247897号公報
本発明は以上のような背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、高強度、高伸長な機械物性を有する水性ポリウレタン樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、水性ポリウレタン樹脂組成物が少なくとも特定の多官能ポリオールを含有することにより前記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に示す実施形態を含むものである。
[1]ウレタンプレポリマー(E)と鎖延長剤(G)との反応生成物である水性ポリウレタン樹脂組成物であって、
ウレタンプレポリマー(E)が、ポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、多官能ポリオール(C)、及びジメチロール脂肪酸(D)の反応生成物を中和剤(F)により中和したエマルジョンであり、
多官能ポリオール(C)が、ポリオール(B)以外であり、ポリカーボネートジオール(c1)と水酸基官能基数が3以上であるポリエステルポリオール(c2)とから得られ、平均水酸基官能基数が2.3~3.5、水酸基価が70~285mgKOH/gであり、且つ(c1)と(c2)の質量比が(c1)/(c2)=75/25~55/45であり、
ウレタンプレポリマー(E)の水酸基含有成分((B)+(C)+(D))中の(C)の含有量が1~30mol%であり、
中和剤(F)が塩基性中和剤であり、
鎖延長剤(G)が水又は2個以上の一級又は二級アミノ基を有するアミン化合物である、
ことを特徴とする水性ポリウレタン樹脂組成物。
[2]ポリエステルポリオール(c2)が環状エステル化合物を開環付加重合したポリエステルポリオールであることを特徴とする上記[1]に記載の水性ポリウレタン樹脂組成物。
[3]多官能ポリオール(C)の数平均分子量が、400~3,000の範囲であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の水性ポリウレタン樹脂組成物。
[4]上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の水性ポリウレタン樹脂組成物から得られる人工皮革。
[5]上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の水性ポリウレタン樹脂組成物から得られる皮革用表面処理剤。
本発明の水性ポリウレタン樹脂組成物によれば、高強度、高伸長な機械物性を有する水性ポリウレタン樹脂組成物を得ることができる。
本発明の水性ポリウレタン樹脂組成物は、ウレタンプレポリマー(E)と、鎖延長剤(G)との反応生成物であって、ウレタンプレポリマー(E)が、ポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、多官能ポリオール(C)、及びジメチロール脂肪酸(D)の反応生成物を中和剤(F)により中和したエマルジョンである。
本発明におけるポリイソシアネート(A)としては、特に限定されず、従来公知の各種ポリイソシアネートから適宜選択して用いることができる。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添化トリレンジイソシアネート、水素添化キシレンジイソシアネート、水素添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添化テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、2-ニトロジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジフェニルプロパン-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ナフチレン-1,4-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシジフェニル-4,4’-ジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;キシリレン-1,4-ジイソシアネート、キシリレン-1,3-ジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート等を用いることができる。また、これら有機ポリイソシアネートとアルコールとの反応から得られるアロファネート変性ポリイソシアネート等を使用することができる。これらのポリイソシアネートは、単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
これらの中でも、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートが好ましく、中でもイソホロンジイソシアネートが特に好ましい。
本発明におけるポリオール(B)としては、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等を挙げることができる。
ポリエステルポリオールとしては、グリコールとジカルボン酸成分から得られるポリエステルポリオールや、グリコールを開始剤としてラクトン類などの環状エステル化合物を開環付加重合することで得られるポリオールが好ましい。
上記グリコールとしては、例えばエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、ビス(β-ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール等が挙げられ、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が併用できる。これらアルコールとシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、アジピン酸、酒石酸、ピメリン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸等の多塩基酸とを、公知の縮合方法によって作製したポリエステルポリオールを使用することができる。
また、好ましいラクトン類としては、例えばβ-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、β-バレロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、α-カプロラクトン、β-カプロラクトン、γ-カプロラクトン、δ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン、α-メチル-ε-カプロラクトン、β-メチル-ε-カプロラクトン、4-メチルカプロラクトン、γ-カプリロラクトン、ε-カプリロラクトン、ε-パルミトラクトン等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種または2種以上を混合して使用することができる。中でもエチレングリコールを開始剤としたε-カプロラクトンの開環付加重合体が重合時の安定性及び経済性の点から好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレンエーテルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール等が挙げられる。
ポリカーボネートジオールとしては、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキレンカーボネート類、ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジアントリルカーボネート、ジフェナントリルカーボネート、ジインダニルカーボネート、テトラヒドロナフチルカーボネート等のジアリールカーボネート類等のカーボネート類と、グリコールとの反応によって得ることができるものが挙げられる。
グリコールとしては、例えばエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、ビス(β-ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール群の中から選ばれる。これらは単独で用いても2種類以上組み合わせて用いても良い。
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば水酸基末端ポリブタジエンやその水素添加物、水酸基含有塩素化ポリオレフィン等が挙げられる。
これらのポリオールはそれぞれ単独で用いても、2種以上併用しても良い。
本発明で得られる水性ポリウレタン樹脂組成物から得られる被膜の各種耐久性や密着性等を考慮すると、ポリオール(B)としては、ポリカーボネートジオールを用いることが好ましい。
また、これらポリオール成分の数平均分子量は500~10,000が好ましく、500~5,000が更に好ましい。
本発明における多官能ポリオール(C)は、ポリオール(B)以外であり、ポリカーボネートジオール(c1)と水酸基官能基数が3以上であるポリエステルポリオール(c2)とから得られるものである。
ポリカーボネートジオール(c1)としては、前記したものが使用でき、これらは単独で用いても2種類以上組み合わせて用いても良い。
水酸基官能基数が3以上であるポリエステルポリオール(c2)としては、多価アルコールを含むポリオールとジカルボン酸成分とから得られるポリエステルポリオールや、多価アルコールを開始剤としてラクトン類などの環状エステル化合物を開環付加重合することで得られるポリオールが好ましい。
上記の多価アルコールとしては、例えばトリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。なお、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール等の2官能アルコールを、性能を低下させない範囲で併用しても良い。これらアルコールとシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、アジピン酸、酒石酸、ピメリン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸などの多塩基酸とを、公知の縮合方法によって作製したポリエステルポリオールを使用することができる。
また、好ましいラクトン類としては、例えばβ-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、β-バレロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、α-カプロラクトン、β-カプロラクトン、γ-カプロラクトン、δ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン、α-メチル-ε-カプロラクトン、β-メチル-ε-カプロラクトン、4-メチルカプロラクトン、γ-カプリロラクトン、ε-カプリロラクトン、ε-パルミトラクトン等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種または2種以上を混合して使用することができる。中でもトリメチロールプロパンを開始剤としたε-カプロラクトンの開環付加重合体が重合時の安定性及び経済性の点から好ましい。
本発明においては、多官能ポリオール(C)の成分として、ポリオール(B)以外の水酸基官能基数が2以上3未満のポリエステルポリオール(c3)を併用することができる。特にグリコールとジカルボン酸成分とから得られるポリエステルポリオールや、グリコールを開始剤としてラクトン類などの環状エステル化合物を開環付加重合することで得られるポリオールが好ましい。
上記のグリコールとしては、例えばエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、ビス(β-ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール等が挙げられ、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が併用できる。これらアルコールとシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、アジピン酸、酒石酸、ピメリン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸等の多塩基酸とを、公知の縮合方法によって作製したポリエステルポリオールを使用することができる。
また、好ましいラクトン類としては、例えばβ-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、β-バレロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、α-カプロラクトン、β-カプロラクトン、γ-カプロラクトン、δ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン、α-メチル-ε-カプロラクトン、β-メチル-ε-カプロラクトン、4-メチルカプロラクトン、γ-カプリロラクトン、ε-カプリロラクトン、ε-パルミトラクトン等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種または2種以上を混合して使用することができる。中でもエチレングリコールを開始剤としたε-カプロラクトンの開環付加重合体が重合時の安定性及び経済性の点から好ましい。
ポリカーボネートジオール(c1)と水酸基官能基数が3以上であるポリエステルポリオール(c2)の質量比は(c1)/(c2)=75/25~55/45の範囲であり、(c1)/(c2)=70/30~60/40の範囲が好ましい。また、水酸基官能基数が2以上3未満のポリエステルポリオール(c3)を併用する場合は、質量比として(c1)/(c2+c3)=75/25~55/45の範囲が好ましく、(c1)/(c2+c3)=70/30~60/40の範囲がより好ましい。
質量比をこれら範囲とすることでポリカーボネートジオールの凝集力とウレタン基濃度、水酸基官能基数が3以上であるポリエステルポリオール含有量のバランスにより高強度、高伸長な機械物性を有する水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物を得ることができる。
多官能ポリオール(C)は、ポリカーボネートジオール(c1)とポリエステルポリオール(c2)を単純に混合して用いても良いが、エステル交換反応することによって得られるコポリマーポリオールを用いることにより、高強度、高伸長な機械物性を両立させる他、溶剤への溶解性も向上する。なお、ポリエステルポリオール(c3)を併用する場合も同様である。
多官能ポリオール(C)の平均水酸基官能基数は2.3~3.5であり、2.5~3.0の範囲が好ましい。平均水酸基官能基数が高いと引張試験における破断時伸びが低下し、平均水酸基官能基数が低いと引張試験における破断時強度が低下する傾向となる。
多官能ポリオール(C)の平均水酸基価は75~285mgKOH/gであり、90~180mgKOH/gが好ましい。平均水酸基価が低いとウレタン基濃度が低くなり、引張試験における破断時強度が低下し、平均水酸基価が高いとウレタン基濃度が高くなり引張試験における破断時強度は向上するが破断時伸びが低下する傾向となる。
なお、本発明における平均官能基数は、公称の官能基数を基に下記にて算出した。
平均官能基数=((ポリカーボネートジオール(c1)官能基数×mol)+(ポリエステルポリオール(c2)官能基数×mol)+(ポリエステルポリオール(c3)官能基数×mol))/((ポリカーボネートジオール(c1)mol)+(ポリエステルポリオール(c2)mol)+(ポリエステルポリオール(c3)mol))
本発明において、ポリカーボネートジオール(c1)の数平均分子量は、合成の容易さ、取り扱いやすさを考慮すると、400~5,000が好ましく、500~2,000がより好ましい。
本発明におけるジメチロール脂肪酸(D)は、末端水酸基を2個有し、イソシアネートとの反応により得られるイソシアネート基末端プレポリマーに親水性を付与し、最終的に得られる樹脂組成物を水性のものとするための親水性基含有モノマーである。かかるジメチロール脂肪酸としては、例えばジメチロールプロピオン酸(DMPA)、ジメチロールブタン酸(DMBA)、ジメチロールペンタン酸、ジメチロールノナン酸などのジメチロールアルカン酸等を挙げることができる。
本発明における中和剤(F)は塩基性中和剤であり、例えばアンモニア、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン、N-メチルモルホリン、2-アミノ-2-エチル-1-プロパノール、高級アルキル変性モルホリン等の有機アミン類、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの無機アルカリ類等が挙げられる。また、塗膜の耐久性や平滑性向上の観点から、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の加熱によって容易に解離する揮発性の高い中和剤が好ましい。これらの中和剤は、単独、又は二種以上を併用することができる。
また、水性ポリウレタン樹脂組成物の水分散安定性を向上させるその他の手法として、アニオン性極性基、及びカチオン性極性基含有化合物の併用も可能である。
アニオン性極性基含有化合物としては、例えば活性水素基を1個以上有する有機酸と中和剤からなるものを挙げることができる。また、有機酸としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、チオスルホン酸塩等が挙げられ、これらの基は、独立で導入されてもよいし、キレートのように関連付けられてもよい。
カチオン性極性基含有化合物としては、例えば活性水素基を1個以上有する3級アミンと、無機酸及び有機酸の中和剤、4級化剤のいずれかから選択されるものからなるものを挙げることができる。活性水素基を1個以上有する3級アミンとしては、例えばN,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジプロピルエタノールアミン、N,N-ジフェニルエタノールアミン、N-メチル-N-エチルエタノールアミン、N-メチル-N-フェニルエタノールアミン、N,N-ジメチルプロパノールアミン、N-メチル-N-エチルプロパノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-メチルジプロパノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、N-フェニルジプロパノールアミン、N-ヒドロキシエチル-N-ヒドロキシプロピル-メチルアミン、N,N’-ジヒドロキシエチルピペラジン、トリエタノールアミン、トリスイソプロパノールアミン、N-メチル-ビス-(3-アミノプロピル)-アミン、N-メチル-ビス-(2-アミノプロピル)-アミン等が挙げられる。また、アンモニア、メチルアミン等の第1アミン、ジメチルアミン等の第2アミンにアルキレンオキサイドを付加させたものも使用できる。
また、無機、及び有機酸としては、例えば塩酸、酢酸、乳酸、シアノ酢酸、燐酸及び硫酸等が挙げられる。4級化剤としては、例えば硫酸ジメチル、塩化ベンジル、ブロモアセトアミド、クロロアセトアミド、または、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル等のハロゲン化アルキルが挙げられる。また、その他のカチオン性極性基含有化合物として、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、ピリジニウム塩等のカチオン性化合物が挙げられる。
鎖延長剤(G)としては、水又は2個以上の一級又は二級アミノ基を有するアミン化合物であり、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミンが好適に用いられる。アミン化合物としては、例えばエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン、N-アミノエチル-N-エタノールアミン等が挙げられる。これらの鎖延長剤は、単独、又は二種以上を併用することができる。
ウレタン化反応の硬化触媒(重合触媒)としての樹脂化触媒(ウレタン化触媒)は、必要により使用され、ジブチルチンジラウレートやナフテン酸亜鉛やビスマス化合物のような金属系触媒或いはトリエチレンジアミンやN-メチルモルホリンのようなアミン系触媒などの通常の硬化触媒が用いられ、反応速度を速くし反応温度を低くすることができる。
本発明の水性ポリウレタン樹脂組成物においては、ポリウレタン樹脂を硬化させる硬化剤を必要により適宜使用してもよい。その場合には、二液システムの一液として使用され、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)やイソホロンジイソシアネート(IPDI)のトリマー体やアダクト体が使用される。具体的には、有機ジイソシアネート類のウレタン変性体、ウレア変性体、アロファネート変性体、ビュレット変性体、ウレトジオン変性体、イソシアヌレート変性体などが挙げられる。
より物性を高め、また、各種物性を付加するために、各種の添加剤として汎用されている、成膜剤、粘度調節剤、ゲル化防止剤、難燃剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、充填剤、内部離型剤、補強材、艶消し剤、導電性付与剤、帯電制御剤、帯電防止剤、滑剤、染料、顔料その他の加工助剤を用いることができる。
ウレタンプレポリマー(E)合成時において、イソシアネート基に対して不活性な、有機溶剤にて任意の固形分に希釈してもよい。この有機溶剤としては例えば、トルエン、キシレン、スワゾ-ル(コスモ石油株式会社製の芳香族系炭化水素溶剤)、ソルベッソ(エクソン化学株式会社製の芳香族系炭化水素溶剤)等の芳香族系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系容剤、シクロヘキサン、イソホロン等の脂環族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコール3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、エチレングリコールエチル-3-エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤が挙げられる。前記溶剤は1種又は2種以上含有していてもよい。
本発明においては、蒸気圧が高く、エマルジョン中に存在していても引火点を示すことのないグリコールエーテルエステル系溶剤やグリコールエーテル系溶剤が好ましく、特に耐加水分解性の良好なグリコールエーテル系溶剤が好ましい。
以上のようにして得られた水性ポリウレタン樹脂組成物を用いることにより、人工皮革、合成皮革等を好適に得ることができる。
また、天然皮革、人工皮革等、皮革の表面処理剤としても好適に使用することができ、耐摩耗性、耐薬品性の向上が期待できる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例における%、部表記は、特に断りのない限り質量基準である。
〔ポリオールの製造1〕
攪拌機、温度計、加熱装置、蒸留塔を組んだ反応装置に、グリコールとして1,6-ヘキサンジオール(以下1,6-HGと略す。)のジエチルカーボネート(以下DECと略す。)に対する配合割合がモル比で1.08になるように、1,6-HGを830g、DECを771g仕込むとともに、さらに反応触媒としてテトラブチルチタネート(以下、TBTと略す。)を0.05g仕込み窒素気流下にて徐々に190℃まで温度を上昇させた。エタノールの留出が緩慢となり蒸留塔の塔頂温度が50℃以下となった時点で、反応温度は190℃のまま、1.3kPaまで徐々に減圧を行ない、1.3kPaの圧力でさらに7時間反応させた。さらに190℃の反応温度で1.3kPa以下の減圧下、反応物の水酸基価が54~58(mg-KOH/g)になるまで反応を続行し、ポリオールを得た(Polyol-1)。得られたポリオールの平均水酸基官能基数は2.0であり、水酸基価は55.6(mg-KOH/g)であった。
〔ポリオールの製造2〕
ポリオールの製造1と同様の製造方法において、配合割合がモル比で1.05になるように、1,6-HGを826g、DECを787g仕込む以外は同様の方法で合成し、ポリオールを得た(Polyol-2)。得られたポリオールの平均水酸基官能基数は2.0であり、水酸基価は37.2(mg-KOH/g)であった。
〔ポリオールの製造3〕
ポリオールの製造2で得られたポリオール(Polyol-2)を600g、ポリカプロラクトントリオール(プラクセル305)を400g仕込み、190℃でエステル交換反応を5時間行い、ポリオールを得た(Polyol-3)。得られたポリオールの平均水酸基官能基数は2.79であり、水酸基価は144.8(mg-KOH/g)であった。
〔ポリオールの製造4〕
ポリオールの製造2で得られたポリオール(Polyol-2)を550g、ポリカプロラクトントリオール(プラクセル305)を400g、ポリカプロラクトンジオール(プラクセル210)を50g仕込み、190℃でエステル交換反応を5時間行い、ポリオールを得た(Polyol-4)。得られたポリオールの平均水酸基官能基数は2.76であり、水酸基価は148.6(mg-KOH/g)であった。
〔ポリオールの製造5〕
ポリオールの製造1で得られたポリオール(Polyol-1)を600g、ポリカプロラクトントリオール(プラクセル303)を400g仕込み、190℃でエステル交換反応を5時間行い、ポリオールを得た(Polyol-5)。得られたポリオールの平均水酸基官能基数は2.81であり、水酸基価は250.1(mg-KOH/g)であった。
その他、本発明で使用した原料を下記に示す。
プラクセル305 ポリカプロラクトントリオール(分子量=550、水酸基価=305、官能基数=3) ダイセル社製
プラクセル30 ポリカプロラクトントリオール(分子量=300、水酸基価=530~550、官能基数=3) ダイセル社製
プラクセル210 ポリカプロラクトンジオール(分子量=1000、水酸基価=112、官能基数=2) ダイセル社製
Figure 0007167446000001
(実施例1:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造1)
撹拌機、温度計、窒素シール管、及び冷却器を装着した容量1Lの反応器に、Polyol-1を182.0g、Polyol-3を11.2g、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)を14.3g、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(DMFDG)を100g、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を84.2g仕込み、85℃に加温し、同温度で3時間反応させた。このプレポリマー溶液のイソシアネート含量は3.6%であった。次いで、アセトンを100g仕込み70℃で30分撹拌後、トリエチルアミン(TEA)を10.8g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を554g仕込み、乳化させた。乳化後、30分以内にアミン水(水45.8g、1,2-エチレンジアミン(EDA)8.1gを配合)を仕込み、アミン鎖延長反応を30℃にて12時間行った。FT-IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、アセトン100g、水20gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-1)を得た。
(実施例2:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造2)
撹拌機、温度計、窒素シール管、及び冷却器を装着した容量1Lの反応器に、Polyol-1を152.1g、Polyol-3を34.2g、DMPAを14.3g、DMFDGを100g、IPDIを90.4g仕込み、85℃に加温し、同温度で3時間反応させた。このプレポリマー溶液のイソシアネート含量は3.9%であった。次いで、アセトンを100g仕込み70℃で30分撹拌後、TEAを10.8g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を550g仕込み、乳化させた。乳化後、30分以内にアミン水(水49.2g、EDA8.7gを配合)を仕込み、アミン鎖延長反応を30℃にて12時間行った。FT-IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、アセトン100g、水20gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-2)を得た。
(実施例3:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造3)
撹拌機、温度計、窒素シール管、及び冷却器を装着した容量1Lの反応器に、Polyol-1を182.3g、Polyol-4を10.8g、DMPAを14.3g、DMFDGを100g、IPDIを84.2g仕込み、85℃に加温し、同温度で3時間反応させた。このプレポリマー溶液のイソシアネート含量は3.6%であった。次いで、アセトンを100g仕込み70℃で30分撹拌後、TEAを10.8g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を554g仕込み、乳化させた。乳化後、30分以内にアミン水(水45.9g、EDA8.1gを配合)を仕込み、アミン鎖延長反応を30℃にて12時間行った。FT-IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、アセトン100g、水20gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-3)を得た。
(実施例4:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造4)
撹拌機、温度計、窒素シール管、及び冷却器を装着した容量1Lの反応器に、Polyol-1を185.7g、Polyol-5を6.6g、DMPAを14.3g、DMFDGを100g、IPDIを85.0g仕込み、85℃に加温し、同温度で3時間反応させた。このプレポリマー溶液のイソシアネート含量は3.7%であった。次いで、アセトンを100g仕込み70℃で30分撹拌後、TEAを10.8g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を553g仕込み、乳化させた。乳化後、30分以内にアミン水(水46.3g、EDA8.2gを配合)を仕込み、アミン鎖延長反応を30℃にて12時間行った。FT-IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、アセトン100g、水20gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-4)を得た。
(比較例1:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造5)
撹拌機、温度計、窒素シール管、及び冷却器を装着した容量1Lの反応器に、Polyol-1を196.3g、DMPAを14.3g、DMFDGを100g、IPDIを81.2g仕込み、85℃に加温し、同温度で3時間反応させた。このプレポリマー溶液のイソシアネート含量は3.5%であった。次いで、アセトンを100g仕込み70℃で30分撹拌後、TEAを10.8g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を555g仕込み、乳化させた。乳化後、30分以内にアミン水(水44.3g、EDA7.8gを配合)を仕込み、アミン鎖延長反応を30℃にて12時間行った。FT-IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、アセトン100g、水20gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-5)を得た。
(比較例2:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造6)
撹拌機、温度計、窒素シール管、及び冷却器を装着した容量1Lの反応器に、Polyol-1を180.3g、ポリカプロラクトントリオール(プラクセル312)を12.7g、DMPAを14.3g、DMFDGを100g、IPDIを84.3g仕込み、85℃に加温し、同温度で3時間反応させた。このプレポリマー溶液のイソシアネート含量は3.6%であった。次いで、アセトンを100g仕込み70℃で30分撹拌後、TEAを10.8g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を554g仕込み、乳化させた。乳化後、30分以内にアミン水(水45.9g、EDA8.1gを配合)を仕込み、アミン鎖延長反応を30℃にて12時間行った。FT-IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、アセトン100g、水20gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-6)を得た。
(比較例3:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造7)
撹拌機、温度計、窒素シール管、及び冷却器を装着した容量1Lの反応器に、Polyol-1を189.5g、トリメチロールプロパン(TMP)を1.4g、DMPAを14.3g、DMFDGを100g、IPDIを86.2g仕込み、85℃に加温し、同温度で3時間反応させた。このプレポリマー溶液のイソシアネート含量は3.7%であった。次いで、アセトンを100g仕込み70℃で30分撹拌後、TEAを10.8g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を553g仕込み、乳化させた。乳化後、30分以内にアミン水(水47.0g、EDA8.3gを配合)を仕込み、アミン鎖延長反応を30℃にて12時間行った。FT-IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、アセトン100g、水20gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-7)を得た。
(比較例4:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造8)
撹拌機、温度計、窒素シール管、及び冷却器を装着した容量1Lの反応器に、Polyol-1を95.5g、Polyol-3を78.2g、DMPAを14.3g、DMFDGを100g、IPDIを101.9g仕込み、85℃に加温し、同温度で3時間反応させた。このプレポリマー溶液のイソシアネート含量は4.4%であった。次いで、アセトンを100g仕込み70℃で30分撹拌後、TEAを10.8g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を544g仕込み、乳化させた。乳化後、30分以内にアミン水(水55.5g、EDA9.8gを配合)を仕込んだところ、ゲル状物が多く発生したため、合成を中止した。そのため、水性ポリウレタン樹脂組成物(PUD-8)は得られなかった。
使用した原料を以下に示す。
DMPA:2,2-ジメチロールプロピオン酸(東京化成社製)
DMFDG:ジプロピレングリコールジメチルエーテル(日本乳化剤社製)
IPDI:イソホロンジイソシアネート(エボニック社製)
プラクセル312 ポリカプロラクトントリオール(分子量=1240、水酸基価=135.7、官能基数=3) ダイセル社製
トリメチロールプロパン (分子量134.2、水酸基価=1254.6、官能基数=3) 三菱ガス化学社製
アセトン:KHネオケム社製
トリエチルアミン:キシダ化学社製
1,2-エチレンジアミン:キシダ化学社製
Figure 0007167446000002
得られた上記水性ポリウレタン樹脂組成物に関し、以下の項目について確認し、表3に結果を記載した。
[分散性]
ポリウレタン樹脂組成物の製造における水による乳化分散工程において均一な分散液が得られるものを「○」、凝集物の発生が多いものや分離などが起きるものを「×」とした。
[粘度]
得られた水性ポリウレタン樹脂組成物の液温を25℃に調整した後、B型粘度計(東機産業株式会社製、製品名:TVB-22L、使用ローター:No.2)を用いて、回転速度60rpmにおいて測定し、得られた水性ポリウレタン樹脂組成物の粘度(mPa・s at25℃)を求めた。
[平均粒径]
得られた水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物を光散乱光度計にかけ、ポリウレタン樹脂の平均粒径を求めた。
・試験装置:光散乱光度計 ELSZ-2000(大塚電子社製)
・解析手法:キュムラント法
・溶液温度:25℃
・測定条件:25℃×50%RH。
<引張特性試験用フィルム作製方法>
実施例1~4および比較例1~4で得られた水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物100部に対してレベリング剤TEGOWetKL-245(Evonik社製)10%水溶液を1.0部添加し、混合して主剤を得た。その主剤を乾燥膜厚が約30μmとなるように塗布し、25℃で1週間乾燥させることにより硬化物を作製した。この硬化物を用いて、物性の評価を行った。
[評価試験1]
[引張特性]
得られた硬化物を、JIS K6251に準拠して引張特性を測定した。(100%モジュラス、破断時強度、破断時伸び)
・試験装置:テンシロンUTA-500(エー・アンド・デー社製)
・測定条件:25℃×50%RH
・ヘッドスピード:200mm/分
・ダンベル4号
[評価基準]
100%モジュラスが10MPa以上且つ、破断時強度が35MPa以上且つ、破断時伸びが250%以上のものは「○」、100%モジュラスが10MPa未満、破断時強度が35MPa未満、破断時伸びが250%未満、いずれかに該当するものを「×」とした。
Figure 0007167446000003

Claims (5)

  1. ウレタンプレポリマー(E)と鎖延長剤(G)との反応生成物である水性ポリウレタン樹脂組成物であって、
    ウレタンプレポリマー(E)が、ポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、多官能ポリオール(C)、及びジメチロール脂肪酸(D)の反応生成物を中和剤(F)により中和したエマルジョンの形態であり、
    ポリオール(B)が、
    平均水酸基官能基数2.0であり、
    数平均分子量500~10000g/molのポリオールであり、かつ、
    ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、またはポリオレフィンポリオールであり、
    多官能ポリオール(C)が、
    ポリオール(B)以外であり、
    ポリカーボネートジオール(c1)と水酸基官能基数が3以上であるポリエステルポリオール(c2)と、任意に含まれる水酸基官能基数が2以上3未満のポリエステルポリオール(c3)と、がエステル交換してなるものであり、
    平均水酸基官能基数が2.3~3.5、水酸基価が70~285mgKOH/gであり、且つ
    ポリエステルポリオール(c3)を含まない場合、
    (c1)と(c2)の質量比(c1)/(c2)75/25~55/45である、という条件を満たし
    ポリエステルポリオール(c3)を含む場合、
    (c1)と(c2)の質量比(c1)/(c2)が75/25~55/45である、という条件と、
    (c1)と、(c2)および(c3)の総量と、の質量比(c1)/(c2+c3)が75/25~55/45である、という条件と、の両方を満たし、
    ウレタンプレポリマー(E)の水酸基含有成分((B)+(C)+(D))中の(C)の含有量が1~30mol%であり、
    中和剤(F)が塩基性中和剤であり、
    鎖延長剤(G)が水又は2個以上の一級又は二級アミノ基を有するアミン化合物である、
    ことを特徴とする水性ポリウレタン樹脂組成物。
  2. 前記ポリオール(B)が、ポリカーボネートポリオールであることを特徴とする請求項1に記載の水性ポリウレタン樹脂組成物。
  3. ポリエステルポリオール(c2)が環状エステル化合物を開環付加重合したポリエステルポリオールであることを特徴とする請求項1または2に記載の水性ポリウレタン樹脂組成物。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の水性ポリウレタン樹脂組成物から得られる人工皮革。
  5. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の水性ポリウレタン樹脂組成物から得られる皮革用表面処理剤。
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