JP6917769B2 - 生分解性を有する水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物 - Google Patents

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Description

本技術は、優れた生分解性、柔軟性を有する水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物に関するものである。
ポリウレタン樹脂組成物は、従来専ら有機溶剤を使用した組成物として使用され、各種素材への密着性が高く、種々の物性に優れているので、被覆剤や塗料或いは接着剤や印刷インキなどとして汎用されてきた。
近年、社会的及び産業界からの要請である環境保全性や作業安全性などから有機溶剤を使用しない水性(水系)の組成物が要望され、経済的に有利でもあるので、水分散体を使用する水性のポリウレタン樹脂組成物への変換が積極的に行われている。また、環境問題や廃棄物処理問題が社会的な注目を集めており、合成樹脂等の人工素材が生分解性を有することにより廃棄後の環境汚染防止も期待されている。
さらに、ポリウレタン樹脂組成物は生体適合性に優れており、人工関節や人工腎臓等の医療部材に使用されている。このようなポリウレタン樹脂組成物に対して生分解性を付与することで、再生医療分野への応用もなされてきている。
これまでの水性ポリウレタン樹脂組成物としては、ポリカーボネートジオールをポリオールとして用いた、耐加水分解性、耐熱性等に優れるポリウレタン樹脂エマルジョン組成物が提案されている(特許文献1参照)。また、強靭で耐擦傷性に優れる樹脂組成物を得るために、芳香族ジイソシアネートと脂肪族ジイソシアネートを併用したポリウレタン樹脂エマルジョン組成物も提案されている(特許文献2参照)。また、ポリ乳酸系ポリエステルポリオールを用いた生分解性ウレタン樹脂水分散体も提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献1または2に記載のポリウレタン樹脂エマルジョン組成物は、その強度や耐久性に優れているものの、生分解性を有していない。また、特許文献3に記載のポリ乳酸系ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物は、残存率は低いものの微生物が存在する土壌中での樹脂組成物の分解性についてのものであり、さらに、一般にポリ乳酸系樹脂組成物は耐久性や柔軟性に乏しく、応用できる用途は限られる。
特開2016−44240号公報 特開2010−195977号公報 特開2015−218298号公報
本発明は以上のような背景技術を鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた生分解性、柔軟性を有するポリウレタン樹脂エマルジョン組成物を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ポリカプロラクトンジオールと、特定のジアミンを用いることにより前記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に示す実施形態を含むものである。
[1]イソシアネート基末端プレポリマー(A)と、イソシアネート基末端プレポリマー(B)と、脂肪族ジアミンとの反応生成物を含む水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物であって、
イソシアネート基末端プレポリマー(A)が、ポリイソシアネート(a1)とポリカプロラクトンジオール(a2)とカルボキシル基含有ジオール(a3)と中和剤(a4)との反応生成物であるイソシアネート基末端プレポリマーであり、
イソシアネート基末端プレポリマー(B)が、ポリイソシアネート(b1)とアルコキシポリエチレングリコール(b2)との反応生成物であり、官能基数1.7〜2.6であるイソシアネート基末端プレポリマーであり、
脂肪族ジアミンが、炭素数3〜8の脂肪族ジアミンであること、
を特徴とする水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物。
[2]ポリカプロラクトンジオール(a2)の数平均分子量が300〜5,000であることを特徴とする上記[1]に記載の水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物。
[3]脂肪族ジアミンが、1,4−ジアミノブタンであることを特徴とする、上記[1]又は[2]に記載の水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物。
[4]ポリイソシアネート(a1)又は(b1)の少なくとも一方が、アロファネート変性ポリイソシアネートを含むことを特徴とする、上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物。
[5]イソシアネート基末端プレポリマー(A)と、イソシアネート基末端プレポリマー(B)との混合物に、脂肪族ジアミンを添加し反応させることにより得られる水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物の製造方法であって、
イソシアネート基末端プレポリマー(A)が、ポリイソシアネート(a1)とポリカプロラクトンジオール(a2)とカルボキシル基含有ジオール(a3)と中和剤(a4)との反応から得られるイソシアネート基末端プレポリマーであり、
イソシアネート基末端プレポリマー(B)が、ポリイソシアネート(b1)とアルコキシポリエチレングリコール(b2)とを反応させることにより得られ、官能基数1.7〜2.6であるイソシアネート基末端プレポリマーであり、
脂肪族ジアミンが、炭素数3〜8の脂肪族ジアミンであること、
を特徴とする水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物の製造方法。
[6]下記第一工程から第四工程を含むことを特徴とする水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物の製造方法。
第一工程:ポリイソシアネート(a1)とポリカプロラクトンジオール(a2)とカルボキシル基含有ジオール(a3)とを反応させ、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A’)を得る工程
第二工程:第一工程で得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A’)に、ポリイソシアネート(b1)とアルコキシポリエチレングリコール(b2)を添加し反応させる工程
第三工程:第二工程で得られた組成物を中和剤(a4)で中和する工程
第四工程:第三工程で得られた組成物に水を添加することで水分散させ、炭素数3〜8の脂肪族ジアミンを添加し鎖延長反応させる工程。
本発明の水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物によれば、優れた生分解性、柔軟性を有するポリウレタン樹脂を得ることができる。
本発明の水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物は、ポリイソシアネート(a1)とポリカプロラクトンジオール(a2)とカルボキシル基含有低分子ジオール(a3)と中和剤(a4)との反応生成物であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)と、ポリイソシアネート(b1)とアルコキシポリエチレングリコール(b2)の反応生成物であり、官能基数1.7〜2.6であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(B)と、炭素数3〜8の脂肪族ジアミンとの反応生成物である水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物である。
本発明において、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)とは、ポリイソシアネート(a1)と、ポリカプロラクトンジオール(a2)と、カルボキシル基含有低分子ジオール(a3)と中和剤(a4)との反応生成物である。
本発明におけるポリイソシアネート(a1)としては、例えば芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等の有機ポリイソシアネート、これらの有機ポリイソシアネートとアルコールの反応から得られるアロファネート変性ポリイソシアネート等を使用することができる。柔軟性を考慮した場合、(a1)としては脂環族ジイソシアネートと、脂肪族ジイソシアネートとモノオールから得られるアロファネート変性ジイソシアネートを併用することが好ましい。なお、性能が低下しない範囲で、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート、ウレトジオン変性ポリイソシアネート、ウレタン変性ポリイソシアネート、ビュレット変性ポリイソシアネート、ウレトイミン変性ポリイソシアネート、アシルウレア変性ポリイソシアネート等を併用することもできる。
<芳香族ポリイソシアネート>
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート/2,6−トリレンジイソシアネート混合物、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート混合物、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート等の有機ジイソシアネートを挙げることができる。
<芳香脂肪族ポリイソシアネート>
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、1,3−または1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物、ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン等を挙げることができる。
<脂肪族ポリイソシアネート>
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
<脂環族ポリイソシアネート>
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等を挙げることができる。
アロファネート変性ポリイソシアネートを得るために用いられるアルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、トリデカノール等のモノオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−n−ヘキサデカン−1,2−エチレングリコール、2−n−エイコサン−1,2−エチレングリコール、2−n−オクタコサン−1,2−エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物、水素添化ビスフェノールA、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピオネート等のジオール類、トリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオール類などが挙げられる。
ここで、アロファネート変性ポリイソシアネートの製造方法について説明する。
[アロファネート変性ポリイソシアネートの製造方法]
第1工程:アルコールと、有機ジイソシアネートとを水酸基に対して、イソシアネート基が過剰になる量を仕込んで、有機溶剤の存在下、又は非存在下、ウレタン化反応させてアロファネート変性ポリイソシアネート用イソシアネート基末端プレポリマーIを製造する。
第2工程:アロファネート変性ポリイソシアネート用イソシアネート基末端プレポリマーIにアロファネート化触媒を仕込み、赤外分光分析(IR分析)でウレタン基が実質的に存在しなくなるまで、70〜150℃にてアロファネート化させて、アロファネート変性ポリイソシアネートを含むイソシアネート基末端プレポリマーIIを製造する。
第3工程:アロファネート変性ポリイソシアネートを含むイソシアネート基末端プレポリマーIIに反応停止剤を添加することによって、反応の停止を行う。これら第1工程〜第3工程においては、窒素ガス、若しくは、乾燥空気気流下で反応を進行させる。
第4工程:アロファネート変性ポリイソシアネートを含むイソシアネート基末端プレポリマーIIを薄膜蒸留又は溶剤抽出することによって、遊離の有機ジイソシアネートの含有量を1質量%未満になるまで除去し、アロファネート変性ポリイソシアネートを得る。
ここで、「イソシアネート基が過剰になる量」とは、原料仕込みの際、有機ジイソシアネートのイソシアネート基をアルコールの水酸基よりもモル比として多く仕込むことであり、イソシアネート基と水酸基のモル比が、R=イソシアネート基/水酸基で6〜40になるように仕込むことが好ましく、更に好ましくは、R=7〜30になるように仕込むことが好ましい。下限未満の場合には、目的物中にイソシアヌレート変性ポリイソシアネートが多く含有する恐れがある。上限を超える場合には、アロファネート変性ポリイソシアネートの前駆体であるウレタン基を含有したポリイソシアネートが多くなり、官能基数の低下、及び生産性や収率の低下を招く恐れがある。
アロファネート変性ポリイソシアネートの製造を有機溶剤の存在下で行う場合には、反応に影響を与えない各種有機溶剤を用いることができる。
<有機溶剤>
有機溶剤としては、例えばオクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素類、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル類、ジオキサン等のエーテル類、ヨウ化メチレン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミド等の極性非プロトン溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は、単独、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
<第1工程:アロファネート変性ポリイソシアネート用イソシアネート基末端プレポリマーIを製造する工程>
アロファネート変性ポリイソシアネート用イソシアネート基末端プレポリマーIを製造する際のウレタン化反応の反応温度は、20〜120℃であり、好ましくは50〜100℃である。尚、ウレタン化反応の際、公知のウレタン化触媒を用いることができる。具体的には、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機金属化合物や、トリエチレンジアミンやトリエチルアミン等の有機アミンやその塩を選択して用いる。これらの触媒は、単独、又は二種以上併用することができる。ウレタン化反応の反応時間は、触媒の有無、種類、及び温度により異なるが、一般には10時間以内、好ましくは1〜5時間で十分である。
<第2工程:アロファネート変性ポリイソシアネートを含むイソシアネート基末端プレポリマーIIを製造する工程>
ウレタン化反応が終了したら、アロファネート化反応を行い、アロファネート変性ポリイソシアネートを含むイソシアネート基末端プレポリマーIIを製造する。この時、アロファネート化反応は、ウレタン化反応と同時に行ってもウレタン化反応後に行ってもよい。ウレタン化反応とアロファネート化反応とを同時に行う場合には、アロファネート化触媒の存在下で反応を行えばよく、ウレタン化反応後にアロファネート化反応を行う場合には、アロファネート化触媒の非存在下で、所定時間ウレタン化反応を行った後、アロファネート化触媒を添加してアロファネート化反応を行えばよい。
<アロファネート化触媒>
アロファネート化反応で使用されるアロファネート化触媒としては、公知の触媒から適宜選択して用いることができ、例えば、カルボン酸の金属塩を用いることができる。
カルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、オクチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、2−エチルヘキサン酸等の飽和脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸等の飽和単環カルボン酸、ビシクロ[4.4.0]デカン−2−カルボン酸等の飽和複環カルボン酸、ナフテン酸等の上述したカルボン酸の混合物、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、大豆油脂肪酸、トール油脂肪酸等の不飽和脂肪族カルボン酸、ジフェニル酢酸等の芳香脂肪族カルボン酸、安息香酸、トルイル酸等の芳香族カルボン酸等のモノカルボン酸類;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、クルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、α−ハイドロムコン酸、β−ハイドロムコン酸、α−ブチル−α−エチルグルタル酸、α,β−ジエチルサクシン酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のポリカルボン酸類が挙げられる。
また、カルボン酸の金属塩を構成する金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、スズ、鉛等のその他の典型金属、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム等の遷移金属などが挙げられる。
これらのカルボン酸金属塩は、単独、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、アロファネート化触媒の使用量は、ポリオールと有機ジイソシアネートとの合計質量に対して、0.001〜0.1質量%が好ましく、0.005〜0.03質量%がより好ましい。下限未満の場合には、アロファネート変性ポリイソシアネートがあまり生成せず、ウレタン変性ポリイソシアネートの副生成物量が多くなり、得られるイソシアネートの官能基数が低下することになる。また、上限を超える場合には、貯蔵安定性の低下を招く恐れがある。
アロファネート化反応の反応温度は70〜150℃が好ましく、90〜130℃がさらに好ましい。反応温度が低すぎる場合には、アロファネート変性ポリイソシアネートがあまり生成せず、ウレタン変性ポリイソシアネート等の副生成物量が多くなり、得られるイソシアネートの官能基数が低下することになる。また、反応温度が高すぎる場合には、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート等の副生成物が多くなり、柔軟性の低下を招く恐れがある。
<第3工程:反応停止工程>
アロファネート化反応後、触媒の活性を失活させる反応停止剤を添加してアロファネート化反応を停止させる。反応停止剤の添加時期は、アロファネート化反応後であれば、特に限定されないが、副反応の進行を抑制するためにも、反応終了後、速やかな添加が好ましい。
<反応停止剤>
ここで使用される反応停止剤としては、具体的にはリン酸、塩酸等の無機酸、スルホン酸基、スルファミン酸基等を有する有機酸、及びこれらのエステル類、アシルハライド等公知の化合物が使用される。これらは、単独、又は二種以上を併用することができる。また、反応停止剤の添加量は、触媒の種類によって異なるが、触媒の0.5〜10当量となるのが好ましく、0.8〜5.0当量が特に好ましい。反応停止剤の添加量が少ない場合には、得られるアロファネート変性ポリイソシアネートの貯蔵安定性が低下する場合がある。また、添加量が多すぎる場合は、着色が生じる恐れがある。
<第4工程:精製工程>
精製工程では、反応混合物中に存在している遊離の未反応の有機ジイソシアネートを、例えば、10〜100Paの高真空下、120〜140℃における薄膜蒸留により、1.0質量%以下の残留含有率まで除去することが好ましい。上限値を超える場合、臭気や貯蔵安定性の低下を招く恐れがある。
また、前記反応工程で有機溶剤を使用した場合には、この精製工程で除去することができる。
このように、一連の工程を経て得られたアロファネート変性ポリイソシアネートは、モル分率でイソシアヌレート変性ポリイソシアネートが5モル%を超えないように調整することが好ましい。上限値を超える場合には、柔軟性の低下を招く恐れがある。
本発明におけるポリカプロラクトンジオール(a2)としては、数平均分子量300〜5,000の範囲のものが好ましい。柔軟性の面から、1,000〜5,000の範囲が更に好ましく、2、000〜5,000の範囲が最も好ましい。
本発明におけるカルボキシル基含有低分子ジオール(a3)は、末端水酸基を2個有し、イソシアネートとの反応により得られるイソシアネート基末端プレポリマー(A)に親水性を付与し、最終的に得られる樹脂組成物を水分散体とするための親水性基含有モノマーである。
本発明において、カルボキシル基含有ジオール(a3)は、特に限定するものではないが、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、ジメチロールブタン酸(DMBA)、ジメチロールペンタン酸、ジメチロールノナン酸などのジメチロールアルカン酸を挙げることができる。
本発明で用いられる中和剤(a4)としては、例えばアンモニア、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−アミノ−2−エチル−1−プロパノール、高級アルキル変性モルホリン等の有機アミン類、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの無機アルカリ類等が挙げられる。
これらのうち、耐久性向上の観点から、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の加熱によって容易に解離する揮発性の高い中和剤が好ましく、生分解性の観点からは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。これらの中和剤は、単独、又は二種以上を併用することができる。
また、エマルジョン組成物の水分散安定性を向上させるその他の手法として、アニオン性極性基、及びカチオン性極性基含有化合物の併用も可能である。
<アニオン性極性基含有化合物>
アニオン性極性基含有化合物としては、例えば活性水素基を1個以上有する有機酸と中和剤からなる。また、有機酸としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、チオスルホン酸塩等が挙げられ、これらの基は、独立で導入されてもよいし、キレートのように関連付けられてもよい。
<カチオン性極性基含有化合物>
カチオン性極性基含有化合物としては、例えば活性水素基を1個以上有する3級アミンと、無機酸及び有機酸の中和剤、4級化剤のいずれから選択されるものからなる。活性水素基を1個以上有する3級アミンとしては、例えばN,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジプロピルエタノールアミン、N,N−ジフェニルエタノールアミン、N−メチル−N−エチルエタノールアミン、N−メチル−N−フェニルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N−メチル−N−エチルプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−フェニルジプロパノールアミン、N−ヒドロキシエチル−N−ヒドロキシプロピル−メチルアミン、N,N’−ジヒドロキシエチルピペラジン、トリエタノールアミン、トリスイソプロパノールアミン、N−メチル−ビス−(3−アミノプロピル)−アミン、N−メチル−ビス−(2−アミノプロピル)−アミン等が挙げられる。また、アンモニア、メチルアミンのような第1アミン、ジメチルアミンのような第2アミンにアルキレンオキサイドを付加させたものも使用できる。
また、無機、及び有機酸の具体例としては、塩酸、酢酸、乳酸、シアノ酢酸、燐酸及び硫酸等が挙げられる。4級化剤の具体例としては、硫酸ジメチル、塩化ベンジル、ブロモアセトアミド、クロロアセトアミド、または、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル等のハロゲン化アルキルが挙げられる。また、その他のカチオン性極性基含有化合物として、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、ピリジニウム塩等のカチオン性化合物が挙げられる。
本発明におけるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(B)は、ポリイソシアネート(b1)のイソシアネート基をアルコキシポリエチレングリコール(b2)により封止した、官能基数1.7〜2.6のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーである。平均官能基数が1.7未満である場合、樹脂組成物の強度、柔軟性が低下する場合がある。一方、2.6を超えると生分解性が悪化する場合がある。
ポリイソシアネート(b1)としては、前述した有機ポリイソシアネート(a1)及び有機ポリイソシアネート(a1)とアルコールとから得られるアロファネート変性ポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、脂肪族ポリイソシアネートとジオールとの反応から得られるアロファネート変性ポリイソシアネートが好ましい。
アルコキシポリエチレングリコール(b2)としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキヘンメタノール等の分子量150以下の低分子モノオール類、フェノール等のフェノール類の低分子活性水素基含有化合物を開始剤として、エチレンオキサイドを含むアルキレンオキサイドを開環付加させることで得られる。得られるオキシエチレン基を有する活性水素基含有化合物におけるオキシエチレン基含有量は、50質量%以上が好ましい。また、得られるオキシエチレン基含有ポリイソシアネートの粘度、耐水性等を考慮すると、開始剤は分子量150以下の低分子モノオール類が好ましく、メタノール、エタノールが特に好ましい。
本発明における脂肪族ジアミンは、炭素数3〜8の脂肪族ジアミンである。炭素数3〜8のジアミンとしては、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノヘプタン、ジアミノオクタン等を挙げることができる。これらの中でも、良好な生分解性を得やすいことから、1,4−ジアミノブタンが好ましい。
プレポリマー化等のウレタン化反応に際し、ウレタン化触媒は必要により使用され、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ナフテン酸亜鉛やビスマス化合物のような金属系触媒、或いはトリエチレンジアミンやN−メチルモルホリンのようなアミン系触媒などの通常の反応触媒が用いられ、反応速度を速くし反応温度を低くすることができる。
本発明の水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物は、必要に応じてポリイソシアネート硬化剤などの架橋剤を用いた二液システムを選択することもできる。
架橋剤の具体例としては、例えば前記の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのポリイソシアネートを原料として得られるイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート、ウレトジオン基含有ポリイソシアネート、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート、ウレタン基含有ポリイソシアネート、アロファネート基含有ポリイソシアネート、ビュレット基含有ポリイソシアネート、ウレトイミン基含有ポリイソシアネート等を挙げることができる。
より物性を高め、また、各種物性を付加するために、添加剤として汎用されている、成膜剤、粘度調節剤、ゲル化防止剤、難燃剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、充填剤、内部離型剤、補強材、艶消し剤、導電性付与剤、帯電制御剤、帯電防止剤、滑剤、染料、顔料その他の加工助剤を用いることができる。
次に、本発明における水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物の一般的な製造方法について説明する。
まず、ポリイソシアネート(a1)とポリカプロラクトンジオール(a2)とカルボキシル基含有ジオール(a3)によりウレタン化反応を行い、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A’)を得る。
次いで、このプレポリマー(A’)に、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(B)を混合する。
続いて、プレポリマー(A’)と(B)の混合系内において、中和剤(a4)にてプレポリマー(A’)のカルボキシル基を中和してカルボン酸塩とし、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)とイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(B)の混合物を得る。
次いで、このイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)と(B)の混合物に水を加えて乳化分散させ、更にジアミンと反応させ鎖延長し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物を得る。
尚、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(B)は予めポリイソシアネート(b1)とアルコキシポリエチレングリコール(b2)を反応させ、別途合成して混合しても良いし、前記一般的な製造方法で示したように、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A’)系内にポリイソシアネート(b1)とアルコキシポリエチレングリコール(b2)を混合し系内で反応させる方法でも良い。
また、イソシアネート基末端プレポリマー(A)と(B)の混合物を得る際、プレポリマー(A’)に中和剤(A4)を添加して中和し、イソシアネート基末端プレポリマー(A)を得た後に、イソシアネート基末端プレポリマー(B)を混合しても良い。
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A’)、(A)、及び(B)合成時において、イソシアネート基に対して不活性な、有機溶剤にて任意の固形分に希釈されていてもよい。この有機溶剤としては例えば、トルエン、キシレン、スワゾ−ル(コスモ石油社製芳香族系炭化水素溶剤)、ソルベッソ(エクソン化学社製芳香族系炭化水素溶剤)等の芳香族系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系容剤、シクロヘキサン、イソホロン等の脂環族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコール3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールエチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤等が挙げられる。前記溶剤は1種又は2種以上併用してもよい。
本発明においては、脱溶剤工程にて容易に除去でき、且つイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A’)及び(A)形成時に50〜100℃まで昇温が可能な溶剤が好ましく、特にアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤が好ましい。
ポリイソシアネート(a1)とポリカプロラクトンジオール(a2)の配合モル比率は、乳化や皮膜特性の観点から、100/10〜100/95が好ましい。カルボキシル基含有ジオール(a3)の使用量は、得られるエマルジョンの粒子径又は分散安定性の観点から、樹脂中に0.1〜0.6mmol/g含有することが好ましい。
ウレタン化反応においては、触媒として前述した通常のウレタン化触媒を使用してもよく、反応温度も通常の50〜100℃程度でよい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例における%、部表記は、特に断りのない限り質量基準である。
[アロファネート変性ポリイソシアネートの合成−1]
撹拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管を備えた容量が1Lの反応器に、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDIと言う。)を950g、イソプロピルアルコールを50g、オクチル酸ジルコニウムを0.1g仕込み、110℃で4時間反応を行った。次いで、リン酸エステルを0.11g仕込み50℃で1時間停止反応を行った。停止反応後の反応生成物のイソシアネート含量は40.5%であった。この反応生成物を130℃、0.04kPaにて薄膜蒸留を行い、アロファネート変性ポリイソシアネート−1(ALP−1)を得た。ALP−1のイソシアネート含量は19.3%、25℃での粘度は100mPa・s、遊離ジイソシアネート含有量は0.1%であった。また、ALP−1をFT−IR及び13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基とイソシアヌレート基は殆ど確認されなかった。
[アロファネート変性ポリイソシアネートの合成−2]
撹拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管を備えた容量が1Lの反応器に、HDIを950g、3−メチル1,5−ペンタンジオールを50g、オクチル酸ジルコニウムを0.1g仕込み、110℃で4時間反応を行った。次いで、リン酸を0.04g仕込み80℃で1時間停止反応を行った。停止反応後の反応生成物のイソシアネート含量は40.3%であった。この反応生成物を130℃、0.04kPaにて薄膜蒸留を行い、アロファネート変性ポリイソシアネート−2(ALP−2)を得た。ALP−2のイソシアネート含量は19.3%、25℃での粘度は1800mPa・s、遊離ジイソシアネート含有量は0.1%であった。また、ALP−2をFT−IR及び13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基とイソシアヌレート基は殆ど確認されなかった。
[ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造(PUD−1)]
撹拌機、温度計、窒素シール管、及び冷却器を装着した容量1Lの反応器に、Polyol−1を164.6g、ジメチロールプロピオン酸を7.6g、メチルエチルケトンを100g、イソホロンジイソシアネートを22.0g、ALP−1を52.7g仕込み、75℃に加温し、同温度で5時間反応させた。このプレポリマー溶液のイソシアネート含量は2.0%であった。次いで、ALP−2を6.2g、数平均分子量400のメトキシポリエチレングリコールを6.2g仕込み70℃で45分反応させた。次いで、トリエチルアミンを5.7g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を598.5g仕込み、乳化させた。乳化後、30分以内にアミン水(水31.5g、1,4−ブタンジアミン5.0gの混合物)を仕込み、アミン鎖延長反応を30℃にて12時間行った。FT−IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで、撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、MEK100g、水128.6gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD−1)を得た。
[ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造(PUD−2〜PUD−6)]
各原材料の仕込み組成(配合量;質量)を表1に記載のとおりにして、前記のポリウレタン樹脂エマルジョン組成物の製造と同様にして、表1に掲載された各サンプルのポリウレタン樹脂エマルジョン組成物PUD−2〜PUD−6を得た。
[ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造(PUD−7)]
撹拌機、温度計、窒素シール管、及び冷却器を装着した容量1Lの反応器に、Polyol−1を164.6g、ジメチロールプロピオン酸を7.6g、メチルエチルケトン(MEK)を100g、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を22.0g、ALP−1を52.7g仕込み、75℃に加温し、同温度で5時間反応させた。このプレポリマー溶液のイソシアネート含量は2.0%であった。次いで、別途ALP−2を100gと数平均分子量400のメトキシポリエチレングリコール100gとを、70℃で2時間反応させたイソシアネート基末端プレポリマー(B)((B)のイシソアネート含量は4.3%であった)を添加し、70℃で30分撹拌した。次いで、トリエチルアミンを5.7g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を598.5g仕込み、乳化させた。乳化後、30分以内にアミン水(水31.5g、1,4−ブタンジアミン5.0gの混合物)を仕込み、アミン鎖延長反応を30℃にて12時間行った。FT−IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで、撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、MEK100g、水128.6gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD−7)を得た。
得られた上記水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物の性状について以下の項目について確認し、表1及び表2に結果を記載した。
[分散性]
ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造における水による乳化分散工程において均一な分散液が得られるものを「○」、凝集物の発生が多いものや分離などが起きるものを「×」とした。
[粘度]
得られた水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物を、JIS Z8803に準拠して測定した。
・試験装置:単一円筒型回転粘度計 ビスメトロン(芝浦システム社製)
・溶液温度:25℃
・測定条件:25℃×50%RH。
[平均粒径]
得られた水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物を光散乱光度計にかけ、ポリウレタン樹脂の平均粒径を求めた。
・試験装置:光散乱光度計 ELSZ−2000(大塚電子社製)
・解析手法:キュムラント法
・溶液温度:25℃
・測定条件:25℃×50%RH。
<引張特性試験用フィルム作製方法>
実施例1〜4および比較例1〜3で得られた水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物100部に対してレベリング剤TEGOWetKL−245(Evonik社製)10%水溶液を1.5部添加し、さらに固形分=20%となるように水で希釈し混合して主剤を得た。その主剤を乾燥膜圧が20μmとなるように塗布し、25℃で1週間乾燥させることにより硬化物を作製した。この硬化物を用いて、物性の評価を行った。
[評価試験1]
[引張特性]
得られた硬化物を、JIS K6251に準拠して引張特性を測定した。
・試験装置:テンシロンUTA−500(エー・アンド・デー社製)
・測定条件:25℃×50%RH
・ヘッドスピード:200mm/分
・ダンベル4号。
<生分解性試験用成形体の作製方法>
実施例1〜4および比較例1〜3で得られた水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物0.5mLを1.5mL容量のエッペンに入れ、蓋を開けたまま60℃恒温槽で36時間乾燥させることで成形体を作製した。
[評価試験2]
[生分解性]
重量を測定した成形体をエッペンに入れ、リン酸緩衝生理食塩水1.5mLを注ぎ、蓋をしてボルテックスした後、37℃の恒温槽にて所定日数静置した。経過日数が1週間を超えた場合には、一週間に一度の頻度でリン酸緩衝生理食塩水の交換を行った。所定日数経過後、成形体をエッペンから取り出し、水で2回洗浄した後、乾燥し、成形体の重量を測定した。試験前後の成形体の重量から、式(I)を用いて樹脂残存率を算出した。
Figure 0006917769
[評価基準]
50日目の樹脂残存率が、90%未満のものは「◎」、90〜95%のものは「○」、96〜98%のものは「△」、99〜100%のものは「×」とした。
Figure 0006917769
表1で使用した原料は以下の通り。
(1)IPDI:イソホロンジイソシアネート(エボニック社製)
(2)Polyol−1:ポリカプロラクトンジオール、数平均分子量2,000(商品名:プラクセル220、ダイセル社製)
(3)Polyol−2:ポリカーボネートジオール、数平均分子量2,000(商品名:ニッポラン980R、東ソー社製)
(4)Polyol−3:ポリテトラメチレンエーテルグリコール、数平均分子量2,000(商品名:PTG−2000、保土谷化学工業社製)
(5)Polyol−4:ヒマシ油系ジオール、数平均分子量2,000(商品名:URIC H−55、伊藤製油社製)
(6)DMPA:2,2−ジメチロールプロピオン酸(東京化成社製)
(7)トリエチルアミン:キシダ化学社製
(8)水酸化ナトリウム:キシダ化学社製
(9)MPEG:メトキシポリエチレングリコール(数平均分子量400、東邦化学社製)
(10)1,2−エチレンジアミン:キシダ化学社製
(11)1,4−ジアミノブタン:東京化成社製
(12)メチルエチルケトン:丸善石油化学社製
Figure 0006917769

Claims (5)

  1. イソシアネート基末端プレポリマー(A)と、イソシアネート基末端プレポリマー(B)と、脂肪族ジアミンとの反応生成物を含む水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物であって、
    イソシアネート基末端プレポリマー(A)が、ポリイソシアネート(a1)とポリカプロラクトンジオール(a2)とカルボキシル基含有ジオール(a3)と中和剤(a4)との反応生成物であるイソシアネート基末端プレポリマーであり、
    イソシアネート基末端プレポリマー(B)が、ポリイソシアネート(b1)とアルコキシポリエチレングリコール(b2)との反応生成物であり、官能基数1.7〜2.6であるイソシアネート基末端プレポリマーであり、
    脂肪族ジアミンが、炭素数3〜8の脂肪族ジアミンであること、
    を特徴とする水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物。
  2. ポリカプロラクトンジオール(a2)の数平均分子量が300〜5,000であることを特徴とする請求項1に記載の水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物。
  3. 脂肪族ジアミンが、1,4−ジアミノブタンであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物。
  4. ポリイソシアネート(a1)又は(b1)の少なくとも一方が、アロファネート変性ポリイソシアネートを含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物。
  5. イソシアネート基末端プレポリマー(A)と、イソシアネート基末端プレポリマー(B)との混合物に、脂肪族ジアミンを添加し反応させることにより得られる水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物の製造方法であって、
    イソシアネート基末端プレポリマー(A)が、ポリイソシアネート(a1)とポリカプロラクトンジオール(a2)とカルボキシル基含有ジオール(a3)と中和剤(a4)との反応から得られるイソシアネート基末端プレポリマーであり、
    イソシアネート基末端プレポリマー(B)が、ポリイソシアネート(b1)とアルコキシポリエチレングリコール(b2)とを反応させることにより得られ、官能基数1.7〜2.6であるイソシアネート基末端プレポリマーであり、
    脂肪族ジアミンが、炭素数3〜8の脂肪族ジアミンであること、
    を特徴とする水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物の製造方法。
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