JP2023153044A - ポリウレタン樹脂組成物、人工皮革、合成皮革、及び皮革用表面処理剤 - Google Patents

ポリウレタン樹脂組成物、人工皮革、合成皮革、及び皮革用表面処理剤 Download PDF

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康平 本田
Kohei Honda
浩直 安在
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Abstract

【課題】100%モジュラスが低く、高い軟化温度を有するポリウレタン樹脂組成物、人工皮革、合成皮革および皮革用表面処理剤を提供すること。【解決手段】イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)と、中和剤(F)と、を含むポリウレタン樹脂組成物であって、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)が、ポリオール(A2)と、該ポリオール(A2)とは異なる多官能ポリオール(B2)と、ジメチロール脂肪酸(C)と、ポリイソシアネート(D)と、の反応生成物を含み、前記多官能ポリオール(B2)は、平均水酸基官能基数が2を超えるポリエステルポリオールであり、前記ポリウレタン樹脂組成物中、前記ウレア基の全含有量が、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の質量と、前記鎖延長剤(G)の質量と、の総和に対して、0.05~1.00mmol/gであるポリウレタン樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、ポリウレタン樹脂組成物、人工皮革、合成皮革、及び皮革用表面処理剤に関する。
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂組成物については、耐加水分解性、耐熱性、耐磨耗性、耐薬品性などに有利なことから、人工皮革、合成皮革、天然皮革などに用いられている。特許文献1では、有機ジイソシアネート(a1)、カーボネート骨格を有する高分子ポリオール(a2)、及びカルボキシル基含有低分子グリコール(a3)を反応させて、カルボキシル基含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)を製造し、これとノニオン性極性基含有ポリイソシアネート(B)を混合してから、系中のカルボキシル基を中和剤(C)にて中和させ、その後前記混合物を水に乳化・水による鎖延長反応させる、水性一液コーティング剤用ポリウレタンエマルジョンの製造方法を開示している。
特開2005-247897号公報
しかしながら、特許文献1にかかるポリウレタンエマルジョンは、溶剤系ポリウレタン樹脂と比較してバランスの取れた機械物性が得られず、100%モジュラスの改善が求められていた。また、特許文献1にかかるポリウレタンエマルジョンは、高温環境下にさらされた際の形状安定性が不十分であった。
そこで、本開示の一態様は100%モジュラスが低く、高い軟化温度を有するポリウレタン樹脂組成物、人工皮革、合成皮革、及び皮革用表面処理剤を提供することに向けられている。
本開示の各態様は以下に示す実施形態を含む。
(1) イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)と、鎖延長剤(G)と、の反応生成物と、
中和剤(F)と、を含むポリウレタン樹脂組成物であって、
前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)が、
平均水酸基官能基数が2を超えるポリエステルポリオール(B1)を含むポリオール(A1)と、
有機酸(C)と、
ポリイソシアネート(D)と、の反応生成物を含み、
前記ポリウレタン樹脂組成物中、前記鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量が、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の質量と、前記鎖延長剤(G)の質量と、の総和に対して、0.05~1.00mmol/gである、ポリウレタン樹脂組成物。
(2) イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)と、鎖延長剤(G)と、の反応生成物と、
中和剤(F)と、を含むポリウレタン樹脂組成物であって、
前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)が、
ポリオール(A2)と、
該ポリオール(A2)とは異なる多官能ポリオール(B2)と、
有機酸(C)と、
ポリイソシアネート(D)と、の反応生成物を含み、
前記多官能ポリオール(B2)は、平均水酸基官能基数が2を超えるポリエステルポリオールであり、
前記ポリウレタン樹脂組成物中、前記鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量が、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の質量と、前記鎖延長剤(G)の質量と、の総和に対して、0.05~1.00mmol/gである、ポリウレタン樹脂組成物。
(3) 前記鎖延長剤(G)が、
1個以上の一級もしくは二級アミノ基を有するアミン化合物、および、
水、からなる群より選択される1種以上である、(1)または(2)に記載のポリウレタン樹脂組成物。
(4) 前記鎖延長剤(G)が、1個以上の一級もしくは二級アミノ基を有するアミン化合物を含み、
前記ポリウレタン樹脂組成物中、前記アミン化合物由来のウレア基の含有量が、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の質量と、前記鎖延長剤(G)の質量と、の総和に対して0mmol/g超0.95mmol/g以下である、(1)~(3)のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
(5) 前記鎖延長剤(G)が、1個以上の一級もしくは二級アミノ基を有するアミン化合物を含み、
前記ポリウレタン樹脂組成物中、前記アミン化合物由来のウレア基の含有量が、前記鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量に対して、0mol%超99mol%以下である、(1)~(4)のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
(6) 前記鎖延長剤(G)が、水を含み、
前記ポリウレタン樹脂組成物中、前記水由来のウレア基の含有量が、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の質量と、前記鎖延長剤(G)の質量と、の総和に対して、0mmol/g超1.00mmol/g以下である、(1)~(5)のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
(7) 硬化剤(X)をさらに含む、(1)~(6)のいずれか1項のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
(8) 前記ポリオール(A1)、または前記ポリオール(A2)が有する水酸基と、前記多官能ポリオール(B2)が有する水酸基と、の平均水酸基価が、30~150mgKOH/gである、(1)~(7)のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
(9) 前記ポリエーテルポリオール(B1)の含有量が、前記ポリオール(A1)の含有量に対して、5~99質量%である、または
前記多官能ポリオール(B2)の含有量が、前記ポリオール(A2)の含有量と前記多官能ポリオール(B2)の含有量との総和に対して、5~99質量%である、(1)~(8)のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
(10) 前記ポリエステルポリオール(B1)、または多官能ポリオール(B2)の平均水酸基官能基数が2.1~3.5であり、
前記ポリエステルポリオール(B1)、または多官能ポリオール(B2)の水酸基価が、40~500mgKOH/gであり、
前記ポリエステルポリオール(B1)、または多官能ポリオール(B2)の数平均分子量が、400~4,000g/molである、(1)~(9)のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
(11) 前記有機酸(C)が、ジメチロール脂肪酸である、(1)~(10)のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
(12) 前記中和剤(F)が、塩基性中和剤である、(1)~(11)のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
(13) 前記ポリオール(A1)が、ジオール(A-2)及び/又は3官能以上の多価アルコール(A-3)を含む、または、
前記ポリオール(A2)が、ジオール(A-2)及び/又は3官能以上の多価アルコール(A-3)を含む、(1)~(12)のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
(14) (1)~(13)のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂組成物の硬化物を含む、人工皮革、または合成皮革。
(15) (1)~(13)のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂組成物の硬化物を含む、皮革用表面処理剤。
本開示の一態様によれば、100%モジュラスが低く、高い軟化温度を有するポリウレタン樹脂組成物、人工皮革、合成皮革、及び皮革用表面処理剤を提供することができる。
本開示の各態様を実施するための例示的な実施形態についてさらに詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書中、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。
本開示の一態様にかかるポリウレタン樹脂組成物は、
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)と、鎖延長剤(G)と、の反応生成物と、
中和剤(F)と、を含むポリウレタン樹脂組成物であって、
前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)が、
平均水酸基官能基数が2を超えるポリエステルポリオール(B1)を含むポリオール(A1)と、
有機酸(C)と、
ポリイソシアネート(D)と、の反応生成物を含み、
前記ポリウレタン樹脂組成物中、前記鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量が、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の質量と、前記鎖延長剤(G)の質量と、の総和に対して、0.05~1.00mmol/gである。
本開示の一態様の変形例にかかるポリウレタン樹脂組成物は、
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)と、鎖延長剤(G)と、の反応生成物と、
中和剤(F)と、を含むポリウレタン樹脂組成物であって、
前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)が、
ポリオール(A2)と、
該ポリオール(A2)とは異なる多官能ポリオール(B2)と、
有機酸(C)と、
ポリイソシアネート(D)と、の反応生成物を含み、
前記多官能ポリオール(B2)は、平均水酸基官能基数が2を超えるポリエステルポリオールであり、
前記ポリウレタン樹脂組成物中、前記鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量が、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の質量と、前記鎖延長剤(G)の質量と、の総和に対して、0.05~1.00mmol/gである。
なお、以下において、単に「ポリウレタン樹脂組成物」と称する場合、この「ポリウレタン樹脂組成物」は、本開示の一態様およびその変形例にかかるポリウレタン樹脂組成物のいずれも含む。
以下、ポリウレタン樹脂組成物の各成分(A)~(G)及びこれら以外に含まれ得る他の成分について説明する。
<ポリオール(A1)、ポリオール(A2)>
ポリオール(A1)は、平均水酸基官能基数が2を超えるポリエステルポリオール(B1)を含む。ポリエスエルポリオール(B1)以外のポリオール(A1)としては、例えば、ポリエステルポリオール(ただし、ポリエステルポリオール(B1)以外のもの)、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、多官能ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等、およびこれらの任意の2種以上の組み合わせからなるポリオール(A-1)が挙げられる。
ポリオール(A2)としては、例えば、ポリエステルポリオール(ただし、多官能ポリオール(B2)以外のもの)、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、多官能ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等、およびこれら任意の2種以上の組み合わせからなるポリオール(A-1)が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、ジオールとジカルボン酸とから得られるポリエステルジオールや、ジオールを開始剤としてラクトン類などの環状エステル化合物を開環付加重合することで得られるポリオールが好ましい。なお、ポリオール(A-1)に含まれるポリエステルポリオールは、ポリエステルポリオール(B1)、多官能ポリオール(B2)と異なるものである。
ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、ビス(β-ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール、グリセリン等の低分子ポリオール、およびこれらの任意の2種以上の組み合わせが挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、アジピン酸、酒石酸、ピメリン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸等の多塩基酸、およびこれらの任意の2種以上の組み合わせが挙げられる。
ラクトン類としては、例えば、β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、β-バレロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、α-カプロラクトン、β-カプロラクトン、γ-カプロラクトン、δ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン、α-メチル-ε-カプロラクトン、β-メチル-ε-カプロラクトン、4-メチルカプロラクトン、γ-カプリロラクトン、ε-カプリロラクトン、ε-パルミトラクトン等、およびこれらの任意の2種以上の組み合わせが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンエーテルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール等、およびこれらの任意の2種以上の組み合わせが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールは、エステル結合を含んでもよい。例えば、以下の(α)、(β)、(γ)のポリカーボネートポリオール、およびこれらの任意の2種以上の組み合わせが挙げられる。
(α)ジオール(a-1)と、炭酸エステル(a-2)とから得られるポリカーボネートポリオール(以下、「ポリカーボネートポリオール(α)」ともいう。)
(β)ジオール(a-1)と、炭酸エステル(a-2)と、ラクトン類などの環状エステル化合物(a-3)と、から得られるポリカーボネートポリオール(以下、「ポリカーボネートポリオール(β)」ともいう。)
(γ)ポリカーボネートポリオール(a-4)とポリエステルポリオール(a-5)と、から得られるポリカーボネートポリオール(以下、「ポリカーボネートポリオール(γ)」ともいう。)
ジオール(a-1)としては、例えば、ポリエステルポリオールの説明で挙げたジオールと同じものが挙げられる。その中でも、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオールが好ましい。
炭酸エステル(a-2)としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキレンカーボネート類;ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジアントリルカーボネート、ジフェナントリルカーボネート、ジインダニルカーボネート、テトラヒドロナフチルカーボネート等のジアリールカーボネート類;等、およびこれらの任意の2種以上の組み合わせが挙げられる。
環状エステル化合物(a-3)、ポリエステルポリオール(a-5)としては、例えば、ポリエステルポリオールの説明で挙げた環状エステル化合物、ポリエステルジオールと同じものが挙げられる。
ポリカーボネートポリオール(a-4)としては、例えば、ポリカーボネートポリオール(α)の説明で挙げたものと同じものが挙げられる。
多官能ポリカーボネートポリオールのうち、エステル結合を有しない多官能ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、以下の(α’)、(β’)の多官能ポリカーボネートポリオール、およびこれらの任意の2種以上の組み合わせが挙げられる。
(α’)ジオール(a-6)と、官能基数3以上の多価アルコール(a-7)と、炭酸エステル(a-8)とのエステル交換反応物である多官能ポリカーボネートポリオール(以下、「多官能ポリカーボネートポリオール(α’)」ともいう。)
(β’)官能基数3以上の多価アルコール(a-7)と、必要に応じて用いられるジオール(a-6)とを含み、ポリカーボネートポリオール(a-9)とのエステル交換反応物である多官能ポリカーボネートポリオール(以下、「多官能ポリカーボネートポリオール(β’)」ともいう。)
ジオール(a-6)としては、例えば、ポリエステルポリオールの説明で挙げたジオールと同じものが挙げられる。その中でも、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオールが好ましい。
多価アルコール(a-7)としては、例えばトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等、およびこれら任意の2種類の組み合わせが挙げられる。これらの中でもトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールが好ましい。
炭酸エステル(a-8)としては、例えば、ポリカーボネートポリオール(α)および(β)の説明で挙げた炭酸エステル(a-2)と同じものが挙げられる。
ポリカーボネートポリオール(a-9)は、官能基数が2以上のポリカーボネートポリオールであり、官能基数が2のポリカーボネートポリオール(a-9-1)(すなわち、ポリカーボネートジオール)であってもよく、官能基数が3以上のポリカーボネートポリオール(a-9-2)であってもよく、ポリカーボネートポリオール(a-9-1)およびポリカーボネートポリオール(a-9-2)から選択される2種以上の組み合わせであってもよい。
ポリカーボネートポリオール(a-9-1)としては、例えば、ポリカーボネートポリオール(α)の説明で挙げたものと同じものが挙げられる。
ポリカーボネートポリオール(a-9-2)としては、例えば、多官能ポリカーボネートポリオール(α’)の説明で挙げたものと同じものが挙げられる。
多官能ポリカーボネートポリオールのうち、エステル結合を有する多官能ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、以下の(α”)、(β”)のコポリマーポリオール、およびこれらの任意の2種以上の組み合わせが挙げられる。
(α”)ポリカーボネートポリオール(a-10)と、官能基数が3以上であるポリエステルポリオール(a-11)との、エステル交換反応物であるコポリマーポリオール(以下、「多官能ポリカーボネートポリオール(α”)」ともいう。)
(β”)ポリカーボネートポリオール(a-10)と、官能基数が3以上であるポリエステルポリオール(a-11)と、水酸基官能基数が2以上3未満のポリエステルポリオール(a-12)との、エステル交換反応物であるコポリマーポリオール(以下、「多官能ポリカーボネートポリオール(β”)」ともいう。)
コポリマーポリオールは、高強度、高伸長な機械物性を両立させる他、溶剤への溶解性、常温での液状化によるハンドリング性などが向上する。
ポリカーボネートポリオール(a-10)としては、多官能ポリカーボネートポリオール(a-9)の説明で挙げたものと同じものが挙げられる。
ポリエステルポリオール(a-11)及びポリエステルポリオール(a-12)としては、例えば、ポリエステルポリオール(B1)と多官能ポリオール(B2)の説明で挙げるポリエステルポリオールと同じものが挙げられる。ポリエステルポリオール(B1)と多官能ポリオール(B2)は後述する説明に記載されるとおりであってよい。
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、水酸基末端ポリブタジエンやその水素添加物、水酸基含有塩素化ポリオレフィン等、およびこれらの任意の2種以上の組み合わせが挙げられる。
ポリオール(A-1)は上述したポリオールから選ばれる1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
ポリウレタン樹脂組成物から得られる被膜の各種耐久性や密着性等を考慮すると、ポリオール(A-1)は、ポリカーボネートポリオールを含むことが好ましく、ポリカーボネートジオールを含むことがより好ましい。
ポリオール(A-1)の平均水酸基価は、40~500mgKOH/gであることが好ましく、50~300mgKOH/gであることがより好ましい。平均水酸基価が40mgKOH/g以上であると、ポリウレタン樹脂中のウレタン基濃度が低くなり過ぎず、引張試験における破断時強度がさらに向上する。平均水酸基価が500mgKOH/g以下であるとウレタン基濃度が高くなり過ぎず、引張試験における破断時伸びがさらに向上する。平均水酸基価の測定方法の詳細は、後述する実施例において説明されるとおりである。
ポリオール(A-1)の数平均分子量は、300~10,000g/molであってもよく、300~7,000g/molであってもよく、300~5,000g/molであってもよく、400~5,000g/molであることが好ましく、500~3000g/molであることがより好ましく、800~3,000であってもよい。数平均分子量が400g/mol以上であるとポリウレタン中のウレタン基濃度が高くなり過ぎず、100%モジュラスがさらに向上する傾向となる。数平均分子量が5000g/mol以下であるとポリウレタン樹脂中のウレタン基濃度が低くなり過ぎず、引張試験における破断強度がさらに向上する。数平均分子量の測定方法の詳細は、後述する実施例に記載されるとおりであってよい。
ポリオール(A)は、ポリオール(A-1)に加えて、あるいは、ポリオール(A-1)の代わりに、ジオール(A-2)及び/又は3官能以上の多価アルコール(A-3)を含んでいてもよい。なお、ジオール(A-2)及び多価アルコール(A-3)は、ポリオール(A-1)と異なるものである。
ジオール(A-2)としては、例えば、ポリエステルポリオールの説明で挙げたジオールと同じものが挙げられる。その中でも、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオールが好ましい。
多価アルコール(A-3)としては、例えば、多官能ポリカーボネートポリオール(α‘)及び多官能ポリカーボネートポリオール(β’)の説明で挙げた多価アルコールと同じものが挙げられる。その中でも、経済的な観点から、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールが好ましい。
ポリオール(A)中のポリオール(A-1)とジオール(A-2)及び/又は多価アルコール(A-3)とのモル比[ポリオール(A-1)/(ジオール(A-2)及び/又は多価アルコール(A-3)]は、10/0~1/20であることが好ましく、10/1~1/10であることがより好ましく、5/1~1/5であることがさらに好ましい。この範囲とすることで、100%モジュラスがさらに低く、かつ、さらに高い軟化温度を有するポリウレタン樹脂組成物が得られる。
<ポリエステルポリオール(B1)、多官能ポリオール(B2)>
本開示の一態様において、ポリエステルポリオール(B1)は、平均水酸基官能基数が2を超えるポリエステルポリオールである。また、ポリエステルポリオール(B1)は、ポリオール(A1)に含まれるものである。
また、本開示の一態様の変形例において、多官能ポリオール(B2)は、ポリオール(A2)と異なるものであり、平均水酸基官能基数が2を超えるポリエステルポリオールである。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、以下の(δ)~(ε)のポリエステルポリオール、およびこれらの任意の2種以上の組み合わせが挙げられる。
(δ)ジオール(b-1)と、ジカルボン酸及び/又はその無水物(b-2)と、官能基数3以上の多価アルコール(b-3)と、から得られるポリエステルポリオール(以下、「ポリエステルポリオール(δ)」ともいう。)
(ε)官能基数3以上の多価アルコール(b-3)と、必要に応じて用いられる2官能アルコール(b-5)と、を開始剤として、ラクトン類などの環状エステル化合物(b-4)が開環付加重合して得られるポリエステルポリオール(以下、「ポリエステルポリオール(ε)」ともいう。)
ジオール(b-1)、ジカルボン酸及び/又はその無水物(b-2)、環状エステル化合物(b-4)としては、例えば、ポリエステルポリオールの説明で挙げたジオール、ジカルボン酸及び/又はその無水物、環状エステル化合物と同じものが挙げられる。
多価アルコール(b-3)としては、例えば、多官能ポリカーボネートポリオール(α’)及び(β’)の説明で挙げた多官能アルコール(a-7)と同じものが挙げられる。なお、所期の効果を奏する限りにおいて、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール等の2官能アルコール(b-5)を開始剤として、多価アルコール(b-3)に併用してもよい。換言すると、ポリエステルポリオールは、多価アルコール(b-3)に由来した部位と、環状エステル化合物(b-4)に由来した部位と、を有するポリエステルポリオールであってもよく、これに加えてさらに、2官能アルコール(b-5)に由来した部位と、環状エステル化合物(b-4)に由来した部位と、を有するポリエステルポリオールを含んでいてもよい。
環状エステルの使用量としては、水酸基官能基数3以上の多価アルコールに対して、例えば0.5~100モル、好ましくは1~50モル、さらに好ましくは5~30モル、特に好ましくは7~20モルである。水酸基官能基数3以上の多価アルコールで表される化合物に反応させる環状エステルの使用量をコントロールすることにより、得られるポリエステルポリオールの分子量を調整することができる。
(触媒)
ポリエステルポリオール(B1)、または多官能ポリオール(B2)の作製の際には、触媒を用いることが好ましい。
また、環状エステルの開環重合反応は、触媒としてのスズ化合物の存在下で行う。前記スズ化合物としては、例えば、オクチル酸第一スズ、ジブチルスズジラウレート、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、ジブチルジクロロスズ、ブチルトリクロロスズ、モノブチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド、モノブチルスズトリス(メルカプト酢酸2-エチルヘキシル)、モノブチルスズトリス(メルカプト酢酸イソオクチル)、モノブチルスズトリアセテート、モノブチルスズトリス(2-エチルヘキサノエート)等、およびこれらの任意の2種以上の組み合わせが挙げられる。
前記スズ化合物の使用量(2種以上を組み合わせて使用する場合はその総量)は、環状エステルと水酸基官能基数3以上の多価アルコールで表される化合物の総量に対して、例えば1~20ppm、好ましくは1~10ppm、特に好ましくは2~8ppm、最も好ましくは3~7ppmである。スズ化合物の使用量が上記範囲を上回ると、分子量分布が狭いポリエステルポリオールを得ることが困難となる傾向がある。一方、スズ化合物の使用量が上記範囲を下回ると、反応の進行を促進する効果が得られにくくなる傾向がある。
環状エステルの開環重合反応における反応温度は50℃以上が好ましく、特に好ましくは80~210℃、最も好ましくは100~200℃、とりわけ好ましくは120~180℃であり、150~180℃であってもよく、160~180℃であってもよい。反応温度が低すぎると、反応速度が遅くなる傾向がある。一方、反応温度が高すぎると、エステル交換反応による着色や生じた重合体の分解反応が進行して、色相が良好であり、分子量分布の狭いポリエステルポリオールを得ることが困難となる傾向がある。また、反応時間は、例えば3~30時間程度である。更に反応圧力は、例えば0.7~1.5気圧程度である。
環状エステルの開環重合反応の反応雰囲気としては、反応を阻害しない限り特に限定されないが、例えば、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの不活性ガス雰囲気が好ましい。
環状エステルの開環重合反応には、塊重合、溶液重合および懸濁重合の何れの重合方法も採用することができる。前記溶液重合に使用する溶剤としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類が、比較的沸点が高く、反応に不活性であるため好ましい。溶媒は実質的に無水のものが望ましい。
前記重合反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式などの何れの方法でも行うことができる。反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィー等の分離精製手段やこれらを組み合わせた手段により分離精製できる。
ポリエステルポリオール(B1)、または多官能ポリオール(B2)の平均水酸基官能基数は、2.1~3.5であることが好ましく、2.2~3.0であることがより好ましい。平均水酸基官能基数が3.5以下であると引張試験における破断時伸びがさらに向上し、平均水酸基官能基数が2.1以上であると引張試験における破断時強度がさらに向上する傾向となる。
ポリエステルポリオール(B1)、または多官能ポリオール(B2)の平均水酸基価は、40~500mgKOH/gであることが好ましく、50~300mgKOH/gであることがより好ましい。平均水酸基価が40mgKOH/g以上であると、ポリウレタン樹脂中のウレタン基濃度が低くなり過ぎず、引張試験における破断時強度がさらに向上する。平均水酸基価が500mgKOH/g以下であるとウレタン基濃度が高くなり過ぎず、引張試験における破断時伸びがさらに向上する。平均水酸基価の測定方法の詳細は、後述する実施例において説明されるとおりである。
ポリエステルポリオール(B1)、または多官能ポリオール(B2)の数平均分子量は400~5,000g/molであることが好ましく、500~3000g/molであることがより好ましい。数平均分子量が400g/mol以上であるとポリウレタン中のウレタン基濃度が高くなり過ぎず、100%モジュラスがさらに向上する傾向となる。数平均分子量が5000g/mol以下であるとポリウレタン樹脂中のウレタン基濃度が低くなり過ぎず、引張試験における破断強度がさらに向上する。数平均分子量の測定方法の詳細は、後述する実施例に記載されるとおりであってよい。
(ポリエステルポリオール(B1)、多官能ポリオール(B2)含量)
ポリエステルポリオール(B1)の含有量(質量%)は、ポリウレタン樹脂組成物中のポリオール(A1)の含有量に対して、5~99質量%が好ましく、10~90質量%がより好ましく、20~80質量%がさらに好ましく、30~70質量%が特に好ましい。ポリエステルポリオール(B1)の含有量が上記範囲であると、ポリウレタンフィルムとして使用された場合に、特に100%モジュラスと耐熱性がともに良好なポリウレタンフィルムが得られやすい傾向がある。また、ポリエステルポリオール(B1)の含有量が100質量%以下であると、特にハンドリング性に優れたポリウレタンディスパージョンが得られやすい傾向にある。さらに、ポリエステルポリオール(B1)の含有量が100質量%以下であると、特に100%モジュラスに優れたポリウレタンフィルムが得られやすい。加えて、ポリエステルポリオール(B1)の含有量が5質量%以上であると、特に耐熱性に優れたポリウレタンフィルムが得られやすい。
なお、本開示の一態様及びその変形例において、多官能ポリオール(B2)の含有量は、本開示の一態様におけるポリエステルポリオール(B1)の含有量と同様である。ただし、「ポリウレタン樹脂組成物中のポリオール(A1)の含有量に対して」は、「ポリウレタン樹脂組成物中のポリオール(A2)の含有量と多官能ポリオール(B2)の含有量との総和に対して」と読み替える。
(ポリオール(A1)の平均水酸基価/ポリオール(A2)と、多官能ポリオール(B2)との平均水酸基価)
本開示の一態様におけるポリオール(A1)の平均水酸基価、ならびに、本開示の一態様の変形例におけるポリオール(A2)と、多官能ポリオール(B2)とを混合した際の平均水酸基価は30~150mgKOH/gが好ましく、50~130mgKOH/gがより好ましく、60~120mgKOH/gがより好ましい。平均水酸基価が上記範囲であると、ポリウレタンフィルムとして使用された場合に、特に100%モジュラスと耐熱性がともに良好なポリウレタンフィルムが得られやすい傾向がある。また、平均水酸基価が130mgKOH/g以下であると、特に100%モジュラスに優れるポリウレタンフィルムが得られやすい。
(架橋密度)
架橋密度は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)と鎖延長剤(G)との総和に対して、0.02mmol/g~0.30mmol/gが好ましく、0.05mmol/g~0.25mmol/gがより好ましく、0.10mmol/g~0.20mmol/gがより好ましい。架橋密度が上記範囲であると、ポリウレタンフィルムとして使用された場合に、特に100%モジュラスと耐熱性がともに良好なポリウレタンフィルムが得られやすい。また、架橋密度が0.30mmol/g以下であると、特に100%モジュラスに優れるポリウレタンフィルムが得られやすい。
<有機酸(C)>
有機酸(C)は、例えば、ポリイソシアネート(D)との反応により得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)に親水性を付与し、最終的に得られる樹脂組成物を水性にし得る親水性基含有モノマーであってよい。
有機酸(C)は、例えば、活性水素基を1個以上有するものが挙げられる。有機酸としては、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、チオスルホン酸等、およびこれらの任意の2種以上の組み合わせが挙げられる。これらの基は、独立で導入されてもよいし、キレートのように関連付けられてもよい。その中でも、カルボキシ基(-COOH)を有するジメチロール脂肪酸がより好ましい。
ジメチロール脂肪酸は、例えば、下記式(c)で表される化合物であってよい。
Figure 2023153044000001
式(c)において、Rは脂肪族炭化水素基を示す。Rで表される脂肪族炭化水素基の炭素数は、例えば、1以上であってよく、10以下、6以下、または3以下であってよい。Rで表される脂肪族炭化水素基は、直鎖状であってよく、分岐を有していてもよい。Rで表される脂肪族炭化水素基は、例えば、-CH、-CHCH、-CHCHCH、またはCHCHCHCHCHCHCHであってよい。
ジメチロール脂肪酸としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸(2,2-ジメチロールプロパン酸等)、ジメチロールブタン酸、ジメチロールペンタン酸、ジメチロールノナン酸等のジメチロールアルカン酸等、およびこれらの任意の2種以上の組み合わせが挙げられる。
有機酸(C)の含有量は、ポリウレタン樹脂組成物中、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の質量と鎖延長剤(G)の質量との総和を基準として、0.01mmol/g以上、0.10mmol/g、0.20mmol/g、または0.30mmol/g以上であってよく、0.80mmol/g以下、0.70mmol/g以下、0.60mmol/g以下、0.50mmol/g以下、または0.40mmol/g以下であってよい。
<ポリイソシアネート(D)>
ポリイソシアネート(D)としては、特に限定されず、従来公知の各種ポリイソシアネートが挙げられる。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、2-ニトロジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジフェニルプロパン-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ナフチレン-1,4-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシジフェニル-4,4’-ジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;キシリレン-1,4-ジイソシアネート、キシリレン-1,3-ジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート等;これら有機ポリイソシアネートとアルコールとの反応から得られるアロファネート変性ポリイソシアネート等:ならびに、これら任意の2種以上の組み合わせが挙げられる。
ポリイソシアネート(D)は、脂肪族ジイソシアネート、または脂環族ジイソシアネートであることが好ましく、脂環族ジイソシアネートであることがより好ましく、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートであることがさらに好ましい。
本開示の一態様において、ポリイソシアネート(D)が有するイソシアネート基の総モル数に対する、ポリオール(A1)が有する水酸基の総モル数の比(水酸基/イソシアネート基)が、例えば、0.200以上、0.300以上または0.400以上であってよく、1.000以下、0.950以下、0.900以下、または0.800以下であってよい。
なお、本開示の一態様の変形例において、比(水酸基/イソシアネート基)は、本開示の一態様における比(水酸基/イソシアネート基)と同様である。ただし、「ポリオール(A1)が有する水酸基の総モル数」は、「ポリオール(A2)と多官能ポリオール(B2)とが有する水酸基の総モル数」と読み替える。
<イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の一実施形態>
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の一実施形態は、例えば、平均水酸基官能基数が2を超えるポリエステルポリオール(B1)を含むポリオール(A1)と、有機酸(C)と、ポリイソシアネート(D)との反応生成物を含んでいてもよい。
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の一実施形態の変形例は、例えば、ポリオール(A2)と、多官能ポリオール(B2)と、有機酸(C)と、ポリイソシアネート(D)との反応生成物を含んでいてもよい。
<中和剤(F)>
中和剤(F)は、塩基性中和剤が好ましい。中和剤(F)としては、例えば、アンモニア、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン、N-メチルモルホリン、2-アミノ-2-エチル-1-プロパノール、高級アルキル変性モルホリン等の有機アミン類、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの無機アルカリ類;等、およびこれら任意の2種以上の組み合わせが挙げられる。また、塗膜の耐久性や平滑性向上の観点から、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の加熱によって解離する揮発性の高い中和剤が好ましい。
中和剤は、トリアルキルアミンであってよい。トリアルキルアミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミンが挙げられる。
また、ポリウレタン樹脂組成物の水分散安定性を向上させるために、中和剤(F)がアニオン性極性基、及びカチオン性極性基含有化合物をさらに含んでいてもよい。
アニオン性極性基含有化合物としては、例えば、活性水素基を1個以上有する有機酸と中和剤とからなるものを挙げられる。
有機酸としては、例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、チオスルホン酸塩等、およびこれら任意の2種以上の組み合わせが挙げられる。これらの基は、独立で導入されてもよいし、キレートのように関連付けられてもよい。
カチオン性極性基含有化合物としては、例えば、
活性水素基を1個以上有する3級アミンと、
無機酸及び有機酸の中和剤、4級化剤のいずれかから選択される1種以上と、からなるものが挙げられる。
活性水素基を1個以上有する3級アミンとしては、例えば、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジプロピルエタノールアミン、N,N-ジフェニルエタノールアミン、N-メチル-N-エチルエタノールアミン、N-メチル-N-フェニルエタノールアミン、N,N-ジメチルプロパノールアミン、N-メチル-N-エチルプロパノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-メチルジプロパノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、N-フェニルジプロパノールアミン、N-ヒドロキシエチル-N-ヒドロキシプロピル-メチルアミン、N,N′-ジヒドロキシエチルピペラジン、トリエタノールアミン、トリスイソプロパノールアミン、N-メチル-ビス-(3-アミノプロピル)-アミン、N-メチル-ビス-(2-アミノプロピル)-アミン等;アンモニア、メチルアミン等の第1アミン、ジメチルアミン等の第2アミンにアルキレンオキサイドを付加させたもの:およびこれら任意の2種以上の組み合わせが挙げられる。
無機、及び有機酸としては、例えば、塩酸、酢酸、乳酸、シアノ酢酸、燐酸及び硫酸等、およびこれら任意の2種以上の組み合わせが挙げられる。
4級化剤としては、例えば、硫酸ジメチル、塩化ベンジル、ブロモアセトアミド、クロロアセトアミド、または、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル等のハロゲン化アルキル等、およびこれら任意の2種以上の組み合わせが挙げられる。
また、その他のカチオン性極性基含有化合物として、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、ピリジニウム塩等のカチオン性化合物が挙げられる。
また、その他のカチオン性極性基含有化合物として、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、ピリジニウム塩等のカチオン性化合物が挙げられる。
中和剤の含有量は、ポリウレタン樹脂組成物中、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の質量と鎖延長剤(G)の質量との総和を基準として、0.01mmol/g以上、0.10mmol/g、0.20mmol/g、または0.30mmol/g以上であってよく、0.80mmol/g以下、0.70mmol/g以下、0.60mmol/g以下、0.50mmol/g以下、または0.40mmol/g以下であってよい。
(有機溶剤)
なお、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)合成時、イソシアネート基に対して不活性な、有機溶剤にて任意の固形分に希釈してもよい。この有機溶剤としては例えば、トルエン、キシレン、スワゾール(丸善石油化学株式会社製の芳香族系炭化水素溶剤)、ソルベッソ(エクソンモービル社製の芳香族系炭化水素溶剤)等の芳香族系溶剤;ヘキサン等の脂肪族炭化水素形容剤、シクロヘキサン、イソホロン等の脂環族炭化水素系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコール-3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、エチレングリコールエチル-3-エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶剤;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;およびこれらの任意の2種以上の組み合わせが挙げられる。
溶剤は、脱溶剤の際に容易に除去でき、且つイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)形成時に50~100℃まで昇温が可能な酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤が好ましく、特にアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤が好ましい。
<イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の製造方法>
はじめに、ポリイソシアネート(D)、ポリオール(A1)、有機酸(C)を、イソシアネート基のモル数が水酸基のモル数よりも過剰となる条件で、必要に応じて希釈溶剤中で反応させ、中和前のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)を製造する。このとき公知のウレタン化触媒を用いてもよい。反応温度は0~100℃が好ましく、特に好ましくは20~90℃である。
なお、上述の各変形例の場合、「ポリオール(A1)」は、「ポリオール(A2)、多官能ポリオール(B2)」と読み替えるものとする。
<鎖延長剤(G)>
鎖延長剤(G)は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)と反応してポリウレタン樹脂を形成する化合物である。鎖延長剤としては、例えば、一級アミノ基(-NH)、二級アミノ基(-NH-)、またはヒドロキシ基(-OH)等のイソシアネート基と反応し得る官能基を有する化合物、または、水(HO)が挙げられる。
鎖延長剤(G)は、一級アミノ基または二級アミノ基を1個以上有するアミン化合物および水からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
鎖延長剤(G)としてのアミン化合物は、一級アミノ基および二級アミノ基からなる群より選択されるアミノ基を2個以上有するアミン化合物であってよく、一級アミノ基および二級アミノ基からなる群より選択されるアミノ基を1個と、水酸基(-OH)を1個以上有する化合物であってもよい。
アミン化合物は、脂肪族ジアミンおよび脂環族ジアミンからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。アミン化合物は、例えば、式(g1):HN-R-NHで表される化合物であってよい。式(g1)において、Rは、脂肪族炭化水素基、または脂環式炭化水素基を示す。
アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン、N-アミノエチル-N-エタノールアミン、モノエタノールアミン等、およびこれらの任意の2種以上の組み合わせが挙げられる。
鎖延長反応の際には、硬化触媒(重合触媒)が必要に応じて使用されてもよい。硬化触媒としては、例えば、ジオクチルチンジラウレートやナフテン酸亜鉛、ビスマス化合物等の金属系触媒、あるいはトリエチレンジアミンやN-メチルモルホリン等のアミン系触媒等の通常の硬化触媒が挙げられる。硬化触媒を使用することで、反応速度を速くし反応温度を低くすることができる。
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)が有するイソシアネート基に対する、鎖伸長剤(G)が有する活性水素基(アミノ基および水酸基)の当量比(活性水素基/イソシアネート基)が、例えば、0~1.3であることが好ましく、0.05~1.1であることがより好ましく、0.1~0.9であることがさらに好ましい。この比が上記範囲であると、100%モジュラスと耐熱性に優れるウレタン樹脂が形成されやすい。
<ポリウレタン樹脂組成物の製造方法>
ポリウレタン樹脂組成物は、例えば、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)を、中和剤(F)により中和し、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の中和物を得る工程と、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の中和物を水により乳化させ、鎖延長剤(G)と反応させることにより、ポリウレタン樹脂組成物を得る工程とを含む方法によって製造することができる。
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)と鎖延長剤(G)とによる鎖延長反応を行う方法として、あらかじめ水に鎖延長剤(G)を溶解させておき、この鎖延長剤(G)の水溶液に、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)を仕込んで、乳化および鎖延長反応を行う方法、または、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)を水に乳化させた後、鎖延長剤(G)、または、鎖延長剤(G)の水溶液を仕込んで鎖延長反応を行う方法等が挙げられる。
(鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量(鎖延長剤(G)由来のウレア基濃度))
鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量の下限は、ポリウレタン樹脂組成物中、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の質量と鎖延長剤(G)の質量との総和に対して、例えば、0.05mmol/g以上、0.07mmol/g以上、0.10mmol/g以上、0.13mmol/g以上、0.15mmol/g以上、0.20mmol/g以上、または0.25mmol/g以上であってよい。鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量の上限は、ポリウレタン樹脂組成物中、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の質量と鎖延長剤(G)の質量との総和に対して、例えば、1.00mmol/g以下、0.95mmol/g以下、0.90mmol/g以下、0.80mmol/g以下、0.75mmol/g以下、0.70mmol/g以下、0.60mmol/g以下、0.55mmol/g以下、0.50mmol/g以下、または0.45mmol/g以下であってよい。鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量は、ポリウレタン樹脂組成物中、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の質量と、鎖延長剤(G)の質量と、の総和に対して、例えば、0.05mmol/g以上1.00mmol/g以下、0.07mmol/g以上0.90mmol/g以下、0.10mmol/g以上0.80mmol/g以下、0.13mmol/g以上0.70mmol/g以下、又は0.15mmol/g以上0.60mmol/g以下であってよい。鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量が上記範囲であると、ポリウレタンフィルムとして使用された場合に、特に100%モジュラスと耐熱性がともに良好なポリウレタンフィルムが得られやすい。また、鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量が1.00mmol/g以下であると、特に100%モジュラスに優れるポリウレタンフィルムが得られやすい。
鎖延長剤(G)が一級または二級アミノ基を1個以上有するアミン化合物、および水以外のものを含まない場合(すなわち、鎖延長剤が、一級または二級アミノ基を1個以上有するアミン化合物及び水のみを含む場合)、鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量は、アミン化合物由来のウレア基の含有量と、水由来のウレア基の含有量との総和と一致する。
(アミン化合物由来のウレア基の含有量(アミン化合物由来のウレア基濃度))
鎖延長剤(G)が、1個以上の一級もしくは二級アミノ基を有するアミン化合物を含んでいてもよい。
このとき、ポリウレタン樹脂組成物中、アミン化合物由来のウレア基の含有量の下限は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の質量と鎖延長剤(G)の質量との総和に対して、例えば、0mmol/g超、0.01mmol/g以上、0.02mmol/g以上、0.03mmol/g以上、0.05mmol/g以上、0.10mmol/g以上、0.13mmol/g以上、0.15mmol/g以上、0.20mmol/g以上、または0.25mmol/g以上であってよい。アミン化合物由来のウレア基の含有量の上限は、ポリウレタン樹脂組成物中、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の質量と鎖延長剤(G)の質量との総和に対して、例えば、0.95mmol/g以下、0.90mmol/g以下、0.80mmol/g以下、0.70mmol/g以下、0.60mmol/g以下、0.60mmol/g以下、0.50mmol/g以下、0.48mmol/g以下、0.45mmol/g以下、0.40mmol/g以下、0.34mmol/g以下、0.30mmol/g以下、0.25mmol/g以下、または0.23mmol/g以下であってよい。アミン化合物由来のウレア基の含有量は、ポリウレタン樹脂組成物中、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の質量と、鎖延長剤(G)の質量と、の総和に対して、例えば、0mmol/g超0.95mmol/g以下、0.01mmol/g以上0.9mmol/g以下、0.02mmol/g以上0.80mmol/g以下、0.05mmol/g以上0.70mmol/g以下、0.10mmol/g以上0.60mmol/g以下、0.13mmol/g以上0.50mmol/g以下、0.15mmol/g以上0.40mmol/g以下、0.20mmol/g以上0.34mmol/g以下、又は0.25mmol/g以上0.30mmol/g以下であってよい。アミン化合物由来のウレア基の含有量が上記範囲であると、ポリウレタンフィルムとして使用された場合に、特に100%モジュラスと耐熱性がともに良好なポリウレタンフィルムが得られやすい。また、アミン化合物由来のウレア基の含有量が0.95mmol/g以下であると、特に100%モジュラスに優れるポリウレタンフィルムが得られやすい。
(水由来のウレア基の含有量(水由来のウレア基濃度))
鎖延長剤(G)が、水を含んでいてもよい。
水由来のウレア基の含有量の下限は、ポリウレタン樹脂組成物中、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の質量と鎖延長剤(G)の質量との総和に対して、例えば、0mmol/g超、0.01mmol/g以上、0.02mmol/g以上、0.03mmol/g以上、0.05mmol/g以上、0.07mmol/g以上、0.10mmol/g以上、0.13mmol/g以上、0.15mmol/g以上、0.20mmol/g以上、または0.25mmol/g以上であってよい。水由来のウレア基の含有量の上限は、ポリウレタン樹脂組成物中、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の質量と鎖延長剤(G)の質量との総和に対して、例えば、0.95mmol/g以下、0.90mmol/g以下、0.80mmol/g以下、0.70mmol/g以下、0.60mmol/g以下、0.60mmol/g以下、0.50mmol/g以下、0.40mmol/g以下、0.30mmol/g以下、または0.25mmol/g以下であってよい。水由来のウレア基の含有量は、ポリウレタン樹脂組成物中、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の質量と、鎖延長剤(G)の質量と、の総和に対して、例えば、0mmol/g超0.95mmol/g以下、0.01mmol/g以上0.9mmol/g以下、0.02mmol/g以上0.80mmol/g以下、0.05mmol/g以上0.70mmol/g以下、0.10mmol/g以上0.60mmol/g以下、0.13mmol/g以上0.50mmol/g以下、0.15mmol/g以上0.40mmol/g以下、0.20mmol/g以上0.34mmol/g以下、又は0.25mmol/g以上0.30mmol/g以下であってよい。水由来のウレア基の含有量が上記範囲であると、ポリウレタンフィルムとして使用された場合に、特に100%モジュラスと耐熱性がともに良好なポリウレタンフィルムが得られやすい。また、水由来のウレア基の含有量が0.95mmol/g以下であると、特に100%モジュラスに優れるポリウレタンフィルムが得られやすい。
(鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量に対するアミン化合物由来のウレア基の含有量(アミン化合物由来のウレア基比率))
鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量に対するアミン化合物由来のウレア基の含有量の下限は、ポリウレタン樹脂組成物中、例えば、0mol%超、1mol%以上、3mol%以上、5mol%以上、10mol%以上、15mol%以上、20mol%以上、25mol%以上、または30mol%以上であってよい。アミン化合物由来のウレア基比率の上限は、例えば、99mol%以下、97mol%以下、95mol%以下、90mol%以下、85mol%以下、80mol%以下、75mol%以下、70mol%以下、または65mol%以下であってよい。アミン化合物由来のウレア基比率は、例えば、0mol%超99mol%以下、5mol%以上95mol%以下、10mol%以上90mol%以下、15mol%以上80mol%以下、又は20mol%以上70mol%以下であってよい。アミン化合物由来のウレア基比率が上記範囲であると、ポリウレタンフィルムとして使用された場合に、特に100%モジュラスと耐熱性がともに良好なポリウレタンフィルムが得られやすい。また、アミン化合物由来のウレア基比率が99mol%以下であると、特に100%モジュラスにさらに優れるポリウレタンフィルムが得られやすい。
<硬化剤(X)>
ポリウレタン樹脂組成物は、硬化剤(X)をさらに含んでいてもよい。
硬化剤(X)は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)と、鎖延長剤(G)との反応生成物を硬化させて、ポリウレタン樹脂を形成する。ポリウレタン樹脂組成物が硬化剤(X)を含む場合、該硬化剤(X)は、二液システムの一液である。硬化剤(X)としては、具体的には、有機ジイソシアネート類のウレタン変性体、ウレア変性体、アロファネート変性体、ビュレット変性体、ウレトジオン変性体、イソシアヌレート変性体などが挙げられる。これらの中でも、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)やイソホロンジイソシアネート(IPDI)のトリマー体、アダクト体が好ましい。
<他の成分>
より物性を高め、また、各種物性を付加するために、ポリウレタン樹脂組成物は、各種添加剤を含んでいてもよい。各種添加剤としては、成膜剤、粘度調節剤、ゲル化防止剤、難燃剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、充填剤、内部離型剤、補強材、艶消し剤、導電性付与剤、帯電制御剤、帯電防止剤、滑剤、染料、顔料その他の加工助剤等が挙げ得られる。
ポリウレタン樹脂組成物は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)が中和剤(F)により中和されてなるエマルジョンであってもよい。
このようにして得られたポリウレタン樹脂組成物は、水性ポリウレタン樹脂エマルジョンとして好ましく用いられる。そして、この水性ポリウレタン樹脂エマルジョンを硬化することにより、強靭で、100%モジュラスが低く、高い軟化温度を有する塗膜やフィルム等の成形体を得ることができ、人工皮革、合成皮革等の皮革用途や、皮革用表面処理剤として好適に使用することができる。100%モジュラスは合成皮革に触れたときのしっとりとした、弾力性のある高級な感覚を定量する指標の一つであり、数値が一定の数値範囲内であると、上記特性が良好なポリウレタン樹脂となる。
〔人工皮革または合成皮革〕
人工皮革または合成皮革の一実施形態は、ポリウレタン樹脂組成物の硬化物と、基材とを含む。一実施形態に係る人工皮革または合成皮革は、例えば、基材上に、ポリウレタン樹脂組成物の硬化物を形成することを含む方法によって製造することができる。また、一実施形態に係る人工皮革または合成皮革は、基材にポリウレタン樹脂組成物を含侵させ、当該ポリウレタン樹脂組成物を硬化させることを含む方法によって製造することができる。人工皮革において、基材は、例えば、編物又は織物等の基布であってよい。合成皮革において、基材は、不織布であってよい。
〔皮革用表面処理剤〕
皮革用表面処理剤は、皮革又はその材料の表面を処理するために用いられる剤である。皮革用表面処理剤の適用対象の皮革は、例えば、合成皮革、人工皮革、又は天然皮革であってよい。
<各組成の計算方法>
(鎖延長剤(G)由来のウレア基濃度)
イソシアネート基と鎖延長剤(G)との反応速度は、イソシアネート基とポリオール成分のヒドロキシ基との反応速度と比較して、非常に高いことが知られている。従って、鎖延長剤(G)由来のウレア基濃度はイソシアネート基末端プレポリマー(E)の未反応のイソシアネート基の含有量と一致する。以上より、鎖延長剤(G)由来のウレア基濃度は、下記式で定義する。
鎖延長剤(G)由来のウレア基濃度(mmol/g)=イソシアネート基末端プレポリマー(E)の未反応のイソシアネート基の含有量(mmol/g)×(ポリオール(A1)の仕込み量(g)+ジメチロール脂肪酸(C)の仕込み量(g)+ポリイソシアネート(D)の仕込み量(g)+イソシアネート基測定前の有機溶剤の仕込み量(g))/(ポリオール(A1)の仕込み量(g)+ジメチロール脂肪酸(C)の仕込み量(g)+ポリイソシアネート(D)の仕込み量(g)+鎖延長剤(G)の仕込み量(g))
なお、上述の各変形例の場合、「ポリオール(A1)の仕込み量(g)」は、「ポリオール(A2)の仕込み量(g)+多官能ポリオール(B2)の仕込み量(g)」と読み替えるものとする。
(アミン化合物由来のウレア基濃度)
アミン化合物由来のウレア基濃度は、アミン化合物の仕込み量から算出されるアミン量より求めた。従って、アミン化合物由来のウレア基濃度は、下記式で定義する。
アミン化合物由来のウレア基濃度(mmol/g)=アミン化合物の仕込み量(g)/アミン化合物の分子量(g/mol)×一分子当たりのアミン数/(ポリオール(A1)の仕込み量(g)+ジメチロール脂肪酸(C)の仕込み量(g)+ポリイソシアネート(D)の仕込み量(g)+鎖延長剤(G)の仕込み量(g))×1000
なお、上述の各変形例の場合、「ポリオール(A1)の仕込み量(g)」は、「ポリオール(A2)の仕込み量(g)+多官能ポリオール(B2)の仕込み量(g)」と読み替えるものとする。
本開示の一態様は水を溶媒とするため、アミン化合物由来のウレア基と水由来のウレア基が同時に生成する。アミン化合物由来のウレア基は水由来のウレア基と比べて反応速度が非常に高く、アミン化合物由来のアミンは全てウレア基として存在するといえる。
(水由来のウレア基濃度)
水由来のウレア基濃度は、鎖延長剤(G)由来のウレア基濃度を、アミン化合物由来のウレア基濃度で減ずることにより算出した。従って、水由来のウレア基濃度は、下記式で定義する。
水由来のウレア基濃度(mmol/g)=鎖延長剤(G)由来のウレア基濃度(mmol/g)-アミン化合物由来のウレア基濃度(mmol/g)
(鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量に対するアミン化合物由来のウレア基の含有量)
鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量に対するアミン化合物由来のウレア基の含有量は、アミン化合物由来のウレア基濃度を、鎖延長剤(G)由来のウレア基濃度で除することにより算出した。従って、鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量に対するアミン化合物由来のウレア基の含有量は、下記式で定義する。
鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量に対するアミン化合物由来のウレア基の含有量(mol%)=アミン化合物由来のウレア基濃度(mmol/g)/鎖延長剤(G)由来のウレア基濃度(mmol/g)×100
鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量、アミン化合物由来のウレア基の含有量、水由来のウレア基の含有量及び鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量に対するアミン化合物由来のウレア基の含有量(アミン化合物由来のウレア基比率)は、H-NMR測定を用いて算出することもできる。
(ポリオール(A1)の平均水酸基価/ポリオール(A2)と多官能ポリオール(B2)との平均水酸基価)
平均水酸基価はポリオール(A1)中の各ポリオール成分を混合した際の水酸基価から算出した。従って、平均水酸基価は下記式より定義する。
ポリオール(A1)の平均水酸基価(mgKOH/g)=(ポリエステルポリオール(B1)以外のポリオールの平均水酸基価(mgKOH/g)×ポリエステルポリオール(B1)以外のポリオールの仕込み量(g)+ポリエステルポリオール(B1)の平均水酸基価(mgKOH/g)×ポリエステルポリオール(B1)の仕込み量(g))/(ポリオール(A1)の仕込み量(g))
また、上述した各変形例の場合、ポリオール(A2)と多官能ポリオール(B2)との平均水酸基価は、ポリオール(A2)と多官能ポリオール(B2)とを混合した際の水酸基価から算出した。従って、平均水酸基価は下記式より定義する。
ポリオール(A2)と多官能ポリオール(B2)との平均水酸基価(mgKOH/g)=(ポリオール(A2)の平均水酸基価(mgKOH/g)×ポリオール(A2)の仕込み量(g)+多官能ポリオール(B2)の平均水酸基価(mgKOH/g)×多官能ポリオール(B2)の仕込み量(g))/(ポリオール(A2)の仕込み量(g)+多官能ポリオール(B2)の仕込み量(g))
(架橋密度)
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)および鎖延長剤(G)に対する架橋密度の算出は、以下のとおりである。
本開示の一態様においては、
・ポリエステルポリオール(B1)、
・ポリオール(A1)中の平均水酸基官能基数が2を超えるポリオール(ただし、ポリエステルポリオール(B1)は除く)、および
・3官能以上の多価アルコール、
の各成分由来の架橋量から算出し
本開示の一態様の変形例においては、
・多官能ポリオール(B2)、
・ポリオール(A2)中の平均水酸基官能基数が2を超えるポリオール、および
・3官能以上の多価アルコール、
の各成分由来の架橋量から算出した。
従って、架橋密度は、下記式で定義する。なお、架橋を形成する成分が他にもある場合には、式中の分子の「ポリエステルポリオール(B1)」、「多官能ポリオール(B2)」、「多価アルコール」を当該他の成分に置き換えることで同様に算出できる。ただし、平均水酸基価がわかるものは、「ポリエステルポリオール(B1)」、「多官能ポリオール(B2)」、と置き換えて、官能基数がわかるものは、「多価アルコール」と置き換えることで算出することができる。
[ポリエステルポリオール(B1)の場合]
架橋密度(mmol/g)=ポリエステルポリオール(B1)の仕込み量(g)×ポリエステルポリオール(B1)の平均水酸基価(mgKOH/g)/56.11(KOHg/g)/1000/ポリエステルポリオール(B1)の官能基数×(ポリエステルポリオール(B1)の官能基数-2)/(ポリオール(A1)の仕込み量(g)+有機酸(C)(ジメチロール脂肪酸)の仕込み量(g)+ポリイソシアネート(D)の仕込み量(g)+鎖延長剤(G)の仕込み量(g))×1000
[多官能ポリオール(B2)の場合]
架橋密度(mmol/g)=多官能ポリオール(B2)の仕込み量(g)×多官能ポリオール(B2)の平均水酸基価(mgKOH/g)/56.11(KOHg/g)/1000/多官能ポリオール(B2)の官能基数×(多官能ポリオール(B2)の官能基数-2)/(ポリオール(A2)の仕込み量(g)+多官能ポリオール(B2)の仕込み量(g)+有機酸(C)(ジメチロール脂肪酸)の仕込み量(g)+ポリイソシアネート(D)の仕込み量(g)+鎖延長剤(G)の仕込み量(g))×1000
[3官能以上の多価アルコール(または、平均水酸基官能基数が2を超えるポリオール)の場合]
架橋密度(mmol/g)=多価アルコール(または、平均水酸基官能基数が2を超えるポリオール)の仕込み量(g)/多価アルコール(または、平均水酸基官能基数が2を超えるポリオール)の分子量(g/mol)×(多価アルコールの官能基数(または、平均水酸基官能基数が2を超えるポリオール)-2)/(ポリオール(A1)の仕込み量(g)+有機酸(C)(ジメチロール脂肪酸)の仕込み量(g)+ポリイソシアネート(D)の仕込み量(g)+鎖延長剤(G)の仕込み量(g))×1000
なお、上述の各変形例の場合、「ポリオール(A1)の仕込み量(g)」は、「ポリオール(A2)の仕込み量(g)+多官能ポリオール(B2)の仕込み量(g)」と読み替えるものとする。
(ポリエステルポリオール(B1)含有量、多官能ポリオール(B2)含量)
ポリウレタン樹脂中のポリエステルポリオール(B1)の含有量は、ポリエステルポリオール(B1)と、ポリエステルポリオール(B1)以外のポリオール(A1)とを混合した際の質量比から算出した。従って、ポリエステルポリオール(B1)含有量は下記式より定義する。
ポリエステルポリオール(B1)含有量(質量%)=ポリエステルポリオール(B1)の仕込み量(g)/ポリオール(A1)の仕込み量(g)×100
ポリウレタン樹脂中の多官能ポリオール(B2)の含量は、ポリオール(A2)と多官能ポリオール(B2)とを混合した際の重量比から算出した。従って、多官能ポリオール(B2)の含有量は下記式より定義する。
多官能ポリオール(B2)含有量(質量%)=多官能ポリオール(B2)の仕込み量(g)/(ポリオール(A2)の仕込み量(g)+多官能ポリオール(B2)の仕込み量(g))×100
(実施例1:水性ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造1)
撹拌機、温度計、窒素シール管、及び冷却器を装着した容量2Lの反応器(以下、反応基Aと称する)に、N-980N(東ソー社製:数平均分子量2000;水酸基価56.11mgKOH/g;1,6-ヘキサンジオール系ポリカーボネートジオール)77.4g、1,6-ヘキサンジオール3.2g、プラクセル320(ポリカプロラクトンポリオール、ダイセル製、数平均分子量2000g/mol、水酸基価84mgKOH/g、ワックス状3官能タイプ,トリオール)を26.9g、アセトン75g、2,2-ジメチロールプロパン酸5.3g、イソホロンジイソシアネートを31.2g仕込み、60℃に加温し、同温度で30分撹拌した後、U-600を0.12g加え、5時間反応させた。ウレタン化終了時の未反応のイソシアネート基含有量は、上記仕込み量に対して、0.253mmol/gであった。次いで、トリエチルアミンを4.0g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を320g仕込み、乳化させた。乳化後、KL-245を0.18g加え、30分以内にアミン水(水30g、イソホロンジアミン2.0gを配合)を仕込み、アミン鎖延長反応を40℃にて12時間行った。FT-IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、アセトン75g、水50gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-1)を得た。
(実施例2:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造2)
反応基Aに、N-980N 51.4g、1,6-ヘキサンジオール2.4g、プラクセル320を53.7g、アセトン75g、2,2-ジメチロールプロパン酸5.3g、イソホロンジイソシアネートを31.2g仕込み、60℃に加温し、同温度で30分撹拌した後、U-600を0.12g加え、5時間反応させた。ウレタン化終了時の未反応のイソシアネート基含有量は、上記仕込み量に対して、0.238mmol/gであった。次いで、乳化および乳化後の操作は実施例1と同様にして水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-2)を得た。
(実施例3:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造3)
反応基Aに、N-980N 25.3g、1,6-ヘキサンジオール1.5g、プラクセル320を80.6g、アセトン75g、2,2-ジメチロールプロパン酸5.3g、イソホロンジイソシアネートを31.2g仕込み、60℃に加温し、同温度で30分撹拌した後、U-600を0.12g加え、5時間反応させた。ウレタン化終了時の未反応のイソシアネート基含有量は、上記仕込み量に対して、0.262mmol/gであった。次いで、乳化および乳化後の操作は実施例1と同様にして水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-3)を得た。
(実施例4:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造4)
反応基Aに、N-980N 49.2g、1,6-ヘキサンジオール2.3g、プラクセル320を51.5g、アセトン75g、2,2-ジメチロールプロパン酸5.3g、イソホロンジイソシアネートを33.6g仕込み、60℃に加温し、同温度で30分撹拌した後、U-600を0.12g加え、5時間反応させた。ウレタン化終了時の未反応のイソシアネート基含有量は、上記仕込み量に対して、0.297mmol/gであった。次いで、トリエチルアミンを4.0g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を320g仕込み、乳化させた。乳化後、KL-245を0.18g加え、30分以内にアミン水(水30g、イソホロンジアミン4.0gを配合)を仕込み、アミン鎖延長反応を40℃にて12時間行った。FT-IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、アセトン75g、水50gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-4)を得た。
(実施例5:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造5)
反応基Aに、N-980N 53.3g、プラクセル320を53.3g、アセトン75g、2,2-ジメチロールプロパン酸5.3g、イソホロンジイソシアネートを30.1g仕込み、60℃に加温し、同温度で30分撹拌した後、U-600を0.12g加え、5時間反応させた。ウレタン化終了時の未反応のイソシアネート基含有量は、上記仕込み量に対して、0.283mmol/gであった。次いで、乳化および乳化後の操作は実施例4と同様にして水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-5)を得た。
(実施例6:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造6)
反応基Aに、N-980N 78.8g、1,6-ヘキサンジオール4.4g、プラクセル312(ポリカプロラクトンポリオール、ダイセル製、数平均分子量1250g/mol、水酸基価134.7mgKOH/g、ワックス状3官能タイプ,トリオール)を20.8g、アセトン75g、2,2-ジメチロールプロパン酸5.3g、イソホロンジイソシアネートを34.7g仕込み、60℃に加温し、同温度で30分撹拌した後、U-600を0.12g加え、5時間反応させた。ウレタン化終了時の未反応のイソシアネート基含有量は、上記仕込み量に対して、0.242mmol/gであった。次いで、乳化および乳化後の操作は実施例1と同様にして水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-6)を得た。
(実施例7:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造7)
反応基Aに、N-980N 49.6g、1,6-ヘキサンジオール2.4g、プラクセル320を52.0g、アセトン75g、2,2-ジメチロールプロパン酸5.3g、イソホロンジイソシアネートを35.4g仕込み、60℃に加温し、同温度で30分撹拌した後、U-600を0.12g加え、5時間反応させた。ウレタン化終了時の未反応のイソシアネート基含有量は、上記仕込み量に対して、0.332mmol/gであった。次いで、トリエチルアミンを4.0g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を320g仕込み、乳化させた。乳化後、KL-245を0.18g加え、30分以内にアミン水(水30g、イソホロンジアミン0.6gを配合)を仕込み、アミン鎖延長反応を40℃にて12時間行った。FT-IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、アセトン75g、水50gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-7)を得た。
(実施例8:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造8)
反応基Aに、N-980N 48.9g、1,6-ヘキサンジオール2.4g、プラクセル320を51.2g、アセトン75g、2,2-ジメチロールプロパン酸5.3g、イソホロンジイソシアネートを36.8g仕込み、60℃に加温し、同温度で30分撹拌した後、U-600を0.12g加え、5時間反応させた。ウレタン化終了時の未反応のイソシアネート基含有量は、上記仕込み量に対して、0.375mmol/gであった。次いで、トリエチルアミンを4.0g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を320g仕込み、乳化させた。乳化後、KL-245を0.18g加え、30分以内にアミン水(水30g、イソホロンジアミン0.7gを配合)を仕込み、アミン鎖延長反応を40℃にて12時間行った。FT-IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、アセトン75g、水50gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-8)を得た。
(実施例9:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造9)
反応器Bに、実施例2と同様にしてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得た。ウレタン化終了時の未反応のイソシアネート基含有量は、上記仕込み量に対して、0.250mmol/gであった。次いで、トリエチルアミンを4.0g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を350g仕込み、乳化させた。乳化後、KL-245を0.18g加え、アミン鎖延長反応を40℃にて12時間行った。FT-IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、アセトン75g、水50gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-9)を得た。
(実施例10:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造10)
反応器Bに、実施例2と同様にしてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得た。ウレタン化終了時の未反応のイソシアネート基含有量は、上記仕込み量に対して、0.218mmol/gであった。次いで、トリエチルアミンを4.0g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を320g仕込み、乳化させた。乳化後、KL-245を0.18g加え、30分以内にアミン水(水30g、イソホロンジアミン0.8gを配合)を仕込み、アミン鎖延長反応を40℃にて12時間行った。FT-IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、アセトン75g、水50gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-10)を得た。
(実施例11:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造11)
反応器Bに、実施例2と同様にしてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得た。ウレタン化終了時の未反応のイソシアネート基含有量は、上記仕込み量に対して、0.220mmol/gであった。次いで、トリエチルアミンを4.0g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を320g仕込み、乳化させた。乳化後、KL-245を0.18g加え、30分以内にアミン水(水30g、イソホロンジアミン1.6gを配合)を仕込み、アミン鎖延長反応を40℃にて12時間行った。FT-IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、アセトン75g、水50gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-11)を得た。
(実施例12:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造12)
反応器Bに、実施例2と同様にしてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得た。ウレタン化終了時の未反応のイソシアネート基含有量は、上記仕込み量に対して、0.224mmol/gであった。次いで、トリエチルアミンを4.0g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を320g仕込み、乳化させた。乳化後、KL-245を0.18g加え、30分以内にアミン水(水30g、イソホロンジアミン3.3gを配合)を仕込み、アミン鎖延長反応を40℃にて12時間行った。FT-IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、アセトン75g、水50gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-12)を得た。
(実施例13:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造13)
反応器Bに、実施例2と同様にしてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得た。ウレタン化終了時の未反応のイソシアネート基含有量は、上記仕込み量に対して、0.236mmol/gであった。次いで、トリエチルアミンを4.0g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を320g仕込み、乳化させた。乳化後、KL-245を0.18g加え、30分以内にアミン水(水30g、イソホロンジアミン4.4gを配合)を仕込み、アミン鎖延長反応を40℃にて12時間行った。FT-IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、アセトン75g、水50gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-13)を得た。
(比較例1:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造14)
反応基Aに、N-980N 206.9g、1,6-ヘキサンジオール8.2g、アセトン150g、2,2-ジメチロールプロパン酸10.6g、イソホロンジイソシアネートを62.3g仕込み、60℃に加温し、同温度で30分撹拌した後、U-600を0.24g加え、5時間反応させた。ウレタン化終了時の未反応のイソシアネート基含有量は、上記仕込み量に対して、0.197mmol/gであった。次いで、トリエチルアミンを8.0g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を640g仕込み、乳化させた。乳化後、KL-245を0.36g加え、30分以内にアミン水(水60g、イソホロンジアミン4.0gを配合)を仕込み、アミン鎖延長反応を40℃にて12時間行った。FT-IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、アセトン150g、水100gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-14)を得た。
(比較例2:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造15)
反応基Aに、N-980N 202.5g、1,6-ヘキサンジオール8.0g、アセトン150g、2,2-ジメチロールプロパン酸10.6g、イソホロンジイソシアネートを64.8g仕込み、60℃に加温し、同温度で30分撹拌した後、U-600を0.24g加え、5時間反応させた。ウレタン化終了時の未反応のイソシアネート基含有量は、上記仕込み量に対して、0.340mmol/gであった。次いで、トリエチルアミンを8.0g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を640g仕込み、乳化させた。乳化後、KL-245を0.36g加え、30分以内にアミン水(水60g、イソホロンジアミン6.0gを配合)を仕込み、アミン鎖延長反応を40℃にて12時間行った。FT-IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、アセトン150g、水100gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-15)を得た。
(比較例3:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造16)
反応基Aに、N-980N 198.2g、1,6-ヘキサンジオール7.8g、アセトン150g、2,2-ジメチロールプロパン酸10.6g、イソホロンジイソシアネートを67.2g仕込み、60℃に加温し、同温度で30分撹拌した後、U-600を0.24g加え、5時間反応させた。ウレタン化終了時の未反応のイソシアネート基含有量は、上記仕込み量に対して、0.263mmol/gであった。次いで、トリエチルアミンを8.0g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を640g仕込み、乳化させた。乳化後、KL-245を0.36g加え、30分以内にアミン水(水60g、イソホロンジアミン8.0gを配合)を仕込み、アミン鎖延長反応を40℃にて12時間行った。FT-IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、アセトン150g、水100gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-16)を得た。
(比較例4:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造17)
反応基Aに、N-980N 193.9g、1,6-ヘキサンジオール7.6g、アセトン150g、2,2-ジメチロールプロパン酸10.6g、イソホロンジイソシアネートを69.7g仕込み、60℃に加温し、同温度で30分撹拌した後、U-600を0.24g加え、5時間反応させた。ウレタン化終了時の未反応のイソシアネート基含有量は、上記仕込み量に対して、0.275mmol/gであった。次いで、トリエチルアミンを8.0g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を640g仕込み、乳化させた。乳化後、KL-245を0.36g加え、30分以内にアミン水(水60g、イソホロンジアミン9.9gを配合)を仕込み、アミン鎖延長反応を40℃にて12時間行った。FT-IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、アセトン150g、水100gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-17)を得た。
(比較例5:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造18)
反応基Aに、N-980N 202.3g、1,6-ヘキサンジオール7.1g、トリメチロールプロパン4.3g、アセトン150g、2,2-ジメチロールプロパン酸10.9g、イソホロンジイソシアネートを71.2g仕込み、60℃に加温し、同温度で30分撹拌した後、U-600を0.24g加え、5時間反応させた。ウレタン化終了時の未反応のイソシアネート基含有量は、上記仕込み量に対して、0.328mmol/gであった。次いで、トリエチルアミンを8.0g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を640g仕込み、乳化させた。乳化後、KL-245を0.36g加え、30分以内にアミン水(水60g、イソホロンジアミン4.1gを配合)を仕込み、アミン鎖延長反応を40℃にて12時間行った。FT-IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、アセトン150g、水100gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-18)を得た。
(比較例6:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造19)
反応基Aに、N-980N 203.7g、1,6-ヘキサンジオール1.4g、トリメチロールプロパン8.6g、アセトン150g、2,2-ジメチロールプロパン酸10.9g、イソホロンジイソシアネートを71.2g仕込み、60℃に加温し、同温度で30分撹拌した後、U-600を0.24g加え、5時間反応させた。ウレタン化終了時の未反応のイソシアネート基含有量は、上記仕込み量に対して、0.305mmol/gであった。次いで、乳化および乳化後の操作は比較例5と同様にして水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-19)を得た。
(比較例7:ポリウレタン樹脂エマルジョンの製造20)
反応基Aに、N-980N 47.4g、1,6-ヘキサンジオール2.3g、プラクセル320を49.7g、アセトン75g、2,2-ジメチロールプロパン酸5.3g、イソホロンジイソシアネートを39.5g仕込み、60℃に加温し、同温度で30分撹拌した後、U-600を0.12g加え、5時間反応させた。ウレタン化終了時の未反応のイソシアネート基含有量は、上記仕込み量に対して、0.540mmol/gであった。次いで、トリエチルアミンを4.0g仕込んでカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水を320g仕込み、乳化させた。乳化後、KL-245を0.18g加え、30分以内にアミン水(水30g、イソホロンジアミン1.0gを配合)を仕込み、アミン鎖延長反応を40℃にて12時間行った。FT-IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで撹拌を停止した。その後、2Lのナスフラスコに反応溶液を移し、減圧蒸留することで、アセトン75g、水50gを除去し、水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物(PUD-20)を得た。
実施例1~13を表1-1に、比較例1~7を表1-2にまとめて示す。
なお、表1-1、表1-2においては、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(C)を「プレポリマー(C)」と略記した。
・トリメチロールプロパン:Sigma-Aldrich社製
・1,6-ヘキサンジオール:BASF-JAPAN社製
・2,2-ジメチロールプロピオン酸:東京化成社製
・イソホロンジイソシアネート:エボニック社製
・アセトン:KHネオケム社製
・トリエチルアミン:キシダ化学社製
・イソホロンジアミン:東京化成社製
・モノエタノールアミン:富士フイルム和光純薬社製
・ネオスタンU-600:日東化成株式会社製
・KL-245:Evonik社製
・水:市水。
<引張特性試験用フィルム作製方法>
実施例1~13および比較例1~7で得られたPUD-1~PUD-20水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物100部に対してジプロピレングリコールジメチルエーテルを14.0部添加し、混合して主剤を得た。その主剤を乾燥膜厚が約100μmとなるように塗布し、25℃で2日間、80℃2時間、乾燥させることにより硬化物を作製した。この硬化物を用いて、物性の評価を行った。結果を表2-1、表2-2に示す。
[評価試験1]
[引張特性]
得られた硬化物を、JIS K6251に準拠して引張特性を測定した。(100%モジュラス、破断時強度、破断時伸び)
・試験装置:テンシロンUTA-500(エー・アンド・デー社製)
・測定条件:25℃×50%RH
・ヘッドスピード:200mm/分
・ダンベル4号。
[軟化温度]
得られたフィルムからダンベルを用いて試験片を得た後、試験片に2cmの標線を記し、標線中央部の厚みを測定した。試験片の一方のつかみ部に所定重量のおもりを取り付け、もう一方のつかみ部をダブルクリップで挟み込み、クリップが上側となるように乾燥機内に吊り下げた後、乾燥機内を昇温し標線間距離を観測、標線間距離が4cmとなったときの温度を軟化温度として読み取った。
・処理装置:送風定温乾燥機DRK633DA(アドバンテック社製)
・おもり重量:標線中央部厚み(μm)×0.05g
・ダンベル2号(JIS K6251準拠)
・昇温速度:5℃/分
[評価基準]
100%モジュラス、破断時強度、破断時伸び、および軟化温度の各物性値を、A、B、C及びD(A:非常に良好、B:良好、C:普通、D:不良)で評価した。さらに、総合評価はA、B及びD(A:非常に良好、B:良好、D不良)とした。
<100%モジュラス>
A:3.5MPa未満
B:3.5MPa以上4.2MPa未満
D:4.2MPa以上
<破断時強度>
A:20MPa以上
C:20MPa未満
<破断時伸び>
A:450MPa以上
C:450MPa未満
<軟化温度>
A:150℃以上
B:150℃未満90℃以上
D:90℃未満
<総合評価>
A:各物性値の評価がAのみ
B:各物性値の評価がDを含まず、少なくとも1つのBまたはCを含む
D:各物性値の評価がDを含む
Figure 2023153044000005

Claims (15)

  1. イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)と、鎖延長剤(G)と、の反応生成物と、
    中和剤(F)と、を含むポリウレタン樹脂組成物であって、
    前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)が、
    平均水酸基官能基数が2を超えるポリエステルポリオール(B1)を含むポリオール(A1)と、
    有機酸(C)と、
    ポリイソシアネート(D)と、の反応生成物を含み、
    前記ポリウレタン樹脂組成物中、前記鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量が、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の質量と、前記鎖延長剤(G)の質量と、の総和に対して、0.05~1.00mmol/gである、ポリウレタン樹脂組成物。
  2. イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)と、鎖延長剤(G)と、の反応生成物と、
    中和剤(F)と、を含むポリウレタン樹脂組成物であって、
    前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)が、
    ポリオール(A2)と、
    該ポリオール(A2)とは異なる多官能ポリオール(B2)と、
    有機酸(C)と、
    ポリイソシアネート(D)と、の反応生成物を含み、
    前記多官能ポリオール(B2)は、平均水酸基官能基数が2を超えるポリエステルポリオールであり、
    前記ポリウレタン樹脂組成物中、前記鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量が、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の質量と、前記鎖延長剤(G)の質量と、の総和に対して、0.05~1.00mmol/gである、ポリウレタン樹脂組成物。
  3. 前記鎖延長剤(G)が、
    1個以上の一級もしくは二級アミノ基を有するアミン化合物、および、
    水、からなる群より選択される1種以上である、請求項1または2に記載のポリウレタン樹脂組成物。
  4. 前記鎖延長剤(G)が、1個以上の一級もしくは二級アミノ基を有するアミン化合物を含み、
    前記ポリウレタン樹脂組成物中、前記アミン化合物由来のウレア基の含有量が、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の質量と、前記鎖延長剤(G)の質量と、の総和に対して0mmol/g超0.95mmol/g以下である、請求項3に記載のポリウレタン樹脂組成物。
  5. 前記鎖延長剤(G)が、1個以上の一級もしくは二級アミノ基を有するアミン化合物を含み、
    前記ポリウレタン樹脂組成物中、前記アミン化合物由来のウレア基の含有量が、前記鎖延長剤(G)由来のウレア基の含有量に対して、0mol%超99mol%以下である、請求項3に記載のポリウレタン樹脂組成物。
  6. 前記鎖延長剤(G)が、水を含み、
    前記ポリウレタン樹脂組成物中、前記水由来のウレア基の含有量が、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)の質量と、前記鎖延長剤(G)の質量と、の総和に対して、0mmol/g超1.00mmol/g以下である、請求項3に記載のポリウレタン樹脂組成物。
  7. 硬化剤(X)をさらに含む、請求項1または2のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
  8. 前記ポリオール(A1)、または前記ポリオール(A2)が有する水酸基と、前記多官能ポリオール(B2)が有する水酸基と、の平均水酸基価が、30~150mgKOH/gである、請求項1または2に記載のポリウレタン樹脂組成物。
  9. 前記ポリエーテルポリオール(B1)の含有量が、前記ポリオール(A1)の含有量に対して、5~99質量%である、または
    前記多官能ポリオール(B2)の含有量が、前記ポリオール(A2)の含有量と前記多官能ポリオール(B2)の含有量との総和に対して、5~99質量%である、請求項1または2に記載のポリウレタン樹脂組成物。
  10. 前記ポリエステルポリオール(B1)、または多官能ポリオール(B2)の平均水酸基官能基数が2.1~3.5であり、
    前記ポリエステルポリオール(B1)、または多官能ポリオール(B2)の水酸基価が、40~500mgKOH/gであり、
    前記ポリエステルポリオール(B1)、または多官能ポリオール(B2)の数平均分子量が、400~4,000g/molである、請求項1または2に記載のポリウレタン樹脂組成物。
  11. 前記有機酸(C)が、ジメチロール脂肪酸である、請求項1または2に記載のポリウレタン樹脂組成物。
  12. 前記中和剤(F)が、塩基性中和剤である、請求項1または2に記載のポリウレタン樹脂組成物。
  13. 前記ポリオール(A1)が、ジオール(A-2)及び/又は3官能以上の多価アルコール(A-3)を含む、または、
    前記ポリオール(A2)が、ジオール(A-2)及び/又は3官能以上の多価アルコール(A-3)を含む、請求項1または2に記載のポリウレタン樹脂組成物。
  14. 請求項1または2に記載のポリウレタン樹脂組成物の硬化物を含む、人工皮革、または合成皮革。
  15. 請求項1または2に記載のポリウレタン樹脂組成物の硬化物を含む、皮革用表面処理剤。
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