JP7166578B2 - 抗ウイルス剤 - Google Patents

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Description

本発明は、抗ウイルス剤等に関する。
インフルエンザ、麻疹、水痘等の多くのウイルス性疾患は、身近な物品に付着したウイルス、飛沫感染、飛沫核感染等によって伝播する。これらの疾患に対しては各種治療薬、例えばインフルエンザに対する治療薬としてタミフル等が存在するものの、副作用、耐性ウイルスの出現リスク等を考慮すると、ウイルス不活化による予防方法の開発が極めて重要である。
この予防の観点から、ウイルス消毒薬を用いて、身近な物品や身体に付着しているウイルスを不活化することが行われている。ただ、一般に、ウイルス消毒薬は組織障害作用を持ち、その使用にあたっては一定の制限がある。特に皮膚や粘膜表面への直接接触の可能性のあるような使用においては、使用法にはっきりした制限がある。
プロテオグリカンは、動物の細胞外マトリックスを構成する生体高分子の1種であり、それ故に生体に対する安全性は高いと考えられる。プロテオグリカンは、保水性が高く、また、創傷治癒作用、抗炎症作用等の多様な生理機能を有することが知られており、医薬品や実験試薬以外にも、化粧品や飲食品等の幅広い領域での利用が期待されている。また、生物組織からプロテオグリカンを抽出する際に、古くから食品保存液等として用いられてきた梅干し廃液を抽出溶媒として用いることにより、より安全性の高いプロテオグリカンを得ることが可能である(特許文献1)。
特開2016-113382号公報
本発明は、生体に対する安全性がより高い抗ウイルス成分を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意研究を行った結果、プロテオグリカン、ムコ多糖(例えば、グリコサミノグリカン等)、及びプロテオグリカンの糖鎖-ペプチド間分離物からなる群より選択される少なくとも1種がウイルス不活化効果を有することを見出した。さらに、アメフラシ及びナマコから、特にナマコから得られたプロテオグリカン含有抽出物、及び該抽出物中のプロテオグリカンの糖鎖-ペプチド間分離物は、より高いウイルス不活化効果を有することを見出した。本発明者はこれらの知見に基づいてさらに研究を行うことにより、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、下記の態様を包含する:
項1. プロテオグリカン、ムコ多糖、及びプロテオグリカンの糖鎖-ペプチド間分離物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、抗ウイルス剤。
項2. (A)生物組織のプロテオグリカン含有抽出物、及び(B)該抽出物中のプロテオグリカンの糖鎖-ペプチド間分離物からなる群より選択される少なくとも一種を含有する、項1に記載の抗ウイルス剤。
項3. 前記抽出物の抽出溶媒が梅干し廃液(梅酢)である、項2に記載の抗ウイルス剤。
項4. 前記生物組織が魚類、ナマコ、及びアメフラシからなる群より選択される少なくとも1種の組織である、項2又は3に記載の抗ウイルス剤。
項5. 前記生物組織がナマコ及びアメフラシからなる群より選択される少なくとも1種の組織である、項2~4のいずれかに記載の抗ウイルス剤。
項6. 前記生物組織がナマコ組織である、項2~5のいずれかに記載の抗ウイルス剤。
項7. ウイルス不活化用である、項1~6のいずれかに記載の抗ウイルス剤。
項8. (X)繊維、並びに(Y)該繊維に保持された、 (A1)ナマコ及びアメフラシからなる群より選択される少なくとも1種の組織のプロテオグリカン含有抽出物、及び (B1)該抽出物中のプロテオグリカンの糖鎖-ペプチド間分離物
からなる群より選択される少なくとも一種を含む、抗ウイルス用繊維。
項9. 前記繊維がさらに梅干し廃液(梅酢)のエタノール沈殿物を保持する、項8に記載の抗ウイルス用繊維。
項10. 項8又は9に記載の繊維を含有する、抗ウイルス用繊維製品。
項11. ナマコ及びアメフラシからなる群より選択される少なくとも1種の組織を材料としてプロテオグリカンを抽出することを特徴とする、プロテオグリカン及びムコ多糖の製造方法。
項12. 抽出溶媒として梅干し廃液(梅酢)を用いる、項11に記載の製造方法。
項13. 項11又は12に記載の方法によって得られ得る、プロテオグリカン及びムコ多糖。
項14. 項13に記載のプロテオグリカンの糖鎖-ペプチド間分離物。
本発明によれば、生体に対する安全性がより高い、抗ウイルス剤を提供することができる。また、本発明によれば、ナマコ及び/又はアメフラシを原料とすることにより、ウイルス不活化効果がより高いプロテオグリカン含有抽出物、及びその糖鎖-ペプチド間分離物を提供することができ、さらにこれらを用いた抗ウイルス剤、抗ウイルス用繊維、抗ウイルス用繊維製品等を提供することができる。
プロテオグリカンをセルロースアセテート膜電気泳動した結果を示す(試験例1)。HAがヒアルロン酸スタンダード溶液をスポットしたレーンを示し、ChSがコンドロイチン硫酸スタンダード溶液をスポットしたレーンを示し、ナマコが実施例2のプロテオグリカンの水溶液をスポットしたレーンを示し、アメフラシが実施例1のプロテオグリカンの水溶液をスポットしたレーンを示す。線で囲まれた領域は、バンドが存在すると認められた領域を示す。 ウイルス不活化試験1(単純ヘルペスウイルス1型;以下、HSV-1と略、実施例3)の結果を示す。縦軸は残存ウイルス感染価を示し、横軸はプロテオグリカンの濃度を示す。○は参考例1(魚類)のプロテオグリカンを用いた場合を示し、□は実施例1(アメフラシ)のプロテオグリカンを用いた場合を示し、△は実施例2(ナマコ)のプロテオグリカンを用いた場合を示す。 ウイルス不活化試験1(HSV-1、実施例3)の結果を示す。縦軸は残存ウイルス感染価を示し、横軸はプロテオグリカンの濃度を示す。○は実施例2(ナマコ)のプロテオグリカンを用いた場合を示す。 ウイルス不活化試験2(A型インフルエンザウイルスA0PR8株(H1N1)、実施例4)の結果を示す。縦軸は残存ウイルス感染価を示し、横軸はプロテオグリカンの濃度を示す。○は参考例1(魚類)のプロテオグリカンを用いた場合を示し、□は実施例1(アメフラシ)のプロテオグリカンを用いた場合を示し、△は実施例2(ナマコ)のプロテオグリカンを用いた場合を示し、■は実施例1(アメフラシ)のプロテオグリカンのβ脱離反応処理物を用いた場合を示し、▲は実施例2(ナマコ)のプロテオグリカンのβ脱離反応処理物を用いた場合を示す。
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
1.抗ウイルス剤
本発明は、一態様として、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、及びプロテオグリカンの糖鎖-ペプチド間分離物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、抗ウイルス剤(本明細書において、「本発明の抗ウイルス剤」と示すこともある。)に関する。以下に、これについて説明する。
1-1.プロテオグリカン
プロテオグリカンとしては、コアタンパク質にグリコサミノグリカンが結合してなる化合物であれば特に限定されない。プロテオグリカンとしては、例えばアグリカン、バイグリカン、バーシカン、ニューロカン、デコリン、ビグリカン、フィブロモデュリン、ルミカン、パールカン、シンデカン、セルグリシン、ブレビカン、ケラトカン、ミメカン、バーマカン、アグリン等、或いはこれらの分解物等が挙げられる。
プロテオグリカンが部分構造として有するグリコサミノグリカン鎖は、特に限定されない。該グリコサミノグリカン鎖としては、例えばコンドロイチン硫酸鎖、コンドロイチン鎖、ヘパリン、ヘパラン硫酸鎖、ケラタン硫酸鎖、デルマタン硫酸鎖等が挙げられる。また、これらのグリコサミノグリカン鎖は、分岐鎖としてフコース等の糖を含む鎖を有していてもよい。なお、この場合、分岐鎖を構成する糖残基数は1であってもよいし、2以上であってもよい。また、グリコサミノグリカン鎖を構成する糖残基(分岐鎖中のフコース残基等の糖残基も含む)は硫酸化されたものであってもよい。
プロテオグリカンの平均分子量は、特に限定されない。プロテオグリカンの平均分子量は、例えば10~3000kDa、好ましくは120~2000kDa、より好ましくは170~1400kDa、さらに好ましくは210~800kDa、よりさらに好ましくは250~500kDaである。なお、プロテオグリカンの平均分子量は、試験例2のように、クロマトグラフィーを用いて分画し、プルランスタンダード等の分子量標品の保持時間と比較することにより、測定することができる。
プロテオグリカンは、生物組織のプロテオグリカン含有抽出物であることが好ましい。該抽出物は、後述のグリコサミノグリカンを含有していてもよい。
生物組織のプロテオグリカン含有抽出物の製造方法としては、特に限定されず、例えば公知の方法に従った方法、或いは公知の方法に準じた方法を採用することができる。該製造方法の具体例としては、サケ等の魚類の軟骨からグアニジン塩酸溶液で抽出する方法(特開2001-172296号公報)、抽出溶媒として酢酸を用いる方法(特開2002-069097号公報)等が挙げられる。
生物組織のプロテオグリカン含有抽出物は、人体に対する有害性がより低く、且つ不快臭がより低減されているという観点、さらにはより効率的に抗ウイルス性を発揮できるという観点から、抽出溶媒が梅干し廃液(梅酢)である抽出物であることが好ましい。該抽出物は、(a)生物組織から梅干し廃液(梅酢)でプロテオグリカンを抽出すること(工程a)を含む製造方法によって得ることができる。以下に該製造方法について説明する。
生物組織は、プロテオグリカンを含有する生物組織である限り特に限定されない。プロテオグリカンを含有する生物組織としては、例えば軟骨、結合組織、健、角膜、心房、基底膜、脳、皮膚等があげられる。また、該生物組織の由来生物としては、特に制限されず、例えば魚類、アメフラシ、ナマコ、哺乳類等を広く挙げることができる。これらの生物の中でも、より高いウイルス不活化効果を有するプロテオグリカン含有抽出物を得ることができるという観点から、アメフラシ、ナマコ等が好ましく、ナマコがより好ましい。
魚類としては、特に限定されず、硬骨魚類、軟骨魚類等が広く挙げられる。硬骨魚類としては、例えばタラ、マグロ、サケ、マス、カツオ、ヒラメ、ブリ等が挙げられ、軟骨魚類としては、例えばサメ、エイ等が挙げられる。魚類の組織としては、魚類軟骨が好ましい。該軟骨としては、特に制限されないが、頭部軟骨、中でも鼻軟骨が好ましい。また、魚類が食品製品等へ加工される際に頭部は通常廃棄されることから、頭部軟骨の入手コストは安く、大量に安定供給され得るという利点もある。
アメフラシは、無楯類に属する生物である限り特に制限されない。アメフラシとしては、例えばウツセミガイ属生物等のウツセミガイ科生物; アメフラシ属生物、トゲアメフラシ属生物、タツナミガイ属生物、ビワガタナメクジ属生物、フウセンウミウシ属生物、ウミナメクジ属生物、スカシウミナメクジ属生物、クサモチアメフラシ属生物、クロスジアメフラシ属生物等のアメフラシ科生物; 等が挙げられ、好ましくはアメフラシ科生物が挙げられ、より好ましくはアメフラシ属生物が挙げられ、さらに好ましくはAplysia kurodaiが挙げられる。
ナマコは、ナマコ綱に属する生物である限り特に制限されない。ナマコとしては、
イカリナマコ科生物、クルマナマコ科生物、キクモンナマコ科生物等の無足目生物; 、カウディナ科生物等の隠足目生物; クロナマコ科生物、シカクナマコ科生物、ミツマタナマコ科生物等の楯手目生物; カンテンナマコ科生物、クマナマコ科生物、クラゲナマコ科生物、エボシナマコ科生物、オニナマコ科生物等の板足目生物; フラスコナマコ科生物、イガグリキンコ科生物等の指手目生物; キンコ科生物、ジイガセキンコ科生物、グミモドキ科生物、スクレロダクティラ科生物、ウロコナマコ科生物等の樹手目生物; 等が挙げられ、好ましくは楯手目生物、板足目生物等が挙げられ、より好ましくは楯手目生物が挙げられ、さらに好ましくはシカクナマコ科生物が挙げられ、よりさらに好ましくはマナマコが挙げられる。
アメフラシ及びナマコの組織を生物組織として採用する場合、アメフラシ及びナマコの体全体を用いてもよいし、プロテオグリカン含有量が低いと考えられる部位(内臓等)を除去したものを用いてもよい。また、生物組織は、余分に付着した固形脂肪がある場合はそれが除去されていることが好ましい。また、生物組織としては、抽出効率の観点からは、小片化したもの、破砕したもの等、溶媒接触面積がより広くなるように加工したものを用いることが好ましい。
生物組織は1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
梅干し廃液(梅酢)としては、特に制限されず、白梅干し廃液、赤梅干し廃液等が挙げられる。これらの中でも、プロテオグリカンへの着色を抑えるという観点からは、白梅干し廃液が好ましい。白梅干し廃液は、典型的には、梅干しの製造に際して、梅と食塩とを混合した後、上におもりを載せて数日間(1~5日間)放置することにより得られる。梅干し廃液のpHは、特に制限されないが、例えば1.0~4.0、好ましくは1.5~3.0、より好ましくは1.5~2.5であることができる。
梅干し廃液は1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
プロテオグリカンの抽出は、公知の抽出方法に従って行うことができる。例えば、生物組織と梅干し廃液とを混合した後、(好ましくは撹拌しながら)放置することにより行うことができる。
生物組織と梅干し廃液との重量比は、特に制限されないが、生物組織が梅干し廃液に浸漬する程度の重量比であることが好ましい。重量比(生物組織:梅干し廃液)は、具体的には、例えば1:1~1:50、好ましくは1:2~1:20、より好ましくは1:3~1:10であることができる。
抽出時間は、プロテオグリカンを抽出できる限り特に限定されない。抽出時間は、例えば3~72時間、好ましくは8~48時間、より好ましくは12~36時間、よりさらに好ましくは18~30時間であることができる。抽出時間の上限が上記時間であれば、抽出成分中のプロテオグリカンの割合をより高めることができる。
抽出温度は、プロテオグリカンを抽出できる限り特に限定されない。抽出温度は、例えば10~40℃、好ましくは15~30℃であることができる。
上記工程aにより生物組織のプロテオグリカン含有抽出物が得られる。このプロテオグリカン含有抽出物をそのまま「プロテオグリカン」として利用することもできるし、以下の工程を経て得られたものを「プロテオグリカン」として利用することもできる。
工程aに加えて、さらに(b)工程aで得られた抽出物から不溶物(抽出残渣)を除去すること(工程b)を行うことが好ましい。不溶物の除去方法としては特に限定されず、公知の方法、例えばろ過、遠心分離等を採用することができる。
得られるプロテオグリカンの純度をより高めるために、上記工程a又は工程bの後に、精製を行ってもよい。精製方法としては、例えばアルコール沈殿、透析、カラム(好ましくは陰イオン交換カラム)クロマトグラフィー、アフニティーカラムクロマトグラフィー、限外ろ過法、電気透析法等が挙げられる。これらの中でも、より簡便であるという観点から、アルコール沈殿が好ましい。よって、工程a及びbに加えて、さらに(c)工程b後、アルコール沈殿によりプロテオグリカンを精製すること(工程c)を行うことがが好ましい。
アルコール沈殿は、公知の方法に従って行うことができる。典型的には、工程bを経て得られたプロテオグリカン含有抽出物を、その1~5倍量(好ましくは2~4倍量)のアルコールと混合した後、一定時間放置することにより沈殿を形成させ、その後、遠心分離して得られたペレットを回収することにより行われる。
アルコールは、プロテオグリカンを沈殿させることができる限り特に限定されない。アルコールとしては、例えばエタノール、イソプロパノール等が挙げられ、これらの中でも毒性がより低いという観点からはエタノールが好ましく挙げられる。アルコールは1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
アルコールには、塩が含まれていることが好ましい。塩としては、特に限定されず、アルコール沈殿に用いられる通常の塩、例えば塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。塩は1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。アルコール中の塩の濃度は、特に限定されず、アルコール沈殿において採用される通常の塩濃度、例えば塩化ナトリウムの場合はアルコールに対する飽和濃度であることができる。
沈殿を形成させるために放置する際の温度は、プロテオグリカンを沈殿させることができる限り特に限定されない。温度は、例えば-80℃~室温程度、好ましくは0~10℃程度であることができる。
沈殿を形成させるために放置する時間は、プロテオグリカンを沈殿させることができる限り特に限定されず、温度に応じて適宜設定される。時間は、温度が0~10℃である場合であれば、例えば4~24時間、好ましくは8~16時間であることができる。
遠心力は、ペレットを形成させることができる限り特に限定されない。遠心力は、例えば700~2500gであることができる。
プロテオグリカンは、1種単独で用いることもできるし、任意の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
1-2.ムコ多糖
ムコ多糖としては、例えばコンドロイチン硫酸鎖、コンドロイチン鎖、ヘパリン、ヘパラン硫酸鎖、ケラタン硫酸鎖、デルマタン硫酸鎖、ムチン、アルギン酸等が挙げられる。これらのムコ多糖は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。分岐鎖状のムコ多糖としては、例えば分岐型コンドロイチン硫酸等が挙げられる。
ムコ多糖は、上記「1-1.プロテオグリカン」の項における「生物組織のプロテオグリカン含有抽出物」に含まれるものであってもよい。
ムコ多糖は、1種単独で用いることもできるし、任意の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明においては、ムコ多糖に加えて、さらにシアロ糖が含まれていてもよい。
1-3.プロテオグリカンの糖鎖-ペプチド間分離物
プロテオグリカンの糖鎖-ペプチド間分離物とは、プロテオグリカンにおいて糖鎖の一部又は全部とペプチドとが分離してなる物である限り特に限定されない。該分離物は、通常、プロテオグリカン由来のペプチド(糖鎖が一部残っていてもよい)とプロテオグリカン由来の糖鎖を含有する。
プロテオグリカンについては、「1.抗ウイルス剤」の項に記載の態様と同様である。
プロテオグリカンの糖鎖-ペプチド間の分離処理方法としては、特に限定されず、例えばβ脱離処理、酵素処理等が挙げられ、好ましくは酵素処理とβ脱離処理とを組み合わせた処理が挙げられる。
酵素処理は、プロテオグリカンのコアタンパク質を分解できる酵素による処理であれば特に制限されない。使用する酵素としては、例えば公知のタンパク質分解酵素、具体的にはアクチナーゼ(特にアクチナーゼE)、キモトリプシン、スブチリシン、ペプシン、カテプシン、HIVプロテアーゼ、サーモリシン、パパイン、カスパーゼ等が挙げられる。
β脱離処理は、公知の方法に従って行うことができる。例えば、プロテオグリカン及び/又はその分解物を含む試料をアルカリ処理することによって行うことができる。アルカリ処理において、規定度は例えば0.05~0.2Nであり、処理温度は例えば0~10℃であり、時間は4~24時間である。
酵素処理及びβ脱離処理を組み合わせる場合、その順序は特に制限されない。効率等の観点から、酵素処理の後にβ脱離処理をすることが好ましい。この場合、酵素処理とβ脱離処理との間に、必要に応じて、酵素失活処理、エタノール沈殿による沈殿回収工程を行うことが望ましい。
β脱離処理後は、精製することが好ましい。精製方法としては、例えばTCA沈殿、エタノール沈殿等が挙げられる。
プロテオグリカンの糖鎖-ペプチド間分離物は、1種単独で用いることもできるし、任意の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
1-4.用途
本発明の抗ウイルス剤の対象ウイルスとしては、特に制限されないが、例えばインフルエンザウイルス(例えばA型、B型等)、風疹ウイルス、エボラウイルス、コロナウイルス、麻疹ウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、ヘルペスウイルス、ムンプスウイルス、アルボウイルス、RSウイルス、SARSウイルス、肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス等)、黄熱ウイルス、エイズウイルス、狂犬病ウイルス、ハンタウイルス、デングウイルス、ニパウイルス、リッサウイルス等のエンベロープウイルス(エンベロープを有するウイルス); アデノウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、ヒトパピローマウイルス、ポリオウイルス、エンテロウイルス、コクサッキーウイルス、ヒトパルボウイルス、脳心筋炎ウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス等の非エンベロープウイルス(エンベロープを有さないウイルス)等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはエンベロープウイルスが挙げられ、より好ましくはインフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス等が挙げられる。
本発明の抗ウイルス剤は、抗ウイルス性を要する各種分野において広く使用することができる。本発明の抗ウイルス剤は、例えば工業、洗浄、医療、食品、日用品等の各種分野において使用することができる。本発明の抗ウイルス剤は、生体に適用する用途と、後述の物品に適用する用途とに分けられる。
1-4-1.生体に適用する用途
生体に適用する用途としては、例えば医薬、化粧品、洗浄剤、食品組成物、口腔用組成物、健康増進剤、栄養補助剤(サプリメントなど)等が挙げられる。この場合の適用対象は特に限定されず、例えば、ヒト、サル、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、シカなどの種々の哺乳類動物などが挙げられる。
本発明の抗ウイルス剤を生体に適用することによって、有効成分が接触する部位において抗ウイルス効果(例えば、ウイルスの不活化)を発揮することができる。
本発明の抗ウイルス剤の形態は、特に限定されず、本発明の抗ウイルス剤の用途に応じて、各用途において通常使用される形態をとることができる。
形態としては、用途が医薬である場合は、例えば貼付剤(プラスター剤、硬膏剤等のテープ剤(リザーバー型、マトリックス型等)、パップ剤、パッチ剤、マイクロニードル等)、軟膏剤、外用液剤(リニメント剤、ローション剤等)、スプレー剤(外用エアゾール剤、ポンプスプレー剤等)、クリーム剤、ゲル剤、点眼剤、眼軟膏剤、点鼻剤、坐剤、直腸用半固形剤、注腸剤等の非経口摂取に適した製剤形態(特に、外用製剤形態); 錠剤(口腔内側崩壊錠、咀嚼可能錠、発泡錠、トローチ剤、ゼリー状ドロップ剤などを含む)、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、ドライシロップ剤、液剤(ドリンク剤、懸濁剤、シロップ剤を含む)、ゼリー剤などの経口摂取に適した製剤形態(経口製剤形態)が挙げられ、外用製剤形態が好ましく挙げられる。
形態としては、用途が化粧品である場合は、例えば液剤、ジェル剤、クリーム剤、軟膏剤、スティック剤等が挙げられる。
形態としては、用途が健康増進剤、栄養補助剤(サプリメントなど)などである場合は、例えば錠剤(口腔内側崩壊錠、咀嚼可能錠、発泡錠、トローチ剤、ゼリー状ドロップ剤などを含む)、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、ドライシロップ剤、液剤(ドリンク剤、懸濁剤、シロップ剤を含む)、ゼリー剤などの経口摂取に適した製剤形態(経口製剤形態)、が挙げられる。
形態としては、用途が食品組成物の場合は、液状、ゲル状あるいは固形状の食品、例えばジュース、清涼飲料、茶、スープ、豆乳、サラダ油、ドレッシング、ヨーグルト、ゼリー、プリン、ふりかけ、育児用粉乳、ケーキミックス、粉末状または液状の乳製品、パン、クッキーなどが挙げられる。
形態としては、用途が口腔用組成物(医薬も包含する)である場合は、例えば液体(溶液、乳液、懸濁液など)、半固体(ゲル、クリーム、ペーストなど)、固体(錠剤、粒子状剤、カプセル剤、フィルム剤、混練物、溶融固体、ロウ状固体、弾性固体など)などの任意の形態、より具体的には、歯磨剤(練歯磨、液体歯磨、液状歯磨、粉歯磨など)、洗口剤、含嗽剤、塗布剤、貼付剤、口中清涼剤、食品(例えば、チューインガム、錠菓、キャンディ、グミ、フィルム、トローチなど)などが挙げられる。
本発明の抗ウイルス剤は、必要に応じてさらに他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば医薬、化粧品、食品組成物、口腔用組成物、健康増進剤、栄養補助剤(サプリメントなど)などに配合され得る成分である限り特に限定されるものではないが、例えば基剤、担体、溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、増粘剤、保湿剤、着色料、香料、キレート剤などが挙げられる。
本発明の抗ウイルス剤の有効成分の含有量は、有効成分の種類、用途、使用態様、適用対象、適用対象の状態などに左右されるものであり、限定はされないが、例えば0.000001~100重量%、好ましくは0.001~50重量%とすることができる。
本発明の抗ウイルス剤の適用(例えば、投与、摂取、接種など)量は、所望の効果を発現する有効量であれば特に限定されず、通常は、有効成分の重量として、一般に一日あたり0.1~1000 mg/kg体重である。上記投与量は1日1回又は2~3回に分けて投与するのが好ましく、年齢、病態、症状により適宜増減することもできる。
1-4-2.物品に適用する用途
物品に適用する用途としては、例えば物品のウイルス消毒薬等が挙げられる。この場合の適用対象は、特に制限されず、各種分野において用いられている工業製品やその原材料が挙げられる。工業製品の具体例としては、OA機器、家電、空調機器、掃除機、机、椅子、ソファー、ベンチ、窓、つり革、ハンドル、シート、自動改札機、自動券売機、自動販売機、扉、柵、手摺、食器、調理用具、包装フィルム、包装袋、瓶、ボトル、包装パック、シンク、便器、文房具、書籍、棚、歯ブラシ、鏡、フィルター、マスク、コート、ジャケット、ズボン、スカート、ワイシャツ、ニットシャツ、ブラウス、セーター、カーディガン、ナイトウエア、肌着、下着、オムツ、サポーター、靴下、タイツ、ストッキング、帽子、スカーフ、マフラー、襟巻き、ストール、手袋、服の裏地、服の芯地、服の中綿、作業着、ユニフォーム、学童用制服等の衣料、カーテン、アミ戸、布団地、布団綿、布団カバー、枕カバー、シーツ、マット、カーペット、タオル、ハンカチ、壁布、バンドエイド、包帯等、さらにはこれらの複合材料等が挙げられる。これらの中でも、繊維及び繊維製品以外の物品に適用することが好ましい。
本発明の抗ウイルス剤を物品に適用することによって、有効成分が接触する部位において抗ウイルス効果(例えば、ウイルスの不活化)を発揮することができる。
本発明の抗ウイルス剤の剤形は特に制限されず、その用途に応じて適宜選択することができる。剤形としては、例えば液剤、乳剤、懸濁剤、分散剤、エアゾール剤等の液剤; 水和剤、粉剤、粒剤、微粒剤、フロアブル剤等の固形又は半固形剤等が挙げられる。
本発明の抗ウイルス剤は、必要に応じてさらに他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば物品の消毒剤などに配合され得る成分である限り特に限定されるものではないが、例えば基剤、担体、溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、増粘剤、保湿剤、着色料、香料、キレート剤などが挙げられる。
本発明の抗ウイルス剤の有効成分の含有量は、有効成分の種類、用途、使用態様、適用対象、適用対象の状態などに左右されるものであり、限定はされないが、例えば0.000001~100重量%、好ましくは0.001~50重量%とすることができる。
2.繊維及び繊維製品
本発明は、一態様として、(X)繊維、並びに
(Y)該繊維に保持された、
(A1)ナマコ及びアメフラシからなる群より選択される少なくとも1種の組織のプロテオグリカン含有抽出物、及び
(B1)該抽出物中のプロテオグリカンの糖鎖-ペプチド間分離物
からなる群より選択される少なくとも一種(以下、「抗ウイルス成分」と示すこともある。)
を含む、抗ウイルス用繊維(本明細書において、「本発明の繊維」と示すこともある。)に関する。また、本発明は、本発明の繊維を含有する、抗ウイルス用繊維製品(本明細書において、「本発明の繊維製品」と示すこともある。)に関する。以下、これらについて説明する。
プロテオグリカン含有抽出物(A1)、糖鎖-ペプチド間分離物(B1)、抗ウイルス等については、「1.抗ウイルス剤」の項に記載の態様と同様である。
繊維としては、特に制限されず、例えば植物繊維(例えば綿繊維、麻繊維、亜麻繊維、レーヨン繊維、ポリノジック繊維、キュプラ繊維、リヨセル繊維、アセテート繊維等)、動物繊維(例えば羊毛、絹、天蚕糸、モヘヤ、カシミア、キャメル、ラマ、アルパカ、ビキューナ、アンゴラ、蜘蛛糸等)、鉱物繊維(例えば温石綿、白石綿、青石綿、茶石綿、直閃石綿、透角閃石綿、陽起石綿等)等の天然繊維; 合成繊維(例えばナイロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、ポリオレフィン繊維、、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリウレタン繊維等)、再生繊維(例えばレーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル、アセテート等)、ガラス繊維(例えばグラスウール、グラスファイバー等)、炭素繊維(例えばPAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、カーボンナノチューブ等)、人造鉱物繊維(例えばロックウール、セラミックファイバー等)等の化学繊維等を広く用いることができる。
本発明の繊維は、上記各種繊維の混紡であってもよい。また、本発明の繊維には、上記繊維の一次加工品、例えば糸、紐、ロープ、織物、編物、不織布、紙等が包含される。
上記繊維の中でも、気体(例えば空気、呼気等)中のウイルスをより効率的に捕捉し、人体(特に粘膜)に接触するウイルス或いは環境中のウイルスをより低減できるという観点から、不織布が好ましい。
本発明の繊維は、抗ウイルス成分を保持する。保持の態様としては、特に限定されないが、抗ウイルス成分が直接繊維表面に吸着している態様、抗ウイルス成分が接着成分を介して間接的に繊維表面に吸着している態様、抗ウイルス成分が化学結合を介して繊維に結合している態様等が挙げられる。
本発明の繊維が保持する抗ウイルス成分の量は、特に限定されないが、繊維100質量部に対して、例えばプロテオグリカン0.01~50質量部、好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは1~10質量部である。
本発明の繊維製品は、上記した本発明の繊維を含有し、且つ該繊維を加工して得られた繊維製品である限りにおいて、特に限定されず、本発明の繊維以外の他の繊維を含んでいてもよい。
本発明の繊維製品が他の繊維を含んでいる場合、本発明の繊維の含有量は、より高い抗ウイルス能を発揮できるという観点から、本発明の繊維製品100質量%に対して、例えば30~100質量%、好ましくは50~100質量%、より好ましくは70~100質量%、さらに好ましくは80~100質量%、よりさらに好ましくは90~100質量%、特に好ましくは95~100質量%である。
繊維製品の具体例としては、マスク、マスク用フィルター、空調機器(例えばエアコンディショナー、空気清浄機等)用フィルター、コート、ジャケット、ズボン、スカート、ワイシャツ、ニットシャツ、ブラウス、セーター、カーディガン、ナイトウエア、肌着、下着、オムツ、サポーター、靴下、タイツ、ストッキング、帽子、スカーフ、マフラー、襟巻き、ストール、手袋、服の裏地、服の芯地、服の中綿、作業着、ユニフォーム、学童用制服等の衣料、カーテン、アミ戸、布団地、布団綿、布団カバー、枕カバー、シーツ、マット、カーペット、タオル、ハンカチ、壁布、壁紙、フロア外張り、バンドエイド、包帯等が挙げられる。これらの中でも、気体(例えば空気、呼気等)中のウイルスをより効率的に捕捉し、人体(特に粘膜)に接触するウイルス或いは環境中のウイルスをより低減できるという観点から、好ましくはマスク、マスク用フィルター、空調機器(例えばエアコンディショナー、空気清浄機等)用フィルター等が挙げられる。
本発明の繊維及び本発明の繊維製品は、抗ウイルス成分を保持していることによって、抗ウイルス性が高められている。
このような本発明の繊維及び本発明の繊維製品は、繊維又は繊維製品に抗ウイルス成分を保持させることにより、或いはこれにより得られた繊維又は繊維製品を加工することにより製造することができる。この製造方法は、別の観点から、「繊維又は繊維製品の抗ウイルス加工方法」ということもできる。
抗ウイルス成分の保持は、公知の方法に従って行うことができる。抗ウイルス成分の保持は、例えば、繊維又は繊維製品と、抗ウイルス成分を含有する処理剤とを接触させる方法(より具体的には、例えば繊維又は繊維製品を、抗ウイルス成分を含有する処理剤を含む処理液中に浸漬する方法や、抗ウイルス成分を含有する処理剤を含む処理液を繊維又は繊維製品に噴霧する方法等)により行うことができる。なお、この処理剤は、繊維又は繊維製品の抗ウイルス性を高めることができるので、「繊維又は繊維製品の抗ウイルス性向上剤」ということもできる。該向上剤は、溶液状として、マスク使用者が適宜噴霧することにより、簡便に使用することができる。
処理液としては、処理剤が溶媒を含む場合はこれをそのまま、処理剤が溶媒を含まない場合はこれに適宜溶媒を添加したものを用いることができる。
処理液又は処理剤の溶媒としては、抗ウイルス成分を著しく変性させない溶媒である限りにおいて特に限定されないが、例えば水、水とアルコールの混合溶媒、接着成分等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは水とアルコールの混合溶媒が挙げられ、より好ましくは水とエタノールの混合溶媒が挙げられる。該混合溶媒におけるアルコール濃度は、特に制限されないが、例えば10~50%(v/v)、好ましくは15~40%(v/v)である。なお、接着成分としては、例えばPVA(洗濯のり)等が挙げられる。
処理液の量は、処理液が繊維又は繊維製品に浸透可能な限りにおいて特に限定されない。処理液の量は、繊維100質量部に対して、例えば1000~100000質量部、好ましくは2000~50000質量部、より好ましくは4000~30000質量部である。
処理液への浸漬時間は、処理液が繊維又は繊維製品に浸透可能な限りにおいて特に限定されず、繊維又は繊維製品の種類に応じて適宜設定することができる。
処理へ浸漬する際の温度は、処理液が繊維又は繊維製品に浸透可能な限りにおいて特に限定されず、例えば10~40℃である。
処理液へ浸漬した後は、繊維又は繊維製品に付着した溶媒を、乾燥処理等により除去することが望ましい。乾燥処理の条件は、溶媒の種類、量等に応じて適宜設定することができる。例えば、室温~50℃程度で2~8時間程度であってもよい。
本発明の繊維及び本発明の繊維製品は、抗ウイルス用である。ここで、「抗ウイルス用」とは、気体中のウイルスを捕捉する目的(換言すれば、ウイルス捕捉用)、ウイルス感染性を低下させる目的、ウイルスの細胞吸着性を低下させる目的等の目的で用いられることを意味する。
3.プロテオグリカンの製造方法、プロテオグリカン、及びその糖鎖-ペプチド間分離物
本発明は、一態様として、ナマコ及びアメフラシからなる群より選択される少なくとも1種の組織を材料としてプロテオグリカンを抽出することを特徴とする、プロテオグリカンの製造方法、それにより得られたプロテオグリカン、及び該プロテオグリカンの糖鎖-ペプチド間分離物に関する。
これらの態様等については、「1.抗ウイルス剤」の項に記載の態様等と同様である。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
参考例1:梅干し廃液(梅酢)の調製
和歌山県産の完熟した南高梅(3 kg)と食塩(360 g)とを混合し、よく揉んだ。これを瓶に詰め、上におもりを載せて、3日間冷所で静置した。静置後、梅を取り除いた後に得られた溶液を濾過し、630 mLの梅干し廃液を得た。この梅干し廃液のpHは2.1であった。
参考例2:魚類軟骨からのプロテオグリカンの抽出
破砕された魚類軟骨(30g)と、参考例1で得られた梅干し廃液(600mL)とを混合し、室温にて緩やかに撹拌しながら24時間放置した。得られた混合液をろ紙でろ過して、不溶成分を除去した。得られたろ液に、食塩が飽和量溶解したエタノール(食塩飽和エタノール)(1.8L)を加えて混合した後、4℃にて12時間放置した。遠心分離(1300 g×10分間)した後、ペレット(白色)を回収した。白色沈殿をエタノール(100mL)で洗浄後、風乾して、1.03gのプロテオグリカンを得た。
実施例1:アメフラシからのプロテオグリカンの抽出
Aplysia kurodai(アメフラシの一種)を採取した。2cm四方に切断したアメフラシ(2頭)と、参考例1で得られた梅干し廃液(200mL)とを混合し、室温にて緩やかに撹拝しながら24時間放置した。得られた混合液をろ紙でろ過して、不溶成分を除去した。得られたろ液に、食塩が飽和量溶解したエタノール(食塩飽和エタノール)(600mL)を加えて混合した後、4℃にて12時間放置した。遠心分離(1300 g×10分間)した後、ペレット(白色)を回収した。白色沈殿をエタノール(20mL)で洗浄後、風乾して、1.12 gのプロテオグリカン含有抽出物を得た。
実施例2:ナマコからのプロテオグリカンの抽出
マナマコ(ナマコの一種)を採取した。2cm四方に切断したナマコ外皮(39g)と、参考例1で得られた梅干し廃液(200mL)とを混合し、室温にて緩やかに撹拝しながら24時間放置した。得られた混合液をろ紙でろ過して、不溶成分を除去した。得られたろ液に、食塩が飽和量溶解したエタノール(食塩飽和エタノール)(600mL)を加えて混合した後、4℃にて12時間放置した。遠心分離(1300 g×10分間)した後、ペレット(灰色)を回収した。灰色沈殿をエタノール(20mL)で洗浄後、風乾して、150mgのプロテオグリカン含有抽出物を得た。
試験例1:プロテオグリカンの確認
実施例1で得られたプロテオグリカン含有抽出物及び実施例2で得られたプロテオグリカン含有抽出物それぞれを水に溶解させ、0.1%プロテオグリカン水溶液を調製し、そのうち(5μL)と、別途調製したスタンダード溶液(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸水溶液)を、泳動用緩衝液(0.1 Mギ酸-ピリジン緩衝液(pH 3.0))を予め浸透させたセルロースアセテート膜上にスポットした。次いでそのセルロースアセテート膜を泳動層にのせ1mA/cmにて15分間、電気泳動を行った。泳動後、セルロースアセテート膜をアルシアンブルー染色に供し、70%エタノールで脱色した後、染色バンドを目視で観察した。
結果を図1に示す。詳細な解析をさらに進めた結果、ナマコのレーン及びアメフラシのレーンにおいて、一番上のバンドは、コンドロイチン硫酸系列の糖鎖を含むプロテオグリカン、及び/又はグリコサミノグリカン鎖を示すバンドであることが示唆された。また、真ん中のバンドは、プロテオグリカン複合体(例えば、コラーゲンとプロテオグリカンとの複合体)を示すバンドであることが示唆された。さらに、薄い一番下のバンドは、梅酢由来の成分を示すバンドであることが示唆された。
試験例2:プロテオグリカンの分子量の同定
実施例1で得られたプロテオグリカン含有抽出物及び実施例2で得られたプロテオグリカン含有抽出物それぞれを水に溶解させ、0.1%プロテオグリカン水溶液を調製し、このうち30μLを高速液体クロマトグラフィー分析に供した。分析条件は下記に示すとおりである。
検出器:示差屈折率計RI-2031plus(日本分光)
カラム:TOSOH TSK-gel G5000PWXL
溶出液:0.2M-NaCl
流速:1 ml/min
カラムtemp.:40℃
ピークが観測された保持時間より、実施例1で得られたプロテオグリカン含有抽出物又は実施例2で得られたプロテオグリカン含有抽出物の平均分子量は、いずれも約40万ダルトンであることが分かった。なお、平均分子量は、プルランスタンダード(shodex社製、P-82)を用いて算出した。
実施例3:ウイルス不活化試験1(HSV-1)
参考例1で得られたプロテオグリカン含有抽出物、実施例1で得られたプロテオグリカン含有抽出物、及び実施例2で得られたプロテオグリカン含有抽出物それぞれを、10mM クエン酸緩衝液(pH 5.9)に撹拌溶解した。種々の濃度のプロテオグリカンを含有する10mM クエン酸緩衝液(pH 5.9)と、HSV-1(単純ヘルペスウイルス1型)とを、37℃20分間保温した後の感染価を測定し、リン酸塩類緩衝液(ダルベッコのPBS)中で保温した時の感染価を基準値(1.0)として基準化した。
結果を図2及び3に示す。参考例1(魚類)、実施例1(アメフラシ)、及び実施例2(ナマコ)のいずれのプロテオグリカン含有抽出物についても、ウイルス不活化効果があることが分かった。中でも、アメフラシ及びナマコのプロテオグリカン含有抽出物、特にナマコのプロテオグリカン含有抽出物が、より強いウイルス不活化効果があることが分かった。
実施例4:ウイルス不活化試験2(インフルエンザウイルスA0PR8 (H1N1))
参考例1で得られたプロテオグリカン含有抽出物、実施例1で得られたプロテオグリカン含有抽出物、そのβ脱離反応処理物、実施例2で得られたプロテオグリカン含有抽出物、及びそのβ脱離反応処理物それぞれを、10mM クエン酸緩衝液(pH 5.9)に撹拌溶解した。種々の濃度のPGを含む10 mMクエン酸緩衝液(pH 5.9) 190μlにウイルス(インフルエンザウイルスA0PR8 (H1N1))液10μlを加え、37℃20分間保温した後の感染価を測定し、リン酸塩類緩衝液(ダルベッコのPBS)中で保温した時の感染価を基準値(1.0)として基準化した。
なお、β脱離反応処理物は以下のようにして得た:
(工程1:コアタンパク質の分解処理)実施例1で得られたプロテオグリカン50mgを、100 mM Tris-HCl(pH 8.0) 50 mM CaCl2含有緩衝液 10 mlに溶解した。アクチナーゼEを10mg 添加し、37℃にて48時間インキュベートした。
(工程2:タンパク質分解酵素の失活処理)100℃にて5分間加熱した後、10,000 r.p.m.にて15分間遠心分離を行い、上清を回収した。
(工程3:エタノール沈殿処理)得られた上清に3倍量の食塩飽和エタノールを添加し、4℃にて12時間静置した。10,000 r.p.mにて15分間遠心分離を行い、沈殿を回収した。
(工程4:β脱離反応処理(アルカリ処理))その沈殿に0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液5mLを加え溶解し、4℃にて15時間静置した。
(工程5:ペプチド成分の沈殿及び除去処理)氷浴中、2N塩酸を滴下し中和した後、トリクロロ酢酸25mgを添加し溶解後、氷浴中で10分間静置した。10,000 r.p.m.で20分間遠心分離を行った。
(工程6:エタノール沈殿処理)回収した上清に3倍量の食塩飽和エタノールを添加し、4℃にて静置した。10,000 r.p.m.で20分間遠心分離を行い、ペレット(白色沈殿物)を回収した。白色沈殿をエタノールで洗浄後風乾し、27mgの白色粉末を得た。
結果を図4に示す。参考例1(魚類)、実施例1(アメフラシ)、及び実施例2(ナマコ)のいずれのプロテオグリカン含有抽出物についても、ウイルス不活化効果があることが分かった。中でも、アメフラシ及びナマコのプロテオグリカン含有抽出物、特にナマコのプロテオグリカン含有抽出物が、より強いウイルス不活化効果があることが分かった。また、実施例1(アメフラシ)のプロテオグリカン含有抽出物については、β脱離反応処理することにより、ウイルス不活化効果が向上した。

Claims (4)

  1. (A)生物組織のプロテオグリカン含有抽出物、及び
    (B)該抽出物中のプロテオグリカンの糖鎖-ペプチド間分離物
    からなる群より選択される少なくとも一種を含有し、
    前記生物組織がナコ及びアメフラシからなる群より選択される少なくとも1種の組織であり、且つ
    前記プロテオグリカンの糖鎖-ペプチド間分離物が前記プロテオグリカン由来のペプチド及び前記プロテオグリカン由来の糖鎖を含有する、
    抗ウイルス剤。
  2. 前記抽出物の抽出溶媒が梅干し廃液又は梅酢である、請求項1に記載の抗ウイルス剤。
  3. 前記生物組織がナマコ組織である、請求項1又は2に記載の抗ウイルス剤。
  4. ウイルス不活化用である、請求項1~のいずれかに記載の抗ウイルス剤。
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