JP7166457B2 - c-Kitに対するヒト化抗体 - Google Patents
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Description
本出願では、2018年11月26日出願の米国特許仮出願第62/771,526号の利益を主張し、すべての目的のために、この全体を参照により組み込む。
本出願は、2019年11月25日作成のtxtファイル540687US SL_ST25 31,466バイトにより配列を含み、これを参照により組み込む。
必要に応じて、Kabatにより定義されるCDR H1、H2およびH3は、それぞれ配列番号2~4であり、Kabatにより定義されるCDR L1、L2およびL3は、それぞれ配列番号6~8であるが、ただし、重鎖64位のKからQの置換および軽鎖30位のNからQの置換が存在する。
モノクローナル抗体または他の生物学的実体は、単離形態で典型的に提供される。これは、抗体または他の生物学的実体が、典型的に、この生成または精製から生じる干渉タンパク質および他の夾雑物から少なくとも50%w/w純粋であることを意味するが、モノクローナル抗体が、その使用を促進することが意図される過剰量の薬学的に許容される担体(複数可)または他のビヒクルと混合される可能性は除外しない。モノクローナル抗体は、生成または精製からの干渉タンパク質および夾雑物から少なくとも60%、70%、80%。90%、95%または99%(w/w)純粋であることがある。単離モノクローナル抗体または他の生物学的実体は、その精製後に残存する優勢な高分子種であることが多い。
配列番号1~4は、HB-10716の抗体の成熟重鎖可変領域ならびにCDR-H1、H2およびH3である。
本発明では、ヒトc-Kit(SwissProt P10721)に特異的に結合する抗体を提供する。抗体は、HB-10716として寄託されたハイブリドーマにより生成される、これまでに開示されているマウス抗c-Kit抗体のヒト化形態を表し、これは、それぞれ配列番号1および5の成熟重および軽鎖可変領域を有する。このマウス抗体は、AMG191として、これまでにヒト化されている(米国特許第7,915,391号を参照)。AMG191のKabat CDRは、これらが由来するマウス抗体と同一である。AMG191は、CreativeBiolabs社から市販されている。
表1
9位がLにより占有され、
12位がPにより占有され、
14位がTにより占有され、
15位がPにより占有され、
18位がPにより占有され、
20位がSにより占有され、
22位がSにより占有され、
37位がLにより占有され、
43位がSにより占有され、
45位がQにより占有され、
74位がKにより占有され、
77位がRにより占有され、
78位がVにより占有され、
79位がEにより占有され、
84位がGにより占有される。
上記の重および軽鎖可変領域は、ヒト定常領域の少なくとも1部分に結合させることができる。定常領域の選択は、抗体依存性細胞媒介細胞傷害、抗体依存性細胞食作用および/または補体依存性細胞傷害を所望するかどうかにある程度依存する。例えば、ヒトアイソタイプIgG1およびIgG3は補体依存性細胞傷害を有し、ヒトアイソタイプIgG2およびIgG4はこれを有しない。また、ヒトIgG1およびIgG3では、ヒトIgG2およびIgG4よりも強力な細胞媒介エフェクター機能が誘導される。ヒトIgG1は、本発明の抗体にとって好ましい。軽鎖定常領域は、ラムダまたはカッパであり得る。
ヒト化抗体は、組換え発現により典型的に生成する。組換えポリヌクレオチド構築物は、抗体鎖のコード配列に作動可能に結合する発現制御配列を典型的に含み、天然関連または異種発現制御エレメント、例えば、プロモーターを含む。発現制御配列は、真核または原核宿主細胞を形質転換またはトランスフェクト可能なベクター内のプロモーター系であり得る。ベクターを適切な宿主に組み込むと、宿主は、ヌクレオチド配列の高レベル発現ならびに交差反応する抗体の採取および精製に適する条件下に維持される。
本発明では、上記の重および軽鎖のいずれかをコードする核酸をさらに提供する。必要に応じて、このような核酸は、単一ペプチドをさらにコードし、定常領域に結合するシグナルペプチドにより発現し得る。核酸のコード配列は、調節配列と作動可能に結合して、コード配列の発現が確実となり得る(例えば、プロモーター、エンハンサー、リボソーム結合部位、転写終結シグナル等)。重および軽鎖をコードする核酸は、単離形態で生じ得るか、または1つまたは複数のベクターにクローニングし得る。核酸は、例えば、固相合成または重複するオリゴヌクレオチドのPCRにより合成することができる。重および軽鎖をコードする核酸は、例えば発現ベクター内に、1つの近接する核酸として繋がれていても、または分離しており、例えば、発現ベクターこれ自体にそれぞれクローニングされていてもよい。
本発明の抗体は、細胞傷害性または細胞増殖抑制性部分にコンジュゲートさせて、細胞傷害のさらなる機構をもたらすことができる。
本発明の抗体またはこのような抗体を組み込んだ医薬組成物は、種々の状態の処置に使用することができる。例えば、このような抗体は、それを必要とする被験体における内因性造血幹および前駆細胞(HSPC)の除去において使用することができる。内因性HSPCの除去は、幹細胞置換療法における最初のステップである。幹細胞置換療法は、一部の点で欠陥を有する内因性HSPCの減少または除去、および置換HSPCとのこれらの交換を一般に含む。置換HSPCは、自家、同種異系または異種であり得る。内因性HSPCは、機能または発現を損なう遺伝性変異の結果(例えば、鎌状赤血球貧血またはサラセミア)、血液がんの結果、またはがんの処置において使用される化学療法による損傷の結果として欠陥を有している可能性がある。また、内因性HSPCが移植片の免疫攻撃を生じるため、内因性HSPCは、移植臓器と組み合わせて交換し得る。
非経口投与のための本発明の抗体を組み込んだ医薬組成物は、無菌および実質的に等張性(250~350mOsm/kg水)であり、GMP条件下で製造され得る。医薬組成物は、単位用量形態(すなわち、単回投与のための用量)により提供され得る。医薬組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤または補助剤を使用して製剤化され得る。製剤は、選択される投与経路に依存する。注射では、抗体は、水溶液中、例えば、生理学的に適合する緩衝液、例えば、ハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理食塩水もしくは酢酸緩衝液中に製剤化され得る(注射部位における不快感を低下させるため)。溶液は、調合剤(formulatory agent)、例えば、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤を含み得る。あるいは、抗体は、適するビヒクル、例えば、無菌の発熱物質除去水による構成のために、使用前には凍結乾燥形態であり得る。
また、本発明の抗体は、イムノアッセイ、例えば、ELISA、ウエスタンブロット、または免疫組織化学によるc-Kitの検出に使用することができる。このような試験は、がんがc-Kitを発現し、本発明の方法による処置に適するものとなるかどうかの決定に有用であり得る。また、抗体は、c-Kitを発現するHSPCの親和性クロマトグラフィーによる濃縮に使用することができる。
抗体Vクローニングおよびシーケンシング。抗ヒトc-Kitハイブリドーマ細胞株をATCCから購入した(HB-10716)。重(VH)および軽鎖(VL)可変領域をクローニングしてGenscriptによりシーケンシングした。
(a)抗c-Kitハイブリドーマ可変領域クローニングおよびシーケンシング
抗ヒトc-Kitハイブリドーマ細胞株をATCCから購入した(HB-10716)。ハイブリドーマクローンHB-10716の特異性を、ヒトc-Kitに結合させるELISAにより調べた。HB-10716の重および軽鎖可変領域を、ユニバーサル抗体プライマーを使用してハイブリドーマからクローニングした。各V遺伝子産物の複数のクローンをシーケンシングして、PCRにより誘導されたエラーをモニターした。HB-10716のVHおよびVLのヌクレオチド配列を決定し、推定したアミノ酸配列を図1AおよびBにそれぞれ示す。
CDR移植の鋳型として使用するヒト抗体フレームワーク(FR)を選択するために、マウスHB-10716VLおよびVH領域をヒト生殖系列配列のものと比較した。マウスHB-10716VL領域のFRは、IGKV4-1亜群との高い相同性を有することが見出され、VH領域のFRは、ヒトIGHV1-46亜群との高い相同性を示した。したがって、ヒトIGKV4-1およびIGHV1-46由来のFRを、ヒト化HB-10716をデザインするための基礎として使用した。HB-10716およびIGKV4-1/IGHV1-46配列間で異なり、抗原結合における影響を有し得るFR領域におけるアミノ酸位置を、分子モデル化により同定した。FRにおける同一残基は維持し、非同一残基は、分子モデル化プログラムに基づいて、維持するか、または置換した。さらに、VHおよびVLのCDR領域における残基を分子モデル化により同定した。CDR置換は、部位特異的変異誘発により行った。
表2
次いで、発明者らは、ヒト末梢血由来マクロファージによるヒトがん細胞の食作用を可能とするヒト化抗c-Kit抗体の能力を調査した。AMG191が、サイレンシングされたFcを有するため、発明者らは、AMG191と同一の配列を有するAMG191-G1を生成したが、ただし、AMG191-G1は、活性ヒトIgG1Fc定常領域を有する。AMG191では、PBS対照と比較した場合、食作用が誘導されなかったが、AMG191-G1では、活性ヒトIgG1の足場を有するため、予想通り高い食作用活性が誘導された(図5)。AMG191-G1では、0.1、1および10ug/mlにおいて同等レベルの食作用活性が誘導された。AMG191-G1とは対照的に、ヒト化AF12、AF112、HF12、HF112およびNF112は、低い濃度においてさらに強力であり、0.1、1またはさらに10ug/mlにおいてAMG191-G1のそれよりも高い食作用活性が誘導され、ヒト化AF12、AF112、HF12、HF112およびNF112については低い治療的用量が必要とされることが示唆された(図5)。データは、AMG191-G1、AF12、AF112、HF12、HF112およびNF112が、すべてヒトIgG1型式の抗体であり、AF12、AF112、HF12、HF112およびNF112が、さらに強力であることを示す。これはおそらく、フレームワークおよび/またはCDR置換に起因する、AF12、AF112、HF12、HF112およびNF112の結合親和性が高いためである。
ADCC活性を誘導するヒト化抗c-Kit抗体の能力をGIST細胞に対して試験した。AMG191により、試験したいずれの濃度においてもADCCは誘導されなかった。HF12およびHF112により、ADCCが用量依存的に媒介された(図6)。
自己複製能が低下した系統拘束細胞を次第に生成する、階層的に組織化したプロセスにより、造血幹細胞(HSC)から成熟造血細胞を発生させた。細胞表面タンパク質チロシンキナーゼc-Kitは、この同属リガンド、幹細胞因子(SCF)と相互作用してHSCの自己複製を調節する。c-KitのSCFとの相互作用を遮断することにより、発明者らは、ヒト化抗c-Kit抗体がHSPCの増殖を阻害可能かどうかを試験した。図7に示すように、SCFにより、任意の抗体処理物の非存在下でHSPCの増殖が誘導された。しかし、AMG191、AMG191-G1、HF12およびHF112により、HSPCの増殖が阻害された(図7)。その上、HF12およびHF112では、HSPC増殖の阻害は、AMG191およびAMG191-G1による阻害よりも強力である(図7)。これはおそらく、フレームワークおよび/またはCDR置換に起因する、HF12およびHF112の結合親和性が高いためである。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
それぞれ配列番号2~4の、Kabatにより定義されるCDR H1、H2およびH3を含む成熟重鎖可変領域、ならびにそれぞれ配列番号6~8の、Kabatにより定義されるCDR L1、L2およびL3を含む成熟軽鎖可変領域を含むが、ただし、位置をKabatに従って付番して、重鎖60位のNからA、重鎖64位のKからQおよび軽鎖30位のNからQから選択される1、2または3つのCDR残基の置換が存在する、ヒトc-Kitに特異的に結合する抗体。
(項目2)
Kabatにより定義されるCDR H1、H2およびH3が、それぞれ配列番号2~4であり、Kabatにより定義されるCDR L1、L2およびL3が、それぞれ配列番号6~8であるが、ただし、重鎖64位のKからQおよび軽鎖30位のNからQの前記置換が存在する、項目1に記載の抗体。
(項目3)
Kabatにより定義されるCDR H1、H2およびH3が、それぞれ配列番号2~4であり、Kabatにより定義されるCDR L1、L2およびL3が、それぞれ配列番号6~8であるが、ただし、重鎖60位のNからA、重鎖64位のKからQおよび軽鎖30位のNからQの前記置換が存在する、項目1に記載の抗体。
(項目4)
前記成熟重鎖可変領域が、配列番号13、17または21(AH2、AH3またはAH4)に対して少なくとも85、90、95、98、99%の配列同一性を示し、前記成熟軽鎖可変領域が、配列番号53(NL2)に対して少なくとも85、90、95、98、99%の配列同一性を示し、示される前記配列番号からのいかなる変動もKabatにより定義される前記CDR外である、前記項目のいずれかに記載の抗体。
(項目5)
Kabat付番による重鎖1位が、Eである、項目4に記載の抗体。
(項目6)
前記成熟軽鎖可変領域の以下の位置が、アミノ酸により以下:
9位がLにより占有され、
12位がPにより占有され、
14位がTにより占有され、
15位がPにより占有され、
18位がPにより占有され、
20位がSにより占有され、
22位がSにより占有され、
37位がLにより占有され、
43位がSにより占有され、
45位がQにより占有され、
74位がKにより占有され、
77位がRにより占有され、
78位がVにより占有され、
79位がEにより占有され、
84位がGにより占有される、
のように占有される、前記項目のいずれかに記載の抗体。
(項目7)
前記成熟重鎖可変領域が、配列番号13、17または21から選択される配列を有するが、ただし、1位がEであってもよく、前記成熟軽鎖可変領域が、配列番号53の配列を有する、項目1に記載の抗体。
(項目8)
前記成熟重鎖可変領域が、重鎖定常領域に結合し、前記成熟軽鎖可変領域が、成熟軽鎖定常領域に結合する、前記項目のいずれかに記載の抗体。
(項目9)
前記重鎖定常領域が、ヒトIgG1である、項目7に記載の抗体。
(項目10)
ヒトc-Kitへの結合がAMG191と比較して増強されている、前記項目のいずれかに記載の抗体。
(項目11)
ADCPがAMG191-IgG1と比較して増強されている、前記項目のいずれかに記載の抗体。
(項目12)
ADCCがAMG191-IgG1と比較して増強されている、前記項目のいずれかに記載の抗体。
(項目13)
前記項目のいずれかに記載の抗体および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
(項目14)
内因性HSPCを除去する方法であって、有効なレジメンによる前記項目のいずれかに記載の抗体を、除去を必要とする被験体に投与するステップを含む、方法。
(項目15)
c-Kitを発現するがんを処置する方法であって、有効なレジメンによる前記項目のいずれかに記載の抗体を、前記がんを有する被験体に投与するステップを含む、方法。
Claims (11)
- 配列番号13、17または21(AH2、AH3またはAH4)に対して少なくとも90、95、98、99%の配列同一性を含む成熟重鎖可変領域、ならびに配列番号53(NL2)に対して少なくとも90、95、98、99%の配列同一性を含む成熟軽鎖可変領域を含む、ヒトc-Kitに特異的に結合する抗体であって、示される配列番号からのいかなる変動もKabatにより定義されるCDR外であり、かつ、前記抗体がAMG191と比較してヒトc-Kitへの結合が増強されている、抗体。
- Kabat付番による重鎖1位が、Eである、請求項1に記載の抗体。
- 前記成熟軽鎖可変領域の以下の位置が、アミノ酸により以下:
9位がLにより占有され、
12位がPにより占有され、
14位がTにより占有され、
15位がPにより占有され、
18位がPにより占有され、
20位がSにより占有され、
22位がSにより占有され、
37位がLにより占有され、
43位がSにより占有され、
45位がQにより占有され、
74位がKにより占有され、
77位がRにより占有され、
78位がVにより占有され、
79位がEにより占有され、
84位がGにより占有される、
のように占有される、請求項1または2に記載の抗体。 - 前記成熟重鎖可変領域が、配列番号13、17または21から選択される配列を有するが、ただし、1位がEであってもよく、前記成熟軽鎖可変領域が、配列番号53の配列を有する、請求項1に記載の抗体。
- 前記成熟重鎖可変領域が、重鎖定常領域に結合され、前記成熟軽鎖可変領域が、成熟軽鎖定常領域に結合される、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体。
- 前記重鎖定常領域が、ヒトIgG1である、請求項4に記載の抗体。
- ADCPがAMG191-IgG1と比較して増強されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗体。
- ADCCがAMG191-IgG1と比較して増強されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体。
- 請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
- 除去を必要とする被験体において、内因性HSPCを除去するための、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体を含む組成物。
- c-Kitを発現するがんを有する被験体において、c-Kitを発現するがんを処置するための、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体を含む組成物。
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