JP7163854B2 - 金属製曲管製造方法 - Google Patents
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次いで、曲げ型及び締め型を回動軸線回りに回動させて素管の先端部分を引っ張るとともに圧力型で長手方向前方側に素管を移動させ、曲げ型に形成された曲げ部と対応する凹溝に沿わせて曲げることで円弧状の曲げ部を成形する。
また、例えば、特許文献2、3には、素管の内径とマンドレルとのクリアランスを所定の範囲に設定して、半径が小さな曲げ部を成形する際に割れやしわが発生するのを抑制する発明が開示されている。
また、例えば、特許文献4には、マンドレルを構成する芯金片の外表面に弾性緩衝剤を備えることにより、曲げ部に扁平が生じるのを抑制する発明が開示されている。
請求項1に係る発明は、金属製の直管からなる素管に回転引き曲げ加工をして曲げ部を有する金属製曲管を製造する金属製曲管製造方法であって、ワイパーに載置した素管を圧力型によって前記ワイパーに押圧し、前記素管に曲げ部が成形される成形位置と対応させて前記素管の内周に対して0.1mm以上、0.30mm以下のクリアランスを全周にわたって設定してマンドレルのシャンク部を配置し、前記曲げ部の曲げ内側を成形する曲げ型と締め型によって前記素管の先端部分を保持させてから、前記素管の後方から42MPa以上のバックブースターによる後方軸押し圧力を付与しながら前記圧力型を前記曲げ部の成形速度よりも5%以上高速な移動速度で前記成形位置に向かって移動させるとともに前記曲げ型と前記締め型とを前記回動軸線周りに回動させて前記曲げ部を形成することを特徴とする。
その結果、高品質な金属製曲管を製造することができる。
また、素管の内径とマンドレルのシャンク部とのクリアランスを0.1mm以上に設定することで、肉厚減少を効率的に抑制するとともに製造した金属製曲管からマンドレルをスムースに取出すことが可能となり、製造コストの増大を抑制することができる。
また、曲げ部の成形速度を特定する際の直管部の中心線上における速度については、曲げ部に生じる扁平等や成形時の変形にともなう影響を無視するものとする。
まず、図1を参照して、一実施形態に係る金属製曲管の概略構成について説明する。図1は、一実施形態に係る金属製曲管の一例を説明する概略構成図である。図1において、符号W100は金属製曲管を、符号W1は直管部を、符号W10は曲げ部を、符号W11は曲げ内側を、符号W12は曲げ外側を示している。また、符号OWは金属製曲管W100の中心線を示している。
また、金属製曲管W100は、〔(肉厚/外径)比〕(=t/D)が0.026(<0.03)、曲げ部W10の中心線OWにおける曲率半径R=76.2mm、曲げ部の曲げ角度は90°とされている。
また、曲げ部W10は、円弧の内方に位置される曲げ内側W11と、円弧の外方に位置される曲げ外側W12とを備えている。
また、鋼管に関しては、引張強さ440MPa級、引張強さ590MPa級に適用することも可能であるが、引張強さ780MPa級以上の鋼管に適用することにより大きな効果が得られる点でより好適である。
図2は、一実施形態に係る金属製曲管製造装置の概略構成の一例を説明する概念図である。また、図3はマンドレルの一例を説明する概念図である。
図において、符号100は金属製曲管製造装置を、符号10は曲げ型を、符号20は締め型を、符号30はワイパーを、符号40は圧力型を、符号50はマンドレルを、符号60はバックブースター装置を、符号O1は曲げ型10の回動軸線を、符号W0は素管を示している。
そして、例えば、引張強さ980MPa級の鋼管(直管)からなる素管を回転引き曲げ加工することにより曲げ部W10を成形して金属製曲管W100を製造するようになっている。
ここで、素管W0の先端部分とは、素管W0において、金属製曲管W100の曲げ部W10を成形する際の成形方向前方側の領域に位置されていればよいものとする。
曲げ成形凹溝部11Uは、回動軸線O1を含む断面が素管W0の外径と対応する半円状に形成されている。
また、保持部12は、成形開始時に素管W0の先端部分に位置される側に、曲げ成形凹溝部11Uと同等の断面を有し素管W0の長手方向に伸びる保持用凹溝部12Uを備えている。
また、締め型20は、曲げ型10が回動軸線O1周りに回動する際に、曲げ型10とともに素管W0の先端部分を保持して、曲げ内側予定面S11を曲げ型10の曲げ成形部11に沿わせて曲げ部W10を形成する。
また、圧力型40の移動速度は、成形速度に対して設定範囲内で増減することが可能とされている。この実施形態において、圧力型40の移動速度は、例えば、成形速度に対して5%以上高速に移動させるようになっている。なお、圧力型40の移動速度を、成形速度に対して10%以上30%以下の範囲で高速に設定することが好適である。
また、芯金片52は、自在継手53を介してシャンク部51と接続され、シャンク部51の軸線O2に対して所定の角度範囲内で向き(傾斜)を自在に変化可能とされている。なお、芯金片52の外径をシャンク部51と同じ外径とするか異なる外径とするかは任意に設定することができる。
素管W0の内径とマンドレル50とのクリアランスは、例えば、0.1mm以上0.3mm以下に設定する。
なお、素管W0の内径とマンドレル50とのクリアランスは、0.1mm以上0.15mm以下に設定することが好適である。
その結果、図4に示すように、金属製曲管製造装置100における回転引き曲げ加工の準備が完了する。
なお、圧力型40の移動速度V2は、成形速度V0に対して5%以上20%以下の範囲で高速に設定してもよい。
なお、バックブースターP1による後方軸押し圧力を、42MPa以上588MPa以下の範囲に設定してもよい。
なお、バックブースターP1、圧力型40の速度については、適宜設定することが可能である。
その結果、素管W0の内径の寸法管理をする必要がなく製造コストが増大するのを効率的に抑制することができる。
図6は、本発明の実施例に係る素管の概略を説明する図であり、素管W0の中心線OWと直交する断面を示す図である。また、図7は実施例に係る素管とマンドレルの関係を説明する概念図である。また、表1~表4は実施例1~実施例4に係る製造条件と曲げ外側の肉厚の関係を示す表である。
実施例1では、比較例1~6及び本発明例1~7について、バックブースター、成形速度に対する圧力型の移動速度、素管の内径とマンドレル(シャンク部)のクリアランスを変化させて、曲げ外側の肉厚(肉厚減少率)、又は曲げ外側の割れ、及び曲げ内側のしわ、座屈の発生を目視により検査して本発明の効果について検証した。
そして、実施例1においては、曲げ外側の肉厚減少が20%以下であるものを効果があるものとした。実施例1の結果は、表1に示すとおりである。
<比較例1>
バックブースターP1:付与せず
成形速度に対する圧力型の移動速度:同速度
素管の内径とマンドレル(シャンク部)のクリアランス:0.3mm
成形結果は、
曲げ外側の肉厚:0.75mm
肉厚減少率:25%
バックブースターP1:252MPa
成形速度に対する圧力型の移動速度:同速度
素管の内径とマンドレル(シャンク部)のクリアランス:0.3mm
曲げ外側の肉厚:0.77mm
肉厚減少率:23%
バックブースターP1:252MPa
成形速度に対する圧力型の移動速度:同速度
素管の内径とマンドレル(シャンク部)のクリアランス:0.1mm
曲げ外側の肉厚:0.74mm
肉厚減少率:26%
バックブースターP1:588MPa
成形速度に対する圧力型の移動速度:同速度
素管の内径とマンドレル(シャンク部)のクリアランス:0.3mm
座屈が発生したので、曲げ外側の肉厚は測定不能
バックブースターP1:付与せず
成形速度に対する圧力型の移動速度:+10%
素管の内径とマンドレル(シャンク部)のクリアランス:0.3mm
曲げ外側の肉厚:0.77mm
肉厚減少率:23%
バックブースターP1:付与せず
成形速度に対する圧力型の移動速度:+20%
素管の内径とマンドレル(シャンク部)のクリアランス:0.15mm
割れが発生したので、曲げ外側の肉厚は測定不能
バックブースターP1:42MPa
成形速度に対する圧力型の移動速度:+5%
素管の内径とマンドレル(シャンク部)のクリアランス:0.3mm
曲げ外側の肉厚:0.81mm
肉厚減少率:19%
バックブースターP1:84MPa
成形速度に対する圧力型の移動速度:+10%
素管の内径とマンドレル(シャンク部)のクリアランス:0.3mm
曲げ外側の肉厚:0.85mm
肉厚減少率:15%
バックブースターP1:84MPa
成形速度に対する圧力型の移動速度:+20%
素管の内径とマンドレル(シャンク部)のクリアランス:0.3mm
曲げ外側の肉厚:0.85mm
肉厚減少率:15%
バックブースターP1:252MPa
成形速度に対する圧力型の移動速度:+20%
素管の内径とマンドレル(シャンク部)のクリアランス:0.15mm
曲げ外側の肉厚:0.90mm
肉厚減少率:10%
バックブースターP1:417MPa
成形速度に対する圧力型の移動速度:+20%
素管の内径とマンドレル(シャンク部)のクリアランス:0.15mm
曲げ外側の肉厚:0.94mm
肉厚減少率:6%
バックブースターP1:588MPa
成形速度に対する圧力型の移動速度:+20%
素管の内径とマンドレル(シャンク部)のクリアランス:0.15mm
曲げ外側の肉厚:0.94mm
肉厚減少率:6%
バックブースターP1:588MPa
成形速度に対する圧力型の移動速度:+20%
素管の内径とマンドレル(シャンク部)のクリアランス:0.10mm
曲げ外側の肉厚:0.95mm
肉厚減少率:5%
(1)圧力型40にバックブースターを付加していない比較例1、5~6では、曲げ外側の肉厚が20%以上減少した。
表2は、実施例2に係る金属製曲管製造方法の効果を説明する表である。
実施例2では、比較例7~9及び本発明例4~7について、バックブースター、成形速度に対する圧力型の移動速度、素管の内径とマンドレル(シャンク部)のクリアランスを変化させて、外観検査、曲げ外側の肉厚(肉厚減少)により、本発明の効果をバックブースターの視点で検証した。
実施例2の結果は、表2に示すとおりである。なお、表2に示す比較例7~9は、実施例1における本発明例1~3である。
表3は、実施例3に係る金属製曲管製造方法の効果を説明する表である。
実施例3では、比較例8、9及び本発明例4、6、7について、バックブースター、成形速度に対する圧力型の移動速度、素管の内径とマンドレル(シャンク部)のクリアランスを変化させて、外観検査、曲げ外側の肉厚(肉厚減少)により、本発明の効果をマンドレル(シャンク部)のクリアランスの視点で検証した。
実施例3の結果は、表3に示すとおりである。なお、表3に示す比較例8、9は、実施例1における本発明例2、3である。
以上のことから、素管の内径とマンドレル(シャンク部)のクリアランスを0.1mm以上、0.15mm以下に設定することが肉厚減少を10%以下とするうえで有効であることが確認できた。
表4は、実施例4に係る金属製曲管製造方法の効果を説明する表である。
実施例4では、比較例7及び本発明例2~7について、バックブースター、成形速度に対する圧力型の移動速度、素管の内径とマンドレル(シャンク部)のクリアランスを変化させて、外観検査、曲げ外側の肉厚(肉厚減少)により、本発明の効果を成形速度に対する圧力型の移動速度の視点で検証した。
実施例4の結果は、表4に示すとおりである。なお、表4に示す比較例7は、実施例1における本発明例1である。
以上のことから、成形速度に対する圧力型の移動速度+10%以上、20%以下に設定することが肉厚減少を10%以下とするうえで有効であることが確認できた。
例えば、上記実施の形態においては、金属製曲管W100が外径D:φ38.1mm、肉厚t:1.0mm、曲げ部W10の中心線OWにおける曲率半径R:76.2mm、曲げ角度90°である場合について説明したが、金属製曲管W100の外径、肉厚、曲率半径、曲げ部の曲げ角度については任意に設定することができる。
また、素管W0の内径とシャンク部51とのクリアランスC51、及び素管W0の内径と芯金片52とのクリアランスC52を同じ値とするか別々の値とするかは任意に設定することができる。
W100 金属製曲管
W10 曲げ部
W11 曲げ内側
W12 曲げ外側
100 回転引き曲げ加工装置
10 曲げ型
20 締め型
30 ワイパー
40 圧力型
50 マンドレル
51 シャンク部(マンドレル本体)
52 芯金片(マンドレル)
60 バックブースター装置
Claims (4)
- 金属製の直管からなる素管に回転引き曲げ加工をして曲げ部を有する金属製曲管を製造する金属製曲管製造方法であって、
ワイパーに載置した素管を圧力型によって前記ワイパーに押圧し、前記素管に曲げ部が成形される成形位置と対応させて前記素管の内周に対して0.1mm以上、0.30mm以下のクリアランスを全周にわたって設定してマンドレルのシャンク部を配置し、
前記曲げ部の曲げ内側を成形する曲げ型と締め型によって前記素管の先端部分を保持させてから、
前記素管の後方から42MPa以上のバックブースターによる後方軸押し圧力を付与しながら前記圧力型を前記曲げ部の成形速度よりも5%以上高速な移動速度で前記成形位置に向かって移動させるとともに前記曲げ型と前記締め型とを前記回動軸線周りに回動させて前記曲げ部を形成することを特徴とする金属製曲管製造方法。 - 請求項1に記載の金属製曲管製造方法であって、
前記素管に252MPa以上588MPa以下のバックブースターによる後方軸押し圧力を付与することを特徴とする金属製曲管製造方法。 - 請求項1又は2に記載の金属製曲管製造方法であって、
前記素管と前記マンドレルとのクリアランスを0.1mm以上、0.15mm以下に設定することを特徴とする金属製曲管製造方法。 - 請求項1~3のいずれか一項に記載の金属製曲管製造方法であって、
前記圧力型を成形速度に対して10%以上20%以下の範囲で高速に移動させることを特徴とする金属製曲管製造方法。
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