JP7161417B2 - 被膜形成方法 - Google Patents

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本発明は、新規な装飾被膜面が形成できる被膜形成方法に関するものである。
従来、建築物、土木構造物等の壁面に対し、種々の模様を有する装飾被膜を形成することが行われている。このような装飾被膜の一例として、複数の被覆材を部分的に塗り重ねて模様を形成した装飾被膜が挙げられる。
例えば、特許文献1には、下塗り塗料を全面に塗付し、下塗り塗料の乾燥前に、下塗り塗料より濃い色の塗料(模様付け塗料)を模様付けする方法が記載されている。しかしながら、上記特許文献1では、下塗り塗料が乾燥する前に、模様付け塗料を塗付するため、被塗面において下塗り塗料と模様付け塗料が混ざりやすく、色、質感等のコントラストが減殺されるおそれがある。また、上記特許文献1では、平面的な模様しか得ることができない。
特開2008-266911号公報
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、コントラストと立体感を有する美観性の高い装飾被膜面の形成方法を提供することを目的とする。
このような課題を解決するため、本発明者は鋭意検討の結果、被塗面に、特定の複数の被覆材を特定の方法で塗付する被膜形成方法に想到し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の特徴を有するものである。
1.色差(△E)が3以上である少なくとも2種の被覆材を用いて、少なくとも2種以上の着色領域が混在する装飾被膜面を形成する被膜形成方法であって、
被塗面に、
第1被覆材を塗付する第1工程、第2被覆材を塗付する第2工程を含み、
上記第1被覆材及び第2被覆材は、いずれもJIS K5601-1-2の方法(加熱温度105℃、加熱時間60分)にて測定される加熱残分が25重量%以上であり、
上記第1被覆材を塗付け量0.5kg/m以上で被塗面全体に塗付して被膜を形成し、
上記第1被覆材の被膜が非流動状態となった後に、上記第1被覆材の被膜に対し、上記第2被覆材を、スポンジ質材を用いて不連続に塗付することを特徴とする被膜形成方法。
2.上記第1被覆材の被膜が非流動状態となる前に、第1被覆材の被膜に凹凸模様を形成させることを特徴とする1.記載の被膜形成方法。

本発明によれば、コントラストと立体感を有する美観性の高い装飾被膜面を得ることができる。
図1は、本発明により形成される装飾被膜面の一例を示す正面図である。 図2は、本発明で使用可能な押圧具の一例を示す断面図である。 図3は、本発明で使用可能なローラーの一例を示す断面図である。 図4は、本発明により形成される装飾被膜面の一例を示す正面図である。
1.装飾被膜面
1a.着色領域A
1b.着色領域B
1c.着色領域C
2.押圧具
2a~2e.スポンジ質材
2f.高さ方向
3.ローラー
3a~3e.スポンジ質材
3f.円筒外周面
3g.円筒外径方向
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明は、色差(△E)が3以上である少なくとも2種の被覆材を用いて、少なくとも2種以上の着色領域が混在する装飾被膜面を形成する被膜形成方法であって、被塗面に、第1被覆材を塗付する第1工程、第2被覆材を塗付する第2工程を含み、それぞれ特定の被覆材を特定の方法で塗付することを特徴とするものである。本発明で形成される装飾被膜面は、正面から視認した場合に、少なくとも2種以上の着色領域(例えば、着色領域A、着色領域B、・・等)が混在するものである。
図1に、本発明によって形成される装飾被膜面の一例(正面図)を示す。本発明の被膜形成方法によれば、図1のように正面から視認した場合に、着色領域A(図1:1a)と着色領域B(図1:1b)が混在し、コントラストと立体感を有する美観性の高い装飾被膜面を形成することができる。
以下、図1の装飾被膜面の形成方法を例に説明する。
図1は、被塗面に対し、第1被覆材と、第2被覆材を順に塗付し、装飾被膜面を形成したものである。
被塗面としては、例えば、建築物、土木構造物等の基材表面、具体的には、内外壁、天井、建具等の表面が挙げられる。これら被塗面を構成する基材としては、例えば、石膏ボード、コンクリート、モルタル、磁器タイル、煉瓦、セメント板、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、パーライト板、ALC板、サイディング板、押出成形板、合板、木質板、鋼板、プラスチック板、ガラス板、等が挙げられる。これら基材の表面は、何らかの表面処理が施されたものでもよく、既に塗膜が形成されたものや、壁紙が貼り付けられたものであってもよい。また、基材の表面には、第1被覆材の塗付前に、下塗材等を塗装しておいてもよい。このような下塗材等としては、例えば、公知の下塗材(例えば、シーラー、サーフェーサ、フィラー等)、あるいは、被覆材1と同色ないし共色の被覆材等が挙げられる。
第1被覆材、第2被覆材としては、互いの色差(△E)が3以上(好ましくは5以上)であるものを使用する。このように色差が特定の値であることにより、着色領域同士のコントラストを有する美観性の高い被膜を形成することができる。色差の上限は特に限定されないが、好ましくは90以下であり、所望の意匠に応じて設定することができる。例えば、コントラストを付与しつつ、統一感のある落ち着いた意匠を形成する場合には、色差の上限は30以下とすることが好ましい。一方、着色領域同士のコントラストが明瞭なアクセント意匠を形成する場合には、色差を30超90以下とすることが好ましい。
なお、本発明における色差(△E)は、色彩色差計を用いて測定される値である。具体的には、標準白紙に、それぞれの被覆材を塗付け量1kg/mで塗り、塗面を水平に置いて標準状態(気温23℃、相対湿度50%。以下同様。)で48時間乾燥したときの被膜のL値、a値、b値(測定点3箇所以上の平均値)より下記式にて算出することができる。
<式>△E={(L*1-L*2+(a*1-a*2+(b*1-b*20.5
(式中、L*1、a*1、b*1はそれぞれ第1被覆材のL、a、b。L*2、a*2、b*2はそれぞれ第2被覆材のL、a、b
本発明では、第1被覆材、第2被覆材として、上記色差条件を満たす任意の色調の被覆材を組み合わせることにより、立体的な種々の多色模様を形成することができる。本発明では、例えば、風化した石材調の模様、錆が浮き出したような模様等を形成することも可能である。
本発明における被覆材(第1被覆材、第2被覆材)としては、上記色差の条件を満たす色調を呈し、加熱残分が25重量%以上であるものが使用できる。このような被覆材としては、例えば、樹脂、着色顔料、及び充填材を含むものが使用できる。本発明では、着色顔料及び/または充填材の種類、混合比率等を調整することにより、色調、加熱残分等を設定することができる。本発明では、第1被覆材、第2被覆材として、このような同質の被覆材を使用することにより、全体的な質感に違和感がなく、自然な美観性を得ることができる。
樹脂としては、例えば、水溶性樹脂、水分散性樹脂、溶剤可溶形樹脂、無溶剤形樹脂、非水分散形樹脂等、あるいはこれらを複合したもの等が挙げられる。これらは架橋反応性を有するものであってもよく、またその形態は特に限定されず、1液型、2液型のいずれであってもよい。本発明では特に、水分散性樹脂及び/または水溶性樹脂が好適に用いられる。使用可能な樹脂の種類としては、例えば、セルロース、ポリビニルアルコール、エチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。なお、本発明では、セメント等の水硬性結合材は、被膜の色を制限するおそれがあるため使用しないことが望ましい。
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、べんがら、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、クロムグリーン、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット、アルミニウム顔料、パール顔料、光輝性顔料等が挙げられる。
これら着色顔料の1種または2種以上を用いることにより、被覆材を所望の色調に着色することができる。着色顔料の混合比率は、樹脂固形分100重量部に対して、好ましくは3~500重量部(より好ましくは5~300重量部、さらに好ましくは10~200重量部)である。なお、本発明において、「a~b」は「a以上b以下」と同義である。
充填材としては、例えば、公知の体質顔料、骨材等を使用することができる。具体的に、充填材としては、例えば、重質炭酸カルシウム、寒水石、軽微性炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、珪藻土、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、珪砂、珪石粉、石英粉、樹脂ビーズ、ガラスビーズ、中空バルーン等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用することができる。充填材としては、好ましくは1μm~5mmの平均粒子径を有するものが使用できる。具体的に、体質顔料としては、好ましくは平均粒子径1~50μmのものが使用できる。体質顔料の粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定される平均値(測定条件は、分布基準:体積、屈折率:1.60-0.10i)である。一方、骨材としては、好ましくは平均粒子径50μm超5mm以下のものが使用できる。骨材の平均粒子径は、JIS Z8801-1:2000に規定される金属製網ふるいを用いてふるい分けを行い、その重量分布の平均値を算出することによって得られる値である。
本発明では、充填材の種類、混合比率等を適宜設定することにより、被覆材を所望の加熱残分に調整することができ、立体感を付与することも可能となる。また、艶が低減された質感等を付与することもできる。充填材の混合比率は、樹脂固形分100重量部に対して、好ましくは150~2000重量部(より好ましくは250~1800重量部、さらに好ましくは350~1600重量部)である。
被覆材は、上記成分以外に、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内において、公知の添加剤、例えば、染料、増粘剤、湿潤剤、凍結防止剤、造膜助剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒、希釈溶媒等を含むものであってもよい。被覆材は、上述の各成分を常法により均一に混合することで製造することができる。
本発明において、被覆材の加熱残分は25重量%以上であり、好ましくは45~95重量%、より好ましくは55~90重量%である。本発明では、被覆材の加熱残分がこのような範囲内であることにより、コントラスト付与、立体感付与等の点で好適であり、さらに乾燥・硬化に要する時間を短縮化することができ、早期に非流動状態を得ることができる。被覆材の加熱残分が上記値に満たない場合は、コントラストが不明瞭となりやすく、立体感が得られ難く、また、非流動状態を得るのに時間を要する。なお、加熱残分は、JIS K5601-1-2の方法にて測定される値であり、加熱温度は105℃、加熱時間は60分である。
図1に示すような装飾被膜面は、被塗面に対し、第1被覆材を塗付け量0.5kg/m以上で塗付して連続的な被膜を形成し、第1被覆材の被膜が非流動状態となった後に、第2被覆材を、スポンジ質材を用いて不連続に塗付することによって形成できる。
第1被覆材を被塗面に塗付する場合には、例えば、スプレー、ローラー、コテ、へら等を使用することができる。
第1被覆材の塗付け量は0.5kg/m以上であり、好ましくは0.6kg/m以上、より好ましくは0.7~6kg/m、さらに好ましくは1~5kg/mである。第1被覆材の塗付け量が上記範囲を満たす場合、被塗面の全体を覆う連続的で立体感を有する被膜を形成することができる。なお、本発明において、塗付け量とは、被塗面に塗着した被覆材の重量である。
本発明では、第1被覆材の被膜が非流動状態となる前に、第1被覆材の被膜に凹凸模様を形成させることが望ましい。このような凹凸模様の付与は、第1被覆材を塗付した時、ないし塗付した後に行うことができる。後者の場合、第1被覆材を塗付した後、第1被覆材の被膜が流動状態である間に(好ましくは第1被覆材を塗付した直後に)、凹凸模様を形成させることが望ましい。凹凸模様の付与は、塗装器具、塗付方法、塗面処理用器具、塗面処理方法等を適宜選定して行うことができる。
第1被覆材塗付時に凹凸模様を付与する方法としては、例えば、第1被覆材を玉状に吹付け(スプレー)塗装する方法、配りローラーや多孔質ローラー等を用いて塗装する方法等が挙げられる。
第1被覆材塗付後における凹凸模様の付与は、例えば、デザインローラー、コテ、刷毛、櫛、へら等から選ばれる1種以上を用いて、塗面を処理することによって行うことができる。このような処理は、例えば、所望の凹凸模様に応じて、非流動状態となる前の第1被覆材の塗面を部分的に押圧したり、引き上げたり、除去したりすること等によって行われる。
このような方法によって形成される凹凸模様の種類としては、例えば、スタッコ状、吹付けタイル状、ゆず肌状、凹凸状、月面状、櫛引状、波状、縞状、虫食い状、砂岩状、割石状、リシン状、こぶ出し状、扇状、筋状、じゅらく状、土壁状、木目状、峡谷状、れんが状、渦状、水紋状、幾何学状等が挙げられる。凹凸模様の高低差は、好ましくは0.1~8mm、より好ましくは0.2~5mmである。
第2被覆材を塗付するタイミングは、第1被覆材が非流動状態となった後であれば、特に限定されない。本発明において、「非流動状態」とは、第1被覆材を塗付した後、被膜の流動性が失われた状態のことをいい、具体的には、第2被覆材を塗付しても滲みを生じない程度、あるいは各被覆材が互いに混ざらない程度に乾燥・硬化した状態のことをいう。この「非流動状態」には、JIS K5400に規定される指触乾燥、半硬化乾燥、硬化乾燥等の状態も含まれる。本発明では、第1被覆材の指触乾燥後(より好ましくは半硬化乾燥後、さらに好ましくは硬化乾燥後)に、第2被覆材を塗付することが好ましい。なお、本発明において、乾燥・硬化は、好ましくは常温(5~40℃)で行えばよい。
本発明とは異なり、第1被覆材が流動状態であるうちに第2被覆材を塗付すると、塗装工程中、塗付器具において次第に第1被覆材と第2被覆材が混ざってしまい、形成される被膜の仕上がり性が不安定化するおそれがある。被塗面においても各被覆材が混ざり合い、コントラストが減殺されやすくなってしまう。さらに、立体感が損われるおそれもある。これに対し、本発明では、第1被覆材が非流動状態となった後に、第2被覆材を不連続に塗付することによって、各被覆材が混ざりにくく、安定した仕上がりを付与することができ、コントラストと立体感を有する美観性の高い装飾被膜を得ることができる。
第2被覆材の塗付け量は、所望の仕上り(模様等)に応じて、適宜設定すればよいが、第1被覆材よりも第2被覆材の塗付け量が少ないことが好ましく、好ましくは0.5kg/m以下、より好ましくは0.005~0.3kg/m、さらに好ましくは0.01~0.2kg/mである。第2被覆材の塗付け量が上記範囲を満たす場合、不連続な被膜が形成されやすく、異色の着色領域が混在する装飾被膜面を安定して形成することができる。
本発明では、第2被覆材を不連続に塗付する際、スポンジ質材を用いることにより、コントラストを付与しつつ、着色領域同士の境界を非直線状態(入り組んだ状態)にすることができ、美観性を高めることができる。本発明では、このようなスポンジ質材の使用により、自然感等を表出することもできる。第2被覆材を不連続に塗付する際、ウールローラー等の繊維質材を用いた場合は、着色領域同士の境界において、スポンジ質材使用時のような非直線状態(入り組んだ状態)は得られ難く、美観性は不十分となりやすい。
第2被覆材を不連続に塗付する工程では、スポンジ質材を用いて、第1被覆材の被膜に対し、第2被覆材が部分的に塗着するように塗付すればよい。第2被覆材を不連続に塗付するには、第1被覆材の被膜にスポンジ質材を断続的(部分的)に接触させればよく、例えば、押すように塗付する方法、叩くように塗付する方法、擦りながら塗付する方法等を採用することができる。この工程では、スポンジ質材を有する塗付器具が使用でき、スポンジ質材を有するローラーまたは押圧具が好適である。なお、スポンジ質材を有するローラーを使用する場合は、不連続に転動させて塗付する、すなわち、第1被覆材の被膜に断続的(部分的)に接触・転動させることが好ましい。この際、ローラーは、例えばランダム方向に接触・転動させることができる。
スポンジ質材としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エステル樹脂、エチレン樹脂等の樹脂をスポンジ状に多孔化したものが使用できる。スポンジ質材の硬度は、好ましくは10~3000N、より好ましくは20~2000N、さらに好ましくは30~1500Nである。スポンジ質材の密度は、好ましくは1~300kg/m、より好ましくは3~200kg/m、より好ましくは5~150kg/mである。ここで言う、「硬度」とは、JIS K6400-2に準じ、試験片の厚さ40%まで圧縮したときの力から測定される硬さ(C法)の値である。また、「密度」とは、JIS K7222に準じ、試験片の重量及び寸法から算出される見掛け密度の値である。
スポンジ質材の形状としては、その断面が、例えば、三角形、四角形、ひし型、五角形、六角形等の多角形、円形、楕円形、ドロップ(水滴)型等の曲面を有する形状、あるいは不定形等、さらには、これらを組み合わせた形状のものが使用できる。その大きさは、所望の模様により適宜設定すればよい。
スポンジ質材としては、上記条件を満たす1種のスポンジ材を使用することができるが、例えば、図2に示すような硬度及び/または密度が異なる少なくとも2種以上のスポンジ質材(図2:2a~2e)がランダムに混在する押圧具や、図3に示すような硬度及び/または密度が異なる少なくとも2種以上のスポンジ質材(図3:3a~3e)が円筒外周面(図3:3f)に混在するローラーよって塗付することが好ましい。このような塗付器具では、少なくとも1種(好ましくは2種以上)のスポンジ質材が上記条件を満たせばよい。このような特定の塗付器具を使用することにより、着色領域同士の境界がよりいっそう複雑に入り組んだランダムな模様を容易かつ効率的に形成することができ、美観性向上化、作業性向上化等を図ることができる。
図2、図3において、上記スポンジ質材は、積み重なるように固定されている形態がより好ましい。さらには、多数のスポンジ質材がランダムに混在するように圧縮成形された形態であることがいっそう好ましい。
図2、図3のスポンジ質材は、外形が不定形の立体形のものであり、その個々の大きさは、好ましくは1~30mm(より好ましくは2~20mm)である。本発明では、大きさの異なる多数のスポンジ質材が混在することが好ましい。このような場合、スポンジ質材どうしの間で不定形の凹凸形状が形成されやすいため、本発明の効果をいっそう高めることができる。なお、ここで言う「大きさ」は、外形の最長軸であり、例えば、一辺が所定寸法の升目を有する篩いにより篩い分けされて測定されるものである。また、スポンジ質材の厚み(図2:2f方向の厚み、図3:3g方向の厚み)は、個々のスポンジ質材の大きさにもよるが、好ましくは2~50mm(より好ましくは3~30mm)である。
図4に、本発明の装飾被膜面の形成方法によって形成される装飾被膜面の別の一例(正面図)を示す。図4は、被覆材として、第1被覆材と、第2被覆材と、第3被覆材の3種の被覆材を順に塗付し、第1被覆材による着色領域A、第2被覆材による着色領域B、第3被覆材による着色領域C(図4:1a~1c)を有する装飾被膜面を形成したものである。図4に示す装飾被膜面は、上記図1の場合と同様の方法で第1工程、第2工程を行った後、第3工程として、第3被覆材を不連続に塗付する方法、等により形成できる。第3被覆材としては、例えば、上述の第1被覆材や第2被覆材と同様のものが使用でき、その色調、加熱残分、塗付け量等は適宜設定することができる。第3被覆材の色調は、第1被覆材及び/または第2被覆材と異色であってもよいし、同色であってもよい。
異なる4種以上の被覆材を使用する場合も、同様に、第1被覆材、第2被覆材を上記方法によって塗付した後、第3被覆材、第4被覆材・・・等を不連続に塗付して、着色領域A、着色領域B、着色領域C、着色領域D・・・等を有する装飾被膜面を形成すればよい。
本発明では、装飾被膜面を区画して、目地模様を形成させてもよい。目地模様形成の際には、例えば目地材を被塗面に貼着し、被覆材を塗装した後、当該目地材を除去する方法等が採用できる。
本発明の被膜形成方法では、本発明の効果を阻害しない限り、例えば表面保護、耐候性向上、耐汚染性等の目的で、最表面にクリヤー被覆材を塗付して、クリヤー層を設けることもできる。このようなクリヤー層は、無色透明、着色透明のいずれであってもよく、また艶有り、艶消し(7分艶、5分艶、3分艶等を含む)のいずれであってもよい。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
被覆材として、以下のものを用意した。
・被覆材1
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部、着色顔料(酸化チタン、カーボンブラック、黄色酸化鉄、べんがら)25重量部、充填材(平均粒子径10μmの炭酸カルシウム、平均粒子径0.2mmの寒水石、平均粒子径1mmの寒水石)600重量部を主成分とする淡黄色系被覆材(L値:84.8、a値:1.3、b値:22.5、加熱残分:76重量%)
・被覆材2
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部、着色顔料(酸化チタン、カーボンブラック、黄色酸化鉄、べんがら)50重量部、充填材(平均粒子径10μmの炭酸カルシウム、平均粒子径40μmの珪藻土)450重量部を主成分とする淡褐色系被覆材(L値:75.4、a値:12.7、b値:42.0、加熱残分:77重量%、被覆材1との△E:24.5)
(実施例1)
下塗り塗装(被覆材1と同色)が施されたスレート板に対し、第1工程として被覆材1を塗付け量2.5kg/mで全面に吹付け塗装し、直ちにコテで塗面を均しながら虫食い状の凹凸模様(高低差0.2~1mm)を形成させた。その後、非流動状態(指触乾燥以上)となるように2時間乾燥させた。次いで、第2工程として被覆材2を塗付け量0.06kg/mで不連続に叩き塗りし[スポンジ質材(硬度110~140N、密度15~50kg/m)からなる押圧具を使用]、24時間乾燥させた。塗装及び乾燥は、全て標準状態(気温23℃、相対湿度50%)にて行った。以上の方法より、虫食い状の凹凸模様に淡黄色領域と淡褐色領域が混在し、コントラストと立体感を有する装飾被膜面が得られた。
(実施例2)
第2工程において、被覆材2を塗付け量0.05kg/mで不連続に叩き塗り[スポンジ質材(硬度75~110N、密度15~30kg/m)からなる押圧具を使用]した他は、実施例1と同様の方法で塗装を行った。以上の方法より、虫食い状の凹凸模様に淡黄色領域と淡褐色領域が混在し、コントラストと立体感を有する装飾被膜面が得られた。
(実施例3)
第2工程において、被覆材2を塗付け量0.06kg/mで不連続にローラー塗り[図3に示すような5種のスポンジ質材を有するローラーを使用。(スポンジ質材3a:硬度45~60N、密度50~100kg/m、スポンジ質材3b:硬度75~110N、密度15~30kg/m、スポンジ質材3c:硬度110~140N、密度15~50kg/m、スポンジ質材3d:硬度110~300N、密度30~85kg/m、スポンジ質材3e:硬度1000~1500N、密度10~20kg/m)]した他は、実施例1と同様の方法で塗装を行った。以上の方法より、虫食い状の凹凸模様に淡黄色領域と淡褐色領域が混在し、コントラストと立体感を有する装飾被膜面が得られた。この実施例3では、着色領域同士の境界をより複雑な非直線状(入り組んだ模様)にすることができ、いっそう美観性の高い装飾被膜面が得られた。



Claims (2)

  1. 色差(△E)が3以上である少なくとも2種の被覆材を用いて、少なくとも2種以上の着色領域が混在する装飾被膜面を形成する被膜形成方法であって、
    被塗面に、
    第1被覆材を塗付する第1工程、第2被覆材を塗付する第2工程を含み、
    上記第1被覆材及び第2被覆材は、いずれもJIS K5601-1-2の方法(加熱温度105℃、加熱時間60分)にて測定される加熱残分が25重量%以上であり、
    上記第1被覆材を塗付け量0.5kg/m以上で被塗面全体に塗付して被膜を形成し、
    上記第1被覆材の被膜が非流動状態となった後に、上記第1被覆材の被膜に対し、上記第2被覆材を、スポンジ質材を用いて不連続に塗付することを特徴とする被膜形成方法。
  2. 上記第1被覆材の被膜が非流動状態となる前に、第1被覆材の被膜に凹凸模様を形成させることを特徴とする請求項1記載の被膜形成方法。

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