JP3195657U - 被膜積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量性、美観性等に優れた被膜積層体を提供する。【解決手段】本考案の被膜積層体は、基材1上に、下塗層2、第1上塗層31及び第2上塗層32が順に積層された被膜積層体である。第1上塗層及び第2上塗層はそれぞれ、2色以上の扁平状着色樹脂粒子を有し、第1上塗層における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径は、第2上塗層における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径よりも小さいことを特徴とする。【選択図】図1
Description
本考案は、新規な被膜積層体に関するものである。本考案は、主に建築物や土木構造物等に対して適用できる。
従来、建築物や土木構造物の壁面等においては、表面化粧材として天然石が多く用いられている。このような材料では、天然物特有の深みのある美観性が表出できる。しかし、天然石については、高価であること、加工し難いこと、高重量であること等の短所が挙げられる。特に、加工し難く、高重量である点は、壁面等に適用する際の施工性、安全性に悪影響を及ぼすおそれがある。
このような背景の下、近年、塗材によって天然石調の仕上げを得る手法が種々提案されている。例えば、特開平11−130980(特許文献1)には、0.05〜5mmの粒径を有する骨材と、シリコン原子を樹脂骨格中に含むアクリル樹脂エマルジョンを含有する組成物が記載されている。特開2000−15999(特許文献2)には、10〜1000μmの範囲内において粒径の均一さを備えた着色骨材が、無色透明なバインダーに混合分散されてなる塗材が記載されている。しかし、このような塗材は、骨材を主成分とするため、材料の比重が比較的大きい。さらに塗装時の所要量も比較的多く必要となるため、軽量化の点で限界がある。
一方、特開平5−237444(特許文献3)、特開2005−238138(特許文献4)等には、異なる色の複数の着色塗料をスプレー塗装することによって、天然石調模様を形成する方法が開示されている。このような方法は、上記特許文献1、2の手法に比べ軽量化の点で有利である。しかし、特許文献3、4の方法では、形成模様が人工的な印象を与えるものとなりやすく、美観性において改善の余地がある。
本考案は、上述のような問題点に鑑みなされたものであり、軽量性、美観性等に優れた被膜積層体を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するため、本考案者は鋭意検討の結果、基材上に、下塗層と、特定2種の上塗層を設けた被膜積層体に想到し、本考案を完成させるに到った。
すなわち、本考案は以下の特徴を有するものである。
1.基材上に、下塗層、第1上塗層及び第2上塗層が順に積層された被膜積層体であって、
上記第1上塗層及び上記第2上塗層はそれぞれ、2色以上の扁平状着色樹脂粒子を有し、
上記第1上塗層における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径は、上記第2上塗層における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径よりも小さいことを特徴とする被膜積層体。
上記第1上塗層及び上記第2上塗層はそれぞれ、2色以上の扁平状着色樹脂粒子を有し、
上記第1上塗層における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径は、上記第2上塗層における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径よりも小さいことを特徴とする被膜積層体。
2.基材上に、下塗層、第1上塗層及び第2上塗層が順に積層された被膜積層体であって、
上記第1上塗層及び上記第2上塗層はそれぞれ、2色以上の扁平状着色樹脂粒子を有し、
上記第1上塗層における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径は、上記第2上塗層における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径よりも小さく、
上記第1上塗層と上記第2上塗層は、扁平状着色樹脂粒子の色の種類が同一であることを特徴とする被膜積層体。
上記第1上塗層及び上記第2上塗層はそれぞれ、2色以上の扁平状着色樹脂粒子を有し、
上記第1上塗層における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径は、上記第2上塗層における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径よりも小さく、
上記第1上塗層と上記第2上塗層は、扁平状着色樹脂粒子の色の種類が同一であることを特徴とする被膜積層体。
3.上記第1上塗層及び/または上記第2上塗層における扁平状着色樹脂粒子の1色は、上記下塗層と同色である1.または2.記載の被膜積層体。
4.上記第1上塗層及び/または上記第2上塗層における扁平状着色樹脂粒子として、透光性を有するものを含む1.または2.記載の被膜積層体。
5.上記第1上塗層及び/または上記第2上塗層における扁平状着色樹脂粒子は、透明樹脂によって固定化されている1.または2.記載の被膜積層体。
6.上記下塗層が凹凸形状を有する1.または2.記載の被膜積層体。
7.上記第2上塗層の上に透明層を有する1.または2.記載の被膜積層体。
4.上記第1上塗層及び/または上記第2上塗層における扁平状着色樹脂粒子として、透光性を有するものを含む1.または2.記載の被膜積層体。
5.上記第1上塗層及び/または上記第2上塗層における扁平状着色樹脂粒子は、透明樹脂によって固定化されている1.または2.記載の被膜積層体。
6.上記下塗層が凹凸形状を有する1.または2.記載の被膜積層体。
7.上記第2上塗層の上に透明層を有する1.または2.記載の被膜積層体。
上記1.〜7.の被膜積層体では、第1上塗層及び第2上塗層が、いずれも2色以上の扁平状着色樹脂粒子を有し、これらによって模様が形成される。このような被膜積層体によれば、軽量性、美観性等において優れた効果が得られる。特に、このような被膜積層体は、大柄模様の形成に有利であり、天然石調等の美観性を表出することも可能である。
さらに上記2.の被膜積層体によれば、軽量性、美観性等について一層優れた効果が得られる。
上記3.の被膜積層体は、仕上外観においてムラが生じ難く、美観性向上の点で有利である。
上記4.の被膜積層体では、透明感、深み感等が付与され、美観性が一層高まり、天然石調等の仕上外観も得られやすくなる。
上記5.の被膜積層体では、上塗層の剥離等が防止され、耐久性が高まる。
上記6.の被膜積層体では、仕上外観において立体感が付与され、美観性が一層高まる。
上記7.の被膜積層体では、透明感、深み感等が高まり、さらに耐候性、耐汚染性等も向上する。
さらに上記2.の被膜積層体によれば、軽量性、美観性等について一層優れた効果が得られる。
上記3.の被膜積層体は、仕上外観においてムラが生じ難く、美観性向上の点で有利である。
上記4.の被膜積層体では、透明感、深み感等が付与され、美観性が一層高まり、天然石調等の仕上外観も得られやすくなる。
上記5.の被膜積層体では、上塗層の剥離等が防止され、耐久性が高まる。
上記6.の被膜積層体では、仕上外観において立体感が付与され、美観性が一層高まる。
上記7.の被膜積層体では、透明感、深み感等が高まり、さらに耐候性、耐汚染性等も向上する。
以下、本考案を実施するための形態について説明する。
図1に、本考案被膜積層体の一例を示す。図1は被膜積層体の断面図である。
図1に、本考案被膜積層体の一例を示す。図1は被膜積層体の断面図である。
本考案は、建築物、土木構造物等の表面被覆に適用することができる。
本考案における基材1としては、例えば、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、パーライト板、合板、煉瓦、プラスチック板、金属板、ガラス、磁器タイル等が挙げられる。これら基材1の表面は、何らかの表面処理(例えば、フィラーやパテによる処理等)が施されたものでもよく、既に被膜が形成されたものや、壁紙が貼り付けられたもの等であってもよい。また基材1は、平坦であっても、凹凸を有するものであってもよい。
本考案における基材1としては、例えば、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、パーライト板、合板、煉瓦、プラスチック板、金属板、ガラス、磁器タイル等が挙げられる。これら基材1の表面は、何らかの表面処理(例えば、フィラーやパテによる処理等)が施されたものでもよく、既に被膜が形成されたものや、壁紙が貼り付けられたもの等であってもよい。また基材1は、平坦であっても、凹凸を有するものであってもよい。
基材1の表面には、下塗層2が設けられる。下塗層2は、基材1に対し、下塗材を塗装することで形成できる。このような下塗材は、通常、基材全面に均一に塗装すればよい。下塗材の塗装時には、スプレー、ローラー、刷毛等の各種塗装器具が使用できる。本考案では、2種以上の下塗材を塗装して下塗層を形成することもできる。
上記下塗材としては、合成樹脂に各種粉粒体を混合したものが使用できる。このうち合成樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アクリル酢酸ビニル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。合成樹脂の形態は特に限定されないが、水分散性樹脂(樹脂エマルション)が好適である。
下塗材における粉粒体としては、例えば着色顔料、体質顔料、骨材等が使用できる。下塗層2の色調は、これら粉粒体の種類及び比率を適宜設定することによって調製できる。下塗層2の色調は、第1上塗層31及び第2上塗層32の色調を考慮して、設定すればよい。
本考案では、下塗層2として、凹凸形状を有するものが使用できる。この場合、仕上外観に立体感が付与され、美観性が向上する。凹凸形状としては、例えば、ゆず肌模様、さざ波模様、スタッコ模様、砂壁模様、石材模様、岩肌模様、砂岩模様、吹放し模様、月面模様、櫛引模様、虫喰模様、木目模様、筋状模様、格子状模様、幾何学模様等、種々の凹凸形状が挙げられる。このような凹凸形状を形成する際には、体質顔料、骨材等を比較的高比率で含む下塗材を使用すればよい。
下塗層2の塗付け量(固形分)は、下塗材の種類にもよるが、好ましくは50〜5000g/m2、より好ましくは100〜4000g/m2である。
本考案被膜積層体は、下塗層2の上に、第1上塗層31及び第2上塗層32を有する。これら上塗層3は、いずれも、2色以上の扁平状着色樹脂粒子を有する。
図1では、第1上塗層31が、扁平状着色樹脂粒子31a、31b、31cによって形成されている。扁平状着色樹脂粒子31a、31b、31cは、それぞれ異なる色調を有している。第2上塗層32は、扁平状着色樹脂粒子32a、32b、32cによって形成されており、これら32a、32b、32cは、それぞれ異なる色調を有するものである。
各層を構成する扁平状着色樹脂粒子は、互いに密接した状態で存在していてもよいし、間隙を挟んだ状態で存在していてもよい。
図1では、第1上塗層31が、扁平状着色樹脂粒子31a、31b、31cによって形成されている。扁平状着色樹脂粒子31a、31b、31cは、それぞれ異なる色調を有している。第2上塗層32は、扁平状着色樹脂粒子32a、32b、32cによって形成されており、これら32a、32b、32cは、それぞれ異なる色調を有するものである。
各層を構成する扁平状着色樹脂粒子は、互いに密接した状態で存在していてもよいし、間隙を挟んだ状態で存在していてもよい。
本考案では、第1上塗層31における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径を、上記第2上塗層32における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径よりも小さく設定する。このような設定によって、本考案では、軽量性、美観性等において優れた効果が得られる。このような効果が得られる理由としては、
(i)扁平状着色樹脂粒子自体の比重が小さいこと、
(ii)扁平状着色樹脂粒子の使用量を少なくしても、美観性に優れた仕上外観が得られること、
等が考えられる。
なお、扁平状着色樹脂粒子の粒子径とは、扁平状着色樹脂粒子を水平面に安定に静置させ、上から観察したときの最大直径のことである。このような粒子径の平均値を算出することにより、各層における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径が求められる。
(i)扁平状着色樹脂粒子自体の比重が小さいこと、
(ii)扁平状着色樹脂粒子の使用量を少なくしても、美観性に優れた仕上外観が得られること、
等が考えられる。
なお、扁平状着色樹脂粒子の粒子径とは、扁平状着色樹脂粒子を水平面に安定に静置させ、上から観察したときの最大直径のことである。このような粒子径の平均値を算出することにより、各層における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径が求められる。
第1上塗層31における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径は、上記条件を満たせばよいが、好ましくは0.5〜10mm、より好ましくは1〜6mmである。
第2上塗層32における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径は、第1上塗層31における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径よりも大であればよいが、好ましくは3mm以上、より好ましくは7〜20mmである。
第2上塗層32における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径は、第1上塗層31における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径よりも大であればよいが、好ましくは3mm以上、より好ましくは7〜20mmである。
本考案において、第1上塗層31と第2上塗層32は、扁平状着色樹脂粒子の色の種類が同一であることが望ましい。このような態様としては、図1において、31aと32aが同色、31bと32bが同色、31cと32cが同色である場合等が挙げられる。このような態様の被膜積層体では、軽量性、美観性等について一層優れた効果が得られる。
なお、本考案における「同色」とは、視覚的に略同じ色として認識できることを意味する。具体的には、相互の色差が、通常5以下(好ましくは4以下、より好ましくは3以下)であればよい。この色差(△E)は、対象物の色データ(L*、a*、b*)を測定することにより、算出できる。色差は、色差計を用いて測定することができる。
これに対し「異色」とは、視覚的に異なる色として認識できることを意味し、その色差が、通常5を超える(好ましくは6以上、より好ましくは8以上)ものである。
これに対し「異色」とは、視覚的に異なる色として認識できることを意味し、その色差が、通常5を超える(好ましくは6以上、より好ましくは8以上)ものである。
本考案において、第1上塗層31及び/または第2上塗層32における扁平状着色樹脂粒子の1色は、下塗層2と同色であることが望ましい。特に、第1上塗層31における扁平状着色樹脂粒子の1色と、第2上塗層32における扁平状着色樹脂粒子の1色と、下塗層2とが同色であることが、より望ましい。このような態様の被膜積層体は、仕上外観においてムラが生じ難く、美観性向上の点で有利である。
本考案では、第1上塗層31及び/または第2上塗層32における扁平状着色樹脂粒子として、透光性を有するものを含むことが望ましい。透光性を有する扁平状着色樹脂粒子は、可視光透過性を有するものであり、その隠蔽性は低い。このような扁平状着色樹脂粒子を有する態様では、仕上外観に透明感、深み感等が付与され、美観性向上効果が得られる。
透光性を有する扁平状着色樹脂粒子は、各上塗層中に、少なくとも1色含まれることが望ましく、2色以上含まれることがより望ましい。
透光性を有する扁平状着色樹脂粒子は、各上塗層中に、少なくとも1色含まれることが望ましく、2色以上含まれることがより望ましい。
第1上塗層31、第2上塗層32は、いずれも以下の(1)または(2)の方法によって形成できる。
(1)少なくとも2色以上の着色樹脂粒子が媒体中に分散した上塗材を塗付する。
(2)異色の着色材を少なくとも2色以上用意し、これらを粒状に塗付する。
(1)少なくとも2色以上の着色樹脂粒子が媒体中に分散した上塗材を塗付する。
(2)異色の着色材を少なくとも2色以上用意し、これらを粒状に塗付する。
本考案では、上記(1)が好適である。上記(1)では、1種の上塗材の中に、2色以上の着色樹脂粒子が含まれる。具体的に、このような着色樹脂粒子としては、合成樹脂及び着色顔料を含む、液状またはゲル状の粒子が使用できる。このうち合成樹脂としては、前記下塗材で例示したもの等が使用でき、その形態は、水分散性樹脂及び/または水溶性樹脂が好適である。
このような態様の被覆材を用いることにより、1回の塗装で各上塗層が形成できる。また、着色樹脂粒子の色調、透光性等が容易に調製でき、塗装後の上塗層では扁平状の粒子形状が得られやすくなる。
上記(1)の塗装においては、吹付け、ローラー塗り、刷毛塗り等の手段が採用できる。このうち、吹付け塗装を行う場合は、吹付け時の圧力を適宜設定することにより、扁平状着色樹脂粒子の粒子径が調整できる。すなわち、この方法によれば、1種の被覆材によって、第1上塗層と第2上塗層がそれぞれ形成できる。
このような態様の被覆材を用いることにより、1回の塗装で各上塗層が形成できる。また、着色樹脂粒子の色調、透光性等が容易に調製でき、塗装後の上塗層では扁平状の粒子形状が得られやすくなる。
上記(1)の塗装においては、吹付け、ローラー塗り、刷毛塗り等の手段が採用できる。このうち、吹付け塗装を行う場合は、吹付け時の圧力を適宜設定することにより、扁平状着色樹脂粒子の粒子径が調整できる。すなわち、この方法によれば、1種の被覆材によって、第1上塗層と第2上塗層がそれぞれ形成できる。
各上塗層における扁平状着色樹脂粒子は、透明樹脂によって固定化されていることが望ましい。このような透明樹脂によって、上塗層の剥離等が防止され、耐久性が高まる。このような態様の上塗層は、上記(1)において、媒体中に透明樹脂を含む上塗材を用いることによって、形成することができる。
上記(2)では、合成樹脂及び着色顔料を含む着色材を2種以上用意する。上記(2)では、塗装時に着色材が粒状化できる塗装方法を採用することができ、特に吹付け塗装が好適である。これら着色材は同時に、または順に塗装すればよい。複数種の着色材を同時に塗装する場合には、塗装器具として多頭型吹付け塗装機等を使用することができる。
本考案において、第1上塗層31の塗付け量(固形分)は、好ましくは10〜150g/m2、より好ましくは20〜100g/m2である。第2上塗層32の塗付け量(固形分)は、好ましくは10〜200g/m2、より好ましくは30〜150g/m2である。
なお、上塗層3は、通常、下塗層2の全面に設ければよいが、下塗層2の一部に設けることもできる。例えば、凹凸形状を有する下塗層2の凸部のみに上塗層3を設けることにより、目地模様等を有する仕上外観が得られる。
なお、上塗層3は、通常、下塗層2の全面に設ければよいが、下塗層2の一部に設けることもできる。例えば、凹凸形状を有する下塗層2の凸部のみに上塗層3を設けることにより、目地模様等を有する仕上外観が得られる。
本考案では、第2上塗層32の上に、透明層4を設けることができる(図2)。このような態様の被膜積層体では、透明感、深み感等が高まり、さらに耐候性、耐汚染性等も向上する。
このような透明層4は、透明被覆材の塗装によって形成できる。透明被覆材として、親水性被膜が形成できるものを使用すれば、耐汚染性を一層高めることもできる。透明層4の塗付け量(固形分)は、好ましくは1〜300g/m2、より好ましくは2〜200g/m2である。
このような透明層4は、透明被覆材の塗装によって形成できる。透明被覆材として、親水性被膜が形成できるものを使用すれば、耐汚染性を一層高めることもできる。透明層4の塗付け量(固形分)は、好ましくは1〜300g/m2、より好ましくは2〜200g/m2である。
以下に実施例を示し、本考案の特徴をより明確にする。
・上塗材A
灰色樹脂粒子(アクリル樹脂エマルション、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、酸化チタン、水を主成分とする着色材の粒状化物、粒子径約9mm)と、濃灰色樹脂粒子(アクリル樹脂エマルション、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、酸化チタン、水を主成分とする着色材の粒状化物、粒子径約10mm)と、黒色樹脂粒子(アクリル樹脂エマルション、黒色酸化鉄、水を主成分とする着色材の粒状化物、粒子径約8mm)とが水性媒体(透明樹脂としてアクリル樹脂エマルションを含む)に分散した上塗材Aを製造した。なお、灰色樹脂粒子と濃灰色樹脂粒子と黒色樹脂粒子の重量比率は、35:35:30である。また、各着色樹脂粒子は透光性を有するものである。
灰色樹脂粒子(アクリル樹脂エマルション、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、酸化チタン、水を主成分とする着色材の粒状化物、粒子径約9mm)と、濃灰色樹脂粒子(アクリル樹脂エマルション、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、酸化チタン、水を主成分とする着色材の粒状化物、粒子径約10mm)と、黒色樹脂粒子(アクリル樹脂エマルション、黒色酸化鉄、水を主成分とする着色材の粒状化物、粒子径約8mm)とが水性媒体(透明樹脂としてアクリル樹脂エマルションを含む)に分散した上塗材Aを製造した。なお、灰色樹脂粒子と濃灰色樹脂粒子と黒色樹脂粒子の重量比率は、35:35:30である。また、各着色樹脂粒子は透光性を有するものである。
その他の被覆材としては、以下のものを用意した。
・下塗材A(色調:灰色(上塗材Aの灰色樹脂粒子との色差0.5)、顔料重量濃度:70%、主成分:アクリル樹脂エマルション、重質炭酸カルシウム、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、酸化チタン、及び水)
・下塗材B(色調:灰色(上塗材Aの灰色樹脂粒子との色差0.6)、顔料重量濃度:90%、主成分:アクリル樹脂エマルション、重質炭酸カルシウム、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、酸化チタン、及び水)
・透明被覆材A(主成分:アクリル樹脂エマルション)
・下塗材A(色調:灰色(上塗材Aの灰色樹脂粒子との色差0.5)、顔料重量濃度:70%、主成分:アクリル樹脂エマルション、重質炭酸カルシウム、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、酸化チタン、及び水)
・下塗材B(色調:灰色(上塗材Aの灰色樹脂粒子との色差0.6)、顔料重量濃度:90%、主成分:アクリル樹脂エマルション、重質炭酸カルシウム、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、酸化チタン、及び水)
・透明被覆材A(主成分:アクリル樹脂エマルション)
(実施例1)
スレート板に対し、下塗材Aを塗付け量140g/m2(固形分)にて刷毛塗りした後、標準状態(気温23℃、相対湿度50%)で3時間乾燥し、平坦な下塗層を形成した。
この下塗層の上に、上塗材Aを塗付け量40g/m2(固形分)にて高圧でスプレー塗装し、標準状態で3時間乾燥した。この工程により、平均粒子径0.2mmの3色の扁平状着色樹脂粒子(灰色、濃灰色、及び黒色)が密集した第1上塗層が形成された。
次に、この第1上塗層の上に、上塗材Aを塗付け量60g/m2(固形分)にて低圧でスプレー塗装し、標準状態で3時間乾燥した。この工程により、平均粒子径10mmの3色の扁平状着色樹脂粒子(灰色、濃灰色、及び黒色)が散在した第2上塗層が形成された。
以上の方法で得られた試験板の仕上外観は、透明感、深み感、大柄感等を有し、ムラ等もなく、美観性に優れるものであった。
スレート板に対し、下塗材Aを塗付け量140g/m2(固形分)にて刷毛塗りした後、標準状態(気温23℃、相対湿度50%)で3時間乾燥し、平坦な下塗層を形成した。
この下塗層の上に、上塗材Aを塗付け量40g/m2(固形分)にて高圧でスプレー塗装し、標準状態で3時間乾燥した。この工程により、平均粒子径0.2mmの3色の扁平状着色樹脂粒子(灰色、濃灰色、及び黒色)が密集した第1上塗層が形成された。
次に、この第1上塗層の上に、上塗材Aを塗付け量60g/m2(固形分)にて低圧でスプレー塗装し、標準状態で3時間乾燥した。この工程により、平均粒子径10mmの3色の扁平状着色樹脂粒子(灰色、濃灰色、及び黒色)が散在した第2上塗層が形成された。
以上の方法で得られた試験板の仕上外観は、透明感、深み感、大柄感等を有し、ムラ等もなく、美観性に優れるものであった。
(実施例2)
上記実施例1で得られた試験板に対し、さらに透明被覆材Aを塗付け量100g/m2(固形分)にてスプレー塗装した後、標準状態で3時間乾燥し、透明層を形成した。
以上の方法で得られた試験板では、実施例1に比べ、透明感、深み感等が一層向上した。
上記実施例1で得られた試験板に対し、さらに透明被覆材Aを塗付け量100g/m2(固形分)にてスプレー塗装した後、標準状態で3時間乾燥し、透明層を形成した。
以上の方法で得られた試験板では、実施例1に比べ、透明感、深み感等が一層向上した。
(実施例3)
スレート板に対し、下塗材Aを塗付け量140g/m2(固形分)にて刷毛塗りし、標準状態で3時間乾燥した後、下塗材Bを塗付け量1200g/m2(固形分)にてローラー塗装し、標準状態で24時間乾燥した。以上の工程により、さざ波状の凹凸模様を有する下塗層が形成された。
この下塗層の上に、上塗材Aを塗付け量55g/m2(固形分)にて高圧でスプレー塗装し、標準状態で3時間乾燥した。この工程により、平均粒子径0.2mmの3色の扁平状着色樹脂粒子(灰色、濃灰色、及び黒色)が密集した第1上塗層が形成された。
次に、この第1上塗層の上に、上塗材Aを塗付け量70g/m2(固形分)にて低圧でスプレー塗装し、標準状態で3時間乾燥した。この工程により、平均粒子径10mmの3色の扁平状着色樹脂粒子(灰色、濃灰色、及び黒色)が散在した第2上塗層が形成された。
以上の方法で得られた試験板の仕上外観は、透明感、深み感、大柄感等を有し、ムラ等もなく、美観性に優れるものであった。
スレート板に対し、下塗材Aを塗付け量140g/m2(固形分)にて刷毛塗りし、標準状態で3時間乾燥した後、下塗材Bを塗付け量1200g/m2(固形分)にてローラー塗装し、標準状態で24時間乾燥した。以上の工程により、さざ波状の凹凸模様を有する下塗層が形成された。
この下塗層の上に、上塗材Aを塗付け量55g/m2(固形分)にて高圧でスプレー塗装し、標準状態で3時間乾燥した。この工程により、平均粒子径0.2mmの3色の扁平状着色樹脂粒子(灰色、濃灰色、及び黒色)が密集した第1上塗層が形成された。
次に、この第1上塗層の上に、上塗材Aを塗付け量70g/m2(固形分)にて低圧でスプレー塗装し、標準状態で3時間乾燥した。この工程により、平均粒子径10mmの3色の扁平状着色樹脂粒子(灰色、濃灰色、及び黒色)が散在した第2上塗層が形成された。
以上の方法で得られた試験板の仕上外観は、透明感、深み感、大柄感等を有し、ムラ等もなく、美観性に優れるものであった。
(実施例4)
スレート板に対し、下塗材Aを塗付け量140g/m2(固形分)にて刷毛塗りし、標準状態で24時間乾燥した後、格子状の目地材を貼り付けた。次に、下塗材Bを塗付け量1000g/m2(固形分)にてスプレー塗装し、標準状態で24時間乾燥し、下塗層を形成した。
この下塗層の上に、上塗材Aを塗付け量55g/m2(固形分)にて高圧でスプレー塗装し、標準状態で3時間乾燥した。この工程により、平均粒子径0.2mmの3色の扁平状着色樹脂粒子(灰色、濃灰色、及び黒色)が密集した第1上塗層が形成された。
次に、この第1上塗層の上に、上塗材Aを塗付け量70g/m2(固形分)にて低圧でスプレー塗装した。この工程により、平均粒子径10mmの3色の扁平状着色樹脂粒子(灰色、濃灰色、及び黒色)が散在した第2上塗層が形成された。標準状態で3時間乾燥後、目地材を除去した。
以上の方法で得られた試験板では、格子状の凹凸模様が形成された。その凸部の仕上外観は、透明感、深み感、大柄感等を有し、ムラ等もなく、美観性に優れるものであった。
スレート板に対し、下塗材Aを塗付け量140g/m2(固形分)にて刷毛塗りし、標準状態で24時間乾燥した後、格子状の目地材を貼り付けた。次に、下塗材Bを塗付け量1000g/m2(固形分)にてスプレー塗装し、標準状態で24時間乾燥し、下塗層を形成した。
この下塗層の上に、上塗材Aを塗付け量55g/m2(固形分)にて高圧でスプレー塗装し、標準状態で3時間乾燥した。この工程により、平均粒子径0.2mmの3色の扁平状着色樹脂粒子(灰色、濃灰色、及び黒色)が密集した第1上塗層が形成された。
次に、この第1上塗層の上に、上塗材Aを塗付け量70g/m2(固形分)にて低圧でスプレー塗装した。この工程により、平均粒子径10mmの3色の扁平状着色樹脂粒子(灰色、濃灰色、及び黒色)が散在した第2上塗層が形成された。標準状態で3時間乾燥後、目地材を除去した。
以上の方法で得られた試験板では、格子状の凹凸模様が形成された。その凸部の仕上外観は、透明感、深み感、大柄感等を有し、ムラ等もなく、美観性に優れるものであった。
1:基材
2:下塗層
3:上塗層
31:第1上塗層
32:第2上塗層
31a、31b、31c:扁平状着色樹脂粒子
32a、32b、32c:扁平状着色樹脂粒子
4:透明層
2:下塗層
3:上塗層
31:第1上塗層
32:第2上塗層
31a、31b、31c:扁平状着色樹脂粒子
32a、32b、32c:扁平状着色樹脂粒子
4:透明層
Claims (7)
- 基材上に、下塗層、第1上塗層及び第2上塗層が順に積層された被膜積層体であって、
上記第1上塗層及び上記第2上塗層はそれぞれ、2色以上の扁平状着色樹脂粒子を有し、
上記第1上塗層における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径は、上記第2上塗層における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径よりも小さい
ことを特徴とする被膜積層体。 - 基材上に、下塗層、第1上塗層及び第2上塗層が順に積層された被膜積層体であって、
上記第1上塗層及び上記第2上塗層はそれぞれ、2色以上の扁平状着色樹脂粒子を有し、
上記第1上塗層における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径は、上記第2上塗層における扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径よりも小さく、
上記第1上塗層と上記第2上塗層は、扁平状着色樹脂粒子の色の種類が同一である
ことを特徴とする被膜積層体。 - 上記第1上塗層及び/または上記第2上塗層における扁平状着色樹脂粒子の1色は、上記下塗層と同色である請求項1または2記載の被膜積層体。
- 上記第1上塗層及び/または上記第2上塗層における扁平状着色樹脂粒子として、透光性を有するものを含む請求項1または2記載の被膜積層体。
- 上記第1上塗層及び/または上記第2上塗層における扁平状着色樹脂粒子は、透明樹脂によって固定化されている請求項1または2記載の被膜積層体。
- 上記下塗層が凹凸形状を有する請求項1または2記載の被膜積層体。
- 上記第2上塗層の上に透明層を有する請求項1または2記載の被膜積層体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014006036U JP3195657U (ja) | 2014-11-13 | 2014-11-13 | 被膜積層体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014006036U JP3195657U (ja) | 2014-11-13 | 2014-11-13 | 被膜積層体 |
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Family Applications (1)
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JP2014006036U Expired - Lifetime JP3195657U (ja) | 2014-11-13 | 2014-11-13 | 被膜積層体 |
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JP (1) | JP3195657U (ja) |
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2014
- 2014-11-13 JP JP2014006036U patent/JP3195657U/ja not_active Expired - Lifetime
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