JP2006152782A - 壁面構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の建築用ボードで構成され、その表面に化粧塗膜層が設けられた壁面構造体において、化粧塗膜層の美観性を高めつつ、ひび割れ発生を抑制する。
【解決手段】複数の建築用ボードで構成され、当該建築用ボードどうしの目地部を跨いで化粧塗膜層が設けられた壁面構造体において、当該化粧塗膜層を、結合剤(A)、平均粒子径10〜1000μmの粒状骨材(B)、平均粒子径0.05mm以上5mm以下、平均厚み1μm以上200μm未満の薄型鱗片状骨材(C)、及び平均粒子径0.5mm以上20mm以下、平均厚み0.2mm以上5mm以下の厚型鱗片状骨材(D)を必須成分とし、前記結合剤(A)の固形分100重量部に対し、前記粒状骨材(B)を100〜2000重量部、前記薄型鱗片状骨材(C)を1〜500重量部、前記厚型鱗片状骨材(D)を1〜500重量部含有する化粧塗材によって形成させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、新規な壁面構造体に関するものである。
従来、建築物の壁材として各種の建築用ボードが用いられている。このような建築用ボードで構成された壁面に美観性を付与する場合には、併設したボード間の目地部等に対して下地処理を行った後、化粧塗材を塗装して仕上げる方法が一般的に採用されている。ただし、この方法では、振動や温度変化等に起因するボードの変位によって、化粧塗膜にひび割れ等が発生する場合がある。
上記問題点を改善する手法として、例えば特許文献1には、石膏ボードの突合せ部に小孔を設け、その小孔から発泡ウレタン樹脂を注入した後に、表面化粧塗装を行うことが記載されている。この特許文献1の手法は、目地部のひび割れ発生を抑制するために発泡ウレタン樹脂の弾力性を利用したものである。しかし、下地処理工程が煩雑となり、作業効率の点であまり実用的ではない。
これに対し、化粧塗材の組成を工夫することによって、化粧塗材自体にひび割れ抑制効果を付与し、下地処理を簡略化しようとする動きがある(特許文献2等)。例えば特許文献2に記載の化粧塗材は、合成樹脂エマルション、無機質充填材、炭素繊維、及び合成繊維を主成分とするもので、炭素繊維と合成繊維との複合作用によるひび割れ抑制効果を狙ったものである。しかしながら、特許文献2の化粧塗材では、黒色の炭素繊維が必須成分として含まれるため、美観性の点において改善の余地がある。
特開平2−66252号公報 特開2001−288869号公報
本発明は、上述のような問題点に鑑みなされたもので、複数の建築用ボードで構成され、その表面に化粧塗膜層が設けられた壁面構造体において、化粧塗膜層の美観性を高めつつ、ひび割れ発生を抑制することを目的とするものである。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、厚みが異なる複数種の鱗片状骨材を特定条件で含む化粧塗膜層を設けることに想到し、本発明を完成させるに到った。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.複数の建築用ボードで構成され、当該建築用ボードどうしの目地部を跨いで化粧塗膜層が設けられた壁面構造体であって、当該化粧塗膜層が、
結合剤(A)、平均粒子径10μm以上1000μm以下の粒状骨材(B)、平均粒子径0.05mm以上5mm以下、平均厚み1μm以上200μm未満の薄型鱗片状骨材(C)、及び平均粒子径0.5mm以上20mm以下、平均厚み0.2mm以上5mm以下の厚型鱗片状骨材(D)を必須成分とし、
前記結合剤(A)の固形分100重量部に対し、前記粒状骨材(B)を100〜2000重量部、前記薄型鱗片状骨材(C)を1〜500重量部、前記厚型鱗片状骨材(D)を1〜500重量部含有する化粧塗材によって形成されたものであることを特徴とする壁面構造体。
本発明の壁面構造体では、化粧塗膜層における複数種の鱗片状骨材の作用によって、目地部等におけるのひび割れ発生を効果的に抑制することができる。さらに、本発明の壁面構造体は、優れた美観性を表出することができるものであり、従来にはない自然な多彩感を付与することもできる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明の壁面構造体は、複数の建築用ボードで構成され、当該建築用ボードどうしの目地部を跨いで化粧塗膜層が設けられたものである。
建築用ボードとしては、例えば、セメントボード、押出成形板、スレート板、PC板、ALC板、繊維強化セメント板、金属系サイディングボード、窯業系サイディングボード、セラミック板、珪酸カルシウム板、石膏ボード、プラスチックボード、硬質木片セメント板、塩ビ押出サイディングボード、合板等が挙げられる。
併設された建築用ボード間には、目地部が形成される。この目地部には、必要に応じシーリング材及び/またはパテ材が充填される。シーリング材及び/またはパテ材の充填前には、予めバックアップ材充填やプライマー塗付等の処理を行っておいてもよい。バックアップ材としては、例えば、発泡ポリエチレン系バックアップ材等を使用することができる。プライマーとしては、例えば、合成ゴム系プライマー、アクリル系プライマー、ウレタン系プライマー、エポキシ系プライマー、シリコーンレジン系プライマー、シラン系プライマー等を使用することができる。
シーリング材及び/またはパテ材は、建築用ボード端部の形状、形成される目地部の幅や深さ等に応じて適宜選択して使用すればよく、いずれか一方のみを使用してもよいし、両方を組み合わせて使用してもよい。
シーリング材としては一般的なものが使用可能であり、例えば、シリコーン系シーリング材、変性シリコーン系シーリング材、ポリサルファイド系シーリング材、変性ポリサルファイド系シーリング材、アクリルウレタン系シーリング材、ポリウレタン系シーリング材、SBR系シーリング材、ブチルゴム系シーリング材等が挙げられる。シーリング材の充填方法は、特に限定されず、例えば、ガンやへら等による公知の方法を採用することができる。
パテ材としては、例えば、シリコーン系パテ材、変性シリコーン系パテ材、ポリサルファイド系パテ材、変性ポリサルファイド系パテ材、アクリルウレタン系パテ材、ポリウレタン系パテ材、アクリル系パテ材、SBR系パテ材、ブチルゴム系パテ材等が挙げられる。パテ材の充填には、へら等を用いればよい。パテ材充填後には、その表面を研磨することもできる。
本発明では、パテ材を充填する際に、パテ材の内部または上部に網状体を介在させることができる。このような網状体を使用することにより、目地部の引張り強度が向上し、化粧塗膜の追従性能を高めることができる。
網状体としては、各種の天然繊維、合成繊維等からなる繊維質網状体が好適である。このような繊維質網状体において、使用する繊維の材質、径、強度等は要求性能等に応じて適宜設定することができ、2種以上の繊維を組み合せることもできる。また、繊維によって網状体を形成する際の編み方、接合方法等は種々の方法を採用することができる。繊維質網状体における開口部分の大きさや数については、パテ材が食い込み可能な程度であればよく、網状体の幅は、通常、目地幅より大きく、かつパテ材の塗付幅より小さくなるように設定すればよい。網状体の厚みは、概ね5〜100μm程度である。
建築用ボード及び目地部を含む全面には、シーラー、サーフェーサ等の下塗材によって下塗層を設けることができる。下塗層を設けることで、化粧塗膜層の密着性、ひび割れ防止性等を高めることができる。また、化粧塗膜の近似色(共色)で下塗層を着色しておけば、最終的な仕上外観において違和感のない仕上りを得ることもできる。下塗材としては、例えばエポキシ系下塗材、塩化ビニル系下塗材、アクリル系下塗材、ウレタン系下塗材等が挙げられる。
本発明における化粧塗膜層は、結合剤(A)、平均粒子径10μm以上1000μm以下の粒状骨材(B)、平均粒子径0.05mm以上5mm以下、平均厚み1μm以上200μm未満の薄型鱗片状骨材(C)、及び平均粒子径0.5mm以上20mm以下、平均厚み0.2mm以上5mm以下の厚型鱗片状骨材(D)を必須成分とする化粧塗材によって形成されたものである。
このうち、結合剤(A)(以下「(A)成分」ともいう)としては、水溶性樹脂、水分散性樹脂、溶剤可溶形樹脂、無溶剤形樹脂、非水分散形樹脂、粉末樹脂等の各種結合剤、あるいはこれらを複合化した結合剤等を使用することができる。これらは架橋反応性を有するものであってもよい。また、(A)成分の形態は特に限定されず、1液型、2液型のいずれであってもよい。本発明では特に、水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂が好適に用いられる。使用可能な樹脂の種類としては、例えば、セルロース、ポリビニルアルコール、エチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。(A)成分のガラス転移温度は、適宜設定することができるが、通常は−50〜50℃程度である
平均粒子径10μm以上1000μm以下の粒状骨材(B)(以下「(B)成分」という)としては、自然石、自然石の粉砕物等の天然骨材、及び着色骨材等の人工骨材から選ばれる少なくとも1種以上を好適に使用することができる。具体的には、例えば、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、蛍石、寒水石、長石、珪石、珪砂、重質炭酸カルシウム、及びこれらの粉砕物、陶磁器粉砕物、セラミック粉砕物、ガラス粉砕物、ガラスビーズ、樹脂粉砕物、樹脂ビーズ、金属粒等が挙げられる。さらに、これらの表面を着色コーティングしたもの等も使用できる。このような(B)成分の2種以上を適宜組み合せて使用することにより、種々の色彩を表出することができる。なお、本発明における(B)成分は、後述の(C)成分及び(D)成分とは異なる形状を有するものである。
(B)成分の平均粒子径は、通常10μm以上1000μm以下であるが、好ましくは20μm以上500μm以下、より好ましくは30μm以上300μm以下、さらに好ましくは30μm以上200μm以下である。本発明は、(B)成分としてこのような小さな粒子径の骨材を使用した場合であっても、化粧塗膜のひび割れを十分に抑制することができる。なお、(B)成分の平均粒子径は、JIS Z8801−1:2000に規定される金属製網ふるいを用いてふるい分けを行い、その重量分布の平均値を算出することによって得られる値である。
(B)成分は、(A)成分の固形分100重量部に対し、通常100〜2000重量部、好ましくは200〜1500重量部、より好ましくは300〜1000重量部の比率で混合する。(B)成分の混合比率がこのような範囲内であれば、化粧塗膜の意匠性、ひび割れ防止性等の点において好適である。
本発明では、(B)成分として透明性を有する粒状骨材(以下「(B−1)成分」という)を含むことができる。このような(B−1)成分を使用することにより、化粧塗膜において適度な透明感を有する質感が得られやすくなる。(B−1)成分としては、光透過率が3%以上(好ましくは3〜50%、より好ましくは10〜30%)であるものが好適である。なお、ここに言う光透過率とは、濁度計による全光線透過率の値である。この測定では、(B−1)成分の試料を内厚5mmの透明ガラス製セル中に充填し、次いで徐々に水を充填した後、セル中の気泡を振動によって取り除いたものを用いる。但し試料としては、粒子径が0.5〜1.0mmのものを選別して用いる。
このような(B−1)成分の具体例としては、例えば長石、珪砂、珪石、寒水石、ガラスビーズ等が挙げられる。この中でも、本発明では特に寒水石が好適である。
(B−1)成分の混合比率は、(B)成分全体に対し20重量%以上(好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上)とすることが望ましい。(B−1)成分をこのような高比率で含む場合には、主に白を基調とした透明感のある意匠性を表出することが可能となる。
本発明における化粧塗材は、上述の成分に加えさらに、平均粒子径0.05mm以上5mm以下、平均厚み1μm以上200μm未満の薄型鱗片状骨材(C)(以下「(C)成分」という)と、平均粒子径0.5mm以上20mm以下、平均厚み0.2mm以上5mm以下の厚型鱗片状骨材(D)(以下「(D)成分」という)を混合することによって得られるものである。本発明では、このような(C)成分及び(D)成分を併用することによって、目地部等における化粧塗膜のひび割れ発生を十分に抑制することができる。さらに、化粧塗膜の意匠性、平滑性等を高めることもできる。
(C)成分の平均粒子径は0.05mm以上5mm以下であるが、好ましくは0.1mm以上3mm以下、より好ましくは0.2mm以上2mm以下である。平均厚みは1μm以上200μm未満の範囲内であればよいが、好ましくは5μm以上150μm以下、より好ましくは10μm以上100μm以下である。(C)成分の平均短径と平均長径の比は、通常1:1〜1:5程度である。
(C)成分における平均粒子径と平均厚みの比(平均粒子径/平均厚み)は、通常2/1〜200/1、好ましくは5/1〜150/1、より好ましくは10/1〜100/1である。
(D)成分の平均粒子径は0.5mm以上20mm以下であるが、好ましくは0.8mm以上10mm以下、より好ましくは1mm以上5mm以下である。平均厚みは0.2mm以上5mm以下の範囲内であればよいが、好ましくは0.3mm以上3mm以下、より好ましくは0.4mm以上2mm以下である。(D)成分の平均短径と平均長径の比は、通常1:1〜1:5程度である。
(D)成分における平均粒子径と平均厚みの比(平均粒子径/平均厚み)は、通常2/1〜200/1、好ましくは3/1〜100/1、より好ましくは4/1〜50/1である。
なお、(C)成分及び(D)成分の平均粒子径は、JIS Z8801−1:2000に規定される金属製網ふるいを用いてふるい分けを行い、その重量分布の平均値を算出することによって得られる値である。平均厚みは、マイクロメーターにより測定される値の平均値である。
本発明では、(D)成分の平均厚みが(B)成分の平均粒子径よりも大きいことが望ましい。(B)成分と(D)成分がこのような相対関係を有することにより、コテ塗り時において、虫食い状の筋の発生等を抑制することができ、平坦かつ均一な塗膜を形成することができる。特に、(B)成分の最大粒子の粒子径よりも(D)成分の平均厚みが大きい場合には、このような効果が安定して得られやすくなる。
(C)成分、(D)成分の素材は特に限定されず、例えば雲母、タルク、板状カオリン、硫酸バリウムフレーク、アルミナフレーク、ガラスフレーク、貝殻片、金属片等の無機質片、あるいはゴム片、プラスチック片、木片等を使用することができる。これらは、着色コーティング等が施されたものであってもよい。
本発明では、(C)成分及び/または(D)成分として、透明性を有するものを採用することによって、微妙に色合いが変化する自然な多彩感を表出することができる。また、形成塗膜に輝度感を付与することもできる。このような(C)成分、(D)成分は、鱗片状の厚さ方向において透明性を有するものであればよい。透明性を有する鱗片状骨材としては、例えば天然雲母、透明ガラスフレーク、透明プラスチック片等が挙げられ、特に天然雲母が好適である。これらは、透明性が損われない範囲であれば、着色されていてもよい。
また(C)成分及び/または(D)成分として、光干渉性を有するものを採用することによって、形成塗膜に多彩感と輝度感を付与することもできる。このような成分としては、光干渉性を有する限り種々の材料を使用することができるが、例えば、屈折率の異なる樹脂が二層以上積層されたフィルム片、エンボス加工等により微細な凹凸が形成されたフィルム片、ガラス球等の透明球が固着されたフィルム片、あるいはこれらに金属蒸着が施されたもの等が使用できる。このような成分は、光干渉性と透明性を兼備するものであってもよい。
本発明では、特に(C)成分として透明性及び/または光干渉性を有する骨材を使用することにより、高級感のある意匠性を得ることができる。とりわけ粒状骨材として(B−1)成分を使用する場合には、このような骨材が形成塗膜の意匠性向上に大きく寄与する。
(C)成分は、(A)成分の固形分100重量部に対し、通常1〜500重量部、好ましくは2〜200重量部、より好ましくは5〜100重量部の比率で混合する。また、(D)成分は、(A)成分の固形分100重量部に対し、通常1〜500重量部、好ましくは2〜200重量部、より好ましくは5〜100重量部の比率で混合する。(C)成分及び(D)成分の混合比率がこのような範囲内であれば、化粧塗膜におけるひび割れ発生を十分に抑制することができる。また、美観性に優れた化粧塗膜を得ることもできる。
本発明では、(C)成分及び(D)成分を併用することによって、十分なひび割れ防止効果を得ることができる。その理由は明確ではないが、概ね以下の作用によるものと考えられる。
本発明の化粧塗膜において、(C)成分は、塗膜内にほぼ均一に分散され、化粧塗膜の強度を高める役割を担う。一方(D)成分は、塗膜厚みの5〜100%(好ましくは10〜90%)程度の厚みを有するもので、これが化粧塗膜に点在することで、塗膜形成時ないし塗膜形成後に生じる塗膜内の応力を分散する効果がはたらき、局部的な応力集中が防止される。さらに、(D)成分によって形成塗膜の強度も高められる。以上のような(C)成分及び(D)成分の相乗作用によって、本発明では、目地部等における化粧塗膜のひび割れ発生が十分に抑制できるものと推測される。
本発明における化粧塗材には、真珠光沢顔料(E)(以下「(E)成分」という)を配合することもできる。このような(E)成分を配合することにより、形成塗膜においける輝度感を高めることができる。特に、(B)成分として(B−1)成分が含まれる場合に、その効果は顕著となる。このような(E)成分は、高屈折率の極めて薄い鱗片状(平均厚みは通常0.05μm以上1μm未満)であって、入射光を多重反射させて真珠光沢を呈するものである。具体的に(E)成分としては、白雲母、合成雲母、シリカフレーク、またはガラスフレーク等の基体に、金属または金属酸化物を被覆したものを使用することができる。このうち、金属または金属酸化物に含まれる金属としては、チタン、鉄、アルミニウム、亜鉛、錫、ジルコニウム、コバルト、ニッケル、金、銀等が挙げられる。
(E)成分の平均粒子径は、通常1μm以上600μm以下(好ましくは1μm以上200μm以下、より好ましくは5μm以上50μm以下)である。なお、(E)成分の平均粒子径は、遠心沈降式粒度分布測定装置によって測定される50%粒子径の値である。
(E)成分の混合比率は、(A)成分の固形分100重量部に対し、通常0.1〜200重量部、好ましくは1〜50重量部である。
本発明における化粧塗材は、上記成分を公知に方法によって均一に混合することで製造することができるが、必要に応じ通常塗材に使用可能なその他の成分を混合することもできる。このような成分としては、例えば、着色顔料、体質顔料、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、希釈剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、繊維、触媒、架橋剤等が挙げられる。また、本発明の効果が損われない範囲内であれば、平均粒子径が1mmを超える粒状骨材等を混合することもできる。
化粧塗膜層は、上記化粧塗材を公知の方法で塗装することによって形成できる。塗装方法としては、例えば、コテ塗り、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り等が可能である。この中でも、コテ塗りを採用した場合は、化粧塗材中の(C)成分、(D)成分が塗膜面に沿って配列されやすくなるため、ひび割れ防止等をより高めることができる。また、塗装を行った後、化粧塗材が乾燥するまでに塗面をローラー、コテ、刷毛、櫛、へら等で処理すれば、種々の凹凸模様を形成することができ、美観性も高められる。
化粧塗膜層の厚みは特に限定されず、適宜設定することができるが、通常は0.2〜5mm(好ましくは0.5〜4mm、より好ましくは0.8〜4mm)程度とすればよい。
本発明における化粧塗膜層は、上記化粧塗材を予めシート状に成形したものであってもよい。化粧塗材をシート状に成形する方法としては、公知の方法を採用すればよいが、例えば、(i)化粧塗材を支持体に塗付する方法や、(ii)化粧塗材を型枠に流し込み硬化後に脱型する方法、等を用いることができる。このうち(i)の方法における支持体としては、例えば織布、不織布、セラミックペーパー、合成紙、ガラスクロス、メッシュ、石膏ボード、合板、スレート板、金属板等が挙げられる。このような支持体を使用することにより、化粧塗膜層の強度等を十分に確保することができる。このような支持体に化粧塗材を塗付する際には、例えばスプレー、フローコーター、ロールコーター等を用いることができる。
上記(ii)における型枠としては、例えばシリコン樹脂、ウレタン樹脂製等の型枠、あるいは離型紙を設けた型枠等が使用できる。型枠側を化粧塗膜層の表面とする場合は、型枠内側の形状を調整することで、塗膜層表面に所望の凹凸模様を付与することができる。型枠側を裏面とする場合は、この裏面に凹凸が形成されるようにすれば化粧塗膜層の接着性を高めることもできる。上記(ii)では、流し込みに代えて、スプレー、こて、レシプロ、コーター等の手段を用いた方法を採用することもできる。また、(i)で挙げたような支持体を積層することもできる。硬化時には、加熱処理を施してもよい。
化粧塗膜層として予めシート状に成形したものを使用する場合、シート状成形体を建築物や土木構造物等の施工現場に搬入した後、施工を行えばよい。シート状成形体を施工する際には、接着剤、粘着剤等を用いて貼着すればよい。その他、粘着テープ、釘、鋲、ピン、ファスナー、レール等を用いて固定化することもできる。シート状成形体の施工においては、例えばスプレー塗装による材料の飛散等の問題がなく、作業性の点で優れており、また予め工場で塗膜化したものを使用するため塗膜管理が容易であり、安定した塗膜性能を発揮させることができる。
化粧塗膜層の上には、必要に応じクリヤー層を設けることもできる。このようなクリヤー層は、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等を結合剤とするクリヤー塗料や、アルコキシシラン化合物、シリコーン樹脂等を主成分とする撥水剤等によって形成することができる。このようなクリヤー層は、公知の艶消し剤等によって艶の程度を調整することができる。また、本発明の効果を阻害しない限り、着色を施すこともできる。
このようなクリヤー塗料や撥水剤等を塗付する方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り等が採用できる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
(実施例1)
水分散性樹脂200重量部(固形分100重量部)に対し、粒状骨材1を240重量部、粒状骨材2を100重量部、粒状骨材3を80重量部、薄型鱗片状骨材1を20重量部、厚型鱗片状骨材を20重量部、水を30重量部、造膜助剤を8重量部、増粘剤を1重量部、消泡剤を2重量部混合し、常法にて均一に攪拌して化粧塗材を製造した。なお、化粧塗材の製造に使用した原料は、以下の通りである。
・水分散性樹脂:アクリルシリコン樹脂エマルション(固形分50%、ガラス転移温度18℃)
・粒状骨材1:着色珪砂(茶色、平均粒子径70μm)
・粒状骨材2:着色珪砂(赤色、平均粒子径100μm)
・粒状骨材3:着色珪砂(淡黄色、平均粒子径150μm)
・粒状骨材4:寒水石(白色半透明、平均粒子径180μm、光透過率16%)
・薄型鱗片状骨材1:着色雲母(黒色、平均粒子径1.2mm、平均厚み50μm)
・薄型鱗片状骨材2:天然雲母(無色透明、平均粒子径1.0mm、平均厚み40μm)
・薄型鱗片状骨材3:光干渉性フィルム片(平均粒子径0.5mm、平均厚み50μm)
・厚型鱗片状骨材:貝殻片(白色、平均粒子径3mm、平均厚み0.6mm)
・真珠光沢顔料:酸化チタン被覆雲母(平均粒子径30μm)
・造膜助剤:2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート
・増粘剤:ヒドロキシエチルセルロース粉
・消泡剤:シリコーン系消泡剤(固形分50重量%)
上記方法によって得られた化粧塗材について、以下の試験を行った。
300×150×6mmのスレート板を2枚突き合わせ、その突き合わせ部の間隙にアクリル系パテ材を充填し、標準状態(温度23度・相対湿度50%)で24時間乾燥後、全面にエポキシ系下塗材をスプレー塗装した。標準状態で3時間乾燥後、塗膜厚みが2mmとなるように上記化粧塗材をコテ塗りし、標準状態で14日間養生したものを試験体とした。
作製した試験体について、水浸漬(23℃)18時間→−20℃3時間→80℃3時間を1サイクルとする温冷繰返し試験を合計10サイクル行った後、化粧塗膜表面におけるひび割れ発生の有無を目視によって確認した。評価は、ひび割れが生じなかったものを「○」、わずかにひび割れが生じたものを「△」、明らかにひび割れが生じたものを「×」とした。
試験結果を表1に示す。実施例1では良好な結果を得ることができた。
(実施例2〜6)
化粧塗材として表1に示す配合のものを使用した以外は、実施例1と同様の方法で試験を行った。実施例2〜6では良好な結果を得ることができた。
(比較例1〜3)
化粧塗材として表1に示す配合のものを使用した以外は、実施例1と同様の方法で試験を行った。比較例1〜3では、実施例に比べ不十分な結果となった。
Figure 2006152782
本発明壁面構造体の一例を示す断面図である。
符号の説明
1:建築用ボード
2:パテ材
3:下塗層
4:化粧塗膜層

Claims (1)

  1. 複数の建築用ボードで構成され、当該建築用ボードどうしの目地部を跨いで化粧塗膜層が設けられた壁面構造体であって、当該化粧塗膜層が、
    結合剤(A)、平均粒子径10μm以上1000μm以下の粒状骨材(B)、平均粒子径0.05mm以上5mm以下、平均厚み1μm以上200μm未満の薄型鱗片状骨材(C)、及び平均粒子径0.5mm以上20mm以下、平均厚み0.2mm以上5mm以下の厚型鱗片状骨材(D)を必須成分とし、
    前記結合剤(A)の固形分100重量部に対し、前記粒状骨材(B)を100〜2000重量部、前記薄型鱗片状骨材(C)を1〜500重量部、前記厚型鱗片状骨材(D)を1〜500重量部含有する化粧塗材によって形成されたものであることを特徴とする壁面構造体。
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