JP2023179356A - 被膜形成方法 - Google Patents

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浩直 守本
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Abstract

【課題】濃淡部分(かすれ模様)を有する美観性の高い被膜形成方法を提供する。【解決手段】本発明は、被塗面に、被覆材(I)、被覆材(II)を順に塗付する被膜形成方法であって、前記被覆材(II)は、樹脂成分(A)、屈折率2未満の粉体成分(B)及び着色顔料(C)を含み、前記粉体成分(B)は、粒径が45μm以上の粗粒粉体(b1)を含むものであり、前記被覆材(II)は、硬度及び/または密度が異なる少なくとも2種以上のスポンジ質材が混在する塗付具を用いて塗付されることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、新規な被膜形成方法に関するものである。
従来、建築物、土木構造物等の壁面に対し、種々の模様を有する装飾被膜を形成することが行われている。このような装飾被膜の一例として、複数の被覆材を部分的に塗り重ねて模様を形成した装飾被膜が挙げられる。
例えば、特許文献1には、凹凸模様を有する基材の主に凸部を、液状着色塗料を含浸した柔らかい素材で叩くなどして塗装し、ボカシ部分、透かし部分、濃淡部分等を形成する塗装方法が記載されている。しかしながら、上記特許文献1では、作業者の技量によって濃淡等の仕上りが左右されやすく、十分な美観性が得られ難いという問題がある。
特開2002-035689号公報
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、濃淡部分(かすれ模様)を有する美観性の高い被膜形成方法を提供することを目的とする。
このような課題を解決するため、本発明者は鋭意検討の結果、被塗面に、被覆材(I)、被覆材(II)を順に塗付する被膜形成方法において、特定の粉体成分を含む被覆材(II)を特定の方法で塗付する被膜形成方法に想到し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の特徴を有するものである。
1.被塗面に、被覆材(I)、被覆材(II)を順に塗付する被膜形成方法であって、
前記被覆材(II)は、樹脂成分(A)、屈折率2未満の粉体成分(B)及び着色顔料(C)を含み、前記粉体成分(B)は、粒径が45μm以上の粗粒粉体(b1)を含むものであり、
前記被覆材(II)は、硬度及び/または密度が異なる少なくとも2種以上のスポンジ質材が混在する塗付具を用いて塗付されることを特徴とする被膜形成方法。
2.前記被覆材(II)の塗付け量は、0.01kg/m以上0.3kg/m未満であることを特徴とする1.に記載の被膜形成方法。
3.前記被覆材(I)は、樹脂成分(A)、屈折率2未満の粉体成分(B)及び着色顔料(C)を含み、前記粉体成分(B)は、粒径が45μm以上の粗粒粉体(b1)を含むものであることを特徴とする1.または2.に記載の被膜形成方法。
4.前記被覆材(I)の塗付け量は、0.1kg/m以上0.5kg/m以下であることを特徴とする3.に記載の被膜形成方法
本発明は、被塗面に、被覆材(I)、被覆材(II)を順に塗付する被膜形成方法であって、
前記被覆材(II)が樹脂成分(A)、屈折率2未満の粉体成分(B)及び着色顔料(C)を含み、前記粉体成分(B)は、粒径が45μm以上の粗粒粉体(b1)を含み、被覆材(II)を硬度及び/または密度が異なる少なくとも2種以上のスポンジ質材が混在する塗付具を用いて塗付することにより、被覆材(II)が不連続に塗付され自然な濃淡部分を形成し、かすれ模様を有する模様被膜を形成することができる。
図1は、本発明で使用可能な塗付具(押圧具)の一例を示す断面図である。 図2は、本発明で使用可能な塗付具(ローラー)の一例を示す断面図である。
1.押圧具
1a~1e.スポンジ質材
1f.高さ方向
2.ローラー
2a~2e.スポンジ質材
2f.円筒外周面
2g.円筒外径方向
R.ローラーの外径
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明は、被塗面に、被覆材(I)、被覆材(II)を順に塗付する被膜形成方法に関するものである。
本発明では、前記被覆材(II)が、樹脂成分(A)、屈折率2未満の粉体成分(B)、及び着色顔料(C)を含み、前記粉体成分(B)は、粒子径が45μm以上の粗粒粉体(b1)を含み、当該被覆材(II)を、硬度及び/または密度が異なる少なくとも2種以上のスポンジ質材が混在する塗付具を用いて塗付することを特徴とするものである。本発明で形成される被膜は、被覆材(II)が不連続に塗付され自然な濃淡部分を形成し、かすれ模様を有する艶消し調の模様被膜を形成することができる。
本発明における被覆材(II)としては、樹脂成分(A)、屈折率2未満の粉体成分(B)、及び着色顔料(C)を含むことを特徴とする。
樹脂成分(A)としては、例えば、水溶性樹脂、水分散性樹脂、溶剤可溶形樹脂、無溶剤形樹脂、非水分散形樹脂等、あるいはこれらを複合したもの等が挙げられる。これらは架橋反応性を有するものであってもよく、またその形態は特に限定されず、1液型、2液型のいずれであってもよい。本発明では特に、水分散性樹脂及び/または水溶性樹脂が好適に用いられる。使用可能な樹脂の種類としては、例えば、セルロース、ポリビニルアルコール、エチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。なお、本発明では、セメント等の水硬性結合材は、本発明の効果を阻害しない限り使用できるが、被膜の色を制限するおそれがあるため使用しないことが望ましい。
本発明の被覆材(II)は、屈折率2未満(好ましくは1.2~1.8)の粉体成分(B)(以下、単に「粉体成分(B)」ともいう。)を含むことを特徴とする。このような粉体成分(B)を含むことにより、濃淡部分を形成しかすれ模様を効果的に付与することができる。また、粉体成分(B)は、白色度が50以上95未満(好ましくは60~94)であることが好ましい。これにより上記効果を高めることができる。このような粉体成分(B)としては、例えば、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、陶土、チャイナクレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、珪石粉、珪石、珪藻土、寒水石等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。なお、ここで言う、「屈折率」は、アッベ屈折計を用いて測定される値であり、「白色度」とは、酸化マグネシウムの白色度を100とし、暗闇の状態を0とした場合の白色計(ケット式光電管白色度計)による比較値である。
本発明の粉体成分(B)は、粒径0.1μm~1000μm(より好ましくは0.5~800μm、さらに好ましくは1μm~500μm)であることが好ましい。また、本発明では、粉体成分(B)として、粒径が45μm以上の粗粒粉体(b1)(以下、単に「粗粒粉体(b1)」ともいう。)を含むことを特徴とする。さらに、粉体成分(B)中の粗粒粉体(b1)の含有量[(b1)/(B)]は、10重量%以上(さらに好ましくは20重量%以上95重量%以下、より好ましくは30重量%以上90重量%以下)であることが好ましい。このような場合、形成被膜に粗粒粉体(b1)に由来する微細な凹凸形状が付与されるとともに、透明性が付与される。これにより、濃淡部分が形成され、かすれ模様を効果的に付与することができる。また、艶消し調で落ち着きのある意匠性を効果的に付与することができる。特に、後述の着色顔料と併用して含むことにより形成被膜の濃淡部分が調節され、本発明の効果を高めることができる。なお、ここで言う、「粒径」は、JIS Z8801-1:2000に規定される金属製網ふるいを用いて篩い分けにより測定される値である。
さらに、本発明では、粉体成分(B)中の粒径が106μm以上の粗粒粉体(b1’)(以下、単に「粗粒粉体(b1’)」ともいう。)の含有量[(b1’)/(B)]が、5重量%以上(さらに好ましくは10重量%以上90重量%以下、より好ましくは15重量%以上85重量%以下)であることが好ましい。このような場合、上記効果をよりいっそう高めることができる。特に、艶消し調で落ち着きがあり、かつ立体感のある意匠性をよりいっそう効果的に付与することができる。
粉体成分(B)の含有量は、上記樹脂成分(A)の固形分100重量部に対して、好ましくは50~1000重量部(より好ましくは80~900重量部、さらに好ましくは100~800重量部)である。このような範囲の場合、本発明の効果を十分に発揮することができる。
本発明の被覆材(II)の着色顔料(C)としては、公知の着色顔料等が使用できる。このうち、本発明では、屈折率2以上、白色度95以上の白色顔料(c1)(以下、単に「白色顔料(c1)」ともいう。)を含むことが好ましい。このような白色顔料(c1)としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムから選ばれる1種以上が使用できる。このような白色顔料(c1)と上記粉体成分(B)を併用して含むことにより、濃淡部分が形成されやすく、かすれ模様をより効果的に付与することができる。
白色顔料(c1)の含有量は、上記樹脂成分(A)の固形分100重量部に対して、好ましくは1~100重量部(より好ましくは2~80重量部、さらに好ましくは3~50重量部)である。このような範囲の場合、本発明の効果を十分に発揮することができる。さらに、上記粉体成分(B)に対する白色顔料(c1)の重量比[(B)/(c1)]が、好ましくは100/0.5~100/40(より好ましくは100/1~100/30)であり、さらには上記粗粒粉体(b1)に対する白色顔料(c1)の重量比[(b1)/(c1)]が、好ましくは100/1~100/50(より好ましくは100/2~100/40)である。このような場合、濃淡部分が形成されやすく、かすれ模様をよりいっそう効果的に付与することができる。
上記白色顔料(c1)以外の着色顔料としては、有色顔料(c2)が使用できる。有色顔料(c2)としては、例えば、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、鉄-クロム複合酸化物、マンガン-ビスマス複合酸化物、マンガン-イットリウム複合酸化物、鉄-マンガン複合酸化物、鉄-クロム-コバルト複合酸化物、銅-マンガン-クロム複合酸化物、べんがら、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、クロムグリーン、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット、アルミニウム顔料、パール顔料、光輝性顔料等が挙げられる。これら有色顔料(c2)の1種または2種以上を用いることにより任意の色相に着色することができ、その含有量は、所望の色相により適宜設定すればよい。有色顔料(c2)の含有量は、上記樹脂成分(A)の固形分100重量部に対して、好ましくは3~300重量部(より好ましくは5~200重量部)である。
上記着色顔料(C)の粒子径は、好ましくは40μm以下(より好ましくは0.01~20μm)である。
本発明の被覆材(II)は、上記成分以外に、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内において、公知の添加剤、例えば、骨材、染料、増粘剤、湿潤剤、レベリング剤、カップリング剤、凍結防止剤、造膜助剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒、希釈溶媒等を含むものであってもよい。被覆材(II)は、上述の各成分を常法により均一に混合することで製造することができる。
被覆材(II)の加熱残分は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは50~90重量%である。被覆材(II)の加熱残分がこのような範囲内であれば、乾燥・硬化に要する時間を短縮化することができ、早期に非流動状態を得ることができるため、かすれ模様が形成されやすい。加熱残分は、JIS K5601-1-2の方法にて測定される値であり、加熱温度は105℃、加熱時間は60分である。
本発明の被覆材(II)を塗付する際の塗付具としては、硬度及び/または密度が異なる少なくとも2種以上のスポンジ質材が混在する塗付具を用いることを特徴とする。例えば、図1に示すような硬度及び/または密度が異なる少なくとも2種以上のスポンジ質材(図1:1a~1e)がランダムに混在する押圧具や、図2に示すような硬度及び/または密度が異なる少なくとも2種以上のスポンジ質材(図2:2a~2e)が円筒外周面(図2:2f)に混在するローラーよって塗付することが好ましい。このような特定の塗付器具を使用することにより、濃淡部分を形成し、かすれ模様を効果的に付与することができる。その作用機構としては、以塗付具のスポンジ質材の硬度及び/または密度によって被塗面に対する圧着力が変化するため、被覆材(II)の塗着量が変化し、塗着量の少ない部分ではかすれ模様が形成される。また、被覆材(II)のように粗粒粉体(b1)を含むことにより、微細な点状被膜部分が形成されやすく、自然なかすれ模様を得ることができると考えられる。
塗付具に使用されるスポンジ質材としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エステル樹脂、エチレン樹脂等の樹脂をスポンジ状に多孔化したものが使用できる。スポンジ質材の硬度は、好ましくは10~3000N(より好ましくは20~2000N、さらに好ましくは30~1500N)である。スポンジ質材の密度は、好ましくは1~300kg/m(より好ましくは3~200kg/m、より好ましくは5~150kg/m)である。ここで言う、「硬度」とは、JIS K6400-2に準じ、試験片の厚さ40%まで圧縮したときの力から測定される硬さ(C法)の値である。また、「密度」とは、JIS K7222に準じ、試験片の重量及び寸法から算出される見掛け密度の値である。
スポンジ質材の形状としては、その断面が、例えば、三角形、四角形、ひし型、五角形、六角形等の多角形、円形、楕円形、ドロップ(水滴)型等の曲面を有する形状、あるいは不定形等、さらには、これらを組み合わせた形状のものが使用できる。その個々の大きさは、所望の模様により適宜設定すればよいが、好ましくは1~30mm(より好ましくは2~20mm)である。本発明では、大きさの異なる多数のスポンジ質材が混在することが好ましい。このような場合、スポンジ質材どうしの間で不定形の凹凸形状が形成されやすいため、本発明の効果をいっそう高めることができる。なお、ここで言う「大きさ」は、外形の最長軸であり、例えば、一辺が所定寸法の升目を有する篩いにより篩い分けされて測定されるものである。
図1、図2において、上記スポンジ質材は、積み重なるように固定されている形態がより好ましい。さらには、多数のスポンジ質材がランダムに混在するように圧縮成形された形態であることがいっそう好ましい。また、その表面に凹凸形状を有するものが好適である。凹凸形状を設ける方法としては、圧縮成形時にエンボス加工する方法や、圧縮成形されたスポンジ質材を部分的に除去(摘み取り、毟り取り)する方法等が挙げられる。スポンジ質材の厚み(図1:1f方向の厚み、図2:2g方向の厚み)は、個々のスポンジ質材の大きさにもよるが、好ましくは2~50mm(より好ましくは3~30mm)である。また、図2において、ローラーの外径(図2:R)は、適宜設定すればよく、好ましくは20~150mm(より好ましくは30~100mm)である。
本発明の被覆材(II)の塗付け量は、好ましくは0.01kg/m以上0.3kg/m未満(より好ましくは0.02kg/m以上0.2kg/m以下)である。このような塗付け量の範囲内で、複数回に分けて塗装することも可能である。
本発明では、上記被覆材(II)の塗付に先だって、被塗面に対し、被覆材(I)を塗付する。このような被覆材(I)としては、特に限定されず、公知の被覆材を使用することができる。本発明では、被覆材(I)と被覆材(II)は異色であることが好ましく、例えば、色差(△E)が3以上(好ましくは5以上90以下)であることが好ましい。このような場合、被覆材(I)と被覆材(II)のコントラストを有する美観性の高い被膜を形成することができる。特に、被覆材(II)の淡色部分(かすれ部分)では、被覆材(I)の色調と調和した色調が視認され、よりいっそう自然なかすれ模様を得ることができる。
なお、本発明における色差(△E)は、色彩色差計を用いて測定される値である。具体的には、標準白紙に、すきま300μmのフィルムアプリケータを用いてそれぞれの被覆材を塗り、塗面を水平に置いて標準状態(気温23℃、相対湿度50%。以下同様。)で48時間乾燥したときの被膜のL値、a値、b値(測定点3箇所以上の平均値)より下記式にて算出することができる。
<式>△E={(L *1-L *2+(a *1-a *2+(b *1-b *2 0.5
(式中、L *1、a *1、b *1はそれぞれ被覆材(I)のL、a、b。L *2、a *2、b *2はそれぞれ被覆材(II)のL、a、b
本発明の被覆材(I)は、上記色差(△E)を満たす着色被覆材が好ましく、例えば、樹脂成分(A)及び着色顔料(C)を含むことが好ましく、さらには、被覆材(I)は、上記被覆材(II)と同様に、樹脂成分(A)、屈折率2未満の粉体成分(B)及び着色顔料(C)を含む被覆材が好適である。
また、前記粉体成分(B)は、粒径が45μm以上の粗粒粉体(b1)を含むことが好ましく、粉体成分(B)中の粗粒粉体(b1)の含有量[(b1)/(B)]が、10重量%以上(さらに好ましくは20重量%以上90重量%以下、より好ましくは30重量%以上95重量%以下、さらに好ましくは35重量%以上90重量%以下)であることが好ましい。さらに、粉体成分(B)中の粒径が106μm以上の粒粉体(b1’)(以下、単に「粗粒粉体(b1’)」ともいう。)の含有量[(b1’)/(B)]が、5重量%以上(さらに好ましくは10重量%以上90重量%以下、より好ましくは15重量%以上85重量%以下)であることが好ましい。
これにより、被覆材(I)及び被覆材(II)によって形成される被膜の質感が統一され美観性が高まるとともに、本発明の効果がよりいっそう得られやすい。その作用機構は、以下に限定されるものではないが、被覆材(I)により形成された被膜は、粗粒粉体(b1)に由来する微細な凹凸形状を有するとともに、透明感を有する。このような被膜面に対し、被覆材(II)を塗付した場合、凸部には被覆材(II)の塗着量が多く、凹部では塗着量が少ない傾向となる。また、上述のとおり、上記の塗付具を用いて被覆材(II)を塗付することにより、被覆材(I)の透明感とあいまって自然なかすれ模様をよりいっそう効果的に得ることができると考えられる。また、被覆材(I)及び被覆材(II)によって形成される被膜はそれぞれ艶消し調であり、その質感が統一されているため、よりいっそう自然なかすれ模様を得ることができる。
なお、本発明の被覆材(I)において、樹脂成分(A)、屈折率2未満の粉体成分(B)及び着色顔料(C)は、被覆材(II)に記載の成分と同様のものを使用することができる。また、粉体成分(B)は、白色度50以上95未満(好ましくは60~94)であることが好ましい。さらに、被覆材(I)には、上記成分以外に、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内において、公知の添加剤、例えば、骨材、染料、増粘剤、湿潤剤、レベリング剤、カップリング剤、凍結防止剤、造膜助剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒、希釈溶媒等を含むものであってもよい。被覆材(I)は、上述の各成分を常法により均一に混合することで製造することができる。
被覆材(I)の加熱残分は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは50~90重量%である。被覆材(I)の加熱残分がこのような範囲内であれば、乾燥・硬化に要する時間を短縮化することができる。加熱残分は、JIS K5601-1-2の方法にて測定される値であり、加熱温度は105℃、加熱時間は60分である。
本発明の被覆材(I)を塗付する際の塗付具としては、例えば、スプレー、ローラー(繊維質ローラー、多孔質(スポンジ質)ローラー)、刷毛、押圧具(叩き具等を含む)等を使用することができる。本発明では、ローラー、刷毛等が好適に使用される。
被覆材(I)は、被塗面に対して全面に塗付することが好ましく、その塗付け量は、0.1kg/m以上0.5kg/m以下(より好ましくは0.12kg/m以上0.5kg/m未満、さらに好ましくは0.15kg/m以上0.48kg/m以下)であることが好ましい。このような範囲内で、上記被覆材(I)を塗付することにより、形成される被膜は、粗粒粉体(b1)に由来する微細な凹凸形状を有するとともに、透明感が付与され、濃淡部分が形成されやすくなる。これにより、よりいっそう自然なかすれ模様を得ることができる。
本発明の被膜形成方法としては、例えば、
被塗面に、被覆材(I)を塗付する第1工程、被覆材(II)を塗付する第2工程を含み、被覆材(I)を被塗面に対し全面に塗付し、前記被覆材(I)が非流動状態となった後に、被覆材(II)を上記塗付具を用いて塗付する方法、等が挙げられる。
本発明における被塗面は、好ましくは、建築物、土木構造物等の基材表面、特に、内外壁、天井、建具等の表面を構成する基材である。基材の材料としては、例えば、石膏ボード、コンクリート、モルタル、磁器タイル、煉瓦、セメント板、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、パーライト板、ALC板、サイディング板、押出成形板、合板、木質板、鋼板、プラスチック板、ガラス板、等が挙げられる。これら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、シーラー、サーフェーサー、フィラー等)が施されたものでもよく、既に塗膜が形成されたものや、壁紙が貼り付けられたものであってもよい。
上記基材は、凹凸模様を有するものであってもよい。凹凸模様としては、種々のものが挙げられ、例えばタイル調模様、レンガ調模様、石目調模様、岩石調模様、木目調模様、幾何学的模様、縞模様、格子模様、水玉模様、砂壁模様、ゆず肌模様、さざ波模様等の他、動植物等をデザイン化した図形模様等が挙げられる。具体的に、凹凸模様を正面から見たときの凸部の形状としては、例えば正方形、長方形、円形、楕円形、三角形、菱形、多角形、不定形等の形状が挙げられる。また、凹凸模様における凸部の断面形状としては、例えば台形、正方形、長方形、半円形、波形、階段形、三角形、山形、不定形等が挙げられる。凹凸模様における凹部は、平坦で目地を形成するもの等であってもよい。凹部と凸部との高低差は、各々の部位で一定であっても相違していてもよいが、好ましくは20mm以下、より好ましくは1~15mm程度である。このような凹凸模様は、例えば、建築基材、既存の塗膜や壁紙の少なくとも1種に付されたものであればよい。
本発明における被覆材(I)(II)は、それぞれ塗付時に各種溶媒で希釈することができる。被覆材の希釈割合は、被覆材に対して、好ましくは0~50重量%(より好ましくは0~30重量%)の割合とすることができる。
また、上記被覆材(II)を塗付するタイミングは、被覆材(I)(先に塗付した被覆材)が非流動状態となった後であれば、特に限定されない。本発明において、「非流動状態」とは、被覆材(I)を塗付した後、被膜の流動性が失われた状態のことをいい、具体的には、被覆材(II)を塗付しても滲みを生じない程度、あるいは各被覆材が互いに混ざらない程度に乾燥・硬化した状態のことをいう。この「非流動状態」には、JIS K5400に規定される指触乾燥、半硬化乾燥、硬化乾燥等の状態も含まれる。本発明では、被覆材(I)の指触乾燥後(より好ましくは半硬化乾燥後、さらに好ましくは硬化乾燥後)に、被覆材(II)を塗付することが好ましい。なお、本発明において、乾燥・硬化は、好ましくは常温(5~40℃)で行えばよい。
本発明の被膜形成方法では、上記被覆材(I)の塗付に先だって、被塗面に対し、弾性被覆材(微弾性被覆材も含む)を塗付することができる。これにより、被塗面への追従性が高まり、形成被膜の割れ等を抑制することができる。本発明における弾性被覆材としては、例えば、JIS A6909:2021に規定されている建築用仕上塗材のうち、可とう性または防水性を示すもの、JIS A6021:2022に規定されている建築用塗膜防水材、あるいはこれらと同等の性能を有する各種塗材等が挙げられる。
具体的に、弾性被覆材としては、例えば、可とう形外装けい酸質系薄付け仕上げ塗材(可とう形外装薄塗材Si)、可とう形外装合成樹脂エマルション系薄付け仕上げ塗材(可とう形外装薄塗材E)、防水形外装合成樹脂エマルション系薄付け仕上げ塗材(防水形外装薄塗材E)、可とう形ポリマーセメント系複層仕上塗材(可とう形複層塗材CE)、防水形ポリマーセメント系複層仕上塗材(防水形複層塗材CE)、防水形合成樹脂エマルション系複層仕上塗材(防水形複層塗材E)、防水形反応硬化形合成樹脂エマルション系複層仕上塗材(防水形複層塗材RE)、防水形合成樹脂溶液系複層仕上塗材(防水形複層塗材RS)、可とう形合成樹脂エマルション系改修用仕上塗材(可とう形改修塗材E)、可とう形反応硬化形合成樹脂エマルション系改修用仕上塗材(可とう形改修塗材RE)、可とう形ポリマーセメント系改修用仕上塗材(可とう形改修塗材CE)、アクリルゴム系外壁用塗膜防水材、ウレタンゴム系外壁用塗膜防水材、等が挙げられる。
本発明の弾性被覆材は、前記被覆材(I)と同色または近似色(共色)であることが好ましい。これにより、違和感がなく、美観性に優れた仕上りを得ることができる。また、弾性被覆材は、上述の粗粒粉体(b1)、(b1’)等を含むものであってもよい。
弾性被覆材の塗装方法としては、特に限定されず、各材料に応じた塗装方法を採用することができる。塗装器具としては、例えば、スプレー、ローラー、コテ、刷毛等を用いることができる。弾性被覆材の塗付け量は、好ましくは0.2~5kg/m(より好ましくは0.3~4kg/m)である。塗装時には、弾性被覆材を必要に応じ適宜希釈することもできる。弾性被覆材塗装後の乾燥は、常温(好ましくは0~50℃、より好ましくは5~45℃)で行えばよく、必要に応じ加熱することもできる。
弾性被覆材は、被塗面に直接塗装することもできるし、被塗面を下塗材や下地調整塗材(例えば、シーラー、プライマー、サーフェーサ、フィラー、パテ等)で処理した後に塗装することもできる。
本発明の被膜形成方法では、本発明の効果を阻害しない限り、表面保護、耐候性向上、耐汚染性等の目的で、最表面にクリヤー被覆材を塗付して、クリヤー層を設けることもできる。但し、クリヤー層を設けた場合には、コントラストが滅殺されるおそれがある。本発明の効果を十分に得るには、クリヤー層を設けない態様が好適である。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
被覆材として、以下のものを用意した。
・被覆材1
アクリル樹脂エマルション〔固形分50重量%〕200重量部に対し、重質炭酸カルシウム〔屈折率1.56、白色度89、平均粒子径20μm〕180重量部、珪藻土〔屈折率1.46、白色度88、平均粒子径8μm〕60重量部、寒水石〔屈折率1.66、白色度90、粒径45~300μm(粒度106~300μmを72重量%含む)〕200重量部、酸化チタン〔屈折率2.71、白色度97、平均粒子径0.3μm〕10重量部、添加剤〔増粘剤、分散剤、消泡剤、造膜助剤、紫外線吸収剤等〕、水を常法により均一に混合した。次いで、着色顔料〔カーボンブラック、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄〕を添加して黒色系の被覆材1([(b1)/(B)]45.5重量%、[(b1’)/(B)]32.7重量%、加熱残分75重量%)を得た。
なお、被覆材1は、黒色系被覆材(L値:23.52、a値:0.52、b値:0.62)である。
・被覆材2
アクリル樹脂エマルション〔同上〕200重量部に対し、重質炭酸カルシウム〔同上〕180重量部、珪藻土〔同上〕60重量部、寒水石〔同上〕200重量部、酸化チタン〔同上〕10重量部、添加剤〔増粘剤、分散剤、消泡剤、造膜助剤、紫外線吸収剤等〕、水を常法により均一に混合した。次いで、着色顔料〔カーボンブラック、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄〕を添加し灰色系の被覆材2([(b1)/(B)]45.5重量%、[(b1’)/(B)]32.7重量%、加熱残分75重量%)を得た。
なお、被覆材2は、灰色系被覆材(L値:32.60、a値:-0.09、b値:-0.78)である。
・被覆材3
アクリル樹脂エマルション〔同上〕200重量部に対し、重質炭酸カルシウム〔同上〕230重量部、珪藻土〔同上〕60重量部、寒水石〔同上〕150重量部、酸化チタン〔同上〕10重量部、添加剤〔増粘剤、分散剤、消泡剤、造膜助剤、紫外線吸収剤等〕、水を常法により均一に混合した。次いで、着色顔料〔カーボンブラック、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄〕を添加して灰色系色系の被覆材3([(b1)/(B)]34.1重量%、[(b1’)/(B)]24.5重量%、加熱残分75重量%)を得た。
なお、被覆材3は、灰色系被覆材(L値:32.45、a値:-0.03、b値:-0.68)である。
・被覆材4
アクリル樹脂エマルション〔同上〕200重量部に対し、重質炭酸カルシウム〔同上〕280重量部、珪藻土〔同上〕60重量部、寒水石〔同上〕100重量部、酸化チタン〔同上〕10重量部、添加剤〔増粘剤、分散剤、消泡剤、造膜助剤、紫外線吸収剤等〕、水を常法により均一に混合した。次いで、着色顔料〔カーボンブラック、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄〕を添加して灰色系の被覆材4([(b1)/(B)]22.7重量%、[(b1’)/(B)]16.4重量%、加熱残分75重量%)を得た。
なお、被覆材4は、灰色系被覆材(L値:32.40、a値:-0.14、b値:-0.64)である。
・被覆材5
アクリル樹脂エマルション〔同上〕200重量部に対し、重質炭酸カルシウム〔同上〕335重量部、珪藻土〔同上〕60重量部、寒水石〔同上〕55重量部、酸化チタン〔同上〕10重量部、添加剤〔増粘剤、分散剤、消泡剤、造膜助剤、紫外線吸収剤等〕、水を常法により均一に混合した。次いで、着色顔料〔カーボンブラック、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄〕を添加して灰色系の被覆材5([(b1)/(B)]12.2重量%、[(b1’)/(B)]8.8重量%、加熱残分75重量%)を得た。
なお、被覆材5は、灰色系被覆材(L値:32.58、a値:-0.23、b値:-0.96)である。
・被覆材6
アクリル樹脂エマルション〔同上〕200重量部に対し、重質炭酸カルシウム〔同上〕140重量部、珪藻土〔同上〕60重量部、寒水石〔同上〕200重量部、酸化チタン〔同上〕40重量部、添加剤〔増粘剤、分散剤、消泡剤、造膜助剤、紫外線吸収剤等〕、水を常法により均一に混合した。次いで、着色顔料〔カーボンブラック、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄〕を添加して薄灰色系の被覆材6([(b1)/(B)]50.0重量%、[(b1’)/(B)]36.0重量%、加熱残分75重量%)を得た。
なお、被覆材6は、薄灰色色系被覆材(L値:51.47、a値:0.79、b値:1.52)である。
・被覆材7
アクリル樹脂エマルション〔同上〕200重量部に対し、重質炭酸カルシウム〔同上〕140重量部、珪藻土〔同上〕60重量部、寒水石〔同上〕200重量部、酸化チタン〔同上〕40重量部、添加剤〔増粘剤、分散剤、消泡剤、造膜助剤、紫外線吸収剤等〕、水を常法により均一に混合した。次いで、着色顔料〔カーボンブラック、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄〕を添加して薄灰色系の被覆材7([(b1)/(B)]50.0重量%、[(b1’)/(B)]36.0重量%、加熱残分75重量%)を得た。
なお、被覆材7は、薄灰色色系被覆材(L値:46.53、a値:0.94、b値:0.64)である。
・被覆材8
アクリル樹脂エマルション〔同上〕200重量部に対し、重質炭酸カルシウム〔同上〕240重量部、珪藻土〔同上〕60重量部、酸化チタン〔同上〕10重量部、添加剤〔増粘剤、分散剤、消泡剤、造膜助剤、紫外線吸収剤等〕、水を常法により均一に混合した。次いで、着色顔料〔カーボンブラック、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄〕を添加して黒色系の被覆材8([(b1)/(B)]0重量%、[(b1’)/(B)]0重量%、加熱残分75重量%)を得た。
なお、被覆材8は、黒色系被覆材(L値:27.95、a値:0.05、b値:-0.88)である。
(実施例1~実施例6)
基材(スレート板)に対し、第1工程として被覆材(I)を全面にローラー塗りし(中毛ウールローラーを使用)、指触乾燥以上の状態となるように2時間乾燥させた。次いで、第2工程として被覆材(II)をローラー塗りし〔図2に示すような5種のスポンジ質材を有するローラーを使用。スポンジ質材2a:硬度45~60N、密度50~100kg/m、スポンジ質材2b:硬度75~110N、密度15~30kg/m、スポンジ質材2c:硬度110~140N、密度15~50kg/m、スポンジ質材2d:硬度110~300N、密度30~85kg/m、スポンジ質材2e:硬度1000~1500N、密度10~20kg/m〕、24時間乾燥させた。塗装及び乾燥は、全て標準状態にて行った。この際の形成被膜の仕上りを評価した。評価基準としては、濃淡部分を形成してかすれ模様を有する美観性の高い装飾被膜面のものを「AA」、かすれ模様が得られなかったものを「D」として、AA>A>B>C>Dの4段階で評価した。
また、使用した被覆材(I)、被覆材(II)の組み合わせ、塗付け量、及び仕上がり性評価は表1に示した。
(実施例7)
基材(スレート板)に対し、第1工程として被覆材(I)を全面にローラー塗りし(中毛ウールローラーを使用)、指触乾燥以上の状態となるように2時間乾燥させた。次いで、第2工程として被覆材(II)をローラー塗りし〔図2に示すようなスポンジ質材を有するローラーを使用。但しスポンジ質材は2種。スポンジ質材2a:硬度45~60N、密度50~100kg/m、スポンジ質材2b:硬度75~110N、密度15~30kg/m、スポンジ質材2a=スポンジ質材2c=スポンジ質材2d、スポンジ質材2b=スポンジ質材2e〕、24時間乾燥させた。塗装及び乾燥は、全て標準状態にて行った。この際の形成被膜の仕上り性を評価した。また、使用した被覆材(I)、被覆材(II)の組み合わせ、及び仕上がり性評価は表1に示した。
(実施例8)
基材(スレート板)に対し、第1工程として被覆材(I)を全面にローラー塗りし(中毛ウールローラーを使用)、指触乾燥以上の状態となるように2時間乾燥させた。次いで、第2工程として被覆材(II)を押圧具で塗付し〔図1に示すような5種のスポンジ質材を有する押圧具を使用。スポンジ質材1a:硬度45~60N、密度50~100kg/m、スポンジ質材1b:硬度75~110N、密度15~30kg/m、スポンジ質材1c:硬度110~140N、密度15~50kg/m、スポンジ質材1d:硬度110~300N、密度30~85kg/m、スポンジ質材1e:硬度1000~1500N、密度10~20kg/m〕、24時間乾燥させた。塗装及び乾燥は、全て標準状態にて行った。この際の形成被膜の仕上り性を評価した。また、使用した被覆材(I)、被覆材(II)の組み合わせ、及び仕上がり性評価は表1に示した。
(比較例1)
基材(スレート板)に対し、第1工程として被覆材(I)を全面にローラー塗りし(中毛ウールローラーを使用)、指触乾燥以上の状態となるように2時間乾燥させた。次いで、第2工程として被覆材(II)をローラー塗りし(中毛ウールローラーを使用)、24時間乾燥させた。塗装及び乾燥は、全て標準状態にて行った。この際の形成被膜の仕上り性を評価した。また、使用した被覆材(I)、被覆材(II)の組み合わせ、及び仕上がり性評価は表1に示した。
(比較例2)
基材(スレート板)に対し、第1工程として被覆材(I)を全面にローラー塗りし(中毛ウールローラーを使用)、指触乾燥以上の状態となるように2時間乾燥させた。次いで、第2工程として被覆材(II)をローラー塗り〔スポンジローラー(スポンジ質材:硬度45~60N、密度50~100kg/m)を使用〕、24時間乾燥させた。塗装及び乾燥は、全て標準状態にて行った。この際の形成被膜の仕上り性を評価した。また、使用した被覆材(I)、被覆材(II)の組み合わせ、及び仕上がり性評価は表1に示した。
Figure 2023179356000001
実施例1~8ではいずれも、被覆材(I)により形成された被膜表面に、被覆材(II)が不連続に塗付され、濃淡部分を形成してかすれ模様を有する美観性の高い装飾被膜面が得られた。特に、実施例2~8は、かすれ模様がよりいっそう効果的に形成された。これに対して、比較例1、2では、被覆材(II)の塗付け量の調整が難しく濃淡部が形成されにくく、かすれ模様を形成することはできなかった。
(実施例9)
基材(表面にシーラーが塗装され、裏面に切り込みを設けた150×70×4mmのスレート板)の表面に対し、弾性被覆材として可とう形合成樹脂エマルション系改修用仕上塗材主材(可とう形改修塗材E主材)を全面にローラー塗りし(マスチックローラーを使用、塗付け量0.8Kg/m)、指触乾燥以上の状態となるように2時間乾燥させた。
次いで、実施例2と同様に、第1工程として被覆材1を全面にローラー塗りし(中毛ウールローラーを使用)、指触乾燥以上の状態となるように2時間乾燥させた。さらに、第2工程として被覆材2を押圧具で塗付し、24時間乾燥して積層被膜を得た。積層被膜の仕上り性を評価した。評価結果は、「AA」であった。
なお、弾性被覆材は、被覆材1と共色の物を使用した。また、塗装及び乾燥は、全て標準状態にて行った。
さらに、積層被膜を標準状態で14日間養生後、23℃、湿度50%雰囲気で引張速度1mm/分の条件で引張試験を行なったところ、伸びは0.5mm以上であり、被塗面に対する十分な追従性を確保することができた。
(実施例10)
実施例9の弾性被覆材に代えて、防水形合成樹脂エマルション系複層仕上塗材主材(防水形複層塗材E主材)を使用した以外は、実施例9と同様にして積層被膜を得た。積層被膜の仕上り性を評価した。評価結果は、「AA」であった。
さらに、積層被膜を標準状態で14日間養生後、23℃、湿度50%雰囲気で引張速度1mm/分の条件で引張試験を行なったところ、伸びは0.5mm以上であり、被塗面に対する十分な追従性を確保することができた。

Claims (4)

  1. 被塗面に、被覆材(I)、被覆材(II)を順に塗付する被膜形成方法であって、
    前記被覆材(II)は、樹脂成分(A)、屈折率2未満の粉体成分(B)及び着色顔料(C)を含み、前記粉体成分(B)は、粒径が45μm以上の粗粒粉体(b1)を含むものであり、
    前記被覆材(II)は、硬度及び/または密度が異なる少なくとも2種以上のスポンジ質材が混在する塗付具を用いて塗付されることを特徴とする被膜形成方法。
  2. 前記被覆材(II)の塗付け量は、0.01kg/m以上0.3kg/m未満であることを特徴とする請求項1に記載の被膜形成方法。
  3. 前記被覆材(I)は、樹脂成分(A)、屈折率2未満の粉体成分(B)及び着色顔料(C)を含み、前記粉体成分(B)は、粒径が45μm以上の粗粒粉体(b1)を含むものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の被膜形成方法。
  4. 前記被覆材(I)の塗付け量は、0.1kg/m以上0.5kg/m以下であることを特徴とする請求項3に記載の被膜形成方法。

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