JP7160987B2 - 配線被覆構造 - Google Patents

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Description

本発明は、配線被覆構造に関する。
車両などに設けられる電子デバイスの配線とコネクタとの接続部分を被覆する配線被覆構造として、コネクタを被覆するゴムブーツの先端部分と、配線を被覆するPVCチューブ(軟質塩化ビニールチューブ)などのチューブの先端部分とを重ねて密着させることで配線とコネクタとの接続部分を防水する構造が知られている。ゴムブーツは、弾性変形可能な部材(弾性体)である。チューブは、弾性変形可能な部材(弾性体)または、剛性が低く外力により変形する軟質の部材(軟体)である。ゴムブーツとチューブとは、重ねられて密着している。
例えば、特許文献1に開示された配線被覆構造では、コネクタを被覆するゴムブーツ(ゴムキャップ)の先端部分をめくって折り曲げ、このめくられた部分の外周に配線を被覆するチューブを被せている。そして、ゴムブーツのめくられた部分がチューブの内周面に押し付けられて密着することにより、配線とコネクタとの接続部分を防水している。
特許第5505150号公報
ゴムブーツは、弾性体であり、チューブは、弾性体または、軟体である。このため、高圧洗車などによって、ゴムブーツとチューブとの接続部分に高い水圧がかかると、ゴムブーツおよびチューブが変形して防水性が低下する虞がある。
そこで、本発明は、水圧などの外力が作用した場合も、ゴムブーツやチューブなどの配線やコネクタを被覆する部材の変形を防止することができる配線被覆構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る配線被覆構造は、配線(2)と、前記配線(2)が接続されるコネクタ(3)と、前記配線(2)を被覆する筒状の第1部材(4)と、前記コネクタ(3)を被覆する筒状の第2部材(5)と、を有し、前記配線(2)は、前記第2部材(5)の内部に挿入されて前記コネクタ(3)と接続され、前記第1部材(4)と前記第2部材(5)とは、互いの先端部分が内外に重なる重なり部(8)を有し、前記重なり部(8)の内側には、前記配線(2)が挿通される筒状の内筒部材(6,6B,6C,6D,6E)が挿入され、前記内筒部材(6,6B,6C,6D,6E)は、前記第1部材(4)および前記第2部材(5)よりも剛性が高い。
本発明では、第1部材と第2部材とが重なる重なり部の内側に、第1部材および第2部材よりも剛性が高い内筒部材が挿入されることにより、水圧などの外力が作用した場合でも、第1部材および第2部材の変形を防止することができる。これにより、重なり部では、第1部材と第2部材とが重なった状態が維持され、第1部材と第2部材との間に隙間が生じることが防止されるため、重なり部における防水性を良好に維持することができる。
本発明では、重なり部の内側に内筒部材を挿入して重なり部の変形を防止する構造であるため、第1部材および第2部材を厚肉化して剛性を高めることで重なり部の変形を防止する構造と比べて、コストを削減することができる。
本発明では、第1部材および第2部材よりも剛性が高い内筒部材に配線を挿通させるため、配線が第1部材および第2部材によって締め付けられることを防止できる。これにより、重なり部の内側と配線との摩擦が低減し、重なり部の内側における配線の自由度が増すため、配線をコネクタに接続する際の作業性を向上させることができる。また、複数の配線を重なり部の内側に挿通させる場合でも。重なり部の変形が防止されるため、作業性を向上させることができる。
第2部材の内部を密閉した場合、気温低下が生じると、第2部材内部の空気の体積が減少し第2部材内部が負圧となる。このようになると、第2部材内部を大気圧にしようとして第2部材が第1部材と第2部材との間から空気を吸い込もうとする。
本発明では、内筒部材と配線との間に隙間を設け、第1部材の内部と第2部材の内部との通気を確保することで、第2部材の内部が負圧となることを防止できる。
また、本発明に係る配線被覆構造では、前記第1部材(4)および前記第2部材(5)のうちの前記重なり部(8)において内側となる内側部材(5)の内周面(52b)は、前記内筒部材(6,6B,6C,6D,6E)の外周面(6a)と密着しており、前記第1部材(4)および前記第2部材(5)のうちの前記重なり部(8)において外側となる外側部材(4)の内周面(42b)は、前記内側部材(5)の外周面(52a)と密着していてもよい。
このような構成とすることにより、内側部材と外側部材との間に隙間が生じることを防止でき、防水性を向上させることができる。
また、本発明に係る配線被覆構造では、前記内筒部材(6B,6D,6E)は、径方向に開口可能であってもよい。
このような構成とすることにより、内筒部材に配線を挿入する際に、内筒部材を径方向に開口させ、開口している部分から内筒部材に配線を挿入することで、配線を内筒部材に挿通させた状態とすることができる。これにより、内筒部材に軸線方向から配線を挿入させる場合と比べて、配線を挿入するための開口が大きくなるため、作業性を向上させることができる。特に配線を複数設ける場合や、内筒部材が小径の場合でも作業性を向上させることができる。
径方向とは、軸線方向に直交する方向を示している。
また、本発明に係る配線被覆構造では、前記内筒部材(6C,6D)は、径方向の外側に突出する突出部(67,643,653)が形成され、前記突出部(67,643,653)は、前記内筒部材(6C,6D)における前記第1部材(4)および前記第2部材(5)のうちの前記重なり部(8)において内側となる内側部材(5)の先端と近接する側の先端に形成されていてもよい。
このような構成とすることにより、内筒部材を内側部材に挿入する際に、突出部が内側部材の先端と当たるようにすることで、内筒部材が内側部材の先端部分よりも奥まで入り込むことを防止できるとともに、内側部材に対する内筒部材の位置決めを容易に行うことができる。
また、本発明に係る配線被覆構造では、第2部材(5)は、前記コネクタ(3)を被覆するコネクタカバー部(51)と、前記コネクタカバー部(51)と接続され、前記コネクタカバー部(51)よりも小径の筒状の縮径部(52)と、を有し、前記縮径部(52)は、前記コネクタカバー部(51)と接続される側と反対側の端部側が前記第1部材(4)と重なって前記重なり部(8)を構成し、前記内筒部材(6,6B,6C,6D,6E)の軸線方向の長さは、前記縮径部(52)の軸線方向の長さよりも短くてもよい。
このように、内筒部材が縮径部よりも短いことにより、内筒部材を、縮径部に挿入しやすく、作業性が向上する。
また、本発明に係る配線被覆構造では、前記重なり部(8)の外周から、前記第1部材(4)および前記第2部材(5)のうちの前記重なり部(8)において内側となる内側部材(5)の外周にかけて巻き付けられるテープ(7)を有していてもよい。
このような構成とすることにより、重なり部の防水性を向上させることができる。また、重なり部の内側に剛性の高い内筒部材が設けられているため、重なり部から内側部材の外周にかけてテープを巻き付ける作業時に第1部材および第2部材が変形することが防止でき、隙間なく巻き付けることができる。また、第1部材の内径が内筒部材で拡管された第2部材の外径より多少大きくても、テープを巻き、第1部材と第2部材との隙間を無くす事で防水性を確保することができる。
また、本発明に係る配線被覆構造では、前記第1部材(4)および前記第2部材(5)のうちの前記重なり部(8)において内側となる内側部材(5)には、内周面に段部(55)が形成され、前記内筒部材(6,6B,6C,6D,6E)は、前記内側部材(5)における前記段部(55)よりも先端側に配置され、前記内側部材(5)は、前記段部(55)よりも先端と離れる側の内径が前記内筒部材(6,6B,6C,6D,6E)の外径よりも小さくてもよい。
このような構成とすることにより、内筒部材を内側部材に挿入する際に、内筒部材の端部を段部と当たるようにすることで、内筒部材が内側部材の先端部分よりも奥まで入り込むことを防止できるとともに、内側部材に対する内筒部材の位置決めを容易に行うことができる。
また、本発明に係る配線被覆構造では、前記第1部材(4)は弾性体または軟体であり、前記第2部材(5)は弾性体であってもよい。
このように、第1部材が弾性体または軟体であり、第2部材が弾性体の場合でも、第1部材と第2部材とが重なる重なり部の内側に、第1部材および第2部材よりも剛性が高い内筒部材が挿入されることにより、上記と同様の効果を奏する。また、第1部材が弾性体または軟体であり、第2部材が弾性体であることにより、第1部材と第2部材とが密着し防水性を良好に維持することができる。弾性体とは、弾性変形可能な部材を示し、軟体とは、剛性が低く外力により容易に変形する軟質の部材を示している。
また、本発明に係る配線被覆構造では、前記第1部材(4)は、PVCチューブであり、前記第2部材(5)は、ゴムブーツであってもよい。
このように、第1部材にPVCチューブ、第2部材にゴムブーツを採用する場合でも、上記と同様の効果を奏する。
また、本発明に係る配線被覆構造では、前記内筒部材(6,6B,6C,6D,6E)は、樹脂で形成されていてもよい。
このようにすることにより、内筒部材を容易にかつ安価に製作することができる。内筒部材を軽量にすることができる。
本発明によれば、ゴムブーツやPVCチューブなどの配線やコネクタを被覆する部材の変形を防止することができる。
第1実施形態による配線被覆構造を示す図である。 図1のA-A線断面図である。 第1実施形態による内筒部材の斜視図である。 第1実施形態による配線被覆構造の製造工程を説明する図である。 第2実施形態による配線被覆構造の内筒部材を軸線方向から見た図である。 第2実施形態による内筒部材の斜視図である。 第3実施形態による配線被覆構造の一例を示す図である。 第3実施形態による内筒部材の斜視図である。 本実施形態の変形例による内筒部材の斜視図である。 本実施形態の他の変形例による内筒部材を軸線方向形見た図である。 本実施形態の他の変形例による内筒部材の斜視図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態による配線被覆構造について、図1-図4に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態による配線被覆構造1は、車両などに搭載される電子デバイスに採用される。配線被覆構造1は、配線2と、配線2が接続されるコネクタ3と、配線2を被覆するチューブ4(第1部材、外側部材)と、コネクタ3を被覆するゴムブーツ5(第2部材、内側部材)と、内筒部材6と、テープ7と、を有している。
配線2は、電線などの線材で、先端に取り付けられた端子21がコネクタ3に接続される。
コネクタ3は、例えば基板11などに取り付けられている。本実施形態の配線被覆構造1は、複数のコネクタ3および複数の配線2が設けられ、複数のコネクタ3それぞれに配線2が接続されている。
チューブ4は、PVCチューブなどの筒状の部材である。チューブ4は、弾性変形可能な部材(弾性体)または、剛性が低く外力により容易に変形する軟質の部材(軟体)である。本実施形態のチューブ4は、円筒状である。チューブ4の内部には、複数の配線2が挿入されている。複数の配線2は、束になった状態で設けられている。複数の配線2は、それぞれの先端部分(端子21が取り付けられている部分)がチューブ4から突出した状態でコネクタ3に接続される。チューブ4における配線2が突出する側の端部を、先端部41とし、先端部41の近傍を先端部分42とする。
ゴムブーツ5は、ゴム製の部材である。ゴムブーツ5は、弾性変形可能な部材(弾性体)である。ゴムブーツ5は、コネクタ3を被覆するコネクタカバー部51と、コネクタカバー部51と接続された縮径部52と、を有している。コネクタカバー部51および縮径部52は、それぞれ筒状に形成され、軸線方向に接続されている。本実施形態の縮径部52は、円筒状である。縮径部52は、コネクタカバー部51よりも、内径および外径ともに小さい。すなわち、縮径部52は、コネクタカバー部51よりも小径である。縮径部52は、コネクタ3よりも配線2が配置される側に配置される。ゴムブーツ5における縮径部52側の端部を、先端部53とし、先端部53の近傍を先端部分54とする。ゴムブーツ5の先端部分54は、チューブ4の先端部分42と接続される。
本実施形態では、ゴムブーツ5の先端部分54がチューブ4の先端部分42の内側に重なって配置され、ゴムブーツ5の外周面52aがチューブ4の内周面42bと密着する。ゴムブーツ5と、チューブ4とが重なっている部分を重なり部8とする。
内筒部材6は、筒状の部材である。本実施形態の内筒部材6は、円筒状である。内筒部材6は、ゴムブーツ5およびチューブ4よりも剛性が高い。内筒部材6は、樹脂などで成形されている。内筒部材6の内径は、コネクタ3と接続されるすべての配線2が挿通可能な寸法に設定されている。内筒部材6の内周面6bと、配線2の束との間には隙間ができるように設定されていてもよい。
内筒部材6は、ゴムブーツ5の縮径部52の内側に挿入される。内筒部材6は、重なり部8の内側および重なり部8とつながる縮径部52の内部に配置されている。内筒部材6の長さ寸法(軸線方向の長さ)は、重なり部8よりも長く、縮径部52よりも短い。内筒部材6の一方の端部61は、縮径部52の先端部(ゴムブーツ5の先端部53)と重なり、内筒部材6の他方の端部62は、縮径部52の長さ方向(軸線方向)の中間部と重なっている。内筒部材6は、ゴムブーツ5のコネクタカバー部51に達していない。なお、内筒部材6の長さ寸法(軸線方向の長さ)は、重なり部8よりも短くても良い。
重なり部8では、チューブ4の内側にゴムブーツ5の縮径部52が挿入され、縮径部52の内側に内筒部材6が挿入されている。内側に内筒部材6が挿入されていない状態の縮径部52の内径は、内筒部材6の外径よりも小さい。縮径部52は、内側に内筒部材6が挿入されると、弾性変形して径が大きくなる。弾性変形した縮径部52の内周面52bと内筒部材6の外周面6aとは密着する。
内側にゴムブーツ5および内筒部材6が挿入されていない状態のチューブ4の内径は、内側に内筒部材6が挿入されている状態の縮径部52の外径よりも小さい。チューブ4は、内側にゴムブーツ5および内筒部材6が挿入されると変形して径が大きくなる。変形したチューブ4の内周面42bと縮径部52の外周面52aとは密着する。チューブ4が弾性体の場合には、内側にゴムブーツ5および内筒部材6が挿入されると弾性変形する。
ゴムブーツ5の縮径部52には、内側に内筒部材6が挿入された際に、内筒部材6の他方の端部62(コネクタカバー部51側の端部)が配置される位置に、段部55が形成され、内筒部材6が配置される部分の内径が、それよりもコネクタカバー部51側となる部分の内径よりも小さく設定されている。これにより、ゴムブーツ5の縮径部52の内部に挿入された内筒部材6は、段部55と当たることで正位置に配置される。
テープ7は、防水性を有する部材である。テープ7は、重なり部8の外周面8a(チューブ4の先端部分42の外周面42aと、重なり部8に連続する縮径部52の外周面52aに巻き付けられている。すなわち、チューブ4の先端部41と縮径部52との境界部分がテープ7によって覆われている。本実施形態では、チューブ4における内側に内筒部材6が設けられている部分、および、ゴムブーツ5におけるチューブ4に覆われておらず、内側に内筒部材6が設けられている部分にテープ7が巻き付けられている。
次に、配線被覆構造の製造工程における、配線2をコネクタ3に接続する工程について説明する。
まず、ゴムブーツ5でコネクタ3を覆い。ゴムブーツ5の縮径部52に内筒部材6を挿入する。これにより、縮径部52の内径が大きくなり、縮径部52の内周が内筒部材6の形状(円筒状)に維持される。
上記の縮径部52に内筒部材6を挿入する工程と前後して、複数の配線2の束をチューブ4に挿通して、配線2の先端部分をチューブ4の外に出し、配線2の先端部に端子21を取り付ける。
続いて、端子21および配線2の先端部分をゴムブーツ5に挿入し、端子21をコネクタ3に接続する。ゴムブーツ5の先端部分54には内筒部材6が挿入されているため、端子21および配線2の先端部分を内筒部材6の内部に挿入する。そして、端子21をコネクタ3側に移動させてコネクタ3に接続する。このとき、配線2を内筒部材6の内側に挿通するため、内筒部材6が挿入されていない状態のゴムブーツ5に挿通させる場合と比べて、容易に行うことができる。
続いて、チューブ4の先端部分42を内筒部材6が取り付けられたゴムブーツ5の先端部分54に被せる。これにより、ゴムブーツ5の外周面52aがチューブ4の内周面42bと密着する。
続いて、重なり部8および重なり部8につながる縮径部52にテープ7を巻き付ける。
このようにして配線2がコネクタ3に接続される。
なお、配線2の端子21をコネクタ3に接続する工程と、チューブ4の先端部分42をゴムブーツ5の先端部分54に被せる工程とは、前後してもよい。
次に、上述した本発明の第1実施形態による配線被覆構造1の作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した第1実施形態による配線被覆構造1では、チューブ4とゴムブーツ5とが重なる重なり部8の内側に、チューブ4およびゴムブーツ5よりも剛性が高い内筒部材6が挿入されることにより、水圧などの外力が作用した場合でも、チューブ4およびゴムブーツ5の変形を防止することができる。これにより、重なり部8では、チューブ4とゴムブーツ5とが重なった状態が維持され、チューブ4とゴムブーツ5との間に隙間が生じることが防止されるため、重なり部8における防水性を良好に維持することができる。
本実施形態による配線被覆構造1では、重なり部8の内側に内筒部材6を挿入して重なり部8の変形を防止する構造であるため、チューブ4およびゴムブーツ5を厚肉化して剛性を高めることで重なり部8の変形を防止する構造と比べて、コストを削減することができる。
本実施形態による配線被覆構造1では、チューブ4およびゴムブーツ5よりも剛性が高い内筒部材6に配線2を挿通させるため、配線2がチューブ4およびゴムブーツ5によって締め付けられることを防止できる。これにより、重なり部8の内側と配線2との摩擦が低減し、重なり部8の内側における配線2の自由度が増すため、配線2をコネクタに接続する際の作業性を向上させることができる。また、複数の配線2を重なり部8の内側に挿通させる場合でも。重なり部8の変形が防止されるため、作業性を向上させることができる。
ゴムブーツ5の内部を密閉した場合、気温低下が生じると、ゴムブーツ5の内部の空気の体積が減少しゴムブーツ5の内部が負圧となる。このようになると、ゴムブーツ5の内部を大気圧にしようとしてゴムブーツ5がチューブ4とゴムブーツ5との間から空気を吸い込もうとする。
本実施形態による配線被覆構造1では、内筒部材6と配線2との間に隙間を設け、チューブ4の内部とゴムブーツ5の内部との通気を確保することで、ゴムブーツ5の内部が負圧となることを防止できる。
本実施形態による配線被覆構造1では、ゴムブーツ5の内径は、内筒部材6の外径よりも小さく、チューブ4の内径は、内側に内筒部材6が挿入された状態のゴムブーツ5の外径よりも小さい。このような構成とすることにより、ゴムブーツ5が弾性変形して内筒部材6の外周面と密着し、チューブ4が変形してゴムブーツ5の外周面と密着するため、ゴムブーツ5およびチューブ4の変形を防止できる。
本実施形態による配線被覆構造1では、重なり部8においてゴムブーツ5の内周面52bは、内筒部材6の外周面6aと密着しており、チューブ4の内周面42bは、ゴムブーツ5の外周面52aと密着している。このような構成とすることにより、ゴムブーツ5およびチューブ4の変形を防止できるとともに、ゴムブーツ5とチューブ4との間に隙間が生じることを防止でき、防水性を向上させることができる。
本実施形態による配線被覆構造1では、内筒部材6の軸線方向の長さは、ゴムブーツ5の縮径部52の軸線方向の長さよりも短い。このようにすることにより、内筒部材6を、ゴムブーツ5の縮径部52に挿入しやすく、作業性が向上する。
本実施形態による配線被覆構造1では、重なり部8の外周からゴムブーツ5の外周にかけてテープ7が巻き付けられる。このような構成とすることにより、重なり部8の防水性を向上させることができる。また、重なり部8の内側に剛性の高い内筒部材6が設けられているため、重なり部8からゴムブーツ5の外周にかけてテープ7を巻き付ける作業時にチューブ4およびゴムブーツ5が変形することが防止でき、隙間なく巻き付けることができる、また、チューブ4の内径が内筒部材6で拡管されたゴムブーツ5の外径より多少大きくても、テープ7を巻き、チューブ4とゴムブーツ5との隙間を無くす事で防水性を確保することができる。
本実施形態による配線被覆構造1では、ゴムブーツ5には、内周面に段部55が形成されている。このような構成とすることにより、内筒部材6をゴムブーツ5に挿入する際に、内筒部材6の端部62を段部55と当たるようにすることで、内筒部材6がゴムブーツ5の先端部分よりも奥まで入り込むことを防止できるとともに、ゴムブーツ5に対する内筒部材6の位置決めを容易に行うことができる。
本実施形態による配線被覆構造1では、チューブ4は弾性体または軟体であり、ゴムブーツ5は弾性体である場合でも、チューブ4とゴムブーツ5とが重なる重なり部8の内側に、チューブ4およびゴムブーツ5よりも剛性が高い内筒部材6が挿入されることにより、上記のような効果を奏する。また、チューブ4が弾性体または軟体であり、ゴムブーツ5が弾性体であることにより、チューブ4とゴムブーツ5とが密着し防水性を良好に維持することができる。
本実施形態による配線被覆構造1では、内筒部材6は、樹脂で形成されている。このようにすることにより、内筒部材6を容易にかつ安価に製作することができる。内筒部材6を軽量にすることができる。
(他の実施形態)
次に、本発明の他の実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、実施形態と異なる構成について説明する。
(第2実施形態)
図5および図6に示すように、第2実施形態による配線被覆構造1Bでは、第1実施形態による配線被覆構造1と内筒部材の形態が異なっている。第2実施形態による配線被覆構造1Bの内筒部材を内筒部材6Bとする。
内筒部材6Bは、半円弧板状の第1半円弧板部64および第2半円弧板部65と、第1半円弧板部64と第2半円弧板部65とを接続するヒンジ部63と、を有している。
第1半円弧板部64と第2半円弧板部65とは、同じ形状の半円弧板状に形成されている。第1半円弧板部64と第2半円弧板部65とは、互いの内側の面を対向させるように合わせると円筒を構成する。第1半円弧板部64と第2半円弧板部65とを合わせてできる円筒と、第1実施形態の内筒部材6の円筒とは、略同じ形状である。
ヒンジ部は、第1半円弧板部64および第2半円弧板部65の互いの内側の面を対向させるように合わせられた際に対向するそれぞれの径方向の一方の端部64a,65a同士を相対回転可能に連結している。径方向とは、半円弧や円筒の軸線回りの方向を示す。ヒンジ部63の軸線63aは、第1半円弧板部64および第2半円弧板部65の軸線と平行となる方向に延びている。
内筒部材6Bは、ヒンジ部63の軸線63aを中心に、第1半円弧板部64および第2半円弧板部65を相対回転させ、第1半円弧板部64および第2半円弧板部65それぞれの他方の端部64b,65bを接触させた状態と、間隔をあけて離した状態とにすることが可能である。これにより、内筒部材6Bは、第1半円弧板部64および第2半円弧板部65それぞれの他方の端部64b,65bが間隔をあけて離れた状態とすることにより、径方向に開口する。径方向とは、軸線方向に直交する方向で、円筒の半径に沿った方向である。
第2実施形態では、内筒部材6Bを径方向に開口した状態とすることで、その開口から配線2を内筒部材6Bに挿入することができる。そして、内筒部材6Bを第1半円弧板部64および第2半円弧板部65が円筒を形成する閉じた状態とすることで、配線2を内筒部材6Bに挿入された状態とすることができる。
第2実施形態による配線被覆構造1Bでは、内筒部材6Bに配線2を挿入する際に、径方向に開口させ、開口している部分から内筒部材6に配線2を挿入することで、配線2を内筒部材6に挿通した状態とすることができる。これにより、内筒部材6Bに軸線方向から配線2を挿入させる場合と比べて、配線2を入れるための開口が大きくなるため、作業性を向上させることができる。特に配線2を複数設ける場合や、内筒部材6Bが小径の場合でも作業性を向上させることができる。
(第3実施形態)
図7および図8に示すように、第3実施形態による配線被覆構造1Cは、内筒部材6Cは、一方側の端部61(コネクタ3と離れる側の端部)に周方向全体にわたって径方向の外側に突出するフランジ67(突出部)が形成されている。
第3実施形態による配線被覆構造1Cでは、内筒部材6Cをゴムブーツ5に挿入する際に、フランジ67がゴムブーツ5の先端部53と当たるようにすることで、内筒部材6Cがゴムブーツ5の先端部分54よりも奥まで入り込むことを防止できるとともに、ゴムブーツ5に対する内筒部材6Cの位置決めを容易に行うことができる。
以上、本発明による配線被覆構造1の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記の実施形態では、配線2を被覆する第1部材がチューブ4(PVCチューブ)であり、コネクタ3を被覆する第2部材がゴムブーツ5である。配線2を被覆する第1部材およびコネクタ3を被覆する第2部材は、上記以外であってもよい。
上記の実施形態では、配線2をチューブ4が、コネクタ3を被覆するゴムブーツ5の外側に重なり、ゴムブーツ5の内側に内筒部材6が挿入されているが、配線2をチューブ4が、コネクタ3を被覆するゴムブーツ5の内側に重なり、チューブ4の内側に内筒部材6が挿入されていてもよい。
上記の実施形態では、ゴムブーツ5の内径は、内筒部材6の外径よりも小さく、チューブ4の内径は、内側に内筒部材6が挿入された状態のゴムブーツ5の外径よりも小さい。これに対し、ゴムブーツ5とチューブ4とが密着し、その内側の内筒部材6もゴムブーツ5と密着していれば、チューブ4、ゴムブーツ5および内筒部材6の内径、外径は適宜設定されてよい。
上記の実施形態では、内筒部材6の軸線方向の長さは、ゴムブーツ5の縮径部52の軸線方向の長さよりも短いが、縮径部52の軸線方向の長さよりも長くてもよい。
上記の実施形態では、ゴムブーツ5には、内周面に段部55が形成され、内筒部材6をゴムブーツ5に挿入する際に、内筒部材6の端部62を段部55と当たるようしているが、このような段部55が形成されていなくてもよい。
上記の第3実施形態では、フランジ67は、内筒部材6Cの一方側の端部61に周方向全体にわたって形成されているが、周方向の一部や、周方向に間隔をあけて複数設けられていてもよい。また、チューブ4が、ゴムブーツ5の内側に重なる場合には、内筒部材6の他方の端部にフランジ67が設けられ、フランジ67がチューブ4の先端部41と当たるように設定されていてもよい。
また、図9に示す内筒部材6Dのように、第1半円弧板部64Dと第2半円弧板部65Dとがヒンジ部63Dで連結されているとともに、第1半円弧板部64Dおよび第2半円弧板部65Dそれぞれの一方の端部641,651にフランジ643,653が設けられていてもよい。
上記の第2実施形態では、内筒部材6Bは、別部材である第1半円弧板部64と第2半円弧板部65とがヒンジ部63で接続されている。これに対し、図10および図11に示す内筒部材6Eのように、第1半円弧板部64Eと第2半円弧板部65Eとが一体であり、第1半円弧板部64Eと第2半円弧板部65Eとが連続する部分が他の部分よりも薄肉である薄肉部となっており、この薄肉部がヒンジ部63Eとなるように構成されていてもよい。内筒部材6Eでは、ヒンジ部63Eを軸として、第1半円弧板部64Eおよび第2半円弧板部65Eのヒンジ部63Eと反対側となる端部64b、65bが互いに離れるように力を加えることで、径方向に自然に開口する。そして、この開口している部分から内筒部材6Eの内部に配線2を挿入することができる。
1,1B,1C 配線被覆構造
2 配線
3 コネクタ
4 チューブ(第1部材、外側部材)
5 ゴムブーツ(第2部材、内側部材)
6,6B,6C,6D,6E 内筒部材
6a 外周面
7 テープ
8 重なり部
41 先端部
42 先端部分
42b 内周面
51 コネクタカバー部
52 縮径部
52a 外周面
52b 内周面
53 先端部
54 先端部分
55 段部
61 端部
67,643,653 フランジ(突出部)

Claims (10)

  1. 配線(2)と、
    前記配線(2)が接続されるコネクタ(3)と、
    前記配線(2)を被覆する筒状の第1部材(4)と、
    前記コネクタ(3)を被覆する筒状の第2部材(5)と、を有し、
    前記配線(2)は、前記第2部材(5)の内部に挿入されて前記コネクタ(3)と接続され、
    前記第1部材(4)と前記第2部材(5)とは、互いの先端部分が内外に重なる重なり部(8)を有し、
    前記重なり部(8)の内側には、前記配線(2)が挿通される筒状の内筒部材(6,6B,6C,6D,6E)が挿入され、
    前記内筒部材(6,6B,6C,6D,6E)は、前記第1部材(4)および前記第2部材(5)よりも剛性が高い配線被覆構造。
  2. 前記第1部材(4)および前記第2部材(5)のうちの前記重なり部(8)において内側となる内側部材(5)の内周面(52b)は、前記内筒部材(6,6B,6C,6D,6E)の外周面(6a)と密着しており、
    前記第1部材(4)および前記第2部材(5)のうちの前記重なり部(8)において外側となる外側部材(4)の内周面(42b)は、前記内側部材(5)の外周面(52a)と密着している請求項1に記載の配線被覆構造。
  3. 前記内筒部材(6B,6D,6E)は、径方向に開口可能である請求項1又は2に記載の配線被覆構造。
  4. 前記内筒部材(6C,6D)は、径方向の外側に突出する突出部(67,643,653)が形成され、
    前記突出部(67,643,653)は、前記内筒部材(6C,6D)における前記第1部材(4)および前記第2部材(5)のうちの前記重なり部(8)において内側となる内側部材(5)の先端と近接する側の先端に形成されている請求項1-3のいずれか一項に記載の配線被覆構造。
  5. 第2部材(5)は、前記コネクタ(3)を被覆するコネクタカバー部(51)と、
    前記コネクタカバー部(51)と接続され、前記コネクタカバー部(51)よりも小径の筒状の縮径部(52)と、を有し、
    前記縮径部(52)は、前記コネクタカバー部(51)と接続される側と反対側の端部側が前記第1部材(4)と重なって前記重なり部(8)を構成し、
    前記内筒部材(6,6B,6C,6D,6E)の軸線方向の長さは、前記縮径部(52)の軸線方向の長さよりも短い請求項1-4のいずれか一項に記載の配線被覆構造。
  6. 前記重なり部(8)の外周から、前記第1部材(4)および前記第2部材(5)のうちの前記重なり部(8)において内側となる内側部材(5)の外周にかけて巻き付けられるテープ(7)を有する請求項1-5のいずれか一項に記載の配線被覆構造。
  7. 前記第1部材(4)および前記第2部材(5)のうちの前記重なり部(8)において内側となる内側部材(5)には、内周面に段部(55)が形成され、
    前記内筒部材(6,6B,6C,6D,6E)は、前記内側部材(5)における前記段部(55)よりも先端側に配置され、
    前記内側部材(5)は、前記段部(55)よりも先端と離れる側の内径が前記内筒部材(6,6B,6C,6D,6E)の外径よりも小さい請求項1-6のいずれか一項に記載の配線被覆構造。
  8. 前記第1部材(4)は弾性体または軟体であり、
    前記第2部材(5)は弾性体である請求項1-7のいずれか一項に記載の配線被覆構造。
  9. 前記第1部材(4)は、PVCチューブであり、
    前記第2部材(5)は、ゴムブーツである請求項1-8のいずれか一項に記載の配線被覆構造。
  10. 前記内筒部材(6,6B,6C,6D,6E)は、樹脂で形成されている請求項1-9のいずれか一項に記載の配線被覆構造。
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