JP7159922B2 - 油機異常判定装置、油機異常判定方法、および油機異常判定プログラム - Google Patents

油機異常判定装置、油機異常判定方法、および油機異常判定プログラム Download PDF

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Description

本発明は、油機の異常を判定する油機異常判定装置、油機異常判定方法、および油機異常判定プログラムに関する。
例えば特許文献1などに、油機の異常を判定する装置が記載されている。同文献に記載の装置は、ポンプの摩耗金属量を検出する金属センサ、および、ポンプの流量を検出する流量センサを備えている。そして、流量をパラメータとする補正値を金属摩耗量に加味した補正検出値と、ポンプ故障判定用しきい値と、の比較結果に基づいて、ポンプが故障であるかどうかが判定される(同文献の請求項1などを参照)。
特開2000-241306号公報
しかし、摩耗粉量(同文献では金属摩耗量)は、油機(同文献ではポンプ)の流量以外のパラメータによっても変化する。そのため、油機の異常判定の精度が不十分となるおそれがある。
そこで、本発明は、油機の異常判定の精度を向上させることができる油機異常判定装置、油機異常判定方法、および油機異常判定プログラムを提供することを目的とする。
油機異常判定装置は、油機と、圧力検出部と、作動速度検出部と、動粘度取得部と、摩耗粉量検出部と、コントローラと、を備える。前記油機は、作業機械を作動させる。前記圧力検出部は、前記油機に作用する作動油の油圧を検出する。前記作動速度検出部は、前記油機の作動速度を検出する。前記動粘度取得部は、前記油機を通る作動油の動粘度を取得する。前記摩耗粉量検出部は、前記油機から排出された単位時間あたりの摩耗粉量を検出する。前記コントローラには、油圧、作動速度、および動粘度から決まる係数と、摩耗粉量の予測値である関数値と、の関係が設定される。前記コントローラは、前記圧力検出部に検出された油圧、前記作動速度検出部に検出された作動速度、および前記動粘度取得部に取得された動粘度に基づいて、前記係数を算出する。前記コントローラは、前記関係に基づいて、算出した前記係数に対応する前記関数値を算出する。前記コントローラは、前記摩耗粉量検出部に検出された摩耗粉量と、前記関数値と、の大きさの比較に基づいて、前記油機が異常であるか否かを判定する。
油機異常判定方法は、圧力検出ステップと、作動速度検出ステップと、動粘度取得ステップと、摩耗粉量検出ステップと、演算ステップと、を備える。前記圧力検出ステップは、作業機械を作動させる油機に作用する、作動油の油圧を検出する。作動速度検出ステップは、前記油機の作動速度を検出する。前記動粘度取得ステップは、前記油機を通る作動油の動粘度を取得する。前記摩耗粉量検出ステップは、前記油機から排出された単位時間あたりの摩耗粉量を検出する。前記演算ステップでは、油圧、作動速度、および動粘度から決まる係数と、摩耗粉量の予測値である関数値と、の関係が用いられる。前記演算ステップは、前記圧力検出ステップで検出された油圧、前記作動速度検出ステップで検出された作動速度、および前記動粘度取得ステップで取得された動粘度に基づいて、前記係数を算出する。前記演算ステップは、前記関係に基づいて、算出した前記係数に対応する前記関数値を算出する。前記演算ステップは、前記摩耗粉量検出ステップで検出された摩耗粉量と、前記関数値と、の大きさの比較に基づいて、前記油機が異常であるか否かを判定する。
油機異常判定プログラムは、圧力検出ステップと、作動速度検出ステップと、動粘度取得ステップと、摩耗粉量検出ステップと、演算ステップと、をコンピュータに実行させる。前記圧力検出ステップは、作業機械を作動させる油機に作用する、作動油の油圧を検出する。作動速度検出ステップは、前記油機の作動速度を検出する。前記動粘度取得ステップは、前記油機を通る作動油の動粘度を取得する。前記摩耗粉量検出ステップは、前記油機から排出された単位時間あたりの摩耗粉量を検出する。前記演算ステップでは、油圧、作動速度、および動粘度から決まる係数と、摩耗粉量の予測値である関数値と、の関係が用いられる。前記演算ステップは、前記圧力検出ステップで検出された油圧、前記作動速度検出ステップで検出された作動速度、および前記動粘度取得ステップで取得された動粘度に基づいて、前記係数を算出する。前記演算ステップは、前記関係に基づいて、算出した前記係数に対応する前記関数値を算出する。前記演算ステップは、前記摩耗粉量検出ステップで検出された摩耗粉量と、前記関数値と、の大きさの比較に基づいて、前記油機が異常であるか否かを判定する。
上記の油機異常判定装置、油機異常判定方法、および油機異常判定プログラムのそれぞれにより、油機の異常判定の精度を向上させることができる。
油機異常判定装置1を示すブロック図である。 図1に示す油機異常判定装置1の作動のフローチャートである。 図1に示すポンプ21の係数Cと摩耗粉量dNFe/dtとの関係Rを示すグラフである。 図1に示す摩耗粉量検出部47が検出した摩耗粉量dNFe/dtなどの経時的変化を示すグラフである。 図1に示すコントローラ60の作動のフローチャートである。
図1~図5を参照して、図1に示す油機異常判定装置1、油機異常判定方法、および油機異常判定プログラムについて説明する。
油機異常判定装置1は、油機20の異常を判定する装置である。油機異常判定装置1は、油機20の摩耗状態を判定することで、油機20の破損を予測する。油機異常判定装置1は、作業機械に設けられ、例えば建設作業を行う建設機械に設けられ、例えばショベルに設けられる。油機異常判定装置1は、油圧回路を有する作業機械(例えば油圧ショベルなど)に設けられる。油機異常判定装置1は、原動機11と、油機20と、配管31と、タンク33と、作動油フィルタ35と、検出部40と、報知部51と、コントローラ60(コンピュータ)と、を備える。
原動機11は、作業機械の駆動源である。原動機11は、内燃機関でもよく、電動機でもよく、これらを組み合わせたものでもよい。
油機20は、作業機械を作動させる油圧機器である。油機20には、作業機械を駆動する油圧機器と、作業機械の駆動を制御する油圧機器と、が含まれる。具体的には例えば、油機20は、ポンプ21と、アクチュエータ23と、コントロールバルブ25と、を備える。なお、これら以外の油圧機器が油機20に含まれてもよい。油機20の構成要素の少なくともいずれかが、油機異常判定装置1による異常判定の対象(「判定対象の油機20」という)である。
ポンプ21は、原動機11に駆動され、アクチュエータ23に作動油(圧油)を供給する、油圧ポンプである。ポンプ21の容量は、可変であり(ポンプ21は可変容量ポンプであり)、可変でなくてもよい。
アクチュエータ23は、作動油が供給されることで作動(駆動)し、作業機械を作動させる、油圧アクチュエータである。アクチュエータ23は、油圧モータ、および油圧シリンダの少なくともいずれかを備える。例えば、油機異常判定装置1が設けられる作業機械がショベルである場合は、アクチュエータ23は、走行モータと、旋回モータと、アタッチメント用シリンダと、を備える。走行モータは、作業機械を走行させる油圧モータである。旋回モータは、下部走行体に対して上部旋回体を旋回させる油圧モータである。アタッチメント用シリンダは、上部旋回体に対してアタッチメント(ブーム、アームなど)を作動させる油圧シリンダである。
コントロールバルブ25は、ポンプ21とアクチュエータ23との間に配置され、タンク33に接続される。上記「間」は、油路(配管31)における間を意味する(以下の「間」について同様)。コントロールバルブ25は、例えば作業機械の操作者の操作に応じて、作動油の流れの方向を切り替える。コントロールバルブ25は、ポンプ21から吐出された作動油をアクチュエータ23に供給し、アクチュエータ23から吐出された作動油をタンク33に戻す。コントロールバルブ25は、作動油の流量を制御してもよい。
配管31は、油機20に接続される。作動油は、配管31内を通る。配管31は、タンク33とポンプ21とに接続される配管31a(サクション)、ポンプ21とコントロールバルブ25とに接続される配管31c(デリベリ)、および、コントロールバルブ25とアクチュエータ23とに接続される配管31eを備える。また、配管31は、コントロールバルブ25とタンク33とに接続される配管31g、および、ポンプ21に接続されるドレン配管31iを備える。なお、図1には図示していないが、配管31は、コントロールバルブ25およびアクチュエータ23のそれぞれに接続されるドレン配管も備える。
タンク33は、作動油を貯留する容器である。作動油フィルタ35は、作動油からゴミを捕捉する。図1に示す例では、ドレン配管31iにのみ作動油フィルタ35を記載したが、ドレン配管31iを除く配管31(例えば配管31gなど)にも、作動油フィルタ35が設けられてもよい。
検出部40は、油機20に関する状態を検出する(検出ステップS1(図2参照))。検出部40は、圧力検出部41と、作動速度検出部43と、動粘度取得部45と、摩耗粉量検出部47と、を備える。なお、油機20に関する状態を検出する検出ステップS1は、油機20に関する状態の検出をコントローラ60が検出部40に行わせるステップと考えてもよい。また、検出ステップS1は、油機20に関する状態を検出部40が検出した値をコントローラ60が取得するステップと考えてもよい。以下の各ステップについても同様である。
圧力検出部41は、判定対象の油機20に作用する、作動油の油圧を検出する(圧力検出ステップS1a(図2参照))。圧力検出部41による油圧の検出の例は、次の通りである。[例1a]判定対象の油機20がポンプ21である場合、圧力検出部41は、ポンプ21の吐出圧を検出する。この場合、圧力検出部41は、配管31cの油圧を検出する。[例1b]判定対象の油機20がアクチュエータ23の場合、圧力検出部41は、アクチュエータ23に供給される作動油の油圧、および、アクチュエータ23から吐出される作動油の油圧のうち高い方の油圧を検出する。この場合、圧力検出部41は、例えば配管31eの油圧を検出する。[例1c]判定対象の油機20がコントロールバルブ25の場合、圧力検出部41は、コントロールバルブ25のスプールに作用する油圧を検出する。この場合、圧力検出部41は、例えば配管31cの油圧を検出する。
作動速度検出部43は、判定対象の油機20の作動速度を検出する(作動速度検出ステップS1b(図2参照))。作動速度検出部43による作動速度の検出は、直接的でも間接的でもよい。作動速度検出部43による作動速度の検出の例は、次の通りである。[例2a]判定対象の油機20がポンプ21である場合、作動速度検出部43は、ポンプ21の主軸の回転数(または原動機11の回転数)を検出してもよい。この場合、作動速度検出部43は、例えば回転数センサなどである。[例2b-1]判定対象の油機20がアクチュエータ23であって油圧モータである場合、作動速度検出部43は、油圧モータの主軸の回転数を検出してもよい。この場合、作動速度検出部43は、例えば回転数センサなどである。[例2b-2]判定対象の油機20がアクチュエータ23であって油圧シリンダである場合、作動速度検出部43は、シリンダチューブに対するピストンの移動速度(ストローク速度)を検出してもよい。この場合、シリンダチューブに対するピストンの位置(ストローク位置)に基づいて、ストローク速度が算出されてもよい。[例2c]判定対象の油機20がコントロールバルブ25である場合、作動速度検出部43は、コントロールバルブ25のハウジングに対するスプールの移動速度(ストローク速度)を検出してもよい。この場合、ストローク位置に基づいて、ストローク速度が算出されてもよい。
動粘度取得部45は、判定対象の油機20を通る作動油の動粘度を取得する(動粘度取得ステップS1c(図2参照))。動粘度取得部45は、判定対象の油機20を通っている最中の作動油の動粘度を取得してもよく、判定対象の油機20を通る前の作動油の動粘度を取得してもよく、判定対象の油機20を通った後の作動油の動粘度を取得してもよい。動粘度取得部45による動粘度の取得は、直接的な取得(検出)でもよく、間接的な取得(下記の温度センサ45tの説明を参照)でもよい。
この動粘度取得部45による動粘度の取得の例は次の通りである。[例3a]動粘度取得部45は、判定対象の油機20の内部で動粘度の取得を行ってもよい。[例3b]動粘度取得部45は、配管31の内部およびタンク33の内部の少なくともいずれかで動粘度の検出を行ってもよい。この場合、判定対象の油機20の内部で動粘度の検出を行う場合よりも、動粘度取得部45を容易に配置できる。[例3c]上記[例3b]の場合、動粘度取得部45は、判定対象の油機20にできるだけ近い配管31(判定対象の油機20の入口近く、出口近くなど)で動粘度の検出を行うことが好ましい。[例3d]上記[例3c]の場合、かつ、判定対象の油機20がポンプ21である場合、動粘度取得部45は、配管31a、配管31c、および、ドレン配管31i、の少なくともいずれかで動粘度の検出を行うことが好ましい。[例3e]上記[例3d]の場合、配管31の複数の位置(例えば、配管31a、配管31c、およびドレン配管31i)で検出した動粘度のうち最も低い動粘度を、動粘度取得部45が取得した動粘度とすることがさらに好ましい。
この動粘度取得部45は、作動油の温度に基づいて動粘度を取得してもよい。具体的には、動粘度取得部45は、温度センサ45tを備えてもよい。温度センサ45tは、判定対象の油機20を通る作動油の温度を検出する。そして、コントローラ60は、温度センサ45tに検出された温度に基づいて、油機20を通る作動油の動粘度を算出する(この場合、コントローラ60を、動粘度取得部45の構成要素としてもよい)。温度と動粘度との関係は、コントローラ60に設定される。温度と動粘度との関係の一例として、下記のWaltherの式がある。
ν=1/ln{T/(1+T2)}
ν:油機20を通る作動油の動粘度
T:油機20を通る作動油の温度
なお、「ln」は自然対数を表す。
この温度センサ45tは、例えば上記[例3a]~[例3e]の少なくともいずれかの検出を行ってもよい(ただし「動粘度の検出」を「温度の検出」に読み替える)。[例3f]温度センサ45tは、配管31およびタンク33の少なくともいずれかの外側の表面で検出を行ってもよい。この場合、配管31およびタンク33の少なくともいずれかの内部で検出を行う場合よりも、温度センサ45tを容易に配置できる。[例3g]上記[例3f]の場合、判定対象の油機20にできるだけ近い配管31(判定対象の油機20の入口近く、出口近くなど)で検出を行うことが好ましい(具体例については、上記[例3d]を参照)。
摩耗粉量検出部47は、判定対象の油機20から排出された摩耗粉量を検出する(摩耗粉量検出ステップS1d(図2参照))。「摩耗粉」は、油機20の内部の摩耗により生じた金属粉(例えば鉄粉など)である。摩耗粉量検出部47は、判定対象の油機20から排出された摩耗粉が通る配管31で、摩耗粉量を検出する。例えば、判定対象の油機20がポンプ21の場合、ドレン配管31iまたは配管31c(デリベリ)で検出を行う。ここで、ドレン配管31i以外の配管31の流量に比べ、ドレン配管31iの流量は少ない。よって、ドレン配管31i以外の配管31に比べ、ドレン配管31iでは摩耗粉量を正確に検出しやすい。そのため、摩耗粉量検出部47は、判定対象の油機20のドレン配管31iを通る作動油の摩耗粉量を検出することが好ましい。
報知部51は、判定対象の油機20に異常がある場合に、報知を行う。報知部51は、作業機械の使用者(例えば操作者)などに対して報知を行う。報知部51による報知は、例えば、音、および光の少なくともいずれかによる報知である。音による報知は、例えばブザー音でもよく、音声などでもよい。光による報知は、例えば画面への文字および図形の少なくともいずれかの表示でもよく、警告灯の発光などでもよい。
コントローラ60(コンピュータ、制御装置)は、信号の入出力、および演算(演算ステップS10(図2参照))などを行う。「演算」には、判定や算出などの処理が含まれる。コントローラ60は、検出部40が出力した信号(検出結果)を受信する。コントローラ60は、作業機械の作動を制御する。コントローラ60は、報知部51による報知を制御する。コントローラ60は、例えば原動機11の回転数を制御してもよい。
(作動)
油機異常判定装置1の作動(油機異常判定方法、油機異常判定プログラム)は、次の通りである。油機異常判定装置1は、以下のように作動するように構成される。以下では、主に、判定対象の油機20がポンプ21である場合について説明する。なお、判定対象の油機20がアクチュエータ23の場合は、下記のポンプ21をアクチュエータ23に読み替えればよく、判定対象の油機20がコントロールバルブ25の場合は、下記のポンプ21をアクチュエータ23に読み替えればよい。
原動機11がポンプ21を駆動すると、ポンプ21は、タンク33から作動油を吸い込み、コントロールバルブ25側に作動油を吐出する。コントロールバルブ25は、作業機械の操作者の操作などに応じて作動し、配管31c、配管31e、および配管31gにおける作動油の流れの方向を制御する(切り換える)。アクチュエータ23は、ポンプ21からコントロールバルブ25を介して作動油が供給され、駆動する。アクチュエータ23から排出された作動油は、コントロールバルブ25を介してタンク33に戻る。
図3に、判定対象の油機20での単位時間あたりの摩耗粉量dNFe/dt(縦軸)と、係数C(横軸)と、の関係Rを示すグラフを示す。なお、以下では、図1に示す、判定対象の油機20を、単に「油機20」ともいう。油機20については図1を参照して説明する。また、単位時間あたりの摩耗粉量dNFe/dtを、単に「摩耗粉量dNFe/dt」ともいう。
図3に示す係数Cは、油機20の内部の作動油による潤滑状態(摩耗状態)を判別する(明確にする)ために用いられる数である。係数Cは、油機20に作用する作動油の油圧と、油機20の作動速度と、油機20を通る作動油の動粘度(動粘度係数)と、から決まる数である。係数Cは、油圧に反比例し、作動速度に比例し、動粘度に比例する。さらに、係数Cは、油機20の可動部であって油圧が作用する部分の面積Aから決まってもよく、面積Aに反比例してもよい。係数Cは、具体的には例えば、下記の式(1)に示すハージー数(以下「HerseyNum」ともいう)である。なお、係数Cは、ハージー数でなくてもよく、例えばハージー数と同様の数でもよく、例えばハージー数に比例する数などでもよい。以下では、係数Cがハージー数である場合について説明する。下記の「ハージー数」や「HerseyNum」を、係数Cに読み替えてもよい。
HerseyNum=νV/PA 式(1)
ν:油機20を通る作動油の動粘度
V:油機20の作動速度
P:油機20に作用する作動油の油圧
A:油機20の可動部であって油圧(P)が作用する部分の面積
例えば、判定対象の油機20がポンプ21(図1参照)である場合のハージー数を、下記の式(1p)に示す。
HerseyNum=νNeg/Ppumppiston 式(1p)
ν:ポンプ21を通る作動油の動粘度
eg:ポンプ21の主軸の回転数
pump:ポンプ21の吐出圧
piston:ポンプ21のピストンの押出面積
なお、ポンプ21の主軸の回転数(Neg)は、原動機11の回転数と同じ数、または、原動機11の回転数に比例する数である。
図3に示すグラフは、ハージー数と、ハージー数に対応する摩耗粉量dNFe/dtの予測値である関数値f(HerseyNum)と、の関係Rを表す。関係Rは、油機異常判定装置1の使用前に特定され、例えば、作業機械の設計段階でのベンチ試験などで特定される。判定対象の油機20が複数ある場合は、判定対象の油機20ごとに、関係Rが特定される。関数値f(HerseyNum)は、摩耗粉量dNFe/dtの予測値であり、摩耗粉量検出部47に検出される(実際の)摩耗粉量dNFe/dtと一致しない場合がある。
なお、関係Rのグラフは、摩擦係数(グラフの縦軸)とハージー数(グラフの横軸)との関係として知られるストライベック曲線と同様のグラフである。さらに詳しくは、摩擦係数は、摩耗粉量dNFe/dtに比例する。そこで、ストライベック曲線の縦軸の摩耗係数を、摩耗粉量dNFe/dtに換算したものが、関係Rのグラフである。
油機20の内部の作動油による潤滑状態(摩耗状態)は、ハージー数によって3つの状態に分けられる。3つの状態には、流体潤滑領域A1と、混合潤滑領域A2と、境界潤滑領域A3と、がある。流体潤滑領域A1では、油機20の固定部と可動部との間(例えば、ポンプ21(図1参照)のピストンとシリンダとの間)が、油膜で隔てられる状態である。流体潤滑領域A1では、ハージー数に対して、摩耗粉量dNFe/dtが比例または略比例する。境界潤滑領域A3では、油機20の固定部と可動部とが直接接触する状態(油がちぎれた状態)である。混合潤滑領域A2は、流体潤滑領域A1と境界潤滑領域A3との中間の状態であり、油機20の固定部と可動部との間が油膜で隔てられたり隔てられなかったりする状態(油がちぎれたり、ちぎれなかったりする状態)である。混合潤滑領域A2では、ハージー数が大きくなるほど、摩耗粉量dNFe/dtが小さくなる。混合潤滑領域A2では、ハージー数と、摩耗粉量dNFe/dtと、の関係Rを示すグラフは曲線状となる。混合潤滑領域A2および境界潤滑領域A3で、油機20の摩耗による突発的破損が生じ得る。そこで、油機異常判定装置1(図1参照)では、ハージー数に基づいて油機20の摩耗状態を明確にすることで、油機20の摩耗による突発的破損を予測する。
図4に、摩耗粉量検出部47(図1参照)が検出した摩耗粉量dNFe/dt(縦軸)の経時的変化を示す(詳細は後述)。
図5に、図1に示すコントローラ60による演算(演算ステップS10)のフローチャート(異常判定フロー)を示す。以下では、図1に示す油機異常判定装置1の各構成要素(油機20、コントローラ60など)については図1を参照し、図5に示すフローチャートの各ステップについては図5を参照して説明する。
ステップS11では、コントローラ60は、油機20の潤滑状態が、図3に示す境界潤滑領域A3か否かを判定する。具体的には、コントローラ60は、摩耗粉量検出部47に検出された摩耗粉量dNFe/dt(図4参照)が、コントローラ60に設定される閾値dNFe/dt|Limit(図4参照)以上であるか否かを判定する。図3に示すように、閾値dNFe/dt|Limitは、境界潤滑領域A3のときに検出されると予想される摩耗粉量dNFe/dtの値に基づいて設定される。閾値dNFe/dt|Limitは、境界潤滑領域A3のときに検出されると予想される摩耗粉量dNFe/dtの値と同じ値でもよく、略同じ値でもよい。この判定では、コントローラ60は、下記の式(2)を満たすか否かを判定する。
dNFe/dt ≧ dNFe/dt|Limit 式(2)
摩耗粉量dNFe/dtが、閾値dNFe/dt|Limit以上である場合(ステップS11でYESの場合、図4に示すB11を参照)、油機20の潤滑状態(摩耗状態)は、境界潤滑領域A3と考えられる。この場合、コントローラ60は、油機20が異常であると判定する。この場合、フローは、ステップS41に進む。摩耗粉量dNFe/dtが、閾値dNFe/dt|Limit未満である場合(ステップS11でNOの場合)、フローはステップS21に進む。
ステップS21~S24での、コントローラ60の処理の概要は次の通りである。コントローラ60は、摩耗粉量検出部47に検出された単位時間あたりの摩耗粉量dNFe/dtと、関数値f(HerseyNum)と、の大きさの比較(ステップS22)に基づいて、油機20が異常であるか否かを判定する。さらに詳しくは、コントローラ60は、図3に示すハージー数が所定の係数範囲A4内の場合(ステップS21でYESの場合)に、摩耗粉量dNFe/dtと関数値f(HerseyNum)との大きさを比較する(ステップS22)。この比較に基づいて、コントローラ60は、油機20が異常であると判定する場合がある(ステップS22およびS24でYESの場合を参照)。ステップS21~S24の詳細は次の通りである。
ステップS21では、コントローラ60は、油機20の潤滑状態が、混合潤滑領域A2か否かを判定する。具体的には、コントローラ60は、算出したハージー数が、コントローラ60に設定される係数範囲A4内か否か(閾値HerseyNumTh未満か否か)を判定する。この判定の詳細は次の通りである。
図1に示すコントローラ60は、検出部40の検出値に基づいて、ハージー数(上記の式(1)を参照)を算出する。さらに詳しくは、コントローラ60は、圧力検出部41に検出された油圧、作動速度検出部43に検出された作動速度、および動粘度取得部45に取得された動粘度に基づいて、ハージー数(図3参照)を算出する。なお、コントローラ60は、さらに上記の面積A(定数)に基づいてハージー数を算出してもよい。この場合、面積Aの値は、予めコントローラ60に設定される。
図3に示す係数範囲A4の閾値HerseyNumThは、コントローラ60に設定され、油機20の潤滑状態に基づいて定められる。閾値HerseyNumThは、流体潤滑領域A1と混合潤滑領域A2との境界となるハージー数の値に基づいて定められる。閾値HerseyNumThは、流体潤滑領域A1と混合潤滑領域A2との境界となるハージー数の値と同じ値でもよく、略同じ値でもよい。図3に示す例では、閾値HerseyNumThは、流体潤滑領域A1の直線と、混合潤滑領域A2の曲線とが交わる点におけるハージー数の値である。閾値HerseyNumThは、摩耗粉量dNFe/dtが最小となるときのハージー数の値でもよい。
この判定では、コントローラ60は、算出したハージー数が、係数範囲A4内(閾値HerseyNumTh未満)か否かを判定し、具体的には、下記の式(3)を満たすか否かを判定する。
HerseyNum < HerseyNumTh 式(3)
ハージー数が閾値HerseyNumTh未満の場合(ステップS21でYESの場合)、油機20の潤滑状態(摩耗状態)は、混合潤滑領域A2と考えられる。この場合、フローはステップS22に進む。ハージー数が閾値HerseyNumTh以上の場合(ステップS21でNOの場合)、油機20の潤滑状態は、流体潤滑領域A1と考えられる。この場合、油機20の摩耗による突発的破損が生じる可能性は低いと考えられる。この場合、フローはステップS31に進む。
なお、この例では、係数範囲A4は、閾値HerseyNumTh未満の範囲であり、混合潤滑領域A2および境界潤滑領域A3の範囲である。ここで、油機20の潤滑状態が境界潤滑領域A3の場合は、ステップS11でYESと判定される。そのため、ハージー数が係数範囲A4内の場合(ステップS21でYESの場合)は、油機20の潤滑状態は混合潤滑領域A2であると判定できる。なお、係数範囲A4は、混合潤滑領域A2のみの範囲に設定されてもよい。
ステップS22~S24では、コントローラ60は、ハージー数が係数範囲A4内(ステップS21でYES)、かつ、図4に示す摩耗粉量dNFe/dtが関数値f(HerseyNum)以上、となる回数COUNTを測る(ステップS22、S23)。そして、回数COUNTが閾値COUNTThと等しくなった場合(ステップS24でYESの場合)に、コントローラ60は、油機20が異常であると判定する。
このように回数COUNTを判定する理由は、例えば次の通りである。上記のように、図3に示すハージー数と摩耗粉量dNFe/dtとの関係Rは、概ね図3に示すグラフのようになるが、厳密に図3に示すグラフと一致するわけではない。例えば、ハージー数が混合潤滑領域A2の値であっても、実際に検出された摩耗粉量dNFe/dtが、関係Rにおける関数値f(HerseyNum)よりも、小さい場合がある。この場合は、油機20の摩耗による突発的破損が生じる可能性は低いと考えられる。そこで、コントローラ60は、摩耗粉量dNFe/dtが関数値f(HerseyNum)以上となる回数COUNTが、閾値COUNTThと等しくなった場合(ステップS24でYESの場合)に、油機20が異常であると判定する。ステップS22~S24でのコントローラ60の処理の詳細は次の通りである。
ステップS22では、コントローラ60は、摩耗粉量検出部47に検出された摩耗粉量dNFe/dt(図4参照)が、関数値f(HerseyNum)(図4参照)以上か否かを判定する。コントローラ60は、図3に示す関係Rに基づいて、算出したハージー数(ステップS21の説明を参照)に対応する関数値f(HerseyNum)を算出する。ハージー数と関数値f(HerseyNum)との関係Rは、コントローラ60に予め設定される。さらに詳しくは、少なくともハージー数が係数範囲A4内の場合の(例えば混合潤滑領域A2の場合の)、ハージー数と関数値f(HerseyNum)との関係Rは、コントローラ60に設定される。この判定では、コントローラ60は、下記の式(4)を満たすか否かを判定する。
dNFe/dt ≧ f(HerseyNum) 式(4)
摩耗粉量dNFe/dtが関数値f(HerseyNum)以上である場合(ステップS22でYESの場合、図4のB22を参照)、フローはステップS23に進む。摩耗粉量dNFe/dtが関数値f(HerseyNum)未満である場合、油機20の摩耗による突発的破損が生じる可能性は低いと考えられる。この場合、フローは、ステップS31に進む。
なお、油機20の潤滑状態が流体潤滑領域A1または境界潤滑領域A3の場合、摩耗粉量dNFe/dtと関数値f(HerseyNum)との比較が行われない(図4のB11およびB21を参照)。そのため、図3に示す流体潤滑領域A1および境界潤滑領域A3における、ハージー数と関数値f(HerseyNum)との関係Rは、コントローラ60に設定されなくてもよい。
ステップS23では、コントローラ60は、回数COUNTを、1だけ増やす。回数COUNTは、摩耗粉量検出部47に検出された摩耗粉量dNFe/dtが関数値f(HerseyNum)以上となった回数(具体的には回数を示す変数)である。次に、フローはステップS24に進む。
ステップS24では、コントローラ60は、回数COUNTが、コントローラ60に設定される閾値COUNTThと等しくなったか否かを判定する。閾値COUNTThは、「油機20が異常である」と通知(ステップS41参照)すべき値に設定される。閾値COUNTThは、油機20の摩耗が許容できる程度から許容できない程度に変わるときの、回数COUNTの値に設定される。この判定では、コントローラ60は、次の式(5)を満たすか否かを判定する。
COUNT=COUNTTh 式(5)
回数COUNTが、閾値COUNTThと等しい場合(S24でYESの場合)、コントローラ60は、油機20が異常であると判定する。この場合、フローはステップS41に進む。回数COUNTが、閾値COUNTTh未満の場合(S24でNOの場合)、フローは、ステップS31に進む(「エンド」に進んでもよい)。
ステップS31では、コントローラ60は、摩耗粉量検出部47に検出された摩耗粉量dNFe/dtの積算値ΣNFeが、コントローラ60に設定された閾値ΣNFeTh以上か否かを判定する。この判定では、油機20の使用による劣化状態が判断され、油機20のマイルド摩耗の進展の度合いが判断される。例えば、判定対象の油機20がポンプ21の場合、ポンプ21のピストンとシリンダとのクリアランスの状況(例えば漏れの状況)が判断される。この判定の詳細は、次の通りである。
積算値ΣNFeは、例えば、判定対象の油機20が使用され始めてから(新品状態から)現在までに、摩耗粉量検出部47に検出された摩耗粉量dNFe/dtを積算した値である。積算値ΣNFeは、判定対象の油機20の、摩耗の判定の対象とする部位(例えばピストンおよびシリンダなど)が使用され始めてから(新品状態から)現在までに、摩耗粉量検出部47に検出された摩耗粉量dNFe/dtを積算した値である。
閾値ΣNFeThは、例えば、油機20の劣化による機械効率の低下が許容できるか否かに基づいて設定される。閾値ΣNFeThは、例えば、機械効率の低下が許容できる状態から許容できなくなる状態に変わるときの積算値ΣNFeと同じ値でもよく、略同じ値でもよい。
この判定では、コントローラ60は、下記の式(6)を満たすか否かを判定する。
ΣNFe ≧ ΣNFeTh 式(6)
積算値ΣNFeが、閾値ΣNFeTh以上の場合(ステップS31でYESの場合)、コントローラ60は、油機20が異常であると判定する。この場合、フローはステップS41に進む。積算値ΣNFeが、閾値ΣNFeTh未満の場合(ステップS31でNOの場合)、コントローラ60は、油機20が正常であると判定する。この場合、フローは「エンド」に進み、「スタート」に戻る。
ステップS41では、コントローラ60は、油機20が異常であることを示す信号を出力する。具体的には例えば、コントローラ60は、油機20が異常であることを示す信号を報知部51に出力し、報知部51に報知を行わせる。なお、コントローラ60は、報知部51以外の機器(図示なし)に、油機20が異常であることを示す信号を出力してもよい。次に、フローはステップS42に進む。油機20が異常であることを示す信号は、例えば、異常であると判定された油機20を停止させるための信号などでもよい。
ステップS42では、コントローラ60は、回数COUNTおよび、積算値ΣNFeをリセットする(ゼロに戻す)。次に、フローは「エンド」に進み、「スタート」に戻ってもよい。
(効果)
図1に示す油機異常判定装置1、油機異常判定方法、および油機異常判定プログラムによる効果は、次の通りである。なお、以下では、油機20およびコントローラ60については図1を参照して説明する。
(第1の発明の効果)
油機異常判定装置1は、作業機械を作動させる油機20と、圧力検出部41と、作動速度検出部43と、動粘度取得部45と、摩耗粉量検出部47と、コントローラ60と、を備える。圧力検出部41は、油機20に作用する作動油の油圧を検出する。作動速度検出部43は、油機20の作動速度を検出する。動粘度取得部45は、油機20を通る作動油の動粘度を取得する。摩耗粉量検出部47は、油機20から排出された単位時間あたりの摩耗粉量を検出する。
[構成1-1]コントローラ60には、図3に示すように、ハージー数(係数C)と、関数値f(HerseyNum)と、の関係Rが設定される。ハージー数は、油圧、作動速度、および動粘度から決まる数である。関数値f(HerseyNum)は、摩耗粉量dNFe/dtの予測値である。
[構成1-2]図1に示すコントローラ60は、圧力検出部41に検出された油圧、作動速度検出部43に検出された作動速度、および動粘度取得部45に取得された動粘度に基づいて、ハージー数を算出する。
[構成1-3]コントローラ60は、図3に示す関係Rに基づいて、算出したハージー数に対応する関数値f(HerseyNum)を算出する。
[構成1-4]コントローラ60は、摩耗粉量検出部47(図1参照)に検出された摩耗粉量dNFe/dtと、関数値f(HerseyNum)と、の大きさの比較(図5のステップS22)に基づいて、油機20が異常であるか否かを判定する。
上記構成では、コントローラ60は、図3に示すハージー数を算出し(上記[構成1-2])、算出したハージー数に対応する関数値f(HerseyNum)を算出する(上記[構成1-3])。この関数値f(HerseyNum)は、摩耗粉量dNFe/dtの予測値である(上記[構成1-1])。ここで、摩耗粉量dNFe/dtの実測値は、予測値(すなわち関数値f(HerseyNum))未満となる場合がある。この場合、油機20の摩耗による突発的破損が直ちに生じる可能性は低い。そこで、コントローラ60は、上記[構成1-4]のように、摩耗粉量dNFe/dtの実測値と関数値f(HerseyNum)(予測値)と、の大きさの比較(図5のステップS22を参照)に基づいて、油機20が異常であるか否かを判定する。よって、関数値f(HerseyNum)を用いずに油機20の異常を判定する場合に比べ、油機20の異常判定の精度を向上させることができる。さらに詳しくは、油機20の摩耗による突発的破損を含む、油機20の異常の判定の精度を向上させることができる。その結果、油機20の摩耗による突発的破損を抑制できる。
上記「関数値f(HerseyNum)を用いずに油機20の異常を判定する場合」には、例えば、作動油の流量および摩耗粉量dNFe/dtの実測値のみに基づいて、油機20の異常を判定する場合(例えば特許文献1などを参照)などである。
(第2の発明の効果)
[構成2]コントローラ60には、図3に示すように、ハージー数に関する係数範囲A4であって油機20の潤滑状態に基づいて定められる係数範囲A4が設定される。コントローラ60は、算出したハージー数が係数範囲A4内の場合に(図5のステップS21を参照)、上記[構成1-4]の判定を行う(図5のステップS22を参照)。
上記[構成2]により、次の効果が得られる。ハージー数によって、油機20の摩耗状態が変わり、摩耗粉量dNFe/dtの予測値が変わる。そこで、上記[構成2]では、ハージー数が、油機20の摩耗状態に基づいて定められる係数範囲A4内の場合に(図5のステップS21でYESの場合に)、コントローラ60は、上記[構成1-4]の判定を行う(図5のステップS22を参照)。よって、油機20の摩耗状態が、特定の状態のときに、上記[構成1-4]の判定を行える。
上記「特定の状態」は、具体的には例えば、油機20の摩耗による突発的破損が生じ得るような摩耗状態(例えば混合潤滑領域A2など)である。この場合、油機20の摩耗による突発的破損が生じ得るような、油機20の異常の判定の精度を向上させることができる。
(第3の発明の効果)
[構成3]コントローラ60は、算出したハージー数が係数範囲A4内、かつ、摩耗粉量検出部47(図1参照)に検出された摩耗粉量dNFe/dtが関数値f(HerseyNum)以上、となる回数COUNTを測る(図5のステップS22、S23)。コントローラ60は、コントローラ60に設定された回数COUNTに関する閾値COUNTThと、測った回数COUNTと、が等しくなった場合に(図5のステップS24でYESの場合に)、油機20が異常であると判定する。
上記[構成3]により、次の効果が得られる。ハージー数が係数範囲A4内、かつ、摩耗粉量dNFe/dtが関数値f(HerseyNum)以上(図5のステップS22でYES)であっても、油機20の摩耗による突発的破損が直ちには生じない場合がある。一方、摩耗粉量dNFe/dtが関数値f(HerseyNum)以上となる回数COUNTが増えるにしたがって(図4参照)、油機20の摩耗による突発的破損が生じる可能性が高くなる。そこで、上記[構成3]では、コントローラ60は、回数COUNTと閾値COUNTThとが等しくなった場合に(図5のステップS24でYESの場合に)、油機20が異常であると判定する。よって、油機20の異常判定の精度を向上させることができる。
(第4の発明の効果)
[構成4]コントローラ60は、摩耗粉量検出部47に検出された摩耗粉量dNFe/dtが、閾値dNFe/dt|Limit以上である場合に(図5のステップS11でYESの場合に)、油機20が異常であると判定する。閾値dNFe/dt|Limit(図4参照)は、コントローラ60に設定された閾値であって、摩耗粉量dNFe/dtに関する閾値である。
上記[構成4]により、油機20の摩耗による突発的破損が直ちに生じる可能性のある摩耗粉量dNFe/dtを、閾値dNFe/dt|Limitとして設定した場合は、次の効果が得られる。この場合、油機20の摩耗による突発的破損が直ちに生じる可能性のあるときに、油機20が異常であると判定できる。
(第5の発明の効果)
[構成5]図1に示すコントローラ60は、摩耗粉量検出部47に検出された摩耗粉量dNFe/dtの積算値ΣNFeが、閾値ΣNFeTh以上である場合に(図5のステップS31でYESの場合に)、油機20が異常であると判定する。閾値ΣNFeThは、コントローラ60に設定され、摩耗粉量dNFe/dtの積算値ΣNFeに関する閾値である。
油機20は、マイルド摩耗の進展(使用による劣化)により破損する場合がある。そこで、上記[構成5]では、積算値ΣNFeが、閾値ΣNFeTh異常である場合に(図5のステップS31でYESの場合に)、油機20が異常であるとコントローラ60が判定する。よって、油機20のマイルド摩耗の進展による異常を判定できる。
(第6の発明の効果)
[構成6]動粘度取得部45は、油機20を通る作動油の温度を検出する温度センサ45tを備える。コントローラ60は、温度センサ45tに検出された温度に基づいて、油機20を通る作動油の動粘度を算出する。
上記[構成6]では、動粘度取得部45は、動粘度を直接検出しなくても、温度に基づいて動粘度を取得できる。通常、温度センサ45tは、動粘度を直接検出可能なセンサに比べ、安価である。その結果、油機異常判定装置1を安価にできる。
また、上記[構成6]により次の効果が得られてもよい。作動油の動粘度を直接検出する場合、油機20、配管31、およびタンク33の少なくともいずれかの内部の作動油に対して検出を行う必要がある。一方、作動油の温度を検出する場合、油機20、配管31、およびタンク33の少なくともいずれかの外側表面の温度を検出することで、間接的に、作動油の温度を検出できる。よって、動粘度を直接検出可能なセンサに比べ、温度センサ45tを容易に配置できる。なお、温度センサ45tは、油機20、配管31、およびタンク33の少なくともいずれかの外側表面の温度を検出可能な位置に配置されなくてもよい。
(第7の発明の効果)
[構成7-1]油機異常判定方法は、図2に示すように、圧力検出ステップS1aと、作動速度検出ステップS1bと、動粘度取得ステップS1cと、摩耗粉量検出ステップS1dと、演算ステップS10と、を備える。
[構成7-2]圧力検出ステップS1aは、図1に示す作業機械を作動させる油機20に作用する、作動油の油圧を検出する。作動速度検出ステップS1b(図2参照)は、油機20の作動速度を検出する。動粘度取得ステップS1c(図2参照)は、油機20を通る作動油の動粘度を取得する。摩耗粉量検出ステップS1d(図2参照)は、油機20から排出された単位時間あたりの摩耗粉量を検出する。演算ステップS10では、図3に示すように、油圧、作動速度、および動粘度から決まるハージー数(係数C)と、摩耗粉量dNFe/dtの予測値である関数値f(HerseyNum)と、の関係Rが用いられる。図2に示す演算ステップS10は、圧力検出ステップS1aで検出された油圧、作動速度検出ステップS1bで検出された作動速度、および動粘度取得ステップS1cで取得された動粘度に基づいて、ハージー数を算出する。演算ステップS10は、図3に示す関係Rに基づいて、算出したハージー数に対応する関数値f(HerseyNum)を算出する。演算ステップS10(図2参照)は、摩耗粉量検出ステップS1d(図2参照)で検出された摩耗粉量dNFe/dtと、関数値f(HerseyNum)と、の大きさの比較(図5のステップS22)に基づいて、油機20が異常であるか否かを判定する。
上記[構成7-1]および[構成7-2]により、上記[構成1-1]~[構成1-4]による効果と同様の効果が得られる。
(第8の発明の効果)
[構成8]油機異常判定プログラムは、図2に示すように、圧力検出ステップS1aと、作動速度検出ステップS1bと、動粘度取得ステップS1cと、摩耗粉量検出ステップS1dと、演算ステップS10と、を図1に示すコントローラ60(コンピュータ)に実行させる。油機異常判定プログラムは、上記[構成7-2]を備える。
上記[構成8]により、上記[構成1-1]~[構成1-4]による効果と同様の効果が得られる。
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、図1に示す回路の接続は変更されてもよい。例えば、図5に示すフローチャートのステップの順序が変更されてもよく、ステップの一部が行われなくてもよい。例えば、図1に示す油機異常判定装置1の構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、互いに異なる複数の構成要素として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。
上記の各閾値(閾値dNFe/dt|Limit、閾値HerseyNumTh、閾値COUNTTh、閾値ΣNFeTh)の少なくともいずれかは、何らかの条件(例えば時間や、油機異常判定装置1が設けられる作業機械に関する状態など)に応じて、動的に変化させてもよい。
1 油機異常判定装置
20 油機
41 圧力検出部
43 作動速度検出部
45 動粘度取得部
45t 温度センサ
47 摩耗粉量検出部
60 コントローラ(コンピュータ)
A4 係数範囲
C 係数
COUNT 回数
HerseyNum ハージー数(係数)
R 関係
S1a 圧力検出ステップ
S1b 作動速度検出ステップ
S1c 動粘度取得ステップ
S1d 摩耗粉量検出ステップ
S10 演算ステップ

Claims (8)

  1. 作業機械を作動させる油機と、
    前記油機に作用する作動油の油圧を検出する圧力検出部と、
    前記油機の作動速度を検出する作動速度検出部と、
    前記油機を通る作動油の動粘度を取得する動粘度取得部と、
    前記油機から排出された単位時間あたりの摩耗粉量を検出する摩耗粉量検出部と、
    コントローラと、
    を備え、
    前記コントローラには、油圧、作動速度、および動粘度から決まる係数と、摩耗粉量の予測値である関数値と、の関係が設定され、
    前記コントローラは、
    前記圧力検出部に検出された油圧、前記作動速度検出部に検出された作動速度、および前記動粘度取得部に取得された動粘度に基づいて、前記係数を算出し、
    前記関係に基づいて、算出した前記係数に対応する前記関数値を算出し、
    前記摩耗粉量検出部に検出された摩耗粉量と、前記関数値と、の大きさの比較に基づいて、前記油機が異常であるか否かを判定する、
    油機異常判定装置。
  2. 請求項1に記載の油機異常判定装置であって、
    前記コントローラには、前記係数に関する範囲であって前記油機の潤滑状態に基づいて定められる係数範囲が設定され、
    前記コントローラは、算出した前記係数が前記係数範囲内の場合に、前記摩耗粉量検出部に検出された摩耗粉量と、前記関数値と、の大きさの比較に基づいて、前記油機が異常であるか否かを判定する、
    油機異常判定装置。
  3. 請求項2に記載の油機異常判定装置であって、
    前記コントローラは、
    算出した前記係数が前記係数範囲内、かつ、前記摩耗粉量検出部に検出された摩耗粉量が前記関数値以上、となる回数を測り、
    前記コントローラに設定された前記回数に関する閾値と、測った前記回数と、が等しくなった場合に、前記油機が異常であると判定する、
    油機異常判定装置。
  4. 請求項1または2に記載の油機異常判定装置であって、
    前記コントローラは、前記摩耗粉量検出部に検出された摩耗粉量が、前記コントローラに設定された閾値であって摩耗粉量に関する閾値以上である場合に、前記油機が異常であると判定する、
    油機異常判定装置。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の油機異常判定装置であって、
    前記コントローラは、前記摩耗粉量検出部に検出された摩耗粉量の積算値が、前記コントローラに設定された摩耗粉量の積算値に関する閾値以上である場合に、前記油機が異常であると判定する、
    油機異常判定装置。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の油機異常判定装置であって、
    前記動粘度取得部は、前記油機を通る作動油の温度を検出する温度センサを備え、
    前記コントローラは、前記温度センサに検出された温度に基づいて、前記油機を通る作動油の動粘度を算出する、
    油機異常判定装置。
  7. 作業機械を作動させる油機に作用する、作動油の油圧を検出する圧力検出ステップと、
    前記油機の作動速度を検出する作動速度検出ステップと、
    前記油機を通る作動油の動粘度を取得する動粘度取得ステップと、
    前記油機から排出された単位時間あたりの摩耗粉量を検出する摩耗粉量検出ステップと、
    演算ステップと、
    を備え、
    前記演算ステップでは、油圧、作動速度、および動粘度から決まる係数と、摩耗粉量の予測値である関数値と、の関係が用いられ、
    前記演算ステップは、
    前記圧力検出ステップで検出された油圧、前記作動速度検出ステップで検出された作動速度、および前記動粘度取得ステップで取得された動粘度に基づいて、前記係数を算出し、
    前記関係に基づいて、算出した前記係数に対応する前記関数値を算出し、
    前記摩耗粉量検出ステップで検出された摩耗粉量と、前記関数値と、の大きさの比較に基づいて、前記油機が異常であるか否かを判定する、
    油機異常判定方法。
  8. 作業機械を作動させる油機に作用する、作動油の油圧を検出する圧力検出ステップと、
    前記油機の作動速度を検出する作動速度検出ステップと、
    前記油機を通る作動油の動粘度を取得する動粘度取得ステップと、
    前記油機から排出された単位時間あたりの摩耗粉量を検出する摩耗粉量検出ステップと、
    演算ステップと、
    をコンピュータに実行させ、
    前記演算ステップでは、油圧、作動速度、および動粘度から決まる係数と、摩耗粉量の予測値である関数値と、の関係が用いられ、
    前記演算ステップは、
    前記圧力検出ステップで検出された油圧、前記作動速度検出ステップで検出された作動速度、および前記動粘度取得ステップで取得された動粘度に基づいて、前記係数を算出し、
    前記関係に基づいて、算出した前記係数に対応する前記関数値を算出し、
    前記摩耗粉量検出ステップで検出された摩耗粉量と、前記関数値と、の大きさの比較に基づいて、前記油機が異常であるか否かを判定する、
    油機異常判定プログラム。
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