JP5786595B2 - 油圧ユニット - Google Patents

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Description

本発明は、作動油を油圧アクチュエータへ供給する油圧ユニットに関するものである。
従来より、作動油及び油圧ポンプの劣化を診断する装置が知られている。例えば、特許文献1には、この種の診断装置が開示されている。この診断装置は、油圧ユニットから採取された作動油のサンプルに光を照射する照射部と、該照射部からサンプルの上部と下部へそれぞれ透過した光を別々に受光する2つの受光部と、該2つの受光部から出力される光信号を解析して作動油及び油圧ポンプの劣化を診断する劣化診断部とを備えている。
この診断装置では、作動油の劣化が進行した際に生成される酸化物(スラッジ等)や油圧ポンプの磨耗劣化が進行した際に生成される金属磨耗粉をサンプルの下部に沈降させた状態で、劣化診断が行われる。これらの物質は、一定の波長の光を吸収する性質を持っている。そのため、サンプルの下部を透過した光のスペクトルは、サンプルの上部を透過した光のスペクトルと異なるものとなる。この装置では、この2つの透過光のスペクトル差に基づいて、作動油及び油圧ポンプの劣化度合が診断される。
特開2003−139696号公報
しかし、特許文献1の装置を用いて作動油及び油圧ポンプの劣化診断を行う場合、作動油を採取して診断用のサンプルを作製するユーザの手間が大きいため、継続的に診断するのが難しく、定期的に診断せざるを得なかった。そのため、例えば、油圧ユニットの運転中に作動油が急激に劣化しても、それを即座に検知することが困難であった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、作動油及び油圧ポンプの劣化診断におけるユーザの手間を軽減し、油圧ユニットの運転中に生じる作動油及び油圧ポンプの劣化を即座に検知することを目的としている。
第1の発明は、油タンク(24)と、該油タンク(24)から油圧アクチュエータへ作動油を供給する油圧ポンプ(21)と、該油圧ポンプ(21)を回転させる電動機(22)とを有する油圧ユニットを前提としている。そして、この油圧ユニットは、上記油圧ポンプ(21)の吐出圧力及び吐出流量の少なくとも一方のパラメータの値が一定に保持された運転条件下で、上記油圧ポンプ(21)の吐出圧力、上記油圧ポンプ(21)の吐出流量、上記電動機(22)の回転数、上記電動機(22)のトルク、及び上記電動機(22)の供給電流の5つのパラメータの内、上記一定に保持されたパラメータを除く少なくとも1つのパラメータの運転初期値と現在値を取得する取得部(51)と、上記取得部(51)の運転初期値と現在値との差が所定値に達すると、上記作動油及び油圧ポンプ(21)の少なくとも一方が劣化したと判定する劣化判定部(56)と、上記劣化判定部(56)において上記作動油及び油圧ポンプ(21)の少なくとも一方が劣化したと判定されると、該劣化を警告する警告部(57)とを備えている。
上記第1の発明では、油圧ポンプ(21)の吐出圧力及び吐出流量の少なくとも一方のパラメータの値が一定に保持された運転条件下で、5つのパラメータ(油圧ポンプ(21)の吐出圧力、油圧ポンプ(21)の吐出流量、電動機(22)の回転数、電動機(22)のトルク、電動機(22)の供給電流)の内、一定に保持されたパラメータを除く少なくとも1つのパラメータの運転初期値と現在値とが取得され、その現在値と運転初期値との差が求められる。そして、この差が大きくなって所定の閾値に達すると、作動油及び油圧ポンプ(21)の少なくとも一方が劣化したと判定され、劣化の警告が発せられる。
このように、上記第1の発明では、油圧ユニット(10)の運転中に、油圧ユニット(10)において、自律的に作動油及び油圧ポンプ(21)の劣化診断が行われる。そのため、従来のように、ユーザが油圧ユニットから作動油を採取して、専用の診断装置で劣化診断する必要がなくなる。
第2の発明は、油タンク(24)と、該油タンク(24)から油圧アクチュエータへ作動油を供給する油圧ポンプ(21)と、該油圧ポンプ(21)を回転させる電動機(22)とを有する油圧ユニットを前提としている。そして、この油圧ユニットは、上記油圧ポンプ(21)の吐出圧力及び吐出流量の少なくとも一方のパラメータの値が一定に保持された運転条件下で、上記油圧ポンプ(21)の吐出圧力、上記油圧ポンプ(21)の吐出流量、上記電動機(22)の回転数、上記電動機(22)のトルク、及び上記電動機(22)の供給電流の5つのパラメータの内、上記一定に保持されたパラメータを除く少なくとも1つのパラメータの値を取得する取得部(51)と、上記取得部(51)で取得された値の単位時間あたりの変化量が所定値に達すると、上記作動油及び油圧ポンプ(21)の少なくとも一方が劣化したと判定する劣化判定部(56)と、上記劣化判定部(56)において上記作動油及び油圧ポンプ(21)の少なくとも一方が劣化したと判定されると、該劣化を警告する警告部(57)とを備えている。
上記第2の発明では、油圧ポンプ(21)の吐出圧力及び吐出流量の少なくとも一方のパラメータの値が一定に保持された運転条件下で、5つのパラメータ(油圧ポンプ(21)の吐出圧力、油圧ポンプ(21)の吐出流量、電動機(22)の回転数、電動機(22)のトルク、電動機(22)の供給電流)の内、一定に保持されたパラメータを除く少なくとも1つのパラメータの値が取得され、その取得された値の単位時間あたりの変化量が求められる。そして、その変化量が大きくなって所定の閾値に達すると、作動油及び油圧ポンプ(21)の少なくとも一方が劣化したと判定され、劣化の警告が発せられる。
このように、上記第2の発明では、油圧ユニット(10)の運転中に、油圧ユニット(10)において、自律的に作動油及び油圧ポンプ(21)の劣化診断が行われる。そのため、従来のように、ユーザが油圧ユニットから作動油を採取して、専用の診断装置で劣化診断する必要がなくなる。
また、第1,第2の発明は、上記油圧ポンプ(21)の電動機(22)の回転数を制御する回転数制御部(40)と、上記電動機(22)の回転数と上記油圧ポンプ(21)の容積とから上記油圧ポンプ(21)の吐出流量を算出して、上記取得部(51)へ出力する流量算出部(55)とを備えているものである。
上記第1,第2の発明では、現在値と運転初期値との差や所定時間毎の変化率を求めるための油圧ポンプ(21)の吐出流量が、流量算出部(55)において算出される。そのため、油圧ポンプ(21)の吐出流量を取得するために、新たに流量センサを設ける必要がない。
第3の発明は、第1または第2の発明において、上記油圧ポンプ(21)の吐出圧力を検出して上記取得部(51)へ出力する圧力センサ(28)を備えているものである。
上記第3の発明では、油圧ポンプ(21)の吐出圧力を検出する圧力センサ(28)が設けられている。この圧力センサ(28)は、油圧ポンプ(21)の吐出圧力を制御するために用いることができ、さらに、作動油及び油圧ポンプ(21)の劣化を診断するために用いることができる。
本発明によれば、油圧ポンプ(21)の吐出圧力及び吐出流量の少なくとも一方のパラメータの値が一定に保持された運転条件下で、5つのパラメータ(油圧ポンプ(21)の吐出圧力、油圧ポンプ(21)の吐出流量、電動機(22)の回転数、電動機(22)のトルク、電動機(22)の供給電流)の内、一定に保持されたパラメータを除く少なくとも1つのパラメータの運転初期値と現在値とを取得し、その現在値と運転初期値との差を求めるようにした。そして、この差が大きくなって所定の閾値に達すると、作動油及び油圧ポンプ(21)の少なくとも一方が劣化したと判定し、警告するようにした。このように本発明では、油圧ユニット(10)の運転中に、油圧ユニット(10)において、自律的に作動油及び油圧ポンプ(21)の劣化診断を行うことができる。そのため、ユーザが油圧ユニット(10)から作動油を採取して、専用の診断装置で劣化診断する必要がなくなり、ユーザの手間を軽減することができる。さらに、油圧ユニット(10)の運転中に生じる作動油及び油圧ポンプ(21)の劣化を即座に検知することができる。そのため、油圧ポンプの破損や作動油の劣化に起因した油圧アクチュエータの破損を確実に防ぐことができる。
第2の発明によれば、油圧ポンプ(21)の吐出圧力及び吐出流量の少なくとも一方のパラメータの値が一定に保持された運転条件下で、5つのパラメータ(油圧ポンプ(21)の吐出圧力、油圧ポンプ(21)の吐出流量、電動機(22)の回転数、電動機(22)のトルク、電動機(22)の供給電流)の内、一定に保持されたパラメータを除く少なくとも1つのパラメータの値を取得し、その取得された値の単位時間あたりの変化量を求めるようにした。そして、その変化量が大きくなって所定の閾値に達すると、作動油及び油圧ポンプ(21)の少なくとも一方が劣化したと判定し、警告するようにした。このように本発明では、油圧ユニット(10)の運転中に、油圧ユニット(10)において、自律的に作動油及び油圧ポンプ(21)の劣化診断を行うことができる。そのため、ユーザが油圧ユニット(10)から作動油を採取して、専用の診断装置で劣化診断する必要がなくなり、ユーザの手間を軽減することができる。さらに、油圧ユニット(10)の運転中における作動油及び油圧ポンプ(21)の劣化を即座に検知することができる。この油圧ユニット(10)の運転中における劣化の検知は、運転初期値と現在値の差に基づいて劣化を判定する場合よりも一層迅速に行うことができる。
また、第1,第2の発明によれば、油圧ポンプ(21)の吐出流量を、電動機(22)の回転数と油圧ポンプ(21)の容積とから算出するようにした。そのため、油圧ポンプ(21)の吐出流量を取得して劣化診断するために、新たに流量センサを設ける必要がなく、その結果、装置を低コスト化及び小型化することができる。
また、第3の発明によれば、油圧ポンプ(21)の吐出圧力を検出する圧力センサ(28)を設けて、圧力センサ(28)の検出値を取得部(51)へ出力するようにした。これにより、油圧ポンプ(21)の吐出圧力を制御するための圧力センサ(28)を、作動油及び油圧ポンプ(21)の劣化を診断するために流用することができる。
図1は、本発明の実施形態1に係る油圧ユニットの全体構成を示す油圧回路図である。 図2は、本発明の実施形態1に係る電力供給部の構成を示すブロック図である。 図3は、本発明の実施形態1に係る劣化診断部の制御動作を示すフローチャートである。 図4は、本発明の実施形態2に係る劣化診断部の制御動作を示すフローチャートである。 図5は、本発明のその他の実施形態に係る油圧ユニットの全体構成を示す油圧回路図である。 図6は、本発明のその他の実施形態に係る油圧ユニットの全体構成を示す油圧回路図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《実施形態1》
図1に示す実施形態1の油圧ユニット(10)は、油圧シリンダ(1)等の油圧アクチュエータに作動油を供給し、該油圧アクチュエータを作動させるものである。油圧ユニット(10)は、例えば、マシニングセンタ等の工作機械に搭載され、ワークや工具を挟んで固定するチャック機構を開閉動作させる油圧シリンダ(1)に接続されている。
油圧ユニット(10)は、油圧回路(20)とコントローラ(30)を備えている。油圧回路(20)は、油圧シリンダ(1)に接続され、油圧シリンダ(1)へ作動油を供給すると共に該油圧シリンダ(1)から作動油を回収して、作動油が循環するように構成されている。この油圧回路(20)には、油圧ポンプ(21)、方向切換弁(23)、及び油タンク(24)が接続されている。
油圧ポンプ(21)は、油タンク(24)内の作動油を吸入して油圧シリンダ(1)へ吐出するものである。この油圧ポンプ(21)は、例えばギアポンプ、トロコイドポンプ、ベーンポンプ、ピストンポンプ等の固定容量型ポンプで構成されている。
油圧ポンプ(21)には、電動機(22)が設けられている。この電動機(22)は、油圧ポンプ(21)を駆動する可変速モータであり、後述するインバータ部(40)において回転制御される。
方向切換弁(23)は、第1電磁ソレノイド(23a)および第2電磁ソレノイド(23b)を有する4ポート3位置スプリングセンタ式電磁切換弁である。方向切換弁(23)は、4ポートのうち、Pポートが油圧ポンプ(21)の吐出側に接続され、Tポートが油タンク(24)に接続されている。また、方向切換弁(23)のAポートが油圧シリンダ(1)のヘッド室(1a)に接続され、Bポートが油圧シリンダ(1)のロッド室(1b)に接続されている。
方向切換弁(23)は、各電磁ソレノイド(23a,23b)のON/OFF動作によって、中立位置と第1位置と第2位置とに切り換わる。方向切換弁(23)は、中立位置では4つのポートが互いに遮断状態になり、第1位置ではPポートとAポートが連通し且つBポートとTポートが連通し、第2位置ではPポートとBポートが連通し且つAポートとTポートが連通する。
油タンク(24)は、気密性を有する容器であり、作動油を貯蔵するように構成されている。この油タンク(24)は、油圧ポンプ(21)の吸入側に接続されている。
油圧ポンプ(21)の吐出側には、油圧ポンプ(21)の吐出圧力を検出するための圧力センサ(28)が設けられている。この圧力センサ(28)は、検出値を後述する取得部(51)の取得判定部(52)へ出力するように構成されている。また、電動機(22)には、電動機(22)の回転数を検出するための回転数センサ(図示せず)が設けられている。
コントローラ(30)は、インバータ部(40)と劣化診断部(50)を備えている。
インバータ部(40)は、交流電源(図示せず)から供給される電力を所定の周波数の電力に変換して電動機(22)に供給することで、電動機(22)の回転数を制御するものであり、本発明の回転数制御部を構成している。インバータ部(40)は、電力供給部(41)とインバータ制御部(45)を備えている。
電力供給部(41)は、図2に示すように、コンバータ回路(42)とインバータ回路(43)を有している。コンバータ回路(42)は、交流電源(例えば200Vの三相交流)に接続され、交流を直流に変換する。インバータ回路(43)は、内部のスイッチング素子(図示せず)のオンオフ動作によって、コンバータ回路(42)の出力を所定の周波数の電力に変換し、その変換された電力を電動機(22)に供給する。
インバータ制御部(45)は、インバータ回路(43)のスイッチング素子のオンオフ動作を制御する。具体的に、インバータ制御部(45)では、回転数センサ(図示せず)で検出された電動機(22)の回転数(回転速度)と目標回転数(目標回転速度)を入力して比例積分(PI)制御を行うことで電流指令値が生成される。そして、その電流指令値に基づいてスイッチング素子をオンオフ動作するための制御信号が生成され、その制御信号がインバータ回路(43)へ出力される。
〈劣化診断部〉
劣化診断部(50)は、作動油及び油圧ポンプ(21)の劣化を診断するものであり、図1に示すように、取得部(51)、劣化判定部(56)、警告部(57)、及び流量算出部(55)を備えている。
取得部(51)は、油圧ポンプ(21)の吐出流量Vの運転初期値と現在値を取得するように構成されている。この取得部(51)は、取得判定部(52)、入力部(53)、及び記憶部(54)を有している。
取得判定部(52)は、油圧ユニット(10)が油圧ポンプ(21)の吐出流量Vを取得する運転状態になっているか否かを判定する。本実施形態では、油圧ポンプ(21)の吐出圧力が一定に保持された待機運転の状態を、吐出流量Vの取得状態としている。具体的に、取得判定部(52)では、圧力センサ(28)で検出された吐出圧力が入力され、その吐出圧力が待機運転時の設定圧力に所定時間以上保持されている場合に、取得可能と判定される。
入力部(53)では、取得判定部(52)から取得可能の判定結果が入力されることで、吐出流量Vの値(運転初期値と現在値)が流量算出部(55)から入力される。ここで、運転初期値とは、油圧ユニット(10)が初めて稼動する時期の値であり、換言すると、作動油及び油圧ポンプ(21)の劣化が全く進行していない時期の値である。そのため、運転初期値は、劣化診断する上での基準値となる。
記憶部(54)は、入力部(53)に入力された油圧ポンプ(21)の吐出流量Vの運転初期値を記憶する。
劣化判定部(56)は、吐出流量Vの現在値と運転初期値との差Dvを算出する。そして、その吐出流量Vの差Dvと所定の劣化閾値Dvthを比較することで劣化を判定する。具体的に、劣化判定部(56)では、吐出流量Vの現在値と運転初期値との差Dvが所定の劣化閾値Dvthに達している場合は、作動油及び油圧ポンプ(21)の少なくとも一方が劣化したと判定される。劣化したと判定されると、その判定結果は警告部(57)に出力される。
警告部(57)は、劣化判定部(56)から劣化したという判定結果が入力されることで、その劣化を警告する。この警告部(57)の警告手段は、警告ランプ等のように表示するものであっても、ブザー等のように音を発するものであっても、別途設けられた受信部(図示省略)へ送信するものであっても構わない。
流量算出部(55)は、電動機(22)の回転数を入力し、その電動機(22)の回転数と油圧ポンプ(21)の容積とから油圧ポンプ(21)の吐出流量Vを算出する。電動機(22)の回転数は、インバータ部(40)から入力される。一方、油圧ポンプ(21)の容積はユーザによって予め設定される。この油圧ポンプ(21)の吐出流量Vの算出値は、入力部(53)へ出力される。
−運転動作−
ここでは、工作機械のチャック機構を閉じ動作させて加工物等を固定し(掴み)、チャック機構を開き動作させて加工物等を放す動作を例として説明する。
待機運転時では、方向切換弁(23)は中立位置にある。この時、油圧ポンプ(21)の回転数は油圧回路(20)の漏れ流量を補う程度の低い状態であり、油圧ポンプ(21)の吐出圧力は設定圧力で保圧されている。
チャック機構を閉じる時、方向切換弁(23)が第1位置に切り換わり、油圧ポンプ(21)から油圧シリンダ(1)のヘッド室(1a)へ作動油が供給される。油圧ポンプ(21)の吐出圧力は急激に低下する一方、油圧ポンプ(21)の回転数は、設定流量まで急速に増大した後、設定流量で駆動されることでシリンダは一定速度で駆動される。そして、チャックが加工物を掴んだことで、シリンダの動きは停止し、油圧ポンプ(21)の吐出圧力は設定圧力まで上昇し、この圧力を維持するように油圧ポンプ(21)の回転数は低下し、待機状態と同様に保圧状態となる。
また、チャックを開く時、上記状態から方向切換弁(23)が第2位置に切り換わり、油圧ポンプ(21)から油圧シリンダ(1)のロッド室(1b)へ作動油が供給され、シリンダは後退方向に移動を開始する。シリンダ停止までの油圧ポンプ(21)の作動については、チャック機構を閉じる場合と同様である。
〈劣化診断部の制御動作〉
上述のように、油圧ユニット(10)が運転する間、劣化診断部(50)では、図3に示すように、作動油及び油圧ポンプ(21)の劣化が診断される。
先ず、ステップST1では、取得部(51)の取得判定部(52)において、油圧ユニット(10)が油圧ポンプ(21)の吐出流量Vを取得する運転状態になっているか否かが判定される。本実施形態では、油圧ユニット(10)の待機運転する状態を、吐出流量Vを取得する運転状態としている。よって、取得判定部(52)では、油圧ポンプ(21)の吐出圧力が待機運転時の設定圧力に所定時間以上保持されると、取得可能と判定され、取得を指示する信号が入力部(53)へ出力される。そして、ステップST2へ進む。一方、油圧ポンプ(21)の吐出圧力が待機運転時の設定圧力に所定時間以上保持されない場合は、取得不可能と判定され、ステップST1へ戻る。
ステップST2では、取得部(51)において、吐出流量Vの取得が1回目か否かが判定される。吐出流量Vの取得が1回目である場合は、ステップST3へと進む。一方、取得が1回目以外の場合は、ステップST4へと進む。
ステップST3では、取得部(51)において、吐出流量Vの運転初期値が取得される。具体的には、流量算出部(55)において、油圧ポンプ(21)の吐出流量Vが電動機(22)の回転数と油圧ポンプ(21)の容積の乗算値として算出され、その算出値が運転初期値として入力部(53)に入力された後、記憶部(54)に記憶される。記憶部(54)において運転初期値が記憶されると、ステップST1へ戻る。
ステップST4では、取得部(51)において、吐出流量Vの現在値が取得される。具体的に、流量算出部(55)において油圧ポンプ(21)の吐出流量Vが算出され、その算出値が現在値として入力部(53)に入力される。
ステップST5では、劣化判定部(56)において、吐出流量Vの現在値と運転初期値との差Dvが算出される。
ステップST6では、劣化判定部(56)において、ステップST5で算出された吐出流量Vの差Dvと所定の劣化閾値Dvthが比較される。油圧ユニット(10)では、作動油の劣化が進行すると、油圧ポンプ(21)内における作動油の潤滑性が低下するため、油圧ポンプ(21)の摺動部の磨耗(油圧ポンプ(21)の劣化)が進行する。そして、その摺動部の磨耗が進行することによって、油圧ポンプ(21)内の作動油のリーク量が増加するため、一定の吐出圧力を発生させるために必要な吐出流量Vが増加する。よって、吐出圧力が待機運転時の設定圧力に保持された運転条件下で、吐出流量Vが増加して、吐出流量Vの現在値と運転初期値との差Dvが所定の劣化閾値Dvthに達した場合は、作動油及び油圧ポンプ(21)の少なくとも一方が劣化したと判定され、ステップST7へと進む。一方、吐出流量Vの現在値と運転初期値との差Dvが所定の劣化閾値Dvthに達していない場合は、作動油も油圧ポンプ(21)も共に劣化していないと判定され、ステップST1へと進む。
ステップST7では、作動油及び油圧ポンプ(21)の少なくとも一方が劣化したという判定結果が警告部(57)に入力されることによって、警告部(57)においてその劣化の警告が行われる。
劣化診断部(50)では、油圧ユニット(10)の運転中、ステップST1からステップST6を繰り返し実行することで、劣化したか否かの判定が繰り返し行われる。そして、劣化判定部(56)において劣化したと判定されると、ステップST7において劣化の警告が行われる。
−実施形態1の効果−
本実施形態によれば、油圧ポンプ(21)の吐出圧力が一定となる油圧ユニット(10)の待機運転時に、油圧ポンプ(21)の吐出流量Vの運転初期値と現在値とを取得し、その現在値と運転初期値との差Dvを求めるようにした。そして、この差Dvが大きくなって所定の劣化閾値Dvthに達すると、作動油及び油圧ポンプ(21)の少なくとも一方が劣化したと判定し、警告するようにした。このように本実施形態では、油圧ユニット(10)の運転中に、油圧ユニット(10)において、自律的に作動油及び油圧ポンプ(21)の劣化診断を行うことができる。そのため、ユーザが油圧ユニット(10)から作動油を採取して、専用の診断装置で劣化診断する必要がなくなり、ユーザの手間を軽減することができる。さらに、油圧ユニット(10)の運転中に生じる作動油及び油圧ポンプ(21)の劣化を即座に検知することができる。そのため、油圧ポンプの破損や作動油の劣化に起因した油圧アクチュエータの破損を確実に防ぐことができる。
また、本実施形態によれば、油圧ポンプ(21)の吐出流量Vを、電動機(22)の回転数と油圧ポンプ(21)の容積とから算出するようにした。そのため、油圧ポンプ(21)の吐出流量Vを取得して劣化診断するために、新たに流量センサを設ける必要がなく、その結果、装置を低コスト化及び小型化することができる。
また、本実施形態によれば、油圧ポンプ(21)の吐出圧力を検出する圧力センサ(28)を設けて、圧力センサ(28)の検出値を取得部(51)の取得判定部(52)へ出力するようにした。これにより、油圧ポンプ(21)の吐出圧力を制御するための圧力センサ(28)を、作動油及び油圧ポンプ(21)の劣化を診断するために流用することができる。
《実施形態2》
実施形態2は、実施形態1における劣化の判定方法を変更したものである。つまり、実施形態1では、油圧ポンプ(21)の吐出流量Vの運転初期値と現在値との差に基づいて劣化の判定を行っていたが、本実施形態では、吐出流量Vの単位時間あたりの変化量に基づいて劣化の判定を行うようにした。
具体的に、取得部(51)では、油圧ポンプ(21)の吐出流量Vの現在値が入力部(53)に繰り返し入力される。そして、入力される毎に、前回の現在値が記憶値として記憶部(54)に記憶される。そして、劣化判定部(56)では、現在値と前回の現在値(記憶値)から、吐出流量Vの単位時間あたりの変化量Cvが算出される。そして、その吐出流量Vの単位時間あたりの変化量Cvと所定の劣化閾値Cvthを比較することによって、劣化が判定される。具体的に、劣化判定部(56)では、吐出流量Vの単位時間あたりの変化量Cvが所定の劣化閾値Cvthに達している場合に、作動油及び油圧ポンプ(21)の少なくとも一方が劣化したと判定される。
〈劣化診断部の制御動作〉
図4に示すように、先ず、ステップST11では、取得部(51)の取得判定部(52)において、油圧ユニット(10)が油圧ポンプ(21)の吐出流量Vを取得する運転状態になっているか否かが判定される。本実施形態では、油圧ユニット(10)の待機運転する状態を、吐出流量Vを取得する運転状態としている。よって、取得判定部(52)では、油圧ポンプ(21)の吐出圧力が待機運転時の設定圧力に所定時間以上保持されると、取得可能と判定され、取得を指示する信号が入力部(53)へ出力される。そして、ステップST12へ進む。一方、油圧ポンプ(21)の吐出圧力が待機運転時の設定圧力に所定時間以上保持されない場合は、取得不可能と判定され、ステップST11へ戻る。
ステップST12では、取得部(51)において、吐出流量Vの取得が1回目か否かが判定される。吐出流量Vの取得が1回目である場合は、ステップST13へと進む。一方、取得が1回目以外の場合は、ステップST14へと進む。
ステップST13では、取得部(51)において、吐出流量Vの現在値が記憶される。具体的に、流量算出部(55)において吐出流量Vが算出され、その算出値が現在値として入力部(53)に入力された後、記憶部(54)に記憶される。この記憶された現在値(記憶値)は、後のステップ(ステップST15)において、吐出流量Vの単位時間あたりの変化量Cvを算出するために用いられる。現在値が記憶されると、ステップST11へ戻る。
ステップST14では、取得部(51)において、吐出流量Vの現在値が取得される。具体的に、流量算出部(55)において吐出流量Vが算出され、その算出値が現在値として入力部(53)に入力される。
ステップST15では、劣化判定部(56)において、吐出流量Vの単位時間あたりの変化量Cvが算出される。具体的には、吐出流量Vの現在値と前回の現在値(記憶値)との差を取得時間の差で除算することによって、単位時間あたりの変化量Cvが算出される。
ステップST16では、劣化判定部(56)において、吐出流量Vの単位時間あたりの変化量Cvと所定の劣化閾値Cvthが比較される。油圧ユニット(10)では、作動油の劣化が進行すると、油圧ポンプ(21)内における作動油の潤滑性が低下するため、油圧ポンプ(21)の摺動部の磨耗(油圧ポンプ(21)の劣化)が進行する。そして、その摺動部の磨耗が進行することによって、油圧ポンプ(21)内の作動油のリーク量が増加するため、一定の吐出圧力を発生させるために必要な吐出流量Vが増加する。よって、吐出圧力が待機運転時の設定圧力に保持された運転条件下で、吐出流量Vが増加して、吐出流量Vの単位時間あたりの変化量Cvが所定の劣化閾値Cvthに達した場合は、作動油及び油圧ポンプ(21)の少なくとも一方が劣化したと判定され、ステップST17へと進む。一方、単位時間あたりの変化量Cvが所定の劣化閾値Cvthに達していない場合は、油圧ポンプ(21)も作動油も共に劣化していないと判定され、ステップST18へと進む。
ステップST17では、作動油及び油圧ポンプ(21)の少なくとも一方が劣化したという判定結果が警告部(57)に入力されることによって、警告部(57)においてその劣化の警告が行われる。
ステップST18では、記憶部(54)において記憶値が更新される。具体的には、記憶されていた記憶値(前回の現在値)が消去され、ステップST14で取得された現在値が新しい記憶値として記憶される。この新しい記憶値は、次回の単位時間あたりの変化量Cvの算出に用いられる。記憶値が更新されると、ステップST11へ戻る。
劣化診断部(50)では、油圧ユニット(10)の運転中、所定時間毎にステップST11からステップST18を繰り返し実行することで、劣化したか否かの判定が繰り返し行われる。そして、劣化判定部(56)において劣化したと判定されると、ステップST17において劣化の警告が行われる。
このように、吐出流量Vの単位時間あたりの変化量Cvに基づいて劣化の判定を行うと、油圧ポンプ(21)にスラッジ等が噛み込んで傷が発生した場合等、大きな劣化が生じた場合に、その劣化をより速く検知することができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成にしてもよい。
上記実施形態では、劣化を判定するためのパラメータとして、油圧ポンプ(21)の吐出流量Vが用いられている。しかし、本発明の関連技術においては、劣化を判定するパラメータはこれに限らず、例えば、電動機(22)の回転数、トルク、及び供給電流の内の何れかを用いることも可能である。その場合、図5に示すように、電動機(22)の回転数、トルク、及び供給電流は、インバータ部(40)から入力部(53)へ入力される。
油圧ユニット(10)では、作動油の劣化が進行し、油圧ポンプ(21)の摺動部の磨耗(油圧ポンプ(21)の劣化)が進行すると、油圧ポンプ(21)内の作動油のリーク量が増加するため、一定の吐出圧力を発生させるために必要な電動機(22)の回転数が大きくなり、それに伴って、電動機(22)のトルクも、電動機(22)の供給電流も大きくなる。そのため、これら3つのパラメータの何れを用いた場合でも、吐出流量Vを用いた場合と同様に、劣化を判定することができる。
また、上記実施形態では、1つのパラメータによって劣化判定しているが、複数のパラメータによって劣化判定しても構わない。複数のパラメータによって劣化判定すると、作動油及び油圧ポンプ(21)の劣化診断をより確実に行うことができる。
また、上記実施形態では、油圧ポンプ(21)の吐出流量Vを流量算出部(55)で算出している。これに対して、本発明の関連技術としては、吐出流量Vを取得する方法はこれに限らず、例えば、油圧ポンプ(21)の吐出側に流量センサを設けて、その流量センサによって吐出流量Vを検出することもできる。
また、上記実施形態では、油圧ポンプ(21)の吐出圧力が一定となる運転状態(油圧ユニット(10)の待機運転の状態)をパラメータ(上記実施形態の場合、吐出流量V)の取得状態としている。しかし、パラメータの取得状態はこれに限らず、本発明の関連技術としては、油圧ポンプ(21)の吐出流量Vが一定となる運転状態をパラメータの取得状態としても構わないし、油圧ポンプ(21)の吐出圧力と吐出流量Vが共に一定となる運転状態をパラメータの取得状態としても構わない。本発明の関連技術においては、何れの場合でも、劣化判定部(56)では、5つのパラメータ(油圧ポンプ(21)の吐出圧力、油圧ポンプ(21)の吐出流量V、電動機(22)の回転数、電動機(22)のトルク、電動機(22)の供給電流)の内、上記一定となるパラメータを除く1つまたは複数のパラメータを用いて、劣化が判定される。
また、上記実施形態の油圧ユニット(10)では、取得判定部(52)でパラメータ(上記実施形態の場合、吐出流量V)の取得状態を判定している。しかし、油圧ユニット(10)がパラメータの取得状態を自律的に判定する場合に限らず、例えば、油圧ユニット(10)とは別の場所(例えば、油圧シリンダ(1)を備えた主機側のコントローラ)でパラメータの取得状態を判定しても構わない。
また、上記実施形態では、油圧ポンプ(21)の吐出流量Vを油圧回路(20)内の作動油の温度で補正し、その補正値を用いて劣化判定しても構わない。その場合、油圧ユニット(10)では、例えば、図6に示すように、油タンク(24)内の作動油の温度が検出され、その検出温度が入力部(53)へ入力された後に、吐出流量Vの補正が行われる。油圧ユニット(10)では、作動油の温度が上昇すると、作動油の粘度が低下し、その粘度低下の影響を受けて油圧ポンプ(21)の吐出流量Vが大きくなってしまう。しかし、この吐出流量Vを作動油の温度で補正することで、吐出流量Vを適切に算出することができ、作動油の温度の影響を排除することができる。その結果、作動油及び油圧ポンプ(21)の劣化診断を一層精度良く行うことができる。
また、上記実施形態では、電動機(22)の回転数をインバータ部(40)から流量算出部(55)へ入力しているが、回転数センサから直接、流量算出部(55)へ入力しても良い。
また、上記実施形態では、劣化診断部(50)とインバータ部(40)を同じ回路基板上に設けても構わない。こうすることで、回路基板の数を減らすことができ、部品点数低下によってコストを削減することができる。
以上説明したように、本発明は、油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ユニットとして有用である。
10 油圧ユニット
21 油圧ポンプ
22 電動機
24 油タンク
28 圧力センサ
40 回転数制御部(インバータ部)
51 取得部
55 流量算出部
56 劣化判定部
57 警告部

Claims (3)

  1. 油タンク(24)と、該油タンク(24)から油圧アクチュエータへ作動油を供給する油圧ポンプ(21)と、該油圧ポンプ(21)を回転させる電動機(22)とを有する油圧ユニットであって、
    上記油圧ポンプ(21)の吐出圧力及び吐出流量の少なくとも一方のパラメータの値が一定に保持された運転条件下で、上記油圧ポンプ(21)の吐出圧力、上記油圧ポンプ(21)の吐出流量、上記電動機(22)の回転数、上記電動機(22)のトルク、及び上記電動機(22)の供給電流の5つのパラメータの内、上記一定に保持されたパラメータを除く少なくとも1つのパラメータの運転初期値と現在値を取得する取得部(51)と、
    上記取得部(51)の運転初期値と現在値との差が所定値に達すると、上記作動油及び油圧ポンプ(21)の少なくとも一方が劣化したと判定する劣化判定部(56)と、
    上記劣化判定部(56)において上記作動油及び油圧ポンプ(21)の少なくとも一方が劣化したと判定されると、該劣化を警告する警告部(57)とを備え
    上記油圧ポンプ(21)の電動機(22)の回転数を制御する回転数制御部(40)と、
    上記電動機(22)の回転数と上記油圧ポンプ(21)の容積とから上記油圧ポンプ(21)の吐出流量を算出して、上記取得部(51)へ出力する流量算出部(55)とを備えている
    ことを特徴とする油圧ユニット。
  2. 油タンク(24)と、該油タンク(24)から油圧アクチュエータへ作動油を供給する油圧ポンプ(21)と、該油圧ポンプ(21)を回転させる電動機(22)とを有する油圧ユニットであって、
    上記油圧ポンプ(21)の吐出圧力及び吐出流量の少なくとも一方のパラメータの値が一定に保持された運転条件下で、上記油圧ポンプ(21)の吐出圧力、上記油圧ポンプ(21)の吐出流量、上記電動機(22)の回転数、上記電動機(22)のトルク、及び上記電動機(22)の供給電流の5つのパラメータの内、上記一定に保持されたパラメータを除く少なくとも1つのパラメータの値を取得する取得部(51)と、
    上記取得部(51)で取得される値の単位時間あたりの変化量が所定値に達すると、上記作動油及び油圧ポンプ(21)の少なくとも一方が劣化したと判定する劣化判定部(56)と、
    上記劣化判定部(56)において上記作動油及び油圧ポンプ(21)の少なくとも一方が劣化したと判定されると、該劣化を警告する警告部(57)とを備え
    上記油圧ポンプ(21)の電動機(22)の回転数を制御する回転数制御部(40)と、
    上記電動機(22)の回転数と上記油圧ポンプ(21)の容積とから上記油圧ポンプ(21)の吐出流量を算出して、上記取得部(51)へ出力する流量算出部(55)とを備えている
    ことを特徴とする油圧ユニット。
  3. 請求項1または2において、
    上記油圧ポンプ(21)の吐出圧力を検出して上記取得部(51)へ出力する圧力センサ(28)を備えている
    ことを特徴とする油圧ユニット。
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