JP2020143591A - 油圧ポンプの故障診断装置、故障診断装置を備える建設機械、故障診断方法および故障診断プログラム - Google Patents

油圧ポンプの故障診断装置、故障診断装置を備える建設機械、故障診断方法および故障診断プログラム Download PDF

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洸人 稲積
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Toshihiro Shibata
智弘 柴田
拓海 吉峰
Takumi Yoshimine
拓海 吉峰
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Jun Terashima
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Abstract

【課題】新たに流量計または圧力計を設置することなく油圧ポンプの故障診断が可能な故障診断装置を提供する。【解決手段】故障診断装置80は、エンジンの目標回転数とエンジンの実際の回転数である実回転数との偏差に基づいて可変容量油圧ポンプのポンプ容積を制御する斜板角度を制御するための制御信号と、エンジン負荷率とを関連づけた関連データを記憶する記憶部81と、関連データからデータ密度を算出するデータ密度算出部82と、データ密度に基づいて可変容量油圧ポンプが異常であるか否かを判定する異常判定部83とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、建設機械に備えられている油圧ポンプの故障診断装置、故障診断装置を備える建設機械、故障診断方法および故障診断プログラムに関する。
下記特許文献1には、斜板ポンプの故障を診断する故障診断装置として、吸入流量の経時変化に基づき故障を検出する技術が開示されている。
下記特許文献2には、プランジャポンプの故障診断装置として、ブランジャポンプの内部でリークする作動油を排出するドレン管路の圧力に基づきプランジャポンプに異常があるか否かを判定する故障診断装置が開示されている。
特許第6273396号公報 特開2013−104369号公報
特許文献1は、斜板ポンプの吐出流量を測るために新たに流量計を設置する必要がある。流量計を設置するコスト増加分と斜板ポンプ故障における費用分とを比較した場合、その費用対効果は小さい。
特許文献2は、ドレン管路の圧力を測定するために新たに圧力計を設置する必要があり、特許文献1と同様に、費用対効果が小さい。
そこで、本発明は上記課題に鑑み、新たに流量計または圧力計を設置することなく油圧ポンプの故障診断が可能な故障診断装置、故障診断装置を備える建設機械、故障診断方法および故障診断プログラムを提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究の結果、以下の技術思想を見出した。
可変容量油圧ポンプの故障の一つとして、可変容量油圧ポンプの長期使用による磨耗等の劣化により油のリーク量が増加して可変容量油圧ポンプの吐出量が落ちることがある。このような故障が生じた場合に、可変容量油圧ポンプに起因するエンジンの過剰の負荷が減少傾向になり、エンジンストールを防止するための可変容量油圧ポンプの斜板角度を上げて可変容量油圧ポンプの吐出量を下げるための制御の頻度が減少する。
本発明者は、可変容量油圧ポンプのポンプ容積を制御する斜板角度をエンジンの目標回転数と実回転数の偏差に基づいて制御するための制御信号(A)とエンジン負荷率(B)とを関連づけた関連データ(C)のデータ密度(D)の減少と、上記故障時の事象との間に相関性があることを見出した。つまり、本発明は、データ密度(D)に基づいて可変容量油圧ポンプの異常判定(故障診断)を行うことができるとの新たな知見に基づいている。
(故障診断装置)
本発明の故障診断装置は、エンジンの目標回転数とエンジンの実際の回転数である実回転数との偏差に基づいて可変容量油圧ポンプのポンプ容積を制御する斜板角度を制御するための制御信号(A)と、エンジン負荷率(B)とを関連づけた関連データ(C)を記憶する記憶部と、
前記関連データ(C)からデータ密度(D)を算出するデータ密度算出部と、
前記データ密度(D)に基づいて可変容量油圧ポンプが異常であるか否かを判定する異常判定部と、を備える。
前記データ密度算出部は、制御信号(A)とエンジン負荷率(B)からなる2変数(「2変量」ともいう。)でデータ密度の体積を算出してもよい。
前記データ密度算出部は、制御信号(A)とエンジン負荷率(B)とを加工した1変数(「1変量」ともいう。)でデータ密度を算出し、1変数で算出したデータ密度(D)のうち、所定の閾値より小さいデータ密度(D)を積分し、積分データ密度を算出してもよい。
前記異常判定部は、算出したデータ密度の体積が閾値よりも小さいまたは積分データ密度が閾値より小さい場合に異常であると判定してもよい。
前記データ密度算出部は、前記関連データ(C)から、可変容量油圧ポンプのポンプ容量が最小値近傍になる最小値近傍区間データ(C1)を切り分け、最小値近傍区間データ(C1)のデータ密度(D1)を算出してもよい。
可変容量油圧ポンプの長期の使用による磨耗等の劣化が進むと、可変容量油圧ポンプの吐出量が落ちることからエンジンの過剰の負荷が減少傾向となり、エンジンの目標回転数と実回転数の偏差が小さくなる傾向になり、可変容量油圧ポンプのポンプ容量を下げる制御のうち、ポンプ容量が最小値近傍となる領域での制御が減少する傾向になる。したがって、この領域では、正常時と異常時との差異が、他の領域のそれよりも大きくなることから、異常判定を精度よく行える。
前記データ密度算出部は、前記関連データ(C)から、エンジン負荷率(B)が最大値近傍にある最大値近傍区間データ(C2)を切り分け、最大値近傍区間データ(C2)のデータ密度(D2)を算出してもよい。
可変容量油圧ポンプのポンプ容積を制御する斜板角度をエンジンの目標回転数と実回転数の偏差に基づき制御していることから、前記制御をポンプ容積を最小値近傍になるように制御した場合、エンジン負荷率(B)が最大値近傍になる頻度が上がる。したがって、ポンプ容積を最小値近傍でかつエンジン負荷率(B)が最大値近傍になる領域では、正常時と異常時との差異が、他の領域のそれよりも大きくなることから、異常判定(故障判定)を精度よく行える。
前記データ密度算出部は、前記関連データ(C)から、走行している状態のときのデータを除いた非走行区間データ(C3)を切り分け、非走行区間データ(C3)のデータ密度(D3)を算出してもよい。
前記データ密度算出部は、走行しているか否かをエンジン負荷率(B)のデータから判断してもよい。
走行時の負荷は、建設機械の作業機の駆動による掘削時や旋回モータの駆動による旋回動作時に比べ瞬間的に高い負荷がかからないため、可変容量油圧ポンプのポンプ容量を最小値近傍に下げる制御も少なくなる傾向にある。したがって走行を除くデータからデータ密度を算出することにより正常時と異常時のデータ密度の差異を大きくすることができ異常判定の精度をより上げることができる。
また、計算負荷が小さくなるため建設機械への実装がより容易になるので好ましい。
前記データ密度算出部は、前記関連データ(C)から、アイドル状態のデータを除いた非アイドル区間データ(C4)を切り分け、非アイドル区間データ(C4)のデータ密度(D4)を算出してもよい。
前記データ密度算出部は、アイドル状態であるか否かをエンジン負荷率(B)のデータから判断してもよい。
アイドル状態は、可変容量油圧ポンプのポンプ容量を下げる制御を行わないため、アイドル状態を除くデータからデータ密度を算出することにより正常時と異常時のデータ密度の差異を大きくすることができ異常判定の精度をより上げることができる。
また、計算負荷が小さくなるため建設機械への実装がより容易になるので好ましい。
前記データ密度算出部は、
前記関連データ(C)から、旋回モータが駆動しておらずアクチュエータが駆動している状態の第一単独駆動区間データ(C11)を切り分け、第一単独駆動区間データの第一データ密度(D11)を算出し、
前記関連データ(C)から、アクチュエータが駆動しておらず旋回モータが駆動している状態の第二単独駆動区間データ(C12)を切り分け、第二単独駆動区間データの第二データ密度(D12)を算出し、
前記関連データ(C)から、旋回モータおよびアクチュエータの両方が駆動している状態の両駆動区間データ(C13)を切り分け、両駆動区間データの第三データ密度(D13)を算出してもよい。
前記異常判定部は、
前記第一データ密度(D11)が第一閾値(SH11)より小さい場合に、前記アクチュエータに圧油を送る第一油圧ポンプが異常であると判定し、
前記第二データ密度(D12)が第二閾値(SH12)より小さい場合に、前記旋回モータに圧油を送る第二油圧ポンプが異常であると判定し、
前記第三データ密度(D13)が第三閾値(SH13)より小さい場合に、前記第一油圧ポンプおよび/または前記第二油圧ポンプが異常であると判定してもよい。
作業機駆動用のアクチュエータと旋回モータが別々に駆動している時のデータからそれぞれ駆動している時のデータ密度を算出することにより、作業機駆動用のアクチュエータへ主に圧油を圧送している可変容量油圧ポンプと、旋回モータへ主に圧油を圧送している固定容量油圧ポンプのそれぞれの油圧ポンプの異常を判定することができる。
前記データ密度算出部は、ノンパラメトリックモデル(カーネル密度推定)、パラメトリックモデル(母集団を正規分布等に推定)などの方法を用いて確率密度を算出してもよい。つまり、データ密度算出部はデータ密度の一例として確率密度を求める。
データが制御信号(A)とエンジン負荷率(B)の2変数である場合に、データ密度算出部は、確率密度の体積を算出する。異常判定部は、確率密度の体積が閾値よりも小さい場合に異常であると判定する。
データ密度算出部は、エンジン負荷率(B)が最大値近傍かつ制御信号(A)が最大値近傍の領域の確率密度の体積を算出することが好ましい。この領域では、正常時と異常時との差異が、他の領域のそれよりも大きくなることから、異常判定を精度よく行える。
変数として、制御信号(A)からエンジン負荷率(B)を引いた変数(A−B)を用いてもよい。
データ密度算出部は、前記変数(A−B)の確率密度を算出する。また、データ密度算出部は、前記変数(A−B)の確率密度を積分する。確率密度が閾値以下の区間を積分することが好ましい。
異常判定部は、確率密度を積分した値が閾値よりも小さい場合に異常であると判定する。
データ密度算出部は、エンジン負荷率(B)が最大値近傍かつ制御信号(A)が最大値近傍の領域の確率密度を積分することが好ましい。この領域では、正常時と異常時との差異が、他の領域のそれよりも大きくなることから、異常判定を精度よく行える。
また、1変数であれば2変数よりも計算負荷が小さくなるため建設機械への実装がより容易になるので好ましい。
(建設機械)
本発明の故障診断装置を備える建設機械は、
エンジンと、前記エンジンを駆動源とする可変容量油圧ポンプと、前記エンジンの実回転数を測定するエンジン回転数計測装置と、前記エンジンの負荷率であるエンジン負荷率を演算するエンジン負荷率演算部と、前記エンジンと前記可変容量油圧ポンプとを制御する制御装置とを備える。
前記建設機械は、前記可変容量油圧ポンプと直列に配置されて前記エンジンを駆動源とする固定容量油圧ポンプをさらに備えていてもよい。
前記制御装置は、
前記エンジンの目標回転数を設定する目標回転数演算部と、
前記目標回転数と前記エンジン回転数計測装置で計測される実回転数の偏差に基づいて前記可変容量油圧ポンプのポンプ容積を制御する斜板角度を制御するための制御信号(「斜板角度制御電流値」ともいう。)を演算する制御信号演算部と、を備える。
前記制御装置が、エンジン回転数計測装置、エンジン負荷率演算部の機能を有していてもよい。また、前記制御装置が、故障診断装置の機能を備えていてもよい。
また、前記建設機械は、故障診断装置を備えていてもいなくても通信装置を備えていてもよい。通信装置は、制御信号(斜板角度制御電流値)とエンジン負荷率のデータを、建設機械あるいは通信装置の固有の識別情報と紐づけて送信してもよい。
本発明の故障診断装置は、建設機械とは物理的に切り離された別装置として設置されていてもよく、他の装置に組み込まれていてもよい。この場合に、故障診断装置は、上記通信装置から上記データを受信する通信部を備える。
故障診断装置は、情報処理装置や、プログラムを記憶するメモリとプロセッサーとの組み合わせ構成などで実現されていてもよい。
本発明の故障診断装置は、1または2以上の建設機械から、上記データを受信し、1または2以上の建設機械の少なくとも可変容量油圧ポンプの異常を判定してもよい。
(故障診断方法)
本発明の故障診断方法は、
エンジンの目標回転数とエンジンの実際の回転数である実回転数との偏差に基づいて可変容量油圧ポンプのポンプ容積を制御する斜板角度を制御するための制御信号(A)と、エンジン負荷率(B)とを関連づけたデータ(C)からデータ密度(D)を算出するデータ密度算出ステップと、
前記データ密度算出ステップで算出されたデータ密度(D)に基づいて可変容量油圧ポンプが異常であるか否かを判定する異常判定ステップと、を含む。
前記データ密度算出ステップにおいて、制御信号(A)とエンジン負荷率(B)からなる2変数でデータ密度の体積を算出してもよい。
前記データ密度算出ステップにおいて、制御信号(A)とエンジン負荷率(B)とを加工した1変数でデータ密度を算出し、1変数で算出したデータ密度(D)のうち、所定の閾値より小さいデータ密度(D)を積分し、積分データ密度を算出してもよい。
前記異常判定ステップにおいて、算出したデータ密度の体積が閾値よりも小さいまたは積分データ密度が閾値より小さい場合に異常であると判定してもよい。
前記データ密度算出ステップは、前記関連データ(C)から、可変容量油圧ポンプのポンプ容量が最小値近傍になる最小値近傍区間データ(C1)を切り分け、最小値近傍区間データ(C1)のデータ密度(D1)を算出してもよい。
前記データ密度算出ステップは、前記関連データ(C)から、エンジン負荷率(B)が最大値近傍にある最大値近傍区間データ(C2)を切り分け、最大値近傍区間データ(C2)のデータ密度(D2)を算出してもよい。
前記データ密度算出ステップは、前記関連データ(C)から、走行している状態のときのデータを除いた非走行区間データ(C3)を切り分け、非走行区間データ(C3)のデータ密度(D3)を算出してもよい。
前記データ密度算出ステップは、前記関連データ(C)から、アイドル状態のデータを除いた非アイドル区間データ(C4)を切り分け、非アイドル区間データ(C4)のデータ密度(D4)を算出してもよい。
前記データ密度算出ステップは、
前記関連データ(C)から、旋回モータが駆動しておらずアクチュエータが駆動している状態の第一単独駆動区間データ(C11)を切り分け、第一単独駆動区間データの第一データ密度(D11)を算出し、
前記関連データ(C)から、アクチュエータが駆動しておらず旋回モータが駆動している状態の第二単独駆動区間データ(C12)を切り分け、第二単独駆動区間データの第二データ密度(D12)を算出し、
前記関連データ(C)から、旋回モータおよびアクチュエータの両方が駆動している状態の両駆動区間データ(C13)を切り分け、両駆動区間データの第三データ密度(D13)を算出してもよい。
前記異常判定ステップは、
前記第一データ密度(D11)が第一閾値(SH11)より小さい場合に、前記アクチュエータに圧油を送る第一油圧ポンプ(可変容量油圧ポンプ)が異常であると判定し、
前記第二データ密度(D12)が第二閾値(SH12)より小さい場合に、前記旋回モータに圧油を送る第二油圧ポンプ(固定容量油圧ポンプ)が異常であると判定し、
前記第三データ密度(D13)が第三閾値(SH13)より小さい場合に、前記第一油圧ポンプ(可変容量油圧ポンプ)および/または前記第二油圧ポンプ(固定容量油圧ポンプ)が異常であると判定してもよい。
(故障診断プログラムおよび記憶媒体)
本発明の故障診断プログラムは、コンピュータまたはプロセッサーに実行されることで、上記の故障診断方法を実現させるプラグラムである。
本発明の記憶媒体は、上記故障診断プログラムが記憶された記憶媒体である。
本発明において「閾値」は正常時と異常時との比較実験やシミュレーションなどから予め設定される。
本発明において「区間」は、連続した時系列データの範囲でもよく、所定のサンプリング周期で収集されたデータの範囲でもよい。特に明記しない限り以下記載の「区間」も同様の意味として理解される。
本発明において「最大値近傍」は、最大値から、最大値より所定値分低い値までを含む範囲に設定してもよい。「所定値」は、正常時と異常時との比較実験やシミュレーションなどから予め設定されてもよい。
本発明において「最小値近傍」は、最小値から、最小値より所定値分高い値までを含む範囲に設定してもよい。「所定値」は、正常時と異常時との比較実験やシミュレーションなどから予め設定されてもよい。
一般的に「近傍」は、ある点を中心とした所定半径内に含まれる点全体の集合であるが、本発明においては、ある値Pの近傍は、P±P×Q%の範囲であってもよい。「Q」は正常時と異常時との比較実験やシミュレーションなどから予め設定されてもよい。
(効果)
本発明によれば、新たに流量計または圧力計を設置することなく油圧ポンプの故障診断が可能となる。
実施形態1に係る油圧ショベル(建設機械)の油圧回路の一例を示す図である。 異常判定の一例を示すフローチャートである。 縦軸に斜板角度制御電流値(A)、横軸にエンジン負荷率(B)として、「健康」、「異常」または「健康または異常」の状態を示す図である。 縦軸に確率密度K(x)、横軸に変数(A−B)として、「健康」、「異常」または「健康または異常」の状態を示す図である。 縦軸に健康度、横軸に異常度として、「健康」、「異常」または「健康または異常」の状態を示す図である。 実施形態4に係る故障診断サーバの一例を示す図である。
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態において建設機械として油圧ショベルを例に説明する。油圧ショベルの基本構造は既知であるため図面を用いた説明は省略するが、下記の説明した内容に限定されるものではない。
[油圧ショベルの構造]
油圧ショベルは、エンジンと、エンジンから動力を受けて駆動する下部走行体と、エンジンから動力を受けて駆動する作業機と、下部走行体に対して旋回可能な上部旋回体とを備える。
下部走行体は、左右一対のクローラ及び左右一対の走行モータを備える。油圧モータである左右の走行モータが左右のクローラをそれぞれ駆動することで油圧ショベルの前後進を可能としている。また、下部走行体には、ブレード及びブレードを上下方向に回動させるための油圧アクチュエータであるブレードシリンダが設けられている。
作業機は、エンジンからの動力を受けて駆動し、土砂等の掘削作業を行うものである。作業機は、ブーム、アーム及びバケットを備え、これらを独立して駆動することによって掘削作業を可能としている。
ブームは、基端部が上部旋回体の前部に支持されて、伸縮自在に可動するブームシリンダによって回動される。アームは、基端部がブームの先端部に支持されて、伸縮自在に可動するアームシリンダによって回動される。バケットは、基端部がアームの先端部に支持されて、伸縮自在に可動するバケットシリンダによって回動される。ブームシリンダ、アームシリンダ及びバケットシリンダは、駆動用の油圧アクチュエータに相当する。
上部旋回体は、下部走行体に対して旋回ベアリング(図示しない)を介して旋回可能に構成されている。上部旋回体には、操縦部、エンジン、旋回台、旋回モータ等が配置されている。
上部旋回体には、エンジンにより駆動される複数の油圧ポンプが配設される。これらの油圧ポンプが、走行モータ、旋回モータ、ブームシリンダ、アームシリンダ及びバケットシリンダ等に圧油を供給する。
油圧ポンプおよび油圧回路の詳細は後述する。
操縦部には、操縦席の左右に一対の作業操作レバー、前方に一対の走行レバーが配置されている。作業者は、作業操作レバー、走行レバー等を操作することによって、エンジン、各油圧モータ、各油圧アクチュエータ等の制御を行い、走行、旋回、作業等を行うことができる。
(実施形態1)
[油圧回路の構成]
図1を用いて、油圧ショベルが有する油圧回路5について説明する。
油圧回路5は、第1走行用モータ22a、第2走行用モータ22b、第1作業機アクチュエータ30a、第2作業機アクチュエータ30b、第3作業機アクチュエータ30c(ブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダのいずれか)、油圧作業アタッチメント(油圧ハンマ等)のアタッチメント用アクチュエータ30d、旋回モータ44と、可変容量油圧ポンプ51と、固定容量油圧ポンプ52と、パイロットポンプ53と、制御装置70とを有する。
可変容量油圧ポンプ51及び固定容量油圧ポンプ52は、エンジン42によって駆動され、油圧アクチュエータ(第1走行用モータ22a、第2走行用モータ22b、第1作業機アクチュエータ30a、第2作業機アクチュエータ30b、第3作業機アクチュエータ30c、アタッチメント用アクチュエータ30d、旋回モータ44)へ供給される圧油を吐出する。可変容量油圧ポンプ51は、第1走行用モータ22a、第2走行用モータ22b、第1作業機アクチュエータ30a、第2作業機アクチュエータ30b、第3作業機アクチュエータ30c、及びアタッチメント用アクチュエータ30dに圧油を供給して駆動する。固定容量油圧ポンプ52は、旋回モータ44に圧油を供給して駆動する。
可変容量油圧ポンプ51は、ポンプレギュレータ51aの駆動により可動斜板51bの傾斜角度を変更することで圧油の吐出流量を制御可能としている。ポンプレギュレータ51aは、パイロットポンプ53から吐出されたパイロット油の圧力(パイロット圧)により駆動される。
ポンプレギュレータ51aとパイロットポンプ53との間の油路53aには、電磁比例弁51cが設けられている。電磁比例弁51cは、ポンプレギュレータ51aに入力される圧力信号を生成する。電磁比例弁51cは、制御装置70からの制御指令(「斜板角度制御電流値」ともいう。)により流量制御圧(「パイロット信号圧」ともいう。)を調圧可能となっている。
可変容量油圧ポンプ51は、第1吐出ポートP1と第2吐出ポートP2を備える、いわゆるスプリットフロータイプの油圧ポンプである。第1吐出ポートP1から吐出された圧油は、第1センターバイパス油路51dを介して後述する第1走行用方向切換弁55e及びアタッチメント用方向切換弁55dへ供給され、第2吐出ポートP2から吐出された圧油は、第2センターバイパス油路51eを介して後述する第1作業機用方向切換弁55a、第2作業機用方向切換弁55b、第3作業機用方向切換弁55c、及び第2走行用方向切換弁55fへ供給される。
固定容量油圧ポンプ52から吐出された圧油は、第3センターバイパス油路52aを介して後述する旋回用方向切換弁55gへと供給される。
油圧アクチュエータ(第1作業機アクチュエータ30a、第2作業機アクチュエータ30b、第3作業機アクチュエータ30c、アタッチメント用アクチュエータ30d、第1走行用モータ22a、第2走行用モータ22b、旋回モータ44)には、それぞれ対応する方向切換弁55(55a〜55g)が設けられ、方向切換弁55は、可変容量油圧ポンプ51及び固定容量油圧ポンプ52から油圧アクチュエータへ圧送する圧油の方向と容量を切り換え可能なパイロット式の方向切換弁である。
方向切換弁55は、スプールを摺動させることにより複数のポジションに切り換えることが可能である。方向切換弁55の2つのパイロットポートのいずれにもパイロット信号圧が付与されない場合、スプリングの付勢力により、方向切換弁55は中立位置に保持される。方向切換弁55が中立位置にある場合、圧油は、対応する油圧アクチュエータに供給されず、第1センターバイパス油路51d、第2センターバイパス油路51e、及び第3センターバイパス油路52aを通って油タンク(不図示)に流れる。一方、方向切換弁55の何れかのパイロットポートにパイロット信号圧が付与された場合、方向切換弁55が中立位置から他のポジションに切り換えられて、圧油は、対応する油圧アクチュエータに供給される。
本実施形態においては、第1作業機アクチュエータ30aに対応する第1作業機用方向切換弁55a、第2作業機アクチュエータ30bに対応する第2作業機用方向切換弁55b、第3作業機アクチュエータ30cに対応する第3作業機用方向切換弁55c、アタッチメント用アクチュエータ30dに対応するアタッチメント用方向切換弁55d、第1走行用モータ22aに対応する第1走行用方向切換弁55e、第2走行用モータ22bに対応する第2走行用方向切換弁55f、旋回モータ44に対応する旋回用方向切換弁55gが設けられている。これらの方向切換弁は、まとめてコントロールバルブと呼ばれる。
パイロットポンプ53は、エンジン42によって駆動され、主に方向切換弁55へ入力される指令としてのパイロット油を吐出する。
エンジン42に、エンジンECU42aが接続される。エンジンECU42aは、エンジン回転数の制御やその他種々の制御を行うためのものである。エンジンECU42aには、通常、不図示のアクセルダイヤルが電気的に接続されており、アクセルダイヤルから入力された電気信号に基づいて制御信号を作成する。
エンジンECU42aには、制御装置70が接続されており、制御装置70から入力された電気信号に基づいて制御信号を生成する。
また、エンジンECU42aは、エンジン42の実際の回転数(以下、「実回転数」という。)を検出するエンジン回転数計測装置として機能する。
また、エンジンECU42aは、エンジン42の任意の目標回転数での最大出力に対する比率であるエンジン負荷率を演算するエンジン負荷率演算部としても機能する。
可変容量油圧ポンプ51と固定容量油圧ポンプ52はエンジン42で駆動されているため、通常、作業内容によってエンジン負荷率は変動する。エンジン負荷率は、種々の方法によって算出され得るが、例えば、目標回転数と燃料噴射量との関係を用いて算出される。エンジン負荷率は、例えば、エンジンECU42aの記憶部に予め記憶している目標回転数と燃料噴射量との関係を用いて算出される。即ち、エンジンECU42aは、実回転数及び前記目標回転数と燃料噴射量との関係から、当該実回転数における最大燃料噴射量及び無負荷燃料噴射量を得る。そして、エンジンECU42aは、最大燃料噴射量及び無負荷燃料噴射量間の偏差に対する、実際の燃料噴射量及び無負荷燃料噴射量間の偏差の比率を、エンジン負荷率として算出することができる。
制御装置70は、電磁比例弁51cに制御指令を発信する。電磁比例弁51cは、制御装置70によって作動制御されており、印加される制御電流値の大きさに応じて、ポンプレギュレータ51aに対するパイロット信号圧を調圧することができる。すなわち、制御指令は、例えば斜板角度制御電流値の信号である。
制御装置70は、制御信号演算部71を備えている。制御信号演算部71は、エンジンECU42aで計測された実回転数と、目標回転数演算部72で設定された目標回転数との偏差に基づいて可変容量油圧ポンプ51のポンプ容積を制御する斜板角度を制御するための斜板角度制御電流値を演算する。
制御信号演算部71は、斜板角度制御電流値の大きさを調整することで、ポンプレギュレータ51aに付与されるパイロット信号圧を調整することができる。本実施形態では、比例式の電磁比例弁51cを用いており、斜板角度制御電流値を小さくすることで、電磁比例弁51cはポンプレギュレータ51aに供給されるパイロット圧油の流量を減少させる(ポンプレギュレータ51aに付与されるパイロット信号圧を低くする)。このとき、ポンプレギュレータ51aは、可変容量油圧ポンプ51の吐出流量を増大させる。
また、制御装置70は、エンジン42の目標回転数を設定する目標回転数演算部72を備えている。制御装置70は、目標回転数演算部72で設定された目標回転数をエンジンECU42aへ入力する。
故障診断装置80は、記憶部81を備える。記憶部81は、エンジンECU42aから送られたエンジン負荷率(B)と、制御信号演算部71から送られた斜板角度制御電流値(A)とを時系列に関連付けた関連データ(C)として記憶している。
故障診断装置80は、データ密度算出部82を備える。データ密度算出部82は、関連データ(C)からデータ密度(D)を算出する。本実施形態1では、斜板角度制御電流値(A)からエンジン負荷率(B)を引いた値を変数(A−B)として用い確率密度を算出する。データ密度算出部82は、所定の閾値より小さい確率密度を積分し積分確率密度を求める。
故障診断装置80は、異常判定部83を備える。異常判定部83は、データ密度(D)に基づいて可変容量油圧ポンプが異常であるか否かを判定する。本実施形態1では、異常判定部83は、求めた積分確率密度が閾値より小さい場合に異常であると判定する。
(フローチャート)
図2は、故障診断装置80における異常判定の一例を示すフローチャートである。
制御装置70またはエンジンECU42aから送られた、斜板角度制御電流値(A)とエンジン負荷率(B)との関連データ(C)は時系列データとして記憶部81に記憶される。
ステップS1において、データ密度算出部82は、記憶部81から斜板角度制御電流値(A)とエンジン負荷率(B)を取得する。
ステップS2において、記憶部81に、一定以上の関連データ(C)が保存されているか否かを判断する。関連データ(C)が一定以上記憶されていない場合に、スタートに戻り、ステップS1の処理から繰り返す。
ステップS3において、データ密度算出部82は、ノンパラメトリックモデル(カーネル密度推定)またはパラメトリックモデル(母集団を正規分布等に推定)などの方法を用いて、変数(A−B)の確率密度を算出する。本実施形態では、データ密度算出部82はデータ密度の一例としてカーネル密度推定により、下記式(1)で確率密度K(x)を算出する。カーネル関数はガウシアンカーネルを使用する。
Figure 2020143591
ここで、xは変数(A−B)である。
ステップS4において、データ密度算出部82は、求めた確率密度K(x)を下記式(2)で積分する。
Figure 2020143591
ここで、αとβは、所定の閾値より小さい確率密度の値をとる区間である。
図3は、縦軸に斜板角度制御電流値(A)、横軸にエンジン負荷率(B)として、「健康」、「異常」または「健康または異常」の状態を模式的に示す。
図4は、縦軸に確率密度K(x)、横軸に変数(A−B)として、「健康」、「異常」または「健康または異常」の状態を模式的に示す。
本実施形態において、確率密度K(x)が所定の閾値より小さい区間または変数(A−B)が所定の閾値より大きい区間の確率密度K(x)を積分する。図4において破線に囲んだ区間(αからβの区間)を積分する。
ステップS5において、異常判定部83は、確率密度K(x)が閾値より小さい場合に異常であると判定する。閾値より小さくない場合、スタートに戻りステップS1から繰り返す。
図5は、縦軸に健康度、横軸に異常度として、「健康」、「異常」または「健康または異常」の状態を模式的に示す。図5において閾値を破線で示す。
ステップS6において、異常判定部83は、閾値より小さかった累積数(N)が所定値(M)より大きいか否を判断する。Mは、1または2以上に設定できる。
ステップS7において、異常判定部83は、累積数(N)が所定値(M)より大きいなら、異常と判定する。累積数(N)が所定値(M)より大きくない場合に、スタートに戻りステップS1から繰り返す。
(変形例)
本実施形態1において、変数として、斜板角度制御電流値(A)からエンジン負荷率(B)を引いた値を用いたが、エンジン負荷率(B)から斜板角度制御電流値(A)を引いた値を用いてもよい。また差分したときに負の値になっていてもよく、負のときに絶対値をとってもよい。
本実施形態1において、確率密度の算出において、記憶部81に記憶されているデータをそのまま利用して確率密度を算出したが、これに制限されない。なお、後述する他の実施形態においても同様である。
記憶部81に記憶されているデータから、可変容量油圧ポンプのポンプ容量が最小値近傍にある最小値近傍区間データ(C1)を切り分け、最小値近傍区間データ(C1)の確率密度(D1)を算出してもよい。
また、エンジン負荷率(B)が最大値近傍にある最大値近傍区間データ(C2)を切り分け、最大値近傍区間データ(C2)の確率密度(D2)を算出してもよい。
また、走行している状態のときのデータを除いた非走行区間データ(C3)を切り分け、非走行区間データ(C3)の確率密度(D3)を算出してもよい。
また、アイドル状態のデータを除いた非アイドル区間データ(C4)を切り分け、非アイドル区間データ(C4)の確率密度(D4)を算出してもよい。
また、上記2つ以上を組み合わせた条件でデータを切り分け、確率密度を算出してもよい。
(実施形態2)
実施形態1では制御信号(A)からエンジン負荷率(B)を引いた値(A−B)を1変量として確率密度を求めたが、実施形態2では、制御信号(A)とエンジン負荷率(B)との2変量を用いる方法を説明する。
データ密度算出部82は、制御信号(A)とエンジン負荷率(B)との関連データ(C)から確率密度の体積を算出する。
2変量(A、B)に対する確率密度は、カーネル密度推定により、式(3)に基づいて算出される。カーネル関数はガウシアンカーネルを使用する。
Figure 2020143591
ここで、xは制御信号(A)、yはエンジン負荷率(B)である。
求めた確率密度K(x,y)を下記式(4)で積分する。積分により確率密度の体積が求まる。
Figure 2020143591
ここで、αとβはxにおける所定の閾値より小さい確率密度の値をとる区間であり、aとbはyにおける所定の閾値より小さい確率密度の値をとる区間である。
異常判定部83は、上記で求めた確率密度の体積が所定の閾値よりも小さい場合に異常であると判定する。
データ密度算出部82は、エンジン負荷率(B)が最大値近傍かつ制御信号(A)が最大値近傍の領域の確率密度の体積を算出することが好ましい。この領域では、正常時と異常時との差異が、他の領域のそれよりも大きくなることから、異常判定を精度よく行える。
(実施形態3)
実施形態1、2では可変容量油圧ポンプの異常判定を説明したが、本実施形態3では、さらに、固定容量油圧ポンプの異常判定について説明する。
図1に示すように、エンジン42、可変容量油圧ポンプ51、固定容量油圧ポンプ52が直列に配置されている。この配置構成であれば、斜板角度制御電流値(A)とエンジン負荷率(B)のデータの確率密度を実施形態1または2と同様に求め、可変容量油圧ポンプ51と固定容量油圧ポンプ52の両方が正常、両方が異常、いずれか一方が異常であるときの確率密度の傾向から、可変容量油圧ポンプ51と固定容量油圧ポンプ52の正常または異常を判断できる。上記正常または異常のパターンにおける確率密度の傾向から閾値を設定し、正常か異常かを判断できるとの知見に基づいている。
また、図1に示すように、固定容量油圧ポンプ52が旋回モータの駆動にのみ使用されている場合に、旋回モータの駆動時また非駆動時における斜板角度制御電流値(A)とエンジン負荷率(B)のデータから確率密度を実施形態1または2と同様に求め、確率密度の傾向から可変容量油圧ポンプ51と固定容量油圧ポンプ52の正常または異常を判断できる。
例えば、データ密度算出部82は、関連データ(C)から、旋回モータが駆動しておらずアクチュエータが駆動している状態の第一単独駆動区間データ(C11)を切り分け、第一単独駆動区間データの第一データ密度(D11)を算出し、関連データ(C)から、アクチュエータが駆動しておらず旋回モータが駆動している状態の第二単独駆動区間データ(C12)を切り分け、第二単独駆動区間データの第二データ密度(D12)を算出し、関連データ(C)から、旋回モータおよびアクチュエータの両方が駆動している状態の両駆動区間データ(C13)を切り分け、両駆動区間データ(C13)の第三データ密度(D13)を算出する。
異常判定部83は、第一データ密度(D11)が第一閾値(SH11)より小さい場合に、アクチュエータに圧油を送る可変容量油圧ポンプが異常であると判定し、第二データ密度(D12)が第二閾値(SH12)より小さい場合に、旋回モータに圧油を送る固定容量油圧ポンプが異常であると判定し、第三データ密度(D13)が第三閾値(SH13)より小さい場合に、可変容量油圧ポンプおよび/または固定容量油圧ポンプが異常であると判定する。
記憶部81は、可変容量油圧ポンプと油圧回路を介して接続される作業機駆動用の油圧アクチュエータが駆動しているか否かを示すアクチュエータ駆動信号と、固定容量油圧ポンプと油圧回路を介して接続される旋回モータが駆動しているか否かを示す旋回モータ駆動信号とを、関連データに紐づけて記憶している。
アクチュエータ駆動信号と旋回モータ駆動信号は、方向切換弁の動作信号、圧油を計測する圧力センサーなどの信号を処理することで得ることができる。
データ密度算出部82は、アクチュエータ駆動信号と旋回モータ駆動信号に基づいて、旋回モータが駆動しているか否か、アクチュエータが駆動しているか否かを判断できる。
(実施形態4)
実施形態4において、建設機械610、620、630は、故障診断装置を備えておらず、それぞれ通信装置611、621、631を備え、各通信装置611、621、631がインターネット環境(無線、有線を含む)を介して故障診断サーバ680に接続される。
各通信装置611、621、631は、制御信号(A)とエンジン負荷率(B)の関連データ(C)を、建設機械あるいは通信装置の固有の識別情報と紐づけて、故障診断サーバ680へ送る。各通信装置611、621、631は、さらに他の各種データを送信することができる。
故障診断サーバ680は、通信部684、記憶部681、データ密度算出部682、異常判定部683、出力部685を備える。
通信部684は、各建設機械の各通信装置から送られた各種データを受信する。受信した各種データは、記憶部681に記憶される。
データ密度算出部682と異常判定部683は、実施形態1、2における、データ密度算出部82と異常判定部83の機能を有し、関連データ(C)からデータ密度を算出し、異常判定を行う。データ密度の算出と異常判定の方法は上述の実施形態1から3と同様であるため詳細な説明は省略する。
出力部685は、可変容量油圧ポンプまたは固定容量油圧ポンプが異常または正常である旨の情報を出力する。「出力」は、故障診断サーバ680のモニターに表示する処理でもよく、印刷装置へその情報を送信して印刷処理させてもよく、建設機械または別の装置へその情報を送信するように通信部684に指令する処理などでもよい。
故障診断サーバ680は、オンプレミス型でもよく、クラウド型でもよい。
故障診断サーバ680は、故障診断の処理を行う専用の情報処理装置でもよく、他の処理も並行してあるいは独立して行う情報処理装置でもよい。
(実施形態5:故障診断方法)
実施形態5の故障診断方法は、
エンジンの目標回転数とエンジンの実際の回転数である実回転数との偏差に基づいて可変容量油圧ポンプのポンプ容積を制御する斜板角度を制御するための制御信号(A)と、エンジン負荷率(B)とを関連づけたデータ(C)から確率密度(D)を算出するデータ密度算出ステップと、
前記データ密度算出ステップで算出された確率密度(D)に基づいて可変容量油圧ポンプが異常であるか否かを判定する異常判定ステップと、を含む。
前記データ密度算出ステップにおいて、制御信号(A)とエンジン負荷率(B)からなる2変数で確率密度の体積を算出してもよい。
前記データ密度算出ステップにおいて、制御信号(A)とエンジン負荷率(B)とを加工した1変数で確率密度を算出し、1変数で算出した確率密度(D)のうち、所定の閾値より小さい確率密度(D)を積分し積分確率密度を算出してもよい。
前記異常判定ステップにおいて、算出した確率密度の体積が閾値よりも小さいまたは積分確率密度が閾値より小さい場合に異常であると判定してもよい。
前記データ密度算出ステップは、前記関連データ(C)から、可変容量油圧ポンプのポンプ容量が最小値近傍になる最小値近傍区間データ(C1)を切り分け、最小値近傍区間データ(C1)の確率密度(D1)の体積または積分確率密度を算出してもよい。
前記データ密度算出ステップは、前記関連データ(C)から、エンジン負荷率(B)が最大値近傍にある最大値近傍区間データ(C2)を切り分け、最大値近傍区間データ(C2)の確率密度(D2)の体積または積分確率密度を算出してもよい。
前記データ密度算出ステップは、前記関連データ(C)から、走行している状態のときのデータを除いた非走行区間データ(C3)を切り分け、非走行区間データ(C3)の確率密度(D3)の体積または積分確率密度を算出してもよい。
前記データ密度算出ステップは、前記関連データ(C)から、アイドル状態のデータを除いた非アイドル区間データ(C4)を切り分け、非アイドル区間データ(C4)の確率密度(D4)の体積または積分確率密度を算出してもよい。
また、前記データ密度算出ステップは、
前記関連データ(C)から、旋回モータが駆動しておらずアクチュエータが駆動している状態の第一単独駆動区間データ(C11)を切り分け、第一単独駆動区間データの第一データ密度(D11)を算出し、
前記関連データ(C)から、アクチュエータが駆動しておらず旋回モータが駆動している状態の第二単独駆動区間データ(C12)を切り分け、第二単独駆動区間データの第二データ密度(D12)を算出し、
前記関連データ(C)から、旋回モータおよびアクチュエータの両方が駆動している状態の両駆動区間データ(C13)を切り分け、両駆動区間データの第三データ密度(D13)を算出してもよい。
前記異常判定ステップは、
前記第一データ密度(D11)が第一閾値(SH11)より小さい場合に、前記アクチュエータに圧油を送る可変容量油圧ポンプが異常であると判定し、
前記第二データ密度(D12)が第二閾値(SH12)より小さい場合に、前記旋回モータに圧油を送る固定容量油圧ポンプが異常であると判定し、
前記第三データ密度(D13)が第三閾値(SH13)より小さい場合に、前記可変容量油圧ポンプおよび/または前記固定容量油圧ポンプが異常であると判定してもよい。
(実施形態6:故障診断プログラムおよび記憶媒体)
実施形態6の故障診断プログラムは、コンピュータまたはプロセッサーに実行されることで、上記の故障診断方法を実現させるプラグラムである。
実施形態6の記憶媒体は、上記故障診断プログラムが記憶された記憶媒体である。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
5 油圧回路
22a 第1走行用モータ
22b 第2走行用モータ
30a 第1作業機アクチュエータ
30b 第2作業機アクチュエータ
30c 第3作業機アクチュエータ
30d アタッチメント用アクチュエータ
42 エンジン
42a エンジンECU
44 旋回モータ
51 可変容量油圧ポンプ
51a ポンプレギュレータ
51c 電磁比例弁
51d センターバイパス油路
51e センターバイパス油路
52 固定容量油圧ポンプ
53 パイロットポンプ
55 方向切換弁
70 制御装置
71 制御信号演算部
72 目標回転数演算部
80 故障診断装置
81 記憶部
82 データ密度算出部
83 異常判定部


Claims (10)

  1. エンジンの目標回転数とエンジンの実際の回転数である実回転数との偏差に基づいて可変容量油圧ポンプのポンプ容積を制御する斜板角度を制御するための制御信号と、エンジン負荷率とを関連づけた関連データを記憶する記憶部と、
    前記関連データからデータ密度を算出するデータ密度算出部と、
    前記データ密度に基づいて可変容量油圧ポンプが異常であるか否かを判定する異常判定部と、を備える、故障診断装置。
  2. 前記データ密度算出部は、前記関連データから、可変容量油圧ポンプのポンプ容量が最小値近傍になる最小値近傍区間データを切り分け、最小値近傍区間データのデータ密度を算出する、請求項1に記載の故障診断装置。
  3. 前記データ密度算出部は、前記関連データから、エンジン負荷率が最大値近傍にある最大値近傍区間データを切り分け、最大値近傍区間データのデータ密度を算出する、請求項1または2に記載の故障診断装置。
  4. 前記データ密度算出部は、前記関連データから、走行している状態のときのデータを除いた非走行区間データを切り分け、非走行区間データのデータ密度を算出する、請求項1から3のいずれか1項に記載の故障診断装置。
  5. 前記データ密度算出部は、前記関連データから、アイドル状態のデータを除いた非アイドル区間データを切り分け、非アイドル区間データのデータ密度を算出する、請求項1から4のいずれか1項に記載の故障診断装置。
  6. 前記データ密度算出部は、
    前記関連データから、旋回モータが駆動しておらずアクチュエータが駆動している状態の第一単独駆動区間データを切り分け、第一単独駆動区間データの第一データ密度を算出し、
    前記関連データから、アクチュエータが駆動しておらず旋回モータが駆動している状態の第二単独駆動区間データを切り分け、第二単独駆動区間データの第二データ密度を算出し、
    前記関連データから、旋回モータおよびアクチュエータの両方が駆動している状態の両駆動区間データを切り分け、両駆動区間データの第三データ密度を算出する、請求項1から4のいずれか1項に記載の故障診断装置。
  7. エンジンと、前記エンジンを駆動源とする可変容量油圧ポンプと、前記エンジンの実回転数を測定するエンジン回転数計測装置と、前記エンジンの負荷率であるエンジン負荷率を演算するエンジン負荷率演算部と、前記エンジンと前記可変容量油圧ポンプとを制御する制御装置と、
    前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の故障診断装置と、を備える、建設機械。
  8. エンジンと、前記エンジンを駆動源とする可変容量油圧ポンプと、前記可変容量油圧ポンプと直列に配置されて前記エンジンを駆動源とする固定容量油圧ポンプと、前記エンジンの実回転数を測定するエンジン回転数計測装置と、前記エンジンの負荷率であるエンジン負荷率を演算するエンジン負荷率演算部と、前記エンジンと前記可変容量油圧ポンプとを制御する制御装置と、
    前記請求項1〜6のいずれか1項に記載の故障診断装置と、を備える、建設機械。
  9. エンジンの目標回転数とエンジンの実際の回転数である実回転数との偏差に基づいて可変容量油圧ポンプのポンプ容積を制御する斜板角度を制御するための制御信号と、エンジン負荷率とを関連づけた関連データからデータ密度を算出するデータ密度算出ステップと、
    前記データ密度算出ステップで算出されたデータ密度に基づいて可変容量油圧ポンプが異常であるか否かを判定する異常判定ステップと、を含む、故障診断方法。
  10. コンピュータまたはプロセッサーに実行されることで、請求項9に記載の故障診断方法を実現させるプラグラム。


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