JP6273396B1 - 故障診断装置、それを備えるポンプユニット、及び故障診断方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ピストンとシューとの間に発生するガタの検出精度を向上させることができる斜板ポンプの故障診断装置を提供する。【解決手段】 斜板ポンプの故障を診断する故障診断装置は、流量演算部で検出される吸入流量に基づいて、所定の期間における吸入流量の経時変化を示す実履歴データを取得する履歴取得部と、履歴取得部によって取得される実履歴データに基づいてピストンとシューとの間のガタの発生を検出する故障検出部とを備えている。【選択図】 図1

Description

本発明は、斜板ポンプの故障を診断する故障診断装置、及びそれを備えるポンプユニットに関する。
舶用機械及び建設機械等の産業用機械において液圧ポンプが広く利用されており、液圧ポンプの一例として例えば斜板ポンプが知られている。斜板ポンプは、複数のピストンを備えており、複数のピストンは、回転軸周りを回転するシリンダブロックに進退可能に挿入されている。また、複数のピストンの各々には、シューが設けられており、各ピストンはシューを介して斜板上に配置されている。また、ピストンとシューとは、互いを連結する箇所に球継手部を構成しており、互いに揺動可能に連結されている。このように構成される斜板ポンプでは、エンジン及びモータ等によって回転軸が回転駆動されると、回転軸に対して傾倒して配置されている斜板上をピストンが回転する。これにより、ピストンがシリンダブロックに対して後退及び前進し、作動液を吸入及び吐出する。
斜板ポンプでは、前述するような動作を可能にすべくピストンとシューとが球継手部において互いに揺動できるようになっているが、ピストン及びシューが球継手部において摩耗してピストンとシューとの間にガタが発生する。ガタは、使用すると共にその量(即ち、ピストンとシューとの間の隙間)が大きくなり、ガタの量が大きくなるとやがてピストンがシューから脱落するまでに至る。そうすると斜板ポンプが機能しなくなり、液圧装置の全機能が消失することになる。このようなピストンとシューとの間に発生するガタは、斜板ポンプの故障として特に多い。それ故、これを事前に検出することが好ましく、そのような装置として例えば特許文献1のような故障診断装置と特許文献2のようなオーバーホール時期診断方法が知られている。
特許文献1の故障診断装置では、ピストンポンプの吐出圧を計測して脈動波形が作成され、更に脈動波形から各ピストンにおいて共通する成分と各ピストンの固有の成分とを分離する。更に、固有の成分から特徴量を算出し、この特徴量が閾値以上か否かに応じてピストンポンプの故障(即ち、ガタ)を検出するようになっている。また、特許文献2のオーバーホール時期診断方法では、ピストンポンプの吐出圧を計測し、吐出圧の脈動波形のスペクトラム、即ち脈動スペクトラムを検出する。そして、検出される脈動スペクトラムの特異ピークが高周波成分程ほど高くなるような波形であるか否かによってオーバーホールの有無を判断する、即ちピストンポンプの故障を検出するようになっている。
特開2016−53308号公報 特許第3014560号明細書
特許文献1の故障診断装置及び特許文献2のオーバーホール時期診断方法は、共に吐出圧を計測し、計測される吐出圧の脈動波形に基づいてガタを検出している。しかしながら、特許文献1及び2では、共に故障によって生じる吐出圧の脈動波形の傾向を論じているに過ぎず、故障が吐出圧の脈動波形に影響を与えるメカニズムについて何ら説明されていない。それ故、その検出精度をどの程度、確保することができるのかが不明である。また、ピストンポンプでは、吐出側に種々の弁やアクチュエータが接続されており、吐出圧は、それらの影響を受けやすい。それ故、ガタの有無を判断するための閾値をどのように設定するかが難しく、ガタの検出精度が不確かである。
そこで本発明は、ピストンとシューとの間に発生するガタの検出精度を向上させることができる故障診断装置、及びそれを備えるポンプユニットを提供することを目的としている。
本発明の故障診断装置は、予め定められた軸線回りに回転するシリンダブロックと、前記シリンダブロックに進退可能に夫々挿入されている複数のピストンと、前記複数のピストンの各々に揺動可能に設けられているシューと、前記シューその上を摺動回転する斜板とを備え、前記シリンダブロックが回転することによって前記複数のピストンが前記シリンダブロック内を進退し、それに伴って作動液を吸入及び吐出する斜板ポンプの故障を診断するものであって、所定の期間における吸入流量の経時変化を示す実履歴データを取得する履歴取得部と、前記履歴取得部によって取得される前記実履歴データに基づいて前記ピストンと前記シューとの間のガタの発生を検出する故障検出部とを備えるものである。
本発明に従えば、斜板ポンプの吸入流量に基づいてピストンとシューとの間のガタを検出することができる。斜板ポンプの吸入流量は外部要因に起因する変動が吐出圧に比べて小さく、斜板ポンプの吸入流量にガタによる影響が顕著に現れやすい。それ故、斜板ポンプの吸入流量に基づいてガタを検出することによってガタを精度よく検出することができ、ガタの検出精度を向上させることができる。
上記発明において、前記ガタの発生を検出する際の判断基準であって所定の期間における吸入流量の経時変化を示す基準履歴データを予め記憶する記憶部を更に備え、前記故障検出部は、前記実履歴データと前記基準履歴データとを比較して、前記ガタの発生を検出してもよい。
上記構成に従えば、予め記憶される基準履歴データと検出された実履歴データとを比較することによってガタの発生を検出することができる。それ故、ガタの発生を精度よくかつ容易に検出することができる。
上記発明において、前記故障検出部は、前記実履歴データ及び前記基準履歴データの各々を所定の数の区間に分割し、互いに対応する各区間における実履歴データの吸入流量と基準履歴データの吸入流量との差分に基づいてガタ量を演算してもよい。
上記構成に従えば、ガタ量を検出することができるので、斜板ポンプの故障を定性的でなく定量的に判断することができる。つまり、ガタ量に応じてピストンの取り換え時期及び斜板ポンプの故障の度合い等に関する判断を柔軟に行うことができる。
上記発明において、前記履歴取得部は、前記シリンダブロックが一回転する間における吸入流量の実履歴データを取得し、前記故障検出部は、前記実履歴データを予め定められている数の区間に分割し、各区間の吸入流量を互いに比較して前記ガタの発生を検出してもよい。
上記構成に従えば、比較対象となる履歴がなくてもガタの発生を精度よく検出することができ、故障診断装置を容易に構成することができる。
上記発明において、前記故障検出部は、所定の2つの区間の吸入流量の差分に基づいてガタ量を演算してもよい。
上記構成に従えば、ガタ量を検出することができるので、斜板ポンプの故障を定性的でなく定量的に判断することができる。それ故、ガタ量に応じてピストンの取り換え時期及び斜板ポンプの故障の度合い等に関する判断を柔軟に行うことができる。
上記発明において、前記履歴取得部は、所定の期間における吸入流量の経時変化を表す実波形データを含む実履歴データを取得し、前記故障検出部は、前記波形データに基づいて前記ガタの発生を検出してもよい。
上記構成に従えば、波形データに基づいてガタの発生を検出することができる。
上記発明において、前記履歴取得部は、所定の期間における吸入流量の経時変化を表す実波形データを含む実履歴データを取得し、前記記憶部は、所定期間における吸入流量の経時変化を表す基準波形データを含む基準履歴データを記憶し、前記故障検出部は、前記実波形データと前記基準波形データとを比較して、前記ガタの発生を検出する。
上記構成に従えば、実波形データと基準波形データを比較することによってガタの発生を検出することができる。
上記発明において、前記故障検出部は、前記実履歴データに対して周波数分析を行い、周波数分析の結果に基づいて前記ガタの発生を検出してもよい。
上記構成に従えば、比較対象となる履歴がなくてもガタの発生を精度よく検出することができ、故障診断装置を容易に構成することができる。
本発明のポンプユニットは、前述する何れか1つに記載の前記故障診断装置と、前記斜板ポンプと、前記斜板ポンプに吸入される作動液の吸入流量に応じた信号を出力するセンサ装置と、を備え、前記故障診断装置は、前記センサ装置からの信号に応じて吸入流量を演算する流量演算部を備えるものである。
本発明に従えば、上述するような機能を有するポンプユニットを提供することができる。
本発明の故障診断方法は、予め定められた軸線回りに回転するシリンダブロックと、前記シリンダブロックに進退可能に夫々挿入されている複数のピストンと、前記複数のピストンの各々に揺動可能に設けられているシューと、前記複数のピストンが前記シューを介して前記軸線回りに回転可能にその上に配置され且つ前記軸線に対して傾倒している斜板とを備え、前記シリンダブロックが回転することによって前記複数のピストンが前記斜板上を回転して前記シリンダブロックを進退し、それに伴って作動液を吸入及び吐出する斜板ポンプの故障を診断する故障診断方法であって、前記斜板ポンプに吸入される作動液の吸入流量を検出する流量検出工程と、前記流量検出工程で検出される吸入流量に基づいて、所定の期間における前記吸入流量の経時変化を示す実履歴データを取得する履歴取得工程と、前記履歴取得工程によって取得される実履歴データに基づいて前記ピストンと前記シューとの間のガタの発生を検出する故障検出工程とを備える方法である。
本発明に従えば、斜板ポンプの吸入流量に基づいてピストンとシュートの間のガタを検出することができる。斜板ポンプの吸入流量は外部要因に起因する変動が吐出圧に比べて小さく、斜板ポンプの吸入流量にガタによる影響が顕著に現れやすい。それ故、斜板ポンプの吸入流量に基づいてガタを検出することによってガタを精度よく検出することができ、ガタの検出精度を向上させることができる。
本発明によれば、ピストンとシューとの間に発生するガタの検出精度を向上させることができる。
本発明に係る実施形態のポンプユニットを示す断面図である。 図1のポンプユニットに備わる斜板ポンプの領域Xを拡大して示す拡大断面図であり、(a)はガタなしのピストン及びシューを示し、(b)は、ガタありのピストン及びシューを示す。 図1の斜板ポンプにおいて斜板上を回転するピストンの動きを平面に展開した展開図である。 図1のポンプユニットに備わる故障診断装置を示すブロック図である。 図1の斜板ポンプにおいて、図2に示す上死点から下死点の方に僅かに移動した際のピストンを側方から見た断面図であり、(a)はガタなしのピストン及びシューを示し、(b)は、ガタありのピストン及びシューを示す。 図1の斜板ポンプにおいて、上死点と下死点との間の中間地点までに移動した際のピストンを上方から見た断面図であり、(a)はガタなしのピストン及びシューを示し、(b)はガタありのピストン及びシューを示す。 図1の斜板ポンプにおいて、下死点に到達した際のピストンを側方から見た断面図であり、(a)はガタなしのピストン及びシューを示し、(b)はガタありのピストン及びシューを示す。 図1の斜板ポンプにおいて、下死点から上死点側に僅かに移動した際のピストンを側方から見た断面図であり、(a)はガタなしのピストン及びシューを示し、(b)はガタありのピストン及びシューを示す。 図1の傾斜ポンプにおいて、シリンダブロックの回転角とピストンの軸線方向の位置との関係を示すグラフである。 図1の傾斜ポンプにおいて、シリンダブロックの回転角と1本のピストンの吸入流量との関係を示すグラフである。 図1の故障診断装置が実行する故障診断処理の手順を示すフローチャートである。 1つのピストンにおいてガタが発生している斜板ポンプに関して、(a)吸入流量及び(b)吸入流量の差の積分値の経時変化を示すグラフである。 複数のピストンにおいてガタが発生している斜板ポンプに関して、(a)吸入流量及び(b)吸入流量の差の積分値の経時変化を示すグラフである。 斜板ポンプの吸入流量の周波数スペクトルを示すグラフであり、(a)がガタなしのグラフ、(b)がガタありのグラフである。
以下、本発明に係る第1乃至第3実施形態のポンプユニット1,1A,1Bについて図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明するポンプユニット1,1A,1Bは、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
[第1実施形態]
<ポンプユニット>
図1に示すポンプユニット1は、例えば舶用機械及び建設機械等の産業用機械において用いられ、液圧シリンダや液圧モータ等の液圧機器に作動液を供給して駆動するようになっている。更に具体的に説明すると、ポンプユニット1は、斜板ポンプ2を備えており、斜板ポンプ2は、タンク等から低圧の作動液を吸入及び加圧して、高圧の作動液を吐出する。吐出された作動液は、配管等を介して液圧機器に供給され、液圧機器は、供給される作動液によって駆動される。このような機能を有するポンプユニット1は、更に故障診断装置3及び報知装置4を備えており、故障診断装置3によって斜板ポンプ2の故障の有無を診断できる、より具体的には後述するピストン14とシュー15との間に発生するガタ(以下、「ピストン14のガタ」又は単に「ガタ」という)の発生を検出できるようになっている。また、故障診断装置3は、診断結果を報知装置4に出力し、診断結果に基づく情報を報知装置4によって報知させるようになっている。なお、報知装置4は、モニタ等の表示装置、警報機、及び音声出力装置であって、視覚及び聴覚的に報知できるようになっている。このように構成されるポンプユニット1において、以下ではまず診断対象である斜板ポンプ2について説明する。
[斜板ポンプ]
斜板ポンプ2は、例えば可変容量型の斜板ポンプであり、後で詳述する斜板16の傾転角を変えることによって吐出流量(即ち、吸入流量)を変更できるようになっている。更に詳細に説明すると、斜板ポンプ2は、ケーシング11、回転軸12と、シリンダブロック13と、複数のピストン14と、複数のシュー15と、斜板16と、バルブプレート17とを備えている。ケーシング11は、回転軸12と、シリンダブロック13と、複数のピストン14と、複数のシュー15と、斜板16と、バルブプレート17を収容するように構成されている。また、回転軸12は、その一端部をケーシング11から突出させており、その一端部がエンジン及びモータ等の原動機に連結されている。また、回転軸12の一端部側の部分及び他端部には、ベアリング18,19が設けられており、回転軸12は、ベアリング18,19を介してケーシング11に回転可能に支持されている。更に、回転軸12には、2つのベアリング18,19の間であってその他端部側の部分にシリンダブロック13が挿通されている。
シリンダブロック13は、大略的に円筒筒状に形成され、スプライン結合などによって相対回転不能に且つ軸線を一致させるようにして回転軸12に結合されている。それ故、シリンダブロック13は、回転軸12と一体的に軸線L1回りを回転するようになっている。また、シリンダブロック13には、複数のシリンダ室(本実施形態では、9つのシリンダ室)20が形成されている。複数のシリンダ室20は、シリンダブロック13の一端側で開口し且つ軸線L1に平行に伸びる孔であり、軸線L1を中心とする周方向に等間隔をあけて配置されている。このように配置されるシリンダ室20には、前記開口からピストン14が挿入されている。
ピストン14は、いわゆるメール型のピストンであり、ピストン本体14aと凸球部14bとを有している。ピストン本体14aは、大略円柱状に形成されており、シリンダ室20に挿入されている。ピストン本体14aは、シリンダ室20に挿入されている状態で軸線方向一端側を突出させており、ピストン本体14aの軸線方向一端部には凸球部14bが一体的に形成されている。また、凸球部14bにはシュー15が取り付けられている。
シュー15は、収容部15aと、基体部15bとを有している。収容部15aは、大略円筒状に形成されており、その中の収容空間15cが部分球状に形成されている。更に詳細に説明すると、収容空間15cは、凸球部14bの形状に合わせて形成されており、収容空間15cに凸球部14bを収容できるようになっている。また、凸球部14bを収容している状態で収容部15aの開口端部15dがカシメられている。これにより、凸球部14bが収容部15a内に揺動可能に嵌まり込み且つピストン14とシュー15とが互いに揺動可能に連結され、凸球部14bと収容部15aとによって球継手部21が構成されている。また、シュー15の収容部15aでは、その開口端部15dの反対側の端面に基体部15bが一体的に形成されている。基体部15bは、大略円板状であって収容部15aより大径に形成されており、その厚み方向一表面に収容部15aが一体的に形成されている。また、基体部15bは、厚み方向他表面が平坦に形成されており、その他表面を斜板16に当てるようにして斜板16に押し付けられている。
斜板16は、大略的に円環状の板であり、その内孔に回転軸12を挿通させ且つ回転軸12に対して傾倒させた状態でケーシング11内に配置されている。このように配置されている斜板16の厚み方向一表面は、平坦に形成され、支持面16aを形成している。支持面16aは、シリンダブロック13の一端面に傾斜している状態で面しており、支持面16a上には、複数のシュー15の基体部15bが周方向に間隔をあけて配置されている。このように配置されている複数のシュー15は、押え板24によって支持面16aに押え付けられ、押え付けられた状態で軸線L1を中心に支持面16a上を摺動回転するようになっている。即ち、複数のシュー15は、傾斜する支持面16aに配置され且つその支持面16a上を軸線L1まわりに回転する。それ故、シュー15が支持面16a上を回転すると、シリンダブロック13に対して近づいたり離れたりする。従って、シリンダブロック13が回転し、それに合わせてピストン14が軸線L1周りに回転すると、シュー15によってピストン14がシリンダ室20を進退させられる。また、シリンダブロック13には、作動液を吸入及び吐出すべく複数のシリンダポート25が形成されている。
複数のシリンダポート25は、シリンダブロック13の他端側にシリンダ室20毎に一対一で対応付けて夫々形成されている。複数のシリンダポート25は、シリンダブロック13の他端に開口を有しており、開口が軸線L1を中心とする周方向に間隔をあけて配置されている。また、シリンダブロック13の他端には、バルブプレート17が設けられている。バルブプレート17は、大略的に円板状になっており、その中心に回転軸12が相対回転可能に挿通され且つその厚み方向一表面をシリンダブロック13の他端に当接させている状態でケーシング11に固定されている。このように配置されているバルブプレート17には、吸入ポート17a及び吐出ポート17bが形成されている。吸入ポート17a及び吐出ポート17bは、バルブプレート17の厚み方向に貫通し且つ周方向に延在する孔であり、周方向に互いに間隔をあけて配置されている。また、吸入ポート17a及び吐出ポート17bは、複数のシリンダポート25に対応させて配置されている。更に詳細に説明すると、各々のポート17a,17bには、4つ又は5つのシリンダポート25が常時接続され、シリンダブロック13が回転することによって各シリンダポート25が接続されるポート17a,17bが切換わるようになっている。なお、図1では、説明の便宜上、下死点及び上死点に位置するシリンダ室20のシリンダポート25が各ポート17a,17bと繋がっているものを図示している。実際には、シリンダポート25は、下死点(図1の紙面下側の位置)付近で塞がっており、上死点(図1の紙面上側の位置)付近でも塞がっている。
このように構成される斜板ポンプ2では、原動機によって回転軸12が回転駆動され、回転軸12が回転すると複数のピストン14が図3に示すようにシリンダ室20を往復運動する。これにより、作動液が吸入ポート17aを介してタンク等からシリンダ室20に吸入され(吸入行程)、シリンダ室20に吸入された作動液が吐出ポート17bから吐出される(吐出行程)。各ポート17bから吐出される作動液の流量は、斜板16の傾転角に応じて決まる。斜板ポンプ2では、サーボ機構26を有しており、サーボ機構26によって斜板16の傾転角を変えられるようになっている。即ち、サーボ機構26は、斜板16を軸線L2周りに傾動可能に構成されている。そして、斜板16が傾動することによってピストン14のストローク量が変化し、変化することで吐出ポート17bから吐出される作動液の吐出量(即ち、ポンプ容量)が変化する。
また、斜板ポンプ2のピストン14には、図2に示すように、その軸線に沿って貫通する連通路14cが形成されている。連通路14cは、シリンダ室20の作動液をシュー15の収容空間15cに導く、より詳細には凸球部14bの外表面と収容部15aの内面との間に導くようになっている。また、シュー15にも、その軸線(即ち、収容部15a及び基体部15bの軸線)に沿って連通路15eが形成されており、前述する作動液を連通路15eによって支持面16aまで導けるようになっている。このように斜板ポンプ2では、2つの連通路14c,15eに介して作動液を収容空間15c及び支持面16a上に導き、導かれた作動液を潤滑液として使用するようになっている。これにより球継手部21における凸球部14bと収容部15aとの摩耗を抑制している。他方、ピストン14とシュー15との間の摩耗は、導かれた潤滑液だけでは完全に防ぐことができず、やがて摩耗によって凸球部14bと収容部15aとの間にガタを生じさせる。このようなガタを検出すべく、ポンプユニット1には、故障診断装置3が備わっている。
[故障診断装置]
故障診断装置3は、所定の期間、例えばシリンダブロック13が一回転する間に斜板ポンプ2に吸入される作動液の流量、即ち吸入流量の履歴に基づいて斜板ポンプ2の故障の発生、即ちガタの発生を検出するようになっている。なお、履歴には、時刻歴及び時刻歴波形が含まれ、吸入流量の時刻歴は吸入流量の経時変化を示す履歴情報であり、時刻歴波形は、吸入流量の経時変化を示す波形である。また、故障診断装置3は、センサ装置5と協働してガタの発生を検出すべく吸入流量を検出するようになっており、吸入流量の検出として以下のような方法が用いられる。即ち、吸入流量の検出方法としては、例えば差圧式、超音波式、電磁式、コリオリ式、及び体積式等の種々の方法がある。本実施形態では、吸入流量の検出方法として差圧式が採用されており、故障診断装置3は、吸入流量を検出すべくセンサ装置5と接続されている。
センサ装置5は、吸入ポート17aとタンク等とを繋ぐ配管30に設けられており、2つの圧力センサを有している。2つの圧力センサは、配管30において予め定められている距離離して配置され、配管30における2つの点の圧力p1,p2(即ち、上流圧p1及び下流圧p2)を検出している。また、2つの圧力センサは、上流圧p1及び下流圧p2に応じた信号を出力し、出力される2つの信号は、故障診断装置3に入力される。故障診断装置3は、例えばCPU(Central ProcessingUnit)の他、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有している(何れも図示せず)。ROMには、CPUが実行するプログラム、各種固定データ等が記憶されている。CPUが実行するプログラムは、例えばフレキシブルディスク、CD−ROM、メモリカード等の各種記憶媒体に保存されており、これらの記憶媒体からROMにインストールされる。このように構成されているRAMには、プログラム実行時に必要なデータが一時的に記憶されている。
このように構成されている故障診断装置3は、センサ装置5から入力される2つの信号に基づいて吸入流量を演算し、また検出される吸入流量に基づいてガタの発生を検出する。更に詳細に説明すると、故障診断装置3は、図4に示すように流量演算部31と、記憶部32と、履歴取得部33と、故障検出部34と、を備えている。流量演算部31は、センサ装置5に接続されており、センサ装置5からの2つの信号、即ち2つの圧力センサから夫々出力される信号が入力される。流量演算部31は、入力される2つの信号に基づいて吸入流量を演算する。即ち、流量演算部31は、まず2つの信号に基づいて上流圧p1、下流圧p2、及びそれらの差圧Δpを算出し、算出される差圧Δpに基づいて配管30を流れる作動液の流量を(例えば、オイラーの運動方程式等を用いて)演算する。配管30を流れる作動液の流量は、吸入流量と対応しており、演算された流量を吸入流量として検出する。このような機能を有する流量演算部31は、予め定められている時間間隔でセンサ装置5から2つの信号を取得し、また前記時間間隔で吸入流量を検出して記憶部32に記憶させるようになっている。
記憶部32は、複数の吸入流量を記憶可能であって、流量演算部31で検出される吸入流量(即ち、実吸入流量)を検出された際の時刻と対応付けて記憶する。また、履歴取得部33は、このように記憶される複数の実吸入流量に基づいて所定の診断期間における履歴である実履歴データを取得する。なお、本実施形態において、診断期間は回転軸12の周期T[s]に設定されている。また、周期Tは、一定の回転数で回転する回転軸12の目標回転数に基づいて演算して取得したり、また回転軸12に設けられる回転角センサ(図示せず)や回転検出器等からの信号に基づいて検出したりすることができる。更に詳細に説明すると、履歴取得部33は、まず記憶部32に記憶される複数の実吸入流量に基づいて所定の診断期間における時刻歴である実時刻歴を取得し、更に取得した実履歴データに基づいて時刻歴波形データ(即ち、実波形データであって後述する図12(a)及び図13(a)参照)を作成する。また、記憶部32には、実履歴データ及び実波形データに対応させて以下のような情報が記憶されている。
即ち、記憶部32は、基準履歴データが記憶されている。基準履歴データには、基準時刻歴及びその時刻歴波形データ(基準波形データ)が含まれている。基準時刻歴とは、実時刻歴に対応するものであり、診断期間と略同じ期間における基準吸入流量の経時変化である。また、基準吸入流量は、例えば斜板ポンプ2において初期に検出される吸入流量、斜板ポンプ2と同型のマスターの斜板ポンプによって検出される吸入流量、及びシミュレーションにおいてモデル化した斜板ポンプにて検出算出される吸入流量であり、判断の基準となる吸入流量である。この基準吸入流量を診断期間の分だけ予め検出させることによって、基準履歴データが作成される。また、基準波形データは、実波形データと同様に、基準時刻歴を時刻毎にプロットすることによって作成されている。このような基準時刻歴及び基準波形データを含む基準履歴データは、ガタの発生を検出すべく実履歴データと共に故障検出部34にて用いられる。
故障検出部34は、履歴取得部33にて取得される実履歴データと記憶部32に記憶される基準履歴データとに基づいてガタの発生を検出する。具体的には、故障検出部34は、ガタの有無を判断する共に、ピストン14とシュー15との間に発生するガタの量、即ちガタ量を演算する。故障検出部34は、ガタの有無を判断するに際してまず実履歴データに含まれる実波形データと基準履歴データに含まれる基準波形データとを比較する。それら2つの波形データに相違点がある場合、故障検出部34は、ガタがあると判断する。後で詳述するが、故障検出部34は、以下のような方法でガタの有無を判断している。即ち、故障検出部34は、まず相違点における吸入流量の差分を積分して積分値を演算する。そして、積分値が所定の閾値より大きい場合に、故障検出部34は、ガタがあると判断する。また、故障検出部34は、ガタ量を演算するに際して以下のような方法で算出する。例えば、故障検出部34は、前述する相違点における吸入流量の差分を積分し、その積分値に基づいてガタ量を算出する。
このように構成される故障診断装置3は、吸入流量に基づいてガタの発生を検出している。以下では、このように吸入流量に基づいてガタを検出できる理由を明らかにすべく、斜板ポンプ2においてガタが発生することによって吸入流量が変化するメカニズムの一例について、図2、3、及び図5乃至8を参照しながら説明する。
[ガタと吸入流量との関係について]
斜板ポンプ2では、前述の通り駆動源によって回転軸12が駆動されると、ピストン14がシリンダ室20を往復運動する(図3参照)。即ち、ピストン14は、上死点から下死点へと回転することによってシリンダ室20を後退し、吸入ポート17aを介してシリンダ室20に作動液を吸入する(図3の吸入行程)。ピストン14は、やがて下死点に到達すると、次に上死点に向かって回転する。これにより、ピストン14は、その動作を後退から前進へと切り替わり、前進するピストン14によってシリンダ室20の作動液が吐出ポート17bから吐出される(図3の吐出行程)。他方、ピストン14は、シリンダ室20を往復運動しつつ、シュー15を介して斜板16上を軸線L1周りに回転している。それ故、図3に示すように、ピストン14とシュー15とが互いに摺動し合い、凸球部14bの球頭頂部分及び収容部15aの内面が摩耗し、球継手部21においてピストン14とシュー15との間にガタが発生する。
なお、ピストン14とシュー15との間のガタは、前述のような原因以外にも以下のような原因で発生する。即ち、ピストン14とシュー15との間のガタは、収容部15aの開口端部15d(いわゆる、カシメ部)が凸球部14bによって摩耗することによっても生じる。他方で、何れの原因で発生したガタであってもガタによって吸入流量が変化するメカニズム(即ち、後述するように吸入行程の開始直後においてピストン14がシュー15に対して動かないことによって吸入流量が変化する点)は同一である。そこで、以下では、前述のような凸球部14bの球頭頂部分の摩耗によってピストン14とシュー15との間にガタが生じた場合について説明する。
ガタが発生すると、ガタが発生ない場合に対してシリンダ室20におけるピストン14の動きが以下のように変化する。即ち、ピストン14は、上死点までシリンダ室20の作動液によって斜板16の方へと押えられるようにして前進動作を行っており、図2(a)及び(b)に示すようにピストン14の凸球部14bの先端側部分がシュー15の収容部15aの底面に押し付けられている。他方、ガタが発生している場合、凸球部14bの基端側部分は、図2(b)に示すように収容部15aの開口端部15dから離れた状態となっている(図2(b)のシュー15内の網目参照)。それ故、ピストン14は、上死点において、ガタがない場合に比べてガタがある場合の方がΔdだけ斜板16側に位置することになる。
その後、上死点から下死点に向かってピストン14が回転し始めると、ピストン14に連れだってシュー15が回転する。シュー15は、押え板24によって斜板16の支持面16aに押え付けられているので、傾倒する支持面16a上を回転し、支持面16aに沿って後退する。ガタがない場合、図5(a)に示すように、後退するシュー15の開口端部15dによってピストン14の凸球部14bの基端側部分が引っ張られて、ピストン14は、上死点を超えると共にシリンダ室20を後退し始める。
他方、ガタがある場合、ピストン14では、上死点付近位おいて凸球部14bの基端側部分と開口端部15dとの間に隙間が形成されている(図2(b)参照)。それ故、開口端部15dによって凸球部14bの基端側部分を引っ張ることができず、上死点を超えた後、ピストン14がシリンダ室20において動かず静止している。その後もシュー15が斜板16上を後退して凸球部14bの基端側部分に開口端部15dが係合するまでピストン14は静止し続ける。そして、図5(b)に示すように凸球部14bの基端側部分に開口端部15dが係合すると、凸球部14bの基端側部分がシュー15の開口端部15dによって引っ張られ始め、ピストン14がようやくシリンダ室20を後退し始める。
このようにガタがあるピストン14では、シリンダブロック13が上死点から下死点に向かって動き始めるタイミングと、ピストン14がシリンダ室20を後退し始めるタイミングとの間にタイムラグが生じている。そして、それらの間でも静止するピストン14に対してシュー15が斜板16に沿って後退しており、その結果ピストン14とシュー15とが相対変位する。これにより、凸球部14bの先端側部分が収容部15aの底面から離れ、それに伴って凸球部14bの先端側部分と収容部15aの底面との間に隙間21aが形成される。隙間21aは、収容部15aの底面が凸球部14bから離れるに従って拡がっていく。隙間21aは、連通路14cを介してシリンダ室20に繋がっており、離れて拡張する際にシリンダ室20の作動液が連通路14cを介して隙間21aに吸い上げる(図5(b)の網目状部分参照)。隙間21aは、凸球部14bの基端側部分がシュー15の開口端部15dに係合するまで拡張し続ける。その間、作動液の吸い上げは続き、係合して隙間21aの拡張が止まると共に作動液の吸い上げが止まることになる。
また、凸球部14bの基端側部分がシュー15の開口端部15dに係合して作動液の吸い上げが止まった後は、図6(a)及び(b)に示すようにピストン14は共にシュー15に引っ張られて後退しながら上死点付近から下死点に向かって回転する。その後、ピストン14は、図7(a)及び(b)に示すように下死点に達し、更に下死点を超えると上死点に向かって回転し始める。下死点を越えた辺りで、シュー15は斜板16によって前側に押し出される。ガタがない場合、ピストン14は、前側に押し出されるシュー15の動きに合わせて前進する。即ち、ピストン14の動作が後退動作から前進動作に切換えられる(図8(a)参照)。他方、ガタがある場合、凸球部14bの先端部分と収容部15aの底面との間に隙間21aが空いているので、シュー15がピストン14を押すことができず、吸入行程の開示時と同様にピストン14がシリンダ室20にて相対的に静止する。その後も、ピストン14は、シュー15が斜板16上を前進して凸球部14bの先端側部分に収容部15aの底面が当たるまで静止し続ける。そして、図8(b)に示すように凸球部14bの先端側部分が収容部15aの底面に当たると、ピストン14は、凸球部14bの先端側部分が収容部15aの底面によって押されてシリンダ室20を前進し始め、そのまま上死点まで回転する。それ故、ガタのあるピストン14は、の上死点においてガタのないピストン14よりΔdだけ後側に位置することになる(図2(a)及び(b)参照)。このように、斜板ポンプ2では、ガタがある場合、吸入行程と同様に吐出行程でもシュー15が前進するタイミングとピストン14の前進するタイミングとの間にタイムラグが生じている、即ち下死点から上死点に向かって動き始めるタイミングと前進し始めるタイミングとの間にタイムラグが生じている。
このように動作する斜板ポンプ2では、ガタがない場合、図9の点線で示すように回転角が15degから30degの間においてピストン14が大きく後退し始めている。なお、図9は、縦軸がシリンダ室20内におけるピストン14の位置を示し、横軸がシリンダブロック13の回転角[deg]を示している。また、上死点が回転角0degであり、下死点が回転角180degである。他方、ガタがある場合、図9の実線で示すように、上死点から下死点に向かう移動を開始した後、回転角が15degから30degの間もピストン14は、大きく後退することなく略静止している。それ故、ガタがないピストン14とガタがあるピストン14とでは、図10に示すように場合に1本のピストン14の吸入流量が回転角15degから30degの間において全く異なっている。なお、図10は、縦軸が1本のピストン14の吸入流量であり、横軸がシリンダブロック13の回転角[deg]を示している。図10の点線がガタなしのピストン14の吸入流量であり、実線がガタありのピストン14の吸入流量である。
このように、ガタの有無よってピストン14の動きが変化し、それによって1本のピストン14の吸入流量が変化、即ち減少する。斜板ポンプ2では、吸入ポート17aには常時4つ又は5つのシリンダ室20が接続されているが、前述のようなガタの発生に伴うピストン14の吸入流量の減少は、後述する図12(a)に示すように斜板ポンプ2の吸入流量(即ち、吸入ポート17aに接続される全ピストン14によって吸入される作動液の総流量)にも表れる。なお、図12(a)では、縦軸が斜板ポンプ2の吸入流量であって、横軸が経過時間を示している。また、図12(a)の実線は実波形データであり、図12(b)の点線は基準波形データである。このようにガタの有無によってピストン14の吸入流量に差異が生じるので、斜板ポンプ2の吸入流量を検出し、吸入流量の経時変化(即ち、履歴)を診ることによって、ガタの有無を判断することができる。
また、斜板ポンプ2では、前述の通りガタの有無に応じて上死点におけるピストン14の位置が変化し、またその位置は、隙間21aの大きさ(即ち、ガタ量)に応じて斜板16側へと移っていく。それ故、ガタ量が大きくなればなる程、上死点から下死点に移動する際、ピストン14が静止している時間が長くなり、吸入ポート17aを介してシリンダ室20に吸入される作動液の量(即ち、吸入量)が減少する。それ故、吸入量の減少量を演算することによってガタ量を推定することができる。なお、実際には、前述の通りガタが発生することによって隙間21aが形成され、隙間21aへの作動液の吸い上げも同時に発生している。それ故、ピストン14において実際に減少した吸入量は、後退量の減少に伴う吸入量の減少分から作動液の吸い上げに伴う吸入量の増加分を減算した差分となる。ガタ量を推定する際にはこの差分に基づいてガタ量を演算するが、後退量及び隙間21aの体積は共にガタ量と対応しており、差分もまたガタ量に対応するものとなる。また、前記差分は、ガタのないピストン14による吸入量からガタがあるピストン14による吸入量を減算した差分に対応している。それ故、前記2つのピストン14の吸入量の差分を演算することによって、ガタ量を推定できる。
このように斜板ポンプ2では、ガタの有無によってピストン14の吸入流量に差異が生じ、この差異により実波形データを基準波形データと異ならしめている。それ故、基準波形データと実波形データとを比較することによって、斜板ポンプ2におけるガタの有無を検出することができる。また、前記2つのピストン14の吸入量の差分がガタ量に対応しているので、基準波形データと実波形データとに基づいて斜板ポンプ2の吸入量の差分を演算することによってガタ量も検出することができる。以下では、故障診断装置3がガタの有無を判断し、更にガタ量を検出する故障診断処理の手順について図11のフローチャートを参照しながら説明する。
[故障診断処理について]
ポンプユニット1では、原動機によって回転軸が回転駆動され且つ故障診断装置3に電力が供給されると故障診断処理が実行され、ステップS1に移行する。診断実行判定工程であるステップS1では、故障診断を実行するか否かを判定する。ポンプユニット1では、例えば所定の診断間隔で故障診断を実行するようになっており、前の故障診断が終了してから経過した時間に応じて故障診断を実行するか否かを判定する。なお、必ずしも診断間隔で故障診断を実行する必要はなく、操作パネルやスイッチ等の操作装置によって故障診断の実行の有無を指令するようにしてもよい。その場合には、操作装置からの指令の有無に応じて故障診断を実行するか否かを判定する。故障診断を実行しないと判定した場合には、経過した時間が条件を満たすまで判定を繰り返す。他方、故障診断を実行すると判定されると、ステップS2に移行する。
流量検出工程であるステップS2では、センサ装置5から出力される信号に基づいて流量演算部31が斜板ポンプ2の吸入流量を検出する。記憶部32は、検出される吸入流量を検出した時刻共に記憶する。吸入流量が時刻と共に記憶部32に記憶されると、ステップS3に移行する。なお、ステップS3に移行した後も、並行して吸入流量の検出及び記憶を繰り返すようにしてもよい。
時刻歴取得工程であるステップS3では、履歴取得部33が診断期間における実履歴データを取得する。即ち、履歴取得部33は、記憶部32に記憶される複数の実吸入流量の中から所定の診断期間において記憶された複数の実吸入流量を取得する。取得する吸入流量は、直近に検出された吸入流量の時刻から周期T分遡った時刻までに記憶された実吸入流量である。履歴取得部33は、複数の実吸入流量を各々検出された時刻に対応付けて取得し、実時刻歴を作成する。実時刻歴が作成されると、ステップS4に移行する。波形データ生成工程であるステップS4では、ステップS3で作成された実時刻歴に基づいて履歴取得部33が実波形データを生成する。具体的に説明すると、実時刻歴における複数の実吸入流量を各々が対応付けられた時刻毎にプロットし、図12(a)の実線のような実波形データを生成する。実波形データが生成されると、ステップS4からステップS5に移行する。
故障検出工程であるステップS5では、履歴取得部33で生成した実波形データと、記憶部32に記憶される基準波形データとに基づいてガタの発生の有無を判定する。具体的に説明すると、斜板ポンプ2の吸入流量の時刻歴波形データは、図12(a)の点線に示すように、診断期間において斜板ポンプ2が備えるピストン14の本数α(本実施形態では、α=9)に応じた周期で脈動している。即ち、斜板ポンプ2の吸入流量の時刻歴波形データでは、周期Tにピストン14の本数αで除算したT/αの周期で脈動している。それ故、基準波形データでは、α個の山部分が形成され、各々の山部分が略同一の形状を有している。他方、斜板ポンプ2において少なくとも1つのピストン14においてガタがあると、それに伴う吸入流量の減少の影響が実波形データに現れる。それ故、実波形データでは、図12(b)の実線で示すように、前述するα個の山部分のうち1つが他の山部分と異なる形状をしている。故障検出部34は、このように異なる形状が実波形データに含まれているか否かを検出するべく、基準波形データと実波形データとを比較する。比較する方法としては、例えば以下のような方法が用いられる。
即ち、ピストン14のガタに起因する吸入流量の減少は、主に吸入開始直後(具体的には、回転角が上死点から約360/α度までの間)に生じており、その吸入流量の減少は回転軸12が一回転する度に(即ち、周期Tで)生じる。また、各ピストン14は、シリンダブロック13においてその周方向に約360/α度の間隔をあけて配置されており、回転軸12を回転させると、約360/α度毎に順々に作動液の吸入を開始する。それ故、ピストン14のガタに起因する吸入流量の減少は、斜板ポンプ2の吸入流量において互いに殆ど影響し合うことなく、独立して現れる。また、斜板ポンプ2の時刻歴波形データにおいて山部分の周期がT/αであるので、ピストン14のガタに起因する吸入流量の減少は、ピストン14毎に対応する山部分にのみ現れる。例えば、9本のピストン14のうち1本のピストン14だけがガタを有している場合、図12(a)の実線で示されるように1つの山部分だけが基準波形データにおける山部分と異なる形状となる。また、9本のピストン14のうち3本のピストン14にガタがある場合、図13(a)の実線で示されるように3つの山部分が基準波形データにおける山部分と異なる形状となっている。
このようなことを踏まえ、故障検出部34は、基準波形データと実波形データとを比較する際に実波形データ及び基準波形データを山部分毎に分割(即ち、2つの波形データをピストン14の本数αに分割)する。そして、各波形データのβ番目の山部分同士(β=1〜α)を全ての組み合わせに関して比較し、少なくとも1つの組み合わせにおいて相違するか否かを判断する。そして、相違する場合には、相違する山部分の数に応じた数のピストン14にガタがあると判断する。また、β番目の山部分同士が相違しているか否かは、例えば、以下のような方法で判断する。
即ち、基準波形データのβ番目の山部分と実波形データのβ番目の山部分の差分を積分する。次に、その積分値が所定の閾値を越えているか否かを判断する。即ち、積分値が実波形データにおける全ての山部分に関して閾値を越えていない場合、故障検出部34は、基準波形データと実波形データとの間に相違点がなく、ガタがないと判断する。他方、積分値が実波形データにおける少なくとも1つの山部分に関して閾値を超えている場合、故障検出部34は、基準波形データと実波形データとの間に相違点があり、ガタがあると判断する。また、積分値が閾値を超えている山部分が複数存在する場合、越えている山部分の数によりガタがあるピストン14及びシュー15の各々の数を判断することも可能である。このようにしてガタの有無を判断し、ガタがないと判断されると、ステップS1に戻る。他方、ガタがあると判断すると、ステップS6に移行する。
ガタ量検出工程であるステップS6では、基準波形データと実波形データとに基づいてガタ量を検出する。更に詳細に説明すると、前述の通り、ピストン14のガタに起因する吸入流量の減少は、ピストン14毎に対応する山部分に現れる。また、ガタ量は、前述の通りガタのないピストン14による吸入量とガタがあるピストン14による吸入量との差分に対応している。また、ガタのないピストン14による吸入量とガタがあるピストン14による吸入量との差分は、相違する2つの山部分の吸入流量の差分の積分値に対応している。それ故、この対応関係に基づいてステップS5にて演算された積分値からガタ量を検出する。なお、積分値に対するガタ量は、例えばピストン14の凸球部14bの球径、シュー15の収容空間15cの孔径、及びシリンダ室20の孔径等によって幾何学的に求めることができる。ガタ量が検出されると、ステップS7に移行する。
報知工程であるステップS7では、ピストン14にガタがある旨及びそのガタ量を報知する。即ち、故障検出部34は、報知装置4に報知信号を出力する。報知装置4は、ピストン14のガタがある旨及びそのガタ量をモニタに表示して報知する。このようにして報知されると、ステップS1に戻り、故障診断の実行の可否を判定する。
このようにして構成されるポンプユニット1の故障診断装置3では、斜板ポンプ2の吸入流量に基づいてガタを検出することができる。斜板ポンプ2の吸入流量は外部要因に起因する変動が吐出圧に比べて小さく、斜板ポンプ2の吸入流量には前記ガタによる影響が顕著に現れやすい。それ故、斜板ポンプ2の吸入流量に基づいてガタを検出することによってガタを精度よく検出することができ、故障の検出精度を向上させることができる。
また、故障診断装置3では、基準波形データが予め記憶されており、基準波形データと実波形データとを比較することによってガタの発生を検出することができる。それ故、精度よく且つ容易にガタの発生を検出することができる。また、故障診断装置3では、ガタ量を検出することができるので、斜板ポンプ2の故障を定性的でなく定量的に判断することができる。それ故、ガタ量に応じてピストン14の取り換え時期及び斜板ポンプ2の故障の度合い等に関する判断を柔軟に行うことができる。
[第2実施形態]
第2実施形態のポンプユニット1Aは、第1実施形態のポンプユニット1と構成が類似している。従って、第2実施形態のポンプユニット1Aの構成については、第1実施形態のポンプユニット1と異なる点について主に説明し、同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。なお、第3実施形態のポンプユニット1Bについても同様である。
図1に示すようにポンプユニット1Aは、斜板ポンプ2、故障診断装置3A、報知装置4、及びセンサ装置5Aを有している。故障診断装置3Aは、吸入流量を検出すべくセンサ装置5Aと繋がっており、センサ装置5Aは、例えば超音波式の流量センサを有しており、配管30を流れる流量、即ち吸入流量に応じて信号を出力する。出力された信号は、故障診断装置3Aに入力されている。故障診断装置3Aは、流量演算部31Aと、記憶部32と、履歴取得部33と、故障検出部34Aと、を備えている。流量演算部31Aは、センサ装置5Aからの信号に基づいて斜板ポンプ2の吸入流量を検出し、検出された吸入流量を検出した時刻と共に記憶部32に記憶させる。また、故障検出部34Aは、以下のように故障診断を行うようになっている。
即ち、故障検出部34Aは、履歴取得部33にて取得される実履歴データに含まれる実波形データだけに基づいてガタの発生の有無を判断する。具体的には、故障検出部34Aは、まず実波形データをピストン14の本数αに応じた区間(即ち、9つの区間)に分割し、実波形データから各々の山部分を取り出す。次に、各々の山部分(例えば、隣接する山部分同士又は1番目の山部分と他の山部分と)を比較し、相違する形状の山部分の有無を検出する。なお、故障検出部34Aは、相違する形状の山部分の有無は、例えば比較する2つの山部分の差分を積分し、その積分値が所定の閾値を越えているか否かで判断する。また、故障検出部34Aは、前記積分値とガタ量との対応関係に基づいて、前記積分値からガタ量を検出する。このように故障検出部34Aでは、第1実施形態の故障検出部34のように基準波形データと比較しなくても、実波形データだけでガタの発生を検出することができる。
このように構成されている故障診断装置3Aは、第1実施形態の故障診断装置3と同様に、原動機によって回転軸が回転駆動され且つ故障診断装置3に電力が供給されると故障診断処理を実行する。なお、故障診断装置3Aが実行する故障診断処理は、第1実施形態の診断段処理と類似しており、以下では、故障診断処理において異なる手順についてのみ説明し、同一の手順については説明を省略する。
即ち、故障検出工程であるステップS5では、まず、故障検出部34Aが実波形データを山部分毎に分割する。そして、各山部分に関して隣接する山部分と比較し、相違する山部分が存在するか否かを判断する。即ち、前述するように、比較する2つの山部分の差分を積分し、その積分値が所定の閾値を越えているか否かで判断する。全ての脈動に関して積分値が閾値を越えていない場合、故障検出部34Aは、全ての山部分は略同一波形データであり、ガタがないと判断する。他方、少なくとも1つの山部分に関して積分値が閾値を超えている場合、故障検出部34Aは、何れかの山部分が異なる形状であり、ガタがあると判断する。このようにしてガタの有無を判断し、ガタがないと判断されると、ステップS1に戻る。他方、ガタがあると判断すると、ステップS6に移行する。また、ガタ量検出工程であるステップS6では、積分値とガタ量との対応関係に基づいて、ステップS5にて演算された積分値からガタ量を検出する。ガタ量が検出されると、ステップS7に移行する。
このように構成されているポンプユニット1Aでは、基準履歴データがなくてもガタの有無を精度よく検出することができ、故障診断装置3Aを容易に構成することができる。
その他、第2実施形態のポンプユニット1Aは、第1実施形態のポンプユニット1と同様の作用効果を奏する。
[第3実施形態]
図1に示すようにポンプユニット1Bは、斜板ポンプ2、故障診断装置3B、報知装置4、及びセンサ装置5を有している。故障診断装置3Bは、流量演算部31と、記憶部32と、履歴取得部33と、故障検出部34Bと、を備えている。故障検出部34Bは、履歴取得部33にて取得される実履歴データに含まれる実波形データをFFT(高速フーリエ変換)等によって周波数分析する。斜板ポンプ2の全てのピストン14に関してガタがない場合、吸入流量の時刻歴波形データには、前述の通り、同一形状の山部分が周期T/αで現れる。即ち、この場合の周波数スペクトルでは、主に周波数α/Tの成分が検出される(図14(a)参照)。これに対して、斜板ポンプ2において1つのピストン14に関してガタがある場合、図14(b)に示すように他と異なる形状の山部分が周期T周波数1/T毎に現れる。それ故、実波形データの周波数スペクトルには、周波数α/Tの成分以外に周波数1/Tの成分及びその倍数の成分も検出されることになる。それ故、故障検出部34Bは、実波形データを周波数分析して周波数スペクトルを算出し、その周波数スペクトルに基づいてピストン14のガタを検出することができる。即ち、故障検出部34Bもまた実波形データだけでガタの有無を検出することができる。
このように構成されている故障診断装置3Bでは、故障診断処理を実行すると、故障診断工程であるステップS5において、故障検出部34Bが前述するように実波形データを周波数分析して周波数スペクトルを算出する。更に、故障検出部34Bは、周波数スペクトルにおいて周波数α/Tの成分以外の成分が現れているか否かを検出する。なお、周波数α/Tの成分以外の成分が現れているか否かは、各成分の吸入流量が所定の閾値を越えているか否かに基づいて判断する。即ち、周波数α/Tの成分以外の成分で閾値を超えるものがある場合には、ガタがあると判断される。他方、周波数α/Tの成分以外の成分で閾値を超えるものがない場合には、ガタがないと判断される。このようにしてガタの有無を判断し、ガタがないと判断されると、ステップS1に戻る。他方、ガタがあると判断するとステップS7に移行し、ステップS7においてガタがある旨を報知する。
このように構成されているポンプユニット1Bでは、基準履歴データがなくてもガタの有無を精度よく検出することができ、故障診断装置3を容易に構成することができる。なお、本実施形態の故障診断装置3Bでは検出していないが、周波数スペクトルに基づいてガタ量を検出するようにしてもよい。即ち、斜板ポンプ2では、ガタ量に応じた周波数成分の山部分が実波形データに含まれるようになっており、周波数スペクトルに含まれる周波数成分及びその大きさに基づいてガタ量を検出することができる。
その他、第3実施形態のポンプユニット1Bは、第1実施形態のポンプユニット1と同様の作用効果を奏する。
[その他の実施形態]
第1実施形態の故障診断装置3では、基準波形データと実波形データとを作成し、それら2つの波形データを比較してガタの発生を検出しているが、必ずしも2つの波形データ同士を作成して比較する必要はない。例えば、実履歴データに含まれる実時刻歴と基準履歴データに含まれる基準時刻歴とを比較してガタの発生を検出してもよい。同様に第2実施形態の故障診断装置3Aでは、実波形データにおける複数の山部分を互いに比較してガタの発生を検出しているが、実波形データを作成することなく実時刻歴における吸入流量同士を比較してガタの発生を検出するようにしてもよい。
また、第1及び第2実施形態の故障診断装置3,3Aでは、山部分同士の差分の積分値に基づいて山部分の相違を判断しているが、必ずしもこの方法に限定されない。例えば、波形データ同士を重ね合わせて相違を判断してもよく、また人工知能(AI)を用いて相違を判断するようにしてもよい。また、履歴に含まれるものの時刻歴及び時刻歴波形データに限定されない。例えば、吸入流量を回転軸12の回転角と対応付けて記憶した回転角歴及び回転角歴波形データを履歴としてもよく、吸入流量に対応付けるものは時刻に限定されない。第1及び第2実施形態の故障診断装置3,3Aでは、ガタの発生を検出するに際してガタの有無の判断とガタ量の演算の両方を行っているが、必ずしも両方を行う必要はない。即ち、ガタの有無の判断だけをもってガタの発生を検出してもよく、またガタの有無の判断を行わずガタ量だけを演算し、ガタ量の演算だけをもってガタの発生を検出するようにしてもよい。第3実施形態の故障診断装置3Aでも同様である。
また、第1乃至第3実施形態のポンプユニット1Bでは、故障診断装置3,3A,3Bの流量演算部31,31Aがセンサ装置5と別々に構成されているが、必ずしもこのような構成である必要はない。即ち、センサ装置5に流量演算部31,31Aが一体的に構成されてもよい。また、流量演算部31は、センサ装置5の2つの圧力センサから信号に基づいて吸入流量を演算しているが、センサ装置5の圧力センサが1つであってその圧力センサからの信号に基づいて吸入流量を演算するようにしてもよい。
また、斜板ポンプ2では、ガタの影響により下死点付近でも吸入流量が増加している(図10、図12(a)及び(b)の5番目の山部分参照)。即ち、基準波形データと実波形データとの間には、僅かではあるが、5番目の山部分において差異が生じている。それ故、5番目の山部分同士の差分の積分し、この積分値によってピストン14のガタの有無及びガタ量を算出するようにしてもよい。更に、診断期間は、前述の通り、周期Tに設定されていることが好ましいが、必ずしもそのような期間に限定されない。例えば、第1実施形態のポンプユニット1では、診断期間を周期T/αに設定し、ピストン1本ずつ故障診断を行うようにしてもよい。また、診断期間を周期γ×T(γ=1,2,…)として、一本のピストン14に対して複数回の診断するようにしてもよい。
更に、第1乃至第3実施形態のポンプユニット1,1A,1Bでは、ピストン14の数と時刻歴波形データにおける山部分の数とが対応しているので、実波形データ及び基準波形データをピストン14の数αに応じた数に分割し、分割した山部分同士を比較してガタの有無を検出しているが、必ずしもそのようにする必要はない。即ち、ガタの有無だけを検出するのであれば、分割せずとも実波形データと基準波形データとを単に比較するだけで相違点を見出すことができる。また、大よそのガタ量を検出するだけであれば、分割数を2又は3としてもよい。
また、第1乃至第3実施形態のポンプユニット1,1A,1Bでは、可変容量型の斜板ポンプ2が採用されているが、必ずしも可変容量型の斜板ポンプに限定されず固定容量型の斜板ポンプであってもよい。また、第1乃至第3実施形態のポンプユニット1,1A,1Bでは、ピストン14がメール型のピストンであるが、必ずしもこのような形状に限定されない。即ち、ピストン14は、その軸線方向一端側に部分球状の収容空間を有するフィメール型のピストンであってもよい。この場合、シュー15は、収容部15aに代えて前記収容空間に嵌合可能な凸球部を有し、この凸球部をピストン14の収容空間に摺動可能に収めることによって球継手部21が形成される。このようなフィメール型のピストンであっても、メール型のピストン14と同様に故障を診断することができる。
また、第1乃至第3実施形態のポンプユニット1,1A,1Bでは、ガタがあると判断された場合において報知装置4によって報知するだけであるが、必ずしもそのような機能に限定されない。即ち、ガタがあると判断された場合、故障診断装置3から図示しない制御装置にその旨の信号を出力させる。制御装置は、この信号に基づいて原動機の回転数を下げたり、また斜板16の傾転動作を規制したりして斜板ポンプ2の機能を制限するようにしてもよい。
更に、第3実施形態のポンプユニット1Bでは、吸入流量の周波数スペクトルに基づいてガタの有無を検出しているが、必ずしもこのような方法でガタをの有無を検出する必要はない。例えば、算出される吸入流量の周波数スペクトルに対して配管伝達特性を用いて吸入圧力の周波数スペクトルを算出し、この吸入圧力の周波数スペクトルに基づいてガタの有無を検出してもよい。
1,1A,1B ポンプユニット
2 斜板ポンプ
3,3A,3B 故障診断装置
12 回転軸
13 シリンダブロック
14 ピストン
15 シュー
16 斜板
21 球継手部
31,31A 流量演算部
32 記憶部
33 履歴取得部
34,34A,34B 故障検出部

Claims (10)

  1. 予め定められた軸線回りに回転するシリンダブロックと、前記シリンダブロックに進退可能に夫々挿入されている複数のピストンと、前記複数のピストンの各々に揺動可能に設けられているシューと、前記シューがその上を摺動回転する斜板とを備え、前記シリンダブロックが回転することによって前記複数のピストンが前記シリンダブロック内を進退し、それに伴って作動液を吸入及び吐出する斜板ポンプの故障診断装置であって、
    所定の期間における吸入流量の経時変化を示す実履歴データを取得する履歴取得部と、
    前記履歴取得部によって取得される前記実履歴データに基づいて前記ピストンと前記シューとの間のガタの発生を検出する故障検出部とを備える、故障診断装置。
  2. 前記ガタの発生を検出する際の判断基準であって所定の期間における吸入流量の経時変化を示す基準履歴データを予め記憶する記憶部を更に備え、
    前記故障検出部は、前記実履歴データと前記基準履歴データとを比較して、前記ガタの発生を検出する、請求項1に記載の故障診断装置。
  3. 前記故障検出部は、前記実履歴データ及び前記基準履歴データの各々を所定の数の区間に分割し、互いに対応する各区間における実履歴データと基準履歴データとの差分に基づいてガタ量を演算する、請求項2に記載の故障診断装置。
  4. 前記履歴取得部は、前記シリンダブロックが一回転する間における吸入流量の実履歴データを取得し、
    前記故障検出部は、前記実履歴データを所定の数数の区間に分割し、各区間の吸入流量を互いに比較して前記ガタの発生を検出する、請求項1に記載の故障診断装置。
  5. 前記故障検出部は、所定の2つの区間の吸入流量の差分に基づいてガタ量を演算する、請求項4に記載の故障診断装置。
  6. 前記履歴取得部は、所定の期間における吸入流量の経時変化を表す実波形データを含む実履歴データを取得し、
    前記故障検出部は、前記波形データに基づいて前記ガタの発生を検出する、請求項1乃至5の何れか1つに記載の故障診断装置。
  7. 前記履歴取得部は、所定の期間における吸入流量の経時変化を表す実波形データを含む実履歴データを取得し、
    前記記憶部は、所定期間における吸入流量の経時変化を表す基準波形データを含む基準履歴データを記憶し、
    前記故障検出部は、前記実波形データと前記基準波形データとを比較して、前記ガタの発生を検出する、請求項2又は3に記載の故障診断装置。
  8. 前記故障検出部は、前記実履歴データに対して周波数分析を行い、周波数分析の結果に基づいて前記ガタの発生を検出する、請求項1に記載の故障診断装置。
  9. 請求項1乃至7の何れか1つに記載の前記故障診断装置と、
    前記斜板ポンプと、
    前記斜板ポンプに吸入される作動液の吸入流量に応じた信号を出力するセンサ装置と、を備え、
    前記故障診断装置は、前記センサ装置からの信号に応じて吸入流量を演算する流量演算部を備える、ポンプユニット。
  10. 予め定められた軸線回りに回転するシリンダブロックと、前記シリンダブロックに進退可能に夫々挿入されている複数のピストンと、前記複数のピストンの各々に揺動可能に設けられているシューと、前記シューがその上を摺動回転する斜板とを備え、前記シリンダブロックが回転することによって前記複数のピストンが前記シリンダブロック内を進退し、それに伴って作動液を吸入及び吐出する斜板ポンプの故障診断方法であって、
    前記斜板ポンプに吸入される作動液の吸入流量を検出する流量検出工程と、
    前記流量検出工程で検出される吸入流量に基づいて、所定の期間における前記吸入流量の経時変化を示す実履歴データを取得する履歴取得工程と、
    前記履歴取得工程によって取得される実履歴データに基づいて前記ピストンと前記シューとの間のガタの発生を検出する故障検出工程とを備える、故障診断方法。
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