JP7159890B2 - フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
そのため、ペレット中の酸素量を低減することが求められている。
本発明者は、熱可塑性樹脂を結晶化させると、その後に熱可塑性樹脂からなるペレットの溶存酸素量を低減させにくいことを見出した。
一方で、ペレットの熱可塑性樹脂を十分に結晶化させて溶融押出を安定的に行うことも必要である。
すなわち、本発明は、以下を提供する。
前記第2のペレットを、温度T2(℃)で加熱して、前記熱可塑性樹脂を結晶化させて第3のペレットを得る工程(2)と、
前記第3のペレットを溶融し押し出す工程(3)とをこの順で含み、
前記熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度がTg1(℃)であり、結晶化温度がTc1(℃)であり、融点がTm1(℃)であり、
T1は、条件(a):
(Tg1-20)℃≦T1≦(Tc1-15)℃ 条件(a)
を満たし、
T2は、条件(b1)又は条件(b2):
(Tc1+100)℃≦Tm1のとき(Tc1-10)℃≦T2<(Tc1+100)℃ 条件(b1)
(Tc1+100)℃>Tm1のとき(Tc1-10)℃≦T2<Tm1 条件(b2)
を満たす、フィルムの製造方法。
[2] 前記第3のペレットの溶存酸素量が、30ppm以下である、[1]に記載のフィルムの製造方法。
[3] 前記第3のペレットにおける前記熱可塑性樹脂の結晶化発熱量が、10mJ/mg以下である、[1]又は[2]に記載のフィルムの製造方法。
[4] 前記結晶性を有する重合体が、結晶性を有する脂環式構造含有重合体である、[1]~[3]のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法。
[5] 前記結晶性を有する脂環式構造含有重合体が、結晶性を有する、ジシクロペンタジエン開環重合体の水素化物である、[4]に記載のフィルムの製造方法。
[6] 前記工程(1)において、温度T1(℃)で前記第1のペレットを乾燥する時間が10分間以上である、[1]~[5]のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法。
本発明の一実施形態に係るフィルムの製造方法は、工程(1)、工程(2)、及び工程(3)をこの順で含む。
工程(1)では、結晶性を有する重合体を含む熱可塑性樹脂からなる第1のペレットを温度T1(℃)で乾燥して第2のペレットを得る。
工程(2)では、前記第2のペレットを、温度T2(℃)で加熱して、前記熱可塑性樹脂を結晶化させて第3のペレットを得る。
工程(3)では、前記第3のペレットを溶融し押し出す。
以下、各工程について詳細に説明する。
工程(1)に用いられる第1のペレットは、結晶性を有する重合体を含む熱可塑性樹脂からなる。ここで、重合体が結晶性を有することは、重合体が融点Tmを有することにより確認できる。重合体の融点Tmは、示差走査熱量計(DSC)により測定できる。以下、結晶性を有する重合体を、結晶性重合体ともいう。
熱可塑性樹脂に含まれる結晶性重合体は、通常熱可塑性を有する。
結晶性重合体は、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。結晶性重合体が共重合体である場合、結晶性重合体はランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
結晶性重合体の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、テトラヒドロフランを展開溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算値として測定しうる。
また、脂環式構造含有重合体において、脂環式構造を有する構造単位以外の残部は、格別な限定はなく、使用目的に応じて適宜選択しうる。
重合体(α):環状オレフィン単量体の開環重合体であって、結晶性を有するもの。
重合体(β):重合体(α)の水素化物であって、結晶性を有するもの。
重合体(γ):環状オレフィン単量体の付加重合体であって、結晶性を有するもの。
重合体(δ):重合体(γ)の水素化物等であって、結晶性を有するもの。
オルトジクロロベンゼン-d4を溶媒として、200℃で、inverse-gated decoupling法を適用して、重合体試料の13C-NMR測定を行う。この13C-NMR測定の結果から、オルトジクロロベンゼン-d4の127.5ppmのピークを基準シフトとして、メソ・ダイアッド由来の43.35ppmのシグナルと、ラセモ・ダイアッド由来の43.43ppmのシグナルとを同定する。これらシグナルの強度比に基づいて、重合体試料のラセモ・ダイアッドの割合を求めうる。
熱可塑性樹脂の融点Tm1は、好ましくは200℃以上、より好ましくは230℃以上であり、好ましくは290℃以下である。このような融点を有する熱可塑性樹脂を用いることによって、成形性と耐熱性とのバランスに更に優れたフィルムを得ることができる。
(Tg1-20)℃≦T1≦(Tc1-15)℃ 条件(a)
温度T1を、前記範囲内に収めることで、ペレットから製造されるフィルムの異物数を低減できる。
その理由としては、本発明を限定するものではないが、以下が考えられる。
ペレットの熱可塑性樹脂を一旦結晶化させると、その後にペレットの溶存酸素量を低減させにくいことを本発明者は見出した。ペレットの熱可塑性樹脂を結晶化させる工程の前に、結晶化温度に満たない前記温度T1でペレットの乾燥を行うことにより、ペレットの溶存酸素量を低減でき、その結果、酸素による熱可塑性樹脂の劣化を抑制し、発生するフィルムの異物数を低減できると考えられる。
また、温度T1を、前記上限値以下とすることにより、第2のペレットの溶存酸素量を低減しつつ、第2のペレットの互着を抑制できる。
一定温度とは、本発明の効果を阻害しない程度に変動する温度であってもよく、例えば、ある温度を中心として、±5℃、±3℃、又は±2℃の範囲で変動する温度であってもよい。
工程(2)では、第2のペレットを、温度T2(℃)で加熱して、熱可塑性樹脂を結晶化させて第3のペレットを得る。
温度T2は、通常下記条件(b1)又は(b2)を満たす。
(Tc1+100)℃≦Tm1のとき(Tc1-10)℃≦T2<(Tc1+100)℃ 条件(b1)
(Tc1+100)℃>Tm1のとき(Tc1-10)℃≦T2<Tm1 条件(b2)
温度T2は、(Tc1+100)℃≦Tm1のとき、通常(Tc1+100)℃未満、好ましくは(Tc1+70)℃以下、より好ましくは(Tc1+50)℃以下である。
温度T2は、(Tc1+100)℃>Tm1のとき、通常Tm1未満、好ましくはTm1未満且つ(Tc1+70)℃以下、より好ましくはTm1未満且つ(Tc1+50)℃以下である。
温度T2が前記温度範囲内であることにより、熱可塑性樹脂の結晶化を促進できる。また、工程(3)における、押し出し操作の安定性(押出安定性)を向上させることができる。
窒素雰囲気下で、示差走査熱量計(DSC)により、試料を30℃から10℃/分で昇温して、結晶化促進に伴う発熱ピークのピーク面積を求め、ピーク面積と及び用いた試料の重量とから試料の1mg当たりの結晶化発熱量(mJ/mg)を求めうる。
結晶化発熱量は、通常0mJ/mg以上である。
ペレットの溶存酸素量は、昇温脱離ガス分析装置を用いて測定できる。昇温脱離ガス分析の条件は、例えば、窒素雰囲気下、試料を室温から60℃/minで150℃まで昇温後、50分間としうる。
工程(3)では、第3のペレットを溶融し押し出す。工程(2)と工程(3)との間には、第3のペレットを搬送する工程、第3のペレットを溶融温度まで加熱する工程などの、任意の工程を行いうる。工程(2)と工程(3)との間の任意の工程は、第2のペレットを室温以上、好ましくは25℃以上に保持しながら行うことが好ましい。
押出機には、通常ダイが取り付けられ、溶融された熱可塑性樹脂は通常ダイから押し出されてフィルム状に成形される。
ダイの例としては、マニホールドダイ、フィッシュテールダイ及びTダイが挙げられる。
本実施形態のフィルムの製造方法は、前記工程(1)~(3)以外に、任意の工程を含みうる。任意の工程の例としては、ペレットを搬送する工程、ペレットを所定の温度まで加熱する工程、押し出された熱可塑性樹脂をフィルム状に成形する工程、熱可塑性樹脂から成形されたフィルムを、冷却する工程、フィルムを延伸する工程、フィルムを裁断する工程、及びフィルムを巻き取る工程が挙げられる。
本実施形態のフィルムの製造方法により製造されるフィルムは、異物数が低減されているため、偏光板の保護フィルム、位相差フィルム、フィルムセンサー基材などの光学フィルムとして、好適に使用できる。
(重合体の重量平均分子量及び数平均分子量)
重合体の重量平均分子量及び数平均分子量を、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)システム「HLC-8320」(東ソー社製)を用いて、ポリスチレン換算値として測定した。測定条件は、下記のとおりである。
・カラム:Hタイプカラム(東ソー社製)
・溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
オルトジクロロベンゼン-d4を溶媒とした145℃における1H-NMRを測定し、測定結果から水素化反応における水素化率を求めた。
オルトジクロロベンゼン-d4を溶媒として、150℃でinverse-gated decoupling法を適用して13C-NMR測定を行い、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物のラセモ・ダイアッドの割合を求めた。具体的には、オルトジクロロベンゼン-d4の127.5ppmのピークを基準シフトとして、メソ・ダイアッド由来の43.35ppmのシグナルと、ラセモ・ダイアッド由来の43.43ppmのシグナルとを同定した。これらのシグナルの強度比に基づいて、ラセモ・ダイアッドの割合を求めた。
窒素雰囲気下で320℃に加熱した試料を液体窒素で急冷し、示差走査熱量計(DSC)を用いて、10℃/分で昇温し、その吸熱ピークの極小値又は発熱ピークの極大値より、試料のガラス転移温度(Tg、Tg1)、結晶化温度(Tc、Tc1)、及び融点(Tm、Tm1)を求めた。
Tg、Tg1は吸熱ピークの極小値、Tc、Tc1は発熱ピークの極大値、Tm、Tm1は吸熱ピークの極小値である。
あらかじめ、熱可塑性樹脂の結晶化温度(Tc1)を、前記の方法で求めた。
次いで、窒素雰囲気下で、示差走査熱量計(DSC)を用いて、試料を30℃から10℃/分で昇温し、(Tc1±10)℃の範囲に存在する、結晶化促進に伴う発熱ピークのピーク面積を求め、ピーク面積と用いた試料の重量とから、試料の1mg当たりの結晶化発熱量(mJ/mg)を求めた。(Tc1±10)℃の範囲に発熱ピークが観察されない場合は試料の結晶化発熱量は、0mJ/mgであるとした。
昇温脱離ガス分析装置「EMD-WA1000S/W」(ESCO社製)を用いて、窒素雰囲気下で、試料を室温から60℃/minで150℃まで昇温後、50分間の条件で昇温脱離ガス分析を行うことにより、試料の溶存酸素量を求めた。
工程(1)により得られたペレット(第2のペレット)100gを目視により観察して、ペレットの互着の程度を下記基準に従い評価した。
良:2~3粒のペレットが互着している箇所が2箇所以下である。
可:2~3粒のペレットが互着している箇所が、3箇所以上9箇所以下である。
不良:2~3粒のペレットが互着している箇所が、10箇所以上であるか、又は4粒以上のペレットが互着している箇所が、1箇所以上である。
ペレットを押出成形法により厚み100μmのフィルムに成形し、幅手方向中央部から、10cm×10cmの寸法のフィルム片を切り取った。このフィルム片について、長手方向のサイズが100μm以上である異物数を計数して、下記基準により異物数を評価した。
良:長手方向のサイズが100μm以上である異物個数が50個未満である。
不良:長手方向のサイズが100μm以上である異物個数が50個以上である。
ペレットを押出成形法により厚み100μmのフィルムに成形する際の押出安定性を下記基準により評価した。下記基準における膜厚変動は、フィルムの幅手方向中央部の厚みを、接触式膜厚計により、搬送方向に30cm間隔で5点測定し、5点の測定値の算術平均値を100%とした場合の変動値(%)である。
良:膜厚変動が±5%以下であり、且つ製造を停止せずに溶融樹脂を押し出すことができる。
可:膜厚変動が±5%より大きいが、製造を停止せずに溶融樹脂を押し出すことができる。
不良:溶融樹脂の押し出しの際に、バレル内で樹脂が固着して樹脂が供給されない問題が生じ、製造を停止する必要がある。
内部を窒素置換した金属製耐圧反応容器に、シクロヘキサン154.5部、ジシクロペンタジエン(エンド体含有率99%以上)のシクロヘキサン溶液(濃度70%)42.8部(ジシクロペンタジエンとして30部)、1-ヘキセン1.9部を加え、全容を53℃に加熱した。
一方、テトラクロロタングステンフェニルイミド(テトラヒドロフラン)錯体0.014部を0.70部のトルエンに溶解して得られた溶液に、ジエチルアルミニウムエトキシドのn-ヘキサン溶液(濃度19%)0.061部を加えて10分間攪拌し、触媒溶液を調製した。この触媒溶液を前記反応器内に添加し、53℃で4時間、開環重合反応を行い、ジシクロペンタジエン開環重合体を含む溶液を得た。
この溶液の一部を用いて、ジシクロペンタジエン開環重合体の分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は28,100、数平均分子量(Mn)は8,750、分子量分布(Mw/Mn)は3.21であった。
反応液を遠心分離することにより、固形分と溶液とを分離し、固形分を、60℃で24時間減圧乾燥し、結晶性を有する重合体としての、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物28.5部を得た。
水素化反応における不飽和結合の水素化率は99%以上、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物のガラス転移温度Tgは93℃、融点Tmは262℃であった。ラセモ・ダイアッドの割合は89%であった。結晶化温度Tcは130℃であった。
製造例1で得たジシクロペンタジエン開環重合体水素化物100部に、酸化防止剤(テトラキス〔メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、製品名「イルガノックス(登録商標)1010」、BASFジャパン社製)0.8部を混合した後、混合物を二軸押出し機(TEM-37B、東芝機械社製)に投入し、熱溶融押出し成形によりストランド状の成形体を得た後、これをストランドカッターにて細断し、原料ペレット(第1のペレット)を得た。原料ペレット(第1のペレット)は、ジシクロペンタジエン開環重合体の水素化物を含む熱可塑性樹脂からなる。このジシクロペンタジエン開環重合体の水素化物を含む熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度Tg1が93℃、融点Tm1が262℃、結晶化温度Tc1が130℃であった。
二軸押出し機の運転条件を以下に示す。
・バレル設定温度:270~280℃
・ダイ設定温度:250℃
・スクリュー回転数:145rpm
・フィーダー回転数:50rpm
(工程(1):乾燥工程)
製造例2で得た原料ペレットをホッパードライヤー(カワタ社製「チャレンジャーIIIDFB-50Z」)に入れ、これを73℃(すなわち、Tg1-20℃)で240分乾燥を行った。
得られたペレット(第2のペレット)の溶存酸素量は19ppmであった。得られたペレットについて、互着の程度を上記方法により評価した。
次いで得られたペレットを撹拌槽(カワタ社製結晶化ユニットCR-1)に入れ、これを130℃(すなわち、Tc1)で60分、回転数10rpmの条件で攪拌し、第2のペレットの樹脂に対して結晶化処理を行い、製品ペレット(第3のペレット)を得た。得られた製品ペレット(第3のペレット)の溶存酸素量は17ppmであった。また、製品ペレット(第3のペレット)を試料として結晶化発熱量を測定したところ、3mJ/mg以下であった。
得られた製品ペレットを用いて以下の条件で押出成形処理を行い、幅150mm、厚み100μmの樹脂フィルムを得た。
・成形機:Tダイを備える熱溶融押出しフィルム成形機(製品名「Measuring Extruder Type Me-20/2800V3」、Optical Control Systems社製)
・バレル温度設定:280℃~290℃
・ダイ温度:270℃
・スクリュー回転数:60rpm
・フィルム巻き取り速度:0.3m/分
下記事項以外は実施例1と同様にして製品ペレットを得、これを用いて樹脂フィルムを製造した。
・工程(1)における温度条件及び時間並びに工程(2)における温度条件及び時間を表1又は表2に記載のとおりとした。実施例2~4及び比較例1~4においては、Tg1及びTc1はそれぞれ、製造例2で得られたジシクロペンタジエン開環重合体水素化物を含む熱可塑性樹脂のガラス転移温度(93℃)及び結晶化温度(130℃)を示す。
下記事項以外は実施例1と同様にして製品ペレットを得、これを用いて樹脂フィルムを製造した。
・工程(1)において、製造例2で得た原料ペレットに代わりにポリエチレンテレフタレート(PET)ペレット(ユニチカ社製「NEH-2070」、ガラス転移温度Tg1=70℃、融点Tm1=250℃、結晶化温度Tc1=165℃)を用いた。
・工程(1)における温度条件及び時間並びに工程(2)における温度条件及び時間を表1に記載のとおりとした。実施例5においては、Tg1及びTc1はそれぞれ、PETのガラス転移温度(70℃)及び結晶化温度(165℃)を示す。
「結晶性COP」:製造例2で得られた、ジシクロペンタジエン開環重合体の水素化物を含む熱可塑性樹脂からなるペレット
「PET」:ポリエチレンテレフタレートペレット(ユニチカ社製「NEH-2070」)
また、注釈は下記の意味を示す。
「*1」:工程(2)を行わなかった。
「*2」:工程(1)後のペレットを試料として測定された値である。
「*3」:押出安定性が不良であり、フィルムを製造できず異物数の評価を行えなかった。
工程(2)を行わず、ペレットにおける熱可塑性樹脂の結晶化が不十分である比較例1の方法では、押出安定性が不良である。
工程(1)における乾燥の温度が条件(a)を満たしていない比較例2~4の方法では、工程(1)又は工程(2)後におけるペレットの溶存酸素量が多く、製造されるフィルムの異物数が多い。
さらに詳細には、先に条件(b1)を満たす温度T2で熱可塑性樹脂の結晶化を行い、次いで条件(a)を満たす温度T1で乾燥する比較例3の方法では、工程(2)後におけるペレットの溶存酸素量が多く、製造されるフィルムの異物数が多い。
また、工程(1)における乾燥の温度が、条件(a)を満たさず、(Tg1-20)℃よりも低い比較例4の方法も、工程(2)後におけるペレットの溶存酸素量が多く、製造されるフィルムの異物数が多い。
Claims (5)
- 結晶性を有する重合体を含む熱可塑性樹脂からなる第1のペレットを温度T1(℃)で乾燥して第2のペレットを得る工程(1)と、
前記第2のペレットを、温度T2(℃)で加熱して、前記熱可塑性樹脂を結晶化させて第3のペレットを得る工程(2)と、
前記第3のペレットを溶融し押し出す工程(3)とをこの順で含み、
前記熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度がTg1(℃)であり、結晶化温度がTc1(℃)であり、融点がTm1(℃)であり、
前記結晶性を有する重合体は、結晶性を有する脂環式構造含有重合体であり、前記脂環式構造含有重合体は、分子内に脂環式構造を有する重合体であって、環状オレフィンを単量体として用いた重合反応によって得られうる重合体又はその水素化物であり、
T1は、条件(a):
(Tg1-20)℃≦T1≦(Tc1-15)℃ 条件(a)
を満たし、
T2は、条件(b1)又は条件(b2):
(Tc1+100)℃≦Tm1のとき(Tc1-10)℃≦T2<(Tc1+100)℃ 条件(b1)
(Tc1+100)℃>Tm1のとき(Tc1-10)℃≦T2<Tm1 条件(b2)
を満たす、フィルムの製造方法。 - 前記第3のペレットの溶存酸素量が、30ppm以下である、請求項1に記載のフィルムの製造方法。
- 前記第3のペレットにおける前記熱可塑性樹脂の結晶化発熱量が、10mJ/mg以下である、請求項1又は2に記載のフィルムの製造方法。
- 前記結晶性を有する脂環式構造含有重合体が、結晶性を有する、ジシクロペンタジエン開環重合体の水素化物である、請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法。
- 前記工程(1)において、温度T1(℃)で前記第1のペレットを乾燥する時間が10分間以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法。
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