図1から図10を参照して、タッチセンサ用電極、タッチパネル、および、表示装置の一実施形態を説明する。
[表示装置の構成]
図1が示すように、表示装置100は、表示パネル10とタッチパネル20とが図示しない1つの透明接着層によって貼り合わせられた積層体と、制御部とを備えている。表示パネル10は、例えば液晶パネルである。制御部は、タッチパネル20を駆動するための回路や、タッチパネル20の駆動を制御する。なお、表示パネル10とタッチパネル20との相対的な位置が、筐体などの他の構成によって固定されるのであれば、表示パネル10とタッチパネル20とを貼り合わせるための透明接着層は省略されてもよい。
表示パネル10の表面には、略矩形状の表示面が区画されている。表示面には、画像データに基づく画像などの情報が表示される。表示パネル10を構成する要素は、表示パネル10の厚さ方向において、タッチパネル20からの距離が大きい要素から順に、以下のように並んでいる。すなわち、表示パネル10の厚さ方向において、下側偏光板11、薄膜トランジスタ(以下、TFT)基板12、TFT層13、液晶層14、カラーフィルタ層15、カラーフィルタ基板16、上側偏光板17が、順に並んでいる。
TFT層13には、サブ画素を構成する画素電極がマトリクス状に位置している。カラーフィルタ層15は、ブラックマトリクスを有している。ブラックマトリクスは、矩形状を有した複数の単位構造から構成される格子状を有している。ブラックマトリクスは、サブ画素の各々と向かい合う矩形状を有した複数の空間を区画している。ブラックマトリクスが区画する各領域には、白色光を赤色、緑色、および、青色のいずれかの色を有した光に変える着色層が位置している。
なお、表示パネル10が有色の光を出力するELパネルであり、赤色光を出力する赤色画素、緑色光を出力する緑色画素、および、青色光を出力する青色画素を有する場合には、カラーフィルタ層15は省略されてもよい。ELパネルでは、ELパネルにおいて相互に隣り合う画素間に位置する境界部分が、ブラックマトリクスとして機能する。また、表示パネル10は、放電によって発光するプラズマパネルでもよい。この場合には、赤色の蛍光体層、緑色の蛍光体層、および、青色の蛍光体層を区画する境界部分が、ブラックマトリクスとして機能する。
タッチパネル20は、静電容量方式のタッチパネルである。タッチパネル20は、タッチセンサ用電極21とカバー層22とが、透明接着層23によって貼り合わせられた積層体である。タッチパネル20は、表示パネル10が表示する情報を透過可能な光透過性を有している。
より詳しくは、タッチパネル20を構成する要素は、タッチパネル20の厚さ方向において、表示パネル10からの距離が小さい要素から順に、以下のように並んでいる。すなわち、タッチパネル20の厚さ方向において、透明基板31、複数のドライブ電極31DP、透明接着層32、透明誘電体基板33、複数のセンシング電極33SP、透明接着層23、カバー層22が順に並んでいる。透明基板31、複数のドライブ電極31DP、透明接着層32、透明誘電体基板33、および、複数のセンシング電極33SPが、タッチセンサ用電極21を構成している。なお、透明基板31上に複数のセンシング電極33SPが位置し、透明誘電体基板33上に複数のドライブ電極31DPが位置してもよい。
透明基板31は、絶縁性と、表示パネル10の表示面が表示する情報を透過する光透過性とを有している。透明基板31は、表示面の全体に重なっている。透明基板31は、例えば、透明ガラス基板、透明樹脂フィルム、および、シリコン基板などの基材から構成されている。透明基板31に用いられる樹脂は、例えば、PET(Polyethylene Terephthalate)、PMMA(Polymethyl methacrylate)、PP(Polypropylene)、および、PS(Polystyrene)などであってよい。透明基板31は、1つの基材から構成される単層構造を有してもよいし、2つ以上の基材を含む多層構造を有してもよい。
透明基板31における表示パネル10とは反対側の面は、ドライブ電極面31Sである。ドライブ電極面31Sには、複数のドライブ電極31DPが配置されている。複数のドライブ電極31DP、および、ドライブ電極面31Sのなかでドライブ電極31DPに覆われていない部分は、透明接着層32によって透明誘電体基板33に貼り合わせられている。
透明接着層32は、表示面に表示される情報を透過する光透過性を有している。透明接着層32は、例えば、ポリエーテル系接着剤、および、アクリル系接着剤などによって形成されている。
透明誘電体基板33は、表示面に表示される情報を透過する光透過性と、電極間における静電容量の検出に適した比誘電率とを有する。透明誘電体基板33は、例えば、透明ガラス基板、透明樹脂フィルム、および、シリコン基板などの基材から構成されている。透明誘電体基板33に用いられる樹脂は、例えば、PET(Polyethylene Terephthalate)、PMMA(Polymethyl methacrylate)、PP(Polypropylene)、および、PS(Polystyrene)などであってよい。透明誘電体基板33は、1つの基材から構成される単層構造を有してもよいし、2つ以上の基材を含む多層構造を有してもよい。
透明誘電体基板33における表示パネル10に対向する面は、透明誘電体基板33の裏面である。複数のドライブ電極31DPが透明接着層32によって透明誘電体基板33に貼り合わせられることによって、透明誘電体基板33の裏面には、複数のドライブ電極31DPが並んでいる。
透明誘電体基板33において、裏面とは反対側の面が表面である。表面は、複数のセンシング電極33SPが配置されたセンシング電極面33Sである。透明誘電体基板33は、透明誘電体基板33の厚さ方向において、複数のドライブ電極31DPと複数のセンシング電極33SPとに挟まれている。
複数のセンシング電極33SP、および、センシング電極面33Sのなかでセンシング電極33SPによって覆われていない部分は、透明接着層23によって、カバー層22に貼り合わせられている。透明接着層23は、表示面に表示される情報を透過する光透過性を有している。透明接着層23は、例えば、ポリエーテル系接着剤、および、アクリル系接着剤などによって形成されている。透明接着層23として用いられる接着剤は、ウェットラミネート接着剤でもよいし、ドライラミネート接着剤でもよい。
カバー層22は、強化ガラスなどのガラス基板、および、樹脂フィルムなどから構成されている。カバー層22における透明接着層23とは反対側の面は、タッチパネル20の表面であり、操作面20Sとして機能する。
なお、透明接着層23は省略されてもよい。この場合には、カバー層22が有する面のなかで、透明誘電体基板33と対向する面がセンシング電極面33Sである。複数のセンシング電極33SPは、センシング電極面33Sに形成された1つの薄膜をパターニングすることによって形成される。
また、タッチパネル20を製造する際には、上述したように、タッチセンサ用電極21とカバー層22とが透明接着層23によって貼り合わせられてもよいし、以下の手順でタッチパネル20が製造されてもよい。まず、銅などの金属から構成される薄膜を、カバー層22に対して直に、もしくは、下地層を介して形成する。次いで、薄膜から複数のセンシング電極33SPをパターニングするためのレジスト層を薄膜上に形成する。そして、塩化第二鉄溶液などを用いたウェットエッチングによって、薄膜を複数のセンシング電極33SPに加工する。これにより、第1のフィルムを得ることができる。一方で、センシング電極33SPを形成した場合と同様に、透明基板31に形成した薄膜を複数のドライブ電極31DPに加工することによって、第2のフィルムを得ることができる。そして、透明誘電体基板33を挟むように、第1フィルムと第2フィルムとを透明接着層23,32によって透明誘電体基板33に貼り付ける。
[カラーフィルタ層の平面構造]
図2は、表示パネル10が備えるカラーフィルタ層15の平面構造を示している。
図2が示すように、カラーフィルタ層15は、ブラックマトリクス15aを備えている。ブラックマトリクス15aは、1つの方向である第1電極方向DP1と、第1電極方向DP1と直交する第2電極方向DP2とに沿って並ぶ矩形状を有した複数の単位構造から構成される格子パターンを有している。また、ブラックマトリクス15aは、複数の画素15Pから構成されている。1つの画素15Pは、第1電極方向DP1に沿って連続する3つの単位構造から構成されている。複数の画素15Pは、第1電極方向DP1および第2電極方向DP2に沿って格子状に並んでいる。
複数の画素15Pの各々は、赤色を表示するための赤色着色層15R、緑色を表示するための緑色着色層15G、および、青色を表示するための青色着色層15Bから構成されている。各画素15Pにおいて、例えば、赤色着色層15R、緑色着色層15G、および、青色着色層15Bが、第1電極方向DP1に沿って順に並び、カラーフィルタ層15の全体において、こうした着色層の並びが繰り返されている。複数の赤色着色層15Rは、第2電極方向DP2に沿って連続して並んでいる。複数の緑色着色層15Gは、第2電極方向DP2に沿って連続して並んでいる。複数の青色着色層15Bは、第2電極方向DP2に沿って連続して並んでいる。このように、赤色着色層15R、緑色着色層15G、および、青色着色層15Bは、第2電極方向DP2に沿って延び、かつ、第1電極方向DP1に沿って並ぶストライプ状に配置されている。
画素15Pにおいて、第1電極方向DP1に沿う幅が第1画素幅WP1であり、第2電極方向DP2に沿う幅が第2画素幅WP2である。各着色層において、第1電極方向DP1に沿う幅が第3画素幅WP3である。第1画素幅WP1、第2画素幅WP2、および、第3画素幅WP3は、表示パネル10の大きさや、表示パネル10に求められる解像度などに応じた値である。第1画素幅WP1は、例えば50μm以上1000μm以下である。第2画素幅WP2は、例えば50μm以上1000μm以下である。第3画素幅WP3は、例えば15μm以上333μm以下である。
[タッチセンサ用電極の平面構造]
図3は、透明誘電体基板33の表面と対向する方向から見たタッチセンサ用電極21の平面構造を示している。図3において、二点鎖線によって区画された帯状の領域であって、横方向、すなわち第1電極方向DP1に沿って延びる各領域は、1つのセンシング電極33SPが位置する領域である。一方で、二点鎖線によって区画された帯状の領域であって、縦方向、すなわち第2電極方向DP2に沿って延びる各領域は、1つのドライブ電極31DPが位置する領域である。
なお、図3では、図示の便宜上、センシング電極33SPの数、および、ドライブ電極31DPの数を、実際のタッチセンサ用電極21が備える各電極の数よりも少なくしている。また、センシング電極33SPとドライブ電極31DPの構成を理解しやすくする目的で、第2電極方向DP2における端に位置する1つのセンシング電極33SPと、第1電極方向DP1における端に位置する1つのドライブ電極31DPのみが図示されている。
図3が示すように、各センシング電極33SPは、第1電極方向DP1に沿って延びる帯状を有している。複数のセンシング電極33SPは、第2電極方向DP2に沿って並んでいる。各センシング電極33SPにおける第1電極方向DP1での一方の端部は、1つのセンシングパッド33Pに接続されている。各センシング電極33SPは、センシングパッド33Pを介して検出回路に接続されている。検出回路は、タッチパネル20の周辺回路における一例である。検出回路は、各センシング電極33SPの電圧値を測定する。
各センシング電極33SPは、電極線によって形成されている。電極線は、例えば、銅、銀、および、アルミニウムなどによって形成されている。各センシング電極33SPは、例えば、センシング電極面33Sに形成された金属の薄膜がエッチングされることによって形成される。複数のセンシング電極33SPが、電極線によって構成されたセンシング電極層を構成している。センシング電極層は、第1電極層の一例である。センシング電極層は、第1仮想格子の一例であるセンシング仮想格子上に位置する電極線で構成されている。
各ドライブ電極31DPは、第2電極方向DP2に沿って延びる帯状を有している。複数のドライブ電極31DPは、第1電極方向DP1に沿って並んでいる。各ドライブ電極31DPにおける第2電極方向DP2での一方の端部は、1つのドライブパッド31Pに接続されている。各ドライブ電極31DPは、ドライブパッド31Pを介して選択回路に接続されている。選択回路は、タッチパネル20の周辺回路における一例である。選択回路は、複数のドライブ電極31DPのいずれかに対して駆動信号を出力することによって、特定のドライブ電極31DPを選択する。
各ドライブ電極31DPは、各センシング電極33SPと同様、電極線によって形成されている。電極線は、例えば、銅、銀、および、アルミニウムなどによって形成されている。各ドライブ電極31DPは、例えば、ドライブ電極面31Sに形成された金属の薄膜がエッチングされることによって形成される。複数のドライブ電極31DPが、電極線によって構成されたドライブ電極層を構成している。ドライブ電極層は第2電極層の一例である。ドライブ電極層は、第2仮想格子の一例であるドライブ仮想格子上に位置する電極線で構成され、ドライブ電極層は、センシング電極層に積み重なっている。
鉛直方向において、表示パネル10をタッチパネル20よりも下方に配置した場合、複数のドライブ電極31DPから構成されるドライブ電極層上に、複数のセンシング電極33SPから構成されるセンシング電極層が積層されている。センシング電極層とドライブ電極層との重なりによって重畳格子が構成される。
透明誘電体基板33の表面と対向する方向から見て、複数のセンシング電極33SPと複数のドライブ電極31DPとは、各センシング電極33SPが、全てのドライブ電極31DPと重なるように配置されている。
透明誘電体基板33の表面と対向する方向から見て、静電容量の測定単位となるノードNDは、一辺が3mm以上7mm以下の正方形状を有している。複数のノードNDは、重畳格子において隙間なく並んでいる。
各ノードND内において、センシング電極33SPとドライブ電極31DPとが対向する領域が、容量形成領域である。容量形成領域において、センシング電極33SPとドライブ電極31DPとの間にて静電容量が形成される。2つの電極が形成する静電容量は、人の指などとタッチパネル20との距離に応じて変化する。タッチパネル20では、静電容量における変化が検出されることに基づいて、タッチパネル20のなかで人の指などが接触した位置が検出される。
[タッチパネルの電気的構成]
図4は、タッチパネル20の電気的構成を、表示装置100が備える制御部とともに模式的に示している。図4は、タッチパネル20が、静電容量方式の一例である相互容量方式のタッチパネルとして具体化された場合の電気的構成を示している。
図4が示すように、タッチパネル20は、選択回路34および検出回路35を備えている。上述したように、選択回路34および検出回路35は、周辺回路の一例である。選択回路34は、複数のドライブ電極31DPに接続されている。検出回路35は、複数のセンシング電極33SPに接続されている。表示装置100は制御部36を備え、制御部36は、選択回路34と検出回路35とに接続されている。
制御部36は、各ドライブ電極31DPに対する駆動信号の生成を選択回路34に開始させるための開始タイミング信号を生成して出力する。制御部36は、駆動信号が供給される対象を1番目のドライブ電極31DP1からn番目のドライブ電極31DPnに向けて選択回路34に順次走査させるための走査タイミング信号を生成して出力する。
制御部36は、各センシング電極33SPを流れる電流の検出を検出回路35に開始させるための開始タイミング信号を生成して出力する。制御部36は、検出の対象を1番目のセンシング電極33SP1からn番目のセンシング電極33SPnに向けて検出回路35に順次走査させるための走査タイミング信号を生成して出力する。
選択回路34は、制御部36の出力した開始タイミング信号に基づいて、駆動信号の生成を開始する。選択回路34は、制御部36の出力した走査タイミング信号に基づいて、駆動信号の出力先を1番目のドライブ電極31DP1からn番目のドライブ電極31DPnに向けて走査する。
検出回路35は、信号取得部35aと信号処理部35bとを備えている。信号取得部35aは、制御部36の出力した開始タイミング信号に基づいて、各センシング電極33SPに生成されたアナログ信号である電流信号の取得を開始する。そして、信号取得部35aは、制御部36の出力した走査タイミング信号に基づいて、電流信号の取得元を1番目のセンシング電極33SP1からn番目のセンシング電極33SPnに向けて走査する。
信号処理部35bは、信号取得部35aの取得した各電流信号を処理して、デジタル値である電圧信号を生成し、生成された電圧信号を制御部36に向けて出力する。このように、選択回路34と検出回路35とは、静電容量の変化に応じて変わる電流信号から電圧信号を生成することによって、ドライブ電極31DPとセンシング電極33SPとの間の静電容量の変化を測定する。
制御部36は、信号処理部35bの出力した電圧信号に基づいて、タッチパネル20において使用者の指などが触れている位置を検出し、検出した位置の情報を表示パネルの表示面に表示される情報の生成などの各種の処理に利用する。なお、タッチパネル20は、相互容量方式のタッチパネル20に限らず、自己容量方式のタッチパネルであってもよい。
[センシング電極およびドライブ電極]
図5から図10を参照して、タッチセンサ用電極21が備えるセンシング電極33SPおよびドライブ電極31DPの構成をより詳しく説明する。以下では、図5から図7を参照して、タッチセンサ用電極21の第1例におけるセンシング電極33SPおよびドライブ電極31DPの構成を説明する。次いで、図8から図10を参照して、タッチセンサ用電極21の第2例におけるセンシング電極33SPおよびドライブ電極31DPの構成を説明する。
[第1例]
図5は、タッチセンサ用電極21の第1例が備えるドライブ電極31DPのなかで、1つのノードND内に位置する電極線を示している。なお、図5では、ドライブ電極31DPにおいて、選択回路34に接続される被選択電極線と、選択回路34に接続されないダミー電極線との区別を容易にする目的で、被選択電極線の線幅が、ダミー電極線の線幅よりも太い。ただし、実際には、被選択電極線の線幅はダミー電極線の線幅と等しい。
図5が示すように、ドライブ電極31DPは、菱形を有する単位構造31DSが隙間なく繰り返されたドライブ仮想格子上に位置している。ドライブ電極31DPは、1つのノードNDを繰り返しの単位領域として、複数の単位領域から構成されている。
各ドライブ電極31DPは、第1電極方向DP1において互いに隣り合うドライブ電極31DPに対して電気的に接続されていない状態で、第1電極方向DP1に沿って並んでいる。各ドライブ電極31DPは、1つのドライブ仮想格子のなかで互いに異なる領域上に位置している。ドライブ仮想格子の単位構造31DSは、一辺が200μm以上1000μm以下の菱形である。各ノードND内において、ドライブ仮想格子内での格子点は、20個以上1300個以下である。本例では、ドライブ電極31DPを構成する電極線においてドライブ仮想格子の格子点に対応する部分として、折れ線部の屈曲点、直線部の一部、および、直線部と直線部との交差部を挙げることができる。
単位構造31DSは、二対の辺から構成され、各対を構成する2つの辺は互いに平行である。一方の対を構成する辺が延びる方向が、第1線方向DS1である。他方の対を構成する辺が延びる方向が、第2線方向DS2である。第1線方向DS1および第2線方向DS2は、第1電極方向DP1および第2電極方向DP2の両方に対して直角以外の角度で交差する方向である。
単位構造31DSにおいて、第1電極方向DP1において互いに隣り合う第1内角θ1の大きさが等しく、かつ、第2電極方向DP2において互いに隣り合う第2内角θ2の大きさが互いに等しい。本例では、第1内角θ1が鋭角であり、かつ、第2内角θ2が鈍角である。このように、単位構造31DSにおいて、2つの第1内角θ1が鋭角であり、2つの第2内角θ2が鈍角である。なお、本例では、第1内角θ1が70°であり、第2内角θ2が110°である。
ドライブ電極31DPを構成する電極線は、ドライブ仮想格子の格子点に位置する電極線同士の交差部に幅広部31DWを備えている。幅広部31DWは、透明誘電体基板33と対向する方向から見て、ドライブ電極31DPにおける幅広部31DW以外の部分に比べて線幅が太い部分である。ドライブ電極31DPを構成する電極線は、幅広部31DWと幅狭部31DNとから構成されている。幅狭部31DNにおける線幅は、例えば1μm以上7μm以下である。なお、幅狭部31DNは、電極線の線幅として設計された設計値に応じた線幅を有した部位である。
ドライブ電極31DPにおいて、幅広部31DWを挟む二本の電極線が形成する角度は、鋭角である。幅広部31DWは、ドライブ仮想格子の格子点に位置し、かつ、単位構造31DSにおける第1内角θ1を有した角部に広がる形状を有している。上述したように、複数のドライブ電極31DPは、金属製の薄膜が、薄膜上に形成されたレジストマスクを用いてウェットエッチングされることによって形成される。金属製の薄膜は、複数の菱形が隙間なく並ぶようにパターニングされる。この際に、レジストマスクが区画するマスク孔が有する角部において、角部の内角が大きいほど、その角部に対してエッチング液が行き渡りやすい。一方で、レジストマスクが区画するマスク孔が有する角部において、角部の内角が小さいほど、その角部に対してエッチング液が行き渡りにくい。こうした傾向は、角部の内角が鈍角である場合に比べて、角部の内角が鋭角である場合に大きい。そのため、本例では、幅広部31DWが、第1内角θ1を有した角部に広がる形状を有している。
本例では、ドライブ電極31DPを構成する電極線が延びる方向は、上述したように、第1線方向DS1および第2線方向DS2である。単位構造31DSの対角方向は、第1電極方向DP1および第2電極方向DP2である。ドライブ電極31DPは、複数の切れ目31DLを有している。各切れ目31DLは、ドライブ仮想格子の格子点に位置している。各切れ目31DLは、電極線の一部であって、電極線の他の一部とともに交差部を形成する部位を、当該他の一部から切り離す。これによって、ドライブ仮想格子の形状によれば幅広部31DWが形成される部位に幅広部31DWが形成されないようにしている。
本例では、上述したように、2つの内角が鋭角であることから、ドライブ仮想格子の単位構造31DSが正方形状である場合に比べて、幅の広い幅広部31DWが形成されやすい。こうしたタッチセンサ用電極21において、電極線の延びる方向DS1,DS2、および、対角方向DP1,DP2において等間隔で並ぶ幅広部31DWの個数が10個以下であるように、複数の切れ目31DLが格子点上に位置するため、切れ目31DLによる効果がより顕著である。
本例では、第1線方向DS1および第2線方向DS2において、単位構造31DSの間隔で並ぶ幅広部31DWの個数が4個以下である。また、第1電極方向DP1および第2電極方向DP2において、単位構造31DSの間隔で並ぶ幅広部31DWの個数が3個以下である。
複数の切れ目31DLは、幅広部31DWの並びにおいて上述した状態を満たすように、各ノードND内において不規則に位置している。ドライブ電極31DPにおいて、1つのノードNDが繰り返しの単位領域であることから、複数のノードND間では、ノードND内における同一の位置に複数の切れ目31DLが配置されている。
なお、ドライブ電極31DPが有する複数の切れ目31DLには、幅広部31DWの並びにおいて所定の状態を満たす機能に加えて、選択回路34に接続される被選択電極線31DEと、選択回路34に接続されないダミー電極線31DDとを分離する機能を有する切れ目31DLが含まれる。このように、ドライブ電極31DPは、各ノードND内に、静電容量を測定する選択回路34に接続された被選択電極線31DEと、被選択電極線31DEから絶縁されたダミー電極線31DDとを備えている。
上述したように、図5において、線幅が太い電極線が被選択電極線31DEであり、線幅が細い電極線がダミー電極線31DDである。被選択電極線31DEとダミー電極線31DDとの境界に位置する切れ目31DLが、ドライブ電極31DPを構成する電極線を被選択電極線31DEとダミー電極線31DDとに分離する機能を有した切れ目31DLである。
こうした切れ目31DLによれば、ドライブ電極31DPを構成する電極線のなかで、被選択電極線31DEとして機能する電極線の面積と、ダミー電極線31DDとして機能する電極線の面積を調整することによって、ドライブ電極31DPと、センシング電極33SPとの間における静電容量を調整することが可能である。しかしながら、電極線のなかで、被選択電極線31DEとして機能する電極線の面積を小さくするほど、ドライブ電極31DPの一端から他端まで延びる形状を有した部分の面積が小さくなる。これにより、ドライブ電極31DPにおいて、選択回路34に対する接続の信頼性が低下しやすくなる。
この点で、本例では、被選択電極線31DEが、第1電極方向DP1に沿って、ドライブ電極31DPの一端から他端までにわたって延びる形状を有した部分である延設線31DEEを4本有している。ドライブ電極31DPが有する複数の切れ目31DLは、被選択電極線31DEが、延設線31DEEを4本有するように、ノードND内において不規則に配置されている。これにより、たとえ延設線31DEEにおける特定の1本が切断されたとしても、他の延設線31DEEによって、選択回路34に対するドライブ電極31DPの接続が、第2電極方向DP2におけるドライブ電極31DPの一端から他端までにわたって維持される。
さらに、ドライブ電極31DPは、第1電極方向DP1において互いに隣り合う延設線31DEEを接続する接続線31DECを有している。接続線31DECは、第1電極方向DP1において互いに隣り合う延設線31DEE間に、隙間を空けて3本ずつ位置している。ドライブ電極31DPが有する複数の切れ目31DLは、接続線31DECが、第1電極方向DP1において互いに隣り合う延設線31DEE間に3本ずつ位置するように、ノードND内において不規則に配置されている。これにより、たとえ延設線31DEEにおける特定の1本が切断されたとしても、切断された延設線31DEEの一部が、他の延設線31DEEを通じて選択回路34に接続することができる可能性が高まる。
被選択電極線31DEは、上述したように、第2電極方向DP2に沿って延びる4本の延設線31DEEが、複数の接続線31DECによって接続されることによって、ノードNDにおけるほぼ全体に広がる帯状を有している。なお、各ノードNDにおいて、第1電極方向DP1における両端に位置する延設線31DEEは、ダミー電極線31DDを介して第1電極方向DP1において隣り合うノードNDに含まれる延設線31DEEと隣り合っている。そのため、各ノードNDにおける延設線31DEE、ひいては、各ドライブ電極31DPは、第1電極方向DP1において隣り合うドライブ電極31DPに対して電気的に接続されていない。
図6は、タッチセンサ用電極21の第1例が備えるセンシング電極33SPのなかで、1つのノードND内に位置する電極線を示している。なお、図6では、センシング電極33SPにおいて、検出回路35に接続される被検出電極線と、検出回路35に接続されないダミー電極線との区別を容易にする目的で、被検出電極線の線幅が、ダミー電極線の線幅よりも太い。ただし、実際には、被検出電極線の線幅はダミー電極線の線幅と等しい。
図6が示すように、センシング電極33SPは、菱形を有する単位構造33SSが隙間なく繰り返されたセンシング仮想格子上に位置している。センシング仮想格子を構成する単位構造33SSは、ドライブ仮想格子を構成する単位構造31DSと、同一の形状、かつ、同一の大きさである。センシング電極33SPは、1つのノードNDを繰り返しの単位領域として、複数の単位領域から構成されている。
各センシング電極33SPは、第2電極方向DP2において互いに隣り合うセンシング電極33SPに対して電気的に接続されていない状態で、第2電極方向DP2に沿って並んでいる。各センシング電極33SPは、1つのセンシング仮想格子のなかで互いに異なる領域上に位置している。センシング仮想格子の単位構造33SSは、ドライブ電極31DPにおける単位構造31DSと同様、一辺が200μm以上1000μm以下の菱形である。各ノードND内において、センシング仮想格子内での格子点は、20個以上1300個以下である。本例では、センシング電極33SPを構成する電極線においてセンシング仮想格子の格子点に対応する部分として、折れ線部の屈曲部、直線部の一部、および、直線部と直線部との交差部を挙げることができる。
単位構造33SSは、上述した単位構造31DSと同様、二対の辺から構成されている。一方の対を構成する辺が第1線方向DS1に沿って延び、かつ、他方の対を構成する辺が第2線方向DS2に沿って延びている。単位構造33SSにおいて、第1電極方向DP1において互いに隣り合う第1内角θ1の大きさが互いに等しく、かつ、第2電極方向DP2において互いに隣り合う第2内角θ2の大きさが互いに等しい。本例では、第1内角θ1が鋭角であり、かつ、第2内角θ2が鈍角である。なお、上述したように、単位構造33SSは、上述した単位構造31DSと同一の形状、かつ、同一の大きさであることから、単位構造33SSの第1内角θ1は、単位構造31DSの第1内角θ1と等しく、かつ、単位構造33SSの第2内角θ2は、単位構造31DSの第2内角θ2と等しい。
センシング電極33SPが位置するセンシング仮想格子は、ドライブ電極31DPが位置するドライブ仮想格子に対して、第1電極方向DP1および第2電極方向DP2の両方において、単位構造33SSの1/2ピッチだけずれている。
センシング電極33SPを構成する電極線は、センシング仮想格子の格子点に位置する電極線同士の交差部に幅広部33SWを備えている。幅広部33SWは、透明誘電体基板33と対向する方向から見て、センシング電極33SPにおける幅広部33SW以外の部分に比べて線幅が太い。センシング電極33SPを構成する電極線は、幅広部33SWと幅狭部33SNとから構成されている。幅狭部33SNにおける線幅は、例えば1μm以上7μm以下である。なお、幅狭部33SNは、電極線の線幅として設計された設計値に応じた線幅を有した部位である。
センシング電極33SPにおいて、幅広部33SWを挟む二本の電極線が形成する角度は鋭角である。幅広部33SWは、センシング仮想格子の格子点に位置し、かつ、単位構造33SSにおける第1内角θ1を有した角部に広がる形状を有している。ドライブ電極31DPの説明にて上述したように、センシング電極33SPにおいても、センシング電極33SPを形成する際に用いられるウェットエッチングのために、単位構造33SSにおいて、幅広部33SWが、第1内角θ1を有した角部に広がる形状を有している。
本例では、センシング電極33SPを構成する電極線が延びる方向は、上述したように、第1線方向DS1および第2線方向DS2である。単位構造33SSの対角方向は、第1電極方向DP1および第2電極方向DP2である。各切れ目33SLは、電極線の一部であって、電極線の他の一部とともに交差部を構成する部位を、当該他の一部から切り離す。これによって、センシング仮想格子の形状によれば幅広部33SWが形成される部位に幅広部33SWが形成されないようにしている。
本例では、第1線方向DS1および第2線方向DS2において、単位構造33SSの間隔で並ぶ幅広部33SWの個数が3個以下である。また、第1電極方向DP1および第2電極方向DP2において、単位構造33SSの間隔で並ぶ幅広部33SWの個数も3個以下である。
複数の切れ目33SLは、幅広部33SWの並びにおいて上述した状態を満たすように各ノードND内において不規則に位置している。センシング電極33SPにおいて、1つのノードNDが繰り返しの単位領域であることから、複数のノードND間では、ノードND内における同一の位置に複数の切れ目33SLが配置されている。
なお、センシング電極33SPが有する複数の切れ目33SLには、幅広部33SWの並びにおいて所定の状態を満たす機能に加えて、検出回路35に接続される被検出電極線33SEと、検出回路35に接続されないダミー電極線33SDとを分離する機能を有する切れ目33SLが含まれる。このように、センシング電極33SPは、各ノードND内に、静電容量を測定する検出回路35に接続された被検出電極線33SEと、被検出電極線33SEから絶縁されたダミー電極線33SDとを備えている。
上述したように、図6において、線幅が太い電極線が被検出電極線33SEであり、線幅が細い電極線がダミー電極線33SDである。被検出電極線33SEとダミー電極線33SDとの境界に位置する切れ目33SLが、センシング電極33SPを構成する電極線を被検出電極線33SEとダミー電極線33SDとに分離する機能を有した切れ目33SLである。
こうした切れ目33SLによれば、センシング電極33SPを構成する電極線のなかで被検出電極線33SEとして機能する電極線の面積と、ダミー電極線33SDとして機能する電極線の面積を調整することによって、センシング電極33SPと、ドライブ電極31DPとの間における静電容量を調整することが可能である。しかしながら、電極線のなかで、被検出電極線33SEとして機能する電極線の面積を小さくするほど、センシング電極33SPの一端から他端まで延びる形状を有した部分の面積が小さくなる。これにより、センシング電極33SPにおいて、検出回路35に対する接続の信頼性が低下しやすくなる。
この点で、本例では、被検出電極線33SEが、第1電極方向DP1に沿って、センシング電極33SPの一端から他端までにわたって延びる形状を有した部分である6本の延設線33SEEを有している。センシング電極33SPが有する複数の切れ目33SLは、被検出電極線33SEが、延設線33SEEを6本有するように、ノードND内において不規則に配置されている。これにより、たとえ延設線33SEEにおける特定の1本が切断されたとしても、他の延設線33SEEによって、検出回路35に対するセンシング電極33SPの接続が、第1電極方向DP1におけるセンシング電極33SPの一端から他端までにわたって維持される。
さらに、センシング電極33SPは、第2電極方向DP2において互いに隣り合う延設線33SEEを接続する接続線33SECを有している。各延設線群において、接続線33SECは、第2電極方向DP2において互いに隣り合う延設線33SEE間に3本ずつ位置している。センシング電極33SPが有する複数の切れ目33SLは、接続線33SECが、第2電極方向DP2において互いに隣り合う延設線33SEE間に3本ずつ位置するように、ノードND内において不規則に配置されている。これにより、たとえ延設線33SEEにおける特定の1本が切断されたとしても、切断された延設線33SEEの一部が、他の延設線33SEEを通じて検出回路35に接続することができる可能性が高まる。
センシング電極33SPは、各ノードND内に、被検出電極線33SEが囲む領域である第1領域33SR1と、第1領域33SR1よりも外側の領域である第2領域33SR2とを備えている。第1領域33SR1内に、2つ以上の切れ目33SLが不規則に位置している。
ドライブ電極31DPとセンシング電極33SPとの間の静電容量の大きさに対するダミー電極線33SDの寄与は、無視できる程度に小さい。そのため、ダミー電極線33SDには、静電容量の大きさに制約されずに、比較的自由に複数の切れ目33SLを配置することが可能である。本例では、第1領域33SR1に含まれる切れ目33SL、すなわち、ダミー電極線33SDを被検出電極線33SEから切り離すための切れ目33SLも不規則に位置している。そのため、第1領域33SR1においても、幅広部33SWの並びにおける規則性とブラックマトリクス15aの並びにおける規則性とに起因したモアレが生じることが抑えられる。
本例において、1つのノードND内に、2つの第1領域33SR1が含まれている。いずれの第1領域33SR1内にも、被検出電極線33SEから切れ目33SLによって切り離されたダミー電極線33SDが含まれている。
付言すると、本例におけるセンシング電極33SPでは、各ノードND内において、第1領域33SR1の開口率と、第2領域33SR2の開口率との差が、0.035%であるように、電極線の切れ目33SLが位置している。
開口率とは、ノードNDの面積(A1)に対する、そのノードNDに属する電極線以外の領域である透光領域の面積(A2)の百分率(A2/A1×100)である。センシング電極33SPにおける接続の信頼性を高く維持する上では、センシング電極33SPを構成する電極線のなかで、延設線33SEEとして機能する面積が大きいことが好ましい。一方で、ダミー電極線33SDは、被検出電極線33SEが有するような制約を有しないことから、ダミー電極線33SDにおける開口率は、ダミー電極線33SDを構成する電極線における任意の位置に切れ目33SLを形成することで、被検出電極線33SEの開口率よりも容易に変更することが可能である。これにより、タッチパネル20が操作面20Sと対向する方向から視認された際に、第1領域33SR1の明るさと、第2領域33SR2の明るさとの違いが、人間によって知覚可能な程度に異なる場合がある。
上述したように、センシング電極33SPでは、幅広部33SWの並びにおいて上述した状態を満たす上で、第1領域33SR1にも複数の切れ目33SLを配置されている。これにより、第1領域33SR1の開口率と、第2領域33SR2の開口率との差が0.035%である。結果として、タッチパネル20が操作面20Sと対向する方向から視認された際に、第1領域33SR1の明るさと、第2領域33SR2の明るさとの違いが知覚されない程度に、第1領域33SR1の明るさと第2領域33SR2の明るさとの差を抑えることが可能である。これにより、表示装置100の表示における品位の低下が抑えられる。
被検出電極線33SEは、上述したように、第1電極方向DP1に沿って延びる6本の延設線33SEEが、複数の接続線33SECで接続されることによって、第1電極方向DP1に沿って延びる帯状を有している。なお、各ノードNDにおいて、第2電極方向DP2における両端に位置する延設線33SEEは、ダミー電極線33SDを介して第2電極方向DP2において隣り合うノードNDに含まれる延設線33SEEと隣り合っている。そのため、各ノードNDにおける延設線33SEE、ひいては、各センシング電極33SPは、第2電極方向DP2において隣り合うセンシング電極33SPに対して電気的に接続されていない。
図7は、ドライブ電極31DP上にセンシング電極33SPが積み重なったタッチセンサ用電極21を、タッチセンサ用電極21が広がる平面と対向する方向から見た構造を示している。
図7が示すように、センシング電極33SPは、センシング電極33SPが位置するセンシング仮想格子が、ドライブ電極31DPが位置するドライブ仮想格子に対して第1電極方向DP1および第2電極方向DP2の両方において、単位構造33SSの1/2だけずれるように、ドライブ電極31DPに重なっている。これにより、センシング電極層とドライブ電極層とが、重畳格子を構成している。重畳格子には、センシング電極33SPを構成する電極線と、ドライブ電極31DPを構成する電極線とによって形成される単位構造21USが、第1電極方向DP1および第2電極方向DP2の両方において隙間なく並んでいる。重畳格子の単位構造21USは、各仮想格子の単位構造31DS,33SSである菱形よりも小さい菱形である。
単位構造21USは、ドライブ仮想格子の単位構造31DS、および、センシング仮想格子の単位構造33SSと相似であり、かつ、単位構造21USは、各単位構造31DS,33SSに対する1/4の大きさを有している。タッチセンサ用電極21は、菱形を有した単位構造21USが隙間なく並んだ重畳格子である。重畳格子では、第1線方向DS1、第2線方向DS2、第1電極方向DP1、および、第2電極方向DP2の全ての方向において、ドライブ仮想格子の格子点と、センシング仮想格子の格子点とが、交互に並んでいる。
単位構造21USは、各単位構造31DS,33SSに対する1/4の大きさを有する。第1線方向DS1および第2線方向DS2において重畳格子の格子点における間隔は、100μm以上500μm以下である。
タッチセンサ用電極21では、各ノードND内において、電極線が延びる方向に重畳格子の格子点の間隔で連続する幅広部31DW,33SWの個数がノードND内において10個以下であるように、各仮想格子の格子点に電極線の切れ目31DL,33SLが位置している。さらには、重畳格子を構成する単位構造21USの対角方向に重畳格子の格子点の間隔で連続する幅広部31DW,33SWの個数がノードND内において10個以下であるように、各仮想格子の格子点に電極線の切れ目31DL,33SLが位置している。
金属製の薄膜をウェットエッチングすることによって格子を形成する場合には、格子を構成する単位構造31DS,33SSの交差部にエッチング液が侵入しにくい。これにより、交差部における線幅が、交差部以外の部分に比べて大きく傾向を有する。一方で、単位構造31DS,33SSが有する交差部は所定の規則で並ぶため、タッチセンサ用電極21を備えるタッチパネル20が表示パネル10に重ねられた場合に、交差部の並びにおける規則性と、カラーフィルタ層15が備えるブラックマトリクス15aの並びにおける規則性とに起因して、モアレが生じることがある。しかも、モアレにおけるコントラストは、交差部における線幅が大きいほど強くなる傾向を有する。
本例のタッチセンサ用電極21によれば、電極線が延びる方向、および、対角方向の両方において、重畳格子の格子点の間隔で並ぶ幅広部31DW,33SWの個数が10個以下であるように、電極線の切れ目31DL,33SLが格子点上に存在する。そのため、幅広部31DW,33SWの並びにおける規則性と、ブラックマトリクス15aの並びにおける規則性とに起因して、モアレが生じることが抑えられる。結果として、こうしたタッチセンサ用電極21を備えるタッチパネル20と表示パネル10との積層体である表示装置100において、表示の品位における低下が抑えられる。
上述したように、本例では、電極線が延びる方向が第1線方向DS1および第2線方向DS2であり、かつ、対角方向が第1電極方向DP1および第2電極方向DP2である。そのため、タッチセンサ用電極21では、第1線方向DS1および第2線方向DS2のそれぞれにおいて、重畳格子の格子点の間隔で並ぶ幅広部31DW,33SWの個数が10個以下であり、かつ、第1電極方向DP1および第2電極方向DP2のそれぞれにおいて、重畳格子の格子点の間隔で並ぶ幅広部31DW,33SWの個数が10個以下である。
ドライブ電極31DPでは、各方向において単位構造31DSの間隔で並ぶ幅広部31DWの個数が4個以下である。一方で、センシング電極33SPでは、各方向において単位構造33SSの間隔で並ぶ幅広部33SWの個数が3個以下である。そして、タッチセンサ用電極21では、各方向において重畳格子の格子点、すなわち単位構造21USの間隔で並ぶ幅広部31DW,33SWの個数は、10個を超えないように構成されている。本例では、各方向において、交差部のピッチで並ぶ幅広部31DW,33SWの個数が4個以下であるように、ドライブ電極31DPおよびセンシング電極33SPの各々が複数の切れ目31DL,33SLを有している。
なお、ドライブ電極31DPおよびセンシング電極33SPのいずれか一方のみが複数の切れ目31DL,33SLを有する場合に比べて、重畳格子の格子点の間隔で並ぶ幅広部31DW,33SWの個数を10個以下にするための切れ目31DL,33SLの位置における自由度を高めることができる。これにより、ドライブ電極31DPとセンシング電極33SPとの間に求められる静電容量の大きさなどに応じて、ドライブ電極31DPにおける切れ目31DLの配置、および、センシング電極33SPにおける切れ目33SLの配置におけるバリエーションを増やすことができる。
タッチセンサ用電極21は、好ましくは以下の条件を満たす。すなわち、タッチセンサ用電極21では、第1線方向DS1、第2線方向DS2、第1電極方向DP1、および、第2電極方向DP2のそれぞれにおいて、ドライブ仮想格子の単位構造31DSの間隔で並ぶ幅広部31DWの個数が10個以下である。また、タッチセンサ用電極21では、第1線方向DS1、第2線方向DS2、第1電極方向DP1、および、第2電極方向DP2のそれぞれにおいて、センシング仮想格子の単位構造33SSの間隔で並ぶ幅広部33SWの個数が10個以下である。これにより、単位構造31DS,33SSの並びにおける規則性と、カラーフィルタ層15のブラックマトリクス15aの並びにおける規則性とに起因するモアレも抑えることが可能である。
本例では、上述したように、各方向において単位構造31DSの間隔で並ぶ幅広部31DWの個数が4個以下である。一方で、各方向において単位構造33SSの間隔で並ぶ幅広部33SWの個数が3個以下である。
タッチセンサ用電極21において、被選択電極線31DEと、被検出電極線33SEとが重なる領域が、容量形成領域である。タッチセンサ用電極21に対する人の指などの対象との距離が変化することによって、容量形成領域において形成される静電容量が変化する。こうした静電容量の変化が検出されることに基づいて、タッチセンサ用電極21における対象の接触位置が検出される。
[第2例]
図8は、タッチセンサ用電極21の第2例が備えるドライブ電極31DPのなかで、1つのノードND内に位置する電極線を示している。タッチセンサ用電極21の第2例におけるドライブ電極31DPは、タッチセンサ用電極21の第1例におけるドライブ電極31DPに対して、ドライブ仮想格子に対して設定された切れ目31DLの位置が異なっている。そのため、以下では、タッチセンサ用電極21の第1例との相違点を詳しく説明する一方で、第1例との共通点の説明を省略する。なお、図8では、図5と同様、ドライブ電極31DPが含む被選択電極線とダミー電極線との区別を容易にする目的で、被選択電極線の線幅が、ダミー電極線の線幅よりも太い。ただし、実際には、被選択電極線の線幅はダミー電極線の線幅と等しい。
図8が示すように、ドライブ電極31DPは、第1例と同様、菱形を有する単位構造31DSが隙間なく繰り返されたドライブ仮想格子上に位置している。単位構造31DSは、一辺が200μm以上1000μm以下である菱形である。各ノードND内において、ドライブ仮想格子内での格子点は、20個以上1300個以下である。単位構造31DSにおいて、第1内角θ1が鋭角であり、かつ、第2内角θ2が鈍角である。本例では、第1内角θ1が73°であり、かつ、第2内角θ2が107°である。
ドライブ電極31DPを構成する電極線は、ドライブ仮想格子の格子点に位置する電極線同士の交差部に幅広部31DWを備えている。ドライブ電極31DPは、幅広部31DWと幅狭部31DNとから構成されている。
複数の幅広部31DWは、第1幅広部31DW1と第2幅広部31DW2とを含んでいる。第1幅広部31DW1は、対角方向において互いに隣り合う2つの単位構造31DSに広がる形状を有している。第2幅広部31DW2は、対角方向において互いに隣り合う2つの単位構造31DSのうちの一方のみに広がる形状を有している。各ノードNDにおいて、第1幅広部31DW1の個数が、第2幅広部31DW2の個数よりも少ない。
上述したように、幅広部31DWは第1内角θ1を有した角部に広がる形状を有することから、第1電極方向DP1において互いに隣り合う2つの単位構造31DSが互いに接する角部のそれぞれに向けて広がる形状を幅広部31DWが有することがある。これに対して、第2幅広部31DW2は、第1電極方向DP1において互いに隣り合う2つの単位構造31DSが互いに接する角部の一方のみに広がる形状を有している。なお、タッチセンサ用電極21の第1例におけるドライブ電極31DPが有する幅広部31DWは、第2幅広部31DW2に対応する。
所定の間隔で並ぶ幅広部31DWにおいて、幅広部31DWの線幅が広いほど、タッチセンサ用電極21と、カラーフィルタ層15のブラックマトリクス15aとに由来するモアレのコントラストは強くなる傾向を有する。この点で、本例では、第1幅広部31DW1の個数が第2幅広部31DW2の個数よりも少ないため、各幅広部31DW1,31DW2に由来するモアレが生じたとしても、第1幅広部31DW1の個数が第2幅広部31DW2以上である場合に比べて、強いコントラストを有したモアレが生じにくくなる。
加えて、第1幅広部31DW1の個数が第2幅広部31DW2の個数よりも少ないため、第1幅広部31DW1の個数が第2幅広部31DW2以上である場合に比べて、ドライブ電極31DPの開口率を高めることもできる。
ドライブ電極31DPは、複数の切れ目31DLを有している。各切れ目31DLは、電極線の一部であって、電極線の他の一部とともに交差部を形成する部位を、当該他の一部から切り離す。これによって、ドライブ仮想格子の形状によれば幅広部31DWが形成される部位に幅広部31DWが形成されないようにしている。本例では、第1線方向DS1および第2線方向DS2において、単位構造31DSの間隔で並ぶ幅広部31DWの個数が4個以下である。また、第1電極方向DP1および第2電極方向DP2において、単位構造31DSの間隔で並ぶ幅広部31DWの個数が8個以下である。
本例では、複数の切れ目31DLが、さらに、単位構造31DSが備える辺が第1線方向DS1に沿って延びる途中に位置する切れ目31DL、および、第2線方向DS2に沿って延びる途中に位置する切れ目31DLを含んでいる。こうした切れ目31DLは、幅狭部31DNが延びる途中に位置している。こうした切れ目31DLは、ドライブ電極31DPに含まれる幅広部31DWの数を調整する機能ではなく、ドライブ電極31DPのなかで被選択電極線31DEとして機能する電極線の面積を調整することによって、ドライブ電極31DPとセンシング電極33SPとの間の静電容量を調整する機能を有する。
ドライブ電極31DPは、各ノードND内に、選択回路34に接続される被選択電極線31DEと、被選択電極線31DEから絶縁されたダミー電極線31DDとを備えている。本例では、被選択電極線31DEが、3本の延設線31DEEを備えている。各延設線31DEEは、第2電極方向DP2に沿って延び、複数の屈曲点を有する折れ線状を有している。第1電極方向DP1において、2本の延設線31DEEに挟まれる1本の延設線31DEEは、当該延設線31DEEの一部において、第1電極方向DP1において隣り合う延設線31DEEに接続されている。加えて、第1電極方向DP1において、2本の延設線31DEEに挟まれる1本の延設線31DEEは、第1電極方向DP1において隣り合う延設線31DEEに対して、複数の接続線31DECを介して接続されている。
これにより、たとえ延設線31DEEにおける特定の1本が切断されたとしても、他の延設線31DEEによって、選択回路34に対するドライブ電極31DPの接続が、第2電極方向DP2におけるドライブ電極31DPの一端から他端までにわたって維持される。また、たとえ延設線31DEEにおける特定の1本が切断されたとしても、切断された延設線31DEEの一部が、他の延設線31DEEを通じて選択回路34に接続することができる可能性が高まる。
3本の延設線31DEEのなかで、第1電極方向DP1における端に位置する2本の延設線31DEEは、被選択電極線31DEが囲む第1領域31DR1の外形を形成している。第1領域31DR1の外形は、第2電極方向DP2に沿って延びる帯状を有している。第1領域31DR1の外形は、第1電極方向DP1に沿う幅が第1の幅である略矩形の領域をノードNDの中央部において含み、かつ、略矩形の領域から第2電極方向DP2における端に向けて、第1電極方向DP1に沿う幅が第1の幅から第2の幅まで太くなる形状を有している。各ノードNDでは、第1電極方向DP1において、1つの第1領域31DR1が、2つの第2領域31DR2に挟まれている。
第1領域31DR1には、被選択電極線31DEと、ダミー電極線31DDとが含まれている。第1領域31DR1において、2つ以上の切れ目31DLが不規則に位置している。また、ドライブ電極31DPにおいて、第1領域31DR1の開口率と、第2領域31DR2の開口率との差が0.14%であるように、複数の切れ目31DLが位置している。
各第2領域31DR2は、ダミー電極線31DDでもあることから、各ノードNDの延設線31DEEは、ダミー電極線31DDを介して第1電極方向DP1において隣り合うノードNDにおける延設線31DEEと隣り合っている。そのため、各ノードNDにおける延設線31DEE、ひいては、各ドライブ電極31DPは、第1電極方向DP1において隣り合うドライブ電極31DPに対して電気的に接続されていない。
図9は、タッチセンサ用電極21の第2例が備えるセンシング電極33SPのなかで、1つのノードND内に位置する電極線を示している。なお、図9では、図6と同様、センシング電極33SPが含む被検出電極線とダミー電極線との区別を容易にする目的で、被検出電極線の線幅が、ダミー電極線の線幅よりも太い。ただし、実際には、被検出電極線の線幅はダミー電極線の線幅と等しい。
図9が示すように、センシング電極33SPは、第1例と同様、菱形を有する単位構造33SSが隙間なく繰り返されたセンシング仮想格子上に位置している。単位構造33SSは、一辺が200μm以上1000μm以下である菱形である。センシング仮想格子の単位構造33SSは、ドライブ仮想格子の単位構造31DSと同じ形状であり、かつ、同じ大きさである。各ノードND内において、センシング仮想格子内での格子点は、20個以上130個以下である。単位構造33SSにおいて、第1内角θ1が鋭角であり、かつ、第2内角θ2が鈍角である。第1内角θ1は、ドライブ電極31DPの第1内角θ1に等しく、かつ、第2内角θ2は、ドライブ電極31DPの第2内角θ2に等しい。
センシング電極33SPが位置するセンシング仮想格子は、ドライブ電極31DPが位置するドライブ仮想格子に対して、第1電極方向DP1および第2電極方向DP2の両方において、単位構造33SSの1/2ピッチだけずれている。
センシング電極33SPを構成する電極線は、センシング仮想格子の格子点に位置する電極線同士の交差部に幅広部33SWを備えている。センシング電極33SPは、幅広部33SWと幅狭部33SNとから構成されている。
複数の幅広部33SWは、第1幅広部33SW1と第2幅広部33SW2とを含んでいる。第1幅広部33SW1は、ドライブ電極31DPが備える第1幅広部33SW1と同様、対角方向において互いに隣り合う2つの単位構造33SSに広がる形状を有している。第2幅広部33SW2は、ドライブ電極31DPが備える第2幅広部31DW2と同様、対角方向において互いに隣り合う2つの単位構造33SSのうちの一方のみに広がる形状を有している。各ノードNDにおいて、第1幅広部33SW1の個数が、第2幅広部33SW2の個数よりも少ない。なお、タッチセンサ用電極21の第1例におけるセンシング電極33SPが有する幅広部33SWは、第2幅広部33SW2に対応する。
センシング電極33SPは、複数の切れ目33SLを有している。各切れ目33SLは、電極線の一部であって、電極線の他の一部とともに交差部を形成する部位を、当該他の一部から切り離す。これによって、センシング仮想格子の形状によれば幅広部33SWが形成される部位に幅広部33SWが形成されないようにしている。本例では、第1線方向DS1および第2線方向DS2において、単位構造33SSの間隔で並ぶ幅広部33SWの個数が5個以下である。また、第1電極方向DP1および第2電極方向DP2において、単位構造33SSの間隔で並ぶ幅広部33SWの個数が4個以下である。
本例では、ドライブ電極31DPと同様、複数の切れ目33SLが、さらに、単位構造33SSが備える辺が第1線方向DS1に沿って延びる途中に位置する切れ目33SL、および、第2線方向DS2に沿って延びる途中に位置する切れ目33SLを含んでいる。こうした切れ目33SLは、幅狭部33SNが延びる途中に位置している。こうした切れ目33SLは、センシング電極33SPに含まれる幅広部33SWの数を調整する機能ではなく、センシング電極33SPのなかで被検出電極線33SEとして機能する電極線の面積を調整することによって、センシング電極33SPとドライブ電極31DPとの間の静電容量を調整する機能を有する。
センシング電極33SPは、各ノードND内に、検出回路35に接続される被検出電極線33SEと、被検出電極線33SEから絶縁されたダミー電極線33SDとを備えている。本例では、被検出電極線33SEが、3本の延設線33SEEを備えている。各延設線33SEEは、第1電極方向DP1に沿って延び、複数の屈曲点を有する折れ線状を有している。第2電極方向DP2において隣り合う延設線33SEEは、複数の接続線33SECによって互いに接続されている。
これにより、たとえ延設線33SEEにおける特定の1本が切断されたとしても、他の延設線33SEEによって、検出回路35に対するセンシング電極33SPの接続が、第1電極方向DP1におけるセンシング電極33SPの一端から他端までにわたって維持される。また、たとえ延設線33SEEにおける特定の1本が切断されたとしても、切断された延設線33SEEの一部が、他の延設線33SEEを通じて検出回路35に接続することができる可能性が高まる。
3本の延設線33SEEのなかで、第2電極方向DP2における端に位置する2本の延設線33SEEは、被検出電極線33SEが囲む第1領域33SR1の外形を形成している。第1領域33SR1の外形は、第1電極方向DP1に沿って延びる帯状を有している。第1領域33SR1の外形は、第2電極方向DP2に沿う幅が第1の幅である略矩形の領域をノードNDの中央部において含み、かつ、略矩形の領域から第1電極方向DP1における端に向けて、第2電極方向DP2に沿う幅が第1の幅から第2の幅まで太くなる形状を有している。各ノードNDでは、第2電極方向DP2において、1つの第1領域33SR1が、2つの第2領域33SR2に挟まれている。
第1領域33SR1には、被検出電極線33SEと、ダミー電極線33SDとが含まれている。第1領域33SR1において、2つ以上の切れ目33SLが不規則に位置している。また、センシング電極33SPにおいて、第1領域33SR1の開口率と、第2領域33SR2の開口率との差が0.18%であるように、複数の切れ目33SLが位置している。
各第2領域33SR2は、ダミー電極線33SDでもあることから、各ノードNDに属する延設線33SEEは、ダミー電極線33SDを介して第2電極方向DP2において隣り合うノードNDにおける延設線33SEEと隣り合っている。そのため、各ノードNDにおける延設線33SEE、ひいては、各センシング電極33SPは、第2電極方向DP2において隣り合うセンシング電極33SPに対して電気的に接続されていない。
図10は、ドライブ電極31DP上にセンシング電極33SPが積み重なったタッチセンサ用電極21を、タッチセンサ用電極21が広がる平面と対向する方向から見た構造を示している。
図10が示すように、センシング電極33SPは、センシング電極33SPが位置するセンシング仮想格子が、ドライブ電極31DPが位置するドライブ仮想格子に対して第1電極方向DP1および第2電極方向DP2の両方において、単位構造33SSの1/2だけずれるように、ドライブ電極31DPに重なっている。これにより、センシング電極層とドライブ電極層とが、重畳格子を構成している。重畳格子には、センシング電極33SPを構成する電極線と、ドライブ電極31DPを構成する電極線とによって形成される単位構造21USが、第1電極方向DP1および第2電極方向DP2の両方において隙間なく並んでいる。重畳格子の単位構造21USは、各仮想格子の単位構造31DS,33SSである菱形よりも小さい菱形である。
単位構造21USは、ドライブ仮想格子の単位構造31DS、および、センシング仮想格子の単位構造33SSと相似であり、かつ、単位構造21USは、各単位構造31DS,33SSに対する1/4の大きさを有している。タッチセンサ用電極21は、菱形を有した単位構造21USが隙間なく並んだ重畳格子である。重畳格子では、第1線方向DS1、第2線方向DS2、第1電極方向DP1、および、第2電極方向DP2の全ての方向において、ドライブ仮想格子の格子点と、センシング仮想格子の格子点とが、交互に並んでいる。
第1例と同様、タッチセンサ用電極21では、各ノードND内において、第1線方向DS1、第2線方向DS2、第1電極方向DP1、および、第2電極方向DP2の全てにおいて、重畳格子の格子点の間隔で連続する幅広部31DW,33SWの個数が10個以下であるように、各仮想格子の格子点に電極線の切れ目31DL,33SLが位置している。
なお、タッチセンサ用電極21は、好ましくは以下の条件を満たす。すなわち、タッチセンサ用電極21では、第1線方向DS1、第2線方向DS2、第1電極方向DP1、および、第2電極方向DP2のそれぞれにおいて、ドライブ仮想格子の単位構造31DSの間隔で並ぶ幅広部31DWの個数が10個以下である。また、タッチセンサ用電極21では、第1線方向DS1、第2線方向DS2、第1電極方向DP1、および、第2電極方向DP2のそれぞれにおいて、センシング仮想格子の単位構造33SSの間隔で並ぶ幅広部33SWの個数が10個以下である。これにより、単位構造31DS,33SSの並びにおける規則性と、カラーフィルタ層15のブラックマトリクス15aの並びにおける規則性とに起因するモアレも抑えることが可能である。
本例では、上述したように、各方向において単位構造31DSの間隔で並ぶ幅広部31DWの個数が8個以下である。一方で、各方向において単位構造33SSの間隔で並ぶ幅広部33SWの個数が5個以下である。
タッチセンサ用電極21において、被選択電極線31DEと、被検出電極線33SEとが重なる領域が、容量形成領域である。本例では、被選択電極線31DEにおける上述した略矩形の領域と、被検出電極線33SEにおける上述した略矩形の領域とが、ドライブ電極31DPにセンシング電極33SPが積み重なる方向から見て、互いに重なっている。そのため、本例では、各電極線31DE,33SEにおける略矩形の領域同士が重なった領域が、容量形成領域である。タッチセンサ用電極21に対する人の指などの対象との距離が変化することによって、容量形成領域において形成される静電容量が変化する。こうした静電容量の変化が検出されることに基づいて、タッチセンサ用電極21における対象の接触位置が検出される。
以上説明したように、タッチセンサ用電極、タッチパネル、および、表示装置の一実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)電極線が延びる方向、および、対角方向の両方において、等間隔で並ぶ幅広部の個数が10個以下であるように、電極線の切れ目31DL,33SLが格子点上に存在する。そのため、幅広部31DW,33SWの並びにおける規則性と、ブラックマトリクス15aの並びにおける規則性とに起因して、モアレが生じることが抑えられる。結果として、こうしたタッチセンサ用電極21を備えるタッチパネル20と表示パネル10との積層体である表示装置100において、表示の品位における低下が抑えられる。
(2)電極線が延びる方向、および、対角方向の両方において、重畳格子の格子点の間隔で連続する幅広部31DW,33SWの個数が10個以下であるように、電極線の切れ目31DL,33SLが格子点上に存在する。そのため、重畳格子の格子点の間隔で連続する幅広部31DW,33SWと、ブラックマトリクス15aの並びにおける規則性とに起因して、モアレが生じることが抑えられる。結果として、表示装置100において、表示の品位における低下が抑えられる。
(3)ドライブ電極層およびセンシング電極層のいずれか一方のみが複数の切れ目31DL,33SLを有する場合に比べて、等間隔で並ぶ幅広部31DW,33SWの個数を10個以下にするための切れ目31DL,33SLの位置における自由度を高めることができる。これにより、ドライブ電極層とセンシング電極層との間に求められる静電容量の大きさなどに応じて、ドライブ電極層における切れ目31DLの配置、および、センシング電極層における切れ目33SLの配置におけるバリエーションを増やすことができる。
(4)第1領域31DR1,33SR1に複数の切れ目31DL,33SLが不規則に位置している。そのため、第1領域31DR1,33SR1において、幅広部31DW,33SWの並びにおける規則性とブラックマトリクス15aの並びにおける規則性とに起因したモアレが生じることが抑えられる。
(5)開口率の差に起因して第1領域31DR1,33SR1の明るさと第2領域31DR2,33SR2の明るさとが、人間によって知覚可能な程度に異なることが抑えられる。これにより、表示装置100の表示における品位の低下が抑えられる。
(6)仮想格子の単位構造が正方形状である場合に比べて、幅の広い幅広部31DW,33SWが形成されやすい。こうしたタッチセンサ用電極21において、電極線の延びる方向、および、対角方向において等間隔で並ぶ幅広部31DW,33SWの個数が10個以下であるように、複数の切れ目31DL,33SLが格子点上に位置するため、切れ目31DL,33SLによる効果がより顕著である。
(7)第1幅広部31DW1,33SW1の個数が第2幅広部31DW2,33SW2の個数以上である場合に比べて、より幅の広い幅広部の個数を少なくすることができ、結果として、強いコントラストを有したモアレが生じにくくなる。
なお、上述した実施形態は、以下のように適宜変更して実施することができる。
[ドライブ電極]
・単位構造31DSの形状は、菱形以外の平行四辺形であってもよい。
・ノードND内における複数の切れ目31DLの位置は、ノードND毎に異なってもよい。この場合であっても、ドライブ電極層とセンシング電極層とが構成する重畳格子において、電極線が延びる方向、および、重畳格子の単位構造における対角方向において、等間隔で並ぶ幅広部が10個以下であれば、上述した(1)に準じた効果を得ることができる。
[センシング電極]
・単位構造33SSの形状は、菱形以外の平行四辺形であってもよい。
・ノードND内における複数の切れ目33SLの位置は、ノードND毎に異なってもよい。この場合であっても、ドライブ電極層とセンシング電極層とが構成する重畳格子において、電極線が延びる方向、および、重畳格子の単位構造における対角方向において、等間隔で並ぶ幅広部が10個以下であれば、上述した(1)に準じた効果を得ることができる。
[タッチセンサ用電極]
・ドライブ仮想格子の単位構造31DSは、センシング仮想格子の単位構造33SSと同一の形状、かつ、同一の大きさでなくてもよい。ドライブ仮想格子の単位構造31DSとセンシング仮想格子の単位構造33SSとが互いに相似であり、かつ、一方の単位構造が他方の単位構造に対する整数倍の大きさを有してもよい。
・タッチセンサ用電極21において、ドライブ電極層およびセンシング電極層のいずれか一方のみが仮想格子の格子点に位置する切れ目を備えてもよい。この場合であっても、ドライブ電極層とセンシング電極層とが構成する重畳格子において、電極線が延びる方向、および、重畳格子の単位構造における対角方向において、等間隔で並ぶ幅広部が10個以下であれば、上述した(1)に準じた効果を得ることができる。
・タッチセンサ用電極21は、電極線が延びる方向、および、重畳格子の対角方向において、重畳格子の整数倍の間隔で並ぶ幅広部31DW,33SWの個数が10個以下であるように、仮想格子の格子点に切れ目31DL,33SLを備える構成でもよい。この場合にも、幅広部31DW,33SWの並びにおける周期性と、ブラックマトリクス15aの並びにおける周期性とに起因するモアレが生じることが抑えられる。なお、幅広部31DW,33SWが、1mmを超えた隙間を空けて等間隔で並ぶ場合には、幅広部31DW,33SWの並びの規則性と、ブラックマトリクス15aの並びの規則性とに起因するモアレは生じにくい。そのため、切れ目31DL,33SLは、電極線が延びる方向、および、重畳格子の対角方向のそれぞれにおいて、1mm以下の隙間を空けて等間隔で並ぶ幅広部31DW,33SWの個数が10個以下になるように、仮想格子の格子点に位置することが好ましい。そして、幅広部31DW,33SWが1mmを超えた間隔を空けて等間隔で並ぶ場合には、等間隔で並ぶ幅広部31DW,33SWの個数が10個を超えてもよい。
[表示装置]
・図11が示すように、タッチパネル20が備えるタッチセンサ用電極21において、透明基板31および透明接着層32が省略されてもよい。この場合には、透明誘電体基板33の面のなかで、表示パネル10と対向する裏面がドライブ電極面31Sである。ドライブ電極面31Sには、ドライブ電極31DPが位置する。透明誘電体基板33における裏面と反対側の面である表面が、センシング電極面33Sである。センシング電極面33Sには、センシング電極33SPが位置する。なお、この場合には、ドライブ電極面31Sに位置するドライブ電極31DPは、例えば、透明誘電体基板33の一方の面に形成された1つの薄膜が、エッチングによってパターニングされることにより形成される。センシング電極面33Sに位置するセンシング電極33SPは、例えば、透明誘電体基板33の他方の面に形成された1つの薄膜が、エッチングによってパターニングされることにより形成される。
・図12が示すように、タッチパネル20において、表示パネル10からの距離が小さい順に、ドライブ電極31DP、透明基板31、透明接着層32、透明誘電体基板33、センシング電極33SP、透明接着層23、および、カバー層22が位置してもよい。
この場合には、例えば、ドライブ電極31DPは、透明基板31のドライブ電極面31Sである1つの面に形成され、センシング電極33SPは、透明誘電体基板33のセンシング電極面33Sである1つの面に形成される。透明基板31においてドライブ電極面31Sとは反対側の面と、透明誘電体基板33においてセンシング電極面33Sとは反対側の面とが、透明接着層32によって接着される。こうしたタッチパネル20では、透明基板31、透明接着層32、および、透明誘電体基板33が、透明誘電体層を構成している。
・表示パネル10とタッチパネル20とは、個別に形成されていなくともよい。すなわち、タッチパネル20は、表示パネル10と一体に形成されてもよい。この場合には、例えば、タッチセンサ用電極21のうち、複数のドライブ電極31DPがTFT層13に位置する一方で、複数のセンシング電極33SPがカラーフィルタ基板16と上側偏光板17との間に位置するインセル型の表示装置とすることができる。あるいは、表示装置は、タッチセンサ用電極21がカラーフィルタ基板16と上側偏光板17との間に位置するオンセル型でもよい。これらの場合においては、ドライブ電極31DPとセンシング電極33SPとに挟まれる層が、透明誘電体層を構成する。