図1から図10を参照して、タッチセンサ用電極、タッチパネル、および、表示装置を具体化した一実施形態を説明する。以下では、表示装置の構成、タッチパネルの電気的構成、タッチセンサ用電極の構成、および、タッチセンサ用電極の作用を順番に説明する。
[表示装置の平面構造]
図1を参照して表示装置の構成を説明する。なお、図1においては、表示装置の備えるカラーフィルタ層、ドライブ面に形成されるドライブ電極、および、センシング面に形成されるセンシング電極の構成が示される便宜上、カラーフィルタ層、第1電極の一例であるドライブ電極、および、第2電極の一例であるセンシング電極が別々に誇張される。また、図1においては、ドライブ電極を構成する導線の一例であるドライブ電極線と、センシング電極を構成する導線の一例であるセンシング電極線とが模式的に示される。さらに、図1においては、図示の便宜上、ドライブ電極、第1ダミーの一例であるドライブダミー、センシング電極、および、第2ダミーの一例であるセンシングダミーにドットが付される。
図1が示すように、表示装置は、液晶パネル10と、タッチパネル20とが、1つの透明接着層によって貼り合わされた積層体である。表示装置は、こうしたタッチパネル20を駆動するための駆動回路を備える。液晶パネル10の表面には、矩形形状に形成された表示面10Sが区画され、表示面10Sには、外部からの画像データに基づく画像などの情報が表示される。なお、液晶パネル10とタッチパネル20との相対的な位置が、例えば筐体などの他の構成によって固定される前提であれば、上述した透明接着層は割愛されてもよい。
液晶パネル10は、カラーフィルタ層15を備える。カラーフィルタ層15が備えるブラックマトリクス15aは、矩形格子模様を形成する。矩形格子模様は、1つの方向である第1方向D1と、第1方向D1と直交する第2方向D2とに沿って並ぶ複数の単位格子から構成される。各単位格子が区画する領域には、赤色を表示するための赤着色層15R、緑色を表示するための緑着色層15G、および、青色を表示するための青着色層15Bのいずれかが配置される。
カラーフィルタ層15において、例えば、赤着色層15R、緑着色層15G、および、青着色層15Bの各々は、第2方向D2に沿って1つずつ順に繰り返される。1つの赤着色層15R、1つの緑着色層15G、および、1つの青着色層15Bは、1つの画素15Pを構成し、複数の画素15Pは、赤着色層15R、緑着色層15G、および、青着色層15Bの並ぶ順番を維持した状態で、第2方向D2に沿って並んでいる。各画素15Pにおける第1方向D1に沿った幅は、第1画素幅WP1であり、第2方向D2に沿った幅は、第2画素幅WP2であり、各着色層における第2方向D2に沿った幅は、第3画素幅WP3である。第1画素幅WP1、第2画素幅WP2、および、第3画素幅WP3の各々は、表示装置に求められる解像度などに基づいて定められる。
タッチパネル20は、静電容量式のタッチパネルであり、タッチセンサ用電極21とカバー層22とが透明接着層23によって貼り合わされた積層体であり、液晶パネル10の表示する情報を透過するように構成される。カバー層22は、ガラス基板や樹脂フィルムなどであり、カバー層22において透明接着層23とは反対側の面は、タッチパネル20における操作面20Sとして機能する。透明接着層23は、表示面10Sに表示される画像を透過する光透過性を有し、例えば、ポリエーテル系接着剤やアクリル系接着剤から形成される層である。
タッチセンサ用電極21を構成する透明基材31は、液晶パネル10に形成された表示面10Sの全体に重ねられて、表示面10Sに形成される画像などの情報を透過する。透明基材31は、例えば、透明ガラス基板や透明樹脂フィルムなどであり、1つの基材から構成される単層構造であってもよいし、2つ以上の基材が重ねられた多層構造であってもよい。
[ドライブ電極31DPの構成]
透明基材31における液晶パネル10とは反対側の面は、ドライブ面31Sである。透明基材31のドライブ面31Sには、複数のドライブ電極31DPが位置する。各ドライブ電極31DPは、第1方向D1に沿って括れを繰り返す帯形状を有し、かつ、第2方向D2に沿って並んでいる。
各ドライブ電極31DPは、導線の一例であるドライブ電極線の集合である。各ドライブ電極31DPは、第1方向D1に沿って並ぶ複数のドライブ検出要素31DPaと、第1方向D1において互いに隣り合うドライブ検出要素31DPaを接続するドライブ接続要素31DPbとから構成される。ドライブ検出要素31DPaとドライブ接続要素31DPbとは、第1方向D1に沿って1つずつ交互に配置される。複数のドライブ検出要素31DPaのうち、第1方向D1の一端に位置するドライブ検出要素31DPaは、パッド31Pを介して選択回路に接続される。ドライブ検出要素31DPaは、第1検出要素の一例であり、ドライブ接続要素31DPbは、第1接続要素の一例である。
ドライブ面31Sには、さらに、複数のドライブダミー31DDが配置される。各ドライブダミー31DDは、導線の一例であるドライブダミー線から構成されるとともに、互いに隣り合うドライブ電極31DPの間に位置し、かつ、ドライブ電極31DPから離れている。ドライブダミー31DDは、ドライブ電極31DPから電気的に絶縁された導線の集合であるとともに、操作面20Sと対向する視点から見て、矩形格子模様の一部を模した模様を有する第1ダミーの一例である。
ドライブ検出要素31DPaの占有する領域は、操作面20Sと対向する視点から見て、例えば、ほぼ六角形形状を有する。ドライブ接続要素31DPbの占有する領域は、操作面20Sと対向する視点から見て、例えば、ドライブ検出要素31DPaの一辺をドライブ検出要素31DPaと共有するほぼ矩形形状を有する。各ドライブ電極31DPの占有する領域は、1つのドライブ電極31DPの占有する領域を第2方向D2に並進させた領域に相当し、かつ、第2方向D2において互いに隣り合うドライブ検出要素31DPaが、互いに電気的に接続されていない状態で並んでいる。第2方向D2において互いに隣り合う2つのドライブ電極31DPの間には、4つのドライブ検出要素31DPaと、2つのドライブ接続要素31DPbによって囲まれたほぼ六角形形状を有した領域が区画される。そして、区画された各領域をドライブダミー31DDが占有する。
各ドライブ電極31DPの形成材料には、銅やアルミニウムなどの金属膜が用いられる。各ドライブ電極31DPは、別々に選択回路に接続されるとともに、選択回路が供給する駆動信号を受けることによって、選択回路に選択される。
ドライブ面31S、および、複数のドライブ電極31DPは、1つの透明接着層32によって透明基材33に貼り合わされる。透明接着層32は、表示面10Sに表示される画像などの情報を透過する光透過性を有し、ドライブ面31S、ドライブ電極31DP、および、ドライブダミー31DDと、透明基材33とを接着する。透明接着層32は、例えば、ポリエーテル系接着剤やアクリル系接着剤などから形成される。透明基材33は、透明誘電体層の一例であり、透明基材33における透明基材31と対向する面である裏面に、複数のドライブ電極31DPが並んでいる。
透明基材33は、例えば、ポリエチレンテレフタラートなどの透明樹脂フィルムや透明ガラス基板などであり、1つの基材から構成される単層構造であってもよいし、2つ以上の基材が重ねられた多層構造であってもよい。透明基材33は、表示面10Sに表示される画像などの情報を透過する光透過性と、静電容量の変化の検出に適した比誘電率とを有する。透明基材33は、透明誘電体基材の一例である。
[センシング電極33SPの構成]
透明基材33における透明接着層32とは反対側の面である表面は、センシング面33Sである。センシング面33Sには、複数のセンシング電極33SPが位置する。各センシング電極33SPは、第2方向D2に沿って括れを繰り返す帯形状を有し、かつ、第1方向D1に沿って並んでいる。
各センシング電極33SPは、導線の一例であるセンシング電極線の集合である。各センシング電極33SPは、第2方向D2に沿って並ぶ複数のセンシング検出要素33SPaと、第2方向D2において互いに隣り合うセンシング検出要素33SPaを接続するセンシング接続要素33SPbとから構成される。センシング検出要素33SPaとセンシング接続要素33SPbとは、第2方向D2に沿って1つずつ交互に配置される。複数のセンシング検出要素33SPaのうち、第2方向D2の一端に位置するセンシング検出要素33SPaは、パッド33Pを介して測定回路に接続される。センシング検出要素33SPaは、第2検出要素の一例であり、センシング接続要素33SPbは、第2接続要素の一例である。
センシング面33Sには、さらに、複数のセンシングダミー33SDが配置される。各センシングダミー33SDは、導線の一例であるセンシングダミー線から構成されるとともに、互いに隣り合うセンシング電極33SPの間に位置し、かつ、センシング電極33SPから離れている。センシングダミー33SDは、センシング電極33SPから電気的に絶縁された導線の集合であるとともに、操作面20Sと対向する視点から見て、矩形格子模様の一部を模した模様を有する第2ダミーの一例である。
操作面20Sと対向する視点から見て、ドライブ検出要素31DPaは、センシングダミー33SDと向かい合い、かつ、センシング検出要素33SPaは、ドライブダミー31DDと対向する。また、操作面20Sと対向する視点から見て、ドライブ接続要素31DPbは、センシング接続要素33SPbと対向する。操作面20Sと対向する視点から見て、タッチパネル用電極には、最小の繰り返し単位であるノードNが定められる。ノードNは、ドライブ接続要素31DPb、および、センシング接続要素33SPbを中心とした領域である。ノードNは、ドライブ検出要素31DPa、センシング検出要素33SPa、ドライブダミー31DD、および、センシングダミー33SDを含む矩形領域である。
センシング検出要素33SPaの占有する領域は、操作面20Sと対向する視点から見て、例えば、ほぼ六角形形状を有する。センシング接続要素33SPbの占有する領域は、操作面20Sと対向する視点から見て、例えば、センシング検出要素33SPaの一辺をセンシング検出要素33SPaと共有するほぼ矩形形状を有する。各センシング電極33SPの占有する領域は、1つのセンシング電極33SPの占有する領域を第1方向D1に並進させた領域に相当し、かつ、第1方向D1において互いに隣り合うセンシング検出要素33SPaが、互いに電気的に接続されていない状態で並んでいる。第1方向D1において互いに隣り合う2つのセンシング電極33SPの間には、4つのセンシング検出要素33SPaと、2つのセンシング接続要素33SPbによって囲まれたほぼ六角形形状を有した領域が区画される。そして、区画された各領域をセンシングダミー33SDが占有する。
センシング検出要素33SPaの占有する領域は、操作面20Sと対向する視点から見て、ドライブ検出要素31DPaの占有する領域を90°回転させた形状、および、大きさとほぼ等しい。また、センシング検出要素33SPaの占有する領域は、操作面20Sと対向する視点から見て、ドライブダミー31DDが占有する領域の形状、および、大きさともほぼ等しい。
タッチセンサ用電極21では、操作面20Sと対向する視点から見て、ドライブ接続要素31DPbとセンシング接続要素33SPbとが互いに重なるように、ドライブ電極31DPとセンシング電極33SPとが配置される。
各センシング電極33SPの形成材料には、上述したドライブ電極31DPと同様、銅やアルミニウムなどの金属膜が用いられる。各センシング電極33SPは、別々に検出回路に接続されるとともに、センシング電極33SPごとの電圧が、検出回路によって検出される。選択回路、および、検出回路は、駆動回路の一例であり、タッチセンサ用電極21、および、駆動回路が、タッチセンサの一例を構成する。
センシング面33S、および、複数のセンシング電極33SPは、上述した透明接着層23によってカバー層22に貼り合わされる。
[表示装置の断面構造]
図2が示すように、タッチパネル20においては、液晶パネル10に近い構成要素から順番に、透明基材31、ドライブ電極31DP、透明接着層32、透明基材33、センシング電極33SP、透明接着層23、カバー層22が位置する。これらの積層要素のうち、透明基材33は、全てのドライブ電極31DPと、全てのセンシング電極33SPとに挟まれている。
透明接着層32は、ドライブ電極31DPを構成する各ドライブ電極線の周りを覆い、かつ、互いに隣り合うドライブ電極線の間を埋め、ドライブ電極31DPと透明基材33との間に位置する。透明接着層23は、センシング電極33SPを構成する各センシング電極線の周りを覆い、かつ、互いに隣り合うセンシング電極線の間を埋め、センシング電極33SPとカバー層22との間に位置する。なお、これらの積層要素において、透明接着層23、および、透明基材31の少なくとも一方は、割愛されてもよい。なお、透明接着層23の省略される構成においては、カバー層22が有する面の中で透明基材33と対向する面がセンシング面33Sであり、センシング面33Sに形成される1つの薄膜のパターニングによって、複数のセンシング電極33SPが形成されてもよい。
なお、タッチパネル20の製造に際しては、タッチセンサ用電極21とカバー層22とが、透明接着層23によって貼り合わされる方法が採用されてもよいし、こうした製造方法とは異なる他の例として、以下の製造方法が採用されてもよい。すなわち、樹脂フィルムなどのカバー層22に銅などの導電性金属から構成される薄膜層を直に、もしくは、下地層を介して形成し、薄膜層の上にセンシング電極のパターン形状を有したレジスト層を形成する。次いで、塩化第二鉄などを用いたウェットエッチング法によって、薄膜層を複数のセンシング電極33SPに加工して、第1のフィルムを得る。また、センシング電極33SPと同様に、他の樹脂フィルムに形成された薄膜層を複数のドライブ電極31DPに加工して、第2のフィルムを得る。そして、ドライブ電極31DPとセンシング電極33SPとが透明基材33を挟むように、第1フィルムと第2フィルムとが配置される。
液晶パネル10においては、タッチパネル20から遠い構成要素から順番に、液晶パネル10を構成する複数の構成要素が以下のように並んでいる。すなわち、タッチパネル20から遠い構成要素から順番に、下側偏光板11、薄膜トランジスタ(以下、TFT)基板12、TFT層13、液晶層14、カラーフィルタ層15、カラーフィルタ基板16、上側偏光板17が位置する。これらの積層要素のうち、TFT層13には、サブ画素を構成する画素電極が、マトリクス状に位置する。そして、カラーフィルタ層15では、ブラックマトリクス15aが、サブ画素の各々と対向する矩形形状を有する複数の領域を区画し、ブラックマトリクス15aの区画する各領域には、白色光を赤色、緑色、および、青色のいずれかの色の光に変える上述した着色層が位置する。
液晶パネル10は、表示パネルの一例であり、表示パネルは、液晶パネルに限らず、例えば、有機ELパネルやLEDパネルなどであってもよい。
[タッチパネルの電気的構成]
図3を参照して、タッチパネル20の電気的構成を説明する。なお、以下では、静電容量式のタッチパネル20の一例として、相互容量方式のタッチパネル20における電気的構成を説明する。
図3が示すように、タッチパネル20は、選択回路34、検出回路35、および、制御部36を備える。選択回路34は、各ドライブ電極31DPに接続され、検出回路35は、各センシング電極33SPに接続され、制御部36は、選択回路34と検出回路35とに接続される。
制御部36は、走査開始信号を生成し、その走査開始信号を選択回路34へ出力する。走査開始信号は、各ドライブ電極31DPに対する駆動信号の生成を選択回路34に開始させるための信号である。また、制御部36は、走査切替信号を生成し、その走査切替信号を選択回路34へ出力する。走査切替信号は、駆動信号の供給される対象を1番目のドライブ電極31DPからn番目のドライブ電極31DPに向けて、選択回路34に順次走査させるための信号である。
制御部36は、検出開始信号を生成し、その検出開始信号を検出回路35へ出力する。検出開始信号は、各センシング電極33SPを流れる電流の検出を検出回路35に開始させるための信号である。制御部36は、検出切替信号を生成し、その検出切替信号を検出回路35へ出力する。検出切替信号は、検出の対象を1番目のセンシング電極33SPからn番目のセンシング電極33SPに向けて、検出回路35に順次走査させるための信号である。
選択回路34は、制御部36の出力した走査開始信号に基づいて、駆動信号の生成を開始し、制御部36の出力した走査切替信号に基づいて、駆動信号の出力先を1番目のドライブ電極31DP1からn番目のドライブ電極31DPnに向けて順に走査する。
検出回路35は、信号取得部35aと信号処理部35bとを備える。信号取得部35aは、制御部36の出力した検出開始信号に基づいて、各センシング電極33SPに生成されたアナログ信号である電流信号の取得を開始する。そして、信号取得部35aは、制御部36の出力した検出切替信号に基づいて、電流信号の取得元を1番目のセンシング電極33SP1からn番目のセンシング電極33SPnに向けて順に走査する。
信号処理部35bは、信号取得部35aの取得した各電流信号を処理するとともに、デジタル値である電圧信号を生成し、生成された電圧信号を制御部36へ出力する。このように、選択回路34と検出回路35とは、静電容量の変化に応じて変わる電流信号から電圧信号を生成することによって、ドライブ電極31DPとセンシング電極33SPとの間の静電容量の変化を測定する。
制御部36は、信号処理部35bの出力した電圧信号に基づいて、タッチパネル20において使用者の指などが触れている入力位置を検出する。なお、タッチパネル20における入力位置の検出方式は、上述した相互容量方式に限らず、自己容量方式であってもよい。
[ノードNの構成]
図4を参照して、ドライブ電極、ドライブダミー、センシング電極、および、センシングダミーの構造を説明する。図4は、ノードNにおける導線の配置をドライブ電極31DPとセンシング電極33SPとに分けて示す便宜上、各導線の線幅が誇張して示される。
図4が示すように、操作面20Sと対向する視点から見て、タッチパネル用電極は、矩形格子模様を有した導線格子LAを備える。矩形格子模様は、第1交差方向C1に沿って延びる導線と、第1交差方向C1と直交する第2交差方向C2に沿って延びる導線とから構成される。導線格子LAにおける単位格子LSは、操作面20Sと対向する視点から見て、1辺の長さが格子ピッチPLである正方形形状を有する。第1方向D1と第1交差方向C1との形成する角度は、ブラックマトリクス15aが形成する矩形格子模様と、導線格子LAが形成する矩形格子模様との干渉によるモアレの発生を抑える角度が好ましく、第2方向D2と第1交差方向C1との形成する角度以下である例えば、63.435°である。
導線格子LAは、ドライブ面31Sに位置するドライブ電極31DP、ドライブ面31Sに位置するドライブダミー31DD、センシング面33Sに位置するセンシング電極33SP、および、センシング面33Sに位置するセンシングダミー33SDとから構成される。ドライブ電極31DP、ドライブダミー31DD、センシング電極33SP、および、センシングダミー33SDは、別々の導線から構成される。
ドライブ検出要素31DPaを構成するドライブ電極線DPaLと、センシングダミー33SDを構成するセンシングダミー線SDLとは、別々の導線であるとともに、操作面20Sと対向する視点から見て、共通する単位格子LSを構成する。センシング検出要素33SPaを構成するセンシング電極線SPaLと、ドライブダミー31DDを構成するドライブダミー線DDLとは、別々の導線であるとともに、操作面20Sと対向する視点から見て、共通する単位格子LSを構成する。
ドライブ検出要素31DPaを構成するドライブ電極線DPaLの構造は、操作面20Sと対向する視点から見て、センシング検出要素33SPaを構成するセンシング電極線SPaLを、ノードNの中心を回転中心として、90°回転させた構造とほぼ等しい。一方で、ドライブ検出要素31DPaを構成するドライブ電極線DPaLの構造は、ドライブダミー31DDを構成するドライブダミー線DDLの構造とは全く異なる。ドライブダミー31DDを構成するドライブダミー線DDLの構造は、センシング検出要素33SPaを構成するセンシング電極線SPaLを導線格子LAに従って結ぶように構成される。
センシング検出要素33SPaを構成するセンシング電極線SPaLの構造は、操作面20Sと対向する視点から見て、ドライブ検出要素31DPaを構成するドライブ電極線DPaLを、ノードNの中心を回転中心として、90°回転させた構造とほぼ等しい。一方で、センシング検出要素33SPaを構成するセンシング電極線SPaLの構造は、センシングダミー33SDを構成するセンシングダミー線SDLの構造とは全く異なる。センシングダミー33SDを構成するセンシングダミー線SDLの構造は、ドライブ検出要素31DPaを構成するドライブ電極線DPaLを導線格子LAに従って結ぶように構成される。
ドライブ接続要素31DPbを構成するドライブ電極線DPbLと、センシング接続要素33SPbを構成するセンシング電極線SPbLとは、別々の導線であるとともに、操作面20Sと対向する視点から見て、共通する単位格子LSを構成する。ドライブ接続要素31DPbを構成するドライブ電極線DPbLの構造は、操作面20Sと対向する視点から見て、センシング接続要素33SPbを構成するセンシング電極線SPbLを、ノードNの中心を回転中心として、90°回転させた構造とほぼ等しい。
図中一点鎖線が示すように、ノードNにおける対角線は、ドライブ検出要素31DPaとドライブダミー31DDとの境界である。また、ノードNにおける対角線は、センシング検出要素33SPaとセンシングダミー33SDとの境界でもある。ノードNにおける対角線、および、ノードNにおける対角線の近傍に位置する導線は、ドライブ検出要素31DPaとドライブダミー31DDとが電気的に絶縁されるように、切断される。また、ノードNにおける対角線、および、ノードNにおける対角線の近傍に位置する導線は、センシング検出要素33SPaとセンシングダミー33SDとが電気的に絶縁されるように、切断される。
なお、ドライブ電極線DPaL,DPbL、および、ドライブダミー線DDLの形成材料は、上述した金属のうち、例えば、銅であることが好ましい。また、操作面20Sと対向する視点から見て、ドライブ電極線DPaL,DPbL、および、ドライブダミー線DDLの各々は、同じ色相、例えば、黒色を有することが好ましい。例えば、ドライブ電極線DPaL,DPbL、および、ドライブダミー線DDLは、ドライブ電極線DPaL,DPbL、および、ドライブダミー線DDLを形成するための金属薄膜に黒化処理が行われることによって黒色を有する。あるいは、ドライブ電極線DPaL,DPbL、および、ドライブダミー線DDLは、ドライブ電極線DPaL,DPbL、および、ドライブダミー線DDLに直接黒化処理が行われることによって黒色を有する。黒化処理は、例えば、酸化処理、あるいは、黒色を有する金属膜をめっきするめっき処理などである。なお、センシング電極線SPaL,SPbL、および、センシングダミー線SDLもまた、ドライブ電極線DPaL,DPbL、および、ドライブダミー線DDLと同様、すなわち、同じ色相、例えば黒色を有することが好ましい。
[ドライブ電極31DP内の導線配置]
図5、および、図6を参照して、ドライブ電極31DP、および、ドライブダミー31DDにおける導線の詳細な構造を説明する。なお、上述したように、ノードNごとのセンシング電極33SPは、ノードNごとのドライブ電極31DPをノードNの中心を回転中心として回転させた構造体である。また、ノードNごとのセンシングダミー33SDは、ノードNごとのドライブダミー31DDをノードNの中心を回転中心として回転させた構造体である。そのため、以下では、センシング電極33SPが有する構造のなかでドライブ電極31DPが有する構造と重複する説明を割愛し、また、センシングダミー33SDが有する構造のなかでドライブダミー31DDが有する構造と重複する説明を割愛する。また、図5、および、図6の各々は、ドライブ電極線DPaL,DPbL、および、ドライブダミー線DDLの配置を詳細に説明する便宜上、導線の有する線幅を誇張して示す。
図5が示すように、導線格子LAのなかでドライブ面31Sに位置する導線は、ノードNに含まれる導線を最小単位とし、第1方向D1、および、第2方向D2に沿って、ノードNに含まれる導線が繰り返し並進された構造を有する。互いに隣り合うノードNの間に跨る導線は、例えば、図中の円Cが囲う領域のように、ドライブ電極31DPであれ、ドライブダミー31DDであれ、電気的に接続される。なお、互いに隣り合うノードNの間に跨る導線の中でドライブダミー31DDを構成する導線は、互いに隣り合うノードNの境界において、電気的に切断されていてもよい。
ドライブ検出要素31DPaを構成する導線は、操作面20Sと対向する視点から見て、ドライブ検出要素31DPaの占有する領域を複数の閉区画に分割する。ドライブ検出要素31DPaを構成する導線のなかで各閉区画を囲む導線は、図中の一点鎖線が囲むように、包囲導線APDである。各包囲導線APDは、それの囲む閉区画内に他の導線が含まれない態様で、操作面20Sと対向する視点から見て、四角以上の偶数多角形形状を有する。包囲導線APDが形成する多角形の少なくとも一辺は、格子ピッチPLの2倍である最短導線長PLD以上の長さを有する。そして、ドライブ検出要素31DPaに含まれる各包囲導線APDは、互いに隣り合う閉区画間において、少なくとも一辺を共有する。
すなわち、ドライブ検出要素31DPaは、複数の包囲導線APDから構成され、包囲導線APDが囲う閉区画は、ドライブ検出要素31DPaが占有する領域の全体を埋め尽くする。そして、互いに隣り合う閉区画間において包囲導線APDの一部が共有されることによって、閉区画間の電気的な接続が確保され、ドライブ検出要素31DPaの全体にわたる導通が確保される。
各包囲導線APDが形成する多角形は、第1交差方向C1に突き出る端部を有したL字形状の六角形や、第2交差方向C2に突き出る端部を有したL字形状の六角形や、正方形や、第1交差方向C1に延びる長方形を含む。一方で、ドライブ検出要素31DPaの全体においては、各包囲導線APDが形成する多角形のなかに、第1交差方向C1に延びる多角形と、第2交差方向C2に延びる多角形とが、ほぼ同じ数で含まれるように、ドライブ検出要素31DPaは構成される。言い換えれば、ドライブ検出要素31DPaを構成する導線の中で、第1交差方向C1に沿って延びる各導線の長さの合計と、第2交差方向C2に沿って延びる各導線の長さの合計とは、ほぼ等しい。
図6が示すように、ドライブダミー31DDは、第1交差方向C1に沿って延びる導線と、第2交差方向C2に沿って延びる導線との交差部ADDを、ドライブ検出要素31DPaよりも多く含んでいる。ドライブダミー31DDに含まれる交差部ADDは、ノードNの中心を回転中心として、ドライブダミー31DDが回転されたとき、包囲導線APDによって囲まれた閉区画内に交差部ADDが位置するように、配置される。言い換えれば、センシング検出要素33SPaに対しドライブダミー31DDが重ねられたとき、操作面20Sと対向する視点から見て、ドライブダミー31DDに含まれる交差部ADDは、センシング検出要素33SPaに含まれる包囲導線APD内を区画し、それによって、単位格子LSを形成する。
なお、ドライブダミー31DDに含まれる交差部ADDの数が、ドライブ検出要素31DPaに含まれる交差部の数よりも十分に多いことは、上記のように、ドライブダミー31DDとセンシング検出要素33SPaとの重ね合わせによって、1つの導線格子LAを形成するためである。すなわち、ドライブ検出要素31DPaやセンシング検出要素33SPaが、そもそも複数の包囲導線APDから構成され、ドライブダミー31DDやセンシングダミー33SDは、こうした包囲導線APD内に単位格子LSを形成するための機能を有するからである。
ドライブ検出要素31DPaにおいて、ドライブダミー31DDとの境界の近傍には、ノードNの対角線の傾きに近い傾きを有する導線が配置される。例えば、ノードNの対角線の中で、第1交差方向C1と形成する角度が相対的に小さい対角線の近傍には、第1交差方向C1に沿った複数の導線が、その対角線と対向するように配置される。また、ノードNの対角線の中で、第2交差方向C2と形成する角度が相対的に小さい対角線の近傍には、第2交差方向C2に沿った複数の導線が、その対角線と対向するように配置される。
こうしたドライブ検出要素31DPaにおいて、ドライブダミー31DDとの境界を構成する端部は、ノードNの対角線と対向する導線上に、導線格子LAにおける複数の格子点Pが配置される。また、ドライブ検出要素31DPaの端部には、こうした導線格子LAの格子点Pから対角線に向けて延びる複数の端部導線DPELが配置される。各端部導線DPELが有する長さは、ドライブ検出要素31DPaを構成する導線の中で、各端部導線DPEL以外の他の導線よりも短い。詳しくは、各端部導線DPELが有する長さは、格子ピッチPLよりも短い。
第1方向D1において互いに隣り合うドライブ検出要素31DPaは、ドライブ接続要素31DPbによって接続される。ドライブ接続要素31DPbを構成する導線は、操作面20Sと対向する視点から見て、ドライブ検出要素31DPaとは異なる規則に従って配置される。すなわち、先に説明したように、ドライブ検出要素31DPaを構成する導線は、各包囲導線APDの形成する多角形において、第1交差方向C1に延びる多角形と、第2交差方向C2に延びる多角形とが、ほぼ同じ数で含まれるように、配置される。これに対し、ドライブ接続要素31DPbを構成する導線は、これらの導線によって区画される領域が第1交差方向C1に沿って延びるように、配置される。
詳しくは、ドライブ接続要素31DPbは、格子ピッチPLの4倍である接続長PL4を有し、かつ、第1交差方向C1に沿って延びる3本のドライブ電極線DPbLと、格子ピッチPLの2倍の長さを有し、かつ、第2交差方向C2に沿って延びる2本のドライブ電極線DPbLとによって構成される。第1交差方向C1に沿って延びる3本のドライブ電極線DPbLは、ドライブ検出要素31DPaから連続し、第2交差方向C2において格子ピッチPLを空けて並んでいる。第2交差方向C2に沿って延びる2本のドライブ電極線DPbLは、ドライブ検出要素31DPaから連続し、かつ、上記3本のドライブ電極線DPbLを第2交差方向C2において並列に接続する。
このように、ドライブ検出要素31DPaを構成する導線の中では、第1交差方向C1に沿って延びる各導線の長さの合計と、第2交差方向C2に沿って延びる各導線の長さの合計とが、ほぼ等しいように、ドライブ検出要素31DPaは構成される。これに対し、ドライブ接続要素31DPbを構成する導線の中では、第1交差方向C1に沿って延びる各導線の長さの合計が、第2交差方向C2に沿って延びる各導線の長さの合計よりも大きいように、ドライブ接続要素31DPbは構成される。
[タッチセンサ用電極の作用]
図7から図12を参照してタッチセンサ用電極の作用を説明する。なお、図7、および、図8は、説明の便宜上、ドライブ電極31DPの位置する透明基材31の図示を省略する。また、図7は、説明の便宜上、ドライブダミー線DDL、および、センシングダミー線SDLが破線で示される。
まず、タッチセンサ用電極21においては、操作面20Sと対向する視点から見て、ドライブ電極31DPとセンシングダミー33SDとが、矩形格子模様を共同で形成し、かつ、センシング電極33SPとドライブダミー31DDとが、矩形格子模様を共同で形成する。そして、操作面20Sと対向する視点から見て、ドライブ電極31DPが占有する領域には、矩形格子模様のなかでドライブ電極31DP以外の部分を模したセンシングダミー33SDと、ドライブ電極31DPとが混在する。また、操作面20Sと対向する視点から見て、センシング電極33SPが占有する領域には、矩形格子模様のなかでセンシング電極31DP以外の部分を模したドライブダミー31DDと、センシング電極33SPとが混在する。
それゆえに、操作面20Sと対向する視点から見て、ドライブ電極31DPと、センシング電極33SPとが、別々の構造体として認識されにくくなる。そして、ドライブ電極31DPの有する色と、センシング電極33SPの有する色とにおける、明度および彩度の少なくとも一方が相互に異なっても、ドライブ電極31DP色と、センシング電極33SPの色との違いが目立ちにくくなる。結果として、ドライブ電極31DPとセンシング電極33SPとの境界が視認されることが抑えられ、それによって、ドライブ電極31DPとセンシング電極33SPとが別々に視認されることに起因したモアレの発生が抑えられる。
次に、図7が示すように、ドライブ電極31DPに駆動信号が入力されると、例えば、第2方向D2において互いに隣り合うドライブ検出要素31DPaとセンシング検出要素33SPaとの間に電界EFが形成される。ドライブ検出要素31DPaとセンシング検出要素33SPaとのうち、ドライブ検出要素31DPaを構成する導線と、センシング検出要素33SPaを構成する導線との間に電界EFが形成される。
ドライブ検出要素31DPaとセンシング検出要素33SPaとは、操作面20Sと対向する視点から見て、互いに重ならないため、透明基材33の外側からの電気的な影響を受けやすい部分である。そのため、ドライブ検出要素31DPaとセンシング検出要素33SPaとの間の電界EFも、透明基材33の外側からの電気的な影響を受けやすい。
こうしたタッチセンサ用電極21に人の指Fが近付くと、指Fに触れた電界EFが人体を介して変化し、それによって、ドライブ電極31DPとセンシング電極33SPとの間に形成される静電容量の大きさが変わる。上述したように、電界EFは、ドライブ検出要素31DPaからセンシング検出要素33SPaに向けて延びる際に、外側からの電気的な影響を受けやすいため、電界EFは人の指Fによって影響されやすい。それゆえに、タッチセンサ用電極21においては、ドライブ検出要素31DPaとセンシング検出要素33SPaとの間において、人の指Fの接触に対する感度が高くなる。結果として、人の指Fの接触した位置を検出する感度が高くなる。
一方で、図8が示すように、ドライブ接続要素31DPbと、センシング接続要素33SPbとが、立体的に交差する部分でも、静電容量は形成される。そのため、選択回路34がドライブ電極31DPに駆動信号を出力するとき、ドライブ接続要素31DPbの導線から、センシング接続要素33SPbの導線に向けてほぼ直線形状を有する電界EFが延びている。こうした電界EFは、透明基材33の外側からの電気的な影響を受けにくい。それゆえに、タッチセンサ用電極21のうち、ドライブ接続要素31DPbとセンシング接続要素33SPbとが立体的に重なる部分に人の指Fが近付いても、指Fが近付く前の電界EFの状態と、指Fが近付いた後の電界EFの状態が、大きくは変わらない。
ここで、上述したように、タッチセンサ用電極21においては、ドライブ検出要素31DPaと、センシング検出要素33SPaとの間の静電容量の変化によって、入力位置の検出感度が高められる。そのため、これらの間の静電容量の変化が、精度よく検出されるうえで、ドライブ接続要素31DPbとセンシング接続要素33SPbとの間の静電容量は、小さいことが好ましく、結果として、ドライブ接続要素31DPbの占有面積やセンシング接続要素33SPbの占有面積を縮小することが、強く求められている。こうしたドライブ接続要素31DPbが占有する面積の縮小や、センシング接続要素33SPbが占有する面積の縮小は、ドライブ接続要素31DPbを構成する導線の本数や、センシング接続要素33SPbを構成する導線の本数の減少を招く。結果として、ドライブ検出要素31DPa間の電気的な接続や、センシング検出要素33SPa間の電気的な接続の信頼性を損なうことになる。
この点、図9が示すように、ドライブ接続要素31DPbは、第1交差方向C1に沿って延びる3本のドライブ電極線DPbLを含み、それによって、互いに隣り合うドライブ検出要素31DPaの電気的な接続を保つ。第1交差方向C1は、導線の延在方向のなかで、互いに隣り合うドライブ検出要素31DPaの間を直接接続する導線の延在方向である。そして、例えば、これら3本のドライブ電極線DPbLのなかの2本に欠陥DFが発生するとしても、残りの1本のドライブ電極線DPbLは、ドライブ検出要素31DPaの電気的な接続を保ち、ドライブ検出要素31DPaの間における電流Diの流れを確保する。結果として、第1交差方向C1に沿って延びる導線の占める割合が、ドライブ検出要素31DPaよりもドライブ接続要素31DPbで大きいため、第1方向D1において互いに隣り合うドライブ検出要素31DPa間では、電気的な接続に対する冗長性を高めることが可能である。
このようなドライブ接続要素31DPbにおいて得られる高い冗長性は、センシング接続要素33SPbにおいても同様である。すなわち、第2交差方向C2に沿って延びる導線の占める割合が、センシング検出要素33SPaよりもセンシング接続要素33SPbで大きいため、第2方向D2において互いに隣り合うセンシング検出要素33SPa間では、電気的な接続に対する冗長性を高めることが可能である。
しかも、上述した3本のドライブ電極線DPbLの延在方向は、第1交差方向C1であり、この第1交差方向C1は、それと直交する第2交差方向C2よりも、ドライブ検出要素31DPaの並ぶ方向である第1方向D1に近い。すなわち、互いに隣り合うドライブ検出要素31DPaの電気的な接続は、これらドライブ検出要素31DPaの並ぶ方向に近しい方向に延びる複数の導線によって得られている。そのため、第2交差方向C2に沿って延びるドライブ電極線DPbLが、ドライブ検出要素31DPa間を電気的に接続する構成と比べて、ドライブ接続要素31DPbの占有する面積が限られる構成においては、ドライブ検出要素31DPa間を直接接続する導線の本数を多くすることが可能でもある。ひいては、ドライブ検出要素31DPa間において、電気的な接続に対する冗長性をさらに高めることが可能でもある。また、ドライブ検出要素31DPa間を直接接続する導線の本数を所定の本数とする前提においては、ドライブ接続要素31DPbの占有する面積を縮小することが可能でもある。
なお、図10が示すように、ドライブ検出要素31DPaの端部には、導線格子LAの格子点Pから対角線に向けて延びる複数の端部導線DPELが配置され、各端部導線DPELが有する長さは、格子ピッチPLよりも短い。こうした構成からなるドライブ検出要素31DPaの端部において欠陥DFが発生するとしても、それによる電界の歪みは、図中一点鎖線で示すように、ドライブ検出要素31DPaの占める面積を小さくするが、その縮小される程度は、格子ピッチPLよりも短くて済む。結果として、入力位置の検出される精度を大きく損なうことが抑えられる。
以上、上記実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)第1交差方向C1に沿って延びる導線の占める割合が、ドライブ検出要素31DPaよりもドライブ接続要素31DPbで大きいため、第1方向D1において互いに隣り合うドライブ検出要素31DPa間では、電気的な接続に対する冗長性を高めることが可能である。
(2)第2交差方向C2に沿って延びる導線の占める割合が、センシング検出要素33SPaよりもセンシング接続要素33SPbで大きいため、第2方向D2において互いに隣り合うセンシング検出要素33SPa間では、電気的な接続に対する冗長性を高めることが可能である。
(3)ドライブ電極31DPにおいて、互いに隣り合うドライブ検出要素31DPa間は、3本のドライブ電極線DPbLによって電気的に接続される。これら3本のドライブ電極線DPbLの延在方向は、第1交差方向C1であり、この第1交差方向C1は、それと直交する第2交差方向C2よりも、ドライブ検出要素31DPaの並ぶ方向である第1方向D1に近い。そのため、第2交差方向C2に沿って延びるドライブ電極線DPbLが、ドライブ検出要素31DPa間を電気的に接続する構成と比べて、ドライブ検出要素31DPa間を直接接続する導線の本数を多くすることが可能でもある。ひいては、ドライブ検出要素31DPa間において、電気的な接続に対する冗長性をさらに高めることが可能でもある。
(4)センシング電極33SPにおいて、互いに隣り合うセンシング検出要素33SPa間は、3本のセンシング電極線によって電気的に接続される。これら3本のセンシング電極線の延在方向は、第2交差方向C2であり、この第2交差方向C2は、それと直交する第1交差方向C1よりも、センシング検出要素33SPaの並ぶ方向である第2方向D2に近い。そのため、第1交差方向C1に沿って延びるセンシング電極線が、センシング検出要素33SPa間を電気的に接続する構成と比べて、センシング検出要素33SPa間を直接接続する導線の本数を多くすることが可能でもある。ひいては、センシング検出要素33SPa間において、電気的な接続に対する冗長性をさらに高めることが可能でもある。
(5)ドライブ検出要素31DPaの端部において導線の断線が発生するとしても、静電容量の変動は、格子ピッチPL分の変動に相当する大きさ以下に収まる。それゆえに、ドライブ検出要素31DPaの端部における導線の断線に起因した検出精度の低下を抑えることが可能でもある。
(6)ドライブ検出要素31DPaの端部において導線の断線が発生するとしても、静電容量の変動は、格子ピッチPL分の変動に相当する大きさ以下に収まる。それゆえに、ドライブ検出要素31DPaの端部における導線の断線に起因した検出精度の低下を抑えることが可能でもある。
(7)ドライブ電極31DPとセンシングダミー33SDとにおける明度および彩度の少なくとも一方が互いに異なり、また、センシング電極33SPとドライブダミー31DDとにおける明度および彩度の少なくとも一方が互いに異なっても、ドライブ電極31DPとセンシング電極33SPとの色の違いが目立ちにくくなる。
このような構成においては、ドライブ電極31DPとセンシングダミー33SDとの重なり、および、センシング電極33SPとドライブダミー31DDとの重なりによって、導線格子LAが構成される。結果として、ドライブ電極31DPにおける導線の密度、および、センシング電極33SPにおける導線の密度は、これらにダミーが重ねられない構成と比べて低い。一方で、上述した構成であれば、ドライブ電極31DPにおいて、ドライブ検出要素31DPaの導線と、ドライブ接続要素31DPbの導線とが互いに異なる構造を有し、また、センシング検出要素33SPaの導線と、センシング接続要素33SPbの導線とが互いに異なる構造を有する。特に、ドライブ接続要素31DPbの導線、および、センシング接続要素33SPbの導線は、電気的な接続の冗長性を高める構成とされているため、上述した色の違いに起因してモアレが発生することを抑制しつつも、上記(1)から(6)に順じた効果が得られる。
なお、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
[導線]
・ドライブ電極、ドライブダミー、センシング電極、および、センシングダミーの各々の導線は、黒色を有していなくともよい。例えば、各々の導線は、金属光沢を有する、あるいは、光透過性を有する構成であってもよい。この際に、光透過性を有する電極線の形成材料には、酸化亜鉛などの金属酸化物膜、および、酸化インジウム錫や酸化インジウムガリウム亜鉛などのインジウム、スズ、ガリウム、および、亜鉛などの金属酸化物を含む複合酸化物膜が用いられる。なお、金属光沢を有する電極線には、上述した金属膜に加えて、銀ナノワイヤーや導電性高分子膜を用いることもできる。また、黒色を有する電極線には、黒化処理の施された金属線に限らず、グラフェン膜などの導電膜も用いられる。
こうした構成であっても、ドライブ電極31DPと、センシング電極33SPとの間には、透明基材33が位置するため、ドライブ電極31DPの有する色と、センシング電極33SPの有する色とは、透明基材33の表面から見て少なからず異なっている。それゆえに、上述した(1)から(7)に準じた効果が少なからず得られる。
[接続要素]
・図11が示すように、上記ドライブ接続要素31DPbにおける接続導線である3本のドライブ電極線DPbLのうち、中央に位置する領域Kのドライブ電極線DPbLが2つに分割され、かつ、これら第1交差方向C1に沿って延びる4本のドライブ電極線DPbLを並列に接続する1つのドライブ並列電極線DPcLが新たに加えられてもよい。こうした構成であっても、第1交差方向C1に沿って延びる接続導線の占める割合が、ドライブ検出要素31DPaよりもドライブ接続要素31DPbで大きいため、第1方向D1において互いに隣り合うドライブ検出要素31DPa間では、電気的な接続に対する冗長性を高めることが可能である。
・センシング接続要素33SPbを構成する導線の中で第2交差方向C2に沿って延びる導線の占める割合は、センシング検出要素33SPaを構成する導線の中で第2交差方向C2に沿って延びる導線の占める割合以下であってもよい。あるいは、ドライブ接続要素31DPbを構成する導線の中で第1交差方向C1に沿って延びる導線の占める割合は、ドライブ検出要素31DPaを構成する導線の中で第1交差方向C1に沿って延びる導線の占める割合以下であってもよい。要は、ドライブ電極31DPとセンシング電極33SPとのいずれか一方において、上述した条件を満たすタッチパネル用電極の構成であればよい。
・第1方向D1と第1交差方向C1との形成する角度は、第2方向D2と第1交差方向C1との形成する角度と同じであってもよく、あるいは、第2方向D2と第1交差方向C1との形成する角度よりも大きくてもよい。
[導線格子]
・ドライブ電極を構成する導線の本数と、センシング電極を構成する導線の本数とは、矩形格子模様を有した導線格子を形成することが可能な範囲において、任意に変更することができる。
・導線格子における単位格子は、操作面20Sと対向する視点から見て、正方形形状に限らず、例えば、長方形形状、あるいは、菱形形状であってもよい。なお、導線格子における単位格子が正方形形状を有する構成であれば、ドライブ電極31DPやドライブダミー31DDを回転させた構造をセンシング電極33SPやセンシングダミー33SDに採用することができるため、ドライブ電極31DPとセンシング電極33SPとの設計に要する負荷を軽減することが可能でもある。
・導線格子における単位格子が正方形形状である構成であれ、導線格子における単位格子が長方形形状である構成であれ、ドライブ検出要素31DPaの占有する領域と、センシング検出要素33SPaの占有する領域は、操作面20Sと対向する視点から見て、回転対称であってもよいし、非回転対称であってもよい。ドライブダミー31DDの占有する領域と、センシングダミー33SDの占有する領域もまた、操作面20Sと対向する視点から見て、回転対称であってもよいし、非回転対称であってもよい。非回転対称となる構造の一例としては、各々の検出要素における包囲導線APDの形状、大きさ、数量が互いに異なる構成や、各々の検出要素とそれに併設されたダミーとの間の隙間の大きさが互いに異なる構成が挙げられる。また、非回転対称となる構造の一例としては、各々のダミーにおける交差部ADDの大きさや数量が互いに異なる構造が挙げられる。
[タッチセンサ用電極]
・図12が示すように、タッチパネル20を構成するタッチセンサ用電極21において、透明基材31、および、透明接着層32は、割愛されてもよい。こうした構成において、透明基材33の面の中で液晶パネル10と対向する面はドライブ面31Sとして機能し、ドライブ面31Sにはドライブ電極31DPが配置される。そして、透明基材33においてドライブ面31Sとは反対側の面にはセンシング電極33SPが配置される。
なお、こうした構成におけるドライブ電極31DPは、例えば、ドライブ面31Sに形成された1つの薄膜のパターニングによって形成される。
・図13が示すように、タッチパネル20においては、液晶パネル10に近い構成要素から順番に、ドライブ電極31DP、透明基材31、透明接着層32、透明基材33、センシング電極33SP、透明接着層23、カバー層22が位置してもよい。
なお、こうした構成においては、例えば、ドライブ電極31DPが、透明基材31の1つの面であるドライブ面31Sに形成され、センシング電極33SPが、透明基材33の1つの面であるセンシング面33Sに形成される。そして、透明基材31においてドライブ面31Sとは反対側の面と、透明基材33においてセンシング面33Sとは反対側の面とが、透明接着層32によって互いに接着される。
[表示装置]
・タッチパネル20と液晶パネル10とは、個別に形成されていなくともよく、タッチパネル20は、液晶パネル10と一体に形成されてもよい。こうした構成は、例えば、タッチセンサ用電極21のうち、複数のドライブ電極31DPがTFT層13に位置する一方、複数のセンシング電極33SPがカラーフィルタ基板16と上側偏光板17との間に位置するインセル型を採用することができる。あるいは、タッチセンサ用電極21がカラーフィルタ基板16と上側偏光板17との間に位置するオンセル型も採用することができる。