(第1実施形態)
図1〜図11を参照して、導電性フィルム、タッチパネル、および、表示装置の第1実施形態について説明する。なお、各図は、第1実施形態の導電性フィルム、タッチパネル、および、表示装置を説明するためにこれらの構成を模式的に示した図であり、各図に示される構成が有する各部位の大きさの比率は、実際の比率とは異なる場合がある。
[表示装置の構成]
図1を参照して、表示装置の構成について説明する。
図1が示すように、表示装置100は、例えば、液晶パネルである表示パネル10と、タッチパネル20とが、図示しない1つの透明接着層によって貼り合わされた積層体を備え、さらに、タッチパネル20を駆動するための回路やタッチパネル20の駆動を制御する制御部を備えている。なお、表示パネル10とタッチパネル20との相対的な位置が筐体などの他の構成によって固定される前提であれば、上記透明接着層は割愛されてもよい。
表示パネル10の表面には、略矩形形状の表示面が区画され、表示面には、画像データに基づく画像などの情報が表示される。
表示パネル10を構成する構成要素は、タッチパネル20から遠い構成要素から順番に、以下のように並んでいる。すなわち、タッチパネル20から遠い順番に、下側偏光板11、薄膜トランジスタ(以下、TFT)基板12、TFT層13、液晶層14、カラーフィルタ層15、カラーフィルタ基板16、上側偏光板17が位置している。
これらのうち、TFT層13には、サブ画素を構成する画素電極がマトリクス状に位置している。また、カラーフィルタ層15が有するブラックマトリクスは、矩形形状を有した複数の単位格子から構成される格子形状を有している。そして、ブラックマトリクスは、こうした格子形状によって、サブ画素の各々と向かい合う領域として矩形形状を有する複数の領域を区画し、ブラックマトリクスの区画する各領域には、白色光を赤色、緑色、および、青色のいずれかの色の光に変える着色層が位置している。
なお、表示パネル10が有色の光を出力するELパネルであって、赤色の光を出力する赤色画素、緑色の光を出力する緑色画素、および、青色の光を出力する青色画素を有する構成であれば、上述したカラーフィルタ層15は割愛されてもよい。この際に、ELパネルにおいて相互に隣り合う画素の境界部分は、ブラックマトリクスとして機能する。また、表示パネル10は放電によって発光するプラズマパネルであってもよく、この場合、赤色の蛍光体層と、緑色の蛍光体層と、青色の蛍光体層とを区画する境界部分がブラックマトリクスとして機能する。
タッチパネル20は、静電容量方式のタッチパネルであり、導電性フィルム21とカバー層22とが透明接着層23によって貼り合わされた積層体であって、表示パネル10の表示する情報を透過する光透過性を有している。
詳細には、タッチパネル20を構成する構成要素のなかで表示パネル10に近い構成要素から順番に、透明基板31、複数のドライブ電極31DP、透明接着層32、透明誘電体基板33、複数のセンシング電極33SP、透明接着層23、カバー層22が位置している。このうち、透明基板31、ドライブ電極31DP、透明接着層32、透明誘電体基板33、および、センシング電極33SPが、導電性フィルム21を構成している。
透明基板31は、表示パネル10の表示面が表示する画像などの情報を透過する光透過性と絶縁性とを有し、表示面の全体に重ねられている。透明基板31は、例えば、透明ガラス基板や、透明樹脂フィルムや、シリコン基板などの基材から構成される。透明基板31に用いられる樹脂としては、例えば、PET(Polyethylene Terephthalate)、PMMA(Polymethyl methacrylate)、PP(Polypropylene)、PS(Polystyrene)などが挙げられる。透明基板31は、1つの基材から構成される単層構造体であってもよいし、2つ以上の基材が重ねられた多層構造体であってもよい。
透明基板31における表示パネル10とは反対側の面は、ドライブ電極面31Sとして設定され、ドライブ電極面31Sには、複数のドライブ電極31DPが配置されている。複数のドライブ電極31DP、および、ドライブ電極面31Sにおいてドライブ電極31DPが位置しない部分は、1つの透明接着層32によって透明誘電体基板33に貼り合わされている。
透明接着層32は、表示面に表示される画像などの情報を透過する光透過性を有し、透明接着層32には、例えば、ポリエーテル系接着剤やアクリル系接着剤などが用いられる。
透明誘電体基板33は、表示面に表示される画像などの情報を透過する光透過性と、電極間における静電容量の検出に適した比誘電率とを有する。透明誘電体基板33は、例えば、透明ガラス基板や、透明樹脂フィルムや、シリコン基板などの基材から構成される。透明誘電体基板33に用いられる樹脂としては、例えば、PET、PMMA、PP、PSなどが挙げられる。透明誘電体基板33は、1つの基材から構成される単層構造体であってもよいし、2つ以上の基材が重ねられた多層構造体であってもよい。
複数のドライブ電極31DPが透明接着層32によって透明誘電体基板33に貼り合わされる結果、透明誘電体基板33における透明基板31と向かい合う面である裏面には、複数のドライブ電極31DPが並んでいる。
透明誘電体基板33における透明接着層32とは反対側の面である表面は、センシング電極面33Sとして設定され、センシング電極面33Sには、複数のセンシング電極33SPが配置されている。すなわち、透明誘電体基板33は、複数のドライブ電極31DPと、複数のセンシング電極33SPとに挟まれている。複数のセンシング電極33SP、および、センシング電極面33Sにおいてセンシング電極33SPが位置しない部分は、1つの透明接着層23によってカバー層22に貼り合わされている。
透明接着層23は、表示面に表示される画像などの情報を透過する光透過性を有し、透明接着層23には、例えば、ポリエーテル系接着剤やアクリル系接着剤などが用いられる。透明接着層23として用いられる接着剤の種類は、ウェットラミネート接着剤であってもよいし、ドライラミネート接着剤やホットラミネート接着剤であってもよい。
カバー層22は、強化ガラスなどのガラス基板や樹脂フィルムなどから形成され、カバー層22における透明接着層23とは反対側の面は、タッチパネル20における表面であって操作面20Sとして機能する。
なお、上記構成要素のうち、透明接着層23は割愛されてもよい。透明接着層23の省略される構成においては、カバー層22が有する面のなかで透明誘電体基板33と対向する面がセンシング電極面33Sとして設定され、センシング電極面33Sに形成される1つの薄膜のパターニングによって、複数のセンシング電極33SPが形成されればよい。
また、タッチパネル20の製造に際しては、導電性フィルム21とカバー層22とが、透明接着層23によって貼り合わされる方法が採用されてもよいし、こうした製造方法とは異なる他の例として、以下の製造方法が採用されてもよい。すなわち、樹脂フィルムなどのカバー層22に、銅などの導電性金属から構成される薄膜層が直に、もしくは、下地層を介して形成され、薄膜層の上にセンシング電極33SPのパターン形状を有したレジスト層が形成される。次いで、塩化第二鉄などを用いたウェットエッチング法によって、薄膜層が複数のセンシング電極33SPに加工されて、第1のフィルムが得られる。また、センシング電極33SPと同様に、透明基板31として機能する他の樹脂フィルムに形成された薄膜層が複数のドライブ電極31DPに加工されて、第2のフィルムが得られる。そして、第1フィルムと第2フィルムとが透明誘電体基板33を挟むように、透明誘電体基板33に対して透明接着層23,32によって貼り付けられる。
[導電性フィルムの平面構造]
図2を参照して、センシング電極33SPとドライブ電極31DPとの位置関係を中心に、導電性フィルム21の平面構造について説明する。なお、図2は、透明誘電体基板33の表面と対向する方向から導電性フィルム21を見た図であり、二点鎖線で囲まれた横方向に沿って延びる帯状領域の各々は、1つのセンシング電極33SPが配置される領域を示し、二点鎖線で囲まれた縦方向に沿って延びる帯状領域の各々は、1つのドライブ電極31DPが配置される領域を示している。なお、センシング電極33SPおよびドライブ電極31DPの数は簡略化して示している。
また、センシング電極33SPとドライブ電極31DPとの構成を理解しやすくするために、図2にて最も上側に位置するセンシング電極33SPについてのみ、センシング電極33SPを構成するセンシング電極線を太線で示し、図2にて最も左側に位置するドライブ電極31DPについてのみ、ドライブ電極31DPを構成するドライブ電極線を細線で示している。
図2が示すように、透明誘電体基板33のセンシング電極面33Sにおいて、複数のセンシング電極33SPの各々は、1つの方向である第1電極方向D1に沿って延びる帯形状を有し、かつ、第1電極方向D1と直交する第2電極方向D2に沿って並んでいる。各センシング電極33SPは、隣り合う他のセンシング電極33SPと互いに絶縁されている。
各センシング電極33SPは、複数のセンシング電極線33SRを含む。複数のセンシング電極線33SRには、第1交差方向C1に沿って延びる複数のセンシング電極線33SRaと、第1交差方向C1と直交する第2交差方向C2に沿って延びる複数のセンシング電極線33SRbとが含まれる。第1交差方向C1は、第1電極方向D1および第2電極方向D2のいずれとも異なり、これらの方向のいずれに対しても傾斜した方向である。また、第2交差方向C2も、第1電極方向D1および第2電極方向D2のいずれとも異なり、これらの方向のいずれに対しても傾斜した方向である。
複数のセンシング電極線33SRaと複数のセンシング電極線33SRbとが交差することにより、センシング電極面33Sには、矩形格子状のパターンが形成されている。
センシング電極線33SRの形成材料には、銅や銀やアルミニウムなどの金属膜が用いられ、センシング電極線33SRは、例えば、センシング電極面33Sに成膜された金属膜がエッチングによってパターニングされることにより形成される。各センシング電極33SPにおける第1電極方向D1の一方の端部では、センシング電極33SPごとに設けられたセンシングパッド33Pにセンシング電極線33SRが接続されている。そして、複数のセンシング電極33SPの各々は、センシングパッド33Pを介して個別にタッチパネル20の周辺回路の一例である検出回路に接続され、検出回路によって電流値を測定される。
透明基板31のドライブ電極面31Sにおいて、複数のドライブ電極31DPの各々は、第2電極方向D2に沿って延びる帯形状を有し、かつ、第1電極方向D1に沿って並んでいる。各ドライブ電極31DPは、隣り合う他のドライブ電極31DPと互いに絶縁されている。
各ドライブ電極31DPは、複数のドライブ電極線31DRを含む。複数のドライブ電極線31DRには、第1交差方向C1に沿って延びる複数のドライブ電極線31DRaと、第2交差方向C2に沿って延びる複数のドライブ電極線31DRbとが含まれる。複数のドライブ電極線31DRaと複数のドライブ電極線31DRbとが交差することにより、ドライブ電極面31Sには、矩形格子状のパターンが形成されている。
ドライブ電極線31DRの形成材料には、銅や銀やアルミニウムなどの金属膜が用いられ、ドライブ電極線31DRは、例えば、ドライブ電極面31Sに成膜された金属膜がエッチングによってパターニングされることにより形成される。各ドライブ電極31DPにおける第2電極方向D2の一方の端部では、ドライブ電極31DPごとに設けられたドライブパッド31Pにドライブ電極線31DRが接続されている。そして、複数のドライブ電極31DPの各々は、ドライブパッド31Pを介して個別にタッチパネル20の周辺回路の一例である選択回路に接続され、選択回路が出力する駆動信号を受けることによって選択回路に選択される。
透明誘電体基板33の表面と対向する方向から見て、複数のセンシング電極33SPと複数のドライブ電極31DPとは、これらの重ね合わせによって、新たな矩形格子状のパターンを形成している。
透明誘電体基板33の表面と対向する方向から見て、センシング電極33SPとドライブ電極31DPとが相互に重なる部分は、図2の二点鎖線によって区画される四角形状を有した容量検出部NDである。1つの容量検出部NDは、1つのセンシング電極33SPと、1つのドライブ電極31DPとが立体的に交差する部分であって、タッチパネル20において使用者の指などが触れている位置を検出することの可能な最小の単位である。
なお、センシング電極線33SRおよびドライブ電極線31DRの形成方法としては、上述のエッチングに限らず、例えば印刷法などの他の方法が用いられてもよい。
[表示パネルの平面構造]
図3を参照して、表示パネル10におけるカラーフィルタ層15の平面構造、すなわち、表示パネル10の画素配列について説明する。
図3が示すように、カラーフィルタ層15のブラックマトリクス15aは、上記第1電極方向D1と上記第2電極方向D2とに沿って並ぶ矩形形状を有した複数の単位格子から構成される格子パターンを有している。1つの画素15Pは、第1電極方向D1に沿って連続する3つの単位格子から構成され、複数の画素15Pは、第1電極方向D1、および、第2電極方向D2に沿って格子状に並んでいる。
複数の画素15Pの各々は、赤色を表示するための赤色着色層15R、緑色を表示するための緑色着色層15G、および、青色を表示するための青色着色層15Bから構成されている。カラーフィルタ層15において、例えば、赤色着色層15R、緑色着色層15G、および、青色着色層15Bが、第1電極方向D1に沿って、この順で、繰り返し並んでいる。また、複数の赤色着色層15Rは、第2電極方向D2に沿って連続して並び、複数の緑色着色層15Gは、第2電極方向D2に沿って連続して並び、複数の青色着色層15Bは、第2電極方向D2に沿って連続して並んでいる。
1つの赤色着色層15R、1つの緑色着色層15G、および、1つの青色着色層15Bは、1つの画素15Pを構成し、複数の画素15Pは、第1電極方向D1における赤色着色層15R、緑色着色層15G、および、青色着色層15Bの並ぶ順番を維持した状態で、第1電極方向D1に沿って並んでいる。また、換言すれば、複数の画素15Pは、第2電極方向D2に沿って延びるストライプ状に配置されている。
画素15Pにおける第1電極方向D1に沿った幅が第1画素幅WP1であり、画素15Pにおける第2電極方向D2に沿った幅が第2画素幅WP2である。第1画素幅WP1、および、第2画素幅WP2の各々は、表示パネル10の大きさや表示パネル10に求められる解像度などに応じた値に設定される。
[タッチパネルの電気的構成]
図4を参照して、タッチパネル20の電気的構成を、表示装置100の備える制御部の機能とともに説明する。なお、以下では、静電容量方式のタッチパネル20の一例として、相互容量方式のタッチパネル20における電気的構成を説明する。
図4が示すように、タッチパネル20は、周辺回路として、選択回路34および検出回路35を備えている。選択回路34は、複数のドライブ電極31DPに接続され、検出回路35は、複数のセンシング電極33SPに接続され、表示装置100の備える制御部36は、選択回路34と検出回路35とに接続されている。
制御部36は、各ドライブ電極31DPに対する駆動信号の生成を選択回路34に開始させるための開始タイミング信号を生成して出力する。制御部36は、駆動信号が供給される対象を1番目のドライブ電極31DP1からn番目のドライブ電極31DPnに向けて選択回路34に順次走査させるための走査タイミング信号を生成して出力する。
制御部36は、各センシング電極33SPを流れる電流の検出を検出回路35に開始させるための開始タイミング信号を生成して出力する。制御部36は、検出の対象を1番目のセンシング電極33SP1からn番目のセンシング電極33SPnに向けて検出回路35に順次走査させるための走査タイミング信号を生成して出力する。
選択回路34は、制御部36の出力した開始タイミング信号に基づいて、駆動信号の生成を開始し、制御部36の出力した走査タイミング信号に基づいて、駆動信号の出力先を1番目のドライブ電極31DP1からn番目のドライブ電極31DPnに向けて走査する。
検出回路35は、信号取得部35aと信号処理部35bとを備えている。信号取得部35aは、制御部36の出力した開始タイミング信号に基づいて、各センシング電極33SPに生成されたアナログ信号である電流信号の取得を開始する。そして、信号取得部35aは、制御部36の出力した走査タイミング信号に基づいて、電流信号の取得元を1番目のセンシング電極33SP1からn番目のセンシング電極33SPnに向けて走査する。
信号処理部35bは、信号取得部35aの取得した各電流信号を処理して、デジタル値である電圧信号を生成し、生成された電圧信号を制御部36に向けて出力する。このように、選択回路34と検出回路35とは、静電容量の変化に応じて変わる電流信号から電圧信号を生成することによって、ドライブ電極31DPとセンシング電極33SPとの間の静電容量の変化を測定する。
制御部36は、信号処理部35bの出力した電圧信号に基づいて、タッチパネル20において使用者の指などが触れている位置を検出し、検出した位置の情報を、表示パネル10の表示面に表示される情報の生成などの各種の処理に利用する。なお、タッチパネル20は、上述した相互容量方式のタッチパネル20に限らず、自己容量方式のタッチパネルであってもよい。
[センシング電極の構成]
図5を参照して、センシング電極33SPの詳細な構成について説明する。図5はセンシング電極33SPの一部を拡大して示す図である。
図5が示すように、透明誘電体基板33の表面と対向する方向から見て、センシング電極面33Sには、矩形格子模様を有したセンシング格子33SLが配置されている。センシング格子33SLは、第1交差方向C1に沿って延びる複数のセンシング電極線33SRaと、第2交差方向C2に沿って延びる複数のセンシング電極線33SRbとから構成される。センシング格子33SLにおける単位格子は、透明誘電体基板33の表面と対向する方向から見て、1辺の長さがセンシング格子ピッチP1である正方形形状を有する。
センシング電極線33SRaとセンシング電極線33SRbとは相互に直交しており、これらの電極線の交点付近では、センシング電極線33SRの延びる方向が単位面積において急激に変わる。そのため、エッチングによってセンシング電極線33SRを形成する場合、交点が形成される予定の部分にてエッチング液の流れに偏りが生じる。結果として、交点の付近では電極線の線幅が広がり、交点を中心として略菱形状に広がる膨大部33SEが形成される。膨大部33SEは、センシング格子33SLが有する複数の格子点33SXの各々に位置し、センシング電極線33SRと一体化している。格子点33SXは、センシング格子33SLを構成する格子線が互いに交わる点である。
さらに、センシング電極面33Sには、膨大部33SEに近似した形状を有する疑似膨大部33SDが配置されている。疑似膨大部33SDは、センシング格子33SL上において互いに隣り合う2つの格子点33SX間の中点を囲む位置に配置されている。すなわち、疑似膨大部33SDは、センシング電極線33SRの線上に位置し、第1交差方向C1に沿って互いに隣り合う2つの膨大部33SE間の中央部、および、第2交差方向C2に沿って互いに隣り合う2つの膨大部33SE間の中央部の各々に配置されている。
上記構成においては、第1交差方向C1に沿って、膨大部33SEと疑似膨大部33SDとが交互に並び、かつ、第2交差方向C2に沿って、膨大部33SEと疑似膨大部33SDとが交互に並ぶ。
なお、図5および以降の図においては、膨大部33SEと疑似膨大部33SDとの区別を容易にするために、膨大部33SEをドットの付された部分として示し、疑似膨大部33SDを黒く塗り潰された部分として示している。膨大部33SEと疑似膨大部33SDとは、センシング電極線33SRの形成時に、センシング電極線33SRとともに同一の金属膜から形成される。すなわち、センシング電極面33Sに形成された導電性パターンであるセンシングパターンは、センシング電極線33SRからなるセンシング格子33SLと、膨大部33SEと、疑似膨大部33SDとを含む。
[ドライブ電極の構成]
図6を参照して、ドライブ電極31DPの詳細な構成について説明する。図6はドライブ電極31DPの一部を拡大して示す図である。
図6が示すように、透明誘電体基板33の表面と対向する方向から見て、ドライブ電極面31Sには、矩形格子模様を有したドライブ格子31DLが配置されている。ドライブ格子31DLは、第1交差方向C1に沿って延びる複数のドライブ電極線31DRaと、第2交差方向C2に沿って延びる複数のドライブ電極線31DRbとから構成される。ドライブ格子31DLにおける単位格子は、透明誘電体基板33の表面と対向する方向から見て、1辺の長さがドライブ格子ピッチP2である正方形形状を有する。ドライブ格子ピッチP2は、センシング格子ピッチP1と一致する。
ドライブ電極線31DRaとドライブ電極線31DRbとは直交しており、これらの電極線の交点付近には、センシング電極33SPと同様に、交点を中心として略菱形状に広がる膨大部31DEが形成される。膨大部31DEは、ドライブ格子31DLの有する複数の格子点31DXの各々に位置する。
一方、ドライブ電極面31Sには、センシング電極33SPのような疑似膨大部は配置されていない。すなわち、ドライブ電極面31Sに形成された導電性パターン、すなわち、透明誘電体基板33の裏面に位置する導電性パターンであるドライブパターンは、ドライブ電極線31DRからなるドライブ格子31DLと、膨大部31DEとを含む。
[電極線パターンの構成]
図7を参照して、複数のセンシング電極33SPと複数のドライブ電極31DPとが重ね合わされることによって形成されるパターンである電極線パターンについて説明する。図7は、電極線パターンの一部を拡大して示す図である。
図7が示すように、導電性フィルム21では、透明誘電体基板33の表面と対向する方向から見て、センシングパターンとドライブパターンとが重ね合わされたパターンが形成されている。
透明誘電体基板33の表面と対向する方向から見て、センシング格子33SLとドライブ格子31DLとは、第1交差方向C1および第2交差方向C2の各々について、センシング格子ピッチP1の半分、すなわち、ドライブ格子ピッチP2の半分の長さだけずれて重なっている。すなわち、透明誘電体基板33の表面と対向する方向から見て、センシング格子33SLの格子点33SXは、ドライブ格子31DLの格子内の中央部に位置し、ドライブ格子31DLの格子点31DXは、センシング格子33SLの格子内の中央部に位置する。これにより、センシング格子33SLとドライブ格子31DLとは、これらの組み合わせによって、矩形格子模様を有する複合格子30Lを新たに構成している。
複合格子30Lにおける単位格子は、透明誘電体基板33の表面と対向する方向から見て、1辺の長さが複合格子ピッチP3である正方形形状を有する。複合格子ピッチP3は、センシング格子ピッチP1の半分の長さであり、ドライブ格子ピッチP2の半分の長さである。
上記構成においては、複合格子30Lは、第1電極方向D1および第2電極方向D2に対して傾斜した格子形状を有する。したがって、ブラックマトリクス15aが形成する矩形格子模様、すなわち、第1電極方向D1と第2電極方向D2とに沿って延びる矩形格子模様と、複合格子30Lが形成する矩形格子模様との干渉によるモアレの発生が抑えられる。なお、第1電極方向D1と第1交差方向C1との形成する角度、第2電極方向D2と第2交差方向C2との形成する角度は、第1画素幅WP1および第2画素幅WP2に応じて、よりモアレの抑えられる角度に設定されることが好ましい。
複合格子30Lが有する格子点には、センシング格子33SLが有する格子点33SXと、ドライブ格子31DLが有する格子点31DXと、センシング格子33SLとドライブ格子31DLとが交差する交差部である格子点30LXとが含まれる。センシング格子の格子点33SXには、膨大部33SEが位置し、ドライブ格子31DLの格子点31DXには、膨大部31DEが位置する。
透明誘電体基板33の表面と対向する方向から見て、センシング格子33SLとドライブ格子31DLとは、センシング格子33SLにおける互いに隣り合う格子点33SX間を結ぶ電極線の中点と、ドライブ格子31DLにおける互いに隣り合う格子点31DX間を結ぶ電極線の中点とが重なるように交差する。すなわち、上記交差部である格子点30LXは、互いに隣り合う格子点33SX間の中点に位置するとともに、互いに隣り合う格子点31DX間の中点に位置する。互いに隣り合う格子点33SX間の中点には、疑似膨大部33SDが位置し、すなわち、上記交差部である格子点30LXには、疑似膨大部33SDが位置する。
このように、複合格子30Lが有するすべての格子点には、膨大部33SE、膨大部31DE、および、疑似膨大部33SDのいずれかが位置する。透明誘電体基板33の表面と対向する方向から見て、第1交差方向C1と第2交差方向C2との各々に沿って、膨大部33SE,31DEと疑似膨大部33SDとが交互に並ぶ。
上記構成においては、膨大部33SE,31DEと疑似膨大部33SDとは、同様の形状を有した点状の部分として視認される。そして、これらの点状の部分は、複合格子30Lにおける格子の周期と同一の周期を有する周期構造を形成し、また、これらの点状の部分が形成する周期構造の繰り返しの方向と、複合格子30Lにおける周期構造の繰り返しの方向とは一致する。したがって、電極線パターンに、複合格子30Lとは周期や繰り返しの方向が異なる周期構造が加わることが抑えられるため、電極線パターンと画素パターンとを重ね合わせたときに、モアレが視認されることが抑えられる。
ここで、図8〜図11を参照して、疑似膨大部33SDの詳細な構造について説明する。まず、図8を参照して、膨大部33SE,31DEの構造について説明する。図8では、膨大部33SEを例示して説明するが、膨大部33SEと膨大部31DEとの構成に差異はない。
図8が示すように、膨大部33SEは、センシング電極線33SRに接してセンシング電極線33SRと一体化しており、膨大部33SEの外形は、格子点33SXを中心とする略菱形状、より詳細には、略アステロイド状を有する。膨大部33SEは、格子点33SXから延びるセンシング電極線33SRaとセンシング電極線33SRbとの間の領域を埋めるように広がっている。センシング格子33SLにおける1つの格子内にて、膨大部33SEの外縁はセンシング電極線33SRaからセンシング電極線33SRbまで曲線状に延び、格子点33SXに向けて窪むように湾曲している。
センシング電極線33SRの線幅が線幅dlであり、第1交差方向C1における膨大部33SEの両端間の長さが第1長さdExであり、第2交差方向C2における膨大部33SEの両端間の長さが第2長さdEyである。第1交差方向C1および第2交差方向C2の各々における膨大部33SEの両端は、膨大部33SEがセンシング格子33SLの格子線と接続する位置として定められる。
表1は、線幅dlやセンシング格子ピッチP1が異なる3つのセンシング格子33SLのサンプルについて計測した線幅dl、第1長さdEx、線幅dlに対する第1長さdExの比(dEx/dl)を示す。なお、第1長さdExは、線幅dlと、センシング格子33SLの1つの格子内における膨大部33SEの長さdErとを測定し、線幅dlに2倍した長さdErを加算することにより求めた(dEx=dl+2×dEr)。また、線幅dlに対する第1長さdExの比は、少数第二位以下を四捨五入した値を記載している。なお、第2長さdEyは、第1長さdExとほぼ等しい。
続いて、図9〜図11を参照して、疑似膨大部33SDの構造について説明する。
疑似膨大部33SDが、膨大部33SE,31DEと近い形状であるほど、膨大部33SE,31DEおよび疑似膨大部33SDからなる周期構造が、複合格子30Lの周期構造と同一の周期で同一の方向に繰り返す周期構造であると認識されやすい。ただし、膨大部33SE,31DEおよび疑似膨大部33SDは微細な構造体であるため、膨大部33SE,31DEと疑似膨大部33SDとの形状が一致していなくても、疑似膨大部33SDが点状の外形を有していれば、膨大部33SE,31DEと疑似膨大部33SDとは同様の構成を有する構造体として認識され得る。点状の形状は、1つの点から二次元に広がる形状であり、疑似膨大部33SDの外形は、例えば、矩形や菱形等の多角形状や円形状やアステロイド状であってもよいし、こうした図形以外の二次元図形状であってもよい。
図9〜図11が示すように、疑似膨大部33SDは、例えば、膨大部33SE,31DEと同様の略アステロイド状の外形を有する。すなわち、疑似膨大部33SDは、センシング格子33SLにおいて互いに隣り合う2つの格子点33SX間の中点Cから、中点Cを通って第1交差方向C1に延びる直線と、中点Cを通って第2交差方向C2に延びる直線との間の領域を埋めるように広がっている。
疑似膨大部33SDの広がりの中心、すなわち、中点Cを複合格子30Lの格子点30LXに配置したとき、複合格子30Lにおける1つの格子内にて、疑似膨大部33SDの外縁は第1交差方向C1に延びる電極線から、第2交差方向C2に延びる電極線まで曲線状に延び、格子点30LXに向けて窪むように湾曲している。
疑似膨大部33SDのなかで、第1交差方向C1における端部と第2交差方向C2における端部とのうち、透明誘電体基板33の表面と対向する方向から見て、ドライブ電極線31DRと重なる端部、すなわち、センシング電極面33Sにおいては電極線と接しない端部の形状は、特に限定されない。
例えば、疑似膨大部33SDの端部は、図9が示すように、湾曲する外縁の端を直線状に繋ぐ形状であってもよいし、図10が示すように、湾曲する外縁が延長されて交わる頂点を有する形状であってもよいし、図11が示すように、湾曲する外縁の端を曲線状に繋ぐ形状であってもよい。
疑似膨大部33SDの広がりの中心を複合格子30Lの格子点30LXに配置した場合において、第1交差方向C1における疑似膨大部33SDの両端間の長さが第1長さdDxであり、第2交差方向C2における疑似膨大部33SDの両端間の長さが第2長さdDyである。第1交差方向C1および第2交差方向C2の各々における疑似膨大部33SDの両端は、疑似膨大部33SDが複合格子30Lの格子線と接続する位置として定められる。
疑似膨大部33SDが膨大部33SE,31DEと同様の構造体として認識されやすい観点においては、第1長さdDxは、センシング電極線33SRの線幅dlの2倍以上20倍以下であることが好ましく、線幅dlの3倍以上10倍以下であることがより好ましい。同様に、第2長さdDyは、センシング電極線33SRの線幅dlの2倍以上20倍以下であることが好ましく、線幅dlの3倍以上10倍以下であることがより好ましい。なお、こうした第1長さdDxおよび第2長さdDyの範囲は、疑似膨大部33SDの形状に関わらず適用される。
なお、疑似膨大部33SDの形状は、センシング格子33SLにおいて互いに隣り合う2つの格子点33SX間の中点C、すなわち、複合格子30Lの格子点30LXに対して点対称な形状でなくてもよい。また、疑似膨大部33SDの形状は、中点Cを通って第1交差方向C1に延びる直線に対して線対称な形状でなくてもよいし、中点Cを通って第2交差方向C2に延びる直線に対して線対称な形状でなくてもよい。上述のように、疑似膨大部33SDが点状の外形を有していれば、膨大部33SE,31DEと疑似膨大部33SDとは、1つの周期構造を構成する構造体として認識され得る。
第1実施形態において、透明誘電体基板33は透明誘電体層の一例である。そして、透明誘電体基板33の表面が第1面の一例であり、透明誘電体基板33の裏面が第2面の一例であり、センシングパターンが第1導電性パターンの一例であり、センシング格子33SLが第1格子の一例である。また、ドライブパターンが第2導電性パターンの一例であり、ドライブ格子31DL第2格子の一例である。
なお、上記実施形態では、疑似膨大部は、センシング電極面33Sに配置されたが、ドライブ電極面31Sに配置されてもよい。すなわち、センシングパターンと、ドライブパターンとのいずれかに、疑似膨大部が含まれればよい。
以上説明したように、第1実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)膨大部33SE,31DEと疑似膨大部33SDとからなる周期構造が、複合格子30Lにおける格子の周期と同一の周期で同一の方向に繰り返す周期構造として認識される。したがって、電極線パターンに、複合格子30Lとは周期や繰り返しの方向が異なる周期構造が加わることが抑えられるため、電極線パターンと画素パターンを重ね合わせたときに、モアレが視認されることが抑えられる。
(2)透明誘電体基板33の表面と対向する方向から見て、疑似膨大部33SDは、センシング格子33SLとドライブ格子31DLとが交差する交差部を囲む。こうした構成によれば、膨大部33SE,31DEと疑似膨大部33SDとからなる周期構造が、複合格子30Lにおける格子の周期と同一の周期で同一の方向に繰り返す周期構造として的確に認識される。
(3)透明誘電体基板33の表面と対向する方向から見て、疑似膨大部33SDは、センシング格子33SL上において互いに隣り合う格子点33SX間の中点を囲む位置に配置されている。こうした構成によれば、透明誘電体基板33の表面と対向する方向から見て、センシング格子33SLの格子点33SXがドライブ格子31DLの格子内の中央部に位置する電極線パターンにおいて、膨大部33SE,31DEと疑似膨大部33SDとからなる周期構造が、複合格子30Lにおける格子の周期と同一の周期で同一の方向に繰り返す周期構造として的確に認識される。
(4)センシングパターンおよびドライブパターンのうちの一方に、すべての疑似膨大部が含まれる。こうした構成によれば、疑似膨大部の配置についての設計が容易である。
(第2実施形態)
図12および図13を参照して、導電性フィルム、タッチパネル、および、表示装置の第2実施形態について説明する。以下では、第2実施形態と第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
第2実施形態においては、複数の疑似膨大部が、センシング電極面33Sとドライブ電極面31Sとの双方に、分散して配置されている。すなわち、センシングパターンは、センシング格子33SLと、膨大部33SEと、疑似膨大部33SDとを含み、ドライブパターンは、ドライブ格子31DLと、膨大部31DEと、疑似膨大部31DDとを含む。
図12は、疑似膨大部の分散配置の一例を示す図であって、図12(a)は、センシング電極33SPの一部を拡大して示す図であり、図12(b)は、ドライブ電極31DPの一部を拡大して示す図である。
図12が示すように、疑似膨大部33SD,31DDは、センシングパターンと、ドライブパターンとの各々において、規則的に並んでいる。詳細には、図12(a)が示すように、センシングパターンが含む疑似膨大部33SDは、センシング格子33SL上において互いに隣り合う格子点33SX間の中点を囲む位置に配置されている。そして、互いに隣り合う格子点33SX間を繋ぐ電極線を1つの格子辺とするとき、第1交差方向C1に並ぶ複数の格子辺について、疑似膨大部33SDは格子辺の1つおきに配置されている。また、第2交差方向C2に並ぶ複数の格子辺についても、疑似膨大部33SDは格子辺の1つおきに配置されている。そして、複数の疑似膨大部33SDは、第1交差方向C1および第2交差方向C2の各々に対して45度傾斜した方向に延びる直線上に並んでいる。
また、図12(b)が示すように、ドライブパターンが含む疑似膨大部31DDは、ドライブ格子31DL上において互いに隣り合う格子点31DX間の中点を囲む位置に配置されている。そして、第1交差方向C1に並ぶ複数の格子辺について、疑似膨大部31DDは格子辺の1つおきに配置され、また、第2交差方向C2に並ぶ複数の格子辺についても、疑似膨大部31DDは格子辺の1つおきに配置されている。そして、複数の疑似膨大部31DDは、第1交差方向C1および第2交差方向C2の各々に対して45度傾斜した方向に延びる直線上に並んでいる。
上記構成において、センシングパターンとドライブパターンとを重ね合わせた電極線パターンは、第1実施形態にて図7に示したパターンと同一のパターンとなる。すなわち、疑似膨大部33SD,31DDの位置は、複合格子30Lの格子点のうち、センシング格子33SLとドライブ格子31DLとが交差する交差部である格子点30LXごとに、疑似膨大部33SDおよび疑似膨大部31DDのいずれか1つが配置されるように、設定されている。
複合格子30Lの格子点30LXごとに、疑似膨大部33SDおよび疑似膨大部31DDのいずれか1つが配置される構成であれば、疑似膨大部33SD,31DDの配置は、図12に示した配置に限られない。例えば、センシングパターンにおいては、複数の疑似膨大部33SDが第1交差方向C1に並ぶように配置され、ドライブパターンにおいては、複数の疑似膨大部31DDが第2交差方向C2に並ぶように配置されてもよい。また、センシングパターンに含まれる疑似膨大部33SDの数とドライブパターンに含まれる疑似膨大部31DDの数とは、一致していてもよいし、異なっていてもよい。
図13は、疑似膨大部の分散配置の他の例を示す図であって、図13(a)は、センシング電極33SPの一部を拡大して示す図であり、図13(b)は、ドライブ電極31DPの一部を拡大して示す図である。
図13が示すように、疑似膨大部33SD,31DDは、センシングパターンと、ドライブパターンとの各々において、不規則に並んでいる。すなわち、図13(a)が示すように、疑似膨大部33SDは、センシング格子33SL上において互いに隣り合う格子点33SX間の中点を囲む位置に配置されており、センシング格子33SLに対する複数の疑似膨大部33SDの並びは規則性を有さない。
また、図13(b)が示すように、疑似膨大部31DDは、ドライブ格子31DL上において互いに隣り合う格子点31DX間の中点を囲む位置に配置されており、ドライブ格子31DLに対する複数の疑似膨大部31DDの並びも規則性を有さない。
そして、複数の疑似膨大部33SDと複数の疑似膨大部31DDとは、透明誘電体基板33の表面と対向する方向から見て、疑似膨大部33SDと疑似膨大部31DDとが重ならないように配置されている。
すなわち、図13に示す構成についても、センシングパターンとドライブパターンとを重ね合わせた電極線パターンは、第1実施形態にて図7に示したパターンと同一のパターンであり、疑似膨大部33SD,31DDの位置は、複合格子30Lの格子点30LXごとに、疑似膨大部33SDおよび疑似膨大部31DDのいずれか1つが配置されるように設定されている。なお、センシングパターンに含まれる疑似膨大部33SDの数とドライブパターンに含まれる疑似膨大部31DDの数とは、一致していてもよいし、異なっていてもよい。
以上説明したように、第2実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(3)の効果に加えて、以下に列挙する効果を得ることができる。
(5)複数の疑似膨大部33SD,31DDの一部が、センシングパターンに含まれ、複数の疑似膨大部33SD,31DDの残部がドライブパターンに含まれる。こうした構成によれば、膨大部33SE,31DEがセンシングパターンとドライブパターンとに分散して配置されるとともに、疑似膨大部33SD,31DDもセンシングパターンとドライブパターンとに分散して配置される。したがって、複数の膨大部33SE,31DEと複数の疑似膨大部33SD,31DDとがより近い構成を有するように視認される。
(6)センシングパターンおよびドライブパターンの各々において、複数の疑似膨大部33SD,31DDが規則的に並んでいる構成では、複数の疑似膨大部33SD,31DDが不規則に並ぶ構成と比較して、疑似膨大部33SD,31DDの配置についての設計に要する負荷が低減される。
(7)センシングパターンおよびドライブパターンの各々において、複数の疑似膨大部33SD,31DDが不規則に並んでいる構成では、複数の疑似膨大部33SD,31DDが疑似膨大部33SD,31DDのみによって周期構造を形成するように認識されることが抑えられる。したがって、膨大部33SE,31DEと疑似膨大部33SD,31DDとからなる周期構造が、複合格子30Lにおける格子の周期と同一の周期で同一の方向に繰り返す周期構造としてより認識されやすくなる。
(変形例)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
・疑似膨大部33SDの広がりの中心は、センシング格子33SL上において互いに隣り合う格子点33SX間の中点からずれていてもよく、疑似膨大部33SDは当該中点を囲んでいなくてもよい。同様に、疑似膨大部31DDの中心は、ドライブ格子31DL上において互いに隣り合う格子点31DX間の中点からずれていてもよく、疑似膨大部31DDは、当該中点を囲んでいなくてもよい。そして、疑似膨大部33SD,31DDの広がりの中心は、複合格子30Lの格子点30LX、すなわち、センシング格子33SLとドライブ格子31DLとが交差する交差部からずれていてもよく、疑似膨大部33SD,31DDは上記交差部から離れていてもよい。疑似膨大部33SD,31DDが上記交差部からずれていたとしても、ずれが微量であれば、膨大部33SE,31DEと疑似膨大部とからなる周期構造は、複合格子30Lにおける格子の周期と同等の周期で同等の方向に繰り返す周期構造として認識され得るため、上記(1)に準じた効果は得られる。
具体的には、透明誘電体基板33の表面と対向する方向から見て、上記交差部ごとに1つの疑似膨大部が配置され、疑似膨大部が、上記交差部を挟むセンシング格子33SLの格子点33SX間を結ぶ電極線、および、上記交差部を挟むドライブ格子31DLの格子点31DX間を結ぶ電極線の各々と連続していればよい。
なお、疑似膨大部33SD,31DDと上記交差部との位置のずれは、センシングパターンとドライブパターンとの重ね合わせの際にも生じ得る。こうした場合、第1実施形態のように、センシングパターンおよびドライブパターンの一方にすべての疑似膨大部が含まれる構成であれば、疑似膨大部同士の位置関係にはずれが生じないため、複合格子30Lに対する疑似膨大部の位置のずれが小さく抑えられる。また、第2実施形態にて例示したように、センシングパターンおよびドライブパターンの各々において、複数の疑似膨大部が不規則に並んでいる構成であれば、疑似膨大部同士の位置関係にずれが生じたとしても、そのずれが認識されにくい。
・上記実施形態では、センシング格子33SL、ドライブ格子31DL、および、複合格子30Lの各々は、単位格子が正方形である矩形格子である。これに限らず、センシング格子33SL、ドライブ格子31DL、および、複合格子30Lの各々の単位格子は、長方形であってもよいし、菱形であってもよい。すなわち、上記格子の各々は、四角格子であればよい。第1交差方向C1と第2交差方向C2とが直交しない構成では、単位格子は菱形となる。電極線が交差する角部の角度が小さいほど、角部を精密に形成することは難しく、単位格子が矩形である場合であれ菱形である場合であれ、電極線の交点部分には、直角もしくは鋭角の角部が2以上形成されるため、点状の膨大部が形成される。したがって、単位格子の形状に関わらず、上記実施形態の構成によって、モアレが生じることが抑えられる。
なお、エッチング以外の方法によって電極線が形成される場合にも、電極線の交点部分のように微小な角部を精密に形成することは困難であるため、電極線の交点部分で電極線の線幅が広がることは避け難い。したがって、エッチングとは異なる製造方法が用いられる場合であっても、疑似膨大部を設けることによって、上記実施形態の効果に準じた効果は得られる。
・センシング電極33SPの延びる方向である第1電極方向D1とドライブ電極31DPの延びる方向である第2電極方向D2とは直交していなくてもよく、これらの方向は交差していればよい。なお、第1電極方向D1と第2電極方向D2とが直交する構成では、センシング電極33SPとドライブ電極31DPとが重ね合わされた電極線パターンが容易に得られ、また、導電性フィルム21の製造に際して、センシング電極33SPとドライブ電極31DPとの位置合わせが容易である。また、センシング電極33SPの延びる方向とセンシング電極33SPの並ぶ方向とは、互いに直交していなくてもよく、これらの方向は交差していればよい。同様に、ドライブ電極31DPの延びる方向とドライブ電極31DPの並ぶ方向とは、互いに直交していなくてもよく、これらの方向は交差していればよい。
また、センシング格子33SL、ドライブ格子31DL、および、複合格子30Lを構成するセンシング電極線33SRとドライブ電極線31DRとが延びる方向である第1交差方向C1および第2交差方向C2は、第1電極方向D1および第2電極方向D2と一致した方向であってもよい。
・図14が示すように、タッチパネル20を構成する導電性フィルム21において、透明基板31および透明接着層32が割愛されてもよい。こうした構成では、透明誘電体基板33の面のなかで、表示パネル10と対向する裏面がドライブ電極面31Sとして設定され、ドライブ電極面31Sには、ドライブ電極31DPが位置する。そして、透明誘電体基板33における裏面と反対側の面である表面はセンシング電極面33Sであって、センシング電極面33Sには、センシング電極33SPが位置する。なお、こうした構成において、ドライブ電極31DPは、例えば、透明誘電体基板33の一方の面に形成された1つの薄膜が、エッチングによってパターニングされることにより形成され、センシング電極33SPは、例えば、透明誘電体基板33の他方の面に形成された1つの薄膜が、エッチングによってパターニングされることにより形成される。
なお、上記各実施形態のように、センシング電極33SPとドライブ電極31DPとが互いに異なる基材上に形成されている構成では、1つの基材の両面に電極線が形成されている構成と比較して、電極線の形成が容易である。
・図15が示すように、タッチパネル20において、表示パネル10に近い構成要素から順番に、ドライブ電極31DP、透明基板31、透明接着層32、透明誘電体基板33、センシング電極33SP、透明接着層23、カバー層22が位置してもよい。
こうした構成において、例えば、ドライブ電極31DPは、透明基板31のドライブ電極面31Sとなる1つの面に形成され、センシング電極33SPは、透明誘電体基板33のセンシング電極面33Sとなる1つの面に形成される。そして、透明基板31においてドライブ電極面31Sの反対側の面と、透明誘電体基板33においてセンシング電極面33Sの反対側の面とが、透明接着層32によって接着される。この場合、透明基板31、透明接着層32、および、透明誘電体基板33が、透明誘電体層を構成し、透明基板31のドライブ電極面31Sが、第1面および第2面の一方であり、透明誘電体基板33のセンシング電極面33Sが、第1面および第2面の他方である。
・表示パネル10とタッチパネル20とは、個別に形成されていなくともよく、タッチパネル20は、表示パネル10と一体に形成されてもよい。こうした構成では、例えば、導電性フィルム21のうち、複数のドライブ電極31DPがTFT層13に位置する一方、複数のセンシング電極33SPがカラーフィルタ基板16と上側偏光板17との間に位置するインセル型の構成とすることができる。あるいは、導電性フィルム21がカラーフィルタ基板16と上側偏光板17との間に位置するオンセル型の構成でもよい。こうした構成においては、ドライブ電極31DPとセンシング電極33SPとに挟まれる層が、透明誘電体層を構成する。