以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るプラスチック製カードおよびその製造方法について詳細に説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るプラスチック製カードおよびその製造方法について説明する。第1実施形態は、カードにICモジュールが搭載されていない基本構成である。図1は、本発明の第1実施形態に係る、プラスチック製カードの平面図である。図1のように、プラスチック製カード1の内部には、金属製の板(金属板)2が配置されている。すなわち、プラスチック製カード1は金属板2を含むため、金属製カードと同様の重量感を持ったカードとなる。
金属板2はカード1の端部までは及ばないよう配置されている。すなわち、金属板2の端部がカード1の端部より所定の長さa以上カード1の内側に位置するように金属板2が配置されている。
このように、カード1の端部には金属板2が配置されていないため、多面付けのシート状でカードを製造する際に、専用の設備は不要となり、通常のプラスチック製カードを製造するための加工設備で容易にパンチング加工し個片化することができる。従って、低コストで、金属製カードと同様の重量感を持ったカードを得ることができる。
さらに、個片状態でのカードの加工、検査、発行などを行う設備においては、通常のプラスチック製カードを取り扱う設備で金属製カードを取り扱う場合、搬送系に負荷がかかり設備故障の原因となるので、金属製カードを取り扱うための専用の改造を施す必要がある。しかし、本発明のように、プラスチック製カードの内部に金属板を配置する構成であれば、特別な改造は必要なく通常のプラスチック製カードを取り扱う設備を使用できる。従って、低コストで金属製カードと同様の重量感を持ったカードを得ることができる。
図2は、本発明の第1実施形態に係る、プラスチック製カードの断面図である。図2に示すように、カード1は表面から、保護層3、印刷層4、金属蒸着層5、隠蔽層6、外装基材7(表側)、中間基材8(表側)、コア基材9、中間基材8(裏側)、および外装基材7(裏側)の順の多層構造になっている。なお、図には示していないが、カードの裏面にも、保護層3、印刷層4、金属蒸着層5、および/または隠蔽層6があってもよい。
金属板2は、カード1の中心部のコア基材9の層に埋め込まれている。金属板2の端部がカード1の端部より所定の長さa以上カード1の内側に位置するように金属板2が配置されている。カード1が磁気カードである場合、磁気テープ10が表側の外装基材7に埋め込まれ、その上の隠蔽層6は磁気テープ10を隠蔽する。
次に、本発明の第1実施形態に係るプラスチック製カードの製造方法について説明する。まず初めに、カード1の内部に配置するための金属板2を、切削加工、レーザー加工、放電加工など任意の方法で、カードの内部に収まりカード端面まで及ばない寸法に成形する。金属板2の材料としては、鉄、ステンレス、銅、ニッケル、錫、亜鉛などを使用することができる。ただし、カードの重量感をより高めるために、金属の中でも比重が大きく、金などの貴金属に比べ安価で、人体に対する毒性も低いタングステンを使用することが好ましい。金属板2の厚みは、50~600μm程度とする。
次に、金属板2をカード1のコア基材9内に配置するため、コア基材となるプラスチックシートに金属板と同じサイズの穴を形成する。コア基材の材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC) やポリエチレンテレフタレート共重合体(PET-G)等のカード基材として一般的な材料が用いられる。
コア基材9の厚みは金属板2と同じ厚さとするのが好ましい。このようにすることで、カードを熱ラミネートした際に、金属板自体の痕や、金属板とコア基材の厚みの違いによって積層したシート間に生じる空間により、アバタなどの外観上の不具合が発生することを防ぐことができる。
次に、コア基材9に形成した穴に金属板2を嵌め込み、その表裏を中間基材8となるプラスチックシートで挟み込む。中間基材の材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC) やポリエチレンテレフタレート共重合体(PET-G)等のカード基材として一般的な材料を使用することができる。そして、中間基材8までを積層した状態で、一度、熱ラミネートを実施してもよい。また、コア基材9と中間基材8は、熱ラミネートによって熱で基材同士を融着させてもよいし、コア基材と中間基材の間に接着剤層を配置することにより接着してもよい。
コア基材9を中間基材8で挟み込んだ後、そのさらに表裏を外装基材7で挟み込む。外装基材の材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC)やポリエチレンテレフタレート共重合体(PET-G)、ポリエチレンテレフタレート(PET) 等のカード外装基材として一般的な材料を使用することができる。そして、外装基材7までを積層した状態で、一度、熱ラミネートを実施してもよい。中間基材8と外装基材7は、熱ラミネートによって熱で基材同士を融着させてもよいし、中間基材と外装基材の間に接着剤層を配置することにより接着してもよい。
次に、金属蒸着層5を、熱ラミネートなどの既知の方法で、カード表面の任意の面(カ一ド表裏、側面を含む外観のすべて、または一部)に転写する。そして、転写された金属蒸着層5の上に、絵柄や文字などを構成する印刷層4を、一般的なオフセット印刷、シルクスクリーン印刷などの印刷方法により形成する。
なお、金属蒸着層5を予め外装基材7に転写しておき、その上に印刷を施す構成としてもよい。印刷層4の上には、印刷層4や金属蒸着層5などを保護するための保護層3などを設けてもよい。金属蒸着層5の下には、磁気テープ10およびそれを隠蔽する隠蔽層6を配置してもよい。隠蔽層6は、シルクスクリーン印刷などにより形成する。
そして、少なくとも外装基材7までを熱ラミネートにより一体化して、金属蒸着層5、印刷層4、保護層3など必要な各層を形成した後、パンチング加工によってカード個片形状に打ち抜くことによってカード本体を得る。以上の工程により、低コストで、金属製カードと同様の重量感を持った、本発明の第1実施形態に係るプラスチック製カードを製造することができる。
さらに、上述のプラスチック製カードにおいて、厚さ方向または側面方向で前記カードの表面から認知できる位置に、金属または金属を組成に含む素材で形成され、その外観が金属の質感を有する層が配置されていてもよい。ここで、カードの表面とは、カードの表面、裏面および側面を含む外観のすべてまたは一部を含む。また、この層は、箔、蒸着、スパッタリングなどにより形成される。このようにすることで、金属製カードと同様の重量感を持ち、さらにカード券面の質感も金属製のカードと同様な高級感のあるカードを得ることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るプラスチック製カードおよびその製造方法について説明する。第2実施形態は、第1実施形態の基本構成のカードに接触式ICモジュールが搭載され、接触式通信を行う接触式ICカードである。
本実施形態では、カード1の寸法は、JIS X 6301:2005(ISO/IEC 7810:2003)で規定されたID-1サイズであるとする。図3(a)は、JIS X 6301:2005で規定されたカードの寸法であるID-1サイズを示す図である。ID-1サイズは、公称値が、幅 85.60 mm,高さ 53.98 mm、厚さ 0.76 mm の寸法であり、図で示すような許容範囲内であればよい。
本実施形態では、カード1に配置される接触式ICモジュール11の外部端子の位置は、JIS X 6320-2:2009(ISO/IEC 7816-2:2007)で規定されたものとする。図3(b)は、JIS X 6320-2:2009で規定された、外部端子付き IC カードの端子の寸法及び位置を示す図である。図において、C1~C8は端子番号を示し、各端子が図中で示される許容範囲内に配置されていればよい。
図4は、本発明の第2実施形態に係る、プラスチック製カードである接触式ICカードの平面図である。カード1および金属板2の位置関係は、図1に示す第1実施形態と同様である。すなわち、金属板2はカード1の端部までは及ばないよう配置されている。つまり、金属板2の端部がカード1の端部より所定の長さa以上カード1の内側に位置するように金属板2が配置されている。
第2実施形態では、カード1の左上部に、接触式通信に使用される外部端子を有する接触式ICモジュール11が配置されている。そして、図4に示すように、カード1の平面視において接触式ICモジュール11と重ならないように、金属板2の左上部には切り欠きまたは穴が設けられている。
図4(a)は、金属板2の左上部に切り欠きが設けられている例を示す。図4(b)は、接触式ICモジュール11を避けるように、金属板2の左側から切り欠きが設けられている例を示す。図4(c)は、接触式ICモジュール11を避けるように、金属板2の左上部に穴が設けられている例を示す。
このように、金属板2に切り欠きまたは穴を設けることで、JIS X 6320-2:2009で規定された外部端子を有する接触式ICモジュールを、実施形態1のプラスチック製カード1に容易に搭載することができる。これにより、金属製カードと同様の重量感がありながら、接触式通信機能を持った接触式ICカードを得ることができる。
図5は、本発明の第2実施形態に係る、プラスチック製カードである接触式ICカードの断面図である。なお、図5では、カードの表面/裏面の保護層3、印刷層4、金属蒸着層5などは省略している。図2と同様に、カード表面/裏面に保護層3、印刷層4、金属蒸着層5などがあってもよい。
図5に示すように、カード1は表面から、外装基材7(表側)、中間基材8(表側)、コア基材9、中間基材8(裏側)、および外装基材7(裏側)の順の多層構造になっている。
金属板2は、カード1の中心部のコア基材9の層に埋め込まれている。金属板2の端部がカード1の端部より所定の長さa以上カード1の内側に位置するように金属板2が配置されている。
また、カード1のうち金属板2が配置されていない領域の一部において、カード表面からコア基材9にかけて凹部が設けられ、その凹部に接触式通信機能をもつ接触式ICモジュール11が嵌め込まれている。
次に、本発明の第2実施形態に係るプラスチック製カードの製造方法について説明する。まず初めに、カード1の内部に配置するための金属板2を、切削加工、レーザー加工、放電加工など任意の方法で、カードの内部に収まりカード端面まで及ばない寸法に成形する。金属板2の材料としては、鉄、ステンレス、銅、ニッケル、錫、亜鉛などを使用することができる。ただし、カードの重量感をより高めるために、金属の中でも比重が大きく、金などの貴金属に比べ安価で、人体に対する毒性も低いタングステンを使用することが好ましい。金属板2の厚みは、50~600μm程度とする。
カ一ド1が、JIS X 6301:2005で規定されたID-1サイズであり、接触式通信に使用する外部端子を有する接触式ICモジュールが、JIS X 6320-2:2009で規定されるようにカード1の左上部に配置される場合、金属板2の左上部に切り欠きまたは穴を設ける。
次に、金属板2をカード1のコア基材9内に配置するため、コア基材となるプラスチックシートに金属板と同じサイズの穴を形成する。コア基材の材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC) やポリエチレンテレフタレート共重合体(PET-G)等のカード基材として一般的な材料が用いられる。
コア基材9の厚みは金属板2と同じ厚さとするのが好ましい。このようにすることで、カードを熱ラミネートした際に、金属板自体の痕や、金属板とコア基材の厚みの違いによって積層したシート間に生じる空間により、アバタなどの外観上の不具合が発生することを防ぐことができる。
次に、コア基材9に形成した穴に金属板2を嵌め込み、その表裏を中間基材8となるプラスチックシートで挟み込む。中間基材の材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC) やポリエチレンテレフタレート共重合体(PET-G)等のカード基材として一般的な材料を使用することができる。そして、中間基材8までを積層した状態で、一度、熱ラミネートを実施してもよい。また、コア基材9と中間基材8は、熱ラミネートによって熱で基材同士を融着させてもよいし、コア基材と中間基材の間に接着剤層を配置することにより接着してもよい。
コア基材9を中間基材8で挟み込んだ後、そのさらに表裏を外装基材7で挟み込む。外装基材の材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC)やポリエチレンテレフタレート共重合体(PET-G)、ポリエチレンテレフタレート(PET) 等のカード外装基材として一般的な材料を使用することができる。そして、外装基材7までを積層した状態で、一度、熱ラミネートを実施してもよい。中間基材と外装基材は、熱ラミネートによって熱で基材同士を融着させてもよいし、中間基材と外装基材の間に接着剤層を配置することにより接着してもよい。
次に、金属蒸着層5を、熱ラミネートなどの既知の方法で、カード表面の任意の面(カ一ド表裏、側面を含む外観のすべて、または一部)に転写する。そして、転写された金属蒸着層5の上に、絵柄や文字などを構成する印刷層4を、一般的なオフセット印刷、シルクスクリーン印刷などの印刷方法により形成する。
なお、金属蒸着層5を予め外装基材7に転写しておき、その上に印刷を施す構成としてもよい。印刷層4の上には、印刷層4や金属蒸着層5などを保護するための保護層3などを設けてもよい。金属蒸着層5の下には、磁気テープ10およびそれを隠蔽する隠蔽層6を配置してもよい。隠蔽層6は、シルクスクリーン印刷などにより形成する。
少なくとも外装基材7までを熱ラミネートにより一体化して、金属蒸着層5、印刷層4、保護層3など必要な各層を形成した後、パンチング加工によってカード個片形状に打ち抜くことによってカード本体を成形する。
次に、カード本体に接触式ICモジュール11を埋め込むための凹部(キャビティ)をミリング加工により形成する。金属板2の左上部に切り欠きまたは穴を設けているので、プラスチック製の接触式ICカードを製造する設備によって、容易にミリング加工を行うことができる。
次に、形成された凹部に、接触式通信機能を持つ接触式ICモジュール11を嵌め込み、接触式ICモジュール11の表面から熱と圧力を加える。そして、ホットメルトシート等の接着剤によって、接触式ICモジュール11をカード本体の凹部(キャビティ)に装着する。
接触式ICモジュール11は、接触式通信機能を有するICチップを搭載し、接触式通信に使用する外部接続端子を有している。外部接続端子は、厚さ50~200μm のガラスエポキシやPET等の絶縁基材の表面にエッチングすることにより形成された複数の銅箔パターンから形成される。銅箔パターンの露出部分には、0.5~3μmのニッケルメッキが施され、さらにその上に0.01~0.3μmの金メッキが施されている。ただし、メッキの構成はこれに限らない。
ICチップは、ガラスエポキシやPETに対してダイアタッチ用接着剤を用いて接着され、φ1O~40μmの金あるいは銅などのワイヤーによって外部接続端子に直接、またはそれらに接続されたパターンに対してワイヤーボンディングされ、ICチップの保護のため、エポキシ樹脂などにより封止されている。このようにして、金属製カードと同様の重量感がありながら接触式通信機能を持った、本発明の第2実施形態に係るプラスチック製カードである接触式ICカードを製造することができる。
さらに、上述の接触式ICカードにおいて、厚さ方向または側面方向で前記カードの表面から認知できる位置に、金属または金属を組成に含む素材で形成され、その外観が金属の質感を有する層が配置されていてもよい。ここで、カードの表面とは、カードの表面、裏面および側面を含む外観のすべてまたは一部を含む。また、この層は、箔、蒸着、スパッタリングなどにより形成される。このようにすることで、金属製カードと同様の重量感を持ち、さらにカード券面の質感も金属製のカードと同様な高級感のある接触式ICカードを得ることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るプラスチック製カードおよびその製造方法について説明する。第3実施形態は、第1実施形態の基本構成のカードに非接触式通信を行うためのアンテナが配置されている、非接触式ICカードである。
図6は、本発明の第3実施形態に係る、プラスチック製カードである非接触式ICカードの平面図である。カード1および金属板2の位置関係は、図1に示す第1実施形態と同様である。すなわち、金属板2はカード1の端部までは及ばないよう配置されている。つまり、金属板2の端部がカード1の端部より所定の長さa以上カード1の内側に位置するように金属板2が配置されている。
第3実施形態では、カード1には非接触式ICモジュール13が配置されている。そして、カード1の平面視において非接触式ICモジュール13と重ならないように、金属板2の一部には切り欠きまたは穴が設けられている。図6の例では、非接触式ICモジュール13がカード1の右下部に設けられ、カード1の平面視において非接触式ICモジュール13と重ならないように、金属板2の右下部には切り欠きが設けられている。
さらに、金属板2の端部とカード1の端部との間に、非接触式通信を行うためのアンテナ回路14が配置されている。すなわち、アンテナ回路14は、カード1の平面視において金属板2と重ならないように配置されている。これにより、発生する渦電流を小さくすることができる。
このような配置を採用することにより、非接触式通信機能を持つICモジュールおよびアンテナを実施形態1のプラスチック製カード1に容易に搭載でき、金属製カードと同様の重量感がありながら非接触式通信機能を持った非接触式ICカードを得ることができる。このとき、カードの形状は、JIS X 6301:2005で規定されるID-1サイズに限らず、例えば円形など任意の形状であってもよい。
図7は、本発明の第3実施形態に係るプラスチック製カードである非接触式ICカードの断面図である。なお、図7では、カードの表面/裏面の保護層3、印刷層4、金属蒸着層5などは省略している。図2と同様に、カード表面/裏面に保護層3、印刷層4、金属蒸着層5などがあってもよい。
図7に示すように、カード1は表面から、外装基材7(表側)、中間基材8(表側)、コア基材9a(表側)、コア基材9b(裏側)、中間基材8(裏側)、および外装基材7(裏側)の順の多層構造になっている。コア基材は、9a、9bの2層から構成される。
金属板2は、カード1の中心部のコア基材9a、9bの層に埋め込まれている。金属板2の端部がカード1の端部より所定の長さa以上カード1の内側に位置するように金属板2が配置されている。
また、カード1のうち金属板2が配置されていない領域の一部において、一方のコア基材9aには、非接触式通信機能を行うための非接触式ICモジュール13が配置されている。
さらに、カード1のうち金属板2が配置されていない領域の一部において、2層からなるコア基材9a、9bの中間には、非接触式通信機能を行うためのアンテナ回路14が配置されている。すなわち、アンテナ回路14は、カード1の平面視において金属板2と重ならないように配置されている。これにより、発生する渦電流を小さくすることができる。
次に、本発明の第3実施形態に係るプラスチック製カードの製造方法について説明する。まず初めに、カード1の内部に配置するための金属板2を、切削加工、レーザー加工、放電加工など任意の方法で、カードの内部に収まりカード端面まで及ばない寸法に成形する。金属板2の材料としては、鉄、ステンレス、銅、ニッケル、錫、亜鉛などを使用することができる。ただし、カードの重量感をより高めるために、金属の中でも比重が大きく、金などの貴金属に比べ安価で、人体に対する毒性も低いタングステンを使用することが好ましい。金属板2の厚みは、50~600μm程度とする。金属板2には、非接触式ICモジュール13が搭載される任意の位置に、切り欠きまたは穴を設ける。
コア基材は2層から構成されており、金属板2を2層のコア基材内に配置するため、コア基材となるプラスチックシートに金属板と同じサイズの穴を形成する。コア基材の材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC) やポリエチレンテレフタレート共重合体(PET-G)等のカード基材として一般的な材料が用いられる。
コア基材の厚みは、2層のコア基材を合わせた時に金属板2と同じ厚さとするのが好ましい。このようにすることで、カードを熱ラミネートした際に、金属板自体の痕や、金属板とコア基材の厚みの違いによって積層したシート間に生じる空間により、アバタなどの外観上の不具合が発生することを防ぐことができる。
一方のコア基材9aには、非接触式通信機能を行うための非接触式ICモジュール13が配置される。また、2層のコア基材9a、9bの中間に、非接触式通信機能を行うためのアンテナ回路14が配置される。アンテナ回路14は、一方のコア基材9bの上にφ50-150μmの銅などのワイヤーで形成されている。ICモジュール13は、ICチップをリードフレームに対してダイアタッチ用接着剤を用いて接着し、φ10-40μmの金または銅などのワイヤーによってリードフレームにワイヤーボンディングし、ICチップの保護のためにエポキシ樹脂などにより封止することにより形成されている。また、ICモジュール13は、アンテナ回路14と、熱圧着(TCボンディング)や半回付けなどの方法で接続されている。コア基材の両方または一方には、ICモジュール13に対応した位置に穴を設けていてもよい。
次に、2層からなるコア基材9a、9bをアンテナ回路14が内側にくるよう配置して積層し、両方のコア基材に形成した穴に金属板2を嵌め込み、その表裏を中間基材8となるプラスチックシートで挟み込む。中間基材の材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC) やポリエチレンテレフタレート共重合体(PET-G)等のカード基材として一般的な材料を使用することができる。そして、中間基材8までを積層した状態で、一度、熱ラミネートを実施してもよい。また、コア基材9a、9bと中間基材8は、熱ラミネートによって熱で基材同士を融着させてもよいし、コア基材と中間基材の間に接着剤層を配置することにより接着してもよい。
コア基材9a、9bを中間基材8で挟み込んだ後、そのさらに表裏を外装基材7で挟み込む。外装基材の材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC)やポリエチレンテレフタレート共重合体(PET-G)、ポリエチレンテレフタレート(PET) 等のカード外装基材として一般的な材料を使用することができる。そして、外装基材7までを積層した状態で、一度、熱ラミネートを実施してもよい。中間基材と外装基材は、熱ラミネートによって熱で基材同士を融着させてもよいし、中間基材と外装基材の間に接着剤層を配置することにより接着してもよい。
次に、金属蒸着層5を、熱ラミネートなどの既知の方法で、カード表面の任意の面(カ一ド表裏、側面を含む外観のすべて、または一部)に転写する。そして、転写された金属蒸着層5の上に、絵柄や文字などを構成する印刷層4を、一般的なオフセット印刷、シルクスクリーン印刷などの印刷方法により形成する。
なお、金属蒸着層5を予め外装基材7に転写しておき、その上に印刷を施す構成としてもよい。印刷層4の上には、印刷層4や金属蒸着層5などを保護するための保護層3などを設けてもよい。金属蒸着層5の下には、磁気テープ10およびそれを隠蔽する隠蔽層6を配置してもよい。隠蔽層6は、シルクスクリーン印刷などにより形成する。
少なくとも外装基材7までを熱ラミネートにより一体化して、金属蒸着層5、印刷層4、保護層3など必要な各層を形成した後、パンチング加工によってカード個片形状に打ち抜くことによってカード本体を得る。以上の工程により、金属製カードと同様の重量感がありながら非接触式通信機能を持った、本発明の第3実施形態に係るプラスチック製カードである非接触式ICカードを製造することができる。
さらに、上述の非接触式ICカードにおいて、厚さ方向または側面方向で前記カードの表面から認知できる位置に、金属または金属を組成に含む素材で形成され、その外観が金属の質感を有する層が配置されていてもよい。ここで、カードの表面とは、カードの表面、裏面および側面を含む外観のすべてまたは一部を含む。また、この層は、箔、蒸着、スパッタリングなどにより形成される。このようにすることで、金属製カードと同様の重量感を持ち、さらにカード券面の質感も金属製のカードと同様な高級感のある非接触式ICカードを得ることができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係るプラスチック製カードおよびその製造方法について説明する。第4実施形態は、第1実施形態の基本構成のカードに、接触式通信機能と非接触式通信機能の両方の機能を持たせたデュアルインターフェースICカードである。
図8は、本発明の第4実施形態に係る、プラスチック製カードであるデュアルインターフェースICカードの平面図である。カード1および金属板2の位置関係は、図1に示す第1実施形態と同様である。すなわち、金属板2はカード1の端部までは及ばないよう配置されている。つまり、金属板2の端部がカード1の端部より所定の長さa以上カード1の内側に位置するように金属板2が配置されている。
第4実施形態では、カード1にはデュアルインターフェースICモジュール15が配置されている。そして、カード1の平面視においてデュアルインターフェースICモジュール15と重ならないように、金属板2の一部には切り欠きまたは穴が設けられている。図8の例では、デュアルインターフェースICモジュール15は、JIS X 6320-2:2009で規定された外部端子を有する。すなわち、デュアルインターフェースICモジュール15が、カード1の左上部に設けられ、カード1の平面視においてデュアルインターフェースICモジュール15と重ならないように、金属板2の左上部には切り欠きが設けられている。さらに、金属板2の端部とカード1の端部との間に、非接触式通信を行うためのアンテナ回路14が配置されている。
このような配置を採用することにより、接触式通信機能と非接触式通信機能を併せ持ち、JIS X 6320-2:2009で規定された外部端子を有するデュアルインターフェースICモジュールおよびアンテナを実施形態1のプラスチック製カード1に容易に搭載できる。これにより、金属製カードと同様の重量感がありながら接触式通信機能と非接触式通信機能を併せ持つデュアルインターフェースICカードを得ることができる。
図9は、本発明の第4実施形態に係る、プラスチック製カードであるデュアルインターフェースICカードの断面図である。なお、図9では、カードの表面/裏面の保護層3、印刷層4、金属蒸着層5などは省略している。図2と同様に、カード表面/裏面に保護層3、印刷層4、金属蒸着層5などがあってもよい。
図9に示すように、カード1は表面から、外装基材7(表側)、中間基材8(表側)、コア基材9a(表側)、コア基材9b(裏側)、中間基材8(裏側)、および外装基材7(裏側)の順の多層構造になっている。コア基材は、9a、9bの2層から構成される。
金属板2は、カード1の中心部のコア基材9a、9bの層に埋め込まれている。金属板2の端部がカード1の端部より所定の長さa以上カード1の内側に位置するように金属板2が配置されている。
また、カード1のうち金属板2が配置されていない領域の一部において、カード表面からコア基材にかけて凹部が設けられ、その凹部にデュアルインターフェースICモジュール15が嵌め込まれている。さらに、2層からなるコア基材9a、9bの中間には、非接触式通信機能を行うためのアンテナ回路14が配置されている。
デュアルインターフェースICモジュール15は、外部接続端子21、ガラスエポキシ基材22、およびアンテナ接続端子23を備える。外部接続端子21およびアンテナ接続端子23はCuおよびメッキからなる。アンテナ接続端子23とアンテナ回路14とは、導電性接着剤12で接続される。また、デュアルインターフェースICモジュール15は、ICチップ封止用樹脂24によって、コア基材9a、9bに封止されている。
次に、本発明の第4実施形態に係るプラスチック製カードの製造方法について説明する。まず初めに、カード1の内部に配置するための金属板2を、切削加工、レーザー加工、放電加工など任意の方法で、カードの内部に収まりカード端面まで及ばない寸法に成形する。金属板2の材料としては、鉄、ステンレス、銅、ニッケル、錫、亜鉛などを使用することができる。ただし、カードの重量感をより高めるために、金属の中でも比重が大きく、金などの貴金属に比べ安価で、人体に対する毒性も低いタングステンを使用することが好ましい。金属板2の厚みは、50~600μm程度とする。
カ一ド1が、JIS X 6301:2005で規定されたID-1サイズであり、接触式通信に使用する外部端子を有するデュアルインターフェースICモジュールが、JIS X 6320-2:2009で規定されるようにカード1の左上部に配置される場合、金属板2の左上部に切り欠きまたは穴を設ける。
コア基材は2層から構成されており、金属板2を2層のコア基材内に配置するため、コア基材となるプラスチックシートに金属板と同じサイズの穴を形成する。コア基材の材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC) やポリエチレンテレフタレート共重合体(PET-G)等のカード基材として一般的な材料が用いられる。
コア基材の厚みは、2層のコア基材を合わせた時に金属板2と同じ厚さとするのが好ましい。このようにすることで、カードを熱ラミネートした際に、金属板自体の痕や、金属板とコア基材の厚みの違いによって積層したシート間に生じる空間により、アバタなどの外観上の不具合が発生することを防ぐことができる。
一方のコア基材9aには、接触式通信機能および非接触式通信機能を行うためのデュアルインターフェースICモジュール15が配置される。また、2層のコア基材9a、9bの中間に、非接触式通信機能を行うためのアンテナ回路14が配置される。アンテナ回路14は、一方のコア基材9bの上にφ50-150μmの銅などのワイヤーで形成されている。
ワイヤーの終端に形成される、ICモジュールのアンテナ接続用の端子と接続するためのランドは、ワイヤーを用いたアンテナであれば、アンテナ端のワイヤーをジグザグに配置することにより形成するか、銅箔を熱圧着(TCボンディング)や溶接などの加工方法でアンテナ端に接続することにより形成される。
次に、2層からなるコア基材9a、9bをアンテナ回路14が内側にくるよう配置して積層し、両方のコア基材に形成した穴に金属板2を嵌め込み、その表裏を中間基材8となるプラスチックシートで挟み込む。中間基材の材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC) やポリエチレンテレフタレート共重合体(PET-G)等のカード基材として一般的な材料を使用することができる。そして、中間基材8までを積層した状態で、一度、熱ラミネートを実施してもよい。また、コア基材9a、9bと中間基材8は、熱ラミネートによって熱で基材同士を融着させてもよいし、コア基材と中間基材の間に接着剤層を配置することにより接着してもよい。
コア基材9a、9bを中間基材8で挟み込んだ後、そのさらに表裏を外装基材7で挟み込む。外装基材の材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC)やポリエチレンテレフタレート共重合体(PET-G)、ポリエチレンテレフタレート(PET) 等のカード外装基材として一般的な材料を使用することができる。そして、外装基材7までを積層した状態で、一度、熱ラミネートを実施してもよい。中間基材と外装基材は、熱ラミネートによって熱で基材同士を融着させてもよいし、中間基材と外装基材の間に接着剤層を配置することにより接着してもよい。
次に、金属蒸着層5を、熱ラミネートなどの既知の方法で、カード表面の任意の面(カ一ド表裏、側面を含む外観のすべて、または一部)に転写する。そして、転写された金属蒸着層5の上に、絵柄や文字などを構成する印刷層4を、一般的なオフセット印刷、シルクスクリーン印刷などの印刷方法により形成する。
なお、金属蒸着層5を予め外装基材7に転写しておき、その上に印刷を施す構成としてもよい。印刷層4の上には、印刷層4や金属蒸着層5などを保護するための保護層3などを設けてもよい。金属蒸着層5の下には、磁気テープ10およびそれを隠蔽する隠蔽層6を配置してもよい。隠蔽層6は、シルクスクリーン印刷などにより形成する。
少なくとも外装基材7までを熱ラミネートにより一体化して、金属蒸着層5、印刷層4、保護層3など必要な各層を形成した後、パンチング加工によってカード個片形状に打ち抜くことによってカード本体を成形する。
次に、カード本体にデュアルインターフェースICモジュール15を埋め込むための凹部(キャビティ)をミリング加工により形成する。同時に、ICモジュール側のアンテナ接続用端子へ接続するためのランド部分を削り出す。金属板2の左上部に切り欠きまたは穴を設けているので、プラスチック製の接触式ICカードを製造する設備によって、容易にミリング加工を行うことができる。
次に、形成された凹部に、接触式通信機能と非接触式通信機能を併せ持つデュアルインターフェースICモジュール15を嵌め込み、接触式ICモジュール11の表面から熱と圧力を加える。そして、ホットメルトシート等の接着剤によって、デュアルインターフェースICモジュール15をカード本体の凹部(キャビティ)に装着すると同時に、ICモジュールのアンテナ接続用端子とアンテナとを半田や導電性接着剤などを用いて接続することにより、デュアルインターフェースICカードを得る。
デュアルインターフェースICモジュール15は、接触式通信機能と非接触式通信機能の両方の機能を有するICチップを搭載し、接触式通信に使用する外部接続端子と、その反対面に非接触式通信に使用しアンテナと接続するためのアンテナ接続用端子を有している。外部接続端子とアンテナ接続用端子は、厚さ50~200μm のガラスエポキシやPET等の絶縁基材の片面に厚さ10~50μmの銅箔をラミネート加工した後、エッチング加工により複数の銅箔パターンに区切ることにより形成される。銅箔パターンの露出部分には、0.5~3μmのニッケルメッキが施され、さらにその上に0.01~0.3μmの金メッキが施されている。ただし、メッキの構成はこれに限らない。
ICチップは、ガラスエポキシやPETに対してダイアタッチ用接着剤を用いて接着され、φ1O~40μmの金あるいは銅などのワイヤーによって外部接続端子およびアンテナ接続用端子に直接、またはそれらに接続されたパターンに対してワイヤーボンディングされ、ICチップの保護のため、エポキシ樹脂などにより封止されている。このようにして、金属製カードと同様の重量感がありながら接触式通信機能と非接触式通信機能を併せ持つ、本発明の第4実施形態に係るプラスチック製カードであるデュアルインターフェースICカードを製造することができる。
さらに、上述のデュアルインターフェースICカードにおいて、厚さ方向または側面方向で前記カードの表面から認知できる位置に、金属または金属を組成に含む素材で形成され、その外観が金属の質感を有する層が配置されていてもよい。ここで、カードの表面とは、カードの表面、裏面および側面を含む外観のすべてまたは一部を含む。また、この層は、箔、蒸着、スパッタリングなどにより形成される。このようにすることで、金属製カードと同様の重量感を持ち、さらにカード券面の質感も金属製のカードと同様な高級感のあるデュアルインターフェースICカードを得ることができる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係るプラスチック製カードについて説明する。第5実施形態は、上述の第1実施形態~第4実施形態のプラスチック製カードにおいて、カード内部に配置した金属板2を、カードの下半分には配置しないようにしている。
図10は、本発明の第5実施形態に係る、プラスチック製カードの平面図である。図10(a)は、ICモジュールを搭載しないカードの例であり、図10(b)は、接触式ICモジュール11を搭載した接触式ICカードの例である。
第1実施形態~第4実施形態と同様に、金属板2はカード1の端部までは及ばないよう配置されている。第5実施形態では、さらに、金属板2は、カードの下半分には位置しないように配置されている。
金属板2が配置されないカードの下半分には、エンボス領域16、17が設けられる。これにより、JIS X 6302-1:2005(ISO/IEC 7811-1:2002)に規定されたエンボス加工をカードに施すことができる。従って、金属製カードと同様の重量感をもちながら、金属製カードでは不可能なエンボスによる情報記録が可能なカードを得ることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態およびその変形例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
本明細書において「前、後ろ、上、下、右、左、垂直、水平、縦、横、表、裏、行および列」などの方向を示す言葉は、本発明の構成におけるこれらの方向を説明するために使用している。従って、本発明の明細書を説明するために使用されたこれらの言葉は、本発明の構成において相対的に解釈されるべきである。